ケーブルダクトの敷設構造
【課題】施工作業が迅速に行えると共に、施工作業コストを安価にすることの出来るケーブルトラフの施工構造を提供する。
【解決手段】ケーブルダクトの一方側側壁部として利用するトンネル、道路あるいは線路の側壁と、底壁部及び該底壁部の幅方向一端から略垂直に立ち上がる他方側側壁部とにより断面略Ｌ字状をなすケーブルダクト本体と、を有し、
ケーブルダクト本体は、プレキャストコンクリート製品で形成し、他方側側壁部内側と対向する側壁の一方側側壁部内側にはダクト蓋載置用段つき部が各々形成された、
ことを特徴とする。
【解決手段】ケーブルダクトの一方側側壁部として利用するトンネル、道路あるいは線路の側壁と、底壁部及び該底壁部の幅方向一端から略垂直に立ち上がる他方側側壁部とにより断面略Ｌ字状をなすケーブルダクト本体と、を有し、
ケーブルダクト本体は、プレキャストコンクリート製品で形成し、他方側側壁部内側と対向する側壁の一方側側壁部内側にはダクト蓋載置用段つき部が各々形成された、
ことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、例えば道路、トンネル、高架型高速道路あるいは高架橋型鉄道用線路などの路面幅方向端部において側壁や高欄を利用して施工するケーブルダクトの敷設構造に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、例えば道路、トンネル内、高架型高速道路あるいは高架型鉄道用線路の路面幅方向端部に各種の配線ケーブルを収納するケーブルダクトが設けられ、かつ当該ケーブルダクトの施工に際しては数多くの提案がなされている。
例えば特開平６−２８４５４３号公報にはトラフ受け台の形状・寸法を変えることなく幅の異なるトラフを敷設できる配線路が提案されている等のごときである。
【特許文献１】特開平６−２８４５４３号公開公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
かくして、本発明は、前記従来からの各種提案にさらに思考、改良を加えて創案されたものであって、施工作業が迅速に行えると共に、施工作業コストを安価にすることの出来るケーブルダクトの敷設構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００４】
本発明によれば、線路部の脇に設けられた高欄を側壁に兼用すると共に、該高欄に蓋係止部を形成してなり、
前記高欄との対向面側に間隔をあけて断面略Ｌ字状をなすあらかじめ製造されたダクト本体部品を敷設し、
前記蓋係止部が形成された高欄及び前記ダクト本体部品とにより略凹状をなすダクト本体を形成してなり、
該ダクト本体部品の立ち上がり片上端には前記高欄に設けられた蓋係止部と略同等の高さ位置に略同等の形状に形成された蓋係止部を設け、
前記双方の蓋係止部間には、あらかじめ製造されたダクト用の蓋が嵌合して取り付け可能とされた、
ことを特徴とし、
または、
線路の脇に設けられた高欄を側壁に兼用すると共に、該高欄に蓋係止部を形成してなり、
前記高欄との対向面側に間隔をあけて断面略Ｌ字状をなすあらかじめ製造されたダクト本体部品を敷設し、
該ダクト本体部品の立ち上がり片上端面には前記高欄に設けられた蓋係止部と略同等の高さ位置に蓋載置部を設けてなり、
前記双方の蓋載置部及び蓋係止部間には、あらかじめ製造されたダクト用の蓋が載置された、
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【０００５】
本発明によれば、施工作業が迅速に行えると共に、施工作業コストを安価にしうるケーブルダクトの施工構造を提供出来るとの効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００６】
以下本発明を図に示す実施例に基づいて説明する。
図１に本発明によるケーブルダクトの敷設構造を示す。
