ゲート開閉装置
【課題】ラック棒の屈曲側への傾動を防止して水門の扉体を円滑に昇降させて水門ゲートの止水機能を確実に確保することが可能な水門ゲート開閉装置を提供する。
【解決手段】水門の扉体に連結されたラック棒1の上部の屈曲ラック部3は小ラック棒4が連結ブロック5で連結され、ラック棒1に噛み合うピニオンギヤ12を回転させてラック棒1を昇降させることにより水門の扉体を開閉する水門ゲート開閉装置において、小ラック棒4は直線状にラックピン10が直列に設けられ、小ラック棒4の端部のピン孔と連結ブロック5の端部のピン孔にラックピンを兼ねる連結ピン8が通されて小ラック棒4のラックピン10と同列に設けられ、小ラック棒4の側板の両端はラックピン10の中心より屈曲側に傾斜した傾斜面を有するとともに、屈曲方向と反対側に小ラック棒4の進行軸に直角な当接面を有し、連結ブロックの各側板の内側に形成された凸部17の上下に小ラック棒の傾斜面又は当接面に当接する、進行軸に直角な当接面が形成されている。
【解決手段】水門の扉体に連結されたラック棒1の上部の屈曲ラック部3は小ラック棒4が連結ブロック5で連結され、ラック棒1に噛み合うピニオンギヤ12を回転させてラック棒1を昇降させることにより水門の扉体を開閉する水門ゲート開閉装置において、小ラック棒4は直線状にラックピン10が直列に設けられ、小ラック棒4の端部のピン孔と連結ブロック5の端部のピン孔にラックピンを兼ねる連結ピン8が通されて小ラック棒4のラックピン10と同列に設けられ、小ラック棒4の側板の両端はラックピン10の中心より屈曲側に傾斜した傾斜面を有するとともに、屈曲方向と反対側に小ラック棒4の進行軸に直角な当接面を有し、連結ブロックの各側板の内側に形成された凸部17の上下に小ラック棒の傾斜面又は当接面に当接する、進行軸に直角な当接面が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水門の扉体に連結されたラック棒とこれに噛み合うピニオンギヤを利用して水門の扉体を昇降開閉する水門ゲート開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水門の扉体を開閉する方式のひとつに、ラック式の水門ゲート開閉装置がある。従来のラック式の水門ゲート開閉装置は、図8に示すように、ラック棒30が一本の直線状部材から形成され、ラック棒30がピニオン駆動機構31のピニオンギヤと噛み合っており、ピニオンギヤの回転によりラック棒30が上下に移動することによって、ラック棒30に連結された水門の扉体32を昇降させて開閉する。図8(b)に示すように、直線状のラック棒30は上方に移動するので、ラック棒30を保護するラックカバー33が操作室34の建屋外にラック棒30の真上に上向きに突出している。
【0003】
しかしながら、ラック棒の真上に上向きに直線状にラックカバーを突出させると、ラック棒やラックカバーを通じて落雷を受け易くなったり、あるいは施工に手間を要したりする問題があった。
【0004】
そこで、図9(a)に示すように、水門の扉体35に連結された屈曲可能のラック棒36を屈曲防止保護管37に通したうえ、ピニオン駆動機構38の上方で屈曲ガイド39によって一側に屈曲可能な構造とし、水門の扉体35を上昇させる際には、図9(b)に示すように、ゲート棒36をピニオン駆動機構38の上方で屈曲ガイド39にそって屈曲させながら上昇させることで建屋40にラックカバーを設ける必要のないラック式開閉装置が提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、水門ゲートに連結されたピンラックとピニオンギヤとの噛合を利用して水門ゲートを昇降開閉するラック式開閉機構において、図10に示すように、長さの短い複数の分割ピンラック41同士をそれぞれピン42で回動自在に連結して直列状に形成したピンラックが開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、ラック式の水門扉開閉装置において、図11に示すように、複数のラック部材43が連結部材44を介して屈曲可能に連結されて形成され、ラック部材43は、一対の板材間に駆動ギアのピッチに対応した間隔で複数のピン45を列設して形成されたラック棒が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第2540540号公報
