説明

ゲル

【課題】本発明は、PDMS系の物理的ゲルの挙動を模倣するが、物理的ゲルの複雑さを回避するように化学的に処方されたゲルを提供する。
【解決手段】本発明は、生体安定性のあるゲルであって、(a)ケイ素含有の少なくとも1種のポリオール、ポリアミン、ポリエポキシまたはポリイソシアネートであって、1つまたはそれ以上の官能基および20000以上の分子量を有しており、(b)10000未満の分子量を有する少なくとも1種のジオール、ジアミンまたはジイソシアネート、および/または、(c)開始剤、の存在下で硬化されるケイ素含有ポリオール、ポリアミド、ポリエポキシまたはポリイソシアネートを含むゲル、その調製方法および、生体材料および医療用デバイス、用品またはインプラントの製造および修復、特に乳房組織インプラントなどの軟組織インプラントの製造および脊椎円板などの整形用継手の修復におけるその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はケイ素含有の生体安定性ゲルおよびその調製方法に関する。このゲルは、それを生体材料および医療デバイス、用品またはインプラントの製造および修復、特に軟組織インプラント、例えば乳房インプラントの製造および整形外科的関節、例えば脊椎円板の修復に有用にする特性を有している。
【背景技術】
【0002】
ポリマーゲルは特定の環境下では液体様の仕方で応答するが、しかしながらその分子は互いに独立した動きはしない半固体の系であり、従って、ポリマーゲルは他の環境では固体の様に挙動する。
【0003】
ゲルは物理的ゲルとして合成することができ、架橋した網状組織は非反応性の液体によって膨潤している。この膨潤媒体の存在がなければ、架橋した網状組織は固体である。現在乳房インプラントに用いられているシリコーンゲルは、物理的ゲルであり、架橋したポリジメチルシロキサン(PDMS)が非反応性の低分子量PDMSによって膨潤している。これらのゲルは、低分子量の液体PDMSが本質的に漏れる傾向にあり、そして生体内の状況でインプラントから浸出する可能性がある特定の重金属触媒、例えば白金およびスズを含んでいる。
【0004】
ヒドロゲルは物理的ゲルの他の例であり、架橋した網状組織中の親水基が水分子を引き付けることができ、そして水分子によって膨潤している。物理的ゲルでは、膨潤した媒体の質量割合は、90%もの高い値になり得る。この膨潤媒体は、大抵の溶媒および生体液によって抽出することができる。
国際公開第2006/034547号パンフレットにはケイ素含有の生体安定性ゲルが記載されている。
【特許文献1】国際公開第2006/034547号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
PDMS系の物理的ゲルの挙動を模倣するが、しかしながら物理的ゲルの複雑さを回避するように化学的に処方されたゲルへの要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
我々はここに、国際公開第2006/034547号パンフレット中に具体的に記載されているゲルのケイ素含有成分の分子量を増大させることによって、室温において硬化を起こさせることができることを見出した。より高分子量の成分を用いることはまた、硬化の化学量論的な量を増加して、ゲルからの移動が自由である抽出可能な溶媒の量を低減することを促進する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明によれば、生体安定性ゲルであって、
(a)ケイ素含有の少なくとも1種のポリオール、ポリアミン、ポリエポキシまたはポリイソシアネートであって、1つまたはそれ以上の官能基および20000以上の分子量を有しており、
(b)10000未満の分子量を有する少なくとも1種のジオール、ジアミンまたはジイソシアネート、および/または
(c)開始剤、の存在下で硬化されるケイ素含有ポリオール、ポリアミン、ポリエポキシまたはポリイソシアネート、を含むゲルが提供される。
【0008】
ゲルの総質量に対して、ゲル中に存在するポリオール、ポリアミン、ポリエポキシまたはポリイソシアネート(a)は、好ましくは80%〜100%であり、またジオール、ジアミンまたはジイソシアネート(b)の量は、好ましくは0%〜20%である。
【0009】
ジオール、ジアミンまたはジイソシアネートの分子量は、好ましくは500〜10000、より好ましくは2000〜6000である。
このゲルは、好ましくは1〜5、より好ましくは2.05〜3.5、最も好ましくは2.1〜3.25の平均官能価を有している。
【0010】
本発明はまた、上記で規定される生体安定性ゲルの調製方法を提供するものであり、この方法は、
(i)上記で規定した成分(a)および(b)もしくは(c)を混合する工程、を含んでいる。
他の実施態様では、上記で規定した生体安定性ゲルの調製方法は、
(i)上記で規定した成分(b)から末端が反応性のポリイソシアネート基を有するプレポリマーを調整する工程、および
(ii)工程(i)のプレポリマーを上記で規定した成分(b)と混合する工程、を含んでいる。
【0011】
上記で規定したケイ素含有の、ポリオール、ポリアミン、ポリエポキシまたはポリイソシアネート(a)のいくつかは新規であり、そして本発明の一部を形成している。
【0012】
更に、本発明によれば下記の式(I)、または式(II)のケイ素含有の、ポリオール、ポリアミン、ポリエポキシまたはポリイソシアネートが提供される。
【0013】
【化1】

【0014】
【化2】

【0015】
およびRは、両方ともにないか、または、独立してC1−6アルキル、OH、C1−6アルコキシ、(CHORおよびSi(R)(R)(CHORから選ばれ、
およびRは、OH、NCO、エポキシまたはNR’R’’で置換されていてもよいC1−6アルキレンから独立して選ばれ(ここでR’およびR’’は独立してH、COHおよびC1−6アルキルから選ばれており)、
〜Rは、ビニル、C1−6アルキルおよびC1−6アルキレンから独立して選ばれ、それらはOによって中断されていてもよく、またOH、NCO、エポキシ、またはC1−6アルキルアクリレートまたはNR’R’’で置換されていてもよく(ここで、R’およびR’’は上記で規定された通りであり)、
はC1−4アルキル、
10は、置換されていてもよいC1−4アルキルまたは
【0016】
【化3】

【0017】
(ここで、RおよびRは上記で規定された通りであり)、
xは、100〜1000、好ましくは300〜600、
yは、0〜200、好ましくは0〜10、および
nは、30〜500、好ましくは50〜200、である。
【0018】
本発明は更に、以下の工程、
(i)下記の式(A)または式(B)の化合物を、
【0019】
【化4】

【0020】
(ここでR〜R10およびxとyは、上記で規定した通りであり)、下記の式(C)
【0021】
【化5】

【0022】
の化合物と反応させる工程、および
(ii)工程(i)の生成物をヒドロシリル化に付す工程、を含む、上記で規定した式(I)または式(II)のケイ素含有の、ポリオール、ポリアミン、ポリエポキシまたはポリイソシアネートの調製方法を提供する。
【0023】
本発明のゲルは粘弾性の性質を有しており、また例えば軟組織インプラントゲルの用途、例えば乳房インプラントに適合する天然組織の感触を有している。これらのゲルはまた、ゲルの総質量を基にして、好ましくは15%未満、より好ましくは10%未満、最も好ましくは5%未満の低水準の抽出可能物を有している。
【0024】
乳房インプラント用途に適切な、特に好ましい実施態様では、該ゲルは、
(a)上記で規定した式(I)または式(II)の、ケイ素含有の、ポリオール、ポリアミン、ポリエポキシまたはポリイソシアネート、および
(b)C1−6アルカンジオールもしくはジアミン、ポリシロキサンジオールもしくはジアミン、例えばPDMSおよび/またはジイソシアネート、例えばMDI、
の反応生成物である。
【0025】
従って、本発明はまた、全体として、または部分的に上記で規定したゲルで構成された、生体材料、器具、物品またはインプラントを提供する。
【0026】
更に本発明は、医療用インプラント、例えば乳房インプラント用の、上記で規定したゲルを含む充てん材料を提供する。
【0027】
本発明の生体安定性ケイ素含有ゲルは、化学ゲルである。反応性基が完全な均衡にあるように、架橋された網状組織が処方されていれば、反応の過程で、網状組織はガラス質になり始め、そして最後には固い固体になる。反応基の中で不均衡を作り出すことによって反応が完了に達することができなければ、化学量論をはずれた系が発生し、それはゲル化することができる。従って、1つの反応性基は過剰であり、そして不完全に反応したまま残る。この過剰量は物理的ゲルの中の非反応性の膨潤媒体と同様に作用する。しかしながら、膨潤剤に比べて通常はより少ない量の反応しなかった物質を、物理的ゲルの場合と同様の効果を得るように処方することができ、そして言い換えれば、より少ない抽出可能な種を意味する。本発明のゲル中の抽出可能物の水準は、ゲルの総質量を基にして、好ましくは15%未満、より好ましくは10%未満、最も好ましくは5%未満である。
【0028】
用語「抽出可能な」は、ゲルの反応しなかった部分を称しており、これは通常は流体であり、また38℃の体温でゲルから外に移動することが自由であり、またより具体的には、20℃〜40℃の範囲の温度で有機溶媒によって抽出される、ゲルの反応しなかった流体部分を意味している。
【0029】
用語「生体安定性」は、生きている動物もしくは人の、細胞および/または体液と接触した場合に安定であることを意味している。
【0030】
重合系の「平均官能価」という用語は、全ての種類のモノマー分子についてのモノマー当たりの官能基の平均の数を意味しており、また下記の式、
【0031】
【数1】

【0032】
(ここで、nは、官能性基fを持つモノマーiの分子数である)、によって定義される。
【0033】
好ましくは、ゲルの平均官能価は2〜5であり、より好ましくは2.05〜3.5、最も好ましくは2.1〜3.25である。
【0034】
成分(a)および(b)は、適切な粘弾性応答を与えるためには、好ましくは、NCO/OHもしくはNH比が1未満、より好ましくは0.4〜0.7になるように混合される。
【0035】
ここで言及される分子量の値は、「数平均分子量」であることが理解されるであろう。
【0036】
ケイ素含有の、ポリオール、ポリアミン、ポリエポキシまたはポリイソシアネート
ゲルの平均官能価が好ましくは1〜5であると仮定すると、ケイ素含有の、ポリオール、ポリアミン、ポリエポキシまたはポリイソシアネート(a)は1以上の官能基を有することできる。成分(a)は、好ましくは長鎖のマクロマーである。
【0037】
成分(a)の官能性基は、好ましくは、OH、NCO、エポキシまたはNR’R’’から独立して選ばれたものであり(ここでR’およびR’’は独立してH、COHおよびC1−6アルキル、好ましくはHおよびC1−4アルキルから選ばれており)、またはフリーラジカル開始による活性化が可能な基、例えば二重結合もしくは三重結合を含む基、例えばビニル基もしくはC1−6アルキルアクリレートである。
【0038】
適切なケイ素含有の、ポリオール、ポリエポキシ、ポリアミンまたはポリイソシアネート(a)としては、上記で規定した式(I)または式(II)の化合物、例えばT型トリオール、T型ビニルシロキサン、T型エポキシシロキサンおよびT型トリイソシアネートが挙げられる。
【0039】
式(I)の化合物の代表的な例としては、以下のものがある。
【0040】
【化6】

【0041】
【化7】

【0042】
【化8】

【0043】
【化9】

【0044】
はビニル、RはC1−6アルキルであり、xは100〜1000である。
【0045】
【化10】

【0046】
はビニル、R、R、RおよびRはC1−6アルキルであり、xは100〜1000、およびyは4〜200である。
【0047】
【化11】

【0048】
はビニル、R、R、RおよびRはC1−6アルキル、R11およびR12はC1−6アルキル、ヒドロキシル、メトキシおよび/またはエトキシであり、xは100〜1000、およびyは4〜200である。
【0049】
【化12】

【0050】
【化13】

【0051】
【化14】

【0052】
【化15】

【0053】
式(II)の化合物の代表的な例としては以下のものがある。
【0054】
【化16】

【0055】
化合物(a)の分子量は、20000以上、好ましくは30000〜200000、より好ましくは40000〜80000である。
【0056】
ジオールまたはジアミン
ジオールまたはジアミンは、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアルキレンもしくはC1−6アルカンであることができる。このジオールまたはジアミンはまた、ケイ素を含んでいてもよく、例えばポリシロキサンジオールもしくはジアミンまたはケイ素系ポリカーボネートを含んでいてもよい。
【0057】
適切なポリエーテルジオールおよびジアミンとしては、下記の式(III)で代表されるものが挙げられる。
【0058】
【化17】

【0059】
AおよびAは、OHまたはNHRであり、RはHまたは置換されていてもよいC1−6アルキル、より好ましくは置換されていてもよいC1−4アルキルであり、
mは、4以上の、好ましくは4〜18の整数であり、また
nは、2〜50の整数である。
【0060】
式(III)のポリエーテルマクロジオールであって、mが4〜10の、例えばポリテトラメチレンオキサイド(PTMO)、ポリヘキサメチレンオキサイド(PHMO)、ポリヘプタメチレンオキサイド、ポリオクタメチレンオキサイド(POMO)およびポリデカメチレンオキサイド(PDMO)が好ましい。
【0061】
このポリエーテルの好ましい分子量の範囲は200〜5000、より好ましくは200〜2000である。
【0062】
適切なポリカーボネートジオールとしては、ポリアルキレンカーボネート、例えば、ポリヘキサメチレンカーボネート、およびポリデカメチレンカーボネート、アルキレンカーボネートをアルカンジオール、例えば1,4−ブタンジオール、1,10−デカンジオール(DD)、1,6−ヘキサンジオール(HD)および/または2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(DEPD)と反応することによって調製されるポリカーボネート、およびアルキレンカーボネートを1,3−ビス(4−ヒドロキシブチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(BHTD)および/またはアルカンジオールと反応させることによって調製されるケイ素系のポリカーボネートが挙げられる。
【0063】
ポリエーテルとポリカーボネートマクロジオールの両方が存在する場合には、それらが混合物か、または共重合体の形態であることが好ましい。適切な共重合体の例は、下記の式(IV)で表されるエーテルカーボネート共重合体である。
【0064】
【化18】

