説明

ゲル組成物

【課題】芳香剤等を容器に収容する芳香器等に好適に用いることができる、ゲルの収縮時に容器に付着しにくく最終的には一塊りとして収縮するため美観を損なうことがない、ゲル組成物を提供する。
【解決手段】アルキル(メタ)アクリルアミド、アルキル(メタ)プロピルアクリルアミド及び2官能性以上のモノマーを共重合したポリマーに、香料、芳香剤、消臭剤、抗菌剤、防かび剤から選ばれた1種以上が添加された有機溶液又は水系有機溶液、及びシリコーンを添加・吸液させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルキル(メタ)アクリルアミド、アルキル(メタ)プロピルアクリルアミド及び2官能性以上のモノマーを共重合してなるポリマーに、芳香剤等が添加された有機溶液あるいは有機水溶液(以下、これらを総称して単に「有機系溶液」ともいう。)びシリコーンを添加・吸液した、芳香剤等を容器に収容する芳香器等に好適に用いることができる、容器に付着しにくいゲル組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、芳香剤等を含む溶液又はゲル状物を容器内に収容し、容器を部分的に開放させて内部に含まれる芳香剤等を徐々に大気中に気散させて放出するようにした芳香器等が広く用いられている。そして、容器内に収容する剤型としては、ゲル状タイプ、プラスチック状タイプ等の固体、ウィックライプの液体、スプレータイプのエアゾール等が見られるが、特にゲル状タイプのものが主流となってきた。
かかるゲル状タイプの素材としては、カラギーナン、アルギン酸ソーダ、寒天等の天然物、ポリアクリル酸系、ポリビニルアセトアミド系等の合成高分子があるが、これらは、有機系溶液、例えばアルコール−水混合溶液、の吸収能力が極めて低かったり、あるいは、吸収後のゲル強度が低いという欠点があった。
【0003】
本発明者らは、かかる欠点のない有機系溶液の吸収能力が高く、かつ吸収後のゲル強度が高い共重合体を先に報告した(特願2004−256586号)。しかしながら、該共重合体に容器内で芳香剤等を添加した有機系溶液を吸液し芳香器等とした場合、芳香剤等を徐放しながら収縮する際に、ゲルが容器に分散付着して、美観を損なうという欠点があった。
【0004】
ゲル状物が容器の内面に付着せず、そのまま乾燥・収縮させる方法として、例えば、特許文献1には、界面活性剤を含む溶液を使用し、かつ、容器の内側を予め離型剤で塗布する方法が報告されている。しかしながら、離型剤の塗布量が限られると共に溶液中に離型剤が取り込まれてしまい、十分な改善効果を奏するとは言い難い。
【0005】
一方、吸水性ポリマーの表面をシリコーン等で改質し乾燥時の風合いを改善する方法(特許文献2)、親水性重合体の後処理を水溶性シリコーンの存在下に行い付着性を低減する方法(特許文献3)等の方法も報告されているが、芳香剤、有機系溶液等の徐出時の容器への付着を開示したものではなく、また、水溶性単位及びLCSTを有する単位を含むポリマーあるいはアルコールゲル化物等にシリコーンを添加できることが記載されている(特許文献4)が、該シリコーンは、乾燥を助けたり、感触を改善するためのものであり、容器の付着性を改善するものではない。
【特許文献1】特開平6−206811号公報
【特許文献2】特開2004−131596号公報
【特許文献3】特開2004−99803号公報
【特許文献4】特表2004−522833号公報、特開2004−210841号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、有機系溶液、特にアルコール−水、等の吸収能力が高く、かつ、吸液後のゲル化強度も高い、香料、芳香剤、消臭剤、抗菌剤、あるいは防かび剤、及びシリコーンを担持した、芳香剤等を容器に収容する芳香器等に好適に用いられる、容器に付着しにくく美観を損ねない、ゲル組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の共重合体に、香料、芳香剤、消臭剤、抗菌剤、防かび剤等を配合した溶液を吸液させゲルを形成させる際、シリコーンを添加することにより、課題を解決できることを見いだし、本発明に到達した。
すなわち本発明は、
