説明

ケーブル媒体を形成するための方法及び装置

【課題】 ケーブルが高ケーブル密度で供される場合の外来漏話の減少のような、多くの作動上の高いパフォーマンス基準を満たすことができるケーブル媒体を提供する。
【解決手段】 ケーブル媒体1を形成するための方法は、第1及び第2の導電部材11,13を含む線対を用意することを含んでいる。該第1及び第2の導電部材の各々は、導体と該導体を囲繞する絶縁カバーとをそれぞれ含んでいる。該第1及び第2の導電部材は互いに巻き付けて撚線対3を形成し、該撚線対は、その長さに沿って意識的に変わる撚り長さを有している。この方法は、線対撚り調整装置を使用して前記線対に意識的に変えられる仮撚りを与えること、及び前記線対撚り調整装置の下流側にある線対撚り装置を使用して前記線対に追加の撚りを与えることを含みうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撚線対を含むケーブル媒体に関し、特に、撚線対を含むケーブル媒体を形成するための方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
家庭用及びオフィス用コンピュータの著しい使用拡大に伴って、周辺機器をコンピュータに接続したり、複数のコンピュータ及び周辺機器を共通ネットワークの中に接続したりするのに使用しうるケーブル媒体の必要性が増大してきた。今日のコンピュータ及び周辺機器は、増え続けるデータ転送速度で作動している。従って、実質的にエラーなしにより高いビット速度で作動できるが、ケーブルが高ケーブル密度で供される場合の外来漏話の減少のような、多くの作動上の高いパフォーマンス基準を満たすこともできるケーブル媒体を開発する必要性が続いている。
【0003】
ランダム変化を伴うローカルエリアネットワークのケーブル配列(LOCAL AREA NETWORK CABLING ARRANGEMENT WITH RANDOMIZED VARIATION)と題する西暦2003年10月23日提出の同時係続出願にかかる共同所有の特許文献1は、ジャケットもしくは被覆の内部に収容された複数の撚線対を含むケーブル媒体を開示しており、この特許文献1の全体は参照によりここに組み込まれる。撚線対の各々は、撚線対の線が互いに1回り巻き付いている距離であると定義される撚り長さを有している。各撚り長さの少なくとも1つは、ケーブル媒体の長さに沿って意図的に変化している。実例の1つにおいては、ケーブル媒体が4つの撚線対を含み、各撚線対がケーブル媒体の長さに沿って意図的に変化する撚り長さを有している。更に、撚線対は、該撚線対が互いに1回り巻き付く距離であると定義されるコア撚り長さを有している。更なる実例においては、このコア撚り長さはケーブル媒体の長さに沿って意図的に変えられている。ケーブル媒体は、カテゴリー5、カテゴリー5e、又はカテゴリー6のケーブル規格に準拠するよう設計することができ、また、10Gビット/秒のデータビット速度であっても低い外来及び内部漏話特性を実証することができる。
【0004】
【特許文献1】米国特許願第10/690,608号明細書
【発明の開示】
【0005】
本発明の方法の実施形態によると、ケーブル媒体を形成するための方法は、第1及び第2の導電部材を含む線対を用意することを含んでいる。該第1及び第2の導電部材の各々は、導体と該導体を囲繞する絶縁カバーとをそれぞれ含んでいる。該第1及び第2の導電部材は互いに巻き付けて撚線対を形成し、該撚線対は、その長さに沿って意識的に変わる撚り長さを有している。この方法は、線対撚り調整装置を使用して前記線対に意識的に変えられる仮撚りを与えること、及び前記線対撚り調整装置の下流側にある線対撚り装置を使用して前記線対に追加の撚りを与えることを含んでいてよい。
【0006】
本発明の方法の更なる実施形態によると、ケーブル媒体を形成するための方法は、第1及び第2の導電部材を含む第1の撚線対と、第3及び第4の導電部材を含む第2の撚線対とを用意することを含んでいる。第1、第2、第3及び第4の導電部材の各々は、導体と該導体を囲繞する絶縁カバーとを有している。前記第1及び第2の撚線対は互いに巻き付けられて撚りコアを形成し、該撚りコアは、その長さに沿って意識的に変わる撚り長さを有している、この方法は、コア撚り調整装置を使用して前記第1の撚線対及び前記第2の撚線対に意識的に変えられる仮撚りを与えること、前記コア撚り調整装置の下流側にあるコア撚り装置を使用して前記第1の撚線対及び前記第2の撚線対に追加の撚りを与えることを含んでいてよい。
【0007】
本発明の別の実施形態によると、導体と該導体を囲繞する絶縁カバーとをそれぞれが有する第1及び第2の導電部材を含む線対を使用して、ケーブル媒体を形成するための装置が提供されている。該装置は、前記第1及び前記第2の導電部材を互いに巻き付けて撚線対を形成するように適応しており、該撚線対は、その長さに沿って意識的に変わる撚り長さを有している。この装置は、意識的に変えられる仮撚りを前記線対に与えるように適応した線対撚り調整装置と、前記線対撚り調整装置の下流側にあって、前記線対に追加の撚りを与えるように適応した線対撚り装置とを含むことができる。
【0008】
本発明の更なる実施形態によると、導体と該導体を囲繞する絶縁カバーとをそれぞれが有する第1及び第2の導電部材を含む第1の撚線対、並びに導体と該導体を囲繞する絶縁カバーとをそれぞれが有する第3及び第4の導電部材を含む第2の撚線対を使用して、ケーブル媒体を形成するための装置が提供されている。該装置は、前記第1及び前記第2の撚線対を互いに巻き付けて撚りコアを形成するように適応しており、該撚りコアは、その長さに沿って意識的に変わる撚り長さを有している。この装置は、意識的に変えられる仮撚りを前記第1及び前記第2の撚線対に与えるように適応したコア撚り調整装置と、前記コア撚り調整装置の下流側にあって、前記第1及び前記第2の撚線対に追加の撚りを与えるように適応したコア撚り装置とを含むことができる。
【0009】
本発明の別の実施形態によると、導体と該導体を囲繞する絶縁カバーとをそれぞれが有する第1及び第2の導電部材を含む線対を使用して、ケーブル媒体を形成するための線対撚り調整装置が提供されている。該線対撚り調整装置は、前記線対に意識的に変えられる撚りを与えるように適応している。該線対撚り調整装置は、前記線対に係合し撚り軸線の回りに回転振動させるように適応した係合部材を含むことができる。
【0010】
本発明の更に別の実施形態によると、導体と該導体を囲繞する絶縁カバーとをそれぞれが有する第1及び第2の導電部材を含む第1の撚線対、並びに導体と該導体を囲繞する絶縁カバーとをそれぞれが有する第3及び第4の導電部材を含む第2の撚線対を使用して、ケーブル媒体を形成するためのコア撚り調整装置が提供されている。該コア撚り調整装置は、前記第1及び前記第2の撚線対に意識的に変えられる撚りを与えるように適応している。該コア撚り調整装置は、前記第1及び前記第2の撚線対に係合し撚り軸線の回りに回転振動させるように適応した係合部材を含むことができる。
【0011】
