ゲートバルブ
【課題】ゲートバルブにおける高さ寸法を抑制して小型化を図ると共に、弁ディスクによる弁閉状態を確実且つ安定的に維持する。
【解決手段】ゲートバルブ10を構成するハウジング16の内部には、サイドフレーム32a、32bと略平行に一対のサブフレーム88a、88bが設けられ、前記サブフレーム88a、88bの長手方向に沿って形成されたローラ挿通溝には、それぞれ二対の保持ローラ90a、90bが挿通されている。そして、弁ディスク22が傾動動作して弁座に着座した弁閉状態において、弁ロッド20が連結され傾動変位した変位ブロック62から付与される荷重が保持ローラ90a、90bに付与され、該保持ローラ90a、90bが当接しサブフレーム88a、88bに設けられた第1及び第2受圧体によって負担される。この第1及び第2受圧体は、サブフレーム88a、88bより硬度の大きい材質によって形成される。
【解決手段】ゲートバルブ10を構成するハウジング16の内部には、サイドフレーム32a、32bと略平行に一対のサブフレーム88a、88bが設けられ、前記サブフレーム88a、88bの長手方向に沿って形成されたローラ挿通溝には、それぞれ二対の保持ローラ90a、90bが挿通されている。そして、弁ディスク22が傾動動作して弁座に着座した弁閉状態において、弁ロッド20が連結され傾動変位した変位ブロック62から付与される荷重が保持ローラ90a、90bに付与され、該保持ローラ90a、90bが当接しサブフレーム88a、88bに設けられた第1及び第2受圧体によって負担される。この第1及び第2受圧体は、サブフレーム88a、88bより硬度の大きい材質によって形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを一方の処理室から他方の処理室に移送する移送通路、または、圧力流体、気体等の流通通路もしくは排気通路等を開閉することが可能なゲートバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体ウェハや液晶基板等の処理装置においては、半導体ウェハや液晶基板等を種々の処理室に通路を介して出し入れすることが行われ、前記通路には、それぞれ、該通路を開閉するゲートバルブが用いられている。
【0003】
このゲートバルブは、シリンダの駆動作用下に変位する弁ロッドの直進運動によって弁ディスクが弁座の対向位置に到達した後、前記弁ロッドの傾動運動によって前記弁ディスクが弁座に押し付けられて着座することにより、弁箱に形成された通路が閉塞されるように設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2613171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、半導体ウェハ等の製造プラントにおける省スペース化が推進され、それに伴って、処理装置を構成するゲートバルブのさらなる小型化が望まれている。また、弁ディスクが弁座に着座した弁閉状態を確実且つ安定的に維持したいという要請がある。
【0006】
本発明は、前記の課題を考慮してなされたものであり、高さ寸法を抑制して小型化を図ると共に、弁ディスクによる弁閉状態を確実且つ安定的に維持することが可能なゲートバルブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために、本発明は、弁箱と、該弁箱に形成された弁座に対して着座自在に設けられる弁ディスクと、前記弁ディスクに連結され該弁ディスクを直線動作及び傾動動作させる弁ロッドと、前記弁箱に連結されたハウジングの内部に設けられ前記弁ロッドを軸線方向に沿って直線変位させる駆動部とを備えるゲートバルブにおいて、
前記駆動部の駆動軸に連結され、該駆動部の駆動作用下に軸線方向に沿って変位するヨークと、
前記ヨークと一体的に変位すると共に、前記軸線方向に沿った終端位置において傾動自在に設けられた変位部材と、
前記変位部材の側方に設けられ、該変位部材に装着された第1ローラの挿入される孔部を有した係合部材と、
前記弁ロッドの軸線方向と略平行に設けられ、軸線方向に沿った溝部を有したフレームと、
前記係合部材に設けられ、前記溝部に挿通される第2ローラと、
前記溝部に臨むように設けられ、前記弁ディスクが前記弁座に着座した弁閉状態において前記第2ローラの当接する受圧部材と、
を備え、
前記弁ロッド及び変位部材と前記駆動部とが、前記ハウジングの内部において並列に配置されると共に、前記受圧部材が前記フレームより硬度の大きな材質から形成されることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、ハウジングの内部において、駆動部を弁ロッド及び変位部材に対して並列に配置すると共に、軸線方向に沿った溝部を有したフレームを弁ロッドの軸線方向と略平行に設け、前記溝部には、変位部材に連結された係合部材の第2ローラが挿通される。また、フレームには、その溝部に臨むように受圧部材が設けられ、弁ディスクが弁座に着座した弁閉状態において第2ローラが当接する。
【0009】
従って、駆動部を弁ロッド及び変位部材と並列配置とすることによって、前記駆動部と変位部材とを一直線上に配置した場合と比較し、ゲートバルブの高さ寸法を抑制することが可能となり、それに伴って、該ゲートバルブの小型化を図ることが可能となる。
【0010】
また、弁ディスクを弁座に対して着座させ弁閉状態とする際、傾動した変位部材から係合部材を介して第2ローラへと付与される略水平方向への荷重を、前記第2ローラの当接している受圧部材によって確実且つ好適に負担することができるため、弁ディスクによる弁閉状態を確実且つ安定的に維持できる。換言すれば、弁ディスクを弁座に着座させておく際に必要となる剛性を高めることが可能となる。
【0011】
さらに、第2ローラを、係合部材の変位方向に沿って互いに離間して一対設けると共に、受圧部材も、前記第2ローラに対応して溝部の延在方向に沿って互いに離間して一対設けるとよい。
【0012】
さらにまた、フレームにおいて一方の受圧部材と他方の受圧部材とは、溝部を挟んで互いに対向するように配置するとよい。
【0013】
またさらに、駆動部は、内部に圧力流体が供給されるシリンダチューブと、該シリンダチューブの内部に変位自在に設けられるピストンとを備え、前記ピストンに対して駆動軸の連結された流体圧シリンダとするとよい。
【0014】
また、流体圧シリンダは、ハウジングの内部において弁ロッドを中心として両側となる位置にそれぞれ設けるとよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0016】
すなわち、駆動部を弁ロッド及び変位部材と並列配置とすることによって、前記駆動部と変位部材とを一直線上に配置した場合と比較し、ゲートバルブの高さ寸法を抑制することが可能となり、それに伴って、該ゲートバルブの小型化を図ることができる。また、弁ディスクを弁座に対して着座させ弁閉状態とする際、傾動した変位部材から係合部材を介して第2ローラへと付与される略水平方向への荷重を、前記第2ローラの当接している受圧部材によって確実且つ好適に負担することができるため、弁ディスクによる弁閉状態を確実且つ安定的に維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係るゲートバルブの全体縦断面図である。
