説明

ケーブル接続用クロージャにおける端面板

【課題】クロージャ内の浸水原因となるケーブルシール部での影響をなくし、異径の各種ケーブルをケーブル接続用収容凾体の出入にも水密確保を的確にして、使用環境・条件にも即し、数十回以上の多数のスリーブ開閉回数にも的確に対応できてケーブルシール部のシール性の維持の安全を図る。
【解決手段】ケーブル挿通孔2に嵌合する2分割構造の外筒4を端面板3に着脱自在に装着し、該外筒4内にシールゴム5と、ブッシュ6とを装着して、該シールゴム5とブッシュ6とをケーブル軸心方向に圧接支持する保持片7が前記端面板3に着脱自在に装着され締付片8によって締め付け固定する構成で備えられると共に、前記シールゴム5とブッシュ6とを前記外筒4に内装される内筒9のあるシールキャップ10によって締付片11で軸長手方向に軸圧縮した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ケーブルやメタルケーブルの通信ケーブルの接続分岐配線するための接続部を保護収容するケーブル配線用クロージャにおける端面板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ケーブル配線用クロージャ接続装置は、ケーブルの接続部を被包して保護する収容凾体が用いられるが、この収容凾体は縦割りの筒状スリーブと、該筒状スリーブ両端面を閉塞しケーブルを挿通する端面板とからなり、筒状スリーブの分割面を突き合わせて取付固定手段で連結して密着一体化し、コネクタを含むケーブル接続部を気密または水密状態に維持する構造のものが知られている。
そして、地下・架空配線や幹線のケーブルの出入孔に使用される端面板に於ては、従来はあらかじめ準備された嵌挿孔(適用ケーブルの最大径)に細径ケーブルを取り付ける場合、端面部嵌挿孔とケーブル間の隙間をスペーサ乃至ブッシュ、又は一定厚さのゴムテープを巻回すると共に、気密性、水密性を確保するためにシーリングテープを合せて使用しているタイプがあり、その他にテーパ状の筒体を持つ端面板を用い、ケーブル径に対応し現地にてテーパ部の所定位置を切断して使用されるタイプがあるが、いずれのタイプもケーブルとの接合部はシール性を考慮してシーリングテープやPVCテープによって固定する方法がとられていた。(特許文献1,2参照)
【0003】
この出願の発明に関する先行技術文献情報としては、次のものがある。
【特許文献1】特開平11−89072号公報
【特許文献2】特開平12−92688号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、大径から小径に至まで直径の異なる各種ケーブルの出入孔を水密性確保にシールするための従来方法であると、ケーブルとケーブル挿通孔との間を埋めてシールするためにケーブル外周に挿通孔に合致するように、ゴムテープ、シーリングテープを巻回するなどしているが、その作業が煩雑であり、ケーブルの増設、保守時には特にシーリングテープの除去交換等がやっかいであり、端面板のケーブル挿通孔に挿入する際に、巻回テープの良否がシール性に支障を来たしクロージャ内での浸水の原因になることが多く、シーリングテープを巻きつけても隙間を埋めることが困難であり、バラツキをきれいにする作業が伴って作業性が悪いし、しかも作業者のスキルによって品質に差が生じやすいし、ケーブル径のバラツキが大きいためにテーパ状端面部や、ゴムテープ等の交換が使用環境・条件によって必要となって、そのための作業時間や補修費のロスも生じ問題であり、スリーブの想定外のスリーブ開閉回数によるケーブルシール部ヘの影響が出てシール性の維持ができなく、またスペーサやブッシュを用いる場合、ケーブル外径に合わせたケーブル挿通孔を持ったスペーサブッシュを多数持ち合わせていて選んで用いなくてはならず、異径のケーブルに対応したスペーサやブッシュを各種保管しなければならないのできわめて作業上取扱いが煩しい欠点があった。
