説明

ケーブルモデム上でのビデオ

終端器(120)から少なくとも1つの第1のデータ信号を受信し、その終端器以外から少なくとも1つの第2のデータ信号を受信し、少なくとも1つの第1のデータ信号と少なくとも1つの第2のデータ信号とを、複数のモデム(170)に配信する複数のデータチャネルを有する出力信号に結合する複数の変調器(250)を含むシステムが開示され、少なくとも1つの第2のデータ信号は、終端器(120)を迂回する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2006年3月29日に出願された米国仮出願第60/787,003号の利益を主張し、この全内容を援用する。
【0002】
本発明は、概してケーブルモデムに関し、特に効率性を改善してコストを低減するケーブル信号配信システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
DOCSIS(Data-Over-Cable Service Interface Specification)モデム動作は、ダウンストリーム送信に狭帯域幅チャネル(6又は8MHz、40-50Mbps(メガビット/秒))を含み、更に狭いアップリンク送信チャネル(数10kHz〜数100kHz)を含む。現在では、顧客のケーブルモデムをサポートするために使用されるCMTS(Cable Modem Termination System)は、単一のダウンストリームチャネル及び1つ又は2つのアップストリームチャネルで多数の顧客をサポートすることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最近、HDTV(High Definition Television)信号の送信がますます一般的になっている。ビデオデータ(特にHDTVビデオのデータ)の送信は、ビデオストリームをサポートするために送信されなければならないデータ量のため、かなり帯域幅を使用する。しかし、このシステムの帯域幅割り当ては、全体CMTSシステムのスループットを増加させずに、多数の加入者へのビデオの配信をサポートできない。例えば、約100の加入者に配信されるビデオでは、CMTSの容量は、ビデオだけで少なくとも500Mbps〜1000Mbpsに近づかなければならない。
【0005】
従って、CMTS機能及びスループット容量の過度の繰り返しなしに、多数の顧客にビデオ配信を許容するシステム及び方法を提供することが有利である。好ましくは、このシステムは、ビデオデータがCMTSを通過することを全く回避しつつ、ビデオがエンド顧客に配信されることを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様では、システムは、終端器から少なくとも1つの第1のデータ信号を受信し、その終端器以外から少なくとも1つの第2のデータ信号を受信し、少なくとも1つの第1のデータ信号と少なくとも1つの第2のデータ信号とを、複数のモデムに配信する複数のデータチャネルを有する出力信号に結合する複数の変調器を含み、少なくとも1つの第2のデータ信号は、終端器を迂回する。第2のデータ信号はビデオ信号であることが好ましい。更に、変調器は、複数のビデオ信号を、エンドユーザに配信する単一の信号の複数のビデオチャネルに変調する直交振幅変調器(Quadrature Amplitude Modulator)でもよく、各エンドユーザは別のビデオチャネルに関連する。
【0007】
本発明の他の態様では、ビデオ配信システムは、複数の第1のデータ信号を送信するように構成されたケーブルモデム用終端器と、終端器からのダウンストリームに配置され、終端器から複数の第1のデータ信号のうち1つ以上を受信し、異なるソースから1つ以上の第2のデータ信号を受信するようにそれぞれ構成された複数の変調器であり、複数の変調器のそれぞれは、複数の第1のデータ信号のうち1つ以上と1つ以上の第2のデータ信号とを、複数のデータチャネルを有する出力信号に結合するように構成され、出力信号は、1つ以上の第2のデータ信号が終端器を迂回する複数のケーブルモデムに配信される複数の変調器と、複数のケーブルモデムからの送信回線上で複数のアップストリームデータ信号を受信し、複数のアップストリームデータ信号を終端器に送信するように構成されたダイプレクサとを含み、複数のアップストリームデータ信号は、複数の変調器を迂回し、ダイプレクサは、複数の変調器から1つ以上の出力データ信号を受信し、送信回線上で1つ以上の出力データ信号を複数のケーブルモデムに送信するように構成される。
【0008】
本発明の更なる態様では、ビデオ配信方法は、終端器から少なくとも1つの第1のデータ信号を受信し、少なくとも1つのビデオサーバからデジタルビデオデータを含む少なくとも1つのデジタルビデオ信号を受信し、少なくとも1つのデジタルビデオ信号は終端器を迂回し、少なくとも1つのデジタルビデオ信号からのデータを少なくとも1つのデジタルデータ信号の1つに挿入し、出力信号を生成することを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の利点、本質及び更なる特徴は、添付図面と共に詳細に説明する例示的な実施例を考慮して十分にわかる。