【図2】図1におけるハウジング近傍の拡大断面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿った断面図である。
【図4】図1のIV−IV線に沿った断面図である。
【図5】図1のV−V線に沿った断面図である。
【図6】図4に示すゲートバルブの一部切欠断面斜視図である。
【図7】図5に示すゲートバルブの一部切欠断面斜視図である。
【図8】図3に示す弁ディスク及び弁ロッドが上方へと変位した弁開状態を示す縦断面図である。
【図9】図4に示す弁ディスク及び弁ロッドが上方へと変位した弁開状態を示す縦断面図である。
【図10】図5に示す弁ディスク及び弁ロッドが上方へと変位した弁開状態を示す縦断面図である。
【図11】図9に示す弁ディスク及び弁ロッドが下方へと変位し、前記弁ディスクが弁箱内に移動した状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係るゲートバルブについて好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。図1において、参照符号10は、本発明の実施の形態に係るゲートバルブを示す。
【0019】
このゲートバルブ10は、図1〜図7に示されるように、図示しないワーク(例えば、半導体ウェハ)を出し入れするための通路12が形成された弁箱14と、前記弁箱14の上部に連結されたハウジング16と、前記ハウジング16の内部に設けられ駆動部として機能するシリンダ部18と、前記シリンダ部18の駆動作用下に軸線方向(矢印A、B方向)に沿って変位すると共に、前記軸線方向に対して所定角度だけ傾動する弁ロッド20と、前記弁ロッド20の一端部に連結され前記弁箱14の通路12を閉塞可能な弁ディスク22と、前記シリンダ部18の直線変位を前記弁ロッド20の傾動動作へと変換する駆動変換部24と、前記弁ディスク22による閉塞状態を保持可能な保持機構26とを含む。
【0020】
弁箱14は、中空の箱状に形成され、その一端面から他端面にかけて略長方形状に貫通した通路12を有する。また、弁箱14の内部には、後述する弁ディスク22が移動可能な空間を有し、該空間の内壁面には、通路12の一方に臨むように弁座28が形成される。この弁座28は弁ディスク22が当接自在に形成される。
【0021】
なお、弁箱14は、その両側面が図示しない処理室に対してそれぞれ接続され、通路12を介して前記処理室の内部と連通している。
【0022】
ハウジング16は、弁箱14の上部に連結されるベース部30と、シリンダ部18を挟んで前記ベース部30の両端部に連結される一組のサイドフレーム32a、32bと、前記サイドフレーム32a、32bの上端部同士を連結するカバー部34とからなる。ベース部30は、弁箱14の上部を覆うように設けられ、その略中央部に形成されるロッド孔36によって弁箱14の内部とハウジング16の内部とが連通する。このロッド孔36には、後述する弁ロッド20が変位自在に挿通される。
【0023】
サイドフレーム32a、32bは、例えば、アルミニウム等の金属製材料から形成され、その下部には、シリンダ部18を構成するシリンダチューブ44がそれぞれ設けられ、前記シリンダチューブ44と共にベース部30に対して固定される。
【0024】
また、一方のサイドフレーム32aには、シリンダ部18に対して圧力流体を供給又は排出するための第1及び第2ポート38、40が形成される。第1及び第2ポート38、40は、サイドフレーム32aの長手方向に沿って互いに所定間隔離間して開口し、図示しない配管を介して圧力流体供給源に接続されると共に、後述するシリンダ部18のシリンダチューブ44の内部とそれぞれ連通している。
【0025】
シリンダ部18は、一対の流体圧シリンダ42a、42bからなり、ハウジング16においてベース部30の長手方向に沿った両端部にそれぞれ設けられ、中空筒状のシリンダチューブ44と、前記シリンダチューブ44の内部に軸線方向(矢印A、B方向)に沿って変位自在に設けられるピストン46と、前記ピストン46に連結されるピストンロッド(駆動軸)48とをそれぞれ有する。
【0026】
シリンダチューブ44は、その一端部がベース部30に連結されることによって閉塞され、他端部は、ピストンロッド48の挿通可能なロッドカバー50によって閉塞されている。また、シリンダチューブ44の内部には、ピストン46によって二分割された上部側シリンダ室52と下部側シリンダ室54とが形成され、図示しない圧力流体供給源から第1ポート38又は第2ポート40に対して圧力流体が供給された際、サイドフレーム32aの内部に形成された連通路55a、55bを通じて上部側シリンダ室52又は下部側シリンダ室54のいずれか一方に前記圧力流体が選択的に供給される。なお、第1ポート38及び第2ポート40は、図示しない通路を通じて流体圧シリンダ42bにおける上部側シリンダ室52及び下部側シリンダ室54にそれぞれ接続される。
【0027】
これにより、上部側シリンダ室52又は下部側シリンダ室54のいずれか一方に供給された圧力流体によってピストン46が軸線方向(矢印A、B方向)に沿って押圧されてピストンロッド48と共に変位する。
【0028】
ピストンロッド48は、その下端部がピストン46の中央部に対して連結され、上端部が、シリンダチューブ44の外部に突出し後述するヨーク60に対してそれぞれフローティングで連結される。
【0029】
弁ロッド20は、ハウジング16の略中央部に設けられ、ベース部30のロッド孔36に挿通されると共に、その軸線方向に沿った略中央部が筒状のベローズ56によって被覆される。ベローズ56は、蛇腹状の筒体からなり、前記ロッド孔36に臨むように設けられ、その一端部が弁ロッド20に設けられた環状溝に係合され、他端部が前記ロッド孔36の開口部に接続されている。そして、弁ロッド20が軸線方向(矢印A、B方向)に沿って変位する際、蛇腹状のベローズ56が弁ロッド20を覆った状態で伸縮動作することにより、前記弁ロッド20の一部を常に覆うこととなる。
【0030】
また、弁ロッド20の下端部は、弁箱14の内部に挿入され、弁ディスク22が連結される。
【0031】
この弁ディスク22は、弁箱14における通路12の開口部に応じた断面略長方形状のプレートからなり、その略中央部に弁ロッド20が連結されると共に、弁座28に臨む側面には環状溝を介してシールリング58が装着されている。そして、弁ディスク22が弁座28に着座する弁閉状態において、シールリング58が前記弁座28に対して当接することによって通路12の連通状態を遮断する。
【0032】
駆動変換部24は、ピストンロッド48の他端部に固定されるヨーク60と、前記ヨーク60と一体的に変位し、断面略H字形状に形成される変位ブロック(変位部材)62と、前記変位ブロック62の両側面に固定され、横方向に所定長だけ突出する板状で断面略L字状の係合ブラケット64とを有する。
