説明

ケーブルダクト装置

【課題】 ケーブルの露出を低減することのできるケーブルダクト装置を提供する。
【解決手段】 ケーブルダクト装置1は、機器接続側開口5と床側開口7を両端に有し、電子機器と床面落込み口11との間でケーブルを導く装置であり、床側開口11の領域を変更する可変開口領域構造を備えている。ケーブルダクト装置1において、本体筒部17は、内部にダクト空間を有し、筒壁の下部に壁開口を有している。カバー19は、本体筒部17を取り囲むと共に壁開口を塞ぐ縮小姿勢と、本体筒部17に対して傾斜することによって本体筒部17の筒壁から離れる拡張姿勢とで、本体筒部17に取付可能である。拡張姿勢のカバー19は、本体筒部17の外に、壁開口を介してダクト空間と連通する補助ダクト空間を形成する。ケーブル13は補助ダクト空間を通って床面落込み口11へ導かれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器から床下へケーブルを導くケーブルダクト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器に接続されるケーブルの配線のためにケーブルダクト装置が用いられている。ケーブルダクト装置は、ケーブルの本数が多い場合のケーブル露出を避けるために有用に用いられる。電子機器は例えば操作卓である。
【0003】
図10は、操作卓に備えられた従来のケーブルダクト装置の例である。図10の操作卓はミキサであり、多数のケーブルが接続される電子機器の一つである。この従来例では、左右の足の内側にケーブルダクト301(斜線部)が備えられている。各ケーブルダクト301は筒型であり、上端および下端に開口を有している。操作卓の背面には複数のケーブルが接続される。これらのケーブルは、上端の開口からケーブルダクト301に入り、ケーブルダクト301を通り抜け、下端の開口からでる。そして、ケーブルは、OAフロアで見られるような床面落込み口を通って床下空間に入っていく。
【0004】
図11は、従来のケーブルダクト装置のもう一つの例である。図11の例では、ケーブルダクト401(斜線部)が横方向に拡大されている。すなわち、ケーブルダクト401が、左右の足間の全域に設けられている。
【0005】
また、特許文献1は、キャビネットの間に配置されるケーブルダクト装置を開示している。ケーブルダクト装置は薄型であり、キャビネット上の電子機器のケーブルを下方へ導くように構成されている。
【特許文献1】特開平11−155228号公報(第2−3ページ、図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図10に示した従来のケーブルダクト装置においては、下端の床側開口の位置が固定されているために、電子機器の設置位置によって床側開口の位置が床面のケーブル落込み口とずれたときに床側開口から床面落込み口までケーブルが露出してしまうという問題があった。図11のケーブルダクト装置では、ケーブルダクトが大型のために操作者の足を置くスペースが狭くなり、操作性が損なわれるという問題があった。さらに、特許文献1の構成においても、図10の従来技術と同様、床面の落込み口との位置ずれによるケーブル露出の問題があった。
【0007】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、その目的は、ケーブルの露出を低減することのできるケーブルダクト装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のケーブルダクト装置は、機器接続側開口と床側開口を両端に有し、電子機器と床面落込み口との間でケーブルを導く装置であって、前記床側開口の領域を変更する可変開口領域構造を備えている。
【0009】
この構成により、床側開口の領域を変更できるので、床面落込み口の位置に合わせて床側開口の領域を変更して、ケーブルの露出を低減することができる。
【0010】
また、本発明のケーブルダクト装置は、本体筒部と、前記本体筒部を部分的に取り囲む形状を有するカバーとを備え、前記本体筒部は、内部にダクト空間を有し、筒壁の下部に壁開口を有しており、前記カバーは、前記本体筒部を取り囲むと共に前記壁開口を塞ぐ縮小姿勢と、前記本体筒部に対して傾斜することによって前記本体筒部の筒壁から離れる拡張姿勢とで前記本体筒部に取付可能であり、前記拡張姿勢のカバーは、前記本体筒部の外に、前記壁開口を介して前記ダクト空間と連通する補助ダクト空間を形成する。
