説明

ゲルマニウムおよびゲルマニウム合金のナノ粒子ならびにそれらを製造するための方法

本発明において、結晶ゲルマニウムまたはゲルマニウム合金の電気化学エッチングは、ナノ粒子のよく分離された色クラスターを作り出す。別の強いバンドは、430nm、480nm、580nmおよび680−1100nmにおいて同定される波長で最も低いピークを有する350nm励起の下の光ルミネセンススペクトルに現われる。この材料は、コロイド中に調製することができて、フィルム、結晶などに再構築できる別々のセットの直径1〜3nmの発光性ナノ粒子の中に分散させることができる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、ナノ材料である。
【背景技術】
【0002】
直径約1nmのシリコンナノ粒子は、励起発光を示す。バルクシリコンは、1.1eVの間接バンドギャップおよび3.2eVの直接バンドギャップを有する光学的に不活性な間接バンドギャップ材料である。1nmシリコンナノ粒子は、3.55eVのエネルギーギャップおよび非常に効率的な光学活性を有する新規のワイドバンドの直接ギャップ材料を効果的に作り出す。1.1eVの1nmシリコンナノ粒子の間接バンドギャップは、赤外線領域である1.1μmの波長に対応する。1nmシリコンナノ粒子の我々の以前の研究では、赤外線領域で中程度の発光活性を示した。
【0003】
より以前の研究において製造した一様な大きさの1nmシリコンナノ粒子(1000以下のより大きい寸法で約1つの部分を有している。)は、特有の青い発光を有する。例えば、Akcakir et al.“Detection of luminescent single ultrasmall silicon nanoparticles using fluctuation correlation spectroscopy,”Appl.Phys.Lett.76(14),p.1857(April 3,2000)参照。
【0004】
シリコンナノ粒子はまた、H−末端もしくはO−末端で合成されるか、またはN−結合もしくはC−結合で官能化される。以前の研究ではまた、1〜3nmの範囲で別の粒子の大きさを有する一様な大きさの分光学的に螢光を発するナノ粒子のファミリー、および赤外線領域で発光する追加の粒子を製造した。そのファミリーは、1nm(青色発光)、1.67nm(緑色発光)、2.15nm(黄色発光)、2.9nm(赤色発光)および3.7nm(赤外線発光)を含んでいる。G.Belomoin et al.“Observation of a magic discrete family of ultrabright Si nanoparticles,”Appl.Phys.Lett.80(5),p.841(February 4, 2002);および米国特許出願公開公報20020070121号(Nayfeh et al.)参照。
【0005】
光学的相互接続は、多くの用途を有する。用途例は、「キャビネットからキャビネット」または「ボードからボード」のいずれかのレベルにおけるサーバー間での高速データコミュニケーションのためのものである。別の用途は、チップレベル相互接続のためのものである。現在の技術は、GaAsまたはInP−InGaGaPiNのようなIII−V系を利用する。IV族材料は、それらの良質の性質のためにそして製造に有利なために、特別の関心がもたれている。例えば、シリコン系検出器は、III−V族の製造プロセスより低コストで一般的に実施することが可能な従来のシリコンCMOSプロセスで製造することができる。
【0006】
化合物半導体基体の上に作られた従来の光学式検出器は、比較的高価なマルチチップ溶液のためのバルクシリコンダイで接着する。しかしながら、820nmにおけるシリコンの大きい吸収波長(20μm)ならびに1300nmおよび1550nmにおける禁止された吸収のために、バルクシリコン系光検出器は、検出効率と波長範囲が制限されている。
【0007】
ゲルマニウム系またはガリウムヒ素系のシステムは、バルクシリコンを超える1300nmおよび1550nmにおける、より良い吸収および感度を提供する。
【0008】
ナノ粒子系光検出器は、量子ドット光検出器とも呼ばれるが、バルクデバイスと比較して、従来のバルクシリコン検出デバイスにおいて作り出される小さい光電流を利用する従来のシステムで使われる増幅電気回路の必要を軽減または削除することができる程度に、フォトンから電流への変換効率を強める機会を提供する。Si、GeおよびGeSiのナノ粒子または量子ドットのフィルムに基づいたシステムが最近実証されているが、しかし中程度の効率しか有していない。例えば、大きい量子基礎構造(50nm)からなるフィルムを利用しているGe系光検出器は、820nm、1300nmおよび1550nmの波長の下で130mA/W、0.16mA/Wおよび0.08mA/Wの応答をそれぞれ有する。