【0065】
およびRは同じでも異なっていてもよく、そして置換されていてもよいC1−6アルキレン、C2−6アルケニレン、C2−6アルキニレン、アリーレンまたは複素環式の二価の遊離基から選ばれ、また
pおよびqは、1〜20の整数である。
【0066】
上記の式(IV)の化合物はカーボネートとエーテル基のブロックを示しているが、これらはまた主鎖構造中でランダムに分布していてもよいことが理解されるであろう。
【0067】
1−6アルカンジオールもしくはジアミンの例としては、メタンジオール、ブタンジオールまたはヘキサンジオールが挙げられる。
好ましいポリシロキサンジオールもしくはジアミンは下記の式(V)によって表される。
【0068】
【化19】

【0069】
AおよびAはOHまたはNHRであり(ここで、RはHまたは置換されていてもよいC1−6アルキル、より好ましくは置換されていてもよいC1−4アルキルであり)、
11、R12、R13およびR14は、独立して、水素または置換されていてもよいC1−6アルキルから選ばれ、
15およびR16は、同じかまたは異なっており、また置換されていてもよいC1−6アルキレン、C2−6アルケニレン、C12−6アルキニレン、アリーレンもしくは複素環式の二価の遊離基から選ばれ、また
pは1以上の整数である。
【0070】
好ましいポリシロキサンはPDMSであり、これは式(V)の化合物であって、AおよびAはヒドロキシル、R11〜R14はメチル、またR15および16は上記で規定した通りである。好ましくは、R15および16は同じか異なっており、またプロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、エトキシプロピル(−CHCHOCHCHCH−)、プロポキシプロピルおよびブトキシプロピルから選ばれる。
【0071】
式(V)の他のケイ素含有ジオールとしては、1,3−ビス(4−ヒドロキシブチル)テトラメチルジシロキサン(BHTD)(式(V)の化合物であり、AおよびAがOH、R11、R12、R13およびR14がメチル、R15およびR16がブチル、そしてR17がOである)、1,4−ビス(3−ヒドロキシプロピル)テトラメチルジシリルエチレン(式(V)の化合物であり、AおよびAがOH、R、R12、R13およびR14がメチル、R15およびR16がプロピル、そしてR17がエチレンである)および1−4−ビス(3−ヒドロキシプロピル)テトラメチルジシロキサンが挙げられ、より好ましくはBHTDである。
【0072】
ポリシロキサンは、商業的に入手可能な製品、例えば日本の信越のX−22−160ASとして得ることができ、または既知の手順に従って調製することができる。ポリシロキサンマクロジオールの好ましい分子量範囲は、200〜6000、より好ましくは200〜5000である。
【0073】
他の好ましいポリシロキサンは、式(V)のポリマーであるポリシロキサンマクロジアミンであって、AがNHである、例えばアミノ基末端のPDMSである。
【0074】
適切なケイ素含有ポリカーボネートとしては、国際公開第98/54242号パンフレット中に記載されたものが挙げられ、その全ての内容がここに参照によって組み込まれる。
【0075】
好ましい珪素含有ポリカーボネートは、下記の式(VI)を有している。
【0076】
【化20】

【0077】
11、R12、R13、R14およびR15は、上記で式(V)について規定した通りであり、
16は置換されていてもよいC1−6アルキレン、C2−6アルケニレン、C2−6アルキニレン、アリーレンまたは複素環式の二価の遊離基であり、
17は二価の連結基であり、好ましくはO、SまたはNR18であり、
18およびR19は同じかまたは異なっており、そして水素または置換されていてもよいC1−6アルキルであり、
AおよびAは上記で式(V)について規定した通りであり、
m、yおよびzは、0以上の整数であり、そして
xは0以上の整数である。
【0078】
好ましくはzは0〜50の整数であり、xは1〜50の整数である。mの適切な値は、0〜20、より好ましくは0〜10である。yの好ましい値は、0〜10、より好ましくは0〜2である。
【0079】
好ましいケイ素含有ポリカーボネートは、式(VI)の化合物であって、AおよびAがヒドロキシルである化合物である。
【0080】
特に好ましいケイ素含有ポリカーボネートジオールは、式(VI)の化合物であって、AおよびAがヒドロキシル、R11、R12、R13およびR14がメチル、R18がエチル、R19がヘキシル、R15およびR16がプロピル、またはR14がブチルでR17が0もしくは−CH−CH−、より好ましくはR17がOでRおよびR16がプロピル、そしてR17が−CH−CH−でR15およびR16がブチルである。ケイ素系ポリカーボネートマクロジオールの好ましい分子量の範囲は、400〜5000、より好ましくは400〜2000である。
【0081】
ジイソシアネート
ジイソシアネートは脂肪族または芳香族イソシアネートであることができ、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、メチレンビスシクロヘキシルジイソシアネート(H12MDI)、p−フェニレンジイソシアネート(p−PDI)、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート(CHDI)、1,6−ジイソシアネートへキサン(DICH)、1,5−ジイソシアネートナフタレン(NDI)、パラテトラメチルキシレン−ジイソシアネート(p−TMXDI)、メタテトラメチルキシレンジイソシアネート(m−TMXDI)、2,4−トルエンジイソシアネート(2,4−TDI)異性体またはそれらの混合物またはイソホロンジイソシアネート(IPDI)であることができる。芳香族ジイソシアネート、例えばMDIが好ましい。
【0082】
開始剤
用語「開始剤」は、エネルギー源によって活性化された場合に、硬化過程において、ポリマーのフリーラジカル重合をもたらす少なくとも1種の分子を意味している。重合を開始するエネルギー源は、熱的な、光分解の、または成分のレドックス系に基づくもので、フリーラジカル重合が起こってプレポリマー組成物を硬化する結果ももたらすものでよい。
【0083】
フリーラジカル硬化を引き起こす目的のための開始剤の選択は、選択される開始の方法に依存する。開始は熱的な、光分解の、または成分のレドックス系に基づくものでよく、そして好ましくは外部のエネルギー源による。例えば、カンファーキノン、ホスフィンオキシド系開始剤、例えば(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシドが適切であり、またレドックス開始剤、例えば過硫酸アンモニウムおよびメタ重亜硫酸ナトリウム、ガンマ放射線もしくは超音波もまた適切である。生体内での用途では、光分解の開始剤またはレドックス系が好ましい。より好ましいのは、電磁波放射線のUVまたは可視領域のいずれかにある波長を用いてポリマーを硬化する系である。生物医学の用途では、2つの中では、可視光開始剤がより望ましい。本発明の1つの実施態様では、450±30nmの最大波長を有する可視光源が用いられる。光開始剤の例としては、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(イルガキュアー(Irgacure)651)、ヒドロキシアルキルフェノン(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュアー(Irgacure)184)、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルフォリニル)−1−プロパノン(イルガキュアー(Irgacure)907)、2−ヒドロキシ−1−[4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチル−1−プロパノン(ダロキュア(Darocur)2959)、ダロキュア(Darocur)4265、ダロキュア(Darocur)TPO、ダロキュア(Darocur)1173、イルガキュアー(Irgacure)500、784、907、2959、819、2020、2022、1000、369、651、1300、819/819W、2005および2010W、ドラガキュアー(Dragacure)1173、ポリシラン、イーサキュアー(Esacure)KP150(ヒドロキシアルキルフェニルケトン)、カンファーキノン、ローズベンガル、エチル−4−N,N−ジメチルアミノ−ベンゾエート(4EDMAB)/トリエタノールアミン、αアルコキシドオキシベンゾイン、α,α−ジアルコキシ−アセトフェノン(DEAP)、(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン)、ジベンゾイルジスルフィド、S−フェニルチオ−ベンゾエート、アシルホスフィンオキシド、ジベンゾイルメタン、O−アシルα−オキシイミノケトン、フェニルアゾ−4−ジフェニルスルホン、ベンゾフェノン、フルオレノン、キサントン、チオキサントン、ベンジル、ケタール(2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、DMP)、α−ケトクマリン、アントラキノン、エチルエオシンおよびテレフタロフェノン、が挙げられるが、これらには限定されない。フリーラジカル開始剤の例としては、過酸化ベンゾイルおよびクミルペルオキシドが挙げられる。
【0084】
開始剤(c)の量は、ゲルの総質量を基にして、好ましくは0.125%〜5%、より好ましくは0.25%〜2%である。
【0085】
化学物質の定義
用語「C1−6アルキレン」は、用語「C1−6アルキル」に相当する二価の基である。アルキレンを隣接基に連結する2つの結合は、この二価の基中の同じ炭素原子からのものでも異なる炭素原子からのものであってもよい。
【0086】
用語「C1−6アルキル」は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖の、分岐した、または単環の、もしくは多環のアルキル、好ましくはC1−4アルキルを表す。直鎖および分岐したアルキルの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、セカンダリ−ブチル、ターシャリ−ブチル、アミル、イソアミル、セカンダリ−アミル、1,2−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、4−メチルペンチル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、1,2,2−トリメチルプロピル、1,1,2−トリメチルプロピルなど、が挙げられる。環状アルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。
【0087】
用語「C2−6アルケニル」は、少なくとも1つの二重結合を有する、直鎖の、分岐したまたは単環の、もしくは多環の炭化水素基から形成される基を表す。このアルケニル基は、適用できるならば、EまたはZの立体化学を有していてよい。アルケニルの例としては、ビニル、アリル、1−メチルビニル、ブテニル、イソ−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、シクロペンテニル、1−メチル−シクロペンテニル、1−ヘキセニル、3−ヘキセニル、シクロヘキセニルなど、が挙げられる。
【0088】
用語「C2−6アルキニル」は、少なくとも1つの三重結合を有する、直鎖の、分岐したまたは単環の、もしくは多環の炭化水素基から形成される基を表す。アルキニルの例としては、エチニル、1−プロピニル、1−および2−ブチニル、2−メチル−2−プロピニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニルなど、挙げられる。
【0089】
用語「C1−6アルコキシ」は、それぞれが1〜6個の炭素原子のアルキル部分を有する、直鎖の、または分岐した酸素含有基を表す。アルコキシの例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、n−ペントキシ、t−ブトキシなど、が挙げられる。
【0090】
用語「アリーレン」は、芳香族炭化水素の、単核の、多核の、共役した、および縮合した、二価の残基を表す。アリールの例としては、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、クアテルフェニル、フェノキシフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、アントラセニル、ジヒドロアントラセニル、ベンズアントラセニル、ジベンズアントラセニル、フェナンスレニルなど、が挙げられる。
【0091】
用語「複素環式の」は、窒素、硫黄および酸素から選ばれた少なくとも1つのヘテロ原子を含んでいる、単環または多環の複素環式の基を表わす。適切な複素環式の基の例としては、N−含有の複素環基、例えば1〜4個の窒素原子を含む不飽和の3〜6員の複素単環基であって、例えばピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリルまたはテトラゾリル、1〜4個の窒素原子を含む飽和の3〜6員の複素単環式の基、例えば、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジノまたはピペラジニル、1〜5個の窒素原子を含む不飽和縮合複素環式の基、例えばインドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンゾイミダゾリル、キノリル、イソキノリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリルまたはテトラゾロピリダジニル、1個の酸素原子を含む3〜6員の複素単環の基、例えばピラニルまたはフリル、1〜2個の硫黄原子を含む、不飽和の3〜6員の複素単環の基、例えばチエニル、1〜2個の酸素原子および1〜3個の窒素原子を含む不飽和の3〜6員の複素単環の基、例えばオキサゾリル、イソアゾリルまたはオキサジアゾリル、1〜2個の酸素原子および1〜3個の窒素原子を含む飽和の3〜6員の複素単環の基、例えばモルホリニル、1〜2個の酸素原子および1〜3個の窒素原子を含む、不飽和の縮合複素環式の基、例えばベンゾオキサゾリルまたはベンズオキサジアゾリル、1〜2個の硫黄原子および1〜3個の窒素原子を含む不飽和の3〜6員の複素単環の基、例えばチアゾリル、チアジアゾリル、1〜2個の硫黄原子および1〜3個の窒素原子を含む飽和の3〜6員の複素単環の基、例えばチアジアゾリル、および1〜2個の硫黄原子および1〜3個の窒素原子を含む不飽和の縮合複素環式基、例えばベンゾチアゾリルまたはベンゾチアジアゾリル、が挙げられる。
【0092】
用語「置換されていてもよい」は、酸素、窒素、硫黄、C1−4アルキル、C2−6アルケニル、C2−4アルキニル、アリール、ハロ、ハロC1−4アルキル、ハロC2−4アルケニル、ハロC2−4アルキニル、ハロアリール、ヒドロキシ、C1−4アルコキシ、C2−4アルケニルオキシ、C2−4アルキニルオキシ、アリールオキシ、カルボキシ、ベンジルオキシ、ハロC1−4アルコキシ、ハロC2−4アルケニルオキシ、ハロアルキニルオキシ、ハロアリールオキシ、ニトロ、ニトロC1−4アルキル、ニトロC2−4アルケニル、ニトロC2−4アルキニル、ニトロアリール、ニトロヘテロシクリル、アジド、アミノ、C1−4アルキルアミノ、C2−4アルケニルアミノ、C2−4アルキニルアミノ、アリールアミノ、ベンジルアミノ、アシル、C2−4アルケニルアシル、C2−4アルキニルアシル、アリールアシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アルデヒド、C1−6アルキルスルホニル、アリールスルホニル、C1−6アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、アルキルスルホニルオキシ、アリールスルホニルオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロキシ、ヘテロシクリルアミノ、ハロへテロシクリル、C1−4アルキルスルフェニル、アリールスルフェニル、カルボC1−6アルコキシ、カルボアリールオキシ、メルカプト、C1−4アルキルチオ、アリールチオ、アシルチオなど、から選ばれた1つもしくはそれ以上の基で更に置換されてもよく、また置換されなくてもよい基を表す。
【0093】
方法
本発明のポリウレタンは、ポリウレタンの製造の分野の当業者によく知られているいずれの技術によっても調製することができる。それらには、1つまたはそれ以上の工程の方法も含まれる。重合は、慣用の装置中で、または反応性射出成形もしくは混合機の範囲の中で行うことができる。
【0094】
1工程法においては、成分(a)および(b)もしくは(c)の適当な量が混合される。混合物は次いで硬化される。上記したように、成分(a)および(c)の混合物は、用いられる開始剤に依っては、外部エネルギー源、例えばUV放射線の適用を要する場合がある。
【0095】
ポリウレタンはまた、2工程法によっても調製することができ、その場合、末端に反応性のポリイソシアネート基を有するプレポリマーが、成分(b)から調製される。このプレポリマーは次いで、成分(a)と反応させられる。
【0096】
添加剤
所望ならば、慣用のポリウレタン加工添加剤、例えば触媒、例えばジブチルスズジラウレート(DBTD)、酸化第一スズ(SO)、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン(DABU)、1,3−ジアセトキシ−1,1,3,3−テトラブチルジスタンノキサン(DTDS)、1,4−ジアザ−(2,2,2)−ビシクロオクタン(DABCO)、N,N,N’,N’−テトラメチルブタンジアミン(TMBD)およびジメチルスズジラウレート(DMTD)、酸化防止剤、例えばイルガノックス(Irganox)(登録商標)、ラジカル禁止剤、例えばトリスノニルフェニルホスファイト(TNPP)、安定剤、滑剤、例えばイルガワックス(Irgawax)(登録商標)、染料、顔料、無機および/または有機充てん剤、および補強剤を、生体安定性ポリマー中に、調製中に混合することができる。このような添加剤は、好ましくは本発明の方法の工程(i)の中で、ゲルの総質量を基にして10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは2%以下、添加される。
【0097】
医学的応用
本発明のポリウレタンは生体材料および医療デバイス、用品またはインプラントの調製に特に有用である。
【0098】
用語「生体材料」は、生きている動物もしくは人の細胞および/または体液と接触する状況で用いられる材料を意味している。
【0099】
医療デバイス、用品またはインプラントとしては、組織、例えば乳房組織、精巣組織、軟骨、筋肉並びに歯および骨以外の結合組織、を置換および増補するように設計された軟組織インプラント、例えば国際特許出願第PCT/AU2006/001488号明細書に開示された軟組織インプラント、整形用継手もしくはその部材、例えば脊椎円板および小関節、骨縫合固定装置、再建的顔面手術、制御型薬物放出デバイス、キーホール手術の部品、バイオセンサー、医療デバイス、輸液および流量制御デバイスの挿入用の道具および付属品、および尿道の、神経の、もしくは血管の膨張剤、が挙げられる。
【0100】
ゲルが軟組織インプラントとして用いられる場合には、国際特許出願第PCT/AU2006/001488号中に開示された方法を用いてインプラントすることができる。
【0101】
本発明の記載においては、言語表現または必要な言外の意味により文脈が違ったように要求する場合を除いて、「含む」(複数形)という語句、またはその変形、例えば「含む」(単数形)もしくは「含んでいる」は、包括的な意味で用いられる、すなわち、言及された特徴の存在を明記するが、しかしながら本発明の種々の実施態様において、更なる特徴の存在または追加を排除しない。
【実施例】
【0102】
本発明はここに、以下の限定の目的ではない実施例を参照して記載される。
【0103】
物理的特性テスト
生体安定性:
ゲルの生体安定性が大量のケイ素の組み込みによって得られた。
【0104】
レオロジー:
天然の感覚および外形の安定性の両方を、レオロジー的な因子と関係付けることができる。良好なクリープ回復性能は、感触または弾性を表現している。周波数掃引測定で測定された貯蔵弾性率(G’)および損失弾性率(G’’)の因子は、外形の安定性を表現している。低周波数(0.01s−1〜1s−1)でのG’>G’’は、外形の安定性を表している。
【0105】
クリープ回復および周波数掃引分析の手順
クリープ回復を、ハークレオストレス1レオメータ(Haake RheoStress 1 Rheometer)を用いてテストした。圧縮空気の雰囲気下での初期化過程の後に、平行板を零点測定に付した。試料を搭載し、そして間隙を設定した。余分な試料を取り除き、そして実験の準備を整えた。
【0106】
クリープ回復分析は37℃で実施した。試料を、温度平衡を確実にするために、実際の実験の前に300秒間調温した。実験は、10Paの力で、60秒間の継続時間で実施し、そしてJ(1/Pa、コンプライアンス)に対するt(秒)のプロットからクリープ回復の結果を得ることができる。
【0107】
周波数掃引測定については、余分な試料を取り除いた後に、同様の温度平衡条件で、実験を37℃で行った。周波数掃引測定は、0.01Hz〜10Hzの周波数範囲で実施した。周波数掃引は、試料の構造条件を提供する。粒子解、絡み合い解(ペースト)および三次元網状組織(ゲル)を、単純にG’、G’’(Pa)およびη(Pa・s)に対するf(Hz)曲線の形によって識別することが可能である。
【0108】
抽出可能物
ソックスレー抽出技術で、24時間以上測定された、ヘキサンで抽出可能な物は、シリコーンゲルについて約50%の平均値を示している。
【0109】
抽出方法
抽出方法には5種類の装置を用いた。凝縮器、ソックスレー抽出管、抽出はめ筒、250mL丸底フラスコおよび加熱マントルである。この方法は以下のように実施した。
・250mL丸底(R.B.)フラスコを精秤した。
・約160mLのヘキサンをこのR.B.フラスコ中へと注いだ。
・量の分かっているゲル試料をはめ筒中に置き、そしてはめ筒をソックスレー抽出管中に置いた。
・このR.B.フラスコをソックスレー抽出管の下端に取り付け、また凝縮器を管の上端に取り付けた。
・ゲル試料をヘキサン中で22時間還流させた。
・抽出期間の最後に、ヘキサン中の抽出可能物はR.B.フラスコ中に集められた。
・回転式蒸発器を用いてヘキサンを除去した。
・抽出可能物の残渣が入っているR.B.フラスコを精秤した。
・抽出に用いたゲルの質量から、抽出可能物の残渣を計算した。
・この結果を、%での質量損失で報告した。
【0110】
基本的な戦略
ゲルの処方において用いられる取り組みには、反応物の種々の官能性の利用による架橋の開始が含まれ、官能性には、PDMS分子中の不飽和もしくは二重結合が含まれ、また次いで紫外線源もしくは他の技術を用いることによって二重結合を反応性にすることが含まれる。
【0111】
ゲル合成に用いられる反応物
ゲルを合成するのに用いられる反応物としては、MDIの形のジイソシアネートおよび官能価が1〜3の範囲で変わっている異なるヒドロキシル基末端のポリオールが挙げられる。この反応物を下記の表1に示した。
【0112】
【表1】

