説明

ケーブル分岐金具用カバー

【課題】ケーブル分岐金具を被覆する被覆作業が簡単に行え作業性に優れ、しかも、その絶縁性に個人差がなくなり、安全上好ましいケーブル分岐金具用カバーを提供する。
【解決手段】開放面が向き合う合成樹脂製の一対の半裁体1a,1bの一端をヒンジ部2により連結し、そのヒンジ部2を中心とし自在に開閉してケーブル分岐金具Bに被覆できるようにし、各半裁体1a,1bの開放面の両側縁に架空電線Dが引き出される引出口9を開設し、各半裁体1a,1bの所定の位置に両半裁体1a,1bを閉じたとき互いに係脱自在に係合し得る係合部12と被係合部13をそれぞれ設け、少なくとも一方の半裁体1aの外周面には間接活線工具Cの把持部42の先端部を挿通して挟着できる差込部14と該差込部14から一定の間隔離れた位置に設けられ差込部14に先端部を挿通した状態で把持部42から伸びる支持杆41を受け止める受止凹部15とを設けて構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架空電線の電気工事のため該架空電線にケーブル分岐金具を用いてバイパス線を繋ぐ場合、その接続部となるケーブル分岐金具を被覆するためのケーブル分岐金具用カバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば架空電線の一個所で事故が発生し、その個所を含めた一定範囲の電気を遮断して修復工事を行なう場合、工事期間の間に周囲に迷惑を掛けないようにするため架設電線に事故個所を迂回するようにしてバイパス線を張設するようにしている。このバイパス線としては、両端に金属製のケーブル分岐金具を取着したケーブルが使用され、各ケーブル分岐金具は架空電線の所定位置であって被覆層を剥がした銅線である芯線に取着される。そして、これらケーブル分岐金具を取着した接続部は充電部となり非常に危険であるので、その上から合成樹脂製のシートを巻き、更に、該シートの上から幾重にもビニルテープを巻き付け、合成樹脂製のシートによってケーブル分岐金具が外部から見えない程にしっかりと覆うようにしている。このような方法では、その被覆作業や修復作業が終了した後の取り外し作業が面倒であって手間取るばかりか時間も掛り、作業性が悪かった。また、バイパス線を架設する作業は作業者が直接手で作業するため、その間、電線の電流を遮断しなければならず、その周囲に迷惑を掛けることになる。更に、ビニルテープの締付力には作業者の個人差が有り、これによって充電部である接続部の絶縁性にも差が生じることになる。しかしながら、この絶縁性について差が生ずることは安全上好ましいことではない。
【0003】
そこで、前記方法における課題の解決策として、例えば、次のような防護カバーが有る。すなわち、この防護カバーは、柔軟な矩形の絶縁シートの外表面にねじりバネを装着したシート固定用ハサミを一体に設け、間接活線工具を使い遠隔操作によりシート固定用ハサミを操作し絶縁シートと共に充電部を挟むようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平9−191518号公報(第2−3頁、図1、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1の防護カバーにあっては、工事期間を含めて架空電線の電線を遮断する必要性が無いことから、工事付近に迷惑を掛ける心配はないが、矩形状に成形され下方が開放しており、バイパス線の接続部がT字形をしている充電部を被覆するには危険性が高い。しかも、間接活線工具を用いてシート固定用ハサミを遠隔的に操作するには、シート固定用ハサミから滑って間接活線工具の先端が外れたり、これにより絶縁シートを誤って落下させてしまうといった危険性があり、作業性が良くないという課題がある。
【0005】
そこで、本発明は、前記課題を解決すべくなされたもので、架空電線の電流を遮断することなく作業ができ、しかも、接続部となるケーブル分岐金具を被覆する被覆作業が簡単に行え作業性に優れ、その絶縁性に個人差もなくなり、安全上好ましいケーブル分岐金具用カバーを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するため本発明に係るケーブル分岐金具用カバーは、所定の大きさを有すると共に開放面が向き合う合成樹脂製の一対の半裁体からなり、前記両半裁体の一端をヒンジ部により連結し、前記ヒンジ部を中心とし前記一対の半裁体を自在に開閉してケーブル分岐金具に被覆するようにしたケーブル分岐金具用カバーであって、前記各半裁体の開放面の両側縁に架空電線が引き出される引出口を開設し、前記各半裁体の所定位置に両半裁体を閉じて合わせたとき互いに係脱自在に係合し得る係合部と被係合部をそれぞれ設け、少なくとも前記一方の半裁体の外周面には間接活線工具の把持部の先端を挿通する差込部と該差込部から一定の間隔離れた位置に設けられ前記差込部に前記先端を挿通した状態で前記把持部から伸びる支持杆を受け止める受止凹部とを設けたことを特徴とする。