【0011】
この構成により、本体筒部へのカバーの取付姿勢を変更することによって床側開口の領域を変更できる。床側開口の領域を作業者が容易に変更できるケーブルダクト装置を、本体筒部とカバーを備えた簡単な構成でもって実現できる。
【0012】
また、本発明のケーブルダクト装置において、前記本体筒部は本体円筒部を有しており、前記拡張姿勢の前記カバーは、前記本体円筒部を中心として回動方向に向きを変更可能である。この構成により、床側開口の領域変更の自由度を増し、ケーブル露出をさらに低減できる。
【0013】
また、本発明のケーブルダクト装置において、前記カバーは、前記縮小姿勢にて前記本体円筒部を囲む半円筒状の前板部と前記前板部の両側の平行な側板部とを有し、前記縮小姿勢の前記カバーは、下端に水平な第1縁部を有すると共に上端に傾斜した第2縁部を有しており、前記拡張姿勢では前記カバーが前記縮小姿勢に対して倒立されて、前記第1縁部が上側に位置して前記本体円筒部の円筒面に近接し、前記第2縁部が下側に位置して床に近接する。この構成により、縮小姿勢ではカバーと本体筒部がコンパクトに組み合わされ、また、拡張姿勢ではケーブルダクトと床面の隙間を小さくすることができ、ケーブル露出をさらに低減できる。
【0014】
また、本発明のケーブルダクト装置は、水平方向に伸縮および屈曲可能な蛇腹壁部を備えている。この構成によっても、床側開口の領域を床面落込み口の位置に合わせて変更することができ、ケーブル露出を低減できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、床側開口の領域を変更する可変開口領域構造を設けることにより、ケーブル露出を低減できるという効果を有するケーブルダクト装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態のケーブルダクト装置について、図面を用いて説明する。
【0017】
本発明の第1の実施の形態に係るケーブルダクト装置を図1に示す。図1において、ケーブルダクト装置1は、電子機器の一例としての操作卓に備えられている。操作卓は例えば音響ミキサである。図1は、操作卓台3を示しており、操作卓本体(図示せず)は、図1の操作卓台3の上に載せられる。
【0018】
ケーブルダクト装置1は、操作卓台3の横桟5の下面に取り付けられている。ケーブルダクト装置1は、上端に機器接続側開口7を有しており、下端に床側開口9を有しており、操作卓と床面落込み口11との間でケーブル13を導く。ケーブル13は、クランプ15で操作卓台3の横桟5に保持されており、下方に曲がってケーブルダクト装置1に入る。床面落込み口11は、OAフロアで見られるような床面の開口である。
【0019】
本実施の形態のケーブルダクト装置1は、概略的には、本体筒部17とカバー19を備えている。そして、本体筒部17に対するカバー19の取付姿勢が変更可能である。本発明では、図1の上側の取付姿勢を縮小姿勢と呼び、下側の取付姿勢を拡張姿勢と呼ぶ。この取付姿勢の変更によって、床側開口9の領域を変更することができる。以下、各部の詳細を説明する。
【0020】
図2は、ケーブルダクト装置1の分解図である。本体筒部17は、四角形の筒であり、前壁21、左右の側壁23、25、後壁27を備えている。本体筒部17の上下は開いており、したがって、本体内部を上下に貫通するようにダクト空間29が形成されている。本体筒部17は例えば鋼板製である。
【0021】
本体筒部17は、図3に示すように、2分割構造を有している。前方部材31は、前壁21、側壁23、25を形成している。後方部材33は後壁27を形成している。後壁27の両側が折り曲げられており、両側の折曲げ部分35に前方部材31の側壁23、25がねじ等で結合されている。また、後壁27の上方部分が後方に折り曲げられて取付フランジ37が形成されている。この取付フランジ37が、操作卓台3の横桟5へと下方からねじ等で固定される。ここで、取付フランジ37の穴37aが横桟5の穴5aと合わされて、取付フランジ37と横桟5がねじで固定される。本体筒部17の横桟5への左右方向の取付位置を可変にできるように、横桟5には複数の穴5aが配設されている。
【0022】
また、本体筒部17の前壁21の下部には、壁開口39が設けられている。壁開口39によって、ダクト空間29が本体筒部17の外部空間と連通する。
【0023】