本発明の諸目的は、以下に続く例示的な実施形態についての詳細な説明及び図面から当業者により理解されるであろうが、かかる説明は本発明の単なる例証に過ぎない。
【0012】
明細書に組み込まれていてその一部を構成する添付図面は、本発明の幾つかの実施形態を例証しており、その記載と一緒に、本発明の原理を説明するのに役立っている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施形態が例示されている添付図面を参照し、本発明について以下により詳しく説明する。しかしながら、本発明は、種々の異なる形態で実施可能であり、ここに示された実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、その開示が首尾よく終って完結すると共に本発明の範囲を当業者に十分に与えるように提示されている。
【0014】
同様の数字は、説明全体を通じて、同様の要素を指している。言うまでもなく、ここで使用されているような用語“備えている”又は“構成される”は、状況に応じて変更がありうるから、未記載の1つ以上の要素、ステップ及び機能を除外することなく、記載された要素、ステップ及び機能の1つ以上を含むものである。ここで使用されている用語“及び/又は”は、1つ以上の掲示した関連品目の任意の及び全ての組合せを含んでいる。ここに注記した場合を除き、“第1”、“第2”、“第3”等の呼称は、ステップ又は要素の順序又は序列を示しているのではない。
【0015】
後に続く本発明の説明において、用語“下流側”は、走行している又は作用を受けている特定の材料(例えば、導電部材又は撚線対)が他の材料よりもプロセスが進行していることを示すのに使用されている。逆に、用語“上流側”は、下流方向とは反対の方向について言及している。
【0016】
図1は、本発明による方法及び/又は装置を使用して形成しうる例示的なケーブル媒体、即ち、ケーブル1を示している。ケーブル1の端部は、複数の撚線対を示すためにジャケット2が取り除かれている。特に、図1の実施形態は、第1の撚線対3、第2の撚線対5、第3の撚線対7、第4の撚線対9を有するケーブル1を示している。このケーブル1はまた、セパレータもしくは強度部材42も含んでいる。セパレータ42は、例えばポリエチレンのような電気絶縁性の可撓材料から形成しうる。
【0017】
各撚線対は、2本の導電部材を含んでいる。特に、第1の撚線対3は、第1の導電部材11及び第2の導電部材13を含んでいる。第2の撚線対5は、第3の導電部材15及び第4の導電部材17を含んでいる。第3の撚線対7は、第5の導電部材19及び第6の導電部材21を含んでいる。第4の撚線対9は、第7の導電部材23及び第8の導電部材25を含んでいる。
【0018】
導電部材11,13,15,17,19,21,23,25の各々は、内側の導体を囲む絶縁層もしくはカバーから構成されている。外側の該絶縁層は、難炎性かつ防煙性の特性を有する可撓性のプラスチック材料から形成しうる。内側の導体は、銅、アルミニウム又はそれらの合金のような金属から形成しうる。外側の絶縁層及び内側の導体は、他の適当な材料から形成してもよいことが理解されるべきである。内側の導体は、実質的に連続であり、細長い。絶縁層もまた、実質的に連続で、細長くてよい。
【0019】
図1に例示したように、各撚線対は、その2本の導体部材を互いに連続的に撚り合わせることにより形成されている。第1の撚線対3については、第1のケーブル1の長さに沿った第1の間隔wで、第1の導電部材11及び第2の導電部材13が互いに完全に、360度巻き付けられている。第1の間隔wは、第1のケーブル1の長さに沿って意識的に変えられている。例えば、第1の間隔wは、第1のケーブル1の長さに沿った第1の値域内でランダムに意識的に変えうる。或いは、第1の間隔wは、第1のケーブル1の長さに沿ってある演算規則もしくはアルゴリズムに従って意識的に変えうる。
【0020】
第2の撚線対5については、第1のケーブル1の長さに沿った第2の間隔xで、第3の導電部材15及び第4の導電部材17が互いに完全に、360度巻き付けられている。第2の間隔xは、第1のケーブル1の長さに沿って意識的に変えられている。例えば、第2の間隔xは、第1のケーブル1の長さに沿った第2の値域内でランダムに意識的に変えうる。或いは、第2の間隔xは、第1のケーブル1の長さに沿ってある演算規則に従って意識的に変えうる。
【0021】
第3の撚線対7については、第1のケーブル1の長さに沿った第3の間隔yで、第5の導電部材19及び第6の導電部材21が互いに完全に、360度巻き付けられている。第3の間隔yは、第1のケーブル1の長さに沿って意識的に変えられている。例えば、第3の間隔yは、第1のケーブル1の長さに沿った第3の値域内でランダムに意識的に変えうる。或いは、第3の間隔yは、第1のケーブル1の長さに沿ってある演算規則に従って意識的に変えうる。
【0022】
第4の撚線対9については、第1のケーブル1の長さに沿った第4の間隔zで、第7の導電部材23及び第8の導電部材25が互いに完全に、360度巻き付けられている。第4の間隔zは、第1のケーブル1の長さに沿って意識的に変えられている。例えば、第4の間隔zは、第1のケーブル1の長さに沿った第4の値域内でランダムに意識的に変えうる。或いは、第4の間隔zは、第1のケーブル1の長さに沿ってある演算規則もしくはアルゴリズムに従って意識的に変えうる。
【0023】
撚り間隔のランダム性もしくは不規則性のため、隣接する第2のケーブルがケーブル1と同様の方法で構成されているとしても、第2のケーブルの撚り間隔が、その撚線対の撚りについて、第1のケーブル1の撚線対3,5,7,9と同一のランダム性を有することは到底ありえない。或いは、撚線対の撚りがアルゴリズムによって設定されていれば、撚線対を有する第2のケーブルのセグメントが同じ撚りパターンの撚線対3,5,7,9を有する第1のケーブル1のセグメントと並んで位置することは到底ありえないであろう。
【0024】
撚線対3,5,7,9の各々は、それぞれ第1,第2,第3及び第4の値域内の第1,第2,第3及び第4の平均値を有している。一実施形態において、撚りの間隔w,x,y,zの第1,第2,第3及び第4の平均値は固有である。例えば、多くの実施形態のうちの1つにおいて、第1の撚り間隔wの第1平均値は、例えば、約11.2mm(0.44インチ)であり、第2の撚り間隔xの第2平均値は、例えば、約10.4mm(0.41インチ)であり、第3の撚り間隔yの第3平均値は、例えば、約15.0mm(0.59インチ)であり、第4の撚り間隔zの第4平均値は、例えば、約17.0mm(0.67インチ)である。多くの実施形態のうちの1つにおいて、第1,第2、第3,第4の撚り間隔についての第1,第2,第3及び第4の平均値は、下記の表1(単位:インチ)に要約されているように、各域値について平均値から+/−1.27mm(0.05インチ)にわたっている。
【0025】
【表1】

【0026】
