説明

ケーブル結束具

【課題】 従来の種類のものを改良したケーブル結束具を提供する。
【解決手段】 本発明はケーブル結束具に関し、これは一定の幅と厚さの細長状帯部(2)を有し、帯部の一端は当該帯部(2)よりも幅狭な細長状挿入部(2a)を有し、また帯部(2)の他端は固定ヘッド(3)を有する。固定ヘッド(3)は、一方で帯部(2)の貫通穴(4)を備え、他方で穴(4)の一つの横断壁にあるスリット(5)を備えており、穴(4)は帯部(2)とほぼ同幅で、帯部の厚さよりも大きな高さを有し、スリット(5)は、このスリットを通って挿入部(2a)が穴に挿入され、帯状ループを形成できる幅を有する。舌片(6)は、固定ヘッド(3)に帯部(2)を固定するのに設けられ、穴(4)の一端から他端へスリット(5)に向けて延びる。そして、固定ヘッド(3)を補強する薄板金属製の挿入体(7)が、固定ヘッドに組み込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前節にあるケーブル結束具に関する。
【背景技術】
【0002】
こうしたケーブル結束具(ケーブルタイ)は、例えばスウェーデン国特許出願公開第9903378−9 C2号(特許文献1)に予め開示されている。
【0003】
この種の結束具の利点は、帯部の狭い部分を固定ヘッドのスリットを通して貫通穴に案内することにより、結束ループを素早く簡単に形成できることにある。こうしたスリットを備えた開放固定ヘッドとも称される固定ヘッドの欠点は、固定ヘッドの壁部の厚さと一般的な温度とによって、固定ヘッドがこれ以上帯部を保持できない力が決定されることである。すなわち、この種のケーブル結束具はプラスチック材料からなるので、自身の保持能力を失うような危険性を伴わずにケーブル結線具が利用できるような温度下で、その極限が必然的に置かれることになる。
【0004】
前記スウェーデン国特許出願公開第9903378−9 C2号のケーブル結束具は、固定ヘッドの貫通穴に向けて突出した釘形の突起が、帯部の各端部に沿って形成した対応する溝と、どのようにして係合できるのかが開示されており、このケーブル結束具を壊して開けるためには、前述の力を増大させることが必要とされる。
【特許文献1】スウェーデン国特許出願公開第9903378−9 C2号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上述した種類のものを改良したケーブル結束具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、請求項1の後段部分に規定された特徴部分を有する機構により達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明に基づくケーブル結束具の実施形態を図の形態で示した添付図面を参照して、より詳細に本発明が記述されるであろう。
【0008】
具体的には、図1は第1実施形態のケーブル結束具における平面図であり、図1aはケーブル結束具の固定ヘッドの詳細図であり、図1bはケーブル結束具の帯部を固定ヘッドに挿入した状態での、ケーブル結束具の固定ヘッドの詳細図である。図2および図2aは、固定ヘッドの断面平面図と部分断面斜視図をそれぞれ示しており、この固定ヘッドは、本発明に基づく薄板金属製の挿入体と一体に形成したケーブル結束具の固定用舌片を備えている。図2bは、本発明に基づく薄板金属製の挿入体における工程前の素材の例を示し、また図2cは図2bに基づく工程前の素材の斜視図を示しており、この工程前の素材は、開放固定ハウジングと接触するように設計されている。図3は本発明に基づく挿入体を備えたケーブル結束具の別な実施態様の平面図を示しており、また図3aは、図3に示すケーブル結束具における固定ヘッドの詳細図で、この図では帯部が固定ヘッドに挿入されている。
【0009】