【0009】
例えば、“High efficiency 820nm MOS Ge quantum dot photodetectors for short−reach integrated optical receivers with 1300 and 1550nm sensitivity,”B.C.Hsu et al.IEDM、91(2002)(IEEE publication)参照。
【0010】
電流応答のこれらのレベルは、短距離の光電子コミュニケーションのための光電子デバイスへの簡単な組み込みを提供するであろうレベルより低い。より高い性能は、特に820nmにおいて、短距離の光コミュニケーションのためのシリコンチップの中に光電子デバイスを組み込むことを実行可能にするであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明において、結晶ゲルマニウムまたはゲルマニウム合金の電気化学エッチングは、ナノ粒子のよく分離された色クラスターを作り出す。別の強いバンドは、430nm、480nm、580nmおよび680−1100nmにおいて同定される波長で最も低いピークを有する350nm励起の下の光ルミネセンススペクトルに現われる。この材料は、コロイド中に調製することができて、フィルム、結晶などに再構築できる別々のセットの直径1〜3nmの発光性ナノ粒子の中に分散させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、ゲルマニウムおよびゲルマニウム合金のナノ粒子、ならびにそれらを作るための方法に関する。ナノ粒子からの赤外発光は、無数の用途において特別な関心を集めると見込まれる。赤外領域において非常に効率的なナノ材料系の光検出器または光トランジスターは、「チップからチップ」および「ボードからボード」の光学相互接続のための基礎を構成することができる。バルクシリコンと比較して、バルクゲルマニウムは、間接バンドギャップ(0.66対1.1eV)および直接バンドギャップ(0.9対3.2eV)を減少させる。そして、本発明のゲルマニウムナノ粒子の1つの用途は、赤外領域に感光性応答を拡張することである。
【発明の効果】
【0013】
本発明において、我々は、結晶ゲルマニウムまたはゲルマニウム合金の電気化学エッチングプロセスを化学エッチング剤溶液(例えば、HF/H/HO)中において使用し、365nm UV励起の下で、ウルトラブライト(ultrabright)の青色、緑色および黄色/橙色の光ルミネセンスならびに非常に効率的な赤外発光を示すナノ粒子材料のよく分離された色クラスターを作り出す。したがって、高感度Si/Geナノ粒子材料系デバイスは、UV付近から赤外までの広範囲の波長をカバーすることができる。赤外バンドにおける効率的な応答についての特に有用な用途は、赤外生物学画像処理用途での使用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施形態のナノ粒子のクラスターを作り出すための方法は、外部電流の存在下で化学エッチング溶液の中へのバルクゲルマニウムまたはゲルマニウム合金(例えば、ウエハー)の挿入を伴う双極性電気化学処理である。ゲルマニウムは、電気化学エッチングプロセスにおいて電極の役割をする。他の電極もまた、化学エッチング浴に接触する。エッチングの間に、電流は逆にされる。
【0015】
浴槽へウエハーを緩やかに進めることを用いて、エッチングの面積を増やすことができる。例となる速度は、毎分約1mmである。ウエハーの緩やかな後退が行なわれるとき、電流は、この場合、逆にされる。また、電流の逆転は、ウエハーを緩やかに進める2回目の期間を始めるために、元の高さにウエハーが上げられた後に実行することができる。
【0016】
本発明の好ましい実施形態において、我々は、HF/H/HOおよびメタノールのエッチング溶液中で結晶ゲルマニウムの電気化学エッチングプロセスを用いる。別の実施形態においては、異なったエッチング剤溶液(すなわち、HCl/メタノール水溶液電解浴)が使われる。そのエッチングプロセスは、バルクゲルマニウムの表面に、一様な大きさのGeナノ粒子の層を作る。エッチングの後に、その表面に形成されたGeナノ粒子を有するGe電極をエッチング剤溶液から分離する。
【0017】