図１において、符号１は高架型鉄道用線路を示し、該高架型鉄道用線路１の幅方向両端部には各種複数のケーブル２・・・が収納されたケーブルダクト３が前記高架型鉄道用線路１の長手方向に向かって敷設される。
なお、本発明において、高架型の鉄道線路の使用に限定されるものではなく、一般道路などの交通路に使用しても構わない。
符号４は鉄道用線路１の高欄であり、該鉄道用線路１の長手方向に向かって側壁状に設置されている。
【０００７】
ここで、前記高欄４は、線路幅方向両端部から、あるいは一方側の端部から上方に向かい立ち上がって形成され、かつ線路の長手方向に向かって長尺に連続して設けられている。
しかして、本発明では、ケーブルダクト３の施工に際し、前記高欄４などをケーブルダクト３の一方側の側壁として利用するものとした。
次いで、符号５は、底壁部６及び該底壁部６の幅方向一端から略垂直に立ち上り形成される立ち上がり片７とにより断面略Ｌ字状をなして形成されたケーブルダクト本体部品を示す。
【０００８】
ここで、前記ケーブルダクト本体部品５及び前記ケーブルダクト本体部品５と前記高欄４間に載置されるダクト蓋８はあらかじめ工場でプレキャストコンクリート製品として形成される。
このように、ケーブルダクト３を形成するために大部分の時間が費やされる前記ケーブルダクト本体５及び前記ダクト蓋８をあらかじめプレキャストコンクリート製品としておく。
【０００９】
これにより、このプレキャスト製品化した前記ケーブルダクト本体部品５及び前記ダクト蓋８を製造して製造工場に大量にストックしておき、その後必要に応じて大量に施工現場（高架型鉄道用線路１内）へ運搬し、迅速に施工使用できるものとなる。
すなわち、施工現場では、これら前記ケーブルダクト本体部品５及び前記ダクト蓋８を線路長手方向に順次接続してケーブルダクト３を敷設するのみで済み、大幅に施工時間が短縮でき、施工コストも安価にすることが出来る。しかも従来の現場打ちの施工に比して大幅に品質も向上させることが出来るとのメリットがある。
【００１０】
ここで、図３乃至図５から理解される様に、前記ケーブルダクト本体部品５は前記底壁部６の幅あるいは長さが異なる各種タイプ別で製造、ストックしてある。
例えば、ケーブルダクト３内に収納される各種の配線ケーブル２の数量、径の大きさあるいは施工される現場の状況等に対応して、最適な底面幅の底壁部６を有するケーブルダクト本体部品５が選ばれ、敷設される。
【００１１】
なお、前記底壁部６の底面幅は限定されるものではないが、一般に数規格に規格化されているので前記規格内の数値に設定される。
【００１２】
さらに、前記ケーブルダクト本体部品５は前記底壁部６の長手方向の底面長が異なる各種タイプ別でも製造されて、ストックされている。
例えば、施工現場において、ケーブルダクト３を前記高架型鉄道用線路１の長手方向に向かって敷設する際、線路直線方向においては、前記底壁部６の底面長が長尺なタイプのケーブルダクト本体部品５が選ばれ、敷設される。
なお、前記底壁部の底面長さも限定されてはいない。
【００１３】
同様に、前記ダクト蓋８についても、前記ケーブルダクト本体部品５の各種タイプに対応した幅及び、長さのものが各種タイプ別で製造、ストックされる。
【００１４】
ここで、図から理解されるように、前記ケーブルダクト本体部品５の底壁部６には、線路の路面上に打設されるモルタル１６および固定用モルタル１４と一体化させる連結アンカー１５の施工用穴９が設けられていると共に、長手方向略中央には吊り上げ運搬用の吊り上げナット穴１０が設けられている。
【００１５】
この連結アンカー１５の施工用穴９及び吊り上げ運搬用の吊り上げナット穴１０の形成個数については何ら制限されるものではなく、それぞれ２個以上の複数個設けても構わないものである。