【0010】
図面は本発明の概念を例示するためのものであり、必ずしも本発明を示す唯一の可能な構成ではないことがわかる。
【0011】
この実施例は、多数の顧客又は加入者にビデオコンテンツ配信を提供する。特に有用な実施例では、ケーブル設備上でのIP(Internet Protocol)ビデオ配信が、非常に非対称型の配信システムでコスト効率良く可能になる。DOCSIS(Data-Over-Cable Service Interface Specification)ケーブルモデム終端システム(CMTS:Cable Modem Termination System)(又は同様の種類の装置)と、複数のダウンストリーム直交振幅変調器(QAM:Quadrature Amplitude Modulator)IPビデオ挿入器とが使用され、CMTSは、ケーブルモデムの全てのアップストリームトラヒックと全ての制御トラヒックを扱う。有利には、例えばアップストリームトラヒックがQAMを通して中継されずに、CMTSは、ケーブルモデムからのアップストリームデータトラヒックを直接に扱ってもよい。この原理により、1つの標準的なCMTSは、QAMチャネル数のみにより制限される1Gbpsより上の全システムデータレートで、数百ものケーブルモデム又はIP受信機をサポートすることが可能になる。多数のエンドユーザにサービス提供するために必要なCMTSの数を低減するために、IPデータがCMTSにより扱われた後に、QAMビデオ挿入器は、ビデオデータをダウンストリームデータ信号に追加する。
【0012】
この原理は、ケーブル配信システムに関して説明されるが、本発明は、かなり広く、ネットワーク上でコンテンツの配信を可能にする如何なるコンテンツ配信システムを含んでもよい。例えば、この実施例は、電話ネットワーク(有線又は無線)、コンピュータネットワーク、ケーブルネットワーク、衛星ネットワーク等によるデータ又はパケットの配信を含む如何なる配信方法にも適用可能である。
【0013】
図面に示す要素は、様々な形式のハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせで実装されてもよいことが更にわかる。これらの要素は、1つ以上に適切にプログラムされた汎用装置でのハードウェアとソフトウェアとの組み合わせで実装されることが好ましい。汎用装置は、プロセッサと、メモリと、入出力インタフェースとを有してもよい。
【0014】
この説明は、本発明の原理を説明するものである。従って、当業者は、明示的に記載又は図示しないが、本発明の原理を具現してこの要旨及び範囲内に含まれる様々な構成を考案することができることがわかる。
【0015】
ここに記載の全ての例及び条件付の用語は、技術を進展するために発明者により寄与された本発明の原理及び概念を理解する際に読者を支援するための教示的な目的を意図しており、このように特に記載された例及び条件に限定されずに解釈されるべきである。
【0016】
更に、本発明の原理、態様及び実施例をここに記載する全ての表現と、その特定の例とは、この構造的及び機能的な均等物を含むことを意図する。更に、このような均等物は、現在知られている均等物と、将来開発される均等物(例えば、構造に拘らず同じ機能を実行するように開発された何らかの要素)とを含むことを意図する。
【0017】
従って、例えば、ここに示されたブロック図は、本発明の原理を具現する例示的な回路の概念図を表すことが、当業者にわかる。同様に、何らかのフローチャート、フロー図、状態遷移図、擬似コード等は、コンピュータ可読媒体に実質的に表され、コンピュータ又はプロセッサが明示的に記載されていようといまいと、コンピュータ又はプロセッサにより実行され得る様々な処理を表すことがわかる。
【0018】
図面に示す様々な要素の機能は、専用のハードウェア、及び適切なソフトウェアと関連してソフトウェアを実行することができるハードウェアの使用を通じて提供されてもよい。プロセッサにより提供されるときに、機能は、単一の専用プロセッサ、単一の共有プロセッサ、又は複数の個々のプロセッサにより提供されてもよい。複数の個々のプロセッサのいくつかは共有されてもよい。更に、“プロセッサ”又は“コントローラ”という用語の明示的な使用は、ソフトウェアを実行できるハードウェアを明示的に示すように解釈されるべきではなく、限定せずに、デジタルシグナルプロセッサ(DSP:digital signal processor)ハードウェア、ソフトウェアを格納する読み取り専用メモリ(ROM:read-only memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM:random access memory)、及び不揮発性記憶装置を暗示的に含んでもよい。