【0005】
本発明は、これら従来の欠点を排除しようとするもので、クロージャ内の浸水原因となるケーブルシール部での影響をなくし、異径の各種ケーブルをケーブル接続用収容凾体の出入にも水密確保を的確にして、使用環境・条件にも即し、数十回以上の多数のスリーブ開閉回数にも的確に対応できてケーブルシール部のシール性の維持が安全に確保でき、スリーブの組立、解体作業時間も大幅に短縮化し、しかもケーブルの増設、保守時にも部品等の交換もなく低コストで対応できるケーブル接続用クロージャにおける端面板を構成簡単で安価な形態で提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ケーブル接続部の周囲を被包する筒状スリーブの両端面に、ケーブル挿通孔のある端面板が着脱自在に嵌合配備されるケーブル接続用クロージャにおいて、前記ケーブル挿通孔に嵌合する2分割構造の外筒を端面板に着脱自在に装着し、該外筒内にスリットを有するシールゴムと、突き合わせ分離面を有するゴム状弾性体からなるブッシュとを装着して、該シールゴムとブッシュとをケーブル軸心方向に圧接支持する保持片が前記端面板に着脱自在に装着され、締付片によって締め付け固定する構成で備えられると共に、前記シールゴムとブッシュとを前記外筒に内装される内筒のあるシールキャップによって締付片で軸長手方向に軸圧縮することで、使用環境・条件に即したケーブルのシール性の維持を図ることができるようにした。
【0007】
また、本発明のケーブル接続用クロージャにおける端面板では、前記端面板が、ケーブル挿通孔の一部を形成する円弧凹面部と前記保持片を嵌合する凹部とを備え、該凹部に装着された保持片を含む端面板の外周に係止部でガスケットを着脱自在にリング状に被覆配備し、該ガスケットによって定着される前記保持片が、ケーブル挿通孔の一部を形成する円弧凹面を備え、前記端面板の両側面に形成された一対の凹面部にそれぞれ嵌合する回転支点部と仮止め部とを保持片の両側面にフランジ状に突設し、さらに凹凸係止部によって端面板への連結構造となっていることで、ケーブル配線作業の簡便化と作業者のスキルによって品質に差が生じにくい取り扱いができる。
【0008】
さらに、本発明の端面板は、前記外筒が中央縦方向に分割面を有する2分割構造の外筒壁で筒状ポケットを形成して脱落防止機能のあるヒンジ部で着脱自在に連結され、端面板のケーブル挿通孔の円周に沿って形成されたリブに嵌合して軸方向に案内できる位置決めリブを外筒周面に設けたことで、ケーブルシール部の組立、解体作業時間も大幅に短縮化できる。
【0009】
本発明の端面板においては、前記ガスケットが、EPDMゴムまたはエラストマからなり両端縁を傾斜面として対向する面で突き合わされて接合され、外周面に複数のリブをケーブル軸方向に間隔をあけて並設すると共に、前記保持片に突設される固定用ピンに係止される固定用ピン穴を備えて端面板に着脱自在に装着されるものであって、緩衝帯域に貫通しない肉抜き穴を設けることで、クロージャでの内圧または外圧に対応するセルフシールが可能で、シール性保持の保証を確実するのがよい。
【0010】
本発明の前記端面板に用いられる外筒としては、その内面にケーブル挿通孔の円周に沿った半円弧状のブッシュを片側に突設した取付片によって対向面に形成されるボスとボス穴の係止部で定着して備え、またシールゴムがスリットを有する筒状体でEPDMゴムまたはエラストマの硬度0〜40Hsのものからなることでケーブルの把持力を一定にしてケーブルのケーブル軸心方向に圧接保持を的確で安定化できる。
【0011】