図３に示す具体例、すなわち長さが比較的長いタイプのものでは、連結アンカー１５の施工用穴９は底壁部６の長手方向端部側に１個ずつ、また吊り上げナット穴１０は１個の合計３個形成してある。また、図５に示す長さも短く、また幅も短いタイプのものは中央部分にそれぞれ１個ずつの穴９，１０が設けられている。
【００１６】
ところで、断面略L字状をなすケーブルダクト本体部品５における前記立ち上がり片７の上端部上面は略水平に形成され、該立ち上がり片７上端部上面に前記ダクト蓋８の底面一端部が密接して載置可能なよう蓋載置部１１が形成されている。
なお、前記ケーブルダクト本体部品５における前記立ち上がり片７の上端部は図４，図５から理解されるように、前記立ち上がり片７の上方外側面から、上端部方向に向かい、外側に上り勾配状の傾斜面を有して膨出してなり、該傾斜面の上端部からさらに前記上端部方向に垂直壁を構成し、前記立ち上がり片７の上端面の幅が厚みを有するように、膨出して形成されている。そして、前記立ち上がり片７の上端部外側面側からフラットな上端面を形成し、かつ立ち上がり片７の上端部内側面から垂下した形状として蓋載置部１１が形成されるものとなる。
【００１７】
このように、フラット面として構成された蓋載置部１１に底面が密接して載置されるダクト蓋８を安定的に支持できるよう側壁部上端部の幅に厚みを有して構成されているのである。
【００１８】
また、図３、図６から理解されるように前記ケーブルダクト本体部品５における前記立ち上がり片７の上端部は前記立ち上がり片７の上端部内側面から、上端面方向に外側に上り勾配状の傾斜面を有し、該傾斜面の上端部からさらに前記上面方向に垂直壁を構成し、その垂直壁の上部に、図３から理解されるように、外側方向に向かい断面略Ｌ字状に切欠いて形成された蓋係止部１２が設けられている。
【００１９】
ここで、線路部の脇に設けられた高欄４の下側一部をケーブルダクト３の一方側の側壁に兼用してあると共に、該高欄４にも前記ケーブルダクト本体部品５の立ち上がり片７上端部に形成された蓋係止部１２と同等位置に、そして同等形状の蓋係止部１３が形成されている。
よって、前記双方の蓋係止部１２，１３間に、あらかじめ製造されたケーブルダクト３用のダクト蓋８が嵌合して、強固に取り付けられるのである。
【００２０】
なお、線路などの前記高欄４やケーブルダクト形成用側壁の内側において、前記蓋係止部１３があらかじめ設けられていることもあるが、このようなダクト蓋８載置用の蓋係止部１３があらかじめ設けられていないときは、施工現場において新たに前記高欄４や前記側壁の内側にダクト蓋８載置用の前記蓋係止部１３を形成する必要がある。
【００２１】
しかし、この形成作業は決して困難なものではなく、例えばプレキャストコンクリート製の長尺角棒状部材を線路などの高欄４あるいは側壁の内側の所定高さ位置に水平方向へ延出させて取り付ければよいのである。
【００２２】
このような取り付け作業により、固定した角棒状部材の上面と、線路などの高欄４あるいは側壁の内側面とによりダクト蓋載置用の前記蓋係止部１３が容易に形成できることとなる。
【００２３】
そして、この断面略Ｌ字状に凹んで形成された前記蓋係止部１３と、ケーブルダクト本体部品５において、前記立ち上がり片７の上面の前記蓋載置部１１間にダクト蓋８が密着して載置される。
あるいは、前記蓋係止部１３と、ケーブルダクト本体部品５の前記立ち上がり片７の上面に設けられた前記蓋係止部１２間にダクト蓋８が嵌合される。
【００２４】
ここで、立ち上がり片５側の蓋載置部１１及び前記蓋係止部１２は高欄４側の蓋係止部１３と略同等の高さ位置に、特に蓋係止部１２、１３については、略同等の形状をなして形成される。
これにより載置、嵌合される前記ダクト蓋８は略水平かつ安定を保ち載置、嵌合されるものとなる。
【００２５】
次に、本発明によるケーブルダクト３の施工につき説明する。
まず、鉄道の線路の路面幅方向端部に図６に示すようにモルタル１６を打設する。