ケーブル媒体1の長さに沿った撚りの間隔w,x,y,zを意識的に変えることにより、第1のケーブル1全体にわたり高速度のデータビットレートであっても、内部の近端漏話(NEXT)及び外来の近端漏話(ANEXT)を受け入れできるレベルまで減少させることが可能である。
【0027】
撚りの間隔w,x,y,zを意識的に変更或いは調節することにより、隣接するケーブル間の混信信号カップリングをランダム化することができる。換言すれば、第1の信号がケーブルの一端から他端へと撚線対に沿って流れると仮定し、撚線対は、ランダム化された、或いは少なくとも変化する撚りパターンを有している。別の撚り線に沿って流れる第2の信号は(同じケーブル内でも或いは異なるケーブル内でも)、同じ又は同様の撚りパターンで第1の信号に並んでかなりの距離にわたり進むことは、とても起こり得ないことであろう。2つの隣接する信号が異なる変動撚りパターンを有する隣接撚線対内を流れるので、2つの隣接する撚り線パターン間のどんな混信カップリングでも大きく減少させることができる。
【0028】
撚線対の撚りパターンを変えることによる混信減少の利点は、「ケーブル媒体のための密に撚った線対装置(TIGHTLY TWISTED WIRE PAIR ARRANGEMENT FOR CABLING MEDIA)」と題する西暦2003年10月8日提出の同時係続出願にかかる共同所有の特許文献2に開示された密撚りの間隔と組み合わせることができ、これは参照によりここに組み入れられる。こうした状況では、本発明による混信減少の利点は、なおさら大きく増進することができる。例えば、第1,第2,第3及び第4の撚り間隔w,x,y,zについての第1,第2,第3及び第4の平均値は、それぞれ11.2mm(0.44インチ)、8.1mm(0.32インチ)、10.4mm(0.41インチ)及び8.9mm(0.35インチ)に設定しうる。
【0029】
【特許文献2】米国特許願第10/680,156号明細書
【0030】
可変の撚り間隔w,x,y,zについての少なくとも1組の値域は、ケーブルを標準ケーブルの仕様内に維持すると共にケーブル媒体の全費用効率の良い製造を可能にしながら、外来のNEXT特性を非常に向上させることが分かった。上述した実施形態において、4つの撚線対の各々の撚り長さは、各撚線対の撚り長さの平均値から約+/−1.27mm(0.05インチ)意識的に変えられている。従って、各撚り長さは、撚り長さの平均値から意識的に約+/−(7〜12)%変動するよう設定されている。これは本発明の一実施形態に過ぎないことを認識すべきである。もっと多くの又はもっと少ない撚線対がケーブル1(例えば、2対、25対又は100対型のケーブル)に含まれていてもよいことは本発明の範囲内である。更に、各撚線対の撚り長さの平均値は、もっと大きく又はもっと小さく設定してもよい。更にまた、撚り長さの意識的変動も、もっと大きく又はもっと小さく設定してもよい(例えば、+/−0.15インチ、+/−0.25インチ、+/−0.5インチ又は+/−1.0インチ、別の言い方をすれば、平均撚り長さに対する撚り長さの意識的変動の比を例えば20%、50%又は75%のような種々の比に設定することができる。)。
【0031】
図2は、ジャケット2が取り除かれた図1のケーブル1の中間部の斜視図である。図2は、第1の撚線対3、第2の撚線対5、第3の撚線対7、第4の撚線対9が第1のケーブル1の長さに沿って互いに連続的に巻き付いていることを示している。第1の撚線対3、第2の撚線対5、第3の撚線対7及び第4の撚線対9は、ケーブル1の長さに沿って、意識的に変えられたコア撚り長さ間隔vで、互いに完全に、360度巻き付けられている。幾つかの実施形態によると、コア撚り長さ間隔vは約111.8mm(4.4インチ)の平均値を有しており、ケーブル媒体の長さに沿って35.6〜188.0mm(1.4〜7.4インチ)の範囲にわたっている。また、コア撚り長さの変化はランダムであってよいし、或いはアルゴリズムに基づくこともできる。
【0032】
撚線対3,5,7,9の互いの巻付きもしくは撚り合せは、外来のNEXTを更に減少させるのに役立ちうると共に、ケーブルの機械的な曲げ特性を向上させうる。技術的に理解できるように、外来のNEXTは、第1のケーブル媒体(例えば、第1のケーブル1)の撚線対と“異なる”ケーブル媒体(例えば、第2のケーブル44)の別の撚線対との間の漏話の誘導である。外来漏話は、複数のケーブル媒体が相当な距離にわたり共通の経路に沿って引き回されている場合に問題になりうる。例えば、建屋においては、複数のケーブル媒体がしばしば共通のダクトに通される。ケーブル媒体の長さに沿ったコア撚り長さ間隔vを変えることによって、外来のNEXTを更に減少させることができる。
【0033】
図3を参照すると、本発明の実施形態による線対撚り装置100が示されている。この線対撚り装置100は、撚線対3を形成するのに使用しうる。同じ又は同様の装置を使用して撚線対5,7,9を形成しうる。線対撚り装置100は、線送出し部110と、ガイドプレート120と、線対撚り調整装置200と、エンコーダ170と、撚合せ部140とを含んでいる。導電部材11,13は、線送出し部110から撚合せ部140へとF方向に搬送される(例えば、引っ張られる)。
【0034】
線送出し部110はリール111,113を含んでおり、そこから導電部材11,13がガイドプレート120へと送り出される。線送出し部110はハウジング115を有することができる。線送出し部110は、1つ以上の線張力付与装置や、選択された一定の撚り(例えば、逆撚り)を導電部材11,13に与える機構等のような更なる諸機構を含みうる。線送出し部110についての適当な構造、改変及び選択は、当業者にとって明らかであろう。適当な線送出し部110には、フランス国のセティ(Setic)から入手しうるDVD630がある。
【0035】
ガイドプレート120は、導電部材11,13を相対的に位置決めすると共に整列させるための1つ以上のアイレットを有する単なる固定プレートとすることができる。適当なガイドプレートは、この明細書の記載から当業者にとって明らかであろう。
【0036】
図4及び図5を参照すると、導電部材11,13はガイドプレート120から線対撚り調整装置200へと進み、そこで導電部材は線対撚り調整装置200のハウジング202に入る。ハウジング202は、閉止可能の蓋202Aを含みうる。より具体的には、導電部材11,13は、ガイドプレート210に装着されたアイレット211,213に画成された通路211A,213Aを通り線対撚り調整装置200に入る。アイレット211,213は、例えば、セラミック材料から形成しうる。その後、導電部材11,13は、後述するように第1の調整装置サブアセンブリ230、第2の調整装置サブアセンブリ250及び第3の調整装置サブアセンブリ270の各アイレットに通される。
【0037】
線対撚り調整装置200は、ケーブル222を有するモータ212を含んでおり、これによりモータ212がコントローラ290に接続されている。幾つかの実施形態によると、モータ212は可逆サーボモータである。このモータ212は、モータ歯車214付きの出力軸を有している。エンドレスの一次駆動ベルト216は、駆動軸220に取り付けられた歯車222を介して該駆動軸220にモータ歯車214を接続している。駆動軸220は、軸受を含みうる装着台224により基台203に回転自在に結合されている。