さらにまた、本発明の端面板において、前記シールゴムが、スリットを有する筒状体でEPDMゴムまたはエラストマからなり、前記ケーブルシールキャップが、ナイロン樹脂からなり一端にフランジを備え、中央で縦方向に二分割される2分割構造の筒壁で前記外筒の筒状ポケットに内装される内筒を形成し、対向するフランジ部に形成されるボスとボス穴の係止部で着脱自在に定着し、さらに両フランジ部に設けた取付孔に締付片を嵌通して外筒に締付け連結して外筒の筒状ポケットに内装されるシールゴムを軸長手方向に軸圧縮することで、シール部材をケーブル直径に対応した寸法で挟圧配備し得てシール性を良好にするのがよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、ケーブル接続部の周囲を被包する筒状スリーブの両端面に、ケーブル挿通孔のある端面板が着脱自在に嵌合配備されるケーブル接続用クロージャにおいて、前記ケーブル挿通孔に嵌合する2分割構造の外筒を端面板に着脱自在に装着し、該外筒内にスリットを有するシールゴムと、突き合わせ分離面を有するゴム状弾性体からなるブッシュとを装着して、シールゴムとブッシュとをケーブル軸心方向に圧接支持する保持片が前記端面板に着脱自在に装着され締付片によって締め付け固定する構成で備えられると共に、前記シールゴムとブッシュとを前記外筒に内装される内筒のあるシールキャップによって締付片で軸長手方向に軸圧縮することにより、クロージャ内の浸水原因となるケーブルシール部での影響をなくし、異径の各種ケーブルをケーブル接続用収容凾体の出入にも水密確保を的確にして、使用環境・条件にも即し、数十回以上の多数のスリーブ開閉回数にも的確に対応できてケーブルシール部のシール性の維持が安全に確保でき、スリーブの組立、解体作業時間も大幅に短縮化し、しかもケーブルの増設、保守時にも部品等の交換もなく低コストで対応できるケーブル接続用クロージャにおける端面板を提供できる。
【0013】
本発明では、前記端面板が、ケーブル挿通孔の一部を形成する円弧凹面部と前記保持片を嵌合する凹部とを備え、該凹部に装着された保持片を含む端面板の外周に係止部でガスケットを着脱自在にリング状に被覆配備すると共に、前記保持片が、ケーブル挿通孔の一部を形成する円弧凹面を備え、前記端面板の両側面に形成された一対の凹面部にそれぞれ嵌合する回転支点部と仮止め部とを保持片の両側面にフランジ状に突設し、さらに凹凸係止部によって端面板への連結構造となっていることで、ケーブル配線作業の簡便化と作業者のスキルによって品質に差が生じにくい良好なシール性の確保の取り扱いができる。
【0014】
また、本発明の前記端面板に嵌合する前記外筒が、中央縦方向に分割面を有する2分割構造の外筒壁で筒状ポケットを形成して脱落防止機能のあるヒンジ部で着脱自在に連結され、端面板のケーブル挿通孔の円周に沿って形成されたリブに嵌合して軸方向に案内できる位置決めリブを外筒周面に設けて外筒を同じ向きにしか取り付けられないようにして、ケーブルシール部の組立、解体作業時間も大幅に短縮化でき作業性の向上を図ることができる。
【0015】
さらに、前記ガスケットが、硬度Hs30〜60好ましくは硬度Hs35〜55のEPDMゴムからなり両端縁を傾斜面として対向する面で突き合わされて接合され、外周面に複数のリブをケーブル軸方向に間隔をあけて並設すると共に、前記保持片に突設される固定用ピンに係止される固定用ピン穴を備えて端面板に着脱自在に装着されるものであって、内圧または外圧に対応するたシール性保持のために緩衝帯域に貫通しない肉抜き穴を設けたことで、該肉抜き穴に内圧または外圧がかかると穴が広がりスリーブと端面板との嵌合装着のシール性を向上し、クロージャでの内圧または外圧に対応するセルフシールが可能で、シール性保持の保証を確実することができる。
【0016】
さらにまた、本発明は前記端面板に嵌合配備される前記外筒が、その内面にケーブル挿通孔の円周に沿った半円弧状のブッシュを片側に突設した取付片によって対向面に形成されるボスとボス穴の係止部で定着し、外筒の筒状ポケットに挿入した前記シールゴムがスリットを有する筒状体でゴムまたはエラストマの硬度0〜40Hsのものからなることにより、シール部材をケーブル直径に対応した寸法で挟圧配備し得てシール性を良好にすることができる。