【0033】
ヨーク60は、ピストンロッド48の軸線と直交するように設けられ、その両端部に一組の流体圧シリンダ42a、42bにおけるピストンロッド48がそれぞれ連結される。これにより、圧力流体の供給作用下にピストンロッド48がピストン46と共に変位する際、ヨーク60が一体的に変位することとなる。換言すれば、一対のピストン46及びピストンロッド48がヨーク60を介して軸線方向(矢印A、B方向)に沿って一体的に変位する。
【0034】
変位ブロック62は、略中央部に弁ロッド20の上端部が挿通されて突出し、突出した上端部に対して連結ナット66が螺合されることによって一体的に連結される。そして、連結ナット66とヨーク60との間には、例えば、コイルスプリングからなるスプリング68が介装され、その弾発力が前記ヨーク60と変位ブロック62とを互いに離間させる方向(矢印A、B方向)に付勢している。なお、ヨーク60には、スプリング68の端部が挿入されるスプリング受部70が凹状に窪んで形成される。
【0035】
また、変位ブロック62の下端部には、両側面から外側に突出するように一対の支持ローラ72が設けられ回転自在に軸支されている。そして、支持ローラ72は、変位ブロック62が下降した際、ベース部30の上面に形成され、上方に向かって開口した凹部74を有した支持ブロック76にそれぞれ挿入されて保持される。この支持ブロック76には、凹部74に臨んで若干だけ突出するようにダンパ77が設けられる。すなわち、支持ローラ72が凹部74に挿入された際、ダンパ77に当接することによって衝撃が緩衝される。なお、凹部74は、支持ローラ72の断面形状に対応した断面半円状に形成される。
【0036】
さらに、変位ブロック62の上端部には、両側面から外側に突出するように一対の傾動ローラ(第1ローラ)78が設けられ回転自在に軸支される。そして、傾動ローラ78は、ヨーク60の下面に連結された連結ブロック(係合部材)80のローラ溝82にそれぞれ挿入される。傾動ローラ78は、変位ブロック62の両側面において支持ローラ72と一直線上となるように設けられる。
【0037】
ローラ溝82は、略長円状に形成され、変位ブロック62に臨むブロックの側面に対して窪んで形成され、図4に示されるように、その下端部が上端部に対して弁箱14の弁座28側となるように傾斜して延在している。換言すれば、ローラ溝82は、連結ブロック80の長手方向(矢印A、B方向)に対して所定角度だけ傾斜するように形成される。
【0038】
そして、連結ブロック80が、シリンダ部18の駆動作用下にヨーク60と共に上方又は下方へと変位することにより、傾動ローラ78がローラ溝82に沿って変位し、それに伴って、変位ブロック62が支持ローラ72を支点として傾動動作する。
【0039】
係合ブラケット64には、変位ブロック62の両側面に設けられたピン部材84の挿入される係合用溝部86が形成され、該係合用溝部86の下端部に前記ピン部材84が保持されることにより、弁ディスク22が下降する際に、該弁ディスク22と変位ブロック62との軸線方向及び該軸線方向と直交する方向への位置ずれを防止する。そして、ピン部材84が係合用溝部86の下端部から離脱して上昇することにより、弁ロッド20及び弁ディスク22が傾動可能になる。
【0040】
保持機構26は、ハウジング16におけるサイドフレーム32a、32bの内側に設けられると共に、一対の流体圧シリンダ42a、42bの上部にそれぞれ設けられる。
【0041】
この保持機構26は、シリンダチューブ44の上部とカバー部34との間に設けられ、サイドフレーム32a、32bの内壁部88a、88bのローラ挿通溝(溝部)89に挿通される2対の保持ローラ(第2ローラ)90a、90bとからなる。
【0042】
ローラ挿通溝89は、内壁部88a、88bの軸線方向(矢印A、B方向)に沿って所定長さで延在し、保持ローラ90a、90bの直径に対して若干だけ大きな幅寸法で形成される。
【0043】
また、内壁部88a、88bの下部には、ローラ挿通溝89に対して臨むように内側面に一組の凹部が形成され該凹部にはそれぞれ第1及び第2受圧体(受圧部材)92、94が設けられる。この第1及び第2受圧体92、94は、例えば、サイドフレーム32a、32bより高硬度な金属製材料(熱処理の施された鉄鋼等)から断面略長方形状に形成される。また、第1及び第2受圧体92、94は、凹部から突出することなく、ローラ挿通溝89の内側面と略同一平面状となるように設けられる(図5参照)。
【0044】
詳細には、第1受圧体92と、第2受圧体94とが、サイドフレーム32a、32bの軸線方向(矢印A、B方向)に沿って所定距離だけオフセットして配置され、弁ディスク22によって通路12が閉塞される際、2組の保持ローラ90a、90bがそれぞれ第1及び第2受圧体92、94に対して当接する。なお、第1受圧体92が、弁箱14側(矢印B方向)となる下方に設けられている。
【0045】
保持ローラ90a、90bは、連結ブロック80の側面に回転自在に軸支され、該連結ブロック80の長手方向(矢印A、B方向)に沿って一直線上、且つ、互いに所定間隔離間して設けられる。そして、連結ブロック80がヨーク60と共に変位する際、保持ローラ90a、90bがローラ挿通溝89に沿って変位することにより、前記連結ブロック80を介してヨーク60、変位ブロック62及び弁ロッド20が軸線方向(矢印A、B方向)に沿って案内される。
【0046】
本発明の実施の形態に係るゲートバルブ10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。なお、以下の説明では、図8〜図10に示されるように、シリンダ部18を構成する一対のピストン46が上方(矢印A方向)へと移動し、弁ディスク22が弁箱14内において上方に変位して通路12の連通した弁開状態を初期位置として説明する。
【0047】
先ず、この初期位置において、図示しない圧力流体供給源から第1ポート38へと圧力流体が供給されることにより、シリンダ部18における上部側シリンダ室52に前記圧力流体が導入されピストン46が下方(矢印B方向)へと押圧されて変位する。なお、この際、第2ポート40は大気開放状態としておく。
【0048】
このピストン46の変位に伴ってヨーク60、連結ブロック80、変位ブロック62が一体的に下降する。これにより、図4及び図7に示されるように、弁ロッド20及び弁ディスク22が下降し、変位ブロック62の支持ローラ72が、支持ブロック76の凹部74に挿入されることにより変位終端位置となり、さらなる下降動作が規制され、該弁ディスク22が弁箱14内において通路12及び弁座28に臨む位置となる。
【0049】
なお、この場合、弁ディスク22が弁座28に着座しておらず弁閉状態となっていないため、弁箱14の通路12は連通状態にある。
【0050】
さらに、変位ブロック62が下降する際、スプリング68の弾発力がヨーク60による押圧力に対して大きいため、前記スプリング68が前記ヨーク60によって圧縮されることがなく、前記スプリング68は前記ヨーク60及び変位ブロック62と共に一体的に変位する。
【0051】