【特許文献2】特許第3171791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記特許文献1のピンラックは、図12に示すように、両側に自在に屈曲する構造となっているので、上昇している水門の扉体を下降させるためにラックを押し付ける際に、図9に示すように、屈曲を防止するためにピニオン駆動機構38の下方に長い屈曲防止保護管37を延長する必要がある。そして屈曲防止保護管37は、強度と精度を必要とするため、比較的高価なものとなる。また、屈曲防止保護管37はピニオン駆動機構38の下方に比較的長く形成されることから、設備計画の制約条件ともなる。
【0009】
前記特許文献2のピンラックは、図13に示すように、ピニオンギヤ46にかみ合い動力伝達が行われるピンラック芯線47と、実際の吊り荷重を伝達する荷重作用芯線48が一致しない。実際に扉体を吊下げた状態においては、扉体吊り芯が荷重作用芯線48の上に重なるため、扉体50と連結する直線部ラック棒49とラック部材43との連結部が直線上とならず、扉体50がラック棒屈曲側に移動する。このため、実際の設備においては、水門の扉体50の円滑な開閉作動、および確実な止水機能を確保するために扉体誘導ガイド等の対策を講じなければならないという問題点を有していた。
【0010】
そこで、本発明は、屈曲防止保護管を必要とせず、また動力伝達が行われるピンラック芯線と荷重作用芯線を一とすることにより扉体の側方移動を防止し、水門の扉体の適正な開閉作動性と止水機能を確実に確保することが可能な屈曲ラック式の水門ゲート開閉装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、水門の扉体に連結されたラック棒の上部に一方向に屈曲可能な屈曲ラック部が形成され、屈曲ラック部はラック棒を分割した隣り合う小ラック棒どうしが連結ブロックを介して連結されて形成され、ラック棒に噛み合うピニオンギヤをピニオン駆動機構により回転させてラック棒の屈曲ラック部を案内ガイド金物内を屈曲させながら案内して昇降させることにより水門の扉体を開閉する水門ゲート開閉装置において、小ラック棒は対向する側板の間にピニオンギヤのピッチに対応した間隔で直線状にラックピンが直列に設けられ、小ラック棒の端部のピン孔と連結ブロックの端部のピン孔にラックピンを兼ねる連結ピンが通されて小ラック棒のラックピンと同列に設けられ、小ラック棒の側板の両端はラックピンの中心より屈曲側に傾斜した傾斜面を有するとともに、屈曲方向と反対側に小ラック棒の進行軸に直角な当接面を有し、連結ブロックの各側板の内側に形成された凸部の上下に小ラック棒の傾斜面又は当接面に当接する、進行軸に直角な当接面が形成され定ることを特徴とする。
【0012】
前記構成において、ピニオン駆動機構の下方にラック棒の屈曲側と反対側の面に接する支持ローラを配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、水門の扉体の吊り芯がラック芯線に一致してラックの屈曲側への移動を防止して扉体の正確な昇降作動及び止水機能を確実に確保することが可能となる。
また、支持ローラにより、ラック棒の傾斜を防止し、駆動歯車下方でのラック棒の屈曲発生を防止することが可能となり、屈曲防止保護管を設ける必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の開閉装置における屈曲ラック部を示す斜視図である。
【図2】本発明の開閉装置における小ラック棒と連結ブロックの分解斜視図である。
【図3】本発明の開閉装置における屈曲ラック部の当接面の説明図である。
【図4】本発明の開閉装置設置形態の一例を示す図である。
【図5】案内ガイド金物の断面図である。
【図6】支持ローラの作用の説明図である。
【図7】案内ガイド金物の設置例を示す図である。
【図8】従来の直線状ラック式の水門ゲート開閉装置のラックカバーの説明図である。
【図9】従来のラックカバーを設ける必要のないラック式開閉装置の概略図である。
【図10】従来の屈曲式のラック棒の一例を示す斜視図である。
【図11】従来の屈曲式のラック棒の別の例を示す斜視図である。
【図12】図10に示すラック棒の屈曲防止保護管の説明図である。
【図13】図11に示すラック棒による水門ゲート移動についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例】
【0016】
図1〜図4において、ラック棒1は扉体に連結される直線ラック部2とこの直線ラック部の上側に連結される屈曲ラック部3からなる。屈曲ラック部3は、複数の小ラック棒4の間に連結ブロック5を配置し、小ラック棒4の端部のピン孔6と連結ブロック5の端部のピン孔7にラックピン兼用の連結ピン8を通して連結する。
【0017】
小ラック棒4は対向する側板9の間にラックピン10がピニオンギヤ12のピッチと同じピッチで直線状に直列に配置されている。ラックピン10及びラックピン兼用の連結ピン8は、ピニオン駆動機構11のピニオンギヤ12に噛み合い、ピニオンギヤ12の回転により、ラック棒1が上下動し、ラック棒1に連結された扉体が昇降する。