【0017】
この場合、端面板に配備される前記外筒に嵌合する前記ケーブルシールキャップが、一端にフランジを備え、中央で縦方向に二分割される2分割構造の筒壁で前記外筒の筒状ポケッに内装される内筒を形成し、対向するフランジ部に形成されるボスとボス穴の係止部で着脱自在に定着し、さらに両フランジ部に設けた取付孔に締付片を嵌通して外筒に締付け連結して外筒の筒状ポケッに内装されるシールゴムを軸長手方向に軸圧縮することで、ケーブルシール部の使用環境・条件に即した良好なシール性の維持を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施形態では、ケーブルの必要な個所にシールゴムを定着し、該シールゴムにブッシュをポケット内に取り付けた2分割構造の外筒を組付け、この外筒を端面板の凹部に挿入してから、端面板に保持片を仮止めしたのち、該保持片のネジを締めて固定して取り付ける。次いで外筒のポケット内に挿入しうる内筒のあるシールキャップを外筒に嵌挿して取付けて、シールキャップの締付片を締めつけシールゴムを軸長手方向に軸圧縮することで、前記シールゴムとブッシュとを前記外筒に内装される内筒のあるシールキャップによってケーブル直径に対応した寸法で挟圧配備でき、シールゴムおよびブッシュがケーブルの外周に纏わりつきシール性を確実に確保することができる。そして、2分割構造のスリーブを端面板に被せて嵌着し、スリーブに備えられたロック機構を締結して密封性も大幅に高めて安全に用いられるものであり、該端面板を通過するケーブルは、外筒内のシールゴムおよびブッシュが締付片の締め付けによってケーブル軸心方向に圧接され、さらに軸長手方向に軸圧縮することでシールしたことで、ケーブル周囲から浸水することなくケーブル配線用クロージャを安全確実に使用することができる。
【0019】
なお、前記シールゴムおよびブッシュが内装される2分割構造の外筒が、中央で縦方向に二分割される外周壁からなり、保持片にある締付片の締め付けによって締着できるように備えてあるので、分割、組立を二つに分けて取り扱えると共に、ケーブルの挿入挟持作業を著しく簡易に行うことができるし、シールゴムの軸圧縮も確実で、シール性をも大幅に向上でき、シール部材を介してケーブル装入組立後の水密性を維持できる。
従って、シール部材の圧接面にケーブルをそのまま沿わせて圧着することとなるので、締付片の締付力でシールキャツプの圧入によりシール部材が弾性変形してケーブルの外周に隙間なく密着させられるし、シーリングテープなしでケーブルの気密性並びに水密性確保を容易にし、各異径のケーブルの出入対応も簡単にでき、ケーブルシール部での組立、解体作業時間の短縮化が図れ、増設、保守時に於ても部品等の交換不要でコストの大幅な低減も図れることになる。
【0020】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1〜図13は、この発明の第1実施例に係る端面板を示し、図1は全体を、図2、図3はその使用状態を、図4〜図13はその部品であり、図14〜図16は、この発明の他の実施例に係る端面板を示すものである。
第1実施例を図1乃至図13の例で説明すると、光ケーブル接続部の周囲を被包する筒状スリーブ1の両端面中央部にケーブル挿通孔2のある端面板3が着脱自在に嵌合配備されるケーブル接続用クロージャにおいて、前記ケーブル挿通孔2に嵌合する2分割構造の外筒4を端面板3に着脱自在に装着し、該外筒4内のポケット4,4にスリット5を有するシールゴム5と、突き合わせ分離面6を有するゴム状弾性体からなるブッシュ6とを装着して、該シールゴム5とブッシュ6とをケーブル軸心方向に圧接支持する保持片7が前記端面板3に着脱自在に装着され、ボルト、ナットなどの締付片8によって締め付け固定する構成で備えられると共に、前記シールゴム5とブッシュ6とを前記外筒4に内装される内筒9のあるシールキャップ10によってネジ、ボルトなどの締付片11で軸長手方向に軸圧縮するようになっている。(図1乃至図6)