次に、図11に示される弁ディスク22が弁座28に臨む位置に配置された状態から、さらに圧力流体が上部側シリンダ室52へと導入されることにより、ピストン46がさらに下降してヨーク60がピストンロッド48によって下方(矢印B方向)へと引張される。この際、変位ブロック62の下降動作が支持ブロック76によって規制されているため、ヨーク60はスプリング68を圧縮しながら下方へと変位することとなり、一体的に連結ブロック80が下降することによって傾動ローラ78との係合作用下に変位ブロック62が支持ローラ72を支点として上端部が時計回り(図11中、矢印C方向)に所定角度だけ傾動する(図11参照)。
【0052】
これにより、図3〜図5に示されるように、変位ブロック62に保持された弁ロッド20及び弁ディスク22が一体的に傾動し、前記弁ディスク22が弁座28にシールリング58を押圧しながら着座し、弁箱14の通路12が閉塞される。
【0053】
この際、図5に示されるように、保持ローラ90a、90bは、それぞれ内壁部88a、88bにおいて第1及び第2受圧体92、94に当接しており、弁ディスク22と共に傾動する変位ブロック62から付与される荷重が連結ブロック80及び保持ローラ90a、90bを介して内壁部88a、88bに対して直接的に付与されることが防止される。すなわち、弁ディスク22が弁座28に対して着座した弁閉状態において、保持ローラ90a、90bを、内壁部88a、88bに対して高硬度の第1及び第2受圧体92、94に当接させることによって該弁閉状態における剛性を高めることができるため、変位ブロック62の傾動状態を確実且つ安定的に維持することができ、それに伴って、弁ディスク22による弁閉状態を確実且つ安定的に保持することができる。
【0054】
これにより、例えば、半導体ウェハ等のワークは、通路12の閉塞された処理室内においてプロセス処理が行われる。
【0055】
次に、弁ディスク22を弁座28から離間させ、通路12を連通させた弁開状態とする場合には、図示しない切換弁の切換作用下に第2ポート40からシリンダ部18における下部側シリンダ室54へと圧力流体を供給することにより、ピストン46が上昇し、該ピストン46に連結されるピストンロッド48、ヨーク60が一体的に上昇することにより、スプリング68が伸張して傾動ローラ78の軸支された変位ブロック62が反時計回り(図11中、矢印D方向)に傾動する。これにより、弁ディスク22が弁ロッド20と共に傾動し、該弁ディスク22が弁座28より離間して通路12の閉塞状態が解除される。
【0056】
そして、圧力流体がさらに下部側シリンダ室54へと導入されピストン46が上昇することによってピストンロッド48と共にヨーク60、変位ブロック62、弁ロッド20及び弁ディスク22が一体的に上昇し、前記弁ディスク22が弁箱14内において通路12に臨む位置から上方に離間することによって弁開状態となる初期位置へと復帰する(図8〜図10参照)。
【0057】
これにより、弁箱14における通路12が連通状態となり、図示しない半導体ウェハ等のワーク等が前記通路12を通じて移動可能な状態となり、例えば、処理室内でプロセス処理のなされた前記ワークが、通路12を通じて隣接する別の処理室へと移動して別の処理作業が行われる。
【0058】
以上のように、本実施の形態では、シリンダ部18を構成する一対の流体圧シリンダ42a、42bの間に、変位ブロック62及び弁ロッド20を配置する構成としているため、前記シリンダ部と変位ブロックとを一直線上に配置した場合と比較し、ゲートバルブ10の高さ寸法を抑制することが可能となり、それに伴って、該ゲートバルブ10の小型化を図ることが可能となる。
【0059】
また、サイドフレーム32a、32bの内壁部88a、88bと、該内壁部88a、88bに沿って変位する二対の保持ローラ90a、90bとからなる保持機構26を設け、弁ディスク22を弁座28に対して着座させ弁閉状態とする際、傾動した変位ブロック62及び傾動ローラ78から連結ブロック80を介して付与される略水平方向への荷重を、前記保持ローラ90a、90bが当接している第1及び第2受圧体92、94によって確実且つ好適に負担することができる。その結果、弁ディスク22による通路12の閉塞状態を確実且つ安定的に維持できる。換言すれば、保持機構26を設けることによって弁ディスク22を弁座28に着座させておくための安定した剛性が得られる。
【0060】
なお、本発明に係るゲートバルブは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0061】
10…ゲートバルブ 14…弁箱
16…ハウジング 18…シリンダ部
20…弁ロッド 22…弁ディスク
24…駆動変換部 26…保持機構
28…弁座 42a、42b…流体圧シリンダ
44…シリンダチューブ 46…ピストン
48…ピストンロッド 52…上部側シリンダ室
54…下部側シリンダ室 60…ヨーク
62…変位ブロック 68…スプリング
72…支持ローラ 76…支持ブロック
78…傾動ローラ 80…連結ブロック
82…ローラ溝 88a、88b…内壁部
90a、90b…保持ローラ 92…第1受圧体
94…第2受圧体
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを一方の処理室から他方の処理室に移送する移送通路、または、圧力流体、気体等の流通通路もしくは排気通路等を開閉することが可能なゲートバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体ウェハや液晶基板等の処理装置においては、半導体ウェハや液晶基板等を種々の処理室に通路を介して出し入れすることが行われ、前記通路には、それぞれ、該通路を開閉するゲートバルブが用いられている。
【0003】
このゲートバルブは、シリンダの駆動作用下に変位する弁ロッドの直進運動によって弁ディスクが弁座の対向位置に到達した後、前記弁ロッドの傾動運動によって前記弁ディスクが弁座に押し付けられて着座することにより、弁箱に形成された通路が閉塞されるように設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2613171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、半導体ウェハ等の製造プラントにおける省スペース化が推進され、それに伴って、処理装置を構成するゲートバルブのさらなる小型化が望まれている。また、弁ディスクが弁座に着座した弁閉状態を確実且つ安定的に維持したいという要請がある。
【0006】
本発明は、前記の課題を考慮してなされたものであり、高さ寸法を抑制して小型化を図ると共に、弁ディスクによる弁閉状態を確実且つ安定的に維持することが可能なゲートバルブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために、本発明は、弁箱と、該弁箱に形成された弁座に対して着座自在に設けられる弁ディスクと、前記弁ディスクに連結され該弁ディスクを直線動作及び傾動動作させる弁ロッドと、前記弁箱に連結されたハウジングの内部に設けられ前記弁ロッドを軸線方向に沿って直線変位させる駆動部とを備えるゲートバルブにおいて、