【0113】
上記の反応物のいくつかは商業的に入手可能であるが、しかしながら、商業的に入手ができないケイ素含有多官能性ポリオールまたはポリイソシアネートは下記の実験例A〜Fの中で合成した。
【0114】
実験例A(T型トリオール)
この例は、ヒドロキシエトキシプロピル末端9.09%の(ヒドロキシエトキシプロピルメチルシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体(Ia)の調製を説明している。
498.04gのオクタメチルシクロテトラシロキサン(D)、0.62gの1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、および1.34gのTMDSを、磁気撹拌子を入れたガラスビン中で混合した。0.64gのトリフルオロメタンスルホン酸をこの混合物に加え、そしてこのビンを気密のフタで密封した。この混合物を18時間室温で激しく撹拌し、その後10gの炭酸ナトリウムを加えた。このビンを再度密封して6時間撹拌し、その後重炭酸ナトリウムをろ過により除去して500gのヒドリド末端の(メチルヒドロシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体中間体を得た。
【0115】
シリカゲル乾燥管と温度計を備えた水冷の凝縮器を備えた2Lの三口丸底フラスコ中に、500gのヒドリド末端のポリ(メチルヒドロシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体および357mLの乾燥トルエンを入れた。この混合物を撹拌しながら60℃に加熱した。0.0015gのカールシュテット触媒をこの混合物に加えた。4.07gの2−アリルオキシエタノールを滴下してこの混合物に加え、この間、混合物の温度が114℃に上昇した。その後反応混合物を70℃に1時間保持した。ケイ素結合水素(silanic hydrogen)の含量を赤外分光計によって調べた。痕跡が検知できなかった場合は、この反応が完結したと判断した。反応混合物を室温まで冷却させ、そして20gの活性炭で18時間、撹拌しながら処理した。この反応混合物をセライト(celite)を通してろ過し、炭素を除去した。トルエンを回転式蒸発器で、80℃で、20トールの減圧下で除去した。この混合物を、クーゲルロール蒸留装置に移し、低分子量の種を100℃で、1×10−1トールの減圧下で除去し、504.07gのヒドロキシエトキシプロピル末端9.09%の(ヒドロキシエトキシプロピルメチルシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体(Ia)を無色のオイルとして得た(MW=50001.07)。
【0116】
実験例B(三脚のトリオール)
この例は、α,α’,α’’−(メチルシリリジン)トリス−[ω[(ヒドロキシエトキシプロピル−ジメチルシリル)オキシ]ポリ(ジメチルシリエン)]](9Cl)(IIa)の調製を説明している。
138.28gのDおよび1.70gのメチルトリス(ジメチルシロキシ)ケイ素を、磁気撹拌子を入れたガラスビン中で混合した。0.006gのトリフルオロメタンスルホン酸をこの混合物に加え、そしてこのビンを気密のフタで密封した。この混合物を室温で7時間激しく撹拌し、その後10gの重炭酸ナトリウムを加えた。このビンを再度密封し、そして一晩撹拌し、その後炭酸ナトリウムをろ過して除去し、139.9gのヒドリド末端のα,α’,α’’−(メチルシリリジン)トリス−[ω[(ジメチルヒドロシリル)オキシ]ポリ(ジメチルシリエン)]](9Cl)中間体を得た。
【0117】
シリカゲル乾燥管を備えた水冷凝縮器、250mLの圧補償滴下漏斗および温度計を備えた1Lの三口丸底フラスコ中に、139.9gのα,α’,α’’−(メチルシリリジン)トリス−[ω[(ジメチルヒドロシリル)オキシ]ポリ(ジメチルシリエン)]](9Cl)中間体および250mLの乾燥トルエンを入れた。この混合物を撹拌しながら70℃に加熱した。カールシュテット触媒の0.5mLトルエン溶液(0.1ミリモルPt/mL濃度)をこの混合物に加えた。2.10gの2−アリルオキシエタノールを、滴下漏斗からこの混合物に滴下して加えた。添加は45分間にわたって行い、この間、混合物の温度は95℃に上昇した。その後、この反応混合物を70℃に1時間保持した。ケイ素結合水素の含有量を赤外分光計で調べた。痕跡が検知できなかった場合は、この反応が完結したと判断した。反応混合物を室温まで冷却し、そして撹拌しながら20gの活性炭で18時間処理した。この反応混合物をセライトを通してろ過し、炭素を除去した。トルエンを回転式蒸発器で、80℃で、20トールの減圧下で除去した。淡黄色の生成物を、10gの活性炭で3日間処理し、残存する色を除去した。このオイルをセライトを通してろ過して炭素を除去し、そして次いでクーゲルロール蒸留装置に移し、低分子量の種を140℃で、1×10−1トールの減圧下で除去して、142gのα,α’,α’’−(メチルシリリジン)トリス−[ω[(ヒドロキシエトキシプロピルジメチルシリル)オキシ]ポリ(ジメチルシリエン)]](9Cl)(IIa)を無色のオイルとして得た(MW=50000)。
【0118】
実験例C(T型のアクリレートマクロジオール)
この例は、ヒドロキシエトキシプロピル末端が3.55%の(メチルメタクリロキシプロピルメチルシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体(Ib)の調製を説明している。
246.61gの1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、0.37gのDおよび3.01gのα,ω−ビス(ヒドロキシエトキシプロピル)ポリジメチルシロキサン(MW=1943)を、磁気撹拌子を入れたガラスビン中で混合した。0.314gのトリフルオロメタンスルホン酸をこの混合物に加え、そしてこのビンを気密のフタで密封した。この混合物を室温で3.5時間激しく撹拌し、その後20gの重炭酸ナトリムを加えた。このビンを再度密封し、そして一晩撹拌し、その後炭酸ナトリウムをろ過により除去して、250gのヒドロキシエトキシプロピル末端の(メチルヒドロシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体中間体を得た。
【0119】
シリカゲル乾燥管と温度計を備えた水冷の凝縮器を備えた3Lの三口丸底フラスコ中に、上記で得た250gのヒドロキシエトキシプロピル末端の(メチルヒドロシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体中間体および178.57mLの乾燥トルエンを入れた。この混合物を撹拌しながら60℃に加熱した。0.0003gのカールシュテット触媒をこの混合物に加えた。0.9782gの2−アリルメタクリレートを滴下してこの混合物に加えた。添加の間に、混合物の温度が72℃に上昇した。その後反応混合物を70℃に18時間保持した。ケイ素結合水素の含量を赤外分光計によって調べた。痕跡が検知できなかった場合は、この反応が完結したと判断した。この反応混合物を室温まで冷却させ、そして20gの活性炭で18時間、撹拌しながら処理した。この反応混合物をセライト(celite)を通してろ過して、炭素を除去し、次いで0.2μmテフロン(登録商標)フィルタを通してろ過した。0.0577gのMEHQをこのトルエン溶液に加え、そして次にトルエンを回転式蒸発器で、60℃で、20トールの減圧下で除去した。この混合物を、クーゲルロール蒸留装置に移し、そして低分子量の種を50℃で、1×10−1トールの減圧下で20分間除去した。この過程を3回繰り返し、200.86gのヒドロキシエトキシプロピル末端が3.55%の(メチルメタクリロキシプロピルメチルシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体(Ib)を淡黄色のオイルとして得た(MW=161851.72)。
【0120】
実験例D(T型のトリイソシアネート)
この例は、イソシアネート末端の(プロピルメチルシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体(Ic)の調製を説明している。
149.41gのD、0.18gの1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、および0.40gのTMDSを磁気撹拌子を入れたガラスビン中で混合した。0.1907gのトリフルオロメタンスルホン酸をこの混合物に加え、そしてこのビンを気密のフタで密封した。この混合物を室温で24時間激しく撹拌し、その後5gの重炭酸ナトリウムを加えた。このビンを再度密封して24時間撹拌し、その後炭酸ナトリウムを0.5μmのろ紙を通して、室温で真空下で、ろ過により除去して、150gのヒドリド末端の(メチルヒドロシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体中間体を得た。
【0121】
シリカゲル乾燥管と温度計を備えた水冷の凝縮器を備えた1Lの三口丸底フラスコ中に、150gのヒドリド末端のポリ(メチルヒドロシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体および107.14mLの乾燥トルエンを入れた。この混合物を撹拌しながら60℃に加熱した。0.0005gのカールシュテット触媒をこの混合物に加えた。0.99gのアリルイソシアネートを滴下して加えた。この反応混合物を60℃に2時間保持した。ケイ素結合水素が存在しないことと、イソシアネート基に変化がないことを赤外分光計によって調べた。ケイ素結合水素の痕跡が検知できなかった場合は、この反応が完結したと判断した。この反応混合物を室温まで冷却させた。この反応混合物を0.2μmのろ紙を通して、室温で真空下でろ過した。トルエンを回転式蒸発器で、80℃で、20トールの減圧下で除去し、150.99gのイソシアネート末端の(プロピルメチルシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体(Ic)を無色のオイルとして得た(MW=25170.54)。
【0122】
実験例E(ビニルシロキサンプレポリマー)
ビニルシロキサンプレポリマー(Id)〜(If)を、テトラビニル−テトラメチルシクロテトラシロキサン(D)、またはテトラビニル−テトラメチルシクロテトラシロキサン(D)とオクタメチルシクロテトラシロキサン(D)との混合物、またはテトラビニル−テトラメチルシクロテトラシロキサン(D)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D)およびヘキサメチルジシロキサンの混合物、のいずれかの酸触媒の開環重合を経由して、ポリビニル−メチルシロキサンプレポリマーを調製することによって調製した。
【0123】
以下の例はビニルシロキサンプレポリマーの調製を説明している。
以下の例において用いられた原料は次の通りである。
【0124】
【化21】