【0021】
前記端面板3としては、略楕円形状の板状の端面板で外周側にケーブル挿通孔2の一部を形成する円弧凹面部2と前記保持片7を嵌合する凹部3とを複数備え、該凹部3に装着された保持片7を含む端面板3の外周にボスとボス孔からなる係止部13でガスケット12を着脱自在にリング状に被覆配備して筒状スリーブ1の両端面中央部に嵌合してある。(図4及び図5)
また前記保持片片7は、図6に示すようにケーブル挿通孔2の一部を形成する円弧凹面2を備え、前記端面板3の両側面に形成された一対の凹面部3,3にそれぞれ嵌合する回転支点部7と仮止め部7とを保持片7の両側面にフランジ状に突設し、さらに凹凸係止部によって端面板3への連結構造となっている。
【0022】
なお、前記端面板3に嵌合する前記外筒4が、中央縦方向に分割面を有する2分割構造の外筒壁でシールゴム5とブッシュ6とのシール部材を嵌合する筒状ポケット4,4を形成して、該筒状ポケット4,4にスリット5のある中空円筒状のシールゴム5と、突き合わせ分離面6を有するブッシュ6とを嵌装するように構成し、外筒4を締付片8によって締着することでシールゴム5及びブッシュ6のケーブルCへの接合面を圧接挟持するようにしてある。この場合、前記外筒4は2分割する分離突き合わせ外側面に脱落防止機能のあるヒンジ部14例えば、一対のフックと該フックを係止する支軸とを対向して外筒4に備えて着脱自在に連結され、フックを挿入係合した時に支軸からの回動防止作用を与えるヒンジ部脱落防止構造とすることもできる。
また端面板3のケーブル挿通孔2の円周に沿って形成されたリブ4に嵌合して軸方向に案内できる位置決めリブ4を外筒周面に設けて外筒4が端面板3に組み立て易い構成となっている。(図7乃至図10)
【0023】
前記端面板3に用いられるガスケット12は、EPDMゴムからなり両端縁を傾斜面として対向する面で突き合わされて接合され、外周面に複数のリブ12をケーブル軸方向に間隔をあけて並設すると共に、前記保持片7に突設される固定用ピンに係止される固定用ピン穴の係止部13を備えて端面板に着脱自在に装着されるものであって、内圧または外圧に対応するたシール性保持のために緩衝帯域12に貫通しない肉抜き穴12を複数設けるのがよい。(図12)
特に、ベルト状のガスケット12は端面板3の外周に巻き付け、その両端の先端面を傾斜面として突き合わせた際に、傾斜面同士が突き合わせ重合されて前記端面板3とスリーブ1との嵌合面のシール性を高めるようにするのが有効である。
【0024】
さらに、前記端外筒4のポケット4に内装される前記ブッシュ6としては、ケーブル挿通孔2の円周に沿った半円弧状のブッシュを片側に突設した取付片6によって対向面に形成されるボス6とボス穴6の係止部で定着して、外筒4を締付片8で締着した際に該ブッシュ6をケーブルCにケーブル軸心方向に圧接できてシール性を強化できるようにしてある。(図13)
なお、端面板に嵌合する外筒内に配備される前記シールゴム5は、スリットを有する中空筒状体でEPDMゴムまたはエラストマの硬度0〜40Hsのものを用いるのがよい。例えば、硬度Hs0〜30〔針入度40〜90(10-1mm)〕好ましくは硬度Hs5〜20で伸び500〜2000好ましくは800〜2000%及び引張強度10〜60kg/cmの加硫されたゴム組成物から構成されものを選んで用いる。