【0038】
第1の調整装置サブアセンブリ230は基台203に固定された装着台234を含んでいる。主歯車238は、軸線A−A(図5)を中心として回転可能に軸受239により装着台234に装着されている。軸線A−Aは方向Fと実質的に平行でよい。歯車232は駆動軸220に取り付けられており、従動プーリ236(図4)は装着台234に回転自在に装着されている。エンドレスの駆動ベルト240は歯車232,238及び従動プーリ238の周りに延びていて、モータ212が主歯車238を駆動するのを可能としている。
【0039】
撚りプレート242は歯車238に取り付けられている。アイレット244,246(例えば、セラミックから形成される)は、この撚りプレート242に形成されていて、通路244A,246Aを画成している。幾つかの実施形態によると、アイレットの通路244A,246Aの直径は、導電部材11,13の外径よりも約33〜178%大きい。歯車238には貫通通路238Aが形成されており、装着台234には貫通通路235が形成されている。
【0040】
第2の調整装置サブアセンブリ250及び第3の調整装置サブアセンブリ270は、第2の調整装置サブアセンブリ250の駆動軸歯車252が第1の調整装置サブアセンブリ230の歯車232よりも大きな直径を有している点と、第3の調整装置サブアセンブリ270の歯車272が第2の調整装置サブアセンブリ250の歯車252よりも大きな直径を有している点とを除いて、第1の調整装置サブアセンブリ230と同様に構成されている。第1,第2及び第3の調整装置サブアセンブリ230,250,270は、図示のように、導電部材11,13の通路に沿って直列に配置されている。
【0041】
導電部材11,13は、通路211A,213Aから、通路244A,246Aと、第2の調整装置サブアセンブリ250のアイレット264,266(図4)と、第3の調整装置サブアセンブリ270のアイレット284,286(図4)とを通り、線対撚り調整装置200の外に出る。
【0042】
導電部材11,13が撚りプレート242,262,282を通り搬送される(例えば、撚合せ部140により引っ張られる)ときに、撚りプレート242,262,282が軸線A−Aを中心として回転される。より具体的には、コントローラ290が作動してモータ212により駆動軸220、従動プーリ232,252,272及び駆動ベルト240,260,280を介して撚りプレート242,262,282を回転させる。撚りプレート242,262,282は、時計方向C及び反時計方向D(図4)の双方に回転往復動もしくは回転振動する。その際に、撚りプレート242,262,282は、対の導電部材11,13に撚りを加えたり或いは取り除いたりする連動部材として機能する。即ち、撚りプレート242,262,282は、導電部材11,13を軸線A−Aを中心として互いに回転させたり或いは撚り戻したりする。導電部材11,13が撚りプレートを通過するときに撚りプレート242,262,282の回転位置を変え、それにより導電部材11,13の回転位置を変えることにより、線対撚り調整装置200は、同線対撚り調整装置200の出口での導電部材11,13の互いの周りの回転度合いを意識的に変更又は調整する。
【0043】
導電部材11,13は、仮撚線対3Aとして線対撚り調整装置200から出る。仮撚線対3Aの仮撚りもしくは仮撚りは、正(即ち、撚線対3の撚りと同じ方向)、ゼロ又は負(即ち、撚線対3の撚りと反対の方向)である。例えば、仮撚線対3Aの第1の長手方向部分については、導電部材は時計方向に互いに巻き付けられ、その後、第2の長手方向部分が時計方向にもっと密に巻き付けられ、その後、第3の長手方向部分が時計方向であるがもっと粗に互いに巻き付けられ、その後、第4の長手方向部分が反時計方向に巻き付けられる。これらの部分自体及び該部分間の移行部は、スムーズに且つ連続的に変化しうる。仮撚線対3Aの平均撚りもまた正、ゼロ又は負でありうる。
【0044】
コントローラ290は、モータ212の作動を指令する調整シーケンスを組み込んでプログラムされていてよい。コントローラ290は、同コントローラ290をプログラムすると共にパラメータを設定しレビューするため表示・入力装置(例えば、タッチスクリーン)292を備えていてよい。調整シーケンスは、ランダムでもよいし、或いはアルゴリズムに準拠していてもよい。幾つかの実施形態によると、撚りプレート242,262,282の位置は、定期的にかつ連続的に変更しうる。コントローラ290は、調整シーケンスに従って、モータの速度及び方向を制御すると共に、各方向における巻き回数及び角距離を制御する。
【0045】
コントローラ290は、エンコーダ170を使用して導電部材11,13の線形速度(即ち、線速度)を探知することができる。このエンコーダ170は、例えば、撚合せ部140又は送出し部110と従来から連係していた線速度エンコーダでよい。また、コントローラ290は、送出し部110のモータ、モータ212、及び/又は撚合せ部140のモータの速度を監視することもできる。コントローラ290は、適当なセンサにより線の過張力状態が検知されれば、送出し部110、撚合せ部140及び/又はモータ212を停止する又は作動打ち切りにするようプログラムされていてよい。
【0046】
採用された特定の調整シーケンスは、撚線対3についての撚り調整に左右されるであろう。採用された調整シーケンスは、撚合せ部140の作動に依存することができる。幾つかの実施形態によると、仮撚線対3Aの平均撚りはゼロである。幾つかの実施形態によると、仮撚線対3Aを形成するため線対に加えられる仮撚りは、最終撚線対3の名目上の撚り長さの少なくとも0.5%の全絶対範囲にわたり変わる。幾つかの実施形態によると、仮撚線対3Aを形成するため線対に加えられる仮撚りは、最終撚線対3の名目上の撚り長さの約1〜5%の全絶対範囲にわたり変わる。
【0047】
図9は、従来の線対撚りスキームと比較した本発明の実施形態による調整スキームの撚り長さ分布をグラフで表示している。従来の線対撚りスキームの場合、曲線Scで表わされているように、ケーブルの長さに沿った撚り長さ(例えば、インチ当りの撚り数)の分布は、規定の平均撚り長さTmから若干変化するに過ぎないのであり、かかる変化は、装置の公差やプロセスの実行により無意識的に生ずる。曲線Smodで表わされる本発明の実施形態によるスキームにおいては、ケーブルの長さに沿った撚り長さの分布は、意識的に広くした範囲に基づいて変化している。曲線Smodの分布は、最小撚り長さTminから最大撚り長さTmaxまで変化している。図示のような分布はほぼベル形の曲線であるが、該分布は、調整シーケンスの適切なプログラム化及び選択により希望に応じて調整することができる。
【0048】