次に、カバー19について説明する。カバー19も例えば鋼板製である。カバー19は、本体筒部17を部分的に取り囲む形状を有している。図2に示すように、カバー19は、前板51と左右の側板53、55とで構成されている。図1の上側の縮小姿勢においては、カバー19が直立している。このとき、前板51が垂直に立っており、本体筒部17の前壁21より少し前方にある。前板51と前壁21は平行である。前板51の上端は後方に折り曲げられており、これにより前板51と前壁21の上方の隙間が小さくなっている。
【0024】
また、側板53、55は、本体筒部17の側壁23、25に合わさっている。そして、側板53、55は、側壁23、25にそれぞれ締結されている。締結のために、カバー19の側板53、55に貫通穴が設けられ、本体筒部17の側壁23、25にねじ穴が設けられている。貫通穴およびねじ穴は、縮小姿勢にて位置が一致するように設けられている。この貫通穴およびねじ穴を利用して、ねじ61でカバー19が本体筒部17に固定される。
【0025】
縮小姿勢では、上記のようにカバー19が本体筒部17の3方を取り囲む。そして、カバー19は、前壁21の下部の壁開口39を塞いでいる。ここで、壁開口39を塞ぐとは、ケーブル13が目立たないように隠れる範囲で壁開口39を見えなくすることをいう。本実施の形態では、壁開口39の回りにカバー19が位置することで、壁開口39が塞がれている。
【0026】
また、縮小姿勢では、カバー19の側板53、55の上縁63は水平である。これに対して、側板53、55の下縁65は傾斜しており、後方が高くなっている。
【0027】
次に、拡張姿勢について説明する。上記の縮小姿勢では、カバー19が本体筒部17を取り囲むように立っている。これに対して、拡張姿勢では、図1の下方に示されるように、カバー19が筒部本体11に対して傾斜している。すなわち、図1に示すように、拡張姿勢では、前板13の下端が手前に移動し、これに伴ってカバー上端が下に下がり、カバー19が傾斜している。
【0028】
拡張姿勢では、カバー19が本体筒部17に対して傾斜するので、カバー19が本体筒部17の筒壁から離れる。より詳細には、前板51が傾斜して、本体筒部17の前壁21から離れる。これにより、図4の断面図に示すように、本体筒部17の外に補助ダクト空間67が形成される。補助ダクト空間67は、カバー19の前板51、本体筒部17の前壁21および床面69で構成される3角形の空間である。また、補助ダクト空間67の両側は、カバー19の側板53、55で覆われる。補助ダクト空間67は、前壁21の壁開口39を介してダクト空間29と連通する。
【0029】
カバー19の側板53、55は、拡張姿勢においても、本体筒部17の側壁21、23と部分的に重なっている。そして、側板53、55が側壁21、23にねじ61で固定される。貫通穴およびねじ穴は、縮小姿勢だけでなく拡張姿勢でも位置が合うように設けられている。
【0030】
また、拡張姿勢では、カバー19の傾斜によって、下縁65が水平になっている。これにより、下縁65が、床面69と平行に延び、床面69と近接している。
【0031】
以上に、ケーブルダクト装置1の各部構成を説明した。このケーブルダクト装置1は以下のようにして備え付けられる。操作卓には予めケーブル13が取り付けられる。ケーブル13の束はクランプ15で操作卓台3の横桟5に保持されている。ケーブル13は横桟5から垂れ下がり、床面落込み口11を通って床下に入っているとする。
【0032】
この状態で、まず、本体筒部17の後方部材33が横桟5の適当な位置に固定される。このとき、後方部材33は、床面落込み口11と左右方向の位置が同じになるように配置される。それから、ケーブル13の束を取り囲むように、後方部材33に前方部材31が固定される。これにより、本体筒部17が形成され、ダクト空間29内にケーブル13が納まる。
【0033】
次に、カバー19が本体筒部17に取り付けられる。このとき、床面落込み口11の位置によって取付姿勢が選択される。図1の上側では、床面落込み口11が本体筒部17の真下にある。この場合、縮小姿勢が選択される。カバー19が本体筒部17を取り囲むので、ケーブルダクト装置1はコンパクトになる。ケーブル13は、本体筒部17のダクト空間29を上から下に抜けて、床下に入る。ケーブル13の束はケーブルダクト装置1の外にはみ出さない。
【0034】
