説明

ケーブル入線用潤滑剤塗布器具

【課題】
配管にケーブルを入線する作業の際に使用する潤滑剤の量を少なくし、作業効率を向上させること、であり、作業環境を潤滑剤で汚す事を防止するケーブル入線用潤滑剤塗布器具を提供することである
【解決手段】
本発明のケーブル入線用潤滑剤塗布器具は、開閉するケーシングと、ケーシングの内部に配置されて潤滑剤をケーブルに塗布可能なブラシと、潤滑剤を含浸可能な多孔質の潤滑剤含浸部材と、を有する。入線するケーブルをケーシングの中に通す。潤滑剤をケーシング内に供給しながら、ケーブルをケーシングの中を通過させることにより、ケーブルの外周面に、潤滑剤を塗布する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管の中にケーブルを挿入するケーブル入線作業の際の、ケーブルの外周面に潤滑剤を塗布するケーブル入線用潤滑剤塗布器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ケーブル入線作業の時に、ケーブルの外周面に潤滑剤を塗布する技術として、ケーブル入線用潤滑剤塗布装置が提唱されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−042416号公報
【特許文献2】実用新案登録 第3152616号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述したケーブル入線用潤滑剤塗布装置を使用した場合、潤滑剤をケーシング内の潤滑剤含浸部材に十分に潤滑剤を含浸させてから作業を行う為、潤滑剤含浸部材に潤滑剤を含浸させる分の潤滑剤がおおく必要になる。潤滑剤の使用する量が多ければ、作業後の潤滑剤含浸部材に潤滑剤を含浸させた潤滑剤の処理も必要である。
【0005】
本発明は、上記の問題を解決するための物であり、その目的とするところは、配管に新たにケーブルを入線するに際して作業効率を向上させ、使用する潤滑剤の量を少なくする事である。ケーシング内に潤滑剤含浸部材だけでなく、ブラシを使用する事で、使用する潤滑剤を減少させる事が可能である。また、ケーシング内の潤滑剤含浸部材に、十分に潤滑剤が含浸した場合は、潤滑剤のケーシング内への供給を停止し、潤滑剤含浸部材に含浸された潤滑剤をケーブル外周面に塗布する事ができる。この事により、使用する潤滑剤を少なくし、効率的に入線作業ができる。このように、潤滑剤の無駄を少なくし、また作業環境を潤滑剤で汚す事を防止可能なケーブル入線用潤滑剤塗布器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はその課題を解決するために以下のような構成をとる。請求項1の考案に係るケーブル入線用潤滑剤塗布器具は、ケーブルの外周面に潤滑剤を塗布するケーブル入線用潤滑剤塗布器具であって、上蓋及び下蓋を有して開閉可能なケーシングと、当該ケーシングの内部に配置されて潤滑剤をケーブル外周面に塗布可能なブラシと、潤滑剤を含浸し潤滑剤をケーブル外周面に塗布可能な多孔質の潤滑剤含浸部材と、を有し、前記ケーシングは、前記ブラシと前記潤滑剤含浸部材に潤滑剤を供給する潤滑剤供給口と、ケーブル入口と、ケーブル出口と、を有し、前記潤滑剤供給口は、潤滑剤供給量調整器に接続され、前記潤滑剤供給量調整器は、潤滑剤供給源に接続されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明に係るケーブル入線用潤滑剤塗布器具は、前記ケーシングの上蓋内部に配置されて、潤滑剤をケーブル外周面に塗布可能なブラシと、下蓋内部に配置されて、潤滑剤を含浸し潤滑剤をケーブル外周面に塗布可能な多孔質の潤滑剤含浸部材とを、有す。
【0008】
請求項3の発明に係るケーブル入線用潤滑剤塗布器具は、前記ケーシングは、前記ケーシングを配管の開口端に固定する配管固定ガイドを、有する。
【0009】
ケーブルを挿入する配管の開口端側をケーブル挿入側とする。ケーブルを引き出す配管の開口端側をケーブル引き出し側とする。作業員を、配管の両方の開口端側に配置する。ケーブルを配管の中に入線する際は、まず、ケーブル引き線を配管の中にケーブル挿入側の開口端からケーブル引き出し側の開口端まで、通しておく。ケーブル入線用潤滑剤塗布器具は、ケーブル挿入側で、使用する。入線するケーブルをケーブル挿入側に準備する
【0010】
そしてケーブルの端部とケーブル引き線の端部を接続する。ケーブル挿入側の作業員は、ケーブルが接続されたケーブル引き線を、ケーシングのケーブル入口とケーブル出口に合わせて、入れる。その際ケーシングの向きは、ケーブル出口を、これから入線する配管側に向ける。ケーシングの上蓋と下蓋を閉める。ケーシングに取り付けてあるバンドで、ケーシングが開かないように、固定する。ケーブルを入線する配管の開口端を、配管固定ガイドに合わせて配管固定バンドで固定する。