図10は、本発明の実施形態に基づく撚りプレート242の例示的な調整シーケンスをグラフで表示している。曲線Rは、撚りプレートを通過する線対の長さに沿った位置の関数として撚りプレートの回転位置を表わしている。例示した回転位置は、図9の最小撚り長さTminに対応しうる最大回転位置Pmaxと、図9の最大撚り長さTmaxに対応しうる最小回転位置Pminとの間で変化する。幾つかの実施形態によると、PminからPmaxまでの回転距離は約1080〜2160度の間である。撚りプレート262,282は、線対の長手方向位置の関数として相応じて位置決めされるが、それらの位置は、異なる歯車比(より大きな直径の歯車252,272から得られる)の結果として概算されている。幾つかの実施形態によると、回転位置Pmin〜Pmaxの間の中間点は線対のゼロ撚り位置(即ち、撚りがガイドプレート210と撚りプレート242との間に存在しない位置)に対応している。幾つかの実施形態によると、回転位置Pmin又は回転位置Pmaxは線対のゼロ撚り位置に対応している。
【0049】
特に、歯車232,252,272は異なる直径を有しているので、撚りプレート242,262,282は、異なる速度及び角距離で回転するであろうから、異なる量の撚りを撚線対3Aに与える。このようにして、導電部材11,13が線対撚り調整装置200を通過するときにだんだん、及び/又は所定の線速度についてもっと速い回転速度を使用して同じ量の撚りを与えるためにもっと少数の撚りプレートが採用されていればもっと徐々に、撚りを与えることができる。
【0050】
図3を再び参照すると、仮撚線対3Aは、線対撚り調整装置200から撚合せ部140へと通過している。撚合せ部140は、適当な構造のものでよく、また、通常の設計のものでよい。適用な撚合せ装置は日本国所在の株式会社キンレイから入手しうる。
【0051】
撚合せ部140は、フレーム又はハウジング142と、T方向に回転自在にハブ146,148に装着された頭部152とを含んでいる。仮撚線対3Aは、ハブ146を抜けて、プーリ150を回り、頭部152のアームに沿って通る。頭部152がプーリ150を中心として回転するときに、それは仮撚線対3Aに既知の方法で撚りを与え、そのため仮撚線対3Aは撚線対3Bになる。撚線対3Bは、引き続きプーリ156を回り、リール158へと延びる。頭部152がプーリ156を中心として回転するときに、それは撚線対3Bに第2の撚りを与え、そのため撚線対3Bは線対3になる。
【0052】
幾つかの実施形態によると、撚合せ部140(また、特に頭部152及びプーリ150,156)は、少なくとも2撚り/インチの率で撚りを仮撚線対3Aに与える。幾つかの実施形態によると、撚合せ部140は、約2〜3撚り/インチの範囲の率(一定でよい)で撚りを仮撚線対3Aに与える。幾つかの実施形態によると、撚合せ部140によりもたらされる単位長さ当りの撚りの率(例えば、撚り数/インチ)は実質的に一定である。
【0053】
特に、頭部152及びプーリ150,156により与えられる撚りは、仮撚線対3Aにある撚り(正及び/又は負)に対する単なる追加である。従って、仮撚線対3Aに存在する撚り調整は、撚線対3B及び最終の撚線対3まで実行される。
【0054】
その後、撚線対3は組み合わせられて、ジャケットが付けられるか及び/又はさもなければ従来の或いはその他の適当な方法で使用もしくは処理される多対ケーブルになる。
【0055】
図6を参照すると、本発明の実施形態によるコア撚り装置300が示されている。このコア撚り装置300は、調整されたストランドコア長さを有するコア40を形成するのに使用しうる。コア撚り装置300は、線対送出し部310と、ガイドプレート321,323と、コア撚り調整装置400と、集群化装置もしくは撚合せ部360とを含んでいる。
【0056】
送出し部310は、リール301,303,305,307,309を含み、それらからセパレータ42と撚線対3,5,7,9とがそれぞれ送り出される。撚線対3,5,7,9及びセパレータ42は、ガイドプレート321,323を通り、コア撚り調整装置400へと方向付けられている。
【0057】
コア撚り調整装置400は、もっと多数の且つもっと大きな直径の撚線対3,5,7,9及びセパレータ42に適応するよう適当な修正を施して、線対撚り調整装置200と実質的に同様の方法で構成することができる。図7を参照すると、コア撚り調整装置400の主歯車アセンブリ431がそこに示されている。この主歯車アセンブリ431は、歯車238に相当する歯車438と、修正撚りプレート442とを含んでいる。主歯車アセンブリ431は、セパレータ42及び撚線対3,5,7,9を受け入れるように適応したアイレット通路441A,444A,445A,446A,447Aをそれぞれ画成するアイレット441,444,445,446,447(例えば、セラミックから形成されている)を含んでいる。幾つかの実施形態によると、アイレット通路441A,444A,445A,446A,447Aの直径は、撚線対3,5,7,9の外径よりも約11〜177%大きい。撚りプレート442は、撚りプレート242,262,282の代わりにコア撚り調整装置400で使用されている。コア撚り調整装置400において処理すべきもっと多くの及び/又はサイズの線に適応するため、必要に応じてその他の適当な改変を行なうことができる。
【0058】
コア撚り調整装置400は、線対撚り調整装置200に関して上述したのと同じ方法で仮撚りしたストランド又はコア40Aを製造するため、適当な調整シーケンスに基づいてコントローラにより作動されうる。前述したように、この調整シーケンスは、ランダムであってよいし、或いはアルゴリズムに基づくこともできる。幾つかの実施形態によると、撚りプレート442の位置は定期的に且つ連続的に変えられている。
【0059】
幾つかの実施形態によると、仮撚りしたコア40Aを形成するために線対に与えられた仮撚りは、少なくとも0.1撚り/インチの全絶対範囲にわたり変わる。幾つかの実施形態によると、仮撚りしたコア40Aを形成するために線対に与えられた仮撚りは、約0.1〜1.0撚り/インチの全絶対範囲にわたり変わる。幾つかの実施形態によると、仮撚りしたコア40Aにおける撚り率の変化範囲は、コア40の平均撚り率の少なくとも0.5%であり、幾つかの実施形態によると、約1〜10%である。
【0060】
仮撚りしたコア40Aは、その後、集群化部360へと通過する。集群化部360において、仮撚りしたコア40Aは、回転する頭部364及び第1のプーリ362により撚りコア40Bになる。より具体的には、撚線対3,5,7,9は、"集群化(bunching)"と通常呼ばれている方法で互いに巻き付けられる。撚りコア40Bは、その後、頭部364及び第2のプーリ366により(更に撚り/集群化することにより)最終の撚りコア40に変えられ、リール368に巻き取られる。
【0061】
幾つかの実施形態によると、集群化部360(及び、より具体的には、頭部364及びプーリ362,366)は、仮撚りしたコア40Aに少なくとも3インチ/1撚りの率で撚りを与える。幾つかの実施形態によると、集群化部360は、仮撚りしたコア40Aに約2〜8インチ/1撚りの範囲に入る率で撚りを与える。幾つかの実施形態によると、集群化部360によりもたらされる単位長さ当りの撚りの率(例えば、撚り数/インチ)は実質的に一定である。