一方、図1の下側では、床面落込み口11が本体筒部17より手前にある。この場合、拡張姿勢が選択される。ケーブル13は、本体筒部17のダクト空間29を上から下に進む。そして、ケーブル13は、ダクト空間29の中で前方に曲がり、前壁21の下部の壁開口39を通る。そして、ケーブル13は、カバー19により形成される補助ダクト空間67を通り、床面落込み口11を通って床下に入る。この場合も、ケーブル13は、ケーブルダクト装置1の外にはみ出さずにすむ。
【0035】
以上に本発明の第1の実施の形態に係るケーブルダクト装置1について説明した。本実施の形態によれば、床側開口の領域を変更する可変開口領域構造を備えたことにより、床面落込み口11の位置に合わせて床側開口9の領域を変更して、ケーブル13の露出を低減することができる。
【0036】
また、本実施の形態によれば、本体筒部17へのカバー19の取付姿勢を変更することによって床側開口9の領域を変更できる。床側開口9の領域を作業者が容易に変更できるケーブルダクト装置1を、本体筒部17とカバー19を備えた簡単な構成でもって実現できる。
【0037】
次に、本発明の第2の実施の形態に係るケーブルダクト装置について説明する。本実施の形態では、本体筒部に円筒部が設けられ、円筒部を中心にカバーの方向を変更可能に構成されている。以下、第1の実施の形態との相違点を中心に、第2の実施の形態について説明する。
【0038】
図5〜図8は、本実施の形態のケーブルダクト装置を示している。図5〜図7は、ケーブルダクト装置101の斜視図であり、図5は縮小姿勢を示し、図6および図7は拡張姿勢を示している。また、図8は、ケーブルダクト装置101の分解図である。ケーブルダクト装置101は、本体筒部103とカバー105で構成されている。
【0039】
図8に示すように、本実施の形態では、本体筒部103が、角筒部111と円筒部113で構成されている。角筒部111は後方に位置し、左右の側壁115、117と、後壁119で構成されている。後壁119は中央で直角に折り曲げられている。側壁115、117の上端は折り曲げられており、水平な取付フランジ121が形成されている。両側の取付フランジ121が、操作卓台123の縦桟125、横桟127にそれぞれねじ等で固定されている。これにより、本体筒部103は、上方から見て操作卓台123の縦桟125および横桟127に対して斜め45度を向けて配置される。
【0040】
また、側板115、117の前端が折り曲げられており、折曲げ部分129が形成されている。一方、円筒部113の断面か完全な円ではなく、円筒部113は一部が欠けた円弧状の断面を有している。そして、円筒部113の両端も折り曲げられて、折曲げ部分131が形成されている。これら折曲げ部分129と折曲げ部分131が合わされて、ねじで固定されている。これにより、円筒部113が角筒部111と組み合わされて、本体筒部103が形成され、本体筒部103を貫通するダクト空間133が形成されている。
【0041】
また、円筒部103の前側の下部には、第1の実施の形態と同様に、壁開口135が形成されている。
【0042】
次に、カバー105について説明する。カバー105は、第1の実施の形態と同様に、前板151および側板153、155を有しており、本体筒部103を部分的に取り囲む形状を有している。図5の縮小姿勢においては、カバー105が直立しており、このとき、前板151が垂直に立っている。前板151は、本体筒部103の円筒部113に合わせるように円筒面で構成されており、前板151の断面は略半円である。また、前板151は円筒部113から少し離れている。そして、前板151の上端は後方に折り曲げられており、これにより、前板151と本体筒部103の隙間が小さくなっている。
【0043】
また、側板153、155は、前板151の半円筒の両端に続く平面の板であり、両者は平行である。側板153、155は、本体筒部103の円筒部113の両側に接しており、さらに後方で、角筒部111の側壁115、117に合わさっている。そして、側板153、155は、ねじ157を用いて円筒部113に2カ所で結合されており、さらに、ねじ157を用いて側壁115、117に1カ所で結合されている。こうしたねじ結合のために、縮小姿勢で位置が合うように本体側のねじ穴とカバー側の貫通穴が設けられている。
【0044】