【0019】
他のハードウェア(通常のもの及び/又はカスタムのもの)も含まれてもよい。同様に、図面に示す何らかのスイッチは概念的なものに過ぎない。これらの機能は、プログラムロジックの動作、専用ロジック、プログラム制御の相互作用及び専用ロジックを通じて実行されてもよく、手動で実行されてもよい。特定の技術は、文脈から特にわかるように、実装者により選択可能である。
【0020】
請求項において、指定の機能を実行する手段として表されている何らかの要素は、例えば、a)その機能を実行する回路要素の組み合わせ、又はb)何らかの形式のソフトウェアを含み、従って、機能を実行するためにそのソフトウェアを実行する適切な回路と組み合わせたファームウェア、マイクロコード等を含み、その機能を実行する如何なる方法も含むことを意図する。このような請求項に記載の発明は、請求項が求めるように様々な記載の手段により提供される機能が結合されてまとめられるという事実にある。従って、これらの機能を提供することができる如何なる手段も、ここに示すものと等価であると考えられる。
【0021】
ゲーブル業界グループは、1Gbpsまでのデータダウンストリームを扱い、このデータを複数のQAM変調器に配信することができるCMTSの標準を開発した。しかし、CMTSを通じてビデオを同じエンドユーザに提供することは、データのみを提供するより、かなり多くのハードウェアを必要とする。従って、データストリームがCMTSにより処理された後にビデオをデータストリームに挿入することが好ましい。更に、データストリームへのビデオの挿入を扱うためにQAM変調器を使用することにより、各QAM変調器は、1つの送信回線上で単一の信号としてダウンストリームで送信される複数のデータストリームを結合してもよい。更に、複数のQAM変調器の出力信号は、送信回線上で送信するために一緒に多重されてもよい。
【0022】
一般的に、ダウンストリーム信号を同期し続けるために、CMTSは、プレースホルダー(placeholder)としてヌルIPパケットをデータストリームに挿入してもよい。IPパケットがデータペイロードと、特定のパケットがどのように扱われるかを示す制御ビットを有するヘッダ情報とを有することを、当業者はわかる。ヌルパケットは、制御ビットのセットを有さず、データペイロードは無視される。更に、ケーブルモデムシステムでは、CMTSは、制御パケットをケーブルモデム又はセットトップボックスに送信してもよい。DOCSIS準拠のケーブルモデムの場合、これらの制御パケットは、DOCSISデータパケットの形式になってもよい。ヌルパケットと制御パケットとの双方の場合、有利には、QAM変調器は、このようなパケットのペイロードにビデオデータを挿入してもよい。
【0023】
QAM変調器は、ビデオ用に少なくとも1つのチューナを有し、ケーブルモデム用に少なくとも1つを有すると共に、複数のダウンストリームチューナ又はデマルチプレクサを有するケーブルモデム又はセットトップボックスに配信するCMTSデータストリームとMPEG2ビデオストリームとを受け付けることができるエッジ装置である。
【0024】
システムアーキテクチャを構成する個々のブロック構成要素の詳細は、当業者にわかり、本発明を理解するためにのみ十分に詳細に説明される。
【0025】
詳細に図面を参照する。図面において、複数の図面を通じて同様の参照符号は同様又は同一の要素を示す。まず、図1を参照すると、本発明の一実施例に従ってケーブルモデム上でビデオを配信する例示的なシステム(システム)100が示されている。まず、データは、インターネット110又は他の通信ネットワークからCMTS120に通信される。1つの有用な実施例では、CMTS120は、デジタルパケット化データを、標準的な導線同軸ケーブル上で送信するのに適した信号に変換する。このことにより、システムは、顧客の施設に直接データを伝達する導線ケーブルへのアップグレードを必要とせずに、有利に既存のケーブルシステムを使用することが可能になり得る。しかし、エンドユーザの施設まで完全に敷設された光ファイバ回線が一般的になっているため、他の種類の送信媒体上で送信可能な信号を使用することも同様に、この原理により考えられる。
【0026】
CMTS120は、直交振幅変調器(QAM:Quadrature Amplitude Modulator)ブロックモジュール140にデータを通信する。1つの有用な実施例では、CMTS120は、ヌルパケットをデータ信号に挿入し、データ信号の空のセグメントを埋める。他の有用な実施例では、CMTS120は、ケーブルモデム170又はセットトップボックスを制御可能な制御パケットをデータストリームに追加してもよい。例えば、CMTS120は、制御パケットをセットトップボックスに送信し、セットトップボックスのIPアドレスを設定、更新又は管理してもよい。或る場合に、制御パケットは、完全なデータのペイロードを有さなくてもよく、データペイロードにデータを全く有さなくてもよく、IPヘッダが制御情報を有してもよい。