【0011】
そして潤滑剤供給量調整器を調整し潤滑剤供給源よりケーシング内に潤滑剤を供給する。潤滑剤は、ケーシング内で潤滑剤供給口からブラシや潤滑剤含浸部材に、付着する。ケーブル外周面は、ケーシング内を通過する際、ブラシと潤滑剤含浸部材に接触する。潤滑剤が付着したブラシや潤滑剤含浸部材がケーブル外周面に接触し潤滑剤が、ケーブル外周面に、塗布される。ケーブルをケーブル出口側から引き出すと、この引き出されたケーブルの外周面には潤滑剤が塗布されている。
【0012】
ケーブル挿入側の作業員が、ケーブルを入線する配管へ送り出す。ケーブル引き出し側の作業員が、ケーブル引き線を、配管の開口端から引き出す。その際、ケーブル挿入側の作業員は、ケーブルをケーシングの中を通過させ、配管に送り出す。ケーブルを送り出す際、潤滑剤をケーシング内部に供給する。ケーシングの中を通過しケーブル出口から引き出されたケーブルの、外周面には、潤滑剤が塗布されている。潤滑剤を塗布されたケーブルが、ケーブル引き線に引っ張られて、配管の中に入線される。潤滑剤含浸部材に十分に潤滑剤が含浸されたら、潤滑剤供給量調整器により、ケーシング内への潤滑剤の供給を停止する。潤滑剤のケーシング内への供給を停止しても、潤滑剤含浸部材に含まれた潤滑剤によりケーブルの外周面への、潤滑剤の塗布が可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明のケーブル入線用潤滑剤塗布器具の効果は次の通りである。ケーブルをケーシングの中に入れる。潤滑剤を潤滑剤供給口からケーシング内へ供給する。ケーブルをケーブル入口から、ケーブル出口へ通過させる事により、簡単にケーブルの外周面に潤滑剤を塗布する事ができる。潤滑剤含浸部材に潤滑剤が十分に含浸された場合は、潤滑剤のケーシング内への供給を停止しても、潤滑剤剤含浸部材に含まれた潤滑剤によりケーブルの外周面に潤滑剤の塗布が可能である。その為、使用する潤滑剤の量を少なくし、潤滑剤をケーブル外周面に効率よく塗布し、入線作業ができる。また、潤滑剤で、手や作業場を汚す事が無く、効率よく入線作業ができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ケーブル入線用潤滑剤塗布器具の斜視図である。
【図2】ケーシングの上蓋、下蓋内部の斜視図である
【図3】ケーブル入線作業の準備と作業員の配置図である。
【図4】ケーシングの中にケーブルを接続したケーブル引き線を通す手順を説明するケーブル入線用潤滑剤塗布器具の説明図である。
【図5】ケーブルを接続したケーブル引き線をケーシング内に通したケーブル入線用潤滑剤塗布器具の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1から図2を参照しつつケーブル入線用潤滑剤塗布器具1の構成を説明する。ケーブル入線用潤滑剤塗布器具1は、ケーシング2内部の潤滑剤含浸部材3とブラシ4と、潤滑剤をブラシ4と潤滑剤含浸部材3に供給する潤滑剤供給口5と、を有している。ケーシング2には、開閉可能な上蓋6と下蓋7がある。ケーシング2には、ケーシング2を閉めた時、固定するバンド8が取り付けてある。潤滑剤供給口5には潤滑剤を供給する為の、潤滑剤供給源9が付いる。潤滑剤供給源9と潤滑剤供給口5の間には潤滑剤供給量調整器10が設けられている。潤滑剤供給源9には、潤滑剤が充填されている。ケーシング2には、ケーブルを入れる為の、ケーブル入口11とケーブル出口12がある。ケーシング2は、ケーシング2を配管14の開口端に固定する配管固定ガイド19を有する。配管固定ガイド19は、配管14の開口端にケーシング2を固定する配管固定バンド20を有する。
【実施例1】
【0016】
ケーブル入線用潤滑剤塗布器具1の使用方法について図3、図4、図5、を用いて説明する。
【0017】
まず、ケーブル13を配管14に入線する際の、作業員17の配置とケーブル入線前の準備を、図3を用いて説明する。ケーブル13を挿入する配管14の開口端側をケーブル挿入側15とする。ケーブル13を引き出す配管14の開口端側をケーブル引き出し側16とする。作業員17を、配管14の両方の開口端側に配置する。ケーブル13を配管14の中に入線する際は、まず、ケーブル引き線18を、ケーブル挿入側15の配管14の開口端から、ケーブル引き出し側16の配管14の開口端まで、通しておく。
【0018】
配管14に入線するケーブル13をケーブル挿入側15に準備する。配管14の中に通したケーブル引き線18の端部に、ケーブル13の端部を取れないように接続する。ケーブル入線用潤滑剤塗布器具1は、ケーブル挿入側15で使用する。上記が、作業員17の配置とケーブル入線作業前の準備である。
【実施例2】
【0019】