【0125】
: R=ビニル、R=メチル、m=4
【0126】
【化22】

【0127】
: RおよびR=メチル、n=4
【0128】
【化23】

【0129】
HMDS: R〜R=メチル
【0130】
実験例E1
50gのDをガラスビンに採り、そして0.05gのトリフルオロスルホン酸と混合した。このビンを気密のフタで密封し、そしてこの混合物を室温で24時間激しく撹拌した。その後、この反応混合物を5gの重炭酸ナトリウムで中和し、そして次いで更に約16時間撹拌し続けた。重炭酸ナトリムを次いで0.45μのろ紙を通して、室温で真空下でろ過して取り除いた。これに次いで除去工程で、ビニルシロキサンプレポリマー(Id)から低分子量のシロキサン種を取り除いた。
【0131】
実験例E2
1.89gのDおよび8.11gのDをガラスビンに採り、そして0.01gのトリフルオロスルホン酸と混合した。このビンを気密のフタで密封し、そしてこの混合物を室温で24時間激しく撹拌した。その後、この反応混合物を5gの重炭酸ナトリウムで中和し、そして次いで更に約16時間撹拌し続けた。重炭酸ナトリムを次いで0.45μのろ紙を通して、室温で真空下でろ過して取り除いた。これに次いで除去工程で、ビニルシロキサンプレポリマー(Ie)から低分子量のシロキサン種を取り除いた。
【0132】
実験例E3
22.44gのDおよび18.46gのDおよび10.10gのHMDSをガラスビンに採り、そして0.07gのトリフルオロスルホン酸と混合した。このビンを気密のフタで密封し、そしてこの混合物を室温で24時間激しく撹拌した。その後、この反応混合物を5gの重炭酸ナトリウムで中和し、そして次いで更に約16時間撹拌し続けた。重炭酸ナトリムを0.45μのろ紙を通して、室温で真空下でろ過して取り除いた。これに次いで除去工程で、ビニルシロキサンプレポリマー(If)から低分子量のシロキサン種を取り除いた。
【0133】
実験例F(T型のトリエポキシシロキサン)
この例は、エポキシ末端の(プロポキシメチルシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体(Ig)の調製を説明している。
248gのD、0.30gの1,3,5,7−テトラメチル−シクロテトラシロキサン、および1.70gのTMDSを、磁気撹拌子を入れたガラスビン中で混合した。0.3194gのトリフルオロメタンスルホン酸をこの混合物に加え、そしてこのビンを気密のフタで密封した。この混合物を室温で24時間激しく撹拌し、その後5gの重炭酸ナトリウムを加えた。このビンを再度密封して24時間撹拌し、その後炭酸ナトリウムを0.5μmのろ紙を通して、室温で真空下でろ過により取り除き、250gのヒドリド末端(メチルヒドロシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体中間体を得た。
【0134】
シリカゲル乾燥管を備えた水冷凝縮器、250mLの圧補償滴下漏斗および温度計を備えた1Lの三口丸底フラスコ中に、250gのヒドリド末端ポリ(メチルヒドロシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体と178.57mLの乾燥トルエンを入れた。この混合物を撹拌しながら60℃に加熱した。0.0017gのカールシュテット触媒をこの混合物に加えた。5.1771gのアリルグリシジルエーテルを滴下して加えた。添加の間、混合物の温度は72℃に上昇し、その後、この反応混合物を70℃に3.5時間保持した。ケイ素結合水素が存在しないことと、イソシアネート基に変化がないことを赤外分光計によって調べた。ケイ素結合水素の痕跡が検知できなかった場合は、この反応が完結したと判断した。反応混合物を室温まで冷却させ、そして撹拌しながら20gの活性炭で18時間処理した。この反応混合物をセライトを通してろ過して炭素を取り除き、次いで0.2μmテフロン(登録商標)フィルタを通してろ過した。この反応混合物を室温まで冷却した。この反応混合物を0.2μmのろ紙を通して、室温で真空下でろ過した。トルエンを回転式蒸発器で、60℃で、20トールの減圧下で除去した。この混合物を、次いでクーゲルロール蒸留装置に移し、そして低分子量の種を75℃で、1×10−1トールの減圧下で2時間除去した。この過程を3回繰り返し、255.18gのエポキシ末端の(プロポキシメチルシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体(Ig)を無色のオイル(MW=20046.98)として得た。同様に、上記の合成は、他の可能な末端のジシロキサン共重合体を調製するのに修正することができる。その例としては、エポキシ末端(プロポキシメチルシロキサン)(ペンダントヒドロキシエトキシプロピルメチルシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体(Ih)、ヒドロキシエトキシプロピルシロキサン(ペンダントエポキシ末端(プロポキシメチルシロキサン))(ジメチルシロキサン)共重合体(Ii)およびエポキシ末端(プロポキシメチルシロキサン)(ペンダントメチルメタクリロキシプロピルメチルシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体(Ij)が挙げられる。
【0135】
【化24】

【0136】
ヒドリド末端(メチルヒドロシロキサン)(ジメチルシロキサン)中間体
【0137】
【化25】

【0138】
【化26】

【0139】
α,α’,α’’−(メチルシリリジン)トリス−[ω[(ジメチルヒドロシリル)オキシ]ポリ(ジメチルシリエン)]](9Cl)中間体
【0140】
【化27】

【0141】
【化28】

【0142】
ヒドロキシエトキシプロピル末端(メチルヒドロシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体中間体
【0143】
【化29】

【0144】
【化30】

【0145】
【化31】

【0146】
=ビニル、R=C1−6アルキル、x=100〜1000
【0147】
【化32】

【0148】
=ビニル、R、RおよびR=C1−6アルキル、およびx=100〜1000およびy=4〜200
【0149】
【化33】

【0150】
=ビニル、R、RおよびR=C1−6アルキル、R11およびR12=C1−6アルキル、ヒドロキシル、メトキシおよび/またはエトキシ、x=100〜1000およびy=4〜200
【0151】
【化34】

【0152】
【化35】

【0153】
【化36】

【0154】
【化37】

【0155】
スキーム1
ゲル合成
ゲルは種々の方法で合成した。
1工程法:ゲルの全ての反応物を一緒に添加し、そして混合した。
2段階緩やかな添加法:この方法でのゲル合成は、第一段階での2官能性イソシアネート末端プレポリマーの形成と、それに続くヒドロキシル末端の多官能性ポリオールの添加で起こさせた。
UV硬化:紫外線での硬化の過程のためには、ポリオールセグメント中に不飽和を含んだ処方が調製された。光開始剤をこの混合物に添加し、そしてこれは、外部から供給した長波長の紫外線放射の存在下で、架橋したゲルの形成をもたらした。
【0156】
実施例1
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)および実験例Aで調整した、合成したヒドロエトキシプロピル末端が9.09%の(ヒドロキシエトキシプロピルメチルシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体(T型トリオール)(Ia)を5分間撹拌し、そして硬化した。
【0157】
成分の処方、化学量論を以下に表にした。
【0158】
【表2】

【0159】
良好なレオロジー特性を備えたゲルを得た。
【0160】
実施例2
実験例Dで調製した合成したT型のトリイソシアネート(Ic)および異なる分子量(1000、2000)のシロキサンポリオールを、触媒あり、および触媒なしで、室温で5分間機械的に撹拌し、そして硬化させた。
【0161】
【表3】

【0162】
合成したゲルは非常に弾性があり、また良好なレオロジー特性を有していた。
【0163】
実施例3
実験例Dで調製した合成したT型のトリイソシアネート(Ic)および短鎖ジオール(例えば、ブタンジオール)を、触媒あり、および触媒なしで、室温で5分間機械的に撹拌し、そして硬化させた。1つの例では、10gのT型トリイソシアネートを0.027gのBDOと反応させ、その混合物を室温で5分間機械的に撹拌した。この混合物は、室温で硬化し、良好な弾性のゲルとなった。
【0164】
実施例4
実験例Cで調製した、異なるMW(20000〜100000)の、合成したT型のアクリレートマクロジオール(Ib)の適当な量をペトリ皿中に精秤し、そしてへらを用いて、トルエン約1mL中で、所望の質量パーセント(w/w)の種々の光開始剤、例えばイルガキュア(Irgacure)819、イルガキュア(Irgacure)2022(0.25質量%〜2質量%の種々のパーセンテージで)と完全に混合し、そしてUV室(UVランプ、種々の波長)中に収容し数分間硬化させた。アクリレートの分子量の関数として変化する柔軟性を備えた良好なゲルを得た。
【0165】
実施例5
2工程でゲルを調製した。所望のNCOインデックス(NCO/OH)を得る、2官能性ポリオールとジイソシアネートとの反応によるプレポリマーの調製と、それに続く、プレポリマーと、実験例Aで調製した、合成したヒドロキシエトキシプロピル末端が9.09%の(ヒドロキシエトキシプロピルメチルシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体(T型のトリオール)(Ia)(MW=20000〜50000)との反応である。
【0166】
プレポリマーの調製
合成の前に、70℃で真空下で、PDMS(MW=1000)を脱気した。溶融したMDIを、機械的撹拌機と窒素注入口を取り付けた三口の丸底フラスコ中に入れた。このフラスコを70℃に設定した油浴中に置いた。脱気したPDMSをMDIに加え、そして機械的撹拌機で窒素雰囲気下で2時間撹拌した。
【0167】
PDMSの添加が完了した後で、油浴の温度を80℃に上げた。このプレポリマーを窒素雰囲気下で、100rpmで2時間撹拌した。このプレポリマーを真空下で、1時間脱気した。
【0168】
多官能性ポリオールとの反応
このプレポリマーおよびT型のトリオール(Ia)を、触媒あり、およびなしで、室温にて5分間、機械的に撹拌し、硬化させた。
【0169】
【表4】

【0170】
実施例6
UV硬化を用いた他の例として、融解したMDIを、機械的撹拌機および窒素注入口を備えた3つ口丸底フラスコに入れた。このフラスコを60℃にした油浴中に放置した。実験例Cで調製した、1000〜100000の種々のMwの、合成したT型のアクリレートマクロジオール(Ib)をMDIに加え、そして窒素雰囲気下で、2時間機械的撹拌機によって撹拌し、そして真空下で1時間、脱気した。連鎖を延ばしたポリマーを精確にペトリ皿に秤量し、そしてスパチュラを用いて、所望の質量%(w/w)の異なる光開始剤、例えばイルガキュア(Irgacure)819、イルガキュア2022(0.25質量%〜2質量%(w/w)の種々の%)と、約1mLのトルエン中で完全に混合し、そしてUV室(UVランプ、種々の波長)中に放置して数分間硬化させた。
【0171】
実施例7
1段階法を用いて、実験例Eで調製したビニルシロキサンプレポリマーI(d)、I(e)および/またはI(f)の5gを開始剤と混合し、そして外部エネルギー源、例えば用いられる開始剤に応じて、UV放射線、熱エネルギー、で硬化した。用いた光開始剤には、イルガキュア(Irgacure)819、イルガキュア2020、イルガキュア2022およびドラガキュア(Dragacure)1173が含まれた。用いた遊離開始剤にはベンゾイルペルオキシドおよびクミルペルオキシドが含まれた。
【0172】
UV硬化
紫外線での硬化方法として、5gのビニルシロキサンプレポリマーに、光開始剤を加え、そして完全に混合し、そしてこれを、外部から供給した長波長の紫外線の存在下で、硬化して架橋したゲルとした。
【0173】
熱的硬化
熱的硬化の方法として、5gのビニルシロキサンプレポリマーに、遊離ラジカル開始剤を加え、完全に混合し、そしてこれを、70℃に維持されたオーブン中で硬化して、架橋したゲルを生じさせた。
【0174】
実施例8
実験例Fで調製した、合成したT型のトリエポキシシロキサン(Id)およびジアミン/HMWtシロキサンジアミンを、室温にて約5分間機械的に撹拌し、そして70℃でオーブン中で硬化させた。良好なレオロジー的特性を備えた柔軟な弾力性のあるゲルを得た。
【0175】
【表5】