前記駆動部の駆動軸に連結され、該駆動部の駆動作用下に軸線方向に沿って変位するヨークと、
前記ヨークと一体的に変位すると共に、前記軸線方向に沿った終端位置において傾動自在に設けられた変位部材と、
前記変位部材の側方に設けられ、該変位部材に装着された第1ローラの挿入される孔部を有した係合部材と、
前記弁ロッドの軸線方向と略平行に設けられ、軸線方向に沿った溝部を有したフレームと、
前記係合部材に設けられ、前記溝部に挿通される第2ローラと、
前記溝部に臨むように設けられ、前記弁ディスクが前記弁座に着座した弁閉状態において前記第2ローラの当接する受圧部材と、
を備え、
前記弁ロッド及び変位部材と前記駆動部とが、前記ハウジングの内部において並列に配置されると共に、前記受圧部材が前記フレームより硬度の大きな材質から形成されることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、ハウジングの内部において、駆動部を弁ロッド及び変位部材に対して並列に配置すると共に、軸線方向に沿った溝部を有したフレームを弁ロッドの軸線方向と略平行に設け、前記溝部には、変位部材に連結された係合部材の第2ローラが挿通される。また、フレームには、その溝部に臨むように受圧部材が設けられ、弁ディスクが弁座に着座した弁閉状態において第2ローラが当接する。
【0009】
従って、駆動部を弁ロッド及び変位部材と並列配置とすることによって、前記駆動部と変位部材とを一直線上に配置した場合と比較し、ゲートバルブの高さ寸法を抑制することが可能となり、それに伴って、該ゲートバルブの小型化を図ることが可能となる。
【0010】
また、弁ディスクを弁座に対して着座させ弁閉状態とする際、傾動した変位部材から係合部材を介して第2ローラへと付与される略水平方向への荷重を、前記第2ローラの当接している受圧部材によって確実且つ好適に負担することができるため、弁ディスクによる弁閉状態を確実且つ安定的に維持できる。換言すれば、弁ディスクを弁座に着座させておく際に必要となる剛性を高めることが可能となる。
【0011】
さらに、第2ローラを、係合部材の変位方向に沿って互いに離間して一対設けると共に、受圧部材も、前記第2ローラに対応して溝部の延在方向に沿って互いに離間して一対設けるとよい。
【0012】
さらにまた、フレームにおいて一方の受圧部材と他方の受圧部材とは、溝部を挟んで互いに対向するように配置するとよい。
【0013】
またさらに、駆動部は、内部に圧力流体が供給されるシリンダチューブと、該シリンダチューブの内部に変位自在に設けられるピストンとを備え、前記ピストンに対して駆動軸の連結された流体圧シリンダとするとよい。
【0014】
また、流体圧シリンダは、ハウジングの内部において弁ロッドを中心として両側となる位置にそれぞれ設けるとよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0016】
すなわち、駆動部を弁ロッド及び変位部材と並列配置とすることによって、前記駆動部と変位部材とを一直線上に配置した場合と比較し、ゲートバルブの高さ寸法を抑制することが可能となり、それに伴って、該ゲートバルブの小型化を図ることができる。また、弁ディスクを弁座に対して着座させ弁閉状態とする際、傾動した変位部材から係合部材を介して第2ローラへと付与される略水平方向への荷重を、前記第2ローラの当接している受圧部材によって確実且つ好適に負担することができるため、弁ディスクによる弁閉状態を確実且つ安定的に維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係るゲートバルブの全体縦断面図である。
【図2】図1におけるハウジング近傍の拡大断面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿った断面図である。
【図4】図1のIV−IV線に沿った断面図である。
【図5】図1のV−V線に沿った断面図である。
【図6】図4に示すゲートバルブの一部切欠断面斜視図である。
【図7】図5に示すゲートバルブの一部切欠断面斜視図である。
【図8】図3に示す弁ディスク及び弁ロッドが上方へと変位した弁開状態を示す縦断面図である。
【図9】図4に示す弁ディスク及び弁ロッドが上方へと変位した弁開状態を示す縦断面図である。
【図10】図5に示す弁ディスク及び弁ロッドが上方へと変位した弁開状態を示す縦断面図である。
【図11】図9に示す弁ディスク及び弁ロッドが下方へと変位し、前記弁ディスクが弁箱内に移動した状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係るゲートバルブについて好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。図1において、参照符号10は、本発明の実施の形態に係るゲートバルブを示す。
【0019】
このゲートバルブ10は、図1〜図7に示されるように、図示しないワーク(例えば、半導体ウェハ)を出し入れするための通路12が形成された弁箱14と、前記弁箱14の上部に連結されたハウジング16と、前記ハウジング16の内部に設けられ駆動部として機能するシリンダ部18と、前記シリンダ部18の駆動作用下に軸線方向(矢印A、B方向)に沿って変位すると共に、前記軸線方向に対して所定角度だけ傾動する弁ロッド20と、前記弁ロッド20の一端部に連結され前記弁箱14の通路12を閉塞可能な弁ディスク22と、前記シリンダ部18の直線変位を前記弁ロッド20の傾動動作へと変換する駆動変換部24と、前記弁ディスク22による閉塞状態を保持可能な保持機構26とを含む。
【0020】
弁箱14は、中空の箱状に形成され、その一端面から他端面にかけて略長方形状に貫通した通路12を有する。また、弁箱14の内部には、後述する弁ディスク22が移動可能な空間を有し、該空間の内壁面には、通路12の一方に臨むように弁座28が形成される。この弁座28は弁ディスク22が当接自在に形成される。
【0021】
なお、弁箱14は、その両側面が図示しない処理室に対してそれぞれ接続され、通路12を介して前記処理室の内部と連通している。
【0022】
ハウジング16は、弁箱14の上部に連結されるベース部30と、シリンダ部18を挟んで前記ベース部30の両端部に連結される一組のサイドフレーム32a、32bと、前記サイドフレーム32a、32bの上端部同士を連結するカバー部34とからなる。ベース部30は、弁箱14の上部を覆うように設けられ、その略中央部に形成されるロッド孔36によって弁箱14の内部とハウジング16の内部とが連通する。このロッド孔36には、後述する弁ロッド20が変位自在に挿通される。
【0023】
サイドフレーム32a、32bは、例えば、アルミニウム等の金属製材料から形成され、その下部には、シリンダ部18を構成するシリンダチューブ44がそれぞれ設けられ、前記シリンダチューブ44と共にベース部30に対して固定される。
【0024】