【0027】
ビデオデータ130もまた、QAMブロック140に通信される。QAMブロックは、CMTS120から受信したビデオデータ130とデータとを、単一の信号に結合し、単一の信号は、ケーブルトランスポート150上で複数のMDU((Multiple Dwelling Unit)160に通信される。各MDU160は、導入された複数のケーブルモデム(CM:cable modem)を有する。ケーブルモデム170は、セットトップボックス、スタンドアローン型ケーブルモデム、ネットワーキングルータ等でもよい。1つの有用な実施例では、ビデオデータは、IPパケットにカプセル化されてもよい。このようなIPカプセル化により、特定のセットトップボックスへのビデオデータのアドレス指定が可能になってもよく、既存のネットワーキング装置により有利に扱われてもよい。
【0028】
有利には、ケーブルモデム170は、データ信号又はビデオ信号を別々に取得する複数のチューナを有してもよい。1つの好ましい実施例では、ケーブルモデム170は、エンドユーザの住居に配置され、2つのチューナを有してもよい。1つのチューナは、入来する信号からデジタルインターネットデータを取得し、このようなデータをユーザのコンピュータ又は家庭内ネットワークにルーチングするように構成されることが好ましい。第2のチューナは、入来する信号からビデオデータを取得し、ユーザの住居のケーブル用(cable ready)セットトップボックス、ホームシアター用チューナ、テレビ等にビデオ信号をルーチングしてもよい。
【0029】
ケーブルモデム170はまた、テレビチャネル制御及び同調システムを有してもよい。ユーザは、ケーブルモデムと相互作用し、所望のテレビチャネルを選択し、ペイパービューコンテンツを購入する等してもよい。1つの好ましい実施例では、ケーブルモデムは、入来するデジタルビデオ信号を取得し、デジタルビデオ信号をテレビで表示可能な何らかの標準信号に組み立てるように構成されてもよく、テレビ信号をユーザのテレビのようなディスプレイに直接送信してもよい。
【0030】
一般的に、密集した人口の都市地域では、単一のケーブルはMDU160に達し、信号は、MDU160の個々のユニット毎にMDU160自体で分割される。MDU160は、集合住宅又は複合施設、マンション、2つ、3つ又は4つの家庭用住宅等の形式になってもよい。同様に、郊外地域では、単一のケーブルは、街区、区画内の家の部分集合、全体の部分集合等にサービス提供してもよい。MDU160への言及は、地理的に関係する住居のグループを単に表す点に留意すべきである。
【0031】
このような地域では、ケーブルは、近隣のケーブルスプリッタに信号を伝達してもよい。ケーブルスプリッタは、信号を分割し、ブロックの各家庭にサービス提供する。単一のケーブル上で利用可能な帯域幅を完全に利用するために、QAM変調器は、特定の物理ケーブルによりサービス提供されるケーブルモデム170又はエンドユーザ毎にチャネルを設定してもよい。ケーブルモデム170側では、各ケーブルモデム170は、単一のダウンストリームチャネル又は周波数を割り当てられる。各ケーブルモデム170はまた、アップストリーム通信に小さい周波数割り当てを共有する。
【0032】
次に図2を参照して、本発明の実施例に従ってビデオをデータストリームに挿入するシステムが説明される。1つの好ましい実施例では、Ethernet(登録商標)スイッチ220は、インターネット及び複数のビデオサーバ210からデータを受信する。有利には、Ethernet(登録商標)スイッチ220は、IPデータをCMTS120に通信してもよい。ここで、デジタルIPデータは、ケーブル上での送信に適した信号に変換される。Ethernet(登録商標)スイッチ220は、QAMブロック140の複数のMDU QAM250のうち1つに直接ビデオデータを渡してもよい。1つの有用な実施例では、Ethernet(登録商標)スイッチは、IPパケットのIPアドレスに基づいて、IPパケットにカプセル化されたビデオを特定のQAMブロック140にルーチングしてもよい。しかし、他の有用な実施例では、ビデオデータは、MDU QAMモジュール250に送信されてもよく、インターネットデータは、CMTS120に送信されてもよい。これにより、Ethernet(登録商標)スイッチの必要性を完全に除去する。Ethernet(登録商標)スイッチ220を除去するために、インターネットデータがCMTS120で受信される前に適切にルーチングして扱われる必要があることを、当業者はわかる。
【0033】
CMTS120はまた、ケーブル用信号をMDU QAMモジュール250に渡してもよく、これにより、ビデオサーバ210からのビデオストリームは、CMTS120により処理されるデータストリームに追加されてもよい。代替として、ビデオサーバ210は、ビデオデータをQAMブロック140のMDU QAMモジュール250に通信してもよい。1つの有用な実施例では、ビデオサーバ210は、CaptivaTMビデオサーバ、標準のヘッドエンドビデオサービス装置等でもよい。