縮小姿勢では、上記のような構成によってカバー105が本体筒部103を取り囲む。そして、カバー105は、本体筒部103の下部の壁開口135を塞いでいる。ここでも、壁開口135を塞ぐとは、ケーブル161が目立たないように隠れる範囲で壁開口135を見えなくすることをいう。本実施の形態では、壁開口135の回りにカバー105が位置することで、壁開口135が塞がれている。
【0045】
また、縮小姿勢におけるカバー105の下側の縁を第1縁部171と呼び、カバー105の上側の縁を第2縁部173と呼ぶ。縮小姿勢では、第1縁部171が水平である。また、第2縁部173が傾斜しており、後端が下に下がっている。カバー105の後縁部175は、第2縁部173に対して直角である。したがって、後縁部175も傾斜している。後縁部175の下端は、カバー105の前板151(半円筒)と側板153、155(平板)の境界付近で、第1縁部171の後端に合う。
【0046】
次に、拡張姿勢について説明する。縮小姿勢では、カバー105が本体筒部103を取り囲むように立っている。図8に示されるように、拡張姿勢ではカバー105が倒立される。すなわち、縮小姿勢と拡張姿勢では、カバー105が逆さまである。そして、図6および図7に示されるように、拡張姿勢では、カバー105が筒部本体103に対して傾斜している。カバー105の傾斜により、カバー105が本体筒部103の筒壁から離れ、本体筒部103の外に補助ダクト空間181が形成される。補助ダクト空間181は側方から見ると略三角形の空間である。そして、補助ダクト空間181は、本体筒部103の前側下部の壁開口135を介して本体内部のダクト空間133と連通する。
【0047】
上記の補助ダクト空間が形成される点では、第2の実施の形態は第1の実施の形態と同じである。ただし、第2の実施の形態では、本体筒部103の円筒部113を中心としてカバー105の方向を変えられる。本実施の形態では、90度の範囲でカバー105の方向を変えられる。すなわち、図8の実線の位置を中心として、左右に45度の範囲でカバー105を変更できる。図6の例では、カバー105の向きが可動範囲の中心にあり、図7の例ではカバー105が左を向いている。
【0048】
上記のカバー方向の変更のために、本体筒部103の円筒部113には、円周方向に複数のねじ穴183が設けられている。カバー105が適当な方向に配置され、適当なねじ穴183へとカバー105の穴185の位置が合わされる。穴185はカバー105の後縁部175の上下端にある。ねじ157が穴185に通されてねじ穴183に締め付けられる。
【0049】
また、拡張姿勢では、カバー105の第1縁部171が上側に位置し、第2縁部173が下側に位置している。そして、第1縁部171は、本体筒部103の前側の円筒面に近接している。また、第2縁部173は水平になっており、床面187と平行になり、床面187と近接している。
【0050】
以上に、ケーブルダクト装置101の各部構成を説明した。このケーブルダクト装置101は以下のようにして備え付けられる。操作卓には予めケーブル161が取り付けられる。ケーブル161の束はクランプ189で操作卓台125の横桟127に保持されている。ケーブル161は横桟127から垂れ下がり、床面落込み口191を通って床下に入っているとする。
【0051】
この状態で、まず、本体筒部103の角筒部111が、操作卓台15に下方から取り付けられる。角筒部111は、縦桟125および横桟127のコーナー部に取り付けられる。それから、ケーブル161の束を取り囲むように、角筒部111に円筒部113が固定される。これにより、本体筒部103が形成され、ダクト空間133内にケーブル161が納まる。
【0052】
次に、カバー105が本体筒部103に取り付けられる。このとき、床面落込み口191の位置によって取付姿勢が選択される。図5では、床面落込み口191が本体筒部103の真下にあり、この場合、縮小姿勢が選択される。この点は、第1の実施の形態と同様である。
【0053】
一方、図6および図7では、床面落込み口191が本体筒部103からずれており、本体筒部103の下にない。この場合、拡張姿勢が選択される。そして、さらに、カバー105の向きが、床面落込み口191の位置に応じて選択される。カバー105が床面落込み口191の上に位置するように、カバー105の向きが選択され、そして、カバー105が本体筒部103にねじ157で固定される。
【0054】