【0062】
特に、頭部364及びプーリ362,366により与えられる撚りは、仮撚りしたコア40Aにおける撚り(正及び/又は負)に対する単なる追加である。従って、仮撚りしたコア40Aにおける撚り調整は、撚りコア40B及び撚りコア40まで続行される。
【0063】
その後、撚りコア40は、ジャケットが付けられるか及び/又はさもなければ従来の或いはその他の適当な方法で使用もしくは処理されうる。
【0064】
図8を参照すると、本発明の実施形態による連動撚合せ装置500が示されており、この連動撚合せ装置500は、例えば、ケーブル1を形成するのに使用しうる。連動撚合せ装置500は、線対撚り装置100及びコア撚り装置300の双方の線対撚り調整、撚合せ、コア撚り調整、及び撚線動作を実現している。
【0065】
連動撚合せ装置500は、線送出し部110に対応する線送出し部510を含んでいる。導電部材11,13,15,17,19,21,23,25は、それぞれのガイドプレート520を通り、図示のようにそれぞれの線対撚り調整装置200へと通されている。線対撚り調整装置200は、上述した調整方式でそれぞれの線対を仮撚りし、線対を仮撚り線対3A,5A,7A,9Aに変える。その後、該仮撚り線対3A,5A,7A,9Aは、それぞれ、撚合せ部140に対応する撚合せ部540へと進み、該撚合せ部が仮撚り線対3A,5A,7A,9Aを既に述べたような調整撚り長さを有する撚線対3,5,7,9に変える。
【0066】
セパレータ42は送出し部501から送り出される。該セパレータ42及び撚線対3,5,7,9は、ガイドプレート521,523を通りコア撚り調整装置400に進む。コア撚り調整装置400は、セパレータ42及び撚線対3,5,7,9を調整仮撚りコア40Aに変える。この仮撚りコア40Aは、集群化部360に対応する集群化部560を通過し、この集群化部が仮撚りコア40Aをコア40に変える。
【0067】
コア40は、その後、ジャケット2をコア40の周りに取り付けるジャケット付け部570に通される。このジャケット付け部570は、例えば、押出し製造ラインでよい。適当なジャケット付け部には、豪州国のローセンダール(Rosendahl)から入手しうるものがある。ジャケット付きケーブル1は、その後、リール575に巻き取ることができる。
【0068】
連動撚合せ装置500の種々の構成要素は連続直線プロセスを形成しうる。或いは、諸動作及び/又は諸構成要素の一部は他から分離されていてもよい。例えば、ジャケット付け部は、連動撚合せ装置500の残りの構成要素と同一の直線上にない別の装置でよい。
【0069】
種々の改変を上述して方法及び装置に対して行なうことができる。例えば、他の線対撚り調整装置又は追加の線対撚り調整装置を使用しうる。線対撚り調整装置200及び/又はコア撚り調整装置400は、もっと多くの又はもっと少ない調整装置サブアセンブリ及び撚りプレートを使用してもよい。調整装置サブアセンブリ230,250,270は個々に制御されてもよいし、それらの回転速度は比例倍率になっていなくてもよい。撚線対の撚りを調整するための方法及び装置、並びにコアの撚りを調整するための方法及び装置は別々に使用しうる。
【0070】
前述したことは、本発明の例示であり、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。本発明の少数の例示的な実施形態について記載したが、当業者には容易に分かるように、本発明の新規な教示内容及び利点から実質的に逸脱することなく、多くの改変が例示的な実施形態に対して可能であろう。従って、かかる改変の全ては、特許請求の範囲に規定された本発明の範囲内に含まれることが考えられる。従って、前述したことは、本発明の例示であり、開示した特定の実施形態に限定されるものと解釈されるべきではなく、また、開示した実施形態は言うまでもなく、その他の実施形態に対する改変は、添付した特許請求の範囲内に含まれるべきものと考えられる。本発明は、それに含まれるべき諸請求項の均等物を伴って、添付の特許請求の範囲により規定されている。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施形態によるケーブルの斜視図であり、そのジャケットは部分的に取り除かれていて、該ケーブルのセパレータと4つの撚線対とを示している。
【図2】図1のケーブルの部分的な拡大側面図であり、ジャケットの一部は取り除かれていて、ケーブルの撚りコアを示している。
【図3】本発明の実施形態による線対撚り装置の概要図である。
【図4】図3の線対撚り装置の一部を形成する線対撚り調整装置の正面斜視図である。
【図5】図4の線対撚り調整装置の部分側面図である。
【図6】本発明の実施形態によるコア撚り装置の概要図である。
【図7】図6のコア撚り装置におけるコア撚り調整装置の一部を形成する主歯車アセンブリの正面図である。
【図8】本発明の実施形態による連動撚合せ装置の概要図である。
【図9】本発明の実施形態に基づく調整スキームに対応する撚り長さ分布と、先行技術に基づく線対撚りスキームに対応する撚り長さ分布とを図解するグラフである。
【図10】本発明の実施形態に基づく典型的調整シーケンスを図解するグラフである。
【符号の説明】
【0072】
1 ケーブル(ケーブル媒体)
2 ジャケット
3,5,7,9 撚線対
3A 仮撚線対
3B 撚線対
11 第1の導電部材
13 第2の導電部材
15 第3の導電部材
17 第4の導電部材
19 第5の導電部材
21 第6の導電部材
23 第7の導電部材
25 第8の導電部材
40 最終コア
40A 仮撚りコア
40B 撚りコア
44 ケーブル
100 線対撚り装置
111,113 リール(導電部材の供給源)
120,210,321,323,520,521,523 ガイドプレート(係合部材)
200 線対撚り調整装置
211 アイレット(第1のアイレット)
213 アイレット(第2のアイレット)
242,262,282 撚りプレート(係合部材)
244,246 アイレット(係合部材)
290 コントローラ
300 コア撚り装置
303,305,307,309 リール(撚線対の供給源)
310 送出し部(供給源)
400 コア撚り調整装置
570 ジャケット付け部(ジャケット付け装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブル媒体を形成するための方法であって、
a) 導体と該導体を囲繞する絶縁カバーとをそれぞれが有する第1及び第2の導電部材を含む線対を備えること、
b) 該第1及び第2の導電部材を互いに巻き付けて撚線対を形成することを含み、該撚線対は、その長さに沿って意識的に変えられた撚り長さを有している、
方法。
【請求項2】
a) 線対撚り調整装置を使用して前記線対に意識的に変えられた仮撚りを与えること、