ついで、断面略L字状のケーブルダクト本体部品５を前記鉄道の線路の路面幅方向端部に敷設する。この際、上記で示したとおり、敷設現場において、最適な底面幅の底壁部６を有する、かつ最適な底面長の底壁部６を有するタイプのケーブルダクト本体部品５を選択すべく、あらかじめ製造、ストックされたケーブルダクト本体部品５の中から選び、敷設する。
【００２６】
ここで、ケーブルダクト本体部品５の吊り上げ運搬作業及び敷設作業は、前記した吊り上げナット穴１０が利用される。
すなわち、ケーブルダクト本体部品５を構成する立ち上がり片７の長手方向両上端部を所定の把持部材で把持すると共に、前記の吊り上げナット穴１０にボルト状吊り上げ棒を螺合し、いわゆる３点吊りの状態等にして吊り上げ、かつ運搬し、所定位置に載置するのである。
【００２７】
ところで、ケーブルダクト本体部品５の敷設箇所には、あらかじめ棒状の連結アンカー１５が突設されて仮設されている。よって、吊り上げられているケーブルダクト本体部品５の前記連結アンカー１５の施工用穴９に突設された前記連結アンカー１５が遊嵌するように降下させれば、簡単に位置決めできて所定箇所にケーブルダクト本体部品５を敷設できるものとなる。これによりケーブルダクト本体５の迅速、確実な敷設が確保できるとの効果が得られる。
【００２８】
しかして、前記ケーブルダクト本体部品５の敷設により、鉄道の線路の路面幅方向端部には、高欄４や側壁の内側側壁と断面略Ｌ字状をなすケーブルダクト本体部品５とにより断面略凹状をなすケーブルダクト３における収納庫が形成できる。
【００２９】
なお、連結アンカー１５の施工用穴９からは例えば固定用モルタル１４をケーブルダクト本体部品５の底面側に打設して、ケーブルダクト本体部品５を前記固定用モルタル１４に固定するものとする。
かかる敷設作業を、路面の長手方向に向かってケーブルダクト本体部品５を繋げながら行う。
【００３０】
そして、最終的には、ケーブルダクト３内に各種のケーブル２を収納した後、ケーブルダクト蓋８を上方から載置してケーブルダクトの施工終了となる。
【図面の簡単な説明】
【００３１】
【図１】本発明の構成を説明する構成説明図（その１）である。
【図２】本発明の構成を説明する構成説明図（その２）である。
【図３】本発明の構成を説明する構成説明図（その３）である。
【図４】本発明の構成を説明する構成説明図（その４）である。
【図５】本発明の構成を説明する構成説明図（その５）である。
【図６】本発明の構成を説明する構成説明図（その６）である。
【符号の説明】
【００３２】
１ 鉄道用線路
２ ケーブル
３ ケーブルダクト
４ 高欄
５ ケーブルダクト本体部品
６ 底壁部
７ 立ち上がり片
８ ダクト蓋
９ 連結アンカーの施工用穴
１０ 吊り上げナット穴
１１ 蓋載置部
１２ 蓋係止部
１３ 蓋係止部
１４ 固定用モルタル
１５ 連結アンカー
１６ モルタル
【技術分野】
【０００１】
本発明は、例えば道路、トンネル、高架型高速道路あるいは高架橋型鉄道用線路などの路面幅方向端部において側壁や高欄を利用して施工するケーブルダクトの敷設構造に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、例えば道路、トンネル内、高架型高速道路あるいは高架型鉄道用線路の路面幅方向端部に各種の配線ケーブルを収納するケーブルダクトが設けられ、かつ当該ケーブルダクトの施工に際しては数多くの提案がなされている。
例えば特開平６−２８４５４３号公報にはトラフ受け台の形状・寸法を変えることなく幅の異なるトラフを敷設できる配線路が提案されている等のごときである。
【特許文献１】特開平６−２８４５４３号公開公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
かくして、本発明は、前記従来からの各種提案にさらに思考、改良を加えて創案されたものであって、施工作業が迅速に行えると共に、施工作業コストを安価にすることの出来るケーブルダクトの敷設構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００４】