【0007】
この際、前記一方の半裁体の開口面の両側縁に、他方の半裁体側へ突出しかつ両側縁が先端に向うに従って漸次窄まるように傾斜する案内片を設けることが好ましい。
【0008】
また、前記一方の半裁体の内周面に、前記ケーブル分岐金具に接続される前記ケーブルの両側に位置して該ケーブルの揺動動作を規制し得る規制凸部を設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るケーブル分岐金具用カバーは、各半裁体の所定位置に両半裁体を閉じて合わせたとき互いに係脱自在に係合し得る係合部と被係合部をそれぞれ設けると共に、少なくとも一方の半裁体の外周面に設けた差込部に間接活線工具の把持部の先端を挿通すると共に受止凹部に把持部から伸びる支持杆を受け止めさせるようにしている。よって、架空電線の電流を遮断することなく作業ができ、しかも、ケーブル分岐金具用カバーが間接活線工具に二点で支持されると共に先端が差込部に挿通されることから、ケーブル分岐金具用カバーが間接活線工具に極めて安定した状態で取り付けられる。これにより、ケーブル分岐金具用カバーを誤って落下させるおそれもなく、ケーブル分岐金具用カバーがケーブル分岐金具に被覆し易く作業性が向上する。また、所定の大きさ・形状のケーブル分岐金具用カバーを使用することから絶縁性に個人差も無く安全上好ましい。
【0010】
また、一方の半裁体の開口面の両側縁に他方の半裁体側へ突出しかつ両側縁が先端に向うに従って漸次窄まるように傾斜する案内片を設けたので、ケーブル分岐金具にケーブル分岐金具用カバーを被覆したり取り外すとき、架空電線が案内片の傾斜した側縁に当接し、両半裁体を自動的に開かせることになり、ケーブル分岐金具用カバーの被覆又は取り外しが容易に行える。更に、一方の半裁体の内周面に、ケーブル分岐金具に接続されるケーブルの両側に位置して該ケーブルの揺動動作を規制し得る規制凸部を設けたので、ケーブルに対しケーブル分岐金具用カバーがぐらつくことなくしっかりと固定され取付状態が安定する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係るケーブル分岐金具用カバー(以下、単に「金具用カバー」という。)の実施の形態を図面に基づき説明する。図1は本発明に係る金具用カバーの一側から見た斜視図、図2は同他側から見た斜視図、図3は同開いて下から見た斜視図である。
【0012】
金具用カバーAは、合成樹脂製、例えばポリエチレン樹脂製であって可撓性を有する。そして、該金具用カバーAは、所定の大きさ、すなわち後記するケーブル分岐金具Bを含め充電部である接続部Eを安全性を確保できる範囲で覆う大きさ、を有しかつ一側面が開放される箱枠状の一対の半裁体1a,1bからなる。両半裁体1a,1bは開放面が向き合うようにしてその一端(上端)をヒンジ部2によって連結され、該ヒンジ部2を中心として一対の半裁体1a,1bが自在に開閉できるようになっている。ただ、このままだと両半裁体1a,1bが無用に開いてしまう可能性が有るので、その開き度合いを押えるため前記ヒンジ部2の外側に断面二股状の保持部材2aが嵌着されている。また、一方の半裁体1aの開放面の側縁であってヒンジ部2の両側に、他方の半裁体1b側へ伸びてその外周面に重なる制御片17,17が突設されている。これは、両半裁体1a,1bを閉じるとき、一方が閉じる方向に対して直交する方向へずれてうまく合わさらないのを防止するためである。
【0013】
一方の半裁体1aの内部の一端側に、ケーブル分岐金具Bが収納される第一収納凹部3が凹設されると共に該第一収納凹部3と連通するようにしてケーブル分岐金具Bに接続されたケーブルKを挿通する第二収納凹部4が凹設される。このため、第二収納凹部4の外端、すなわち半裁体1aの他端、は開口5している。第二収納凹部4の内周面には、挿通されたケーブルKの両側に位置して該ケーブルKの揺動動作を規制し得る規制凸部6,6が設けられている。
【0014】