b) 前記線対撚り調整装置の下流側にある線対撚り装置を使用して前記線対に追加的な撚りを与えることを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記線対撚り調整装置により与えられる前記仮撚りは、前記撚線対の名目撚り長さの少なくとも0.5%の絶対範囲にわたり変えられた、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記線対に正撚り及び負撚りの各々を与えることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記線対を係合部材に係合させること、及び該係合部材を撚り軸線の回りに回転振動させることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記線対を直列に配置された複数の係合部材に係合させること、及び該係合部材の各々をそれぞれの撚り軸線の回りに回転振動させることを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記係合部材の各々を異なる角距離で回転振動させることを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記線対撚り装置を使用して前記線対に単位長さ当り実質的に一定の撚り率を与える、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記線対の前記撚り長さを実質的にランダムに変えることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記線対の前記撚り長さをアルゴリズムに基づいて変えることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
第1の撚線対及び第2の撚線対を互いに巻き付けて撚りコアを形成することを更に含み、該撚りコアの撚り長さが該撚りコアの長さに沿って意識的に変化させている、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
a) コア撚り調整装置を使用して前記第1の撚線対及び前記第2の撚線対に意識的に変えられた仮撚りを与えること、
b) 前記コア撚り調整装置の下流側にあるコア撚り装置を使用して前記第1の撚線対及び前記第2の撚線対に追加の撚りを与えることを含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記コア撚り装置を使用して前記第1の撚線対及び前記第2の撚線対に実質的に一定の率の単位長さ当りの撚りを与えることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記撚線対の周りにジャケットを取り付けることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
ケーブル媒体を形成するための方法であって、
a) 導体と該導体を囲繞する絶縁カバーとをそれぞれが有する第1及び第2の導電部材を含む第1の撚線対と、導体と該導体を囲繞する絶縁カバーとをそれぞれが有する第3及び第4の導電部材を含む第2の撚線対とを用意すること、
b) 前記第1及び第2の撚線対を互いに巻き付けて撚りコアを形成することを含み、該撚りコアは、その長さに沿って意識的に変えられる撚り長さを有している、
方法。
【請求項16】
a) コア撚り調整装置を使用して前記第1の撚線対及び前記第2の撚線対に意識的に変わる仮撚りを与えること、
b) 前記コア撚り調整装置の下流側にあるコア撚り装置を使用して前記第1の撚線対及び前記第2の撚線対に追加の撚りを与えることを含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記コア撚り調整装置により前記第1の撚線対及び前記第2の撚線対に与えられる前記仮撚りは、少なくとも0.1撚り/インチの絶対範囲にわたり変えられる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の撚線対及び前記第2の撚線対に正撚り及び負撚りの各々を与えることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の撚線対及び前記第2の撚線対を係合部材に係合させること、及び該係合部材を撚り軸線の回りに回転振動させることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の撚線対及び前記第2の撚線対を直列に配置された複数の係合部材に係合させること、及び該係合部材の各々をそれぞれの撚り軸線の回りに回転振動させることを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記係合部材の各々を異なる角距離で回転振動させることを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記コア撚り装置を使用して前記第1の撚線対及び前記第2の撚線対に単位長さ当り実質的に一定の撚り率を与える、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記コアの前記撚り長さを実質的にランダムに変えることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
前記コアの前記撚り長さをアルゴリズムに基づいて変えることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項25】
前記撚りコアの周りにジャケットを取り付けることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項26】
導体と該導体を囲繞する絶縁カバーとをそれぞれが有する第1及び第2の導電部材を含む線対を使用して、ケーブル媒体を形成するための装置であって、該装置は、前記第1及び前記第2の導電部材を互いに巻き付けて撚線対を形成するように適応しており、該撚線対は、その長さに沿って意識的に変えられる撚り長さを有している、装置。
【請求項27】
a) 意識的に変えられた仮撚りを前記線対に与えるように適応した線対撚り調整装置と、
b) 前記線対撚り調整装置の下流側にあって、前記線対に追加の撚りを与えるように適応した線対撚り装置とを含む、
請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記線対撚り調整装置により与えられる前記仮撚りは、前記撚線対の名目撚り長さの少なくとも0.5%の絶対範囲にわたり変化する、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記線対撚り調整装置は、前記線対に正撚り及び負撚りの各々を与えるように適応している、請求項27に記載の装置。
【請求項30】
前記線対に係合し撚り軸線の回りに回転振動させるように適応した係合部材を含む、請求項27に記載の装置。
【請求項31】
