説明

ケーブルの製造方法

【課題】
【解決手段】本発明は、導体と、該導体を取り囲み且つ0.4mm以下の厚さを有する内側半導層と、上記内側半導層を取り囲む絶縁層と、を備えるケーブルの製造方法に関する。該方法は、内側半導層及び絶縁層を共押出し成形するステップを備えている。上記ステップは、a)内側半導性材料の第一の環状流れと、絶縁性材料の第二の環状流れとを提供するステップと、b)上記第一の環状流れの内面が導体と接触する接触点から軸方向距離にて上記第一の環状流れの外面を上記第二の環状流れの内面に接触させるステップと、c)内側半導性材料及び絶縁性材料の動粘度(η)の関数として、上記所定の供給速度及び上記接触点(D)を組み合わせて選び、該押出し成形ダイの半径方向内壁における内側半導層せん断応力と上記接触点に近接する該押出し成形ダイの半径方向外壁における絶縁層のせん断応力との間の比が約0.5ないし4の範囲にあるようにするステップと、d)絶縁層及び内側半導層を導体に圧縮押出し成形するステップと、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルの製造方法に関する。
特に、本発明は、中電圧又は高電圧にて電力を輸送し又は分配する電気ケーブルの製造方法に関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、極めて小型の設計の構造体を有する電気ケーブルの製造方法に関する。
当該説明において、中電圧という語は、典型的に、約10ないし60kVの張力を示すために使用し、また、高電圧という語は、60kV以上の張力を意味する。全体として、低電圧という語は、10kV以下、典型的に100V以上の張力を意味する。極高電圧という語は、また、当該技術にて約150又は220kV以上、500kVまで又はそれ以上の電圧を規定するため使用される場合もある。
【0003】
中電圧又は高電圧にて電力を輸送し又は分配するケーブルは、全体として、内側半導層、絶縁層、外側半導層によってそれぞれ取り囲まれた金属導体を有している。以下の当該説明において、上記所定の一続きの要素は「ケーブルコア」という語にて表示する。
【背景技術】
【0004】
上記コアの半径方向外側の位置にて、ケーブルには、通常、アルミニウム、鉛又は銅で出来た金属遮蔽体(又は網)が設けられている。全体として、金属遮蔽体は、管状の形態に従った形状とされ且つ、密閉性を保証し得るよう溶接し又は密封された連続的な管又は金属テープから成っている。これと代替的に、金属遮蔽体は複数の金属ワイヤーにて形成されている。
【0005】
金属遮蔽体は、金属遮蔽体とケーブルコアの外側半導層とが直接接触する結果として、ケーブル内部に、ラジアル型の均一な電界を形成すると同時に、上記ケーブルの外側電界を打ち消すことによって電気的機能を果たす。
【0006】
金属遮蔽体は、また、半径方向への水の侵入に対する障壁を介在させることによりケーブルの外側に対する密閉性を提供することもできる。
金属遮蔽体の更なる機能は短絡電流に抵抗することである。
【0007】
単極型の形態において、ケーブルには、上述した金属遮蔽体の半径方向外側の位置にて重合系オーバシースが設けられる。
更に、電力を輸送し又は分配するケーブルには、全体として、その外面にて生じる可能性のある偶発的な衝撃から上記ケーブルを保護すべく1つ又はより多くの層が設けられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
例えば、ケーブルを輸送する間又はケーブルを地面に掘った溝内に付設するステップの間に、ケーブルに対する偶発的な衝撃が生じる可能性がある。上記偶発的な衝撃は、絶縁層の変形及び絶縁層の半導層からの分離、絶縁層の電気電圧応力に変化を生じさせ、その結果、上記層の絶縁能力を低下させるであろう損傷を含む、一連の構造的損傷をケーブルに引き起こす可能性がある。
【0009】
現在、例えば、低又は中電圧電力の輸送又は分配のために市場にて利用可能なケーブルにおいて、偶発的な衝撃に起因する可能な損傷から上記ケーブルを保護し得るよう、通常、上記衝撃に抵抗することのできる金属外装が設けられている。全体として、上記外装は、テープ又はワイヤー(スチール製であることが好ましい)の形態とするか又はこれと代替的に、金属シース(鉛又はアルミニウムにて出来ていることが好ましい)の形態をしている。かかるケーブル構造体の一例は米国特許明細書5,153,381号に記載されている。
【0010】
当該出願人の名による欧州特許明細書981,821号には、上記ケーブルに対し偶発的な衝撃に対する高抵抗性を付与し得るよう膨張重合系材料の層が設けられたケーブルが開示されており、この膨張重合系材料の層は、ケーブルコアの半径方向外側に施されることが好ましい。上記提案された技術的解決策は、従来の金属外装を使用することを不要にし、これによりケーブルの重量を軽減し且つその製造過程をより容易にするものである。
【0011】
当該出願人は、小型なケーブルコアを有するケーブル、すなわち半導層及び絶縁層の厚さが従来のケーブルに比して減少したケーブルコアの設計を有するケーブルを提供し、ケーブルの寸法及び重量を軽減し、ケーブル全体の電気的及び機械的抵抗性を減少させることなく、その取り扱い、可撓性及び輸送を望ましいように向上させることの必要性を認識した。
【0012】
しかし、当該出願人は、かかる小型のケーブルコアの製造は、所望の結果を提供するのに不適当である、当該技術にて既知の製造方法を使用することにより実現することはできないことが分かった。
【0013】
極めて薄い(すなわち0.4mm以下の厚さを有する)内側半導層が設けられた小型のケーブルコアを製造するために、当該出願人は、ケーブルコアを構成する層を形成する異なる材料の流れが互いに分離した状態に保たれ、また、形成されるケーブルコアに別個に押出し成形される既知の押出し成形技術は、妥当な速度にて所望のケーブルコアを製造することを許容しない複数の欠点を招来することが分かった。
【0014】
例えば、内側半導層の厚さを顕著に減少させることが望まれる場合、既知のケーブル製造方法は、長手方向又は半径方向の何れかにて内側半導層の不均質な厚さを形成することになり、また、内側半導層をケーブル導体に押出し成形する間、その層が裂けることになる。この理由は、押出機ヘッドに沿って動く間、導体が極めて薄く押出し成形した内側半導層に引っ張り力を加え、これにより上述した欠点を生じさせるためである。工業的生産性を実現するのを許容するのに十分に速い所定の供給速度(例えば、約30m/分の従来の供給速度)にてケーブル導体が押出機ヘッドに沿って動くとき、この特徴は、より大きい負担となる。このため、押出し成形される極めて薄い内側半導層とケーブル導体の相対的に速い供給速度とを組み合わせることは、全体として許容できず、従って廃棄される、不良なケーブルコアを製造することになる。
【0015】
更に、既知のケーブルの製造方法に従い、内側半導層の減少した厚さを得ることが必要とされる場合、押出し成形通路(内側半導層を押出し成形するために使用される)の長さは、その平均高さ(通路の高さは通路の長手方向壁に対し垂直な平面内にて測定される)よりも感得し得るほど長い。この特徴は、押出し成形通路の断面が減少するため、押出機ヘッド内の押出し成形圧力を顕著に上昇させ、また、その結果、押出し成形通路に沿って動く押出し成形した材料の速度を増すことになる。このため、押出機ヘッドにおける圧力を減少させるため、内側半導層の押出し成形生産量は、押出し成形通路内の内側半導体の速度を減少させ得るよう低い値に設定され、これにより、ケーブルの製造方法の生産性に悪影響を与えることになる。
【0016】
更に、既知のケーブルの製造方法に従い、内側半導層の厚さを減少させることが要求される場合、内側半導層の押出し成形通路を形成するダイを正確に製造し且つ(又は)組み立てることは、押出し成形した材料の流動安定性に顕著に影響を与えることになる。その結果、押出し成形した材料は、不均質に分配され、また、ケーブル導体への内側半導層の厚さが不均質となる可能性がある。
【0017】