これにより、ケーブル161は、本体筒部103のダクト空間133を上から下に進み、ダクト空間133の中で前方に曲がり、壁開口135を通る。そして、ケーブル161、カバー105により形成される補助ダクト空間181を通り、床面落込み口191を通って床下に入る。ケーブル161は、ケーブルダクト装置101の外にはみ出さずにすむ。
【0055】
以上に本発明の第2の実施の形態に係るケーブルダクト装置101について説明した。本実施の形態によっても、床側開口の領域を変更する可変開口領域構造を備えたことにより、床面落込み口の位置に合わせて床側開口の領域を変更して、ケーブルの露出を低減することができる。
【0056】
また、本実施の形態によれば、本体筒部103が本体円筒部を有しており、拡張姿勢のカバー105の向きを変更できるので、床側開口の領域変更の自由度を増し、ケーブル露出をさらに低減できる。
【0057】
また、本実施の形態によれば、カバー105が、縮小姿勢にて本体円筒部113を囲む半円筒状の前板部とその両側の平行な側板部とを有している。カバー105の上下が縮小姿勢と拡張姿勢で逆さまである。縮小姿勢のカバー105において、下端の第1縁部171が水平であり、上端の第2縁部173が傾斜している。拡張姿勢では、第1縁部171が上側に位置して本体円筒面に近接し、第2縁部173が下側に位置して床に近接する。縮小姿勢における上縁を斜めにしたので、拡張姿勢における下縁を水平にして、床面とカバー105の隙間を小さくできる。このような構成により、縮小姿勢ではカバー105と本体筒部103がコンパクトに組み合わされ、また、拡張姿勢ではケーブルダクトと床面の隙間を小さくすることができ、ケーブル露出をさらに低減できる。
【0058】
次に、本発明の第3の実施の形態に係るケーブルダクト装置について説明する。本実施の形態は、蛇腹タイプの壁を設けることによってダクトの床側開口領域を変更可能にしている。
【0059】
図9は、本実施の形態のケーブルダクト装置を示している。ケーブルダクト装置201は、後壁部203と蛇腹壁部205とで構成されている。後壁部203は、操作卓台207の横桟209の下にねじ等で固定されている。蛇腹壁部205は、屈曲した板状部材であり、水平方向に伸縮および屈曲可能である。蛇腹壁部205の両端には、取付バー211、213が備えられている。取付バー211、213は縦方向に長い棒状の部材である。取付バー211が操作卓台207にねじ等で固定され、取付バー213が後壁部203にねじ等で固定され、これにより蛇腹壁部205が取り付けられている。
【0060】
以上に、ケーブルダクト装置201の構成を説明した。このケーブルダクト装置201は以下のようにして備え付けられる。操作卓には予めケーブル221が取り付けられる。ケーブル221の束はクランプ223で操作卓台207の横桟209に保持されている。ケーブル221は横桟209から垂れ下がり、床面落込み口225を通って床下に入っているとする。
【0061】
この状態で、まず、後壁部203が横桟209の適当な位置に固定される。このとき、後壁部209は、床面落込み口225と左右方向の位置が同じになるように配置される。図9の例では、床面落込み口225が横桟209の左端付近にあり、したがって、後壁部203も横桟209の左端に取り付けられている。
【0062】
後壁部203を取り付けてから、次に、ケーブル221の束を取り囲むように、後壁部203に蛇腹壁部205が固定される。このとき、蛇腹壁部205の取付バー213が後壁部203にねじなどで固定される。もう一方の取付バー211は操作卓台207の足に取り付けられる。これにより、ケーブルダクト装置201が作られる。ケーブル221がダクト空間227を通って床面落込み口225に入る。
【0063】
本実施の形態では、蛇腹壁部205は伸縮および屈曲可能なので、ケーブル221を取り囲むことができる。この点に関し、ケーブル221の通る場所は、床面落込み口225の位置に応じて変わる。しかし、蛇腹壁部205の伸縮および屈曲可能なので、ケーブル221の配置形状に応じて蛇腹壁部205が変形し、ケーブル221を取り囲むことができ、ケーブル221の露出を低減できる。
【0064】
また、図9の例では、後壁部205が横桟209の端に設置されており、これに伴い、取付バー211が操作卓台207に固定されている。取付バー211、213の取付位置は、後壁部203の位置に応じて変更されてよい。例えば、床面落込み口225が操作卓の中央よりに位置するとき、後壁部205も中央よりに位置してよい。このときは、取付バー211、213の両方が後壁部205に取り付けられてよい。