次いで、ナノ粒子表面を有するGeをすすぎ、任意のエッチング剤溶液を取り除くことができる。粒子は、攪拌プロセス(例えば、振盪、バンギング、削り落しまたは超音波攪拌であり、後者が好ましい。)によってバルク材料から取り除くことができる。一般に、バルクGeまたはGe合金の表面からナノ粒子を分離する任意の方法が適しているが、超音波によって供給される粉砕力を有する溶媒が好まれる。超音波浴においては、粒子が水素不動態化(hydrogen passivated)されるので、様々な溶媒を使うことができる。例となる溶媒としては、アセトン、アルコール、水および他の有機溶媒が挙げられる。
【0018】
いったん分離されれば、種々の方法が、コロイド、結晶、フィルムおよび他の所望の形状にナノ粒子を形成するために使用可能である。粒子はまた、コーティングまたはドーピングすることもできる。コーティングおよびドーピングのプロセスは、シリコンナノ粒子に対しては米国特許第6,585,947号に記載された方法と同様である。しかし、コーティングに用いられる特定のプロトコルは、Geの異なる化学的性質を考慮すれば、幾分異なっていてもよい。H−末端ゲルマニウム粒子は、アルキンで官能化することができる。例えば、数時間の間、メシチレン中の20%(v/v)の1−ドデセン溶液で還流することで、結果として表面に結合したドデシル部分が組み込まれる。それは、熱誘導されたハイドロゲルミレーション(hydrogermylation)反応である。
【0019】
本発明の別の実施形態において、バルクゲルマニウムは、シリコンゲルマニウム合金と置き替えられる。上記の電気化学エッチングは、ナノ粒子の中に合金を分散させるために使用される。合金は、イオン注入または分子光線エピタキシー手順によって製造することができる。例となる実施形態は、20−80(Ge−シリコン)組成のゲルマニウム−シリコンウエハーを使用する。この比率に関して、直径1nmのナノ粒子は、Si24Ge配置(24個のシリコン原子および5個のGe原子)を有することができる。
【0020】
あるいは、Ge24Si(5個のシリコン原子および24個のGe原子)を与える80−20(Ge−シリコン)組成を使うことができる。合金元素に対するGeの割合は、合金化またはドーピングされたナノ粒子の波長応答に合わせることを可能にする組成に調整することができる。我々の理論シミュレーションは、いくつかの高品質のSi/Geナノ粒子配置が可能であることを示す。
【0021】
我々は、本発明の方法を実証する実験を行なった。実験においては、過酸化水素(H)を含むHF/メタノール水溶液電解浴を使ってサンプルを調製した。使われたゲルマニウムサンプルは、(100)配向しており、1〜10Ω・cmの抵抗率であるpタイプホウ素ドープウエハーであった。さらに、HFは水素でGeを末端処理(terminate)し、一方、非常に酸化力のある過酸化水素は有機系不純物からウエハーを清浄し、高品質のナノ構造がもたらされる。
【0022】
実験における例となるエッチング剤は、0.5mL、0.45mLおよび0.4mLのHF、Hおよびメタノール(すなわち、およそ1:1:1の体積比)の混合物であった。ウエハーを、350mA/cmの密度を備える180mAの陽極電流において、5分間エッチングした。陽極処理の終わりに、電極の極性を反転し、陰極エッチング工程を2分間実行した。
【0023】
この実験において、365nm UV励起の下で、ウルトラブライト(ultrabright)の青色、緑色および黄色/橙色の光ルミネセンスならびに非常に効率的な赤外線発光を示す、よく分離された色クラスターを製造した。HFおよびHOの両方が、Ge酸化物と反応性を有する。そのため、非常に酸化力のある過酸化水素の組み込みは、エッチング速度を高め、ずっと小さいナノ構造を作り出す。空間的に分解された色クラスターは、Geナノ構造における放射再結合のサイズ依存性量子閉じ込めに合致する。
【0024】
通常基体上に入射するHgランプからの照射を使った光ルミネセンスイメージを取得した。その標的において、電源(1〜15mW)は、0.13〜2W/cmの強度を与える0.6NAの目標物を使って、直径約0.5mmに焦点を合わせる。ルミネセンスは、RGBフィルター/プリズム系の分散電荷結合デバイス(3CCD)によって、逆方向で検出し、そして記録する。特別なカットオフフィルターは、入射波長における散乱をフィルターし、そしてバックグラウンドを差し引く。365nm励起の下で、青色、緑色、および黄色/橙色の発光性クラスターを観察した。
【0025】
我々は、より高いエッチング電流条件において青色主流サンプルを調製することができる。これらは、1nmのGe粒子のクラスターに起因している可能性がある。より高い電流伝導の下で調製されたサンプルは、365nm励起の下で励起した場合、他の色を極めて少ししか有しない青色発光性クラスターが主流となるルミネセンスを示す。
【0026】