また、一方のサイドフレーム32aには、シリンダ部18に対して圧力流体を供給又は排出するための第1及び第2ポート38、40が形成される。第1及び第2ポート38、40は、サイドフレーム32aの長手方向に沿って互いに所定間隔離間して開口し、図示しない配管を介して圧力流体供給源に接続されると共に、後述するシリンダ部18のシリンダチューブ44の内部とそれぞれ連通している。
【0025】
シリンダ部18は、一対の流体圧シリンダ42a、42bからなり、ハウジング16においてベース部30の長手方向に沿った両端部にそれぞれ設けられ、中空筒状のシリンダチューブ44と、前記シリンダチューブ44の内部に軸線方向(矢印A、B方向)に沿って変位自在に設けられるピストン46と、前記ピストン46に連結されるピストンロッド(駆動軸)48とをそれぞれ有する。
【0026】
シリンダチューブ44は、その一端部がベース部30に連結されることによって閉塞され、他端部は、ピストンロッド48の挿通可能なロッドカバー50によって閉塞されている。また、シリンダチューブ44の内部には、ピストン46によって二分割された上部側シリンダ室52と下部側シリンダ室54とが形成され、図示しない圧力流体供給源から第1ポート38又は第2ポート40に対して圧力流体が供給された際、サイドフレーム32aの内部に形成された連通路55a、55bを通じて上部側シリンダ室52又は下部側シリンダ室54のいずれか一方に前記圧力流体が選択的に供給される。なお、第1ポート38及び第2ポート40は、図示しない通路を通じて流体圧シリンダ42bにおける上部側シリンダ室52及び下部側シリンダ室54にそれぞれ接続される。
【0027】
これにより、上部側シリンダ室52又は下部側シリンダ室54のいずれか一方に供給された圧力流体によってピストン46が軸線方向(矢印A、B方向)に沿って押圧されてピストンロッド48と共に変位する。
【0028】
ピストンロッド48は、その下端部がピストン46の中央部に対して連結され、上端部が、シリンダチューブ44の外部に突出し後述するヨーク60に対してそれぞれフローティングで連結される。
【0029】
弁ロッド20は、ハウジング16の略中央部に設けられ、ベース部30のロッド孔36に挿通されると共に、その軸線方向に沿った略中央部が筒状のベローズ56によって被覆される。ベローズ56は、蛇腹状の筒体からなり、前記ロッド孔36に臨むように設けられ、その一端部が弁ロッド20に設けられた環状溝に係合され、他端部が前記ロッド孔36の開口部に接続されている。そして、弁ロッド20が軸線方向(矢印A、B方向)に沿って変位する際、蛇腹状のベローズ56が弁ロッド20を覆った状態で伸縮動作することにより、前記弁ロッド20の一部を常に覆うこととなる。
【0030】
また、弁ロッド20の下端部は、弁箱14の内部に挿入され、弁ディスク22が連結される。
【0031】
この弁ディスク22は、弁箱14における通路12の開口部に応じた断面略長方形状のプレートからなり、その略中央部に弁ロッド20が連結されると共に、弁座28に臨む側面には環状溝を介してシールリング58が装着されている。そして、弁ディスク22が弁座28に着座する弁閉状態において、シールリング58が前記弁座28に対して当接することによって通路12の連通状態を遮断する。
【0032】
駆動変換部24は、ピストンロッド48の他端部に固定されるヨーク60と、前記ヨーク60と一体的に変位し、断面略H字形状に形成される変位ブロック(変位部材)62と、前記変位ブロック62の両側面に固定され、横方向に所定長だけ突出する板状で断面略L字状の係合ブラケット64とを有する。
【0033】
ヨーク60は、ピストンロッド48の軸線と直交するように設けられ、その両端部に一組の流体圧シリンダ42a、42bにおけるピストンロッド48がそれぞれ連結される。これにより、圧力流体の供給作用下にピストンロッド48がピストン46と共に変位する際、ヨーク60が一体的に変位することとなる。換言すれば、一対のピストン46及びピストンロッド48がヨーク60を介して軸線方向(矢印A、B方向)に沿って一体的に変位する。
【0034】
変位ブロック62は、略中央部に弁ロッド20の上端部が挿通されて突出し、突出した上端部に対して連結ナット66が螺合されることによって一体的に連結される。そして、連結ナット66とヨーク60との間には、例えば、コイルスプリングからなるスプリング68が介装され、その弾発力が前記ヨーク60と変位ブロック62とを互いに離間させる方向(矢印A、B方向)に付勢している。なお、ヨーク60には、スプリング68の端部が挿入されるスプリング受部70が凹状に窪んで形成される。
【0035】
また、変位ブロック62の下端部には、両側面から外側に突出するように一対の支持ローラ72が設けられ回転自在に軸支されている。そして、支持ローラ72は、変位ブロック62が下降した際、ベース部30の上面に形成され、上方に向かって開口した凹部74を有した支持ブロック76にそれぞれ挿入されて保持される。この支持ブロック76には、凹部74に臨んで若干だけ突出するようにダンパ77が設けられる。すなわち、支持ローラ72が凹部74に挿入された際、ダンパ77に当接することによって衝撃が緩衝される。なお、凹部74は、支持ローラ72の断面形状に対応した断面半円状に形成される。
【0036】
さらに、変位ブロック62の上端部には、両側面から外側に突出するように一対の傾動ローラ(第1ローラ)78が設けられ回転自在に軸支される。そして、傾動ローラ78は、ヨーク60の下面に連結された連結ブロック(係合部材)80のローラ溝82にそれぞれ挿入される。傾動ローラ78は、変位ブロック62の両側面において支持ローラ72と一直線上となるように設けられる。
【0037】
ローラ溝82は、略長円状に形成され、変位ブロック62に臨むブロックの側面に対して窪んで形成され、図4に示されるように、その下端部が上端部に対して弁箱14の弁座28側となるように傾斜して延在している。換言すれば、ローラ溝82は、連結ブロック80の長手方向(矢印A、B方向)に対して所定角度だけ傾斜するように形成される。
【0038】
そして、連結ブロック80が、シリンダ部18の駆動作用下にヨーク60と共に上方又は下方へと変位することにより、傾動ローラ78がローラ溝82に沿って変位し、それに伴って、変位ブロック62が支持ローラ72を支点として傾動動作する。
【0039】
係合ブラケット64には、変位ブロック62の両側面に設けられたピン部材84の挿入される係合用溝部86が形成され、該係合用溝部86の下端部に前記ピン部材84が保持されることにより、弁ディスク22が下降する際に、該弁ディスク22と変位ブロック62との軸線方向及び該軸線方向と直交する方向への位置ずれを防止する。そして、ピン部材84が係合用溝部86の下端部から離脱して上昇することにより、弁ロッド20及び弁ディスク22が傾動可能になる。
【0040】
保持機構26は、ハウジング16におけるサイドフレーム32a、32bの内側に設けられると共に、一対の流体圧シリンダ42a、42bの上部にそれぞれ設けられる。
【0041】