【0034】
MDU QAMモジュール250は、CMTS120からのIPデータ信号と、ビデオサーバ210からのビデオデータ信号とを結合し、結合された信号をダイプレクサ240に出力する。ダイプレクサは、反対方向に移動するデータストリームを扱うために頻繁に使用され、データ通信分野の当業者に周知である。
【0035】
有用な実施例では、ダイプレクサ240は、QAMブロック140の複数のMDU QAMモジュール250からダウンストリームデータを受け付けてもよい。ダイプレクサ240は、ケーブル150上でダウンストリームデータをユーザのケーブルモデム170に送信する。ダイプレクサ240はまた、ケーブルからアップストリームデータトラヒックを受信してもよい。データは、ケーブル150上でエンドユーザのケーブルモデムから送信された要求、ファイル転送、又は他の種類のデータを表す。これらは、CMTS120に送信されてもよい。
【0036】
CMTS120から離れたQAMモジュール250と共にダイプレクサを使用することにより、CMTS120は、ビデオセットトップボックスを対象とした何らかのダウンストリームビデオデータを扱うことを回避することが可能になる。従って、CMTS120は、ケーブルモデムからのアップストリームデータ及びケーブルモデムで終端するダウンストリームインターネットデータのみを扱う。
【0037】
1つの好ましい実施例では、QAMブロック140は、単一のプロセッサ、回路等に具現された1つ以上のMDU QAMモジュール250を有してもよい。例えば、単一のQAMブロック140は、単一のフィールドプログラマブルゲートアレイチップに4つのMDU QAMモジュール250を有してもよい。各MDU QAMモジュール250は、チップの他のものと別々に動作する。
【0038】
タイミング同期器230は、タイミング信号を各MDU QAMモジュール250に送信してもよい。1つの有用な実施例では、タイミング信号は、MDUブロック140の他のMDU QAMの出力信号のタイミングと、多重された出力信号の位相(又は時期)とを同期するために、各MDU QAMモジュール250により使用される。他の有用な実施例はまた、MDU QAMモジュール250内に提供された全てのチャネルを同様に同期するために使用されるタイミング同期器230からの信号を含んでもよい。複数のMDU QAMモジュール250を通じた同期と、各MDU QAMモジュール250内のチャネル同期とを結合し、複数のMDU QAMモジュール250を通じたチャネルが同様に同期されることを確保することが更に有利になり得る。MDU QAMモジュール250はタイムスロットの位相シフトされた方法で信号を多重するため、チャネルの同期は、データ劣化のない適切な送信に有用になる。
【0039】
1つの有用な実施例では、QAM変調器340は、2つ、4つ、8つ以上の結合されたデータ及びビデオストリームを別々のチャネルに変調してもよい。タイミング信号は、出力ストリームで重複しないように各チャネルのビットを同期するために使用される。有利には、各ケーブルモデム170はまた、別々のビデオデータチャネルを割り当てられてもよい。このように、この原理により、個々のケーブルモデム170毎に(従って、個々の顧客毎に)ビデオ信号のカスタマイズ化及び細かいユーザ管理が可能になる。
【0040】
QAMモジュール250は、複数のビデオストリームを単一のローカル終端点に配信するために使用されてもよい。1つの有用な実施例では、ケーブル150は、CMTS120が存在するケーブルオペレータの中央局又はローカルサービス施設から1つ以上のMDU160に敷設される。既存のケーブルインフラストラクチャは、それぞれの既存の住居に設置された専用のケーブルを部分的に含むため、双方のアップストリーム及びダウンストリームデータは、同じケーブル上で送信されてもよい。他の有用な実施例では、複数のQAMモジュール250の出力信号は、単一のケーブル上で送信されてもよい。各QAMモジュール250は、他のQAMモジュール250と異なる一式の周波数で、それぞれの出力信号を変調する。このことにより、MDU160の装置は、特定のMDU160を対象とした単一のQAMモジュール250の出力信号をうまくフィルタ除去することが可能になる。MDUに到達するフィルタリングされたQAMモジュール250の出力信号は、個々のケーブルモデム150を対象としたチャネル又は信号に更に分割されてもよい。
【0041】
図3は、本発明の例示的な実施例によるQAMモジュール250を示している。QAMモジュール250について更に詳細に説明する。QAMモジュール250は、主にQAM変調器350で構成されてもよく、また、CMTSインタフェース310とIPインタフェース320とを有してもよい。特に有用な実施例では、CMTSインタフェース310は、CMTS120からの送信を扱ってもよい。同様に、IPインタフェース320は、ビデオサーバ210及び/又はEthernet(登録商標)スイッチ220からのIP及びビデオデータを扱う。