【0176】
実施例9
ISO溶出法を用いた細胞毒性の検討
目的
インビトロの哺乳類細胞培養テストを用いて、テスト製品抽出物の生体適合性を評価する。
この検討は、国際標準化機構10993、医療デバイスの生物学的評価、第5部、細胞毒性テスト、インビトロ方法、の要件に基づいている。
【0177】
テスト材料の抽出媒質に対する比率
材料の厚さが0.5mm未満で、60cm:10mLの比率(USP比の120cm:20mLに基づく)。
【0178】
抽出媒質
5%の血清と2%の抗生物質を補った、シングルストレングス(single strength)の最小必須培養液(1×MEM)。
【0179】
抽出条件
抽出条件は、潜在的な毒性学的な危険性を明らかにするように、臨床的使用条件を誇張するようにするが、しかしながらそれらはどのような場合でも、物理的な変化、例えば利用可能な表面積の減少をもたらしてしまう融合や融解などを起こすものであってはならない。要素の少しの付着は許容することができる。
【0180】
対照製品
負の対照:高密度ポリエチレンを、60cm:20mL抽出媒体の比率を基に調製する。この材料の単一の調製物を作り、そしてテスト製品について記載したのと同じ条件を用いて抽出する。
試薬対照:抽出媒質の1分割量を、テスト材料なしで、テスト製品について記載したのと同じ条件を用いて調製する。
正の対照:ポリ塩化ビニル上にスズで安定化された現行の正の対照材料を、60cm:20mLの抽出媒質の比率を基に調製する。この材料の単一の調製物を作り、そして37℃で、24時間抽出する。終点滴定法のために、連続的な希釈液を調製する。
注:現行の正の対照材料は、USP推奨対照材料への容認可能な代替品として適格とされている。
【0181】
テスト系および裏付け
哺乳類の細胞培養単層、L−929、マウス線維芽細胞(ATCC CCL 1、NCTC クローン 929、菌株L、または同等の供給源)を用いる。生体材料および医療デバイスの細胞毒性の評価には、インビトロ哺乳類細胞培養の研究が、歴史的に用いられてきた(ヴィルスナック(Wilsnack)ら、1973年)。
【0182】
テスト系管理
L−929、マウス線維芽細胞(ATCC CCL 1、NCTC クローン 929、菌株L、または同等の供給源)を、5%の血清と2%の抗生物質を補った、シングルストレングス(single strength)の最小必須培養液(1×MEM)を含む開放ウェル中で、二酸化炭素(CO)5%の気体環境の中で、増殖または維持させる。この検討のために、10cmのウェルにシードし、継代数および日付を付票に付け、そしてCO5%の中で、37℃で培養し、使用の前に細胞の融合性の単層を得る。細胞の取り扱いには、認証された標準操作手順書に従った、無菌の方法が用いられる。
【0183】
投与の方法および手段
融合性の細胞単層を含んでいるそれぞれの培養ウェルを選択する。三倍体培養における成長媒質は2mLのテスト抽出物と置換する。同様に、三倍体培養は、2mLの試薬対照、負の対照抽出物および希釈されていない、またそれぞれの力価の正の対照と置き換える。それぞれのウェルをCO5%中で、37℃で、48時間培養する。
培養に続いて、培養物を、顕微鏡で(100×)調べて、細胞特性および溶解百分率を評価する。
【0184】
評価基準および統計
単層の融合性を、存在した場合は(+)で、存在しない場合は(−)で記録する。更に、テスト媒質の色を観察し、そして負の対照媒質と比較する。それぞれの培養ウェルを、以下の基準を用いて、溶解百分率および細胞特性で評価する。
【0185】
【表6】

【0186】
テストを有効なものにするために、試薬対照および負の対照は反応性がなく(0等級)、また正の対照は等級3もしくは4でなければならない。生物学的反応が2等級(弱い)に等しいか、または未満である場合にはテスト試料はテストの要求に合致する。このテストを、対照が予測したように働かない場合、および/または3つのテストウェルすべてが同一の結果をもたらさない場合には繰り返す。
【0187】
実施例9の参考文献
21CFR58(GLP規則)
国際標準化機構10993、医療デバイスの生物学的評価、第5部、細胞毒性テスト、インビトロ法
米国薬局方(United States Pharmacopeia(USP))、現行版
ヴィルスナック(Wilsnack),R. E.、「医療デバイスの定量的細胞培養生体適合性テストおよび動物テストとの相関関係」、生体材料、医療デバイスおよび人口臓器4、1976年、p.235〜261.
ヴィルスナック(Wilsnack),R. B.、P. S. メイヤー(Meyer)、3. 0. スミス(Smith)、「医療デバイスのヒト細胞培養毒性テストおよび動物テストとの相関関係」、生体材料、医療デバイスおよび人口臓器1、1973年、p.543〜562.
【0188】
実施例10、モルモット(the guinea pig)での感作テスト(最大化法)
この研究の目的
モルモットでの最大化テストの目的は、皮膚感作への可能性を特定することである。マグヌッソン(Magnusson)およびクリグマン(Kligman)法は、種々のアレルギーを特定するのに有効である。この研究は、国際標準化機構10993、医療デバイスの生物学的評価、第10部、刺激性および感作試験、の要求に基づいている。
【0189】
テスト製品
試料は、以下のように調製する。
1.テスト製品抽出媒質の比率:
物資厚さが0.5mm未満、120cm:20mLの比率
2.抽出媒質:
0.9%塩化ナトリウムUSP溶液(SC)
3.抽出条件:
37℃、72時間(±2時間)
【0190】
対照製品
抽出物を調製するのに用いられる媒質は、対照尺度として働く抽出物(しかしながらテスト製品を備えてはいない)と同様の方法で調整する。処理されていない皮膚は、抗原投与段階の間の皮膚反応を評定するための付加的対照基準として役立つことになる。
【0191】
テスト系
種:モルモット(Cavia porcellus)
血統:Crl:(HA)BR
供給源:チャールスリバーラボラトリイズ(Charles River Laboratories)
性別:このテストには特定の性別規定無し。雌が用いられる場合、それらは、未経験で妊娠していないものとする。
体重範囲:識別時に300〜500グラム
年令:若い成体
順応期間:最低5日間
動物の数:15(1抽出物あたり)
識別方法:耳パンチ
【0192】
テスト系の裏づけ:
感作研究のためには、歴史的にハートレイ(Hartley)アルビノモルモットが使用されてきた(マグヌッソン(Magnusson)及びキルグマン(Kilgman)、1970年)。モルモットは、このタイプの研究にとって最も感応性の高い動物モデルであると考えられている。ハートレイ血統の既知の感作物質1−クロロ−2,4−ジニトロベンゼン(DNCB)に対する感受性は、この方法で実証されてきた。
【0193】
テストおよび対照製品の調製:
以上で指示した通り(「テスト製品」参照)、研究の各段階において新鮮な抽出物が調製される。テスト材料がパッチングのために適切である場合、テスト試料(2cm×2cmのパッチ)の局所施用が抗原投与において使用される。抽出物を調製するために用いられる媒質は、対照尺度として役立つよう抽出物と同じ要領で(ただしテスト製品無しで)調製される。
【0194】
投与の方法と経路:
処置の前日に、1抽出物あたり15匹のモルモット(10テスト、10対照)の体重を測定し、識別する。動物の背側肩甲部からの毛衣は、電動クリッパで除去する。
【0195】
誘発I:
皮内注射を3対、背側肩甲部の約2cm×4cmの部域内で動物に、以下のように投与する。
対照動物:
a.フロインド完全アシュバント(FCA)と選択された媒質の50:50(v/v)混合物0.1ml
b.媒質0.1ml、
c.50:50(v/v)のFCA及び媒質の1:1混合物0.1ml。
テスト動物:
a.FCAと選択された媒質の50:50(v/v)混合物0.1ml、
b.テスト抽出物0.1ml、
c.50:50(v/v)FCA及びテスト抽出物の1.1混合物0.1ml。
組織の脱落を最小限におさえるため、「a」および「c」注射は「b」よりもわずかに深く行う。部位「c」は部位「b」よりもわずかに尾側で注射する。
【0196】
誘発II:
6日後に、注射部位の毛衣を再び刈り取り、粉末SLSをペトロラクタムと混合することによって調製された10%(w/w)のラウリル硫酸ナトリウム(SLS)懸濁液0.1〜1gでこの部位を処置する。SLS処置の翌日に、SLS残渣が残っていればそれをその部域からガーゼで優しく拭き取る。
0.3mlの抽出物調製物または媒質で飽和させた2cm×4cmのろ紙パッチ(3MM、ワットマン(Whatman))を、同じ注射部位の上に適用し、非反応性テープでしっかり固定する。次に各動物の胴体を48時間(±2時間)ゴムバンドでぴったりとラッピングする。
【0197】
抗原投与:
誘発IIのラップを取り外してから13日目に、全てのモルモットの横腹及び脇腹から毛衣を刈り取る。翌日に、可とう性チャンバ(例えばヒルトップチャンバー(Hill Top Chamber)(登録商標))および半閉塞性低刺激性テープにより裏当てされた不織綿ディスクに0.3mlの、調製したばかりのテスト材料抽出物を飽和させ、これを各動物の右脇腹または背に適用する。さらに、媒質対照を各動物の左脇腹または背にパッチする。右脇腹には、テスト材料自体(該当する場合)の約2cm×2cmの切片を適用する。
【0198】
各動物の胴体を24時間(±2時間)ラッピングする。パッチを除去した時点で、部位をガーゼで拭き取る。パッチ除去から24時間(±2時間)後に、抗原投与された部位とその周辺部域を剃る。剃毛から最低2時間、最大4時間後、および包帯剤の除去から48(±2)時間および72(±2)時間後に、紅斑及び浮腫により示されるような、あらゆる刺激または感作反応の症候について検査する。評定に先立ち各々の部位を35%のイソプロピルアルコールガーゼスポンジで優しく拭く。
【0199】
当初の抗原投与結果が疑わしいことが判明した場合、動物を新鮮なテスト抽出物および媒質対照で、最初の抗原投与パッチ適用から約7日目に再度抗原投与することができる。再抗原投与は、抗原投与と同じ要領で、ただし反対側の脇腹の上の未処置部位において行なわれることになる。試験が完了した時点で、全ての動物は、承認済み手順に従って取り扱う。
【0200】
評価と統計:
反応についての日々の抗原投与評点を、下表に従ってパッチ除去から24、48および72時間後に記録する。
【0201】
【表7】

【0202】
部位に関するその他のあらゆる観察事実を脚注として記す。
【0203】
応答は、テスト動物グループ内およびテストおよび対照条件間で比較する。対照条件は、(1)テスト動物に対する媒質対照溶液および(2)対照動物に対するテスト抽出物、対照溶液および生体材料(適用される場合)である。
【0204】
データの最終的分析においては、対照条件に比べたテスト条件の反応の全体的パターン、強度、持続時間及び特徴を考慮する。データの統計学的操作は、この研究には適用不可能である。「刺激」として解釈される効果は一般に24時間で観察されるが、その後減少し、同様に対照動物においても過渡的応答として同時に存在する。閉じたパッチは標準的に、テスト条件下でパッチ除去から48〜72時間後に最大感作読取り値を示すが、対照条件下では示さない。テストグループ内での1以上の等級は一般に、対照動物について1未満の等級が観察されることを条件として、感作を標示する。1以上の等級が対照動物について指摘される場合には、最も重度の対照反応を超えるテスト動物の反応は感作に起因するものであるとみなされる。
【0205】
背景または人為的反応(例えば毛衣刈り取り、パッチチャンバエッジ、非特異的FCA効果に由来するもの)は、感作応答の証拠とはみなされない。FCAおよび閉塞性包帯での処置は、皮膚刺激の閾値レベルを低下させる可能性がある。
【0206】
対照動物より低い応答を示す動物がテストグループ内により多くいる場合、再抗原投与が行なわれる可能性がある。この再抗原投与は、動物の反対側の脇腹上の未処置部位で第1の抗原投与から約7日後に行なわれることになる。再抗原投与において皮膚応答が無い場合、それ以前の発見事実は無効となり得る。同じ動物のうちの少なくとも一匹において観察事実が再現される場合、それ以前の発見事実が確認される。
【0207】
例10についての参考文献:
21CFR58(GLP規則)
実験動物の世話及び使用に関する指針、全米科学アカデミー、実験動物研究所(Wワシントン:ナショナルアカデミープレス(National Academy Press)、1996年)
国際標準化機構10993;医療デバイスの生物学的評価、第10部:刺激および感作試験
マグヌッソン(Magnusson),BおよびA. クリグマン(Kligman)、モルモットにおけるアレルギー性接触皮膚炎(スプリングフィールド(Springfield):シー.エイチ.トーマス (C. H. Thomas)、1920年)
OLAW、実験動物の人間による世話及び使用に関する公衆衛生サービス規定(NIH出版)
米国連邦規制基準(CFR)9:動物保護法令。
【0208】
実施例11
ウサギにおける急性皮内反応性研究
目的:
本研究の目的は、ウサギにおける皮内注射後のテスト製品から抽出された浸出可能物の局所的皮膚刺激効果を評価することにある。本研究は、国際標準化機構10993;医療デバイスの生物学的評価、第30部:刺激及び感作試験の規定要件、に基づいている。
本研究は、FDA医薬品安全性試験実施基準(GLP)規則21CFR58の詳細な情報に従って実施される。
【0209】
テスト製品:
試料は以下の通りに調製される。:
1.テスト製品対抽出媒質比:0.5mm未満の材料厚み−120cm:20mlの比率、
3.抽出媒質:0.9%の塩化ナトリウムUSP溶液(SC)、
4.抽出条件:37℃、72時間(±2時間)。
【0210】
対照製品:
試薬対照(テスト材料無しの抽出媒質)は、テスト抽出物と同じ要領及び同時に調製される。
【0211】
テスト系:
種:ウサギ(Oryctolagus cuniculus)
血統:ニュージーランドホワイト
供給源:単一のUSDA認可供給業者
性別:この試験では特定の性別規定無し
体重範囲:選別時点で2.0kg以上
年令:若い成体
順応期間:最低5日間
動物の数:抽出物1対あたり3匹
識別方法:耳パンチ
【0212】
テスト系の裏づけ:
ウサギにおける皮内注射試験は現行のISO試験規格内に規定されており、歴史的に生体材料抽出物を評価するために使用されてきた。
【0213】
投与の方法と経路
処置の前日に、各々のウサギの体重を測定し、背中及び背柱両側から毛衣を刈り取って、充分な注射部域を生成する。背中の刈り取った部域を、注射直前に70%アルコールを浸したガーゼパッドで拭き、乾燥させる。注射部位の過密化及びその後の不透明化の懸念から、テスト及び対照部位は、ISO規格で定義されているような背中の同じ側の尾側及び頭部にはしない。各々のテスト抽出物は、各ウサギの背中の右側で各々0.2mlの5回の皮内注射で投与する。5回の試薬対照注射は、背中の左側で類似の要領で注射する。各動物には2つ未満のテスト抽出物及び対応する試薬対照を注射する。注射は約2cm離隔する。注射部位の外観を、注射直後に書き留める。
【0214】
紅斑及び浮腫についての観察事実を、注射から24(±2)時間、48(±2)時間及び72(±2)時間後に各注射部位について書き留める。反応は0〜4基準で評定する。注射部位におけるその他の不利な変化も同様に書き留める。試験の完了後、全動物を承認済み手順に従って取扱う。以下に示した通りの主観的評点付けスケールに従って、反応を評価する。
【0215】
【表8】