この保持機構26は、シリンダチューブ44の上部とカバー部34との間に設けられ、サイドフレーム32a、32bの内壁部88a、88bのローラ挿通溝(溝部)89に挿通される2対の保持ローラ(第2ローラ)90a、90bとからなる。
【0042】
ローラ挿通溝89は、内壁部88a、88bの軸線方向(矢印A、B方向)に沿って所定長さで延在し、保持ローラ90a、90bの直径に対して若干だけ大きな幅寸法で形成される。
【0043】
また、内壁部88a、88bの下部には、ローラ挿通溝89に対して臨むように内側面に一組の凹部が形成され該凹部にはそれぞれ第1及び第2受圧体(受圧部材)92、94が設けられる。この第1及び第2受圧体92、94は、例えば、サイドフレーム32a、32bより高硬度な金属製材料(熱処理の施された鉄鋼等)から断面略長方形状に形成される。また、第1及び第2受圧体92、94は、凹部から突出することなく、ローラ挿通溝89の内側面と略同一平面状となるように設けられる(図5参照)。
【0044】
詳細には、第1受圧体92と、第2受圧体94とが、サイドフレーム32a、32bの軸線方向(矢印A、B方向)に沿って所定距離だけオフセットして配置され、弁ディスク22によって通路12が閉塞される際、2組の保持ローラ90a、90bがそれぞれ第1及び第2受圧体92、94に対して当接する。なお、第1受圧体92が、弁箱14側(矢印B方向)となる下方に設けられている。
【0045】
保持ローラ90a、90bは、連結ブロック80の側面に回転自在に軸支され、該連結ブロック80の長手方向(矢印A、B方向)に沿って一直線上、且つ、互いに所定間隔離間して設けられる。そして、連結ブロック80がヨーク60と共に変位する際、保持ローラ90a、90bがローラ挿通溝89に沿って変位することにより、前記連結ブロック80を介してヨーク60、変位ブロック62及び弁ロッド20が軸線方向(矢印A、B方向)に沿って案内される。
【0046】
本発明の実施の形態に係るゲートバルブ10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。なお、以下の説明では、図8〜図10に示されるように、シリンダ部18を構成する一対のピストン46が上方(矢印A方向)へと移動し、弁ディスク22が弁箱14内において上方に変位して通路12の連通した弁開状態を初期位置として説明する。
【0047】
先ず、この初期位置において、図示しない圧力流体供給源から第1ポート38へと圧力流体が供給されることにより、シリンダ部18における上部側シリンダ室52に前記圧力流体が導入されピストン46が下方(矢印B方向)へと押圧されて変位する。なお、この際、第2ポート40は大気開放状態としておく。
【0048】
このピストン46の変位に伴ってヨーク60、連結ブロック80、変位ブロック62が一体的に下降する。これにより、図4及び図7に示されるように、弁ロッド20及び弁ディスク22が下降し、変位ブロック62の支持ローラ72が、支持ブロック76の凹部74に挿入されることにより変位終端位置となり、さらなる下降動作が規制され、該弁ディスク22が弁箱14内において通路12及び弁座28に臨む位置となる。
【0049】
なお、この場合、弁ディスク22が弁座28に着座しておらず弁閉状態となっていないため、弁箱14の通路12は連通状態にある。
【0050】
さらに、変位ブロック62が下降する際、スプリング68の弾発力がヨーク60による押圧力に対して大きいため、前記スプリング68が前記ヨーク60によって圧縮されることがなく、前記スプリング68は前記ヨーク60及び変位ブロック62と共に一体的に変位する。
【0051】
次に、図11に示される弁ディスク22が弁座28に臨む位置に配置された状態から、さらに圧力流体が上部側シリンダ室52へと導入されることにより、ピストン46がさらに下降してヨーク60がピストンロッド48によって下方(矢印B方向)へと引張される。この際、変位ブロック62の下降動作が支持ブロック76によって規制されているため、ヨーク60はスプリング68を圧縮しながら下方へと変位することとなり、一体的に連結ブロック80が下降することによって傾動ローラ78との係合作用下に変位ブロック62が支持ローラ72を支点として上端部が時計回り(図11中、矢印C方向)に所定角度だけ傾動する(図11参照)。
【0052】
これにより、図3〜図5に示されるように、変位ブロック62に保持された弁ロッド20及び弁ディスク22が一体的に傾動し、前記弁ディスク22が弁座28にシールリング58を押圧しながら着座し、弁箱14の通路12が閉塞される。
【0053】
この際、図5に示されるように、保持ローラ90a、90bは、それぞれ内壁部88a、88bにおいて第1及び第2受圧体92、94に当接しており、弁ディスク22と共に傾動する変位ブロック62から付与される荷重が連結ブロック80及び保持ローラ90a、90bを介して内壁部88a、88bに対して直接的に付与されることが防止される。すなわち、弁ディスク22が弁座28に対して着座した弁閉状態において、保持ローラ90a、90bを、内壁部88a、88bに対して高硬度の第1及び第2受圧体92、94に当接させることによって該弁閉状態における剛性を高めることができるため、変位ブロック62の傾動状態を確実且つ安定的に維持することができ、それに伴って、弁ディスク22による弁閉状態を確実且つ安定的に保持することができる。
【0054】
これにより、例えば、半導体ウェハ等のワークは、通路12の閉塞された処理室内においてプロセス処理が行われる。
【0055】
次に、弁ディスク22を弁座28から離間させ、通路12を連通させた弁開状態とする場合には、図示しない切換弁の切換作用下に第2ポート40からシリンダ部18における下部側シリンダ室54へと圧力流体を供給することにより、ピストン46が上昇し、該ピストン46に連結されるピストンロッド48、ヨーク60が一体的に上昇することにより、スプリング68が伸張して傾動ローラ78の軸支された変位ブロック62が反時計回り(図11中、矢印D方向)に傾動する。これにより、弁ディスク22が弁ロッド20と共に傾動し、該弁ディスク22が弁座28より離間して通路12の閉塞状態が解除される。
【0056】
そして、圧力流体がさらに下部側シリンダ室54へと導入されピストン46が上昇することによってピストンロッド48と共にヨーク60、変位ブロック62、弁ロッド20及び弁ディスク22が一体的に上昇し、前記弁ディスク22が弁箱14内において通路12に臨む位置から上方に離間することによって弁開状態となる初期位置へと復帰する(図8〜図10参照)。
【0057】
これにより、弁箱14における通路12が連通状態となり、図示しない半導体ウェハ等のワーク等が前記通路12を通じて移動可能な状態となり、例えば、処理室内でプロセス処理のなされた前記ワークが、通路12を通じて隣接する別の処理室へと移動して別の処理作業が行われる。
【0058】
以上のように、本実施の形態では、シリンダ部18を構成する一対の流体圧シリンダ42a、42bの間に、変位ブロック62及び弁ロッド20を配置する構成としているため、前記シリンダ部と変位ブロックとを一直線上に配置した場合と比較し、ゲートバルブ10の高さ寸法を抑制することが可能となり、それに伴って、該ゲートバルブ10の小型化を図ることが可能となる。