【0042】
1つの有用な実施例では、QAM変調器350は、QAM変調器350が便宜的にビデオデータを挿入し得るヌル又は制御パケットについて、CMTSインタフェース310からの入来するデータ信号を分析可能でもよい。
【0043】
QAMモジュール250は、IPインタフェース320を通じてビデオサーバ210からビデオIPパケットを受信することが好ましい。この後に、QAM変調器350は、全体のIPパケットを制御又はヌルパケットにカプセル化してもよい。しかし、QAMモジュール250はまた、制御又はヌルパケットに既にカプセル化されたビデオデータをビデオサーバ210から受信してもよい。双方の場合に、QAM変調器350は、制御又はヌルパケットにカプセル化されたビデオに送信用のデータストリームを挿入する。例えば、CMTSがDOCSIS標準に準拠する場合、QAM変調器350は、ビデオデータを含み、ビデオサーバ210から受信されたIPパケットを、DOCSIS準拠のデータパケットにカプセル化してもよい。ビデオサーバ210はまた、ビデオデータペイロードを有するIPパケットをDOCSIS準拠のデータパケットにカプセル化するように構成されてもよい。DOCSIS準拠のデータパケットは、QAMモジュール250に渡され、QAM変調器350は、DOCSIS準拠のパケットをデータストリームに挿入し、これがケーブルモデム170に送信される。DOCSISパケットにカプセル化されたビデオパケットを受信すると、ケーブルモデム170は、DOCSISカプセル化を除去し、元のビデオパケットを生じる。有利には、元のビデオパケットは、ケーブルモデムにより処理され、次にビデオデータがエンドユーザに表示されてもよい。
【0044】
有利には、QAM変調器350は、IPインタフェース320から受信したIPパケットにカプセル化された完全なビデオパケットでヌルパケットを完全に上書きすることにより、ビデオデータを挿入してもよい。代替として、QAM変調器350は、ビデオデータを制御パケットに挿入してもよい。他の有用な実施例では、QAM変調器350は、制御パケットが完全又は部分的に空のデータペイロードを有することを検出し、制御パケットの空の部分にビデオデータを挿入してもよい。
【0045】
QAMモジュール250はまた、タイミング信号を受信し、QAM変調器340のタイミングを同期し、次にQAMモジュール250自体を同期する時間同期インタフェース330を含んでもよい。時間同期インタフェース330は、ダウンストリーム信号のタイミングを調整し、アップストリーム信号又は他のQAMモジュール250と同期するために、QAM変調器340により使用される。1つの好ましい実施例では、アップストリーム信号は、タイムスロットのシステム又は時間多重システムで動作し、この原理により、既存のアップストリームデータ転送プロトコルと干渉せずに、又はこれに変更を必要とせずに、ダウンストリーム信号は、有利にビデオデータを伝達することが可能になる。
【0046】
QAMモジュール250はまた、QAM変調器340と双方向通信する遠隔管理モジュール350を有してもよい。1つの好ましい実施例では、遠隔管理モジュール340により、管理者は、特定のQAMモジュール250によりサービス提供される1つ以上のケーブルモデム170にサービスを遠隔で変更、監視又は開始することが可能になる。
【0047】
QAM変調器340がCMTSインタフェース310及びIPインタフェース320からの信号を処理した後に、QAM変調器は、結合された信号を任意選択のアップコンバータ360に送信してもよい。アップコンバータは、ビデオ信号を受け取り信号を高い解像度の信号に変換する装置として、当業者に知られている。
【0048】
例えば、アップコンバータは、デジタルビデオディスク(DVD)プレイヤのような装置からの信号を、HDTV(High-Definition Television)で使用されるような高い解像度の出力信号に変換するために頻繁に使用される。更に他の同様に有用な実施例では、アップコンバータ360は、任意選択で、IPインタフェース320とQAM変調器340との間に配置され、IPインタフェース320を通じて送信されたビデオ信号を処理し、信号を出力370に送信してもよい。1つの有用な実施例では、出力370は、MDU160に敷設されたケーブル150に接続される。信号は、ケーブルモデム170又はセットトップボックス毎の別々の信号に分割される。
【0049】