(1)一般式[1](式中、Rは水素原子又はメチル基を、R及びRはC2m+1を表す。なお、mは、1〜4の自然数を表す。)で表されるアルキル(メタ)アクリルアミド、一般式[2](式中、Rは水素原子又はメチル基を、R及びRはC2n+1を表す。なお、nは、1〜4の自然数を表す。)で表されるアルキル(メタ)プロピルアクリルアミド及び2官能性以上のモノマーを共重合したポリマーに、香料、芳香剤、消臭剤、抗菌剤、防かび剤から選ばれた1種以上が添加された有機溶液又は水系有機溶液、及びシリコーンが添加・吸液された、容器に付着しにくいゲル組成物、
(2)シリコーンがエマルジョンタイプである上記(1)記載のゲル組成物、
(3)シリコーンの添加量(乾燥重量として)が、ポリマー100重量部に対して0.5〜100重量部である、上記(1)乃至(2)記載のゲル組成物、
(4)一般式[1]で表されるアルキル(メタ)アクリルアミドがジメチルアクリルアミドである上記(1)乃至(3)のいずれか一に記載のゲル組成物、
(5)一般式[2]で表される化合物がアルキル(メタ)プロピルアクリルアミドがジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドである、上記(1)乃至(4)のいずれか一に記載のゲル組成物、
(6)2官能性モノマーがメチレンビスアクリルアミドである、上記(1)乃至(5)のいずれか一に記載のゲル組成物、
を提供するものである。
【0008】
【化3】

【0009】
【化4】

【発明の効果】
【0010】
本発明のゲル組成物は、有機系溶液、特にアルコール−水、の吸液能力が高く、吸液後のゲルは十分な強度(保形性)を有すると共に保液性に優れ、かつ、ゲルの収縮時に容器に付着しにくく、最終的には一塊りとして収縮ため、美観を損ねないという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明で用いられるポリマーの成分であるアルキル(メタ)アクリルアミドは、上記一般式[1]で表され、Rが水素原子又はメチル基、R及びRがC〜Cの低級アルキル基であり、具体的には、ジメチルアクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、メチルエチルアクリルアミド、メチルエチル(メタ)アクリルアミド、ジプロピルアキルアミド、ジプロピル(メタ)アキルアミド、ジブチルアクリルアミド、ジブチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
これらのモノマーは親水基であるアミド基と同時に疎水性であるジアルキル基を有するので、親水性−疎水性のバランスに優れ、その為、有機系溶液に対し親和性を発現することができるものと考える。
【0012】
本発明で用いられるポリマーの他の成分でアルキル(メタ)プロピルアクリルアミドは、上記一般式[2]で表され、Rが水素原子又はメチル基、R及びRがC〜Cの低級アルキル基であり、具体的には、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、メチルエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
これらのモノマーはカチオン性を示す親水性モノマーであり、添加により吸液量を向上させる効果を発現することができるものと考える。
【0013】
アルキル(メタ)アクリルアミドとアルキル(メタ)プロピルアクリルアミドとの組成比は任意であるが、通常、アルキル(メタ)アクリルアミド:アルキル(メタ)プロピルアクリルアミド=99.9〜90.0:0.1〜10(重量比)である。アルキル(メタ)プロピルアクリルアミドの組成比がこれを超えると、吸液量が低下したり、着色することがあり、好ましくない。
【0014】
アルキル(メタ)アクリルアミド及びアルキル(メタ)プロピルアクリルアミドは、2官能性以上のモノマーと共重合し架橋ゲルを形成することにより、ネットワーク内に芳香剤等の有効成分及び有機溶媒あるいは有機水溶液(有機系溶液)を効果的に吸液することが出来るようになる。