他方の半裁体1bの内周面には、図10に示すようにその一端側に金具用カバーAの回動角度を規制する規制突片7,7が突設されている。この半裁体1bの他端も開口8している。また、両半裁体1a,1bの開放面の両側縁に、後記する電線が引き出される引出口9,9が開設されている。これら引出口9,9には、対向する端縁から先端が引出口9,9の中央部に達する櫛歯状の屈曲自在な侵入防止部材10がほとんど隙間なく多数本列設され、通常は引出口9,9を覆っている。同様に、他方の半裁体1bの他端の開口8にも、その一側端縁に先端が一方の半裁体1aの開口5の縁まで達っしかつ該開口8を覆う侵入防止部材10が列設されている。この場合、一方の半裁体1aの他端の開口5は、侵入防止部材10により覆われてない。
【0015】
このように、引出口9,9や開口8を侵入防止部材10により覆うのは、これら引出口9,9や開口8を介して小鳥などの小動物が金具用カバーA内に侵入して営巣し、これによって引き起される短絡事故を未然に防止するためである。
【0016】
各半裁体1a,1bの他端側であって開放面両側縁に、両半裁体1a,1bを閉じて合わせたとき互いに合致する支持片11a,11bがそれぞれ突設される。そして、一方の支持片11aに先端が矢じり状に成形される係合部としての係合突起12が突設され、他方の支持片11bに被係合部としての係合孔13が開設されている。これら係合突起12と係合孔13は、係脱自在に係合し得るようになっている。
【0017】
図4に示すように、一方の半裁体1aの外周面の一端側に下端面に挿通孔14aを有する袋状の差込部14が一体に設けられている。また、同じ外周面であって差込部14から他端側へ一定の間隔離れた位置、すなわち他端(下端)縁、に受止凹部15が外側へ突出するようにして設けられている。これらは、後記する間接活線工具Cの先端に金具用カバーAを安定した状態で保持できるようにし、作業が簡単に行なえ作業性を良くするためのものである。差込部14は、間接活線工具Cの把持部42の先端が挿通し得る大きさを有する。
【0018】
他方の半裁体1bの外周面にも、同様にして差込部14と受止凹部15とが上下に一直線上に並ぶように配置され一体に設けられている。これら差込部14と受止凹部15とは一方の半裁体1a又は他方の半裁体1bのみでも良く、両半裁体1a,1bに設けるようにしても良い。本実施の形態にあっては、両方の半裁体1a,1bに差込部14と受止凹部15とが設けられている。
【0019】
図4に示すように、一方の半裁体1aの開放面の両側縁に、他方の半裁体1b側へ突出しかつ両側縁16a(上下縁)が先端に向うに従って漸次窄まるように傾斜する案内片16が設けられている。これは、ケーブル分岐金具Bに金具用カバーAを被覆したり取り外すとき、後記する架空電線Dが案内片16の傾斜した側縁16aに当接し、両半裁体1a,1bを自動的に開かせることとなり、金具用カバーAの被覆又は取り外しが容易に行えるようにするためである。特に、被覆する場合に有効である。
【0020】
ここで、図5、図6に基づきケーブル分岐金具Bについて説明する。ケーブル分岐金具Bは、バイパス線として使用されるケーブルKの両端に接続される。そして、ケーブル分岐金具Bは、金属製であって導電性を有し、バイパス線となるケーブルKの端部が接続される回動部材20と、該回動部材20の一側面に配置され架空電線Dの被覆層を剥がした充電部である芯線dに挟着して取着される挟着部材21と、からなる。ケーブルKの端部にはその外周に絶縁用シート(図示せず。)が被着されることになる。
【0021】
回動部材20は、円板状に成形されると共に、その一側面(後面)にケーブルKの端縁から延びる固定板22が一体に固着される。一方、挟着部材21は、回動部材20よりも径の小さい円板状の基板23を有し、該基板23が回動部材20の他側面(前面)に同心状に配置され、かつ、回動部材20に対し自在に回動するように設けられている。そして、基板23の一側面(前面)に、挟着部24が設けられている。
【0022】
挟着部24は円板状の基板23の中心軸線に対して直交する支持杆部25を有し、該支持杆部25の一端(上端)に該支持杆部25からほぼ直交するようにして突設される受止杆部26が一体に設けられる。また、支持杆部25の他端(下端)に、受止杆部26とほぼ平行な軸杆部27が一体に設けられている。軸杆部27には支持杆部25と平行な螺子孔28が貫設され、該螺子孔28に螺子棒29からなる締付部材30が螺合されている。
【0023】