【0216】
評価と統計
データの統計学的分析は全く実施しない。各動物について、各々の時間的間隔で得られた紅斑および浮腫評点を加算し、合計観察回数で除す。この計算は各テスト抽出物および試薬対照について別々に実施する。試薬対照のための評点を、一次刺激評点を得るため、テスト抽出物についての評点から差引く。各動物の一次刺激評点を加算し、合計動物数で除す。得られた値は、一次刺激指数(PII)である。一次刺激指数は、以下のような数字と記述により特徴づけされる:0〜0.4(無視可能)、0.5〜1.9(軽度)、2.0〜4.9(中度)、5.0〜8.0(重度)。初期試験における応答が疑わしい場合、付加的な試験が必要であるかもしれない。テスト抽出物内で指摘されたあらゆる不利な反応は、対応する試薬対照に比較される。
【0217】
報告書:
最終報告書には、利用した方法、各々のテスト及び対照注射部位についての個々の皮膚評点及び結果の査定(一次刺激評点および一次刺激指数)が含まれる。
【0218】
記録:
テスト製品および試薬対照調製物のデータ、関連する活動(例えば研究開始および完了)の日付、注射直後の各注射部位の外観、24、48および72時間後の個々の皮膚評点、一次刺激評点及び一次刺激指標が記録される。
【0219】
例8についての参考文献:
21CFR58(GLP規則)
実験動物の世話および使用に関する指針、全米科学アカデミー、実験動物研究所(ワシントン: ナショナルアカデミープレス(National Academy Press)、1996年)
国際標準化機構10993;医療デバイスの生物学的評価、第10部:刺激及び感作試験
OLAW、実験動物の人間による世話及び使用に関する公衆衛生サービス規定
米国連邦規制基準(CFR)9:動物保護法令。
米国薬局方(USP)、現行版。
【0220】
実施例12
USP及びISO全身毒性研究抜粋
目的
本研究の目的は、マウスにおける単一の静脈内または腹腔内注射の後テスト製品から抽出された浸出可能物の急性全身毒性を評価することにある。本研究は国際標準化機構10993;医療デバイスの生物学的評価、第II部;全身毒性についての試験、により推奨される方法に従って実施される。
【0221】
テスト製品
試料は、以下の通りに調製される:
1.テスト製品対抽出媒質比:
−0.5mm未満の材料厚み−120cm:20mlの比率
−0.5mm以上の材料厚み−60cm:20mlの比率
−不規則形状の物体および/またはスポンサのオプション−4g:20mlの比率
2.抽出媒質:
−0.9%の塩化ナトリウムUSP溶液(SC)
−アルコールと生理食塩水1:20の溶液(AS)
−ポリエチレングリコール400(PEG)*
−植物油
註:これらの媒質のpHが既知であるため、テスト製品抽出物のpHは測定しない。
* PEGを使用する場合、PEGテスト抽出物および試薬対照は、200mgのPEG/mLを得るべく生理食塩水で希釈する。
3.抽出条件:
−121℃、1時間、
−70℃、24時間
−50℃、72時間
−37℃、72時間
【0222】
対照製品:
ブランク対照(テスト材料無しの抽出媒質)は、テスト抽出物と同じ要領で同時に調製する。
【0223】
テスト系
種:マウス(Mus musculus)
血統:非近交系アルビノ
供給源:認定供給業者
性別:この試験については特定の性別規定無し
体重範囲:注射時点で17〜23グラム
年令:この試験については特定の年令規定無し。
順応期間:最低1日
動物の数:1抽出物および1対照あたり5匹
識別方法:耳パンチ
【0224】
テスト系の裏づけ:
生体材料抽出物を評価するためには、歴史的にマウスが使用されてきた。テスト製品抽出物または対照ブランクの単一静脈内(iV)または腹腔内(IP)用量の注射を受けたアルビノマウスの使用は、医療用プラスチックスの評価についての現行のUSP及びISOにより示唆されてきた。
【0225】
投与の方法および経路
投薬に先立って、マウスを識別し体重測定する。5匹の動物は各々、50ml/kg(SC、AS、植物油)または10g/kg(PEG)の用量で適切なテスト抽出物の注射を受ける。5匹のマウスは、対応する抽出媒質の注射を類似の要領で受ける。SCおよびASは、外側尾静脈を介して静脈内に注射し、一方PEGおよび植物油は、腹腔内に注射する。
投薬直後および注射から4、24、48および72時間後に不利な反応についてマウスを観察する。72時間の観察後、動物の体重を測定する。死亡した状態で発見された動物は全て、内臓の肉眼的剖検に付されることになる。試験の完了後、全ての動物は、承認された手順に従って取扱う。
【0226】
評価と統計:
データの統計学的分析は全く実施しない。観察期間中に、テスト抽出物で処置されたマウスのいずれも、対応する対照マウスより著しく大きい反応を示さない場合には、テスト試料はテスト必要条件を満たしている。2匹以上のマウスが死亡した場合、またはけいれんもしくは疲労といった異常行動が2匹以上のマウスに発生した場合、または3匹以上のマウスに2グラム超の体重低下が発生した場合、そのテスト試料はテスト必要条件を満たさない。
テスト抽出物で処置されたいずれかのマウスが軽度の毒性兆候しか示さず、肉眼的毒性兆候を示す、または死亡したマウスが一匹以下である場合、10匹マウス再試験が必要と可能性がある。反復試験で、テスト抽出物で処置された10匹のマウス全てが、対照マウスより大きい有意な反応を示す場合には、テスト試料は、現行のテスト必要条件を満たしている。
【0227】
報告書:
最終報告書には、利用された方法の記述、個々の体重、およびあらゆる観察事実が含まれる。
【0228】
記録:
テスト製品調製物、関連する活動(例えば研究の開始および完了)の日付、初期および最終体重および観察事実を記録する。
【0229】
例12についての参考文献:
21CFR58(GLP規則)
実験動物の世話及び使用に関する指針、全米科学アカデミー、実験動物研究所(ワシントン:ナショナルアカデミープレス(National Academy Press)、1996年)
国際標準化機構10993;医療デバイスの生物学的評価、第11部:全身毒性についての試験
OLAW、実験動物の人間による世話及び使用に関する公衆衛生サービス規定
米国薬局方(USP)、現行版。
【0230】
例13:ラットの亜慢性静脈内毒性研究
目的
本研究の目的は、連続14日間にわたるラットの体内での反復的静脈内注射の後テスト製品から抽出された浸出可能分の亜慢性全身毒性を評価することにある。
【0231】
テスト製品
1.テスト製品対抽出媒質比:
−0.5mm未満の材料厚み−120cm:20mlの比率
−0.5mm以上の材料厚み−60cm:20mlの比率
−不規則形状の物体及び/またはスポンサのオプション−4g:20mlの比率
2.抽出条件:
−121℃、1時間
−70℃、24時間
−50℃、72時間
抽出物は、抽出プロセスの完了から24時間以内に、或いはスポンサが指示するように使用する。
【0232】
対照製品:
媒質対照(テスト製品無しのSC)をテスト抽出物と同じ要領で同時に調製する。多数のテスト製品が同時に評価される場合、共通の対照動物の単一グループに投薬することができる。
【0233】
テスト系:
種:ラット(Rat us norvigicus)
血統:Hla(登録商標):(SD)CVF(登録商標)
供給源:ヒルトップラボアニマルズインク(Hilltop Lab Animals, Inc.)
性別:雄10匹、雌10匹。
体重範囲:本研究については特定の体重範囲規定無し、ただし個々の処置前体重は、各性別についてグループ平均の20%以内とする。
年令:最初の処置において生後約6〜8週。
順応期間:最低5日間
動物数:20
識別方法:耳パンチ又はタグ
【0234】
投与の方法および経路:
第1回投薬に先立つ1日以内に、ラットの体重を測定し、各処置グループに無作為に割当てる。10匹のラット(雄5匹、雌5匹)は、連続14日間毎日一回、テスト製品抽出物の注射を受ける。テスト抽出物は、10.1ml/kgの用量で、外側尾静脈を介して注射する。個々の日用量は、各週の最初の投薬日における各動物の体重に基づくものである。適切な用量体積は、0.1ml未満は切り捨てて計算する。注射の送達のためには、使い捨て注射器に取付けられた適切な径の針を使用する。注射速度はおよそ1.0ml/10秒であった。動物は毎日ほぼ同時刻に投薬を受ける。10匹のラット(雄5匹、雌5匹)が対照ブランクの注射を類似の要領で受ける。投薬の最初の日は、1日目(day1)と呼ばれる。
【0235】
実験室観察:
1.動物は毎日全身の健康状態について観察する。ラットは、注射直後のあらゆる不利な反応についても観察する。
2.疾病又は異常の臨床的兆候についての詳細な検査を、無作為化において、および8日目と15日目に行う。
3.体重は、第1回投薬前、8日目、14日目(絶食前体重)および15日目(絶食体重)に、小数点以下を切り捨てて整数グラム数で記録する。
4.死亡の場合、以下の偶発対策を適用する:
a.万一、研究中にいずれかの動物が死亡した場合、内臓の肉眼検査が実施される。小型ゲッ歯類では死後組織変化が急速であることから、いかなる最終的体重または血液の収集も試みられない。このプロトコルの終末手順部分において指定されている臓器及び組織が収集され、組織病理学的評価のために固定される。動物が試験対象となっていた日数が最終評価の考慮に入れられることになる。
b.万一、いずれかの動物が不利な臨床的兆候を示すかまたは、人道的理由から安楽死が必要となるケージ負傷を受けた場合、それは「終末手順」に付されることになる。動物が試験の対象となっていた日数が最終評価の考慮に入れられることになる。
【0236】
終末手順:
14日目の就業日の終りに、動物の体重を測定し、最高20時間にわたり食物を控える。15日目に、動物の体重を測定し、次に、3.0ml/kgで投薬される塩酸ケタミンおよびキシラジン(88mg/kg+12mg/kg)の腹腔内注射により麻酔する。腹部を開き、後部大静脈から血液検体を収集する。血液検体を、示差および臨床化学分析を伴う全血球計算のため契約実験所に送る。ラットは、麻酔中に放血により安楽死させる。
【0237】
放血の後、内臓の肉眼的観察を実施する。以下の臓器を取り出す;心臓、肺、肝臓、脾臓、胸腺、腎臓(2)、副腎(2)、腸間膜リンパ節、頸下リンパ節、性腺(2)および可視的肉眼的病変をもつあらゆる組織。肝臓、脾臓、胸腺、腎臓、副腎および性腺を計量する。対器官は一緒に計量する。組織は、さらなる処理まで10%の中性緩衝ホルマリン(NBF)中に保存する。死がいは廃棄する。
固定の後、組織を、有資格病理学者による肉眼的評価のため組織学的に処理(ヘマトキシリンおよびエオシンの中での包埋、切断及び染色)する。
【0238】
評価と統計:
体重データ、臓器重量データ、臓器/体重比、血液学および臨床化学データを統計学的に評価する。絶食前体重を用いて、体重増加を判定し、絶食体重を用いて、終末時の麻酔薬投薬量および臓器/体重比を判定する。認証された統計ソフトウェアパッケージを用いて、記述統計学およびデータグループ比較を遂行する。正規性および等分散についてデータをスクリーニングした後、適切なパラメータまたは非パラメータ試験を実施する。等分散をもつ正規分布データはパラメータ系とみなされ、2つのグループの比較のため「対応のないt−検定」を用いて評価する。Jfデータは非パラメータ系であり、2グループの比較には「マンホイットニー順位和検定」を用いる。分析すべきデータには、体重、臓器重量および血液学的パラメータが含まれる。処置グループは変数として用いる。0.05未満の確率(p)値を結果としてもたらす計算は、統計学的に有意なものとみなされる。評価する病理学者により指示された場合、病理学的発見事実の統計学的評価を実施する可能性がある。
【0239】
全身的疾病または死の臨床的徴候は、かかる分析の論理的根拠(例えば頻繁に観察される臨床的徴候または1つのパターンの出現)がこれらのデータから明らかである場合を除いて、統計学的に分析しない。いずれかの単数または複数の観察事実の発生率が分析を正当化するのに充分なものである場合、カイ2乗試験が用いられることになる。
【0240】
雄および雌のラットからの体重に関するデータは、性別を組合せる論理的根拠が存在するまで、およびそれが存在するのでないかぎり、別々に分析する。体重データは、絶対値として表現する。血液学パラメータについての雄及び雌ラットからのデータは、性別を組み合わせる論理的根拠が存在しないかぎり、別々に分析する。任意の血液学的パラメータについての統計学的有意性がみられる場合、結果は、生物学的意義を判定する上で一助となるように基準範囲に比較されることになる。
【0241】
報告書:
最終報告書には、利用された方法の記述、臨床観察事実、体重データ、血液学および臨床化学データ、臓器重量データ、臓器/体重比、剖検発見事実、組織病理学的報告書中の肉眼的評価、統計学的分析および結論が含まれる。
【0242】
例13についての参考文献:
21CFR58(GLP規則)
実験動物の世話及び使用に関する指針、全米科学アカデミー、実験動物研究所(ワシントン:ナショナルアカデミープレス(National Academy Press)、1996年)
ISO10993−11。医療デバイスの生物学的評価、第11部;全身毒性についての試験。
化学物質の試験、反復投与毒性−ゲッ歯類;28日または14日研究に関するOECD指針、文書番号407。
OLAW、実験動物の人間による世話及び使用に関する公衆衛生サービス規定(NIH出版)
【0243】
例14:遺伝毒性:細菌復帰突然変異研究
研究の目的
研究の目的は、テスト材料の抽出物または可溶化された材料が、59代謝活性化の存在下または不在下でヒスチジン依存性ネズミチフス菌の単数または複数の菌株内または大腸菌のトリプトファン依存性菌株内の突然変異原性変化をひき起こすか否かを評価することにある。非突然変異原性および潜在的発ガン性危険因子の決定のための迅速なスクリーニング手順として、細菌復帰突然変異研究を使用し、これは、潜在的遺伝毒性特性を特徴づけるその他の試験と併用されるべきである。本研究は、OECD指針および国際標準化機構10993;医療デバイスの生物学的評価、第3部:遺伝毒性、発ガン性および生殖毒性についての試験、の規定要件に基づくものである。
【0244】
テスト製品
試料は以下の通りに調製する。
テスト製品形態;
−可溶性材料(固体または液体)−完全な「可溶性材料の調製」
−不溶性材料−完全な「抽出物の調製」
【0245】
抽出物の調製(不溶性材料について):
1.テスト製品対抽出媒質比:
−0.5mm未満の材料厚み−120cm:20mlの比率を使用。
−0.5mm以上の材料厚み−60cm:20mlの比率を使用。
−不規則形状の物体および/またはスポンサのオプション−4g:20mlの比率を使用。
2.媒質:
−注射用の0.9%の塩化ナトリウム、USP、
−ジメチルスルホキシド(DMSO)*
−95%のエタノール(EtOH)**
* ジメチルスルホキシドは、37℃で72時間、70℃で24時間、または50℃で72時間で抽出可能である。
** 95%エタノールは室温でのみ抽出可能である(さまざまな時間を用いることができる)。
3.条件(材料を劣化させない最高温度を用いる);
−121℃、1時間、
−70℃、24時間
−50℃、72時間
−37℃、24時間
−室温、72時間
【0246】
可溶性材料の調製
1.固体:
試料1グラムを、10ml入り容量フラスコに移した。100mg/mlまたは10%w/vを用いるテスト材料の性質に対応するためにさまざまなサイズのフラスコを使用することができる。材料の100mg/mlまたは10%(w/v)溶液を達成するため、10ml(または該当する)境界まで適切な媒質(以下で特定)を添加する(q.s.)。
2.液体:
試料1ミリリットルを、10ml入りの容量フラスコに移した。100mg/mlまたは10%w/vを用いるテスト材料の性質に対応するためにさまざまなサイズのフラスコを使用することができる。材料の100mg/mlまたは10%(w/v)溶液を達成するため、10ml(又は該当する)境界まで適切な媒質(以下で特定)を添加する(q.s.)。
注:GLP規則21CFR58.113は、担体を伴う混合物についての濃度分析および安定性判定を要求している。
【0247】
媒質:
−注射用の0.9%塩化ナトリウム、USP。
−ジメチルスルホキシド(DMSO)
−95%エタノール(EtOH)
可溶性材料の全ての調製は、試験当日に行なう。材料がこれらの濃度で完全に溶解しない場合、連続希釈物を調製する。材料の完全な溶解を達成すると考えられる最高の濃度を試験目的に使用する。
【0248】
テスト系:
各々のネズミチフス菌(S. typhimurium)テスター試験株が、ヒスチジンオペロン内の特異的突然変異そして突然変異原を検出するそれらの能力を増大させるその他の突然変異を含んでいる。大腸菌(E.coli)菌株は、トリプトファンオペロン内に1つの突然変異をまたuvrA遺伝子内に1つの欠失を含んでいる。これらの遺伝的に改変されたネズミチフス菌(S. typhimurium)菌株(TA9S、TA100、TA1535およびTA1537)および大腸菌(E.coli)菌株(WP2uvrA)は、それぞれヒスチジンまたはトリプトファンの不在下では成長できない。(ネズミチフス菌(S. typhimurium)については)ヒスチジンを含まないかまたは(大腸菌(E.coli)については)トリプトファンを含まない培地の中に置かれた場合、その野生型状態に戻るよう(独自のヒスチジンを製造することによってヒスチジン非依存型になるか、または独自のトリプトファンを製造することによってトリプトファン非依存性となる)自然突然変異するような細胞のみがコロニーを形成できる。任意の1つの菌株についての自然突然変異速度(または復帰速度)は比較的一定であるが、突然変異原をテスト系に添加した場合、突然変異速度は著しく増大する。
【0249】
試験株、突然変異/遺伝子型関連性
S. typhimurium TA98 hisD3052, rfa, uvrB、フレームシフト、pKM101
S. typhimurium TA100 hisG46, rfa, uvrB、ミスセンス、pKM101
S. typhimurium TA1535 hisG46, rfa, uvrB、ミスセンス、
S. typhimurium TA1537 hisC3076, rfa, uvrB、フレームシフト
E.coli WP2uvrA trpE65, uvrA、ミスセンス
rfa=大型分子に対する細胞の透過性を増大させるリポ多糖類壁の部分的喪失をひき起こす(すなわちクリスタルバイオレット阻害)。
uvrBまたはuvrA=不十分なDNA切除−修復系(すなわち紫外線感応性)
フレームシフト=塩基対付加/欠失
ミスセンス=塩基対置換
pKM101=プラスミドがアンピシリン耐性(R因子)を付与し、突然変異原に対する感応性を増強させる。
【0250】
代謝活性化:
Aroclor1254で誘発されたラットの肝臓(S9ホモジネート)が代謝活性化として用いられる。該材料は、雄のSprague Dawleyラットから調製される。ラットは、屠殺の5日前にAroclor1254(500mg/ml)の1回の腹腔内注射により誘発する。S9ホモジネートは、オルガノテクニカコーポレーション(Organon Teknika Corporation), Box15969, ダラム(Durham), NC 27704-0969から購入する。使用直前に、S9ホモジネートを、0.4MのMgCl/65MのKCl、1.0Mのグルコース−6−ホスファート、0.1MのNADP、0.2Mのリン酸ナトリウム緩衝液および無菌水を含む緩衝液と混合させる。
【0251】
試験株の調製:
ネズミチフス菌TA98、TA100、TA1535及びTA1537および大腸菌WP2uvrAの培養を、オキソイド培養液の入った個々の三角フラスコに接種する。接種したブロス培養を、115〜125rpmで作動するインキュベータ振とう機の中で37±2℃で10〜12時間インキュベートさせる。
【0252】
負の対照の調製
S9の活性化を伴って、および伴わずに、各試験株について、負の対照(テスト材料無しの媒質)を利用する。
【0253】
正の対照の調製
試験株TA98、TA100及びTA1537が野生型状態への突然変異に対し感応性を有することを実証するために、正の対照として、既知の突然変異原Dexon(パラジメチルアミノベンゼンジアゾスルホン酸ナトリウム塩)を使用する。試験株TA1535については、アジ化ナトリウムを正の対照として使用する。試験株TA100については、2−アミノフルオレンを正の対照として使用する。試験株WP2uvrAについては、2−アミノアントラセンおよびメチルメタン−スルホナートを正の対照として使用する。突然変異誘発結果を誘発するためには、2アミノフルオレンおよび2−アミノアントラセンでのみ代謝活性化が必要とされるが、全ての正の対照は、S9ホモジナートを伴って、および伴わずにテストされる。
【0254】
菌株の特徴および菌株標準平板計数:
菌株の特徴が確認され、生菌数が決定される。
【0255】
スポット平板阻害スクリーン
抽出物(単複)または可溶化された材料(単複)および負の対照(単複)は、阻害試験の抗菌ゾーンをモデルにしたスポット平板技術により評価する。このスクリーンは、サルモネラ菌株及び大腸菌株にとって非阻害性である抽出物または溶液の毒性濃度を評価するのに用いられる。
【0256】
ヒスチジン−ビオチン(S. typhimuriumについて)またはトリプトファン(E. coliについて)で補足された2mlの上面融解寒天の入った別々の管に、5つの試験株各々について0.1mlの培養を用いて接種する。混合の後、寒天を、研究室番号、該当する試験株および用量レベル(必要な場合)のラベルを付けた別々の最小E平板の表面を横断して注ぎ込む。寒天がひとたび凝固したら、無菌フィルタディスクを平板の中心に置く。抽出物または可溶化材料の0.1mlアリコートを、ラベル付けした平板の各々の上のフィルタディスクに添加する。負の対照で、並行試験を行なう。正の阻害ゾーンを実証するためには、Dexon10倍原液を用いる。
【0257】
平板を37±2℃で2〜3日間インキュベートする。インキュベーション期間の後、成長阻害ゾーンを記録した。背景芝(background lawn)の有意な阻害が発生したならば、単数または複数の希釈物を調製し阻害スクリーンを反復して非毒性レベルを見出すことにより、抽出物または可溶化材料の濃度を調整する。
【0258】
標準平板取込み検定:
ヒスチジン−ビオチン(S. typhimuriumについて)またはトリプトファン(E. coliについて)で補足された2mlの上面融解寒天の入った別々の管に、5つの試験株各々について0.1mlの培養および0.1mlのテスト材料を用いて接種する。代謝活性化をシミュレートするSWIまたはS9ホモジネートの0.5mlのアリコートを、必要な場合に添加する。研究室番号、該当する試験株およびS9代謝活性化(該当する場合)のラベルが付いたトリプリケートの最小B平板を横断して混合物を注ぎ込む。並行試験を負の対照および5つの正の対照について実施する。
【0259】
以下の通り、トリプリケートで、ヒスチジンを含まない培地平板(S. typhimuriumについて)およびトリプトファンを含まない培地平板(E. coliについて)を調製する。
1.S9活性化を伴う、および伴わない抽出物または可溶化材料
2.S9活性化を伴う、および伴わない負の対照
3.菌株TA9S、TA100、およびTA1537でのS9活性化を伴う、および伴わない1倍Dexon(既知の突然変異原)。
4.菌株TA100でのS9活性化を伴う、および伴わない1倍2−アミノフルオレン(既知の突然変異原)、
5.菌株TA1535でのS9活性化を伴う、および伴わない1倍アジ化ナトリウム(既知の突然変異原)、
6.菌株WP2uvrAでのS9活性化を伴う、および伴わない1倍2−アミノアントラセン(既知の突然変異原)
7.菌株WP2uvrAでのS9活性化を伴う及び伴わない1倍メチルメタン−フルホナート(既知の突然変異原)。
【0260】
平板を、37±0℃で2〜3日間インキュベートする。インキュベーション期間の後、各平板(テスト、負および正)上の復帰突然変異体コロニーを計数し、記録する。復帰突然変異体の平均数を計算する。
【0261】
テスト結果の評価
スリプリケート試験平板の復帰突然変異体の平均数を、利用した5つの試験株の各々についてのトリプリケートの負の対照平板の復帰突然変異体の平均数を比較する。正の対照について得た平均を、基準点として使用する。テストの失敗または「潜在的突然変異原」として同定されるべきテスト材料については、5つの試験株のいずれかまたは全てについて、負の対照から得られた平均に比べて平均復帰突然変異体数の2倍以上の増加がなくてはならない。2倍の増大が全く存在しない場合には、テスト材料は非突然変異誘発性とみなされる。
【0262】
テスト材料の3つの非毒性用量レベルを用いて用量応答関係を実証することにより、あらゆる見かけの「正の応答」が確認されることになる。線形用量応答を生成する濃度範囲が存在するはずである。線形性を立証できない場合には、検定を、用量レベルを適切に変更しながら反復する。テスト材料は、それか、最低2つの漸増用量濃度に比べて復帰突然変異体の数の用量関連性の増加をひき起こす場合に、突然変異原性とみなされることになる。
【0263】
試験の有効性:
いずれかの検定が有効とみなされるためには、その検定は、以下の基準を満たさなくてはならない:
1.菌株の特徴;全てのS. typhimurium試験株(TA98、TA100、TA1535およびTA1537)はクリスタルバイオレット(rfa 突然変異)および紫外光(uvrB)に対する感応性を示さなくてはならず、またビオチン平板上では成長を全く示さずヒスチジン−ビオチン平板上では成長を示さなくてはならない。試験株TA98及びTA100は、アンピシリン(R−因子)に対する耐性を示さなくてはならない。試験株TA1535およびTA1537はアンピシリンに対する感応性を示さなくてはならない。試験株WP2uvrAは、紫外光に対する感応性を示し、トリプトファン欠損平板上では全く成長を示さず、トリプトファン補足培地上で成長を示し、アンピシリン感応性を示さなくてはならない。
【0264】
2.菌株標準平板計数:各々の試験株(TA98、TA100、TA1535、TA1537およびWP2uvrA)についての作業培養懸濁液上の生菌数は、1×10CFU/ml未満であってはならない。
【0265】
3.スポット平板阻害スクリーン;細胞に対する毒性または阻害について、調製された各々の抽出物または可溶化材料を評価する。試験株に対し非阻害性ないし中度の非阻害性を示す試験株テスト試料を、標準平板取込み方法によりテストする。テスト材料が阻害性を示す場合、希釈物の非毒性レベルを見出すことが必要である。
【0266】
4.標準平板取込み検定:各々の正の対照平均は、利用されたサルモネラ試験株のそれぞれの負の対照平均に比べて少なくとも3倍の増加、そして大腸菌試験株のそれぞれの負の対照平均に比べ少なくとも2倍の増加を示さなくてはならない。例外としては、突然変異原性応答を誘発するように意図されていない条件が含まれる(例えば、代謝活性化の無い2−アミノアントラセン及び2−アミノフルオレン)。各々の試験株の負の対照の結果は、特徴的な数の自然復帰突然変異体を示すことになる。自然復帰突然変異速度は変動し得るが、特定された範囲(下表参照)と一貫性をもつべきである。該表は、単なる指針として意図されているにすぎない。試験株のための負の対照結果は、列挙された範囲の外になるかもしれない。そのような場合には、結果を慎重に評価すべきである。
【0267】
【表9】