図1に示すケーブル結束具は、一様に符号1で示されているが、これは一定の幅と厚さを有する細長状の帯部2を備えている。帯部2の一端は、この帯部2よりも幅の狭い挿入部2aを有する。挿入部2aは、握り用の摘み2a1をその終端としている。帯部2の他端は固定ヘッド3を有し、これは一方では帯部2に貫通する穴4を備えていると共に、他方では前記穴4の一つの横断壁にあるスリット5を備えている。穴4は帯部2とほぼ同じ幅で、しかも帯部2の厚さよりも大きな高さを有している。スリット5は、このスリット5を通って挿入部2aが穴4に挿入され、帯状のループを形成できるように、その幅が形成される。固定ヘッド3の、より明確には穴4内には、穴4の一端からこの穴4に対してスリット5に向けて斜めに延びる固定用の舌片6がある。この舌片6は、帯部を貫通孔4に挿入したときに、固定ヘッドに対して帯部2を固定するために設けられる。
【0010】
本発明の特徴となる薄板金属製の挿入体7は、好ましくはステンレス製のシートであって、スリット5を拡げようとし、その結果として帯部2が舌片6から離脱するような危険をもたらす力に対して、固定ヘッド3がより影響を受けにくくなるように機能する。図1,図1aおよび図1bに示す実施形態では、この挿入体が固定ヘッド3と一体的に形成されており、好ましくは技術的に知られていて、帯部2の対応する溝に接触するように設けられた溝を有している。挿入体7は、固定ヘッド3の貫通孔4と形状が一致する。この挿入体7は、好ましくは固定ヘッド3を形成する材料によって、その内側が被覆されるように組み込まれるが、挿入体7の別な実施形態では、挿入体7の内側が露出するように組み込まれる。
【0011】
図2に基づく実施態様では、本発明における個々の特徴からも明らかなように、挿入体7と一体に形成される舌片6を備えている。こうした薄板金属製の舌片6であれば、舌片6’と帯部との間の係合をより劣化させることなく、帯部2の溝を省略若しくは少なくとも簡素化できる。それは言い換えれば、より簡素な製造工程と、安価なケーブル結線具を意味することになる。
【0012】
図2bおよび図2cを参照すると、ここでの例は、本発明に基づく挿入体7がどのようにして製造されるのかを記述しており、さらに図2aは、挿入体7がどのようにして固定ヘッド3に挿入されるのかを示している。図2bに基づく打ち抜き形成された薄板金属からなる工程前の素材から開始して、点線に沿って折曲げ作業が段階的に行なわれ、図2aに示す挿入体が得られる。打ち抜きと折曲げの各作業を一続きの生産用冶具で行なえることで、結果的に自動化がなされ、高いコスト効果をもたらすことは、当業者であれば明らかであろう。挿入体7は、ケーブル結束具を製造するのと同時に固定ヘッドに導入されるが、これはインジェクション成形によって行なわれる。
【0013】
図2aから理解されるように、挿入体7は固定ヘッドにしっかりとアンカー固定されるが、とりわけ固定ヘッド3には、帯部2を締めて固定したときに、舌片6を保持するように設けた舌片6'用の断面部3aがあることに留意しなければならない。しかしながら、舌片6のロッキング(固定)機能に対して、この断面部3aはそれほど重要なものではない。
【0014】
図3および図3aに示した本発明に基づくケーブル結束具の実施態様において、固定ヘッドと挿入体はフランジ3b,7aをそれぞれに有しており、これらのフランジ3b,7aは、貫通孔4に向けて突出しながら、スリット5の端部に沿って延びている。またフランジ3b,7aは、帯部2が穴4に挿入されるときに、対応する溝2bと接触するように設けられるが、これは帯部2と固定ヘッド3との間の係合が失われる危険を伴ないながら、スリット5が拡げられることなく、こうした応力に対処して、固定ヘッド3の能力をさらに増大させるためにある。
【0015】
図3および図3aに示すフランジ3b,7aを備えた実施態様では、固定ヘッドと一体的に形成した、すなわちプラスチックからなる舌片6を備えてもよいし、さもなければ挿入体7と一体的に形成した、すなわち金属板からなる舌片6を備えてもよいことが理解されるであろう。
【0016】
別な実施態様では、各フランジ3bを省略して、挿入体7と一体に形成した各フランジ7aだけで、各溝2bの係合を維持するようにしてもよい。
【0017】