従って、前述の図面及び説明から、ビデオ信号を配信する方法は、CMTS120からデジタルデータ信号を受信し、CMTS120がデジタルビデオ信号を扱わないように、ビデオサーバ210からデジタルビデオ信号を受信し、デジタルビデオ信号からのデータをデジタルデータ信号に挿入し、出力信号を生成し、出力信号をケーブルモデム170に送信することを有してもよい。更に、この方法は、直交振幅変調処理を使用して複数の出力信号を多重し、多重された出力信号を生成することを更に有してもよく、出力信号の送信は、多重された出力信号を複数のケーブルモデム170に送信することである。ビデオ信号からのデータは、ビデオデータをIPパケットに挿入してIPパケットをデジタルデータ信号に挿入することにより、又はビデオデータを含むIPパケットをデータパケットにカプセル化してデータパケットをデジタルデータ信号に挿入することにより、デジタルデータ信号に挿入されてもよい。
【0050】
デジタルビデオデータを複数のケーブルモデムに送信するシステム及び方法の好ましい実施例について説明したが(これらは例示的を意図しており、限定ではない)、上述の教示を鑑みて当業者に変更及び変形が行われ得る点に留意すべきである。従って、特許請求の範囲により示される本発明の要旨及び範囲内にあると開示された本発明の特定の実施例に変更が行われてもよいことがわかる。詳細に特に特許法により要求される発明について説明したが、特許法により保護されることを請求及び要求するものは、特許請求の範囲に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施例に従ってケーブルモデム上でビデオを配信する例示的なシステムのブロック図
【図2】本発明の実施例に従ってビデオをデータストリームに挿入する例示的なシステムのブロック図
【図3】本発明の例示的な実施例に従った直交振幅変調器を示すブロック図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
終端器から少なくとも1つの第1のデータ信号を受信し、前記終端器以外から少なくとも1つの第2のデータ信号を受信し、前記少なくとも1つの第1のデータ信号と前記少なくとも1つの第2のデータ信号とを、複数のモデムに配信する複数のデータチャネルを有する出力信号に結合する複数の変調器を含み、
前記少なくとも1つの第2のデータ信号は、前記終端器を迂回するシステム。
【請求項2】
前記出力信号の前記データチャネルを同期する同期器を更に有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第2のデータ信号は、ビデオ信号を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記複数の変調器は、前記少なくとも1つの第1のデータ信号で前記少なくとも1つの第2のデータ信号を変調し、前記出力信号を形成する直交振幅変調器である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記出力信号は、ケーブルモデムである前記複数のモデムに送信され、
前記複数のケーブルモデムのそれぞれは、前記複数のデータチャネルの1つに関連する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記複数の変調器のそれぞれは、前記第1のデータ信号の少なくとも1つと、前記ビデオ信号の1つとを使用し、前記複数のケーブルモデムの1つに関連するデータチャネルを形成するように構成される、請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記複数の変調器の前記データチャネルのそれぞれは、所定の地理的領域の前記複数のケーブルモデムの1つに関連する、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記所定の地理的領域は、MDU(Multiple Dwelling Unit)を含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記複数のモデムから送信回線上で複数のアップストリームデータ信号を受信し、前記アップストリームデータ信号を前記終端器に送信するように構成されたダイプレクサを更に含み、
前記複数のアップストリームデータ信号は、前記複数の変調器を迂回し、
前記ダイプレクサは、前記複数の変調器から1つ以上の出力データ信号を受信し、前記1つ以上の出力データ信号を前記送信回線上で前記複数のモデムに送信するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記複数の変調器は、前記第1のデータ信号のそれぞれを分析し、前記第2のデータ信号からのデータを前記少なくとも1つの第1のデータ信号に選択的に挿入し、前記出力信号を生成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記複数の変調器は、DOCSIS(Data-Over-Cable Service Interface Specification)準拠のパケットにビデオデータをカプセル化することにより、前記少なくとも第1のデータ信号にデータを挿入するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記複数の変調器は、ヌルインターネットプロトコル(IP)パケットにビデオデータを挿入することにより、前記複数の第1のデータ信号のうち1つ以上にデータを挿入するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記複数の変調器は、制御パケットに前記ビデオデータを挿入することにより、前記複数の第1のデータ信号のうち1つ以上にデータを挿入するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