螺子棒29の一端に前記受止杆部26の内面26a(下面)と対向位置する押圧片部31が設けられ、螺子棒29の他端に該螺子棒29を回転させながら中心軸線方向に沿って進退動させるための操作摘部32が設けられている。そこで、操作摘部32を回転させ螺子棒29を受止杆部26側へ進めると、受止杆部26の内面26aと押圧片部31の外面31aとの間の間隔が狭まる。また、操作摘部32を回転させ逆に螺子棒29を受止杆部26から退けると、受止杆部26の内面26aと押圧片部31の外面31aとの間の間隔が広がるようになっている。
【0024】
被覆作業は、架空電線Dに電流を流した状態、所謂活線状態、で行なわれるため、図6、図7に示すような間接活線工具C(通常、「絶縁ヤットコ」と称される。)が使用される。この間接活線工具Cは、棒状の支持杆としての主杆40と該主杆40よりも短くしかも細い支持杆としての副杆41とから概略構成され、いずれも非導電性の部材から成形されている。そして、主杆40に沿わせて副杆41が配置されると共にこれらの先端部に把持部42が設けられ、基端部には該把持部42を操作するハンドル部43が設けられている。
【0025】
前記把持部42は、主杆40の先端に一体に設けられ前方へ円弧状に湾曲する第一把持片44aと、該第一把持片44aに軸着され該第一把持片44aを含む面内で回動する円弧状の第二把持片44bと、からなる。第二把持片44bの基端には、前記第一把持片44aに開設した透孔45に挿入される副杆41の先端に軸着されている。一方、ハンドル部43は、主杆40に取着される取付基台46と該取付基台46に中央部で回動自在に軸着されるL型のリンク部材47とからなり、リンク部材47の先端が前記副杆41の基端に軸着されると共に基端側に握り部48が設けられている。
【0026】
ハンドル部43の握り部48を主杆40側へ近づけるようにリンク部材47を回動させると、副杆41が主杆40の基端側へ後退すると共に第二把持片44bが内側へ回動して第一・第二把持片44a,44b先端の挟着面44c,44cが合わさって閉じる。逆に、握り部48が主杆40から遠ざかるようにリンク部材47を回動させると、副杆41が主杆40の先端側へ進出すると共に、第二把持片44bが外側へ回動して第一・第二把持片44a,44b先端の挟着面44c,44c間が開く。このようにして、第一・第二把持片44a,44bにより物を掴んだり放したりすることができるようになっている。
【0027】
本発明は上記構成からなり、次に、架空電線Dにおける接続部Eを本発明に係る金具用カバーAにより被覆する手順を説明する。バイパス線であるケーブルKを接続するため、事故の発生した個所を挟んだ両側の所定位置に既存の電線皮剥機(図示せず。)を用い電線の被覆層を剥がして充電部である芯線dを所定に長さに亘り露出させる。そして、図示は省略するが、ケーブルKの端に接続したケーブル分岐金具Bを持ち上げ、芯線d上面に受止杆部26の内面26aを宛がう。この状態で、操作摘部32を回して締付部材30を回動し、螺子棒29を受止杆部26側へ進出させ、受止杆部26の内面26aと押圧片部31の外面31aとの間で芯線dをしっかりと挟着する。これにより、ケーブルKの両端がケーブル分岐金具Bを介して架空電線Dに電気的に接続される。
【0028】
各接続部Eにあっては、図6に示すように係合突起12,12と係合孔13,13との係合を外し両半裁体1a,1bの他端側が少し開いた状態で、間接活線工具Cの第一把持片44aの先端を差込部14に挿入し、同時に副杆41をその下の受止凹部15に入れて沿わせる。これにより、金具用カバーAが間接活線工具Cの主杆40とほぼ平行に保持される。しかも、金具用カバーAが差込部14と受止凹部15との二点で支持されるので、間接活線工具Cに対して金具用カバーAが安定して保持され扱い易い。しかも、誤って間接活線工具Cから金具用カバーAを落下させるおそれもない。
【0029】
そして、図7に示すように金具用カバーAをケーブル分岐金具Bに被覆する。この際、一方の半裁体1aの内側の第一収納凹部3にケーブル分岐金具Cが位置し、第二収納凹部4にケーブルKが挿通されるようにする。ケーブルKは、第二収納凹部4の下端の開口5から外部に引き出される。また、架空電線Dは、両半裁体1a,1bの開放面の両側縁に開設された引出口9,9から侵入防止部材10を押し退けて外部へ引き出される。金具用カバーAをケーブル分岐金具Bに被覆する際、架空電線Dが案内片16の傾斜した側縁16aに当接するので、両半裁体1a,1bの間が自動的に開き、両半裁体1a,1b間に架空電線Dが入り易い。次に、この状態で金具用カバーAの両側の各支持片11a,11bを挟み、各係合突起12を各係合孔13に係合させる。このようにして、図8、図9に示すようにケーブル分岐金具Bに金具用カバーAが被覆される。