【0018】
小ラック棒4の側板9の両端は、ラックピン10の中心より屈曲側(図3において左側)にラック棒の進行軸13と一定角度の傾斜面14を有し、屈曲方向と反対側に進行軸13に直角な当接面15を有する。
【0019】
一方、連結ブロック5の各側板16の内側には凸部17が形成されている。凸部17の上下面は進行軸13に直角な当接面18が形成され、この当接面18は小ラック棒4の側板9の端面の傾斜面14又は当接面15に当接する。
【0020】
小ラック棒4の傾斜面14及びは当接面15と連結ブロック5の凸部17の当接面18により、図3(a)に示すように、各小ラック棒4が直線形態となった時、小ラック棒4の当接面15と連結ブロック5の凸部17の当接面18が面接触する。屈曲時は図3(b)に示す状態になり、図3(c)に示すように、ラック棒1の傾斜面14が連結ブロック5の凸部17の当接面18に当接することにより屈曲の限度となる。こうして屈曲ラック部は1方向のみに屈曲可能な構造となる。
【0021】
なお、小ラック棒の端面どうしを当接させる形態にすると、端部孔から端面までの長さがピン間隔の1/2に制限され、これはピン結合における部材の強度確保上不利な形態となるが、本発明は、連結ブロック5に凸部17を形成することで強度を確保することが可能となる。
【0022】
小ラック棒4の端部のピン孔6と連結ブロック5の端部のピン孔7に通すラックピン兼用の連結ピン8の両端には、それぞれ案内ロール19を回転可能に止め金具20で保持する。
【0023】
屈曲ラック部3は図5に示す案内ガイド金物内を移動する。図5において、筒状の案内ガイド金物21の四隅にはローラガイド22が配置されている。屈曲ラック部3が移動する際に、上下左右に蛇行したとしても、案内ロール19が案内ガイド金物21のローラガイド22に接して回転することで屈曲ラック部3がスムーズに移動可能となる。
図1及び図4に示すように、ピニオン駆動機構11には、ピニオンギヤ12と反対側で且つピニオンギヤ12を挟む位置関係に一対のガイドローラ23が配置され、ラックピン10とピニオンギヤ12の適正な噛合わせを確保するとともに、ラックピン10がピニオンギヤ12から外れるのを防止する。
【0024】
図1、図4及び図6(a)に示すように、ピニオン駆動機構の下方には、ラック棒1の屈曲側と反対側に接する支持ローラ24をピニオンギヤ12の下方に配置する。支持ロールがない場合、図6(b)に示すように、ラック棒1が傾斜するが、支持ローラ24によりラック棒1を鉛直方向に保持可能となって扉体の昇降作動及び止水機能を確実にすることができる。
【0025】
案内ガイド金物21は、図7に示すように、屈曲後に水平に延長してもよい。水平に延長することにより、建屋の高さが制限される場合に有効である。
【符号の説明】
【0026】
1:ラック棒 2:直線ラック部
3:屈曲ラック部 4:小ラック棒
5:連結ブロック 6:ピン孔
7:ピン孔 8:連結ピン
9:側板 10:ラックピン
11:ピニオン駆動機構 12:ピニオンギヤ
13:進行軸 14:傾斜面
15:当接面 16:側板
17:凸部 18:当接面
19:案内ロール 20:止め金具
21:案内ガイド金物 22:ローラガイド
23:ガイドローラ 24:支持ローラ
30:ラック棒 31:ピニオン駆動機構
32:水門の扉体 33:ラック棒保護管
34:操作室 35:水門の扉体
36:屈曲式のラック棒 37:屈曲防止保護管
38:ピニオン駆動機構 39:屈曲ガイド
40:建屋 41:分割ピンラック
42:ピン 43:ラック部材
44:連結部材 45:ピン
46:ピニオンギヤ 47:ピンラック芯線
48:荷重作用芯線 49:直線ラック部
50:水門の扉体
【技術分野】
【0001】
本発明は、水門の扉体に連結されたラック棒とこれに噛み合うピニオンギヤを利用して水門の扉体を昇降開閉する水門ゲート開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水門の扉体を開閉する方式のひとつに、ラック式の水門ゲート開閉装置がある。従来のラック式の水門ゲート開閉装置は、図8に示すように、ラック棒30が一本の直線状部材から形成され、ラック棒30がピニオン駆動機構31のピニオンギヤと噛み合っており、ピニオンギヤの回転によりラック棒30が上下に移動することによって、ラック棒30に連結された水門の扉体32を昇降させて開閉する。図8(b)に示すように、直線状のラック棒30は上方に移動するので、ラック棒30を保護するラックカバー33が操作室34の建屋外にラック棒30の真上に上向きに突出している。