複数の第1のデータ信号を送信するように構成された終端器と、
前記終端器からのダウンストリームに配置され、前記終端器から前記複数の第1のデータ信号のうち1つ以上を受信し、異なるソースから1つ以上の第2のデータ信号を受信するようにそれぞれ構成された複数の変調器であり、前記複数の変調器のそれぞれは、前記複数の第1のデータ信号のうち1つ以上と前記1つ以上の第2のデータ信号とを、複数のデータチャネルを有する出力信号に結合するように構成され、前記出力信号は、前記1つ以上の第2のデータ信号が前記終端器を迂回する複数のケーブルモデムに配信される複数の変調器と、
前記複数のケーブルモデムからの送信回線上で複数のアップストリームデータ信号を受信し、前記複数のアップストリームデータ信号を前記終端器に送信するように構成されたダイプレクサと
を含み、
前記複数のアップストリームデータ信号は、前記複数の変調器を迂回し、
前記ダイプレクサは、前記複数の変調器から1つ以上の出力データ信号を受信し、
前記送信回線上で前記1つ以上の出力データ信号を前記複数のケーブルモデムに送信するように構成されるビデオ配信システム。
【請求項15】
前記複数の変調器は、DOCSIS(Data-Over-Cable Service Interface Specification)準拠のパケットにビデオデータをカプセル化することにより、前記複数の第1のデータ信号のうち1つ以上にデータを挿入するように構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記複数の変調器は、前記複数の第1のデータ信号のそれぞれを分析し、前記1つ以上の第2のデータ信号からのデータを、前記複数の第1のデータ信号のうち1つ以上の制御パケットに便宜的に挿入し、前記出力信号を生成する、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
終端器から少なくとも1つの第1のデータ信号を受信し、
少なくとも1つのビデオサーバからデジタルビデオデータを含む少なくとも1つのデジタルビデオ信号を受信し、前記少なくとも1つのデジタルビデオ信号は前記終端器を迂回し、
前記少なくとも1つのデジタルビデオ信号からのデータを前記少なくとも1つのデジタルデータ信号の1つに挿入し、出力信号を生成することを含むビデオ配信方法。
【請求項18】
前記出力信号をモデムに送信することを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
直交振幅変調処理を使用して複数の出力信号を多重し、多重された出力信号を生成することを更に含み、
前記出力信号を送信することは、ケーブルモデムである複数のモデムに前記多重された出力信号を送信することである、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記挿入することは、インターネットプロトコル(IP)パケットに前記デジタルビデオデータを挿入し、前記IPパケットを前記少なくとも1つの第1のデータ信号に挿入することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記挿入することは、ビデオデータを含むインターネットプロトコル(IP)パケットをデータパケットにカプセル化し、前記データパケットを前記少なくとも1つの第1のデータ信号に挿入することを含む、請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−531963(P2009−531963A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−502770(P2009−502770)
【出願日】平成19年1月12日(2007.1.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/000889
【国際公開番号】WO2007/111764
【国際公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing 
【住所又は居所原語表記】46 Quai A. Le Gallo, F−92100 Boulogne−Billancourt, France
【Fターム(参考)】