ケーブルの多層要素の単一層を導体に押出し成形される前に、互いに接触させ、ケーブル導体とケーブルの多層要素との間の接触点の上流である位置に多層要素が形成されるようにすることにより、ケーブルの多層要素がケーブル導体に共押出し成形されるようにした従来のケーブルの製造方法も既知である。
【0018】
例えば、米国特許明細書3,737,490号には、異なる被覆材料の2つ又はより多くの層から成る、電気ケーブルの押出し成形した複合的被覆物をフロートダウン法によって連続的に前進するコアの上に製造する方法が開示されている。この方法は、被覆材料の押出し成形した周方向に連続的な層を押出し成形機の出口端に向けて同時に供給する押出機のコア管をコアが通過するようにするステップと、押出し成形した層が押出機の出口端の上流にて完全に且つ緊密に界面接触するようにするステップと、被覆されたコアを密閉的に密封されたチャンバを通して押出し成形機の出口端まで進め且つ、流体媒質を雰囲気以上の圧力に保持することにより、このように形成された複合的被覆物を連続的に処理するステップと、流体を圧力の下、コア管の内部に注入し且つ、押出し成形した複合的被覆物を亙る圧力差が押出し成形した複合的被覆物を押出し成形機から出るとき、コアの上に強固に圧縮するのに十分であるが、押出し成形した複合的被覆物をコア管に沿って後方に押すのには不十分な程度だけ、流体を流体媒質の圧力よりも低い圧力に維持するステップとを備えている。更に、上記明細書には、外側ダイと、ヘッドを通って伸びるコア管の前端に固定される内側ダイとにより画成された環状押出し成形オリフィスをその出口端に有する押出し成形機のクロスヘッドが開示されている。押出し成形オリフィスの上流には、中間ダイがある。プラスチック状態にて半導性ポリエチレンが内側ダイと中間ダイとの間の環状空間に供給通路を通じて供給され、プラスチック状態のポリエチレンは、供給通路を通じて中間ダイと外側ダイとの間の環状空間に供給される。中間ダイは、半導性ポリエチレン及び絶縁性ポリエチレンの押出し成形した層が押出し成形オリフィスの上流にて完全に且つ緊密に界面接触するよう、外側ダイに対して配置されている。この方法により、0.5mmの半径方向厚さの内側半導性の架橋結合可能なポリエチレン層と、2.8mmの半径方向厚さの外側絶縁性架橋結合可能なポリエチレン層とを備える複合的被覆物を扇形状の導体に取り付けることができる。
【0019】
米国特許明細書4,093,414号には、特に電話線の製造方法にて、ケーブル導体の上に発泡材/該絶縁体を取り付け得るよう熱可塑性絶縁性コンパウンドを共押出し成形することができるダイが開示されている。上記の特許明細書に従い、絶縁材の供給分が導体が貫通して通る先端の端部に接近するに伴い、溶融流れ分離機により、絶縁材の供給分の間に2つの絶縁性材料層(第一のセル状絶縁層と、該セル状層の上の第二の中実な絶縁層)を施すため、1つの先端及び1つの押出し成形ダイのみが使用される。溶融流れ分離機は、絶縁性材料が単一の先端の排出端部に接近する前に、絶縁性材料が合体するのを防止し、該溶融流れ分離機は、先端の端部から多少後方の距離にて終わり、内側層のセル状構造体が途絶するのを回避することができる。
【0020】
欧州特許明細書534,208号には、2つの供給通路によって提供される少なくとも2つの異なるプラスチック材料を共押出し成形する押出し成形ヘッドが開示されており、該2つの供給通路は、共通の出口ダイに開放し、また、材料の流れを均質にする作用を果たすスリット形状の均質化帯域内に開放する。内側材料の均質化帯域は、実質的に軸方向に伸びる一方、外側材料の均質化帯域は、実質的に半径方向に伸びる。細長い物品は、上記少なくとも2つの異なるプラスチック材料によって外装することができる。
【0021】
当該出願人は、ケーブル導体と内側半導層との間の接触点の上流である位置にて押出し成形した内側半導層が押出し成形した絶縁層と接触する場合、内側半導層(押出し成形されている)にケーブル導体(押出し成形ヘッドに沿って動いている)によって加えられた引っ張り作用は、内側半導層の厚さと絶縁層の厚さとのそれぞれ合計値から成る厚さに亙って望ましいように分配されることが分かった。
【0022】
このため、内側半導層は、導体と接触するとき、(形成されるケーブルコアの上に内側半導層及び絶縁層が別個に押出し成形される場合のように)該内側半導層を押出し成形するのに適したダイの固定壁によってではなくて、その上に既に押出し成形された絶縁層が存在することによって、その半径方向外側部分にて限界付けられることのため、既に絶縁層と共に組み立てられた内側半導層にケーブル導体により加えられた引伸ばし作用によって、導体/内側半導層の境界面にて厚さの非均質さ及び(又は)引裂きが生じることはない。
【0023】
当該出願人は、極めて薄い内側半導層が設けられた小型のケーブルコアを製造するためには、ケーブル導体と内側半導層との間の接触点の上流の位置にて内側半導層が絶縁層に接触するようにし、更に、内側半導性材料を絶縁性材料と結合するステップを実行し(その接触点にて)、接触し且つ押出し成形ヘッドに沿って結合する間、押出し成形した材料の流動不安定性が生じないようにする必要があることを更に認識した。
【0024】
換言すれば、当該出願人は、2つの材料の押出し成形条件(例えば、材料の流れのような工程条件、例えば、往復運動距離及びダイの形態のような幾何学的条件)は、内側半導層と絶縁層との間の境界面におけるレオロジー特性に影響を与えることを認識した。
【0025】
このため、内側半導層の所望の厚さ及びその長手方向均質さが実現されることを保証するため、当該出願人は、内側半導層と絶縁層との間の接触点に近接して、内側半導性材料のせん断応力と絶縁性材料のせん断応力との差は、可能な限り小さく、押出し成形した材料中の流動不安定性が回避され、又は少なくとも顕著に減少し、また、2つの材料の結合によって接触する2つの層にて変形が生じないようにする必要があることが分かった。
【0026】
詳細には、当該出願人は、内側半導層と絶縁層との間の接触点に近接して、内側半導層のせん断応力と絶縁層のせん断応力との間の比は、0.5ないし4の範囲になければならないことが分かった。
【課題を解決するための手段】
【0027】
その1つの形態に従い、本発明は、
導体と、
該導体を取り囲み且つ0.4mm以下の厚さを有する内側半導層と、
上記内側半導層を取り囲む絶縁層とを備えるケーブルの製造方法であって、
内側半導層を押出し成形する第一の押出し成形通路と、絶縁層を押出し成形する第二の押出し成形通路とを備える押出し成形ヘッドに対し導体を所定の供給速度にて供給し、該第一の押出し成形通路及び上記第二の押出し成形通路は第一の押出し成形ダイによって互いに分離されるようにするステップと、
内側半導層及び絶縁層を共押出し成形するステップとを備え、該共押出し成形するステップは、
内側半導性材料の第一の環状流れと、絶縁性材料の第二の環状流れとを提供するステップと、
上記第一の環状流れの内面が導体と接触する接触点から軸方向距離にて上記第一の環状流れの外面を上記第二の環状流れの内面に接触させるステップと、
内側半導性材料及び絶縁性材料の動粘度の関数として、上記所定の供給速度及び上記接触点を組み合わせて選び、上記第一の押出し成形ダイの半径方向内壁における内側半導層せん断応力と上記接触点に近接する上記第一の押出し成形ダイの半径方向外壁における絶縁層のせん断応力との間の比が約0.5ないし4の範囲にあるようにするステップとを備え、
絶縁層及び内側半導層を導体に圧縮押出し成形するステップを備えるケーブルの製造方法に関する。
【0028】
好ましくは、ケーブル導体の前進する方向に沿って測定した、上記軸方向距離は導体の直径の0.5倍以上であるものとする。より好ましくは、上記距離は、導体の直径の約0.6ないし約10倍の範囲にあるものとする。
【0029】
本明細書及び特許請求の範囲において、「接触点付近」という語は、2つの押出し成形層(すなわち、内側半導層及び絶縁層)のせん断応力は、上記2つの層が往復可能に接触する直前、すなわち上記2つの層がそれぞれの押出し成形ダイの壁から去る直前に、それぞれの押出し成形ダイの壁(それぞれ半径方向内壁及び半径方向外壁)にて測定されることを意味する。
【0030】
好ましくは、第一の押出し成形ダイの半径方向内壁における内側半導層のせん断応力と、接触点付近にて第一の押出し成形ダイの半径方向外壁における絶縁層のせん断応力との比は、約0.7ないし約3.0の範囲にあるものとする。
【0031】
より好ましくは、上記比は約1である、すなわち第一の押出し成形ダイの半径方向内壁における内側半導層のせん断応力は、第一の押出し成形ダイの半径方向外壁における絶縁層のせん断応力に実質的に等しいものとする。
【0032】
本明細書及び特許請求の範囲の記載において、重合系材料で出来た層を「圧縮押出し成形する」という語は、押出し成形ヘッド内にて、上記重合系材料の圧力は雰囲気圧力以上であり、また、押出し成形ヘッドの出口において、押出し成形した重合系層の直径は、上記重合層を形成する作用を果たす押出し成形ダイの内径以上であることを意味する(このことは、押出し成形ヘッドの出口において、押出し成形した重合層の直径は、連続的に減少しないことを意味する)。
【0033】
本発明に従って、ケーブルの製造方法は、極めて薄い内側半導層、すなわち0.4mm以下の厚さを有する内側半導層を製造することを許容する。
好ましくは、内側半導層の厚さは、約0.05mmないし約0.4mmの範囲にあるものとする。
【0034】
より好ましくは、内側半導層の厚さは、約0.2mmないし約0.3mmの範囲にあるものとする。
国際公開明細書04/003940号に開示されているように、当該出願人は、ケーブルに対し偶発的な衝撃に対する所定の抵抗を付与するのに適した膨張重合層を備える保護要素を有するケーブルを提供することにより、従来のケーブルよりもより小型のケーブルの設計とすることが可能であることが更に分かった。
【0035】
実際上、当該出願人は、膨張した重合層を備える保護要素を有するケーブルを提供することにより、ケーブルの絶縁層の厚さを絶縁性材料の電気的強度と適合可能な電気的応力まで望ましいように減少させることが可能であることが分かった。更に、その電気的及び機械的抵抗の性質を減少させることなく、ケーブルコアの構造をより小型化し得るよう絶縁層を取り巻く内側及び外側半導層の厚さを減少させることが可能である。
【0036】
好ましくは、本発明の製造方法は、その外側輪郭外形が正円形の断面を有する中実なロッド導体が設けられた電気ケーブルを製造するとき、適したものとする。
これと代替的に、撚った構造体の外側輪郭外形がその全体を内側半導層により電気的観点から滑らかにすることのできない複合的導体の組成に起因する不均質部を有しないならば、ケーブル導体は撚った金属ワイヤーにて形成してもよい。
【0037】
好ましくは、本発明のケーブルの製造方法は、連続的な方法である、すなわちケーブルは、中間の休止相又は格納相無しにて製造される。
本明細書及び特許請求の範囲において、「連続的な方法」とは、所定のケーブルの長さを製造するのに必要な時間は、ラインでのケーブルの前進速度に反比例し、このため、導体の供給と完成したケーブルの巻き取りとの間に中間の休止相が存在しない方法を意味する。
【0038】
好ましくは、本発明に従った方法のライン速度は約30ないし約100m/分の範囲にあるものとする。
本発明の方法は、ケーブルコアを得るため、絶縁層を取り囲む外側半導層を提供するステップを更に備えている。
【0039】
引き続いて、本発明の方法は、例えば、ケーブルコアがその内部を冷却流体が流れる細長い開放したダクトを通って進むようにすることにより、ケーブルコアを冷却するステップを更に備えている。水は、かかる冷却流体の1つの好ましい例である。
【0040】
好ましくは、本発明の方法は、特に、湿気又は水滴のような冷却流体の残留物がケーブルの全体の性能に有害であることが判明した場合、かかる残留物を除去し得るよう冷却したケーブルコアを乾燥させるステップを更に備えるものとする。
【0041】
更に、本発明の方法は、長手方向に折り重ねた金属シート又はら旋状に巻くワイヤー又はテープから形成することのできるケーブルコアの回りに金属遮蔽体を提供するステップを更に備えている。
【0042】
更に、好ましくは、本発明の方法は、衝撃保護要素を金属遮蔽体の回りに取り付けるステップを備えるものとする。好ましくは、上記衝撃保護要素は、押出し成形により取り付けられるものとする。好ましくは、上記衝撃保護要素は、非膨張重合層と、膨張重合層とを備えるものとする。好ましくは、膨張重合層が非膨張重合層の半径方向外側に配置されるものとする。好ましくは、非膨張重合層及び膨張重合層は、共押出し成形により取り付けられるものとする。
【0043】
全体として、本発明の方法は、オーバシースを金属遮蔽体の回りに取り付けるステップを更に備えている。好ましくは、オーバシースは、押出し成形により取り付けられるものとする。
【0044】
最後に、本発明の方法は、更なる冷却ステップと、その後、完成したケーブルをリールにまとめる巻き取りステップとを更に備えている。
本発明は、電力を輸送し又は分配する電気ケーブルのみならず、光ファイバコアを含む併用電力/通信ケーブルにも望ましいように適用可能である。このため、この意味において、本明細書の他の部分及び特許請求の範囲において、「導体」という語は、金属導体又は複合的電気/光学系の導体を意味するものとする。
【0045】
添付図面を参照しつつ、以下の詳細な説明にて更なる詳細を記載する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
図1には、典型的に、中電圧又は高電圧の範囲内にて使用する設計とされた、本発明の製造方法により望ましいように得られる電気ケーブルの部分断面図とした斜視図が示されている。
【0047】
ケーブル1は、導体2と、内側半導層3と、絶縁層4と、外側半導層5とを備えるケーブルコアを有している。
図1に示した好ましい実施の形態に従い、導体2は、銅又はアルミニウムで出来たものであることが好ましい金属ロッドである。これと代替的に(図1に図示せず)、導体2は、コードを形成し得るよう任意の従来の技術に従って共に撚った、好ましくは、銅又はアルミニウムのような少なくとも2つの金属ワイヤーを備えている。
【0048】
導体2の断面積は、選んだ電圧にて輸送すべき電力に対する関係にて決定される。本発明の方法にて製造される小型のケーブルの好ましい断面積は16ないし1,000mmの範囲にある。
【0049】
全体として、絶縁層4は、例えば、ポリオレフィン(異なるオレフィンのホモポリマー又は共重合体)、オレフィン/エチレン系の不飽和エステル共重合体、ポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテル/ポリエステル共重合体及びそれらの混合体から選ばれた架橋結合又は非架橋結合重合系組成物にて出来ている。上記ポリマーの例は、ポリエチレン(PE)、特に、線形低密度PE(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)、熱可塑性プロピレン/エチレン共重合体、エチレン−プロピレンゴム(EPR)又はエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、天然ゴム、ブチルゴム、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン/エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン/ブチルアクリレート共重合体(EBA)、エチレン/α−オレフィン共重合体及び同様のものである。
【0050】
好ましくは、上記絶縁層4は、非架橋結合系重合系材料で出来たものとする。
当該明細書において、「絶縁性材料」という語は、少なくとも5kV/mm、好ましくは10kV/mm以上の絶縁強度を有する材料を示すために使用される。中/高電圧電力輸送ケーブルの場合、絶縁性材料は、40kV/mm以上の誘電強度を有する。
【0051】
好ましくは、絶縁層4の絶縁性材料は、非膨張重合系材料であるものとする。本発明において、「非膨張」重合系材料という語は、その構造内に空隙容積が実質的に存在しない材料、すなわち本明細書の以下に一層良く記載するように、膨張度が実質的に零である材料を示すために使用される。特に、上記絶縁性材料は、0.85g/cm以上の密度を有する。
【0052】
典型的に、電力輸送ケーブルの絶縁層は、2以上の誘電定数(K)を有する。
共に非膨張である内側半導層3及び外側半導層5は、本発明の方法に従って得られる(本明細書の以下に詳細に説明するように)、また、重合系基材及び炭素黒(後者は、上記層を電気的に半導性にするために使用される)は、本明細書の以下に掲げたものから選ばれるものとする。
【0053】
本発明の1つの好ましい実施の形態において、内側及び外側半導層3、5は、非架橋結合の基本重合系材料、より好ましくは、ポリプロピレンコンパウンドを備えている。
更に、ケーブル1は、ケーブルコアを取り囲む金属遮蔽体6を更に備えている。図1に示した実施の形態に従い、金属遮蔽体6は、管となるような形状とされた連続的な金属シートにて出来ている。好ましくは、金属遮蔽体は、アルミニウム又はこれと代替的に、銅にて出来たものとする。幾つかの場合、鉛を使用することができる。
【0054】
金属シート6は、重なり合う端縁が金属遮蔽体を水密とし得るように密封材料が介在された状態にて外側半導層5の周りに巻き付けられる。これと代替的に、金属シートは溶接する。
【0055】
これと代替的に、金属遮蔽体6は、上記外側半導層5の回りに配置されたら旋状に巻いた金属ワイヤー又はストリップにて出来たものとする。
通常、金属遮蔽体は、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)又はポリエチレン(PE)のような架橋結合又は非架橋結合ポリマー材料から成るオーバシース(図1に図示せず)にて被覆されている。
【0056】
図1に示した実施の形態に従い、ケーブル11には、金属遮蔽体6に対して半径方向外側の位置にて保護要素7が設けられている。上記の実施の形態に従い、保護要素7は、2つの非膨張重合層の間に含まれた膨張重合層9と、外側(第一の)非膨張重合層10と、内側(第二の)非膨張重合層8とをそれぞれ備えている。保護要素7は、任意の外部衝撃を少なくとも部分的に吸収することにより、ケーブルにて生ずる、かかる外部衝撃からケーブルを保護する機能を果たす。
【0057】
当該出願人の名による欧州特許明細書981,821号に従い、膨張重合層9を構成する重合材料は、例えば、ポリオレフィン、異なるオレフィンの共重合体、エチレン系不飽和エステルを有するオレフィンの共重合体、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、フェノール樹脂、尿素樹脂、及びそれらの混合体のような任意の型式の膨張可能なポリマーとすることができる。適当なポリマーの例は、ポリエチレン(PE)、特に、低密度PE(LDPE)、中密度PE(MDPE)、高密度PE(HDPE)、線形低密度PE(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、ポリプロピレン(PP)、エラストマー的エチレン/プロピレン共重合体(EPR)又はエチレン/プロピレン/ジエン三元共重合体(EPDM)、天然ゴム、ブチルゴム、エチレン/ビニルエステル共重合体、例えば、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/アクリレート共重合体、特に、エチレン/メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン/エチルアクリレート共重合体(EEA)及びエチレン/ブチルアクリレート(EBA)、エチレン/α−オレフィン熱可塑性共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂、ハロゲン化ポリマー、特に、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(PUR)、ポリアミド、テレフタル酸ポリエチレン(PET)又はテレフタル酸ポリブチレン(PBT)のような芳香族ポリエステル、及びこれらの共重合体又はこれらの機械的混合物である。
【0058】
本明細書の目的のため、「膨張した」ポリマーという語は、その構造内の「空隙」容積比率(すなわちポリマーによって占められず、気体又は空気が存在する空間)が典型的に、上記ポリマーの全容積の10%以上であるポリマーを意味するものと理解される。
【0059】
全体として、膨張したポリマー内の自由空間の比率は、膨張度(G)にて表現される。本明細書において、「ポリマーの膨張度」という語は、次式に従って決定されたポリマーの膨張を意味するものと理解される。
【0060】
G(膨張度)=(d/d−1)・100
ここで、dは非膨張ポリマーの密度を示し(すなわち、実質的に空隙容積が存在しない構造体を有するポリマー)、また、dは膨張したポリマーにて測定した見掛けの密度を示す。
【0061】
好ましくは、上記膨張した重合層9の膨張度は、25%ないし160%の範囲、より好ましくは、40%ないし140%の範囲にて選ばれるものとする。
好ましくは、上記保護要素7の2つの非膨張重合層8、10は、ポリオレフィン材料にて出来たものとする。
【0062】
2つの非膨張重合層8、10は、低密度ポリエチレン(LDPE)(d=0.910−0.926g/cm)、α−オレフィンとのエチレン共重合体、ポリプロピレン(PP)、エチレン/α−オレフィンゴム、特に、エチレン/プロピレンゴム(EPR)、エチレン/ポリプロピレン/ジエンゴム(EPDM)、天然ゴム、ブチルゴム及びそれらの混合体から成る群から選ばれた重合系材料にて出来たものとすることができる。
【0063】
好ましくは、2つの非膨張重合層8、10は、熱可塑性材料、好ましくは非架橋結合ポリエチレン(PE)のようなポリオレフィンにて出来たものとする。これと代替的に、ポリ塩化ビニル(PVC)を使用してもよい。
【0064】
図1に示した実施の形態において、ケーブル1には、外側半導層5と金属遮蔽体6との間に配置された止水層11が更に設けられている。
本発明の1つの好ましい実施の形態に従い、止水層11は、当該出願人の名による国際公開明細書01/46965号に記載されたように、膨張した、水膨潤性の半導層である。
【0065】
好ましくは、上記止水層11は、その内部に水膨潤性材料が埋め込まれ又は分散された膨張した重合材料にて出来たものとする。
好ましくは、上記止水層11の膨張可能なポリマーは、上述した重合系材料から選ばれるものとする。
【0066】
上記止水層11は、長手方向に向けたケーブル内部への水の侵入に対する効果的な障壁を提供することを目的とする。
水膨潤性材料は、全体として、重合系鎖に沿って親水性基を有するホモポリマー又は共重合体から成っており、例えば、架橋結合し且つ少なくとも部分的に塩化したポリアクリル酸(例えば、C.F.ストックハウゼン(Stockhausen)GmbHからのカブロック(Cabloc)(登録商標名)又はグレインプロセッシング(Grain Processing)カンパニーからのウォーターロック(Waterlock)(登録商標名)の製品)、澱粉又はアクリルアミドとアクリル酸ナトリウムとの間にて共重合体と混合させたその誘導体(例えば、ヘンケル(Henkel)AGからのSGPアブソーベントポリマー(Absorbent Polymer)(登録商標名))、カルボキシメチルセルロースナトリウム(例えば、ハーキュレス(Hercules)インクからのブラノーズ(Blanose)(登録商標名)の製品)である。
【0067】
更に、止水層11の膨張した重合材料は、半導性となるよう改質することができる。
重合系マトリックスに添加すべき炭素黒の量は、使用されるポリマー及び炭素黒の型式、得ようとする膨張度、膨張剤などに依存して変更可能である。このため、炭素黒の量は、膨張した材料に対し十分な半導性の性質を与え、特に膨張した材料に対し室温にて500Ω・m以下、好ましくは20Ω・m以下の体積抵抗率の値が得られるようにする必要がある。典型的に、炭素黒の量は、ポリマーの重量に対して重量比にて1ないし50%の範囲、好ましくは3ないし30%の範囲とすることができる。
【0068】
止水層11の好ましい膨張度の範囲は10%ないし50%である。
更に、ケーブル1に対し半導性の止水層11を提供することにより、望ましいように外側半導層5の厚さを減少させることができ、それは、外側半導層5の電気的性質は、上記止水半導層によって部分的に提供されるからである。このため、上記の特徴は、外側半導層の厚さ、従ってケーブルの全体的な重量を減少させることに望ましいように寄与することになる。
【0069】
図2には、単極電気ケーブルのコアを製造する従来の押出し成形ヘッドの長手方向断面図の部分図が示されている。
ケーブル導体2は、供給リールから巻き戻され、三層押出し成形ヘッドが設けられた押出し成形装置内に供給され、該装置は、導体2に内側半導層3´と、絶縁層4´と、外側半導層5´とを堆積させ得るよう共通の押出し成形ヘッド内に流れる3つの別個の押出機を備えている。
【0070】
図2には、それ自体既知であり、従ってその全体を図示しない押出し成形装置の三層押出し成形ヘッド20の長手方向断面図の部分図が示されている。
押出し成形ヘッド20は、雄型ダイ21と、第一の中間ダイ22と、第二の中間ダイ23と、雌型ダイ24とを備えている。上記のダイは、互いに同心状に重なり合い且つ、導体2の軸線Z−Zから半径方向に伸びる上述した順序にて配置されている。
【0071】
より特定的には、矢印Aは、内側半導層3´が雄型ダイ31と第一の中間ダイ32との間に設けられた導管25を通って押出し成形される位置の半径方向外側の位置におけるケーブル導体2の前進方向を示す。絶縁層4´は、第一の中間ダイ22と第二の中間ダイ23との間に配置された導管26を通る内側半導層3´の半径方向外側位置にて押出し成形される。外側半導層5´は、第二の中間ダイ23と雌型ダイ24との間に配置された導管27を通って絶縁層4´の半径方向外側位置にて押出し成形される。
【0072】
矢印Bは、押出し成形ヘッド20からのケーブルコアの排出方向を示す。
当該技術にて既知の従来の製造方法に従い、また、導体2が供給リール(図示せず)から巻き戻される間、図2に部分的に且つ、概略図的に示したように押出し成形ヘッド20が設けられ、内側半導層3´、絶縁層4´及び外側半導層5´の重合系組成物は、それぞれ別個に、例えば、導管25、26、27のそれぞれ上流に配置された別個のホッパを使用することにより、押出機(図示せず)の各々の入口に別個に供給される。
【0073】
上記重合系組成物の製造には、重合系基材をその他の成分(例えば、フィラー又は添加物)と予め混合するステップを必要とし、該予め混合するステップは、例えば、接線式ロータ型(バンベリー(Banbury))又は内部侵入型ロータの内部ミキサー又はコ−ニーダ(Ko−Kneader)型の連続的なミキサー(例えば、バス(Buss)が製造するもの)又は同一方向に回転し又は反対方向に回転する2つのスクリューを有する型の連続型ミキサーのような、押出し成形過程の上流の装置にて実行される。
【0074】
重合系組成物の各々は、全体として、粒状体の形態にて相応する押出機に供給され且つ可塑化される、すなわち、熱の入力を通じて(押出機の外側シリンダを介して)また、スクリューの機械的な作用を通じて溶融状態に変換され、該スクリューは重合系材料を加工し且つ、その材料を相応する押出し成形ダクト内にそのダクトの出口に向けて押し込んで所望の被覆層を形成する。
【0075】
図2に示した従来の押出し成形ヘッド20に従い、ケーブルコアの構成層(すなわち内側半導層3´、絶縁層4´及び外側半導層5´)を形成する異なる材料の流れは、互いに分離した状態に保たれ且つ、形成されるケーブルコアに別個に押出し成形される。
【0076】
詳細には、図2に明確に示すように、最初に、内側半導層3´は直接、ケーブル導体2に押出し成形され、その後、絶縁層4´が内側半導層3´に押出し成形され(後者は導体2と既に結合されている)、また、最後に、絶縁層4´が既に内側半導層3´と結合されているとき、外側半導層5´は絶縁層4´に押出し成形される。
【0077】
かかる特定の押出し成形順序は、図2に概略図的に且つ部分的に示したダイ組立体によって得ることができ、この図面に従い、第一の中間ダイ22は、雄型ダイ21よりも長い軸方向伸長距離を有し(導体の前進方向に沿って)、このため、内側半導性材料は、ケーブル導体2に直接、押出し成形される。
【0078】
詳細には、第一の中間ダイ22には、ケーブル導体2に対して同軸状に配置された伸長部分28が設けられており、該伸長部分は、内側導体層3´を導体2まで案内すると共に、該内側導体層を十分に長い距離、従って十分に長時間、導体に押し付けられた状態を維持し、均一で且つ均質な内側半導層の厚さが得られるようにする機能を果たす。
【0079】
図3は、本発明の製造方法にて使用される押出し成形ヘッド40の長手方向断面図の部分図であり、図2の構成要素と同様又は同一である図3の構成要素は、本明細書にて同一の参照番号で表示されている。
【0080】
本発明の製造方法に従い、内側半導層3は、接触点Dの上流に配置された位置Cにて絶縁層4と接触し、この接触点Dにおいて、ケーブル導体2及び内側半導層3は往復状態に接触する。
【0081】
詳細には、本発明の押出し成形ヘッド40において、第一の中間ダイ22は、雄型ダイ21の軸端部に対して後方に動き(導体の前進方向に沿って)、このため、内側半導性材料(これは、導管25に沿って押出し成形される)の環状流れ及び絶縁性材料(これは導管26に沿って押出し成形される)の環状流れは、ケーブル導体2の上に堆積される前に互いに接触する。このようにして、内側半導層は、該内側半導層が絶縁層と共に流れるとき、導体2と接触することが許容される。
【0082】
好ましくは、接触点C、すなわち内側半導性材料の環状流れの外面及び絶縁性材料の環状流れの内面が互いに接触する点は、接触点Dに対して軸方向距離xに、すなわち内側半導層が導体2と接触する点に配置されるようにする。
【0083】
好ましくは、上記距離xは導体の直径の0.5倍以上であるものとする。
本明細書にて、「軸方向距離」という語は、軸方向距離に沿って、すなわち導体の前進方向に沿って計算した距離であることを意図する。
【0084】
好ましくは、上記距離xは、導体の直径の約0.6倍ないし約10倍の範囲、より好ましくは、導体の直径の約1倍ないし約4倍の範囲にあるものとする。
好ましくは、接触点Cは、ケーブル導体の長手方向軸線Z−Zに対して導体の直径の1.5倍以上である直径Φに配置されるものとする。
【0085】
好ましくは、上記直径Φは、導体の直径の約1.8倍ないし約4倍、より好ましくは、導体の直径の約2倍ないし約3倍の範囲にあるものとする。
図4は、先行技術に従い、押出し成形ヘッド20内にてダイ21、22により形成された環状導管内を流れる内側半導層の材料の速度分布50及びせん断応力の分布60と共に、面x1により特定された特定の長手方向位置にて測定した、同一先行技術の押出し成形ヘッドにおけるダイ22、23により形成された環状導管内を流れる絶縁層の材料の速度分布50´及びせん断応力分布60´を示す、概略図的で且つ部分図である。
【0086】
当該技術にて既知であるように、せん断応力тは、1つの流体層が隣接する流体層の上を摺動するため上回らなければならない摩擦力である。所定の温度のとき、流体のせん断応力тは、せん断速度γと関係している(すなわちγ=dγ/dt)。
【0087】
せん断速度は、速度分布プロフィールの勾配である。
その最も簡単な型式にて、ニュートン流体に対し、この関係は次のようになる。
т=ηγ
ここでηは、検討した流体の動粘度である。
【0088】
検討中の材料に対する場合のように、非ニュートン流体のとき、算術的関係はより複雑な形態をとる。
т=f(T,γ)
全体として、押出し成形ヘッドの関連する環状導管を通って流れる流体材料の速度分布プロフィール50、50´は、流体の最高速度が流れのかさに相応して得られる、すなわち導管を画成する固定面から最も遠方の位置にて得られる一方、流体材料の速度は導管の外径に相応し、且つ導管の内径に相応して零となるようなものである、すなわち図4の速度分布プロフィール50に関して示したように、r=R´、r=R´´となるようなものである。
【0089】
かかる速度分布プロフィールに相応して、せん断応力の分布プロフィール60、60´となる。
図4に図示するように、せん断応力тは、流れのかさに相応して、すなわち環状導管を画成する固定面から最も遠方の位置にて零となる一方、せん断応力тは導管の外径に相応し、また、導管の内径に相応し(すなわちトレッド表面付近にて)その最大の絶対値となる。
【0090】
かかるせん断応力の分布プロフィールから、内側半導層3のような薄い厚さの層の場合、せん断応力は顕著に大きく、また、そのせん断応力は、導管の断面積が減少するのに伴い益々増大し、特に、環状導管は導体に向けて収斂するため、流れる材料が接触点Dに向けて動く間のこの流れる材料の速度は増大すると指摘することができる。
【0091】
この状況は、内側半導体材料が導体と接触し、その最終的な外径に到達する迄、同一である。
本発明に従った押出し成形ヘッド40において、図5に示すように、ダイ22の端部点Cの直前における位置x1にて、速度50´´、50´´´、せん断速度60´´、60´´´の分布プロフィールは、図4に関して説明したものと実質的に同一である。
【0092】
しかし、内側半導層及び絶縁層の流れが既に接触している点である端部点Cの直ぐ下流の位置x2において、状況は変化する。
実際上、内側ダイ(21)及び外側ダイ(23)との接触点付近における2つの材料の速度は、零に近く又は零に等しいままである一方、2つの流れる材料の間の境界面にて、2つの速度V1、V2は実質的に同一となる。
【0093】
その結果、速度が零からその最大値まで緩やかに変化することが許容されるとき、かかる速度変化は、内側半導層及び絶縁層の厚さの全体を通って生じ、相応するせん断速度はより小さい最大値に達し、また、特に、せん断速度は、2つの材料の境界面にて零に近くなる。
【0094】
流れが導体に向けて収斂することにより、流れに対する断面積が減少するため、全体的な流れ速度は増大するが、内側半導層及び絶縁層は共に流れるため、内側半導層が導体2と接触する迄、最大のせん断速度が維持される。
【0095】
好ましくは、内側半導層及び絶縁層の流れが接触する長手方向位置(すなわちダイの端部Cの位置)は、第一の中間ダイ22の半径方向内壁における内側半導層3のせん断応力と接触点Cに近接した、第一の中間ダイ22の半径方向外壁における絶縁層4のせん断応力との間の比が約0.5ないし4の範囲にあるものとする。
【0096】
本発明を更に説明するため、以下に幾つかの一例としての実施例を掲げる。
実施例1(本発明の場合)
図1に示した型式の単極中電圧ケーブルを製造した。
【0097】
本発明の目的のため、ケーブルコア(すなわち内側半導層3、絶縁層4及び外側半導層5)の製造のみを図3に示した押出し成形ヘッド40によって実行した。
ケーブル導体は、アルミニウムにて出来ており且つ、150mmの断面積を有する中実なロッドとした。導体の前進速度は約60m/分に設定した。
【0098】
本発明の製造方法を使用して、厚さ0.2mmの内側半導層(ポリエチレン共重合体HFDA−0801−ダウケミカルズ(Dow Chemical)の商品)、厚さ4.0mmの絶縁層(ボーリアリス(Borealis)が製造する商品名LE4201に基づく架橋結合したポリプロピレン)及び厚さ0.2mmの外側半導層(ポリエチレン共重合体HFDA−0801−ダウケミカルズの商品)を製造した。
【0099】
形態25D(すなわち軸長さがその直径の25倍)の90mmの押出機(イタリア、ブストアルシジオ(Busto Arsizio)(VA)のコンストルジオニ・メカニシェルイギ・バンデラ(Costruzioni Meccaniche Luigi Bandera)S.p.A.)及び形態30Dの160mmの単軸バンデラ押出機及び形態25Dの90mmのバンデラ押出機を使用して内側半導層、絶縁層及び外側半導層をそれぞれ堆積させた。
【0100】
接触点C、すなわち内側半導性材料の環状流れの外面及び絶縁性材料の環状流れの内面が互いに接触する点は、ケーブルの長手方向Z−Zに沿って接触点Dから測定して、導体の直径の0.69倍に等しい軸方向距離xに配置した。
【0101】
内側半導性材料の押出し成形出力は、33.5kg/時にて一定にする一方、絶縁性材料の押出し成形出力は、720kg/時にて一定にした。
接触点Cに相応する内側半導性材料の環状流れの内径(すなわち、点Eにおける雄型ダイ21の内径である。該点は、導体の軸線Z−Zに対して垂直な平面Y−Yと雄型ダイとを交差させ且つ、第一の中間ダイ22を点Cにて接触させることにより得られる)は25.2mmとした。
【0102】
内側半導性材料の環状流れの外径(すなわち点Cにおける第一の中間ダイ22の直径)は26.4mmとした。
接触点Cに相応する絶縁性材料の環状流れの内径は26.4mmとした。
【0103】
絶縁性材料の環状流れの外径(すなわち点Fにおける第二の中間ダイ23の外径である。上記点は、第二の中間ダイを面Y−Yと交差させることにより得られる)は36.8mmとした。
【0104】
内側半導性材料及び絶縁性材料の押出し成形温度は130℃にて一定とした。
内側半導性材料及び絶縁性材料の押出し成形出力、その押出し成形温度及びダイの幾何学的形態を一定にすることにより、第一の中間ダイの半径方向内壁における内側半導層のせん断応力と接触点Cに近接する第一の中間ダイの半径方向外壁における絶縁層のせん断応力との間の比(すなわち往復状に接触する前)は、押出し成形温度及びせん断速度の関数として、上記材料の動粘度(内径1mm、長さ20mmのキャピラリが設けられた型式のゴットフェルト試験用レオメータレオグラフ2001型を使用してキャピラリレオメトリック分析法によって測定)を考慮に入れて計算した。
【0105】
詳細には、表1、表2には、中間半導性材料及び絶縁性材料の押出し成形温度及びせん断速度のそれぞれ関数として動粘度が示されている。
表1
内側半導性材料
ダウケミカルズのHFDA−0801
せん断速度 動粘度 温度
(s−1) (Pas) (℃)
10 26130 110
50 10380 110
100 6545 110
1000 1114 110
2500 519 110
10 26370 120
50 9404 120
100 5886 120
1000 1038 120
2500 482 120
10 24660 130
50 8867 130
100 5568 130
1000 1003 130
2500 469 130
表2
絶縁性材料
ボーリアリスのLE 4201
せん断速度 動粘度 温度
(s−1) (Pas) (℃)
10 8222 120
50 2377 120
100 1498 120
1000 340 120
2500 167 120
10 7327 130
50 2051 130
100 1278 130
1000 277 130
2500 2500 130
内側半導層のせん断応力と絶縁層のせん断応力との比は3.7であった。
【0106】
ケーブルコアの構成要素について光学的検査を実行し(例えば、走査電子顕微鏡により)、このことは、内側半導層及び絶縁層の均質で且つ均一な厚さ(半径方向及び長手方向に向けた)及びその境界面に裂け目又は欠陥が存在しないことを確認した。
【0107】
実施例2(本発明の場合)
図1に示し且つ実施例1にて説明した型式の単極中電圧ケーブルを製造した。
本発明の目的のため、ケーブルコア(すなわち内側半導層3、絶縁層4及び外側半導層5)の製造のみを図3に示した押出し成形ヘッド40によって実行した。
【0108】
ケーブル導体は、アルミニウムにて出来ており且つ、150mmの断面積を有する中実なロッドとした。導体の前進速度は約58m/分に設定した。
本発明の製造方法を使用して厚さ0.2mmの内側半導層(表3に示した半導性材料にて出来ている)及び厚さ2.6mmの絶縁層(表3に示した絶縁性材料にて出来ている)及び厚さ0.2mmの外側半導層(表3に示した半導性材料にて出来ている)を製造した。
【0109】
表3
内側及び外側 絶縁層
半導層
(重量%) (重量%)
アドフレックス(Adflex) 60.4 −
(登録商標名)Q200F
ハイファックス(Hifax) − 47
(登録商標名)CA7320A
モプレン(Moplen) − 47
(登録商標名)RP210G
エンサコ(Ensaco) 33 −
(登録商標名)250G
ジャリーレック(Jarylec) 6 5.4
(登録商標名)Exp3
イルガノックス(Irganox) 0.4 0.4
(登録商標名)PS802
イルガノックス 0.2 0.2
(登録商標名)1010
アドフレックス(Adflex)(登録商標名)Q200F:融点165℃溶融エンタルピー30J/g、MFI0.8dg/分及び曲げ弾性率150MPaを有するプロピレンヘテロ相共重合体(ベーゼル(Basell)の商品);
ハイファックス(Hifax)(登録商標名)CA7320A:高ゴム含有率の熱可塑性ポリオレフィン(ベーゼルの商品);
モプレン(Moplen)(登録商標名)RP210G:ポリプロピレンランダム共重合体(ベーゼルの商品);
エンサコ(Ensaco)(登録商標名)250G:ファーネス炭素黒(エラケムヨーロッパ(Erachem Europe)の商品);
ジャリーレック(Jarylec)(登録商標名)Exp3(エルフアトケム(Elf Atochem)の商品):ジベンジルトルエン(DBT);
イルガノックス(Irganox)(登録商標名)PS802(酸化防止剤):チオジプロピオン酸ジステアリル(チバスペシャリティケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)の商品);
イルガノックス(登録商標名)1010(酸化防止剤):ペンタエリスリチル(pentaerithrityl)−テトラキス−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)−プロピオン酸(チバスペシャリティケミカルズの商品)。
【0110】
形態25Dの90mmのバンデラ押出機、形態30Dの160mmの単軸バンデラ押出機及び形態25Dの90mmのバンデラ押出機を使用して内側半導層、絶縁層及び外側半導層をそれぞれ堆積させた。
【0111】
接触点C、すなわち内側半導性材料の環状流れの外面及び絶縁性材料の環状流れの内面が互いに接触する点は、接触点Dから導体の直径の0.69倍に等しい軸方向距離xに配置した。
【0112】
内側半導性材料の押出し成形生産量は、32.6kg/時にて一定にする一方、絶縁性材料の押出し成形生産量は、450kg/時にて一定にした。
接触点Cに相応する内側半導性材料の環状流れの内径は25.2mmとした。
【0113】
内側半導性材料の環状流れの外径は26.4mmとした。
接触点Cに相応する絶縁性材料の環状流れの内径は26.4mmとした。
絶縁性材料の環状流れの外径は36.8mmとした。
【0114】
内側半導性材料及び絶縁性材料の押出し成形温度は230℃に設定した。
内側半導性材料及び絶縁性材料の押出し成形出力、その押出し成形温度及びダイの幾何学的形態を一定にすることにより、第一の中間ダイの半径方向内壁における内側半導層のせん断応力と接触点Cに近接する第一の中間ダイの半径方向外壁における絶縁層のせん断応力との間の比(すなわち往復状に接触する前)は、押出し成形温度及びせん断速度の関数として、上記材料の動粘度(内径1mm及び長さ20mmのキャピラリが設けられた型式のゴットフェルト実験用レオメータレオグラフ2001を使用してキャピラリレオメトリック分析法によって測定)を考慮に入れることにより計算した。
【0115】
詳細には、表4、5には、押出し成形温度と、内側半導性材料及び絶縁性材料のせん断速度のそれぞれ関数として、動粘度が示されている。
表4
内側半導性材料
(表3に示したように)
せん断速度 動粘度 温度
(s−1) (Pas) (℃)
10 6106 180
50 2735 180
100 1758 180
1000 329 180
2500 167 180
10 5866 200
50 2629 200
100 1604 200
1000 − 200
2500 − 200
表5
絶縁性材料
(表3に示したように)
せん断速度 動粘度 温度
(s−1) (Pas) (℃)
10 6024 170
50 2328 170
100 1555 170
1000 336 170
2500 224 170
10 4640 190
50 1954 190
100 1335 190
1000 267 190
2500 132 190
10 210
50 3582 210
100 1628 210
1000 234 210
2500 117 210
内側半導層のせん断応力と絶縁層のせん断応力との比は3.0に等しくした。
【0116】
ケーブルコアの構成要素にて光学的検査を実行し(例えば、走査型電子顕微鏡により)、この検査は、内側半導層及び絶縁層の均質で且つ均一な厚さ(半径方向及び長手方向への)を確認し、また、その境界面に裂け目又は欠点が存在しないことを確認した。
【0117】
実施例3(本発明の場合)
実験例2と同様のケーブルを製造し、その唯一の相違点は、内側半導性材料の押出し成形生産量は33.5kg/時にて一定にし、絶縁性材料の押出し成形生産量は720kg/時にて一定にした点である。
【0118】
内側半導層のせん断応力と絶縁層のせん断応力との間の比は2.6に等しくした。
実施例1、2にて説明したように実行した光学的検査の結果、内側半導層及び絶縁層の厚さが均質で且つ均一であり(半径方向及び長手方向)、また、その境界面に裂け目又は欠点が存在しないことが分かった。
【0119】
実施例4(本発明の場合)
実験例2のケーブルと同様のケーブルを製造し、その唯一の相違点は、1)内側半導層の押出し成形生産量は23.9kg/時にて一定にし、2)絶縁性材料の押出し成形生産量は、720kg/時にて一定にし、3)導体の前進速度を約43m/分に設定し、4)絶縁層の厚さを約5.5mmにした点である。
【0120】
内側半導層のせん断応力と絶縁層のせん断応力との間の比は2.4に等しくした。
実施例1、2にて説明したように実行した光学的検査の結果、内側半導層及び絶縁層の厚さが均質で且つ均一であり(半径方向及び長手方向)、また、その境界面に裂け目又は欠点が存在しないことが分かった。
【0121】
実施例5(比較例)
図1に示し且つ実施例2にて説明した型式の単極の中電圧ケーブルを製造した。
ケーブル導体は、アルミニウムにて出来ており且つ、150mmの断面積を有する中実なロッドとした。導体の前進速度は約58m/分に設定した。
【0122】
本発明の製造方法を使用することにより、厚さ0.2mmの内側半導層(ポリエチレン共重合体HFDA−0801−ダウケミカルズの商品)、厚さ2.6mmの絶縁層(ボーリアリスが製造するLE4201という商品名に基づく架橋結合したポリプロピレン)及び厚さ0.2mmの外側半導層(ポリエチレン共重合体HFDA−0801−ダウケミカルズの商品)を製造した。
【0123】
形態25Dの90mmのバンデラ押出機、形態30Dの160mmの単軸バンデラ押出機、形態25Dの90mmのバンデラ押出機を使用して内側半導層、絶縁層及び外側半導層をそれぞれ堆積させた。
【0124】
接触点C、すなわち内側半導性材料の環状流れの外面及び絶縁性材料の環状流れの内面が互いに接触する点は、接触点Dから導体の直径の0.24倍に等しい軸方向距離xに配置した。
【0125】
内側半導性材料の押出し成形生産量は、32.6kg/時にて一定にする一方、絶縁性材料の押出し成形生産量は450kg/時にて一定にした。
接触点Cに相応する内側半導性材料の環状流れの内径は18.0mmとした。
【0126】
内側半導性材料の環状流れの外径は18.5mmとした。
接触点Cに相応する絶縁性材料の環状流れの内径は18.5mmとした。
絶縁性材料の環状流れの外径は33.0mmとした。
【0127】
内側半導性材料及び絶縁性材料の押出し成形温度は130℃に設定した。
内側半導性材料及び絶縁性材料の押出し成形出力、その押出し成形温度及びダイの幾何学的形態を一定にすることにより、第一の中間ダイの半径方向内壁における内側半導層のせん断応力と接触点C付近の第一の中間ダイの半径方向外壁における絶縁層のせん断応力との間の比(すなわち往復状に接触する前)は、押出し成形温度及びせん断速度の関数として、上記材料の動粘度(内径1mm及び長さ20mmのキャピラリが設けられた型式のゴットフェルト試験用レオメータレオグラフ2001型を使用してキャピラリレオメトリック分析法によって測定)を考慮することにより計算した。
【0128】
詳細には、表1及び表2には、内側半導性材料及び絶縁性材料に対する押出し成形温度及びせん断速度のそれぞれ関数として、動粘度が示されている。
内側半導層のせん断応力と絶縁層のせん断応力との比は10.1に等しくした。
【0129】
ケーブルコアの構成要素にて光学的検査を実行し(例えば、走査型電子顕微鏡により)、また、内側半導層及び絶縁層の内部貫入(すなわち上記層の非均質で且つ非均一な厚さ)及び上記層の境界面の一部分にて内側半導層の裂け目が検出された。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】本発明の製造方法により得られた電気ケーブルの斜視図である。
【図2】単極電気ケーブルを製造する従来の方法に従った押出し成形ヘッドの長手方向部分断面図である。
【図3】本発明の製造方法に従った押出し成形ヘッドの長手方向部分断面図である。
【図4】環状導管を通って流れるニュートン流体の速度分布及びせん断応力の分布状態の概略部分図である。
【図5】環状導管を通って流れる非ニュートン流体の速度分布及びせん断応力の分布状態の概略部分図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体(2)と、
前記導体を取り囲み且つ0.4mm以下の厚さを有する内側半導層(3)と、
前記内側半導層を取り囲む絶縁層(4)と、を備えるケーブル(1)の製造方法において、
内側半導層を押出し成形する第一の押出し成形通路(25)と、絶縁層を押出し成形する第二の押出し成形通路(26)とを備える押出し成形ヘッド(40)に対し導体(2)を所定の供給速度にて供給し、前記第一の押出し成形通路及び前記第二の押出し成形通路は第一の押出し成形ダイ(22)によって互いに分離されるようにするステップと、
内側半導層及び絶縁層を共押出し成形するステップとを備え、前記共押出し成形するステップは、
内側半導性材料の第一の環状流れと、絶縁性材料の第二の環状流れとを提供するステップと、
前記第一の環状流れの内面が導体と接触する接触点(D)から軸方向距離(x)にて前記第一の環状流れの外面を前記第二の環状流れの内面に接触させるステップと、
内側半導性材料及び絶縁性材料の動粘度(η)の関数として、前記所定の供給速度及び前記接触点(D)を組み合わせて選び、前記第一の押出し成形ダイの半径方向内壁における内側半導層せん断応力と前記接触点に近接する前記第一の押出し成形ダイの半径方向外壁における絶縁層のせん断応力との間の比が約0.5ないし4の範囲にあるようにするステップと、
絶縁層及び内側半導層を導体に圧縮押出し成形するステップと、を備えるケーブルの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記軸方向距離(x)は導体の直径の0.5倍以上である、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、前記軸方向距離(x)は、導体の直径の約0.6倍ないし約10倍の範囲にある、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、前記軸方向距離(x)は、導体の直径の約1倍ないし約4倍の範囲にある、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、前記比は、約0.7ないし約3.0の範囲にある、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、前記比は約1である、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、内側半導性材料の環状流れの外面及び絶縁性材料の環状流れの内面の接触点(C)は、導体(2)の直径の1.5倍以上である直径(Φ)に配置される、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、前記直径(Φ)は、導体(2)の直径の約1.8倍ないし約4.0倍の範囲にある、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、前記直径(Φ)は、導体(2)の直径の約2.0倍ないし約3.0倍の範囲にある、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、内側半導層(3)の厚さは、約0.1mmないし約0.4mmの範囲にある、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、前記厚さは、約0.2mmないし約0.3mmの範囲にある、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、導体(2)は中実なロッドである、方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法において、ケーブルコアを得るため、前記絶縁層(4)を取り囲む外側半導層(5)を提供するステップを更に備える、方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法において、ケーブルコアを冷却するステップを更に備える、方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法において、ケーブルコアを乾燥させるステップを更に備える、方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法において、ケーブルコアの回りに金属遮蔽体(6)を提供するステップを更に備える、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、衝撃保護要素(7)を金属遮蔽体(6)の回りに取り付けるステップを備える、方法。
【請求項18】
請求項16に記載の方法において、オーバシース(10)を金属遮蔽体(6)の回りに取り付けるステップを更に備える、方法。
【請求項19】
請求項1に記載の方法において、前記所定の供給速度は約30ないし約100m/分の範囲にある、方法。
【請求項20】
請求項1に記載の方法において、絶縁層(4)の厚さは2.5mm以下である、方法。
【請求項21】
請求項1に記載の方法において、内側半導層(3)は熱可塑性材料にて出来ている、方法。
【請求項22】
請求項1に記載の方法において、絶縁層(4)は熱可塑性材料にて出来ている、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−521182(P2008−521182A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−541698(P2007−541698)
【出願日】平成16年11月23日(2004.11.23)
【国際出願番号】PCT/EP2004/013289
【国際公開番号】WO2006/056218
【国際公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(506006153)プリスミアン・カビ・エ・システミ・エネルジア・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ (10)
【Fターム(参考)】