【0268】
例14についての参考文献:
エイムズ(Ames), B. N.、マッキャン(McCann), 3.、およびヤマザキ、E.、「サルモネラ/哺乳動物−ミクロソーム突然変異原性試験での発ガン性物質およおよび突然変異原の検出方法」、突然変異研究(Mutation Research)、第31巻、1975年、p.347〜364。
ブルシック(Brusick), D. J.、V. F. シモン(Simmon)、H, S. ローゼンクランツ(Rosenlcranz)、V. A. レイ(Ray)、およびKS. スタフォード(Stafford)、「大腸菌WP2およびWP2uvrA復帰突然変異検定の評価」、突然変異研究(Mutation Research)、第76巻、1980年、p.169〜190。
マロン(Maron),ドロシー(Dorothy) M.、エイムズ(Ames), ブルース(Bruce) N.、「改正版サルモネラ突然変異原性試験方法」、突然変異研究(Mutation Research)、第113巻 、1983年,p.175−215。
【0269】
ISO10993−3。医療デバイスの生物学的評価、第3部:遺伝毒性、発ガン性および生殖毒性についての試験。
化学物質の試験に関するOECD指針、指針471細菌復帰突然変異試験の差し替え提案、文書番号471
オルティス(Ortiz), A. J.、M. T. ポーラストリーニ(Pollastrini)、M. バレア(Barea)、およびD. オルドヘツ(Ordohez)、「ネズミチフス菌ヒスチジン及び大腸菌トリプトファン復帰試験を用いた、新規広域スペクトラムの駆虫薬であるリュクサベンダゾールの細菌突然変異原性評価」、突然変異生成(Mutagenesis)、第11巻、1996年、p.27〜31。
試験の有効性、細菌突然変異原性試験;NAMSA研究室番号98T−00785−00
【0270】
当業者であれば、広範に記述した通りの該発明の精神または範囲から逸脱することなく、特定の実施形態の中で示されている通りの該発明に対し数多くの変更および/または修正を加えることが可能である、ということがわかるだろう。従って、当該実施態様は、全ての点において制限的なものではなく例示的なものとしてみなされるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体安定性ゲルであって、
(a)ケイ素含有の少なくとも1種のポリオール、ポリアミン、ポリエポキシまたはポリイソシアネートであって、1つまたはそれ以上の官能基および20000以上の分子量を有しており、
(b)10000未満の分子量を有する少なくとも1種のジオール、ジアミンまたはジイソシアネート、および/または
(c)開始剤、の存在下で硬化されるケイ素含有ポリオール、ポリアミン、ポリエポキシまたはポリイソシアネート、を含む生体安定性ゲル。
【請求項2】
化学ゲルである請求項1記載の生体安定性ゲル。
【請求項3】
1〜5、2.05〜3.5または2.1〜3.25の平均官能価を有する請求項1記載の生体安定性ゲル。
【請求項4】
成分(a)の官能基が、OH、NCO、エポキシおよびNR’R’’(ここで、R’およびR’’はH、COHおよびC1−6アルキルから独立して選ばれる)から独立して選ばれるか、または遊離ラジカル開始による活性化が可能な基である、請求項1記載の生体安定性ゲル。
【請求項5】
遊離ラジカル開始による活性化が可能な基が、二重結合または三重結合を含む請求項4記載の生体安定性ゲル。
【請求項6】
遊離ラジカル開始による活性化が可能な基が、ビニルまたはC1−6アルキルアクリレートである請求項5記載の生体安定性ゲル。
【請求項7】
成分(a)が長鎖のマクロマーである請求項1記載の生体安定性ゲル。
【請求項8】
成分(a)が、下記の式(I)または(II)のケイ素含有のポリオール、ポリアミン、ポリエポキシまたはポリイソシアネートであり、
【化1】