この場合、前記シールゴム5は、伸びが大きく引張応力(モジュラス)も大きい低硬度ゴム(ショアー硬度0〜40)を用い、即ち、針入度40〜90、好ましくは50〜70(10−1mm・JIS K2560)で、伸び500〜2000%好ましくは800〜2000%(JIS K6301)及び引張応力100%−0.5kgf/cm ,300%−1.0kgf/cm (JIS K6301)の加硫ゴム組成物、例えばEPR、EPDM、シリコーンゴム(Q)、ブチルゴム(IIR)、スチレン・ブタジェンゴム(SBS)或いはフッソゴム(FKM)など低硬度(Hs)のものである。
【0025】
前記ケーブルシールキャップ10としては、一端にフランジ部10を備え、中央で縦方向に二分割される2分割構造の筒壁で前記外筒4の筒状ポケット4に内装される内筒4を形成し、対向するフランジ部10に形成されるボス10とボス穴10の係止部で着脱自在に定着し、さらに両フランジ部10に設けた取付孔9にボルトの締付片111を嵌通して外筒4に締付け連結して、該締付片11の締め付けによって外筒4の筒状ポケット4内に前記内筒4を嵌め込んで移動し前記シールゴム5を軸圧縮できるようになっている。(図10c及び図11)
【0026】
前記筒状スリーブ1は、円筒体または角筒体などの筒状のハウジングで、縦方向或いは水平方向の分離接合面で二つに分割できるようにしたもので、合成樹脂、例えばPP樹脂或いは難燃性のFRPPなどから構成され、二分割する突き合わせ接合面と、該ケース1両端に、前記ケーブル接続部の両側のケーブルを貫通する端面板3とを備え、該端面板3を側壁部に締め付けロック係止具6で連結できるようにしてあり、前記ケース1内にはケーブル接続部と心線余長収納部のある心線トレイ(図示せず)が備えられて用いられる。(図3)
この場合、その筒状スリーブ1の両端面の壁部中央に前記端面板3の嵌合溝を形成した分割ケースで、接合端面を突き合わせ連結するようになっていて、前記端面板3の外周縁をガスケット12を介して高密度に当接一体化できるようにしてある。 また、前記端面板3に形成されるケーブル挿通孔2と、地下・架空配線若しくは幹線ケーブルの出入口である挿通孔とは端面板3の外周に着脱自在に嵌合配備される保持片7との接合面に形成し、分離面からケーブル等配線の挿入を簡易に行ない、挿入後は接合面が互いに密接してシール性を適確に保つようにしてある。
【0027】
前記筒状スリーブ1に嵌合する端面板3のケーブル挿通孔2を使用しない時は、円筒状の閉塞栓(図示せず)を挿入して圧接してシール性を維持し、ケーブルCの挿出入すべきケーブル挿通孔2には円筒状の前記シールゴム5とブッシュ6とを内装した外筒4を保持片7と共に端面板3に挿入装着して用いるが、ケーブルCの必要な個所にスリット5を経てシールゴム5を定着し、該シールゴム5にブッシュ6をポケット内に取り付けた2分割構造の外筒4を組付け、この外筒5を端面板3の凹部5に挿入してから、端面板3に保持片7を仮止めしたのち、該保持片7のネジを締めて固定して取り付ければよい。次いで外筒4のポケット4内に挿入しうる内筒10のあるシールキャップ10を外筒4に嵌挿して取付けて、シールキャップ10の締付片11を締めつけ前記シールゴム5を軸長手方向に軸圧縮することで、ケーブルCのシール部分のシール性を高めるようにするのが有効である。
【0028】
図14の第2実施例では、同一径のケーブル挿通孔2を端面板3に4つ同心心円上に配列して設けた異形端面板を用い、上側と下側とに保持片7を設けて、スリーブ1をヒンジ部16で開閉自在に連結した例を示すが、ケーブル挿通孔2はケーブル径や支持線径は種々あるので、各ケーブルに対応するようになっている。
【0029】
図15の第3実施例では、同一径のケーブル挿通孔2を2つ並列して設けた例を示すが、図16に示すような略ひょたん型の端面板3にして偏平型のスリーブ1に用いやすくしてクロージャのコンバクト化に役立つようになっている。
各実施例の例では、ケーブル挿通に際し保持片7を開放してシールゴムを介してケーブルを挟み込めば、シール部材がケーブル外周に密着することとなり、異径種のケーブル外被に対応でき、しかも弾性変形して隙間なく端面板に密着されて防滴性を確保でき、シール部分の密封性を高めた形態で使用できるものであって、ケーブルの導出入に水密性を確実にし、ケーブルの収容凾体に良好なシーリングで使用することができる。