本発明によれば、線路部の脇に設けられた高欄を側壁に兼用すると共に、該高欄に蓋係止部を形成してなり、
前記高欄との対向面側に間隔をあけて断面略Ｌ字状をなすあらかじめ製造されたダクト本体部品を敷設し、
前記蓋係止部が形成された高欄及び前記ダクト本体部品とにより略凹状をなすダクト本体を形成してなり、
該ダクト本体部品の立ち上がり片上端には前記高欄に設けられた蓋係止部と略同等の高さ位置に略同等の形状に形成された蓋係止部を設け、
前記双方の蓋係止部間には、あらかじめ製造されたダクト用の蓋が嵌合して取り付け可能とされた、
ことを特徴とし、
または、
線路の脇に設けられた高欄を側壁に兼用すると共に、該高欄に蓋係止部を形成してなり、
前記高欄との対向面側に間隔をあけて断面略Ｌ字状をなすあらかじめ製造されたダクト本体部品を敷設し、
該ダクト本体部品の立ち上がり片上端面には前記高欄に設けられた蓋係止部と略同等の高さ位置に蓋載置部を設けてなり、
前記双方の蓋載置部及び蓋係止部間には、あらかじめ製造されたダクト用の蓋が載置された、
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【０００５】
本発明によれば、施工作業が迅速に行えると共に、施工作業コストを安価にしうるケーブルダクトの施工構造を提供出来るとの効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００６】
以下本発明を図に示す実施例に基づいて説明する。
図１に本発明によるケーブルダクトの敷設構造を示す。
図１において、符号１は高架型鉄道用線路を示し、該高架型鉄道用線路１の幅方向両端部には各種複数のケーブル２・・・が収納されたケーブルダクト３が前記高架型鉄道用線路１の長手方向に向かって敷設される。
なお、本発明において、高架型の鉄道線路の使用に限定されるものではなく、一般道路などの交通路に使用しても構わない。
符号４は鉄道用線路１の高欄であり、該鉄道用線路１の長手方向に向かって側壁状に設置されている。
【０００７】
ここで、前記高欄４は、線路幅方向両端部から、あるいは一方側の端部から上方に向かい立ち上がって形成され、かつ線路の長手方向に向かって長尺に連続して設けられている。
しかして、本発明では、ケーブルダクト３の施工に際し、前記高欄４などをケーブルダクト３の一方側の側壁として利用するものとした。
次いで、符号５は、底壁部６及び該底壁部６の幅方向一端から略垂直に立ち上り形成される立ち上がり片７とにより断面略Ｌ字状をなして形成されたケーブルダクト本体部品を示す。
【０００８】
ここで、前記ケーブルダクト本体部品５及び前記ケーブルダクト本体部品５と前記高欄４間に載置されるダクト蓋８はあらかじめ工場でプレキャストコンクリート製品として形成される。
このように、ケーブルダクト３を形成するために大部分の時間が費やされる前記ケーブルダクト本体５及び前記ダクト蓋８をあらかじめプレキャストコンクリート製品としておく。
【０００９】
これにより、このプレキャスト製品化した前記ケーブルダクト本体部品５及び前記ダクト蓋８を製造して製造工場に大量にストックしておき、その後必要に応じて大量に施工現場（高架型鉄道用線路１内）へ運搬し、迅速に施工使用できるものとなる。
すなわち、施工現場では、これら前記ケーブルダクト本体部品５及び前記ダクト蓋８を線路長手方向に順次接続してケーブルダクト３を敷設するのみで済み、大幅に施工時間が短縮でき、施工コストも安価にすることが出来る。しかも従来の現場打ちの施工に比して大幅に品質も向上させることが出来るとのメリットがある。
【００１０】
ここで、図３乃至図５から理解される様に、前記ケーブルダクト本体部品５は前記底壁部６の幅あるいは長さが異なる各種タイプ別で製造、ストックしてある。