アルキル(メタ)アクリルアミド及びアルキル(メタ)プロピルアクリルアミドと2官能性以上のモノマーの組成比は、通常、99.999〜90.000:0.001〜10.000(重量比)であることが好ましい。2官能性以上のモノマーの組成比が10(重量比)より多くなると、架橋密度が高くなり過ぎ吸液量が低下すると共に、未反応の2官能性以上のモノマーが残り好ましくない。 逆に0.001(重量比)未満となると、アルキル(メタ)アクリルアミドあるいはアルキル(メタ)プロピルアクリルアミドが架橋されていない未架橋のリニアーポリマーが多くなり、有機系溶液吸液後のゲル強度が保てなくなり好ましくない。
2官能性以上のモノマーは架橋剤と呼ばれるものであり、例えば、メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジアクリレート、ビニルアクリルアミド、ジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等が例示される。
【0015】
本発明で用いられるポリマーとして、一般式[1]で表されるアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、特に分子当たりの吸液量が相対的に高く、生成ゲルの透明性が高いジメチルアクリルアミドが、一般式[2]で表されるアルキル(メタ)プロピルアクリルアミドとしてはジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドが、2官能性以上のモノマーとしてはアルキル(メタ)アクリルアミドとの共重合性が良く、構造に同じアミド基を有するメチレンビスアクリルアミドが、それぞれ好ましい。
【0016】
本発明で用いられるポリマーは、公知の共重合方法、例えば、溶液重合、沈殿重合、建濁重合等のラジカル重合にて得ることができる。重合開始剤、反応条件等は公知の条件で十分である。
ポリマーは、重合後、溶媒を除去し、乾燥、粉砕し粉末化することにより容易に単離される。
【0017】
本発明で使用されるポリマーには、架橋して得られる吸液能力、ゲル強度を損なわない範囲で、他のモノマーを共重合することができる。
これらの他のモノマーとしては、メチルアクリレート、メチルビニルエーテル、メチルメタクリレート、メトキシエチルアクリレート、アクリロニトリルや酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルが挙げられる。また、吸液量の向上及び吸収速度の向上の為に(メタ)アクリル酸、2−アクリルアミド−2メチルプロパンスルホン酸及びその塩類のイオン性モノマーを共重合する事も可能である。
又、製造時の付着性防止や静電気発生対策としてポリプロピレングリコール等のポリ多価アルコール等を添加することもできる。
【0018】
本発明のゲル組成物は、上記組成のポリマーに、香料、芳香剤、消臭剤、抗菌剤、防かび剤(以下、「芳香剤等」ともいう。)から選ばれた1種以上が添加された有機溶液又は水系有機溶液、及びシリコーンが添加・吸液されたものである。
用いられる芳香剤等としては、従来公知のものが好適に用いられる。
例えば、香料、芳香剤としては、グレープフルーツ油、コスタス油、シトロネラ油、ジャスミン油、スイートオレンジ油、スペアミント油、はっか油、ビターオレンジ油、ペルーミント油、ベルガモット油、マンダリン油、ユーカリ油、ラベンダー油、レモン油、レモングラス油、ローズ油、ローズマリー油、ペパーミント油等の精油 植物抽出剤などの天然香料、α−ピネン、p−ピネン、リモネンなどのテルペン系炭化水素、リナロール、ゲラニオール、ネロールなどのテルペン系アルコール、ペンジルアルコール、フェネチルアルコール、フェニルプロピルアルコールなどのその他のアルコール、ジフェニルエーテル、イソサフロオイゲノール、p−メチルアニソールなどのフェノール誘導体、ヘブタナール、オクタナール、ノナナールなどの脂肪族アルデヒド、シトラール、シトロネラール、ヒドロキシシ柑ネラールなどのテルペン系アルデヒド、ペンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、3−フェニルプロピオンアルデヒドなどの芳香族アルデヒド、シトラールジメチルアセタール、シトラールジエチルアセタールなどのアセタール類、2−ヘブタノン、3−オクタノン、2−オクタノンなどの脂肪族ケトン、カルポン、メントン、プレゴンなどのテルペン系ケトン、p−メチルアセトフェノン、ペンゾフェノン、