なお、各実施例の端面板において、第1実施例と同一符号は同一部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1実施例の組立状態の端面板を示し、(a)はその正面図、(b)はその側面図である。
【図2】図1の例の斜視図を示し、(a)は外側から斜視した斜面図、(b)は内側から斜視した斜面図である。
【図3】図1の例をクロージャに使用した状態の全体図で、(a)はその正面図、(b)はその側面図である。
【図4】図1の例で使用される端面板本体を示し、(a)はその正面図、(b)はその側面図である。
【図5】図4で示す端面板本体の斜視図を示し、(a)は外側から斜視した斜面図、(b)は内側から斜視した斜面図である。
【図6】図4で示す端面板本体の組み立て状態を示し、(a)はその一部分離状態の正面図、(b)はその保持片の平面図、(c)はその側面図である。
【図7】図1の例で使用される外筒を示し、(a)はその正面図、(b)はその側面図、(c)はその平面図である。
【図8】図7の例での外筒を展開状態を示し、(a)はその平面図、(b)はその正面図、(c)はその側面図、(d)は拡大底面図、(e)は組み立て拡大縦断面図である。
【図9】図7の例での斜視図で、(a)は外側から斜視した斜面図、(b)は下面を表すために廻して斜視した斜面図である。
【図10】図1の例で使用されるケーブルシール部を示し、(a)はその平面図、(b)はその正面図、(c)はシールキャップを嵌挿した状態の横断面図である。
【図11】図10の例で使用されるシールキャップを示し、(a)はその組み立て平面図、(b)はその正面図、(c)は分離状態の正面図、(d)はその上部材の底面図と下部材の平面図である。
【図12】図1の例で使用されるガスケットを示し、(a)はその平面図、(b)はその一部断面の正面図、(c)はc−c線における拡大正面図である。
【図13】図1の例で使用されるブッシュを示し、(a)はその平面図、(b)はその正面図、(c)は側面図、(d)はd−d線における縦断面図、(e)はe−e線における縦断面図、(f)はf−f線における縦断面図である。
【図14】本発明の第2実施例の組立状態の端面板を示し、(a)はその正面図、(b)はその使用状態をの平面図である。
【図15】本発明の第3実施例の組立状態の端面板を示し、(a)はその正面図、(b)はその使用状態をの平面図である。
【図16】図15の例で用いられる端面板を示し、その一部分離状態の正面図である。
【符号の説明】
【0031】
C ケーブル
1 スリーブ
2 ケーブル挿通孔
3 端面板
凹部
凹面部
仮止め部
4 外筒
ポケット
ポケット
5 シールゴム
スリット
6 ブッシュ
突き合わせ分離面
7 保持片
回転支点部
仮止め部
8 締付片
9 取付孔
10 シールキャツプ
10 フランジ部
10 内筒
10 ボス
10 ボス穴
11 締付片
12 ガスケット
13 係止部
14 ヒンジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブル接続部の周囲を被包する筒状スリーブの両端面に、ケーブル挿通孔のある端面板が着脱自在に嵌合配備されるケーブル接続用クロージャにおいて、前記ケーブル挿通孔に嵌合する2分割構造の外筒を端面板に着脱自在に装着し、該外筒内にスリットを有するシールゴムと、突き合わせ分離面を有するゴム状弾性体からなるブッシュとを装着して、シールゴムとブッシュとをケーブル軸心方向に圧接支持する保持片が前記端面板に着脱自在に装着され締付片によって締め付け固定する構成で備えられると共に、前記シールゴムとブッシュとを前記外筒に内装される内筒のあるシールキャップによって締付片で軸長手方向に軸圧縮することを特徴とするケーブル接続用クロージャにおける端面板。