スペクトル分布を、プリズム分散エレメントを有する光学式マルチチャンネル分析器で分析した。図1Aおよび1Bは、取得したスペクトルを提示する。光線を青色クラスターの上に置いた場合、ルミネセンスバンドは425nmにおいてピークに達する。バンドの青色エッジ上の急激な上昇は、カットオフフィルターによって起こされる。光線を緑色/黄色のスポットの上に置いた場合、発光バンドは490nmにおいてピークに達する。多くの場合、580nmにおける黄色ショルダーの手掛りがある。
【0027】
赤外線活性の検出のために、励起を輸送し、そして発光を引き出すための光ファイバーを含むファイバー光学分光器を使った。マスター格子のポリマーレプリカであるホログラフィック格子を使用した。それは、1μmのブレーズ角で600/mmの溝密度を有し、0.65〜1.1μmの範囲において最も良い効率を示す近赤外格子である。別のチャンネルは、0.4μmのブレーズ波長で600/mmの溝密度を有し、0.25〜0.80μmの範囲において最も良い効率を示すUV−可視ホログラフィック格子を利用した。近赤外(NIR)ファイバーは、50db/kmの衰弱をほぼ有する。関心領域である900〜1000nmにおいて、透過率は約90%である。
【0028】
図2は、365nmの励起源により得られた赤外領域のスペクトルを示す。スペクトルの赤外部分(680〜1100nm)において光ルミネセンスバンドが存在する。赤外バンドのラインの形は、680nmにおいて急激に上昇し、そして約1100nmにおいて赤外領域にゆっくりと下降する非対称である。赤外検出器の効率化のために修正すること、および測定全体にわたって平均することで、赤外線が、可視発光より2倍強いことが示される。
【0029】
何らかの酸化が電気化学エッチングプロセスの間に起こるかどうか決定するために、500〜4500cm−1の範囲での赤外吸収を測った。フーリエ変換赤外(FTIR)データを、ATI−MattsonギャラクシーモデルGL−5020を使って、空気中で取得した。図3に示された結果は、830〜880cm−1における吸収を示す。それは、Ge微結晶の表面に結合した水素の曲げモード(bending mode)によるものである。
【0030】
ゲルマニウム基体シグナルをデータから差し引いている。データはまた、水素振動モードを揺り動かすことによる550〜600cm−1の吸収も示す。一方、高度の水素不動態化を示す、900〜1100cm−1の領域であることが予想される酸素シグナルは発見されない。そのため、我々のサンプルからの発光は、酸化物ベースであることは考えられそうにはない。実際、水溶液中の酸化物の再溶解の速度は、任意の一般的な酸化プロセスよりもずっと速い。
【0031】
光ルミネセンスは、ナノ構造における量子閉じ込めの点から説明することができる。SiおよびGeの格子定数は同程度であり、Geが5%大きい。したがって、バルクGeにおける直径1nmの球形カットにより、Ge29(29個のゲルマニウム原子からなるクラスター)が得られる。Siにおける同様のカットによっても、29個のシリコン原子のクラスター(Si29)が得られる。シリコンナノ粒子の別のファミリーを製造するための方法は、直径1nm、1.67nm、2.15nm、2.85nm、および3.7nmの粒子を包含する。例えば、G.Belomoin et al.“Observation of a magic discrete family of ultrabright Si nanoparticles、”Appl.Phys.Lett.80(5),p.841頁(February 4、 2002);および米国特許出願公開公報20020070121号(Nayfeh et al.)参照のこと。SiとGeとの間の大きさの相違に基づいて、Geナノ粒子は、1nm、1.75nm、2.25nm、3.0nm、および3.9nmの対応する大きさを有するであろう。
【0032】
SiとGeとの間の顕著な相違が、スペクトルの赤外部分に存在する。様々な大きさのシリコンナノ粒子は、可視発光の6%の効率で1160〜1300nmにおけるバンドエッジルミネセンスをもたらす。ゲルマニウムナノ粒子は、可視発光以上の効率で680〜1100nmの範囲において光ルミネセンスをもたらす。ゲルマニウムはまた、1,500〜3,000nmの範囲においてルミネセンスを作り出すことが予想される。
【0033】
Geにおける強い発光の赤外への拡張は、Si(0.66対1.1eV間接)および(0.9対3.2eV直接)と比較して、バルクGeにおいてバンドギャップが減少したためである。可視における活性に基づいて、そのピークが青色、緑色、および黄色に存在する観測発光バンドは、1〜3nmのGeナノ粒子の重要な構造型に由来すると思われる。本発明の方法は、約1〜3nmの範囲のサイズを有するGeおよびGe合金のナノ粒子を作り出す。