前記係合部材は、前記第1及び前記第2の導電部材を受け入れる少なくとも1つのアイレットを含む、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記第1の導電部材を受け入れる第1のアイレットと、前記第2の導電部材を受け入れる第2のアイレットとを含む、請求項30に記載の装置。
【請求項33】
前記線対に係合し撚り軸線の回りに回転振動させるようにそれぞれ適応した、直列に配置された複数の係合部材を含む、請求項30に記載の装置。
【請求項34】
前記線対撚り調整装置は、異なる距離、前記複数の係合部材を回転振動させるように適応している、請求項33に記載の装置。
【請求項35】
前記線対撚り装置は、前記線対に単位長さ当り実質的に一定の撚り率を与えるように適応している、請求項27に記載の装置。
【請求項36】
前記線対の前記撚り長さを実質的にランダムに変えるコントローラを含む、請求項26に記載の装置。
【請求項37】
前記線対の前記撚り長さをアルゴリズムに基づいて変えるコントローラを含む、請求項26に記載の装置。
【請求項38】
前記第1及び前記第2の導電部材の供給源を含んでいる、請求項26に記載の装置。
【請求項39】
第1の前記撚線対及び第2の撚線対を互いに巻き付けて撚りコアを形成するように更に適応しており、前記撚りコアの撚り長さが該撚りコアの長さに沿って意識的に変えられている、請求項26に記載の装置。
【請求項40】
a) 前記第1及び前記第2の撚線対に意識的に変えられた仮撚りを与えるように適応したコア撚り調整装置と、
b) 前記第1及び前記第2の撚線対に追加の撚りを与えるように適応した、前記コア撚り調整装置の下流側にあるコア撚り装置とを含む、
請求項39に記載の装置。
【請求項41】
前記コア撚り装置は、前記第1及び前記第2の撚線対に単位長さ当り実質的に一定の撚り率を与えるように適応している、請求項40に記載の装置。
【請求項42】
前記撚線対の周りにジャケットを取り付けるように適応したジャケット付け装置を含んでいる、請求項26に記載の装置。
【請求項43】
前記第1及び前記第2の撚線対を互いに巻き付けて撚りコアを形成するように更に適応しており、該撚りコアは、その長さに沿って意識的に変わる撚り長さを有している、請求項26に記載の装置であって、更に、
a) 意識的に変えられた仮撚りを前記線対に与えるように適応していると共に、前記線対に係合して撚り軸線の周りに回転振動させるようになっている係合部材、及び該係合部材の振動を制御するコントローラを含む、線対撚り調整装置と、
b) 該線対撚り調整装置の下流側にあり、前記線対に追加の撚りを与えるように適応していると共に、前記線対に単位長さ当り実質的に一定の撚り率を与えるように適応している線対撚り装置と、
c) 前記第1及び前記第2の撚線対に意識的変えられた仮撚りを与えるように適応しているコア撚り調整装置と、
d) 該コア撚り調整装置の下流側にあり、前記第1及び前記第2の撚線対に追加の撚りを与えるように適応していると共に、前記第1及び前記第2の撚線対に単位長さ当り実質的に一定の撚り率を与えるように適応しているコア撚り装置とを含む、
請求項26に記載の装置。
【請求項44】
導体と該導体を囲繞する絶縁カバーとをそれぞれが有する第1及び第2の導電部材を含む第1の撚線対、並びに導体と該導体を囲繞する絶縁カバーとをそれぞれが有する第3及び第4の導電部材を含む第2の撚線対を使用して、ケーブル媒体を形成するための装置であって、該装置は、前記第1及び前記第2の撚線対を互いに巻き付けて撚りコアを形成するように適応しており、該撚りコアは、その長さに沿って意識的に変えられる撚り長さを有している、装置。
【請求項45】
a) 意識的に変えられた仮撚りを前記第1及び前記第2の撚線対に与えるように適応したコア撚り調整装置と、
b) 前記コア撚り調整装置の下流側にあって、前記第1及び前記第2の撚線対に追加の撚りを与えるように適応したコア撚り装置とを含む、
請求項44に記載の装置。
【請求項46】
前記コア撚り調整装置により前記第1及び前記第2の撚線対に与えられる前記仮撚りは、少なくとも0.1撚り/インチの絶対範囲にわたり変化する、請求項45に記載の装置。
【請求項47】
前記コア撚り調整装置は、前記第1及び前記第2の撚線対に正撚り及び負撚りの各々を与えるように適応している、請求項45に記載の装置。
【請求項48】
前記第1及び前記第2の撚線対に係合し撚り軸線の周りに回転振動させるように適応した係合部材を含む、請求項45に記載の装置。
【請求項49】
前記係合部材は、前記第1及び前記第2の撚線対を受け入れる少なくとも1つのアイレットを含む、請求項48に記載の装置。
【請求項50】
前記第1の撚線対を受け入れる第1のアイレットと、前記第2の撚線対を受け入れる第2のアイレットとを含む、請求項48に記載の装置。
【請求項51】
前記第1及び前記第2の撚線対に係合し各撚り軸線の周りに回転振動させるようにそれぞれ適応した、直列に配置された複数の係合部材を含む、請求項48に記載の装置。
【請求項52】
前記コア撚り調整装置は、異なる角距離、前記複数の係合部材を回転振動させるように適応している、請求項51に記載の装置。
【請求項53】
前記コア撚り装置は、前記第1及び前記第2の撚線対に単位長さ当り実質的に一定の撚り率を与えるように適応している、請求項45に記載の装置。
【請求項54】
前記コアの前記撚り長さを実質的にランダムに変えるコントローラを含む、請求項44に記載の装置。
【請求項55】
前記コアの前記撚り長さをアルゴリズムに基づいて変えるコントローラを含む、請求項44に記載の装置。
【請求項56】
前記第1及び前記第2の撚線対の供給源を含んでいる、請求項44に記載の装置。
【請求項57】
前記撚合せコアの周りにジャケットを取り付けるように適応したジャケット付け装置を含んでいる、請求項44に記載の装置。
【請求項58】
導体と該導体を囲繞する絶縁カバーとをそれぞれが有する第1及び第2の導電部材を含む線対を使用して、ケーブル媒体を形成するための線対撚り調整装置であって、該線対撚り調整装置は、前記線対に意識的に変えられる撚りを与えるように適応している、線対撚り調整装置。
【請求項59】
前記線対に係合し撚り軸線の周りに回転振動させるように適応した係合部材を含む、請求項58に記載の線対撚り調整装置。
【請求項60】
導体と該導体を囲繞する絶縁カバーとをそれぞれが有する第1及び第2の導電部材を含む第1の撚線対、並びに導体と該導体を囲繞する絶縁カバーとをそれぞれが有する第3及び第4の導電部材を含む第2の撚線対を使用して、ケーブル媒体を形成するためのコア撚り調整装置であって、該コア撚り調整装置は、前記第1及び前記第2の撚線対に意識的に変えられる撚りを与えるように適応している、コア撚り調整装置。
【請求項61】
前記第1及び前記第2の撚線対に係合し撚り軸線の回りに回転振動させるように適応した係合部材を含む、請求項60に記載のコア撚り調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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