例えば、ケーブルダクト３内に収納される各種の配線ケーブル２の数量、径の大きさあるいは施工される現場の状況等に対応して、最適な底面幅の底壁部６を有するケーブルダクト本体部品５が選ばれ、敷設される。
【００１１】
なお、前記底壁部６の底面幅は限定されるものではないが、一般に数規格に規格化されているので前記規格内の数値に設定される。
【００１２】
さらに、前記ケーブルダクト本体部品５は前記底壁部６の長手方向の底面長が異なる各種タイプ別でも製造されて、ストックされている。
例えば、施工現場において、ケーブルダクト３を前記高架型鉄道用線路１の長手方向に向かって敷設する際、線路直線方向においては、前記底壁部６の底面長が長尺なタイプのケーブルダクト本体部品５が選ばれ、敷設される。
なお、前記底壁部の底面長さも限定されてはいない。
【００１３】
同様に、前記ダクト蓋８についても、前記ケーブルダクト本体部品５の各種タイプに対応した幅及び、長さのものが各種タイプ別で製造、ストックされる。
【００１４】
ここで、図から理解されるように、前記ケーブルダクト本体部品５の底壁部６には、線路の路面上に打設されるモルタル１６および固定用モルタル１４と一体化させる連結アンカー１５の施工用穴９が設けられていると共に、長手方向略中央には吊り上げ運搬用の吊り上げナット穴１０が設けられている。
【００１５】
この連結アンカー１５の施工用穴９及び吊り上げ運搬用の吊り上げナット穴１０の形成個数については何ら制限されるものではなく、それぞれ２個以上の複数個設けても構わないものである。
図３に示す具体例、すなわち長さが比較的長いタイプのものでは、連結アンカー１５の施工用穴９は底壁部６の長手方向端部側に１個ずつ、また吊り上げナット穴１０は１個の合計３個形成してある。また、図５に示す長さも短く、また幅も短いタイプのものは中央部分にそれぞれ１個ずつの穴９，１０が設けられている。
【００１６】
ところで、断面略L字状をなすケーブルダクト本体部品５における前記立ち上がり片７の上端部上面は略水平に形成され、該立ち上がり片７上端部上面に前記ダクト蓋８の底面一端部が密接して載置可能なよう蓋載置部１１が形成されている。
なお、前記ケーブルダクト本体部品５における前記立ち上がり片７の上端部は図４，図５から理解されるように、前記立ち上がり片７の上方外側面から、上端部方向に向かい、外側に上り勾配状の傾斜面を有して膨出してなり、該傾斜面の上端部からさらに前記上端部方向に垂直壁を構成し、前記立ち上がり片７の上端面の幅が厚みを有するように、膨出して形成されている。そして、前記立ち上がり片７の上端部外側面側からフラットな上端面を形成し、かつ立ち上がり片７の上端部内側面から垂下した形状として蓋載置部１１が形成されるものとなる。
【００１７】
このように、フラット面として構成された蓋載置部１１に底面が密接して載置されるダクト蓋８を安定的に支持できるよう側壁部上端部の幅に厚みを有して構成されているのである。
【００１８】
また、図３、図６から理解されるように前記ケーブルダクト本体部品５における前記立ち上がり片７の上端部は前記立ち上がり片７の上端部内側面から、上端面方向に外側に上り勾配状の傾斜面を有し、該傾斜面の上端部からさらに前記上面方向に垂直壁を構成し、その垂直壁の上部に、図３から理解されるように、外側方向に向かい断面略Ｌ字状に切欠いて形成された蓋係止部１２が設けられている。
【００１９】
ここで、線路部の脇に設けられた高欄４の下側一部をケーブルダクト３の一方側の側壁に兼用してあると共に、該高欄４にも前記ケーブルダクト本体部品５の立ち上がり片７上端部に形成された蓋係止部１２と同等位置に、そして同等形状の蓋係止部１３が形成されている。
よって、前記双方の蓋係止部１２，１３間に、あらかじめ製造されたケーブルダクト３用のダクト蓋８が嵌合して、強固に取り付けられるのである。
【００２０】