【0034】
別の実施形態においては、少量のHを含むHCl/メタノール水溶液電解浴を使用した。テフロンチャンバーシリンダーをウエハーによって底面において密封する。金属プレートは、ウエハーの裏側と電気接触する。シリンダーをエッチング溶液で満たす。エッチング剤は、HClとメタノールとの1:1混合物である。プラチナワイヤー電極を、それより上の特定の高さ(例えば、2cm)における基体へのエッチング剤標準(normal)に浸漬する。
【0035】
ゲルマニウム基体が陽極の役目を行ない、そしてプラチナワイヤーが陰極の役目行なうという状態で、ウエハーを、エッチングのために適切な陽極処理電流密度(例えば、約230mA/cm)において5分間陽極処理する。この陽極処理工程の終わりに、陰極処理工程を2分間実行するために、電極の極性を逆にする。次いで、エッチング剤を取り除き、そしてウエハーを水に続いてアセトンですすぎ、そして乾燥時間を続ける。粒子クラスターの同様のスペクトルが観察されるが、分布は橙色/赤色のサイズに向かって歪曲している。
【0036】
別の実施形態において、我々は、エッチング剤にGeClのようなGe塩溶液を添加することによって、ナノ粒子の形成を増進させ、そして収量を増やすことができることを発見した。さらに、エッチング剤に破砕Geウエハーである粒状Geを加えることによっても形成を増進させることができる。
【0037】
本発明の特定の実施形態が示され、そして記述されているが、他の修正、置換および代替は、当業者にとって明白であることは理解されるべきである。このような修正、置換および代替は、添付された特許請求の範囲から決定されるべきである本発明の精神および範囲から外れないで行なうことができる。
【0038】
本発明の種々の特徴は、添付の特許請求の範囲において示される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1Aおよび図1Bは、365nm励起の下で実験サンプルの様々な領域から得られたエッチングGeウエハーの光ルミネセンススペクトルを示す。
【図2】図2は、365nmの励起源の下で得られた赤外における実験的なGEサンプルの光ルミネセンスを示す。
【図3】図3は、実験的なGeサンプルのFTIRスペクトルを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
元素ゲルマニウムまたはゲルマニウム合金のナノ粒子を製造する方法であって、以下の工程:
ゲルマニウムまたはゲルマニウム合金の電極をエッチング剤溶液に接触させる工程;
ゲルマニウムまたはゲルマニウム合金の電極と他の電極との間の電位を与えることにより、ゲルマニウムまたはゲルマニウム合金の電極の表面に電流を供与する工程;
電位を逆にし、前記電流供与工程を繰り返す工程;
ゲルマニウムまたはゲルマニウム合金の電極をエッチング剤溶液から分離する工程、
を含む方法。
【請求項2】
ゲルマニウムまたはゲルマニウム合金の電極からゲルマニウムまたはゲルマニウム合金のナノ粒子を分離する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ゲルマニウムまたはゲルマニウム合金のナノ粒子を分離する前記工程が、
ゲルマニウムまたはゲルマニウム合金の電極からゲルマニウムまたはゲルマニウム合金のナノ粒子を分離する力にゲルマニウムまたはゲルマニウム合金の電極を供する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
力を供する前記工程における力が超音波によって与えられる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ゲルマニウムまたはゲルマニウム合金のナノ粒子を分離する前記工程が、
溶媒中にゲルマニウムまたはゲルマニウム合金の電極を入れ、そしてゲルマニウムまたはゲルマニウム合金の電極からゲルマニウムまたはゲルマニウム合金のナノ粒子を分離する力にゲルマニウムまたはゲルマニウム合金の電極を供する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記分離工程の後および溶媒溶液中にゲルマニウムまたはゲルマニウム合金の電極を入れる前記工程の前に、ゲルマニウムまたはゲルマニウム合金の電極をすすぐ工程をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記接触工程が、エッチング剤溶液の中にゲルマニウムまたはゲルマニウム合金を緩やかに進めることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ゲルマニウムまたはゲルマニウム合金のナノ粒子をドーピングする工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ゲルマニウムまたはゲルマニウム合金のナノ粒子をコーティングする工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記コーティング工程が、生物材料で前記粒子をコーティングすることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