【0059】
また、サイドフレーム32a、32bの内壁部88a、88bと、該内壁部88a、88bに沿って変位する二対の保持ローラ90a、90bとからなる保持機構26を設け、弁ディスク22を弁座28に対して着座させ弁閉状態とする際、傾動した変位ブロック62及び傾動ローラ78から連結ブロック80を介して付与される略水平方向への荷重を、前記保持ローラ90a、90bが当接している第1及び第2受圧体92、94によって確実且つ好適に負担することができる。その結果、弁ディスク22による通路12の閉塞状態を確実且つ安定的に維持できる。換言すれば、保持機構26を設けることによって弁ディスク22を弁座28に着座させておくための安定した剛性が得られる。
【0060】
なお、本発明に係るゲートバルブは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0061】
10…ゲートバルブ 14…弁箱
16…ハウジング 18…シリンダ部
20…弁ロッド 22…弁ディスク
24…駆動変換部 26…保持機構
28…弁座 42a、42b…流体圧シリンダ
44…シリンダチューブ 46…ピストン
48…ピストンロッド 52…上部側シリンダ室
54…下部側シリンダ室 60…ヨーク
62…変位ブロック 68…スプリング
72…支持ローラ 76…支持ブロック
78…傾動ローラ 80…連結ブロック
82…ローラ溝 88a、88b…内壁部
90a、90b…保持ローラ 92…第1受圧体
94…第2受圧体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁箱と、該弁箱に形成された弁座に対して着座自在に設けられる弁ディスクと、前記弁ディスクに連結され該弁ディスクを直線動作及び傾動動作させる弁ロッドと、前記弁箱に連結されたハウジングの内部に設けられ前記弁ロッドを軸線方向に沿って直線変位させる駆動部とを備えるゲートバルブにおいて、
前記駆動部の駆動軸に連結され、該駆動部の駆動作用下に軸線方向に沿って変位するヨークと、
前記ヨークと一体的に変位すると共に、前記軸線方向に沿った終端位置において傾動自在に設けられた変位部材と、
前記変位部材の側方に設けられ、該変位部材に装着された第1ローラの挿入される孔部を有した係合部材と、
前記弁ロッドの軸線方向と略平行に設けられ、軸線方向に沿った溝部を有したフレームと、
前記係合部材に設けられ、前記溝部に挿通される第2ローラと、
前記溝部に臨むように設けられ、前記弁ディスクが前記弁座に着座した弁閉状態において前記第2ローラの当接する受圧部材と、
を備え、
前記弁ロッド及び変位部材と前記駆動部とが、前記ハウジングの内部において並列に配置されると共に、前記受圧部材が前記フレームより硬度の大きな材質から形成されることを特徴とするゲートバルブ。
【請求項2】
請求項1記載のゲートバルブにおいて、
前記第2ローラは、前記係合部材の変位方向に沿って互いに離間して一対設けられると共に、前記受圧部材も、前記第2ローラに対応して前記溝部の延在方向に沿って互いに離間して一対設けられることを特徴とするゲートバルブ。
【請求項3】
請求項2記載のゲートバルブにおいて、
前記フレームにおいて一方の受圧部材と他方の受圧部材とが、前記溝部を挟んで互いに対向するように配置されることを特徴とするゲートバルブ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のゲートバルブにおいて、
前記駆動部は、内部に圧力流体が供給されるシリンダチューブと、該シリンダチューブの内部に変位自在に設けられるピストンとを備え、前記ピストンに対して前記駆動軸の連結された流体圧シリンダからなることを特徴とするゲートバルブ。
【請求項5】
請求項4記載のゲートバルブにおいて、
前記流体圧シリンダは、前記ハウジングの内部において前記弁ロッドを中心として両側となる位置にそれぞれ設けられることを特徴とするゲートバルブ。
【請求項1】
弁箱と、該弁箱に形成された弁座に対して着座自在に設けられる弁ディスクと、前記弁ディスクに連結され該弁ディスクを直線動作及び傾動動作させる弁ロッドと、前記弁箱に連結されたハウジングの内部に設けられ前記弁ロッドを軸線方向に沿って直線変位させる駆動部とを備えるゲートバルブにおいて、
前記駆動部の駆動軸に連結され、該駆動部の駆動作用下に軸線方向に沿って変位するヨークと、
前記ヨークと一体的に変位すると共に、前記軸線方向に沿った終端位置において傾動自在に設けられた変位部材と、
前記変位部材の側方に設けられ、該変位部材に装着された第1ローラの挿入される孔部を有した係合部材と、
前記弁ロッドの軸線方向と略平行に設けられ、軸線方向に沿った溝部を有したフレームと、
前記係合部材に設けられ、前記溝部に挿通される第2ローラと、
前記溝部に臨むように設けられ、前記弁ディスクが前記弁座に着座した弁閉状態において前記第2ローラの当接する受圧部材と、
を備え、
前記弁ロッド及び変位部材と前記駆動部とが、前記ハウジングの内部において並列に配置されると共に、前記受圧部材が前記フレームより硬度の大きな材質から形成されることを特徴とするゲートバルブ。
【請求項2】
請求項1記載のゲートバルブにおいて、
前記第2ローラは、前記係合部材の変位方向に沿って互いに離間して一対設けられると共に、前記受圧部材も、前記第2ローラに対応して前記溝部の延在方向に沿って互いに離間して一対設けられることを特徴とするゲートバルブ。
【請求項3】
請求項2記載のゲートバルブにおいて、
前記フレームにおいて一方の受圧部材と他方の受圧部材とが、前記溝部を挟んで互いに対向するように配置されることを特徴とするゲートバルブ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のゲートバルブにおいて、
前記駆動部は、内部に圧力流体が供給されるシリンダチューブと、該シリンダチューブの内部に変位自在に設けられるピストンとを備え、前記ピストンに対して前記駆動軸の連結された流体圧シリンダからなることを特徴とするゲートバルブ。
【請求項5】
請求項4記載のゲートバルブにおいて、
前記流体圧シリンダは、前記ハウジングの内部において前記弁ロッドを中心として両側となる位置にそれぞれ設けられることを特徴とするゲートバルブ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−67841(P2012−67841A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212842(P2010−212842)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000102511)SMC株式会社 (344)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000102511)SMC株式会社 (344)
【Fターム(参考)】
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