【0065】
以上に本発明の第3の実施の形態に係るケーブルダクト装置201について説明した。本実施の形態によっても、床側開口の領域を変更する可変開口領域構造を備えたことにより、床面落込み口の位置に合わせて床側開口の領域を変更して、ケーブルの露出を低減することができる。
【0066】
また、本実施の形態によれば、水平方向に伸縮および屈曲可能な蛇腹壁部205を備えたことで、床側開口の領域を床面落込み口225の位置に合わせて変更することができ、ケーブル露出を低減できる。また、蛇腹壁部205が伸縮可能なので、ケーブル本数に応じてダクトサイズも変更することができる。
【0067】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明した。しかし、本発明は上述の実施の形態に限定されず、当業者が本発明の範囲内で上述の実施の形態を変形可能なことはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0068】
以上のように、本発明にかかるケーブルダクト装置は、ケーブル露出を低減できるという効果を有し、電子機器等のケーブルダクト装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるケーブルダクト装置を示す斜視図
【図2】ケーブルダクト装置の分解図
【図3】本体筒部の分解図
【図4】ケーブルダクト装置の断面図
【図5】本発明の第2の実施の形態におけるケーブルダクト装置を示す斜視図
【図6】本発明の第2の実施の形態におけるケーブルダクト装置を示す斜視図
【図7】本発明の第2の実施の形態におけるケーブルダクト装置を示す斜視図
【図8】本発明の第2の実施の形態におけるケーブルダクト装置を示す分解図
【図9】本発明の第3の実施の形態におけるケーブルダクト装置を示す斜視図
【図10】従来のケーブルダクト装置を示す図
【図11】従来のケーブルダクト装置を示す図
【符号の説明】
【0070】
1 ケーブルダクト装置
3 操作卓台
7 機器接続側開口
9 床側開口
11 床面落込み口
13 ケーブル
15 本体筒部
17 カバー
29 ダクト空間
39 壁開口
67 補助ダクト空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器接続側開口と床側開口を両端に有し、電子機器と床面落込み口との間でケーブルを導くケーブルダクト装置において、前記床側開口の領域を変更する可変開口領域構造を備えたことを特徴とするケーブルダクト装置。
【請求項2】
本体筒部と、前記本体筒部を部分的に取り囲む形状を有するカバーとを備え、
前記本体筒部は、内部にダクト空間を有し、筒壁の下部に壁開口を有しており、
前記カバーは、前記本体筒部を取り囲むと共に前記壁開口を塞ぐ縮小姿勢と、前記本体筒部に対して傾斜することによって前記本体筒部の筒壁から離れる拡張姿勢とで前記本体筒部に取付可能であり、前記拡張姿勢のカバーは、前記本体筒部の外に、前記壁開口を介して前記ダクト空間と連通する補助ダクト空間を形成することを特徴とする請求項1に記載のケーブルダクト装置。
【請求項3】
前記本体筒部は本体円筒部を有しており、前記拡張姿勢の前記カバーは、前記本体円筒部を中心として回動方向に向きを変更可能であることを特徴とする請求項2に記載のケーブルダクト装置。
【請求項4】
前記カバーは、前記縮小姿勢にて前記本体円筒部を囲む半円筒状の前板部と前記前板部の両側の平行な側板部とを有し、前記縮小姿勢の前記カバーは、下端に水平な第1縁部を有すると共に上端に傾斜した第2縁部を有しており、前記拡張姿勢では前記カバーが前記縮小姿勢に対して倒立されて、前記第1縁部が上側に位置して前記本体円筒部の円筒面に近接し、前記第2縁部が下側に位置して床に近接することを特徴とする請求項3に記載のケーブルダクト装置。
【請求項5】
水平方向に伸縮および屈曲可能な蛇腹壁部を備えたことを特徴とする請求項1に記載のケーブルダクト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−311737(P2006−311737A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−132753(P2005−132753)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】