【0003】
しかしながら、ラック棒の真上に上向きに直線状にラックカバーを突出させると、ラック棒やラックカバーを通じて落雷を受け易くなったり、あるいは施工に手間を要したりする問題があった。
【0004】
そこで、図9(a)に示すように、水門の扉体35に連結された屈曲可能のラック棒36を屈曲防止保護管37に通したうえ、ピニオン駆動機構38の上方で屈曲ガイド39によって一側に屈曲可能な構造とし、水門の扉体35を上昇させる際には、図9(b)に示すように、ゲート棒36をピニオン駆動機構38の上方で屈曲ガイド39にそって屈曲させながら上昇させることで建屋40にラックカバーを設ける必要のないラック式開閉装置が提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、水門ゲートに連結されたピンラックとピニオンギヤとの噛合を利用して水門ゲートを昇降開閉するラック式開閉機構において、図10に示すように、長さの短い複数の分割ピンラック41同士をそれぞれピン42で回動自在に連結して直列状に形成したピンラックが開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、ラック式の水門扉開閉装置において、図11に示すように、複数のラック部材43が連結部材44を介して屈曲可能に連結されて形成され、ラック部材43は、一対の板材間に駆動ギアのピッチに対応した間隔で複数のピン45を列設して形成されたラック棒が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第2540540号公報
【特許文献2】特許第3171791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記特許文献1のピンラックは、図12に示すように、両側に自在に屈曲する構造となっているので、上昇している水門の扉体を下降させるためにラックを押し付ける際に、図9に示すように、屈曲を防止するためにピニオン駆動機構38の下方に長い屈曲防止保護管37を延長する必要がある。そして屈曲防止保護管37は、強度と精度を必要とするため、比較的高価なものとなる。また、屈曲防止保護管37はピニオン駆動機構38の下方に比較的長く形成されることから、設備計画の制約条件ともなる。
【0009】
前記特許文献2のピンラックは、図13に示すように、ピニオンギヤ46にかみ合い動力伝達が行われるピンラック芯線47と、実際の吊り荷重を伝達する荷重作用芯線48が一致しない。実際に扉体を吊下げた状態においては、扉体吊り芯が荷重作用芯線48の上に重なるため、扉体50と連結する直線部ラック棒49とラック部材43との連結部が直線上とならず、扉体50がラック棒屈曲側に移動する。このため、実際の設備においては、水門の扉体50の円滑な開閉作動、および確実な止水機能を確保するために扉体誘導ガイド等の対策を講じなければならないという問題点を有していた。
【0010】
そこで、本発明は、屈曲防止保護管を必要とせず、また動力伝達が行われるピンラック芯線と荷重作用芯線を一とすることにより扉体の側方移動を防止し、水門の扉体の適正な開閉作動性と止水機能を確実に確保することが可能な屈曲ラック式の水門ゲート開閉装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、水門の扉体に連結されたラック棒の上部に一方向に屈曲可能な屈曲ラック部が形成され、屈曲ラック部はラック棒を分割した隣り合う小ラック棒どうしが連結ブロックを介して連結されて形成され、ラック棒に噛み合うピニオンギヤをピニオン駆動機構により回転させてラック棒の屈曲ラック部を案内ガイド金物内を屈曲させながら案内して昇降させることにより水門の扉体を開閉する水門ゲート開閉装置において、小ラック棒は対向する側板の間にピニオンギヤのピッチに対応した間隔で直線状にラックピンが直列に設けられ、小ラック棒の端部のピン孔と連結ブロックの端部のピン孔にラックピンを兼ねる連結ピンが通されて小ラック棒のラックピンと同列に設けられ、小ラック棒の側板の両端はラックピンの中心より屈曲側に傾斜した傾斜面を有するとともに、屈曲方向と反対側に小ラック棒の進行軸に直角な当接面を有し、連結ブロックの各側板の内側に形成された凸部の上下に小ラック棒の傾斜面又は当接面に当接する、進行軸に直角な当接面が形成され定ることを特徴とする。
【0012】
前記構成において、ピニオン駆動機構の下方にラック棒の屈曲側と反対側の面に接する支持ローラを配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、水門の扉体の吊り芯がラック芯線に一致してラックの屈曲側への移動を防止して