ペンジリデンアセトンなどの芳香族ケトン、α−イオノン、β−イオノン、テアスビラン、ジャスミンラクトンなどの脂環式ケトン、エーテル、ラクトン、ムスコン、アンプレツトリドなどの大環状ケトン、ラクトン、ムスクキシレン、ムスクケトン、ムスクアンプレツトなどの合成ムスク、ローズオキサイド、1,8−シネオール、ビシクロジヒドロホモフアルネシルオキサイドなどの環状エーテル、インドール、6−メチルキノリン、2−フリルメタンチオールなどの複素環式化合物、ギ酸ペンジル、酢酸エチル、プロピオン酸エチルなどの脂肪族酸のエステル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、フェニル酢酸エチル、種皮酸エチル、サリチル酸イソプチルなどの芳香族酸のエステル、ヘプチルプチロラクトン、ヘキサン酸アリルなどのいわゆるアルデヒド類などの合成香料が例示される。
【0019】
消臭(防臭)剤としては山茶花、柿などの葉の抽出物、アビエス油、オリガナム、ゲラニウム油、スイートオレンジ油、ビターアーモンド油、ペバーーミント油、ラベンダー油、ユーカリ油、檜油、ローズマリー油、レモン油などの植物抽出エキス等が例示される。
【0020】
殺菌剤、防かび剤としては、チモール、安定化二酸化塩素、アリルイソテオシアネートなどの揮発性化合物が挙げられる。
これらは、芳香剤等は、単独でまたは2種以上を適宜混合して使用することができる。
【0021】
芳香剤等は、予めアルコール等の有機溶剤、水−アルコール等の有機水溶液に添加され、有機系溶液としてポリマーに吸液される。用いられるアルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等の低級アルコールが例示されるが、エタノールが好ましい。
芳香剤等と有機溶剤あるいは有機水溶液との割合は、用いられる芳香剤等の種類、用途、等により適宜決定されるが、通常、芳香剤:有機溶剤又は有機水溶液=1〜90:99〜10(重量部)程度である。
また、有機系溶液のポリマーに対する吸液量は、用途、必要とされる期間、等により異なり一概にいえないが、概ね、ポリマー1重量部に対して5〜100重量部程度である。
【0022】
本発明に用いられるシリコ−ンとしては、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、シリコーン消泡剤、離型シリコーン等が例示される。シリコーン構造により透明液状、エマルジョンタイプに分けられるが、特にエマルジョンタイプがゲル収縮時の付着防止に好適に用いる事ができる。
シリコーンの添加量範囲は、ポリマーに対して0.5〜100重量部(乾燥重量として)、好ましくは5〜50重量部(乾燥重量として)の範囲で添加することが望ましい。0.5重量部より少ない場合は付着性防止効果が少なく、100重量部以上では付着性防止効果は変わらず、溶液と2層分離する場合もあるので好ましくない。
【0023】
本発明のゲル組成物は、ポリマーに有機系溶液及びシリコーンを供給してゲル化させることにより容易に製造されるが、ゲル組成物を芳香器等に利用する場合は、合成樹脂製、例えばポリプロピレン製、ポリエチレン製、等の容器にポリマーを添加した後、有機系溶液及びシリコーンを添加して、容器内で吸液、ゲル化させる方法が、容易であり好ましい。
【実施例】
【0024】
以下に実施例により、本発明を詳細に、より具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
製造例1 ポリマーの合成
1Lガラス製セパラブルフラスコに温度計、窒素導入管、排気管を設けた重合容器を、予め5℃の恒温槽に浸漬しておく。ジメチルアクリルアミド105重量部、ジメチルアミノプロピルメタアクリルアミド0.18重量部、メチレンビスアクリルアミド0.13重量部、純水595重量部を均一に溶解し恒温槽に浸漬しておいた重合容器内に移し替え、攪拌下、窒素で30分脱気を行った後、重合開始剤として69%パーブチル0.14重量部、ロンガリット0.16重量部、VA044(和光純薬)0.17重量部を各々純水に溶解した溶液を添加し重合を行った。
重合開始剤を添加し増粘が始まった時点で、重合容器を高温槽から引き上げ、室温で12時間放置した。重合反応終了後、生成したゲルをトレーに並べ、100℃で12時間乾燥を行い、次いで、粉砕器で粉砕することにより、粉末状のポリマーを得た。