【0030】
このように、本発明にあっては、金具用カバーAが間接活線工具Cに二点で支持され、しかも、先端が差込部14に挿通されることから、金具用カバーAが間接活線工具Cに極めて安定した状態で取り付けられる。よって、金具用カバーAを誤って落下させるおそれもなく、金具用カバーAがケーブル分岐金具Bに被覆し易い。
【0031】
事故による修復作業が終了するまで、金具用カバーAをケーブル分岐金具Bに被覆したままとするが、この間、接続部Eは常に同じ形状の金具用カバーAにより被覆されるので、異なる作業者によっても充電部の絶縁性に個人差がなくなり、安全上好ましい。
【0032】
また、他方の半裁体1bの内面であってその一端側に一対の規制突片7,7を設けているので、図10に示すように架空電線Dに対しケーブルKが揺動し、この揺動動作に伴いケーブル分岐金具Bの回動部材20と共に金具用カバーAが揺れても、いずれかの規制突片7,7が挟着部材21の受止杆部26の上端部26bに当接してその動作を規制する。よって、金具用カバーAの揺動動作も規制されることになり、絶縁性が損なわれるようなことはない。
【0033】
更に、一方の半裁体1aの内周面に、ケーブル分岐金具Bに接続されるケーブルKの両側に位置して該ケーブルKの揺動動作を規制し得る規制凸部6,6を設けたので、ケーブルKに対し金具用カバーAがぐらつくことなくしっかりと固定され取付状態が安定する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る金具用カバーの一側から見た斜視図。
【図2】同他側から見た斜視図。
【図3】同開いて下から見た斜視図。
【図4】同中央縦断側面図。
【図5】ケーブル先端に接続されたケーブル分岐金具の斜視図。
【図6】架空電線のケーブル分岐金具に金具用カバーを被覆する手順を示す斜視図。
【図7】架空電線のケーブル分岐金具に金具用カバーを被覆する手順を示す斜視図。
【図8】架空電線のケーブル分岐金具に金具用カバーを被覆した状態の斜視図。
【図9】同中央縦断側面図。
【図10】図9のX−X線断面図。
【符号の説明】
【0035】
1a 半裁体
1b 半裁体
2 ヒンジ部
9 引出口
12 係合部(係合突起)
13 被係合部(係合孔)
14 差込部
15 受止凹部
41 支持杆(副杆)
42 把持部
A 金具用カバー
B ケーブル分岐金具
C 間接活線工具
D 架空電線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の大きさを有すると共に開放面が向き合う合成樹脂製の一対の半裁体からなり、前記両半裁体の一端をヒンジ部により連結し、前記ヒンジ部を中心とし前記一対の半裁体を自在に開閉してケーブル分岐金具に被覆するようにしたケーブル分岐金具用カバーであって、
前記各半裁体の開放面の両側縁に架空電線が引き出される引出口を開設し、前記各半裁体の所定位置に両半裁体を閉じて合わせたとき互いに係脱自在に係合し得る係合部と被係合部をそれぞれ設け、少なくとも前記一方の半裁体の外周面には間接活線工具の把持部の先端を挿通する差込部と該差込部から一定の間隔離れた位置に設けられ前記差込部に前記先端を挿通した状態で前記把持部から伸びる支持杆を受け止める受止凹部とを設けたことを特徴とするケーブル分岐金具用カバー。
【請求項2】
前記一方の半裁体の開口面の両側縁に、他方の半裁体側へ突出しかつ両側縁が先端に向うに従って漸次窄まるように傾斜する案内片を設けた請求項1記載のケーブル分岐金具用カバー。
【請求項3】
前記一方の半裁体の内周面に、前記ケーブル分岐金具に接続される前記ケーブルの両側に位置して該ケーブルの揺動動作を規制し得る規制凸部を設けた請求項1又は2記載のケーブル分岐金具用カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−178182(P2008−178182A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−7805(P2007−7805)
【出願日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【出願人】(000219820)株式会社トーエネック (51)
【出願人】(000243939)名伸電機株式会社 (38)
【Fターム(参考)】