なお、線路などの前記高欄４やケーブルダクト形成用側壁の内側において、前記蓋係止部１３があらかじめ設けられていることもあるが、このようなダクト蓋８載置用の蓋係止部１３があらかじめ設けられていないときは、施工現場において新たに前記高欄４や前記側壁の内側にダクト蓋８載置用の前記蓋係止部１３を形成する必要がある。
【００２１】
しかし、この形成作業は決して困難なものではなく、例えばプレキャストコンクリート製の長尺角棒状部材を線路などの高欄４あるいは側壁の内側の所定高さ位置に水平方向へ延出させて取り付ければよいのである。
【００２２】
このような取り付け作業により、固定した角棒状部材の上面と、線路などの高欄４あるいは側壁の内側面とによりダクト蓋載置用の前記蓋係止部１３が容易に形成できることとなる。
【００２３】
そして、この断面略Ｌ字状に凹んで形成された前記蓋係止部１３と、ケーブルダクト本体部品５において、前記立ち上がり片７の上面の前記蓋載置部１１間にダクト蓋８が密着して載置される。
あるいは、前記蓋係止部１３と、ケーブルダクト本体部品５の前記立ち上がり片７の上面に設けられた前記蓋係止部１２間にダクト蓋８が嵌合される。
【００２４】
ここで、立ち上がり片５側の蓋載置部１１及び前記蓋係止部１２は高欄４側の蓋係止部１３と略同等の高さ位置に、特に蓋係止部１２、１３については、略同等の形状をなして形成される。
これにより載置、嵌合される前記ダクト蓋８は略水平かつ安定を保ち載置、嵌合されるものとなる。
【００２５】
次に、本発明によるケーブルダクト３の施工につき説明する。
まず、鉄道の線路の路面幅方向端部に図６に示すようにモルタル１６を打設する。
ついで、断面略L字状のケーブルダクト本体部品５を前記鉄道の線路の路面幅方向端部に敷設する。この際、上記で示したとおり、敷設現場において、最適な底面幅の底壁部６を有する、かつ最適な底面長の底壁部６を有するタイプのケーブルダクト本体部品５を選択すべく、あらかじめ製造、ストックされたケーブルダクト本体部品５の中から選び、敷設する。
【００２６】
ここで、ケーブルダクト本体部品５の吊り上げ運搬作業及び敷設作業は、前記した吊り上げナット穴１０が利用される。
すなわち、ケーブルダクト本体部品５を構成する立ち上がり片７の長手方向両上端部を所定の把持部材で把持すると共に、前記の吊り上げナット穴１０にボルト状吊り上げ棒を螺合し、いわゆる３点吊りの状態等にして吊り上げ、かつ運搬し、所定位置に載置するのである。
【００２７】
ところで、ケーブルダクト本体部品５の敷設箇所には、あらかじめ棒状の連結アンカー１５が突設されて仮設されている。よって、吊り上げられているケーブルダクト本体部品５の前記連結アンカー１５の施工用穴９に突設された前記連結アンカー１５が遊嵌するように降下させれば、簡単に位置決めできて所定箇所にケーブルダクト本体部品５を敷設できるものとなる。これによりケーブルダクト本体５の迅速、確実な敷設が確保できるとの効果が得られる。
【００２８】
しかして、前記ケーブルダクト本体部品５の敷設により、鉄道の線路の路面幅方向端部には、高欄４や側壁の内側側壁と断面略Ｌ字状をなすケーブルダクト本体部品５とにより断面略凹状をなすケーブルダクト３における収納庫が形成できる。
【００２９】
なお、連結アンカー１５の施工用穴９からは例えば固定用モルタル１４をケーブルダクト本体部品５の底面側に打設して、ケーブルダクト本体部品５を前記固定用モルタル１４に固定するものとする。
かかる敷設作業を、路面の長手方向に向かってケーブルダクト本体部品５を繋げながら行う。
【００３０】
そして、最終的には、ケーブルダクト３内に各種のケーブル２を収納した後、ケーブルダクト蓋８を上方から載置してケーブルダクトの施工終了となる。
【図面の簡単な説明】
【００３１】
【図１】本発明の構成を説明する構成説明図（その１）である。
【図２】本発明の構成を説明する構成説明図（その２）である。
【図３】本発明の構成を説明する構成説明図（その３）である。
【図４】本発明の構成を説明する構成説明図（その４）である。