ケーシング2の中にケーブル13が接続されたケーブル引き線18を、を通し、潤滑剤をケーブル13に塗布しながら、ケーブル13を配管14に、入線する為のケーブル入線用潤滑剤塗布器具1の使用方法について、図3、図4、図5を用いて説明する。まず(実施例1)の様に、作業員17の配置とケーブル入線前の準備をする。ケーブル挿入側15の作業員17は、ケーシング2の、上蓋6と下蓋7を開き、ケーブル13が接続されたケーブル引き線18を、ケーブル入口11とケーブル出口12に合わせて、ケーシング2の中に、設置する。その際ケーシング2の向きは、ケーブル出口12を、これから入線する配管14側に向ける。ケーシング2の上蓋6と下蓋7を閉める。ケーシング2に取り付けてあるバンド8で、ケーシング2が開かないように、固定する。ケーブル13を入線する配管14の開口端を、配管固定ガイド19に合わせて配管固定バンド20で固定する。配管14の開口端にケーシング2を固定することにより、作業が効率的になる。
【0020】
ケーブル挿入側15の作業員17は、潤滑剤供給量調整器10を調整し潤滑剤供給源9からケーシング2内に供給される潤滑剤の量を調整する。このことにより潤滑剤を、潤滑剤供給口5から、ケーシング2内に、その時に適した必要な量を供給する事が出来る。潤滑剤は、ケーシング2内で潤滑剤供給口5からブラシ4や潤滑剤含浸部材3に、付着する。ケーブル13の外周面は、ケーシング2内を通過する際、ブラシ4と潤滑剤含浸部材3に接触する。潤滑剤が付着したブラシ4や潤滑剤含浸部材3がケーブル13の外周面に接触し潤滑剤が、ケーブル13の外周面に、塗布される。ケーブル13の外周面への潤滑剤の塗布に際し、必要以上の潤滑剤は、潤滑剤含浸部材3に含浸される。
【0021】
ケーブル引き出し側16の作業員17が、ケーブル引き線18を、配管14の開口端から引き出す。その際、ケーブル挿入側15の作業員17は、ケーブル13をケーシング2の中を通過させ、配管14に送り出す。ケーブル13を送り出す際、潤滑剤がケーシング2内に供給される。ケーブル13がケーブル引き線18に引っ張られて、ケーブル出口12から引き出される。ケーシング2の中を通過しケーブル出口12から引き出されたケーブル13の、外周面には、潤滑剤が塗布されている。潤滑剤を塗布されたケーブル13が、ケーブル引き線18に引っ張られて、配管14の中に入線される。潤滑剤含浸部材3に十分に潤滑剤が含浸されたら、潤滑剤供給量調整器10により、潤滑剤の供給を停止する。潤滑剤のケーシング2内への供給を停止しても、潤滑剤含浸部材3に含まれた潤滑剤によりケーブル13の外周面への、潤滑剤の塗布が可能である。

【産業上の利用可能性】
【0022】
ケーブルに限らず、長く通しづらい、筒状の物に、物を通すさい、利用できる。
【符号の説明】
【0023】
1 ケーブル入線用潤滑剤塗布器具
2 ケーシング
3 潤滑剤含浸部材
4 ブラシ
5 潤滑剤供給口
6 上蓋
7 下蓋
8 バンド
9 潤滑剤供給源
10 潤滑剤供給量調整器
11 ケーブル入口
12 ケーブル出口
13 ケーブル
14 配管
15 ケーブル挿入側
16 ケーブル引き出し側
17 作業員
18 ケーブル引き線
19 配管固定ガイド
20 配管固定バンド


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルの外周面に潤滑剤を塗布するケーブル入線用潤滑剤塗布器具であって、
上蓋及び下蓋を有して開閉可能なケーシングと、当該ケーシングの内部に配置されて潤滑剤をケーブル外周面に塗布可能なブラシと、潤滑剤を含浸し潤滑剤をケーブル外周面に塗布可能な多孔質の潤滑剤含浸部材と、を有し
前記ケーシングは、前記ブラシと前記潤滑剤含浸部材に潤滑剤を供給する潤滑剤供給口と、ケーブル入口と、ケーブル出口と、を有し、
前記潤滑剤供給口は、潤滑剤供給量調整器に接続され、前記潤滑剤供給量調整器は、潤滑剤供給源に接続されていることを特徴とするケーブル入線用潤滑剤塗布器具。
【請求項2】
前記ケーシングの上蓋内部に配置されて、潤滑剤をケーブル外周面に塗布可能なブラシと、下蓋内部に配置されて、潤滑剤を含浸し潤滑剤をケーブル外周面に塗布可能な多孔質の潤滑剤含浸部材とを、有すことを特徴とする請求項1、記載のケーブル入線用潤滑剤塗布器具。
【請求項3】
前記ケーシングは、前記ケーシングを、配管の開口端に固定する配管固定ガイドを、有することを特徴とする請求項1、記載のケーブル入線用潤滑剤塗布器具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−35165(P2012−35165A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175806(P2010−175806)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(307032892)
【Fターム(参考)】