さらに別な実施態様では、各フランジ7aを省略して、各フランジ3bだけで、各溝2bの係合を維持するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態のケーブル結束具における平面図である。
【図1a】ケーブル結束具の固定ヘッドの詳細図である。
【図1b】ケーブル結束具の帯部を固定ヘッドに挿入した状態での、ケーブル結束具の固定ヘッドの詳細図である。
【図2】固定ヘッドの断面平面図である。
【図2a】固定ヘッドの部分断面斜視図である。
【図2b】本発明に基づく薄板金属製の挿入体における工程前の素材の例を示す図である。
【図2c】図2bに基づく工程前の素材の斜視図である。
【図3】本発明に基づく挿入体を備えたケーブル結束具の別な実施態様の平面図である。
【図3a】図3に示すケーブル結束具における固定ヘッドの詳細図である。
【符号の説明】
【0019】
2 帯部
2a 挿入部
2b 溝
3 固定ヘッド
3b,7a フランジ
4 貫通穴(穴)
5 スリット
6 舌片
7 挿入体



【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の幅と厚さを有する細長状の帯部(2)を備え、
この帯部(2)の一端には当該帯部(2)よりも幅の狭い細長状の挿入部(2a)を有すると共に、前記帯部(2)の他端には固定ヘッド(3)を有し、
前記固定ヘッド(3)は、その一方で帯部(2)に貫通する穴(4)を備えると共に、他方で前記穴(4)の一つの横断壁にあるスリット(5)を備えており、
前記穴(4)は、帯部(2)とほぼ同じ幅で、この帯部(2)の厚さよりも大きな高さを有し、
前記スリット(5)は、このスリット(5)を通って前記挿入部(2a)が穴(4)に挿入され、帯状のループを形成できるような幅を有しており、
前記穴(4)の一端から他端へ前記スリット(5)に向けて延び、前記固定ヘッド(3)に対して前記帯部(2)を固定するのに設けられた舌片(6)を有するケーブル結束具において、
前記固定ヘッド(3)を補強する薄板金属製の挿入体(7)を、当該固定ヘッド(3)に組み込んだことを特徴とするケーブル結束具。
【請求項2】
前記挿入体(7)は、前記固定ヘッド(3)の穴(4)と形状が一致することを特徴とする請求項1に記載のケーブル結束具。
【請求項3】
前記舌片(6)が前記挿入体(7)と一体に形成されることを特徴とする請求項1または2に記載のケーブル結束具。
【請求項4】
前記固定ヘッド(3)は、技術的に知られている方法で、前記スリット(5)の端部に沿って、前記貫通穴(4)に向けて延びるフランジ(3b)を備え、このフランジ(3b)は、前記帯部(2)の対応する溝(2b)と接触するように設けられることを特徴とする請求項1または2に記載のケーブル結束具。
【請求項5】
前記挿入体(7)は、前記固定ヘッド(3)のフランジ(3b)を補強すると共に、前記帯部(2)の溝(2b)と接触する金属製の対応するフランジ(7a)が形成されることを特徴とする請求項4に記載のケーブル結束具。
【請求項6】
前記挿入体(7)は、前記スリット(5)の端部に沿って、前記貫通穴(4)に向けて延びるフランジ(7a)を備え、このフランジ(7a)は、前記帯部(2)の対応する溝(2b)と接触するように設けられることを特徴とする請求項1または2に記載のケーブル結束具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−518692(P2006−518692A)
【公表日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−502790(P2006−502790)
【出願日】平成16年2月2日(2004.2.2)
【国際出願番号】PCT/SE2004/000131
【国際公開番号】WO2004/069680
【国際公開日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(502318456)ゲーペ デヴェロップメント アーゲー (2)
【Fターム(参考)】