得られたポリマーの吸液試験を行ったところ、ポリマー1重量部当たり、エタノールでは39.7重量部を、エチレングルコールでは60.4重量部を、それぞれ吸液益し、得られたゲルは固形状で指で圧力をかけても溶媒が滲みだしてくることはなかった。

【0025】
実施例1
製造例1で合成したポリマー1.0重量部を50ml容のポリプロピレン容器にいれ、容器の口から予めレモン香料 5重量部、抗菌剤としてオーケー産業(株)アピザスOK 0.02重量部を添加したエタノール95%水溶液 20重量部、及びエマルジョンタイプシリコーンGE東芝シリコーンTSA730 0.1重量部(乾燥重量として)を添加した溶液を静かに注ぎ、密栓し、常温で膨潤させた。
3時間後には、容器内に、溶液を吸液した形状保持性の高い、本発明のゲル組成物が得られた。
得られたゲル組成物の入ったポリプロピレン容器の密栓を外し、室温でエタノールを除放させ、ゲルの収縮時の容器への付着性を経時的に目視により観察したところ、ゲルの容器への付着も無く、2週間後、最終的には1塊となった。
【0026】
比較例1
実施例1において、シリコーンを添加しなかった以外は実施例1と同様に実施し、ポリマーを膨潤させ、ゲル組成物を作製した。
次いで実施例1と同様に容器の密栓を外し、ゲル収縮時の容器への付着性を経時的に目視により観察したところ、4日目にゲルが容器の壁に分散付着した。
【0027】
比較例2
実施例1において、シリコーンの添加量を0.003重量部(乾燥重量として)とした以外は実施例1と同様に実施し、ポリマーを膨潤させ、ゲル組成物を作製した。
次いで実施例1と同様に容器の密栓を外し、ゲル収縮時の容器への付着性を経時的に目視により観察したところ、一部のゲルが容器に付着し、2週間後、最終的に1塊とならなかった。
【産業上の利用可能性】
【0028】
以上説明してきたように、本発明のゲル組成物は、有機系溶液、特にアルコール−水、の吸液能力が高く、吸液後のゲルは十分な強度(保形性)を有すると共に保液性に優れ、かつ、ゲルの収縮時に容器に付着しにくく、最終的には一塊りとして収縮するため美観を損なうことがないため、芳香剤等を容器に収容する芳香器等に、好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式[1](式中、Rは水素原子又はメチル基を、R及びRはC2m+1を表す。なお、mは、1〜4の自然数を表す。)
で表されるアルキル(メタ)アクリルアミド、一般式[2](式中、Rは水素原子又はメチル基を、R及びRはC2n+1を表す。なお、nは、1〜4の自然数を表す。)で表されるアルキル(メタ)プロピルアクリルアミド及び2官能性以上のモノマーを共重合したポリマーに、香料、芳香剤、消臭剤、抗菌剤、防かび剤から選ばれた1種以上が添加された有機溶液又は水系有機溶液、及びシリコーンが添加・吸液された、容器に付着しにくいゲル組成物。
【化1】

【化2】

【請求項2】
シリコーンがエマルジョンタイプである請求項1記載のゲル組成物。
【請求項3】
シリコーンの添加量(乾燥重量として)が、ポリマー100重量部に対して0.5〜100重量部である、請求項1乃至2記載のゲル組成物。
【請求項4】
一般式[1]で表されるアルキル(メタ)アクリルアミドがジメチルアクリルアミドである請求項1乃至3のいずれか1項記載のゲル組成物。
【請求項5】
一般式[2]で表される化合物がアルキル(メタ)プロピルアクリルアミドがジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドである、請求項1乃至4のいずれか1項記載のゲル組成物。
【請求項6】
2官能性モノマーがメチレンビスアクリルアミドである、請求項1乃至5のいずれか1項記載のゲル組成物。

【公開番号】特開2006−131697(P2006−131697A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−320168(P2004−320168)
【出願日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(000142252)株式会社興人 (182)
【Fターム(参考)】