【化2】

RaおよびRbは、ともに存在しないか、もしくは、C1−6アルキル、OH、C1−6アルコキシ、(CHORおよびSi(R)(R)(CHOR、から独立して選ばれ、
およびRは、OH、NCO、エポキシもしくはNR’R’’で置換されていてもよいC1−6アルキレンであり(ここで、R’およびR’’はH、COHおよびC1−6アルキルから独立して選ばれ)、
〜Rは、ビニル、C1−6アルキルおよびC1−6アルキレンから独立して選ばれ、それらはOが間に入っていてもよく、OH、NCO、エポキシ、C1−6アルキルアクリレートもしくはNR’R’’(ここでR’およびR’’は上記で定義した通り)で置換されていてもよく、
はC1−4アルキル、
10は置換されていてもよいC1−4アルキルまたは、
【化3】

であり(ここで、RおよびRは上記で定義した通りであり)、
xは100〜1000、
yは0〜200、そして
nは30〜500である、請求項1記載の生体安定性ゲル。
【請求項9】
式(I)または(II)のケイ素含有のポリオール、ポリアミン、ポリエポキシまたはポリイソシアネートが、T型トリオール、T型ビニルシロキサン、T型エポキシシロキサンまたはT型トリイソシアネートである、請求項8記載の生体安定性ゲル。
【請求項10】
式(I)のケイ素含有のポリオール、ポリアミン、ポリエポキシまたはポリイソシアネートが、
【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

=ビニル、R=C1−6アルキル、x=100〜1000
【化8】

=ビニル、R、R、RおよびR=C1−6アルキル、x=100〜1000、またy=4〜200
【化9】

=ビニル、R、R、RおよびR=C1−6アルキル、R11およびR12=C1−6アルキル、ヒドロキシル、メトキシおよび/またはエトキシ、x=100〜1000、またy=4〜200
【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

である請求項8記載の生体安定性ゲル。
【請求項11】
式(II)のケイ素含有のポリオール、ポリアミン、ポリエポキシまたはポリイソシアネートが、
【化14】

である請求項8記載の生体安定性ゲル。
【請求項12】
成分(a)の分子量が30000〜200000、または40000〜80000である請求項1記載の生体安定性ゲル。
【請求項13】
成分(a)の量が、ゲルの総質量を基にして80〜100%である請求項1記載の生体安定性ゲル。
【請求項14】
ジオールまたはジアミンが、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアルキレンまたはC1−6アルカンのジオールもしくはジアミンである、請求項1記載の生体安定性ゲル。
【請求項15】
ポリエステルジオールまたはジアミンが次の式(III)
【化15】

によって表され、
AおよびA’はOHまたはNHRであり(ここで、RはHまたは置換されていてもよいC1−6アルキル)、
mは、4以上の整数、また
nは、2〜50の整数である、請求項14記載の生体安定性ゲル。
【請求項16】
1−6アルカンジオールがメタンジオール、ブタンジオールまたはヘキサンジオールである、請求項14記載の生体安定性ゲル。
【請求項17】
ジオールまたはジアミンがケイ素を含む請求項1記載の生体安定性ゲル。
【請求項18】
ケイ素含有のジオールまたはジアミンが、下記の式(V)
【化16】

(ここで、AおよびAはOHまたはNHRであり、RはHまたは置換されていてもよいC1−6アルキル、
11、R12、R13およびR14は、水素または置換されていてもよいC1−6アルキルから選ばれ、
15およびR16は同じかまたは異なっており、そして置換されていてもよいC1−6アルキレン、C2−6アルケニレン、C2−6アルキニレン、アリーレンまたはヘテロサイクリックの二価のラジカル、そして
pは1以上の整数である)、
で表される請求項17記載の生体安定性ゲル。
【請求項19】
式(V)の化合物が、ポリジメチルシロキサン(PDMS)(AおよびAがヒドロキシル、R11〜R14がメチル、またR15およびR16が請求項18のように定義された式(V)の化合物)、1,3−ビス(4−ヒドロキシブチル)テトラメチルジシロキサン(BHTD)(AおよびAがOH、R11、R12、R13およびR14がメチル、R15およびR16がブチル、またR17は0である式(V)の化合物)、1,4−ビス(3−ヒドロキシプロピル)テトラメチルジシリルエチレン(AおよびAがOH、R、R12、R13およびR14がメチル、R15およびR16がプロピル、またR17がエチレンである式(V)の化合物)、または1−4−ビス(3−ヒドロキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、である請求項18記載の生体安定性ゲル。
【請求項20】
ジイソシアネートが脂肪族または芳香族ジイソシアネートである請求項1記載の生体安定性ゲル。
【請求項21】
脂肪族または芳香族イソシアネートが、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、メチレンビスシクロヘキシルジイソシアネート(H12MDI)、p−フェニレンジイソシアネート(p−PDI)、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート(CHDI)、1,6−ジイソシアネートへキサン(DICH)、1,5−ジイソシアネートナフタレン(NDI)、パラテトラメチルキシレン−ジイソシアネート(p−TMXDI)、メタテトラメチルキシレンジイソシアネート(m−TMXDI)、2,4−トルエンジイソシアネート(2,4−TDI)異性体またはそれらの混合物またはイソホロンジイソシアネート(IPDI)である請求項20記載の生体安定性ゲル。
【請求項22】
芳香族ジイソシアネートがMDIである請求項21記載の生体安定性ゲル。
【請求項23】
成分(b)の分子量が500〜10000または2000〜6000である請求項1記載の生体安定性ゲル。
【請求項24】
成分(b)の量がゲルの総質量を基にして0〜20%である請求項1記載の生体安定性ゲル。
【請求項25】
開始剤が、熱による、光による、または成分のレドックス系に基づくものである請求項1記載の生体安定性ゲル。
【請求項26】
開始剤の量が、ゲルの総質量を基にして0.125%〜5%、または0.25%〜2%である請求項1記載の生体安定性ゲル。
【請求項27】
(i)請求項1に記載の成分(a)および(b)または(c)を混合する工程、を含む請求項1記載の生体安定性ゲルの調製方法。
【請求項28】
(i)請求項1に記載の成分(b)から末端反応性のポリイソシアネート基を有するプレポリマーを調製する工程、
(ii)工程(i)のプレポリマーを請求項1に記載の成分(b)と混合する工程を含む請求項1記載の生体安定性ゲルの調製方法。
【請求項29】
工程(i)にポリウレタン加工添加剤を加える請求項27または28記載の方法。
【請求項30】
請求項8記載の式(I)または(II)のケイ素含有のポリオール、ポリアミン、ポリエポキシまたはポリイソシアネート。
【請求項31】
請求項30記載の式(I)または(II)のケイ素含有のポリオール、ポリアミン、ポリエポキシまたはポリイソシアネートの調製方法であって、
(i)下記の式(A)または(B)の化合物を、
【化17】

【化18】

(ここで、R〜R10およびxとyは請求項8で定義した通りである)
下記の式(C)の化合物
【化19】

と反応させる工程、および
(ii)工程(i)の生成品をヒドロシリル化に付す工程、を含む方法。
【請求項32】
(a)請求項30記載の式(I)または(II)のケイ素含有のポリオール、ポリアミン、ポリエポキシまたはポリイソシアネート、および
(b)C1−6アルカンジオールもしくはジアミン、ポリシロキサンジオールもしくはジアミンおよび/またはジイソシアネート、の反応生成物である生体安定性ゲル。
【請求項33】
請求項1または32記載のゲルから全体として、または部分的にできている生体材料、デバイス、用品またはインプラント。
【請求項34】
組織を置換および増補するように設計された軟組織インプラント、整形用継手もしくはその部材、骨縫合固定装置、再建的顔面手術、制御型薬物放出デバイス、キーホール手術の部品、バイオセンサー、医療デバイスの挿入用の道具および付属品、輸液および流量制御デバイス、および尿道の、神経の、もしくは血管の膨張剤、から選ばれる請求項33記載の生体材料、デバイス、用品またはインプラント。
【請求項35】
軟組織インプラントが乳房組織インプラントであり、また整形用継手が脊椎円板である請求項34記載の生体材料、デバイス、用品またはインプラント。
【請求項36】
請求項1または32記載のゲルを含む医療用インプラント用の充てん材料。

【公表番号】特表2009−533190(P2009−533190A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−505683(P2009−505683)
【出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際出願番号】PCT/AU2007/000511
【国際公開番号】WO2007/121513
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(501030898)エイオーテク バイオマテリアルズ プロプライアタリー リミティド (6)
【Fターム(参考)】