【請求項2】
請求項1に記載のケーブル接続用クロージャにおける端面板において、前記端面板が、ケーブル挿通孔の一部を形成する円弧凹面部と前記保持片を嵌合する凹部とを備え、該凹部に装着された保持片を含む端面板の外周に係止部でガスケットを着脱自在にリング状に被覆配備したことを特徴とする端面板。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のケーブル接続用クロージャにおける端面板において、前記保持片が、ケーブル挿通孔の一部を形成する円弧凹面を備え、前記端面板の両側面に形成された一対の凹面部にそれぞれ嵌合する回転支点部と仮止め部とを保持片の両側面にフランジ状に突設し、さらに凹凸係止部によって端面板への連結構造となっていることを特徴とする端面板。
【請求項4】
請求項1、請求項2または請求項3に記載のケーブル接続用クロージャにおける端面板において、前記外筒が中央縦方向に分割面を有する2分割構造の外筒壁で筒状ポケットを形成して脱落防止機能のあるヒンジ部で着脱自在に連結され、端面板のケーブル挿通孔の円周に沿って形成されたリブに嵌合して軸方向に案内できる位置決めリブを外筒周面に設けたことを特徴とする端面板。
【請求項5】
請求項2に記載のケーブル接続用クロージャにおける端面板において、前記ガスケットが、EPDMゴムまたはエラストマからなり両端縁を傾斜面として対向する面で突き合わされて接合され、外周面に複数のリブをケーブル軸方向に間隔をあけて並設すると共に、前記保持片に突設される固定用ピンに係止される固定用ピン穴を備えて端面板に着脱自在に装着されるものであって、内圧または外圧に対応するたシール性保持のために緩衝帯域に貫通しない肉抜き穴を設けたことを特徴とする端面板。
【請求項6】
請求項3、請求項4または請求項5に記載のケーブル接続用クロージャにおける端面板において、前記外筒が、その内面にケーブル挿通孔の円周に沿った半円弧状のブッシュを片側に突設した取付片によって対向面に形成されるボスとボス穴の係止部で定着したことを特徴とする端面板。
【請求項7】
請求項4、請求項5または請求項6に記載のケーブル接続用クロージャにおける端面板に嵌合する外筒内に配備される前記シールゴムがスリットを有する筒状体でEPDMゴムまたはエラストマの硬度0〜40Hsのものからなることを特徴とする端面板。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載のケーブル接続用クロージャにおける端面板において、前記ケーブルシールキャップが、一端にフランジを備え、中央で縦方向に二分割される2分割構造の筒壁で前記外筒の筒状ポケッに内装される内筒を形成し、対向するフランジ部に形成されるボスとボス穴の係止部で着脱自在に定着し、さらに両フランジ部に設けた取付孔に締付片を嵌通して外筒に締付け連結して外筒の筒状ポケットに内装されるシールゴムを軸長手方向に軸圧縮することを特徴とする端面板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−63331(P2010−63331A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−229292(P2008−229292)
【出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【出願人】(595083051)株式会社ジャパンリーコム (40)
【出願人】(591199590)株式会社正電社 (34)
【出願人】(000231936)日本通信電材株式会社 (98)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】