他の電極がプラチナから形成され、そしてゲルマニウムまたはゲルマニウム合金の電極が単結晶ゲルマニウムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ゲルマニウムまたはゲルマニウム合金の電極が、pタイプホウ素ドープゲルマニウムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
エッチング剤溶液が、HF/H/HOおよびメタノールを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
エッチング剤溶液がGe塩溶液をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
エッチング剤溶液が粒状ゲルマニウムをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
エッチング剤溶液がHClおよびメタノールを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
エッチング剤溶液がGe塩溶液をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
エッチング剤溶液が粒状ゲルマニウムをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
元素ゲルマニウムまたはゲルマニウム合金のナノ粒子を製造する方法であって、以下の工程:
バルクゲルマニウムを化学エッチング剤溶液に接触させる工程;
前記接触工程の間に、バルクゲルマニウムを双極性電気化学エッチングする工程;および
ゲルマニウムまたはゲルマニウム合金の電極をエッチング剤溶液から分離する工程、
を含む方法。
【請求項20】
前記接触工程が、エッチング剤の中にゲルマニウムまたはゲルマニウム合金を緩やかに進めることを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
エッチング剤溶液が、HF/H/HOおよびメタノールを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
エッチング剤溶液がGe塩溶液をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
エッチング剤溶液が粒状ゲルマニウムをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
エッチング剤溶液がHClおよびメタノールを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
エッチング剤溶液がGe塩溶液をさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
エッチング剤溶液が粒状ゲルマニウムをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
約1〜3nmの範囲の大きさのナノ粒子を含む元素ゲルマニウム材料。
【請求項28】
約1〜3nmの範囲の大きさのナノ粒子を含むゲルマニウム合金材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−504448(P2008−504448A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527339(P2007−527339)
【出願日】平成17年5月16日(2005.5.16)
【国際出願番号】PCT/US2005/017063
【国際公開番号】WO2005/123985
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(503060525)ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ イリノイ (25)
【Fターム(参考)】