【図５】本発明の構成を説明する構成説明図（その５）である。
【図６】本発明の構成を説明する構成説明図（その６）である。
【符号の説明】
【００３２】
１ 鉄道用線路
２ ケーブル
３ ケーブルダクト
４ 高欄
５ ケーブルダクト本体部品
６ 底壁部
７ 立ち上がり片
８ ダクト蓋
９ 連結アンカーの施工用穴
１０ 吊り上げナット穴
１１ 蓋載置部
１２ 蓋係止部
１３ 蓋係止部
１４ 固定用モルタル
１５ 連結アンカー
１６ モルタル
【特許請求の範囲】
【請求項１】
線路部の脇に設けられた高欄を側壁に兼用すると共に、該高欄に蓋係止部を形成してなり、
前記高欄との対向面側に間隔をあけて断面略Ｌ字状をなすあらかじめ製造されたダクト本体部品を敷設し、
前記蓋係止部が形成された高欄及び前記ダクト本体部品とにより略凹状をなすダクト本体を形成してなり、
該ダクト本体部品の立ち上がり片上端には前記高欄に設けられた蓋係止部と略同等の高さ位置に略同等の形状に形成された蓋係止部を設け、
前記双方の蓋係止部間には、あらかじめ製造されたダクト用の蓋が嵌合して取り付け可能とされた、
ことを特徴とするケーブルダクトの敷設構造。
【請求項２】
線路の脇に設けられた高欄を側壁に兼用すると共に、該高欄に蓋係止部を形成してなり、
前記高欄との対向面側に間隔をあけて断面略Ｌ字状をなすあらかじめ製造されたダクト本体部品を敷設し、
該ダクト本体部品の立ち上がり片上端面には前記高欄に設けられた蓋係止部と略同等の高さ位置に蓋載置部を設けてなり、
前記双方の蓋載置部及び蓋係止部間には、あらかじめ製造されたダクト用の蓋が載置された、
ことを特徴とするケーブルダクトの敷設構造。
【請求項１】
線路部の脇に設けられた高欄を側壁に兼用すると共に、該高欄に蓋係止部を形成してなり、
前記高欄との対向面側に間隔をあけて断面略Ｌ字状をなすあらかじめ製造されたダクト本体部品を敷設し、
前記蓋係止部が形成された高欄及び前記ダクト本体部品とにより略凹状をなすダクト本体を形成してなり、
該ダクト本体部品の立ち上がり片上端には前記高欄に設けられた蓋係止部と略同等の高さ位置に略同等の形状に形成された蓋係止部を設け、
前記双方の蓋係止部間には、あらかじめ製造されたダクト用の蓋が嵌合して取り付け可能とされた、
ことを特徴とするケーブルダクトの敷設構造。
【請求項２】
線路の脇に設けられた高欄を側壁に兼用すると共に、該高欄に蓋係止部を形成してなり、
前記高欄との対向面側に間隔をあけて断面略Ｌ字状をなすあらかじめ製造されたダクト本体部品を敷設し、
該ダクト本体部品の立ち上がり片上端面には前記高欄に設けられた蓋係止部と略同等の高さ位置に蓋載置部を設けてなり、
前記双方の蓋載置部及び蓋係止部間には、あらかじめ製造されたダクト用の蓋が載置された、
ことを特徴とするケーブルダクトの敷設構造。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２００８−２８３７７８（Ｐ２００８−２８３７７８Ａ）
【公開日】平成２０年１１月２０日（２００８．１１．２０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−１２５４３０（Ｐ２００７−１２５４３０）
【出願日】平成１９年５月１０日（２００７．５．１０）
【出願人】（５９２２４３３１３）フジプレコン株式会社 (10)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年１１月２０日（２００８．１１．２０）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年５月１０日（２００７．５．１０）
【出願人】（５９２２４３３１３）フジプレコン株式会社 (10)
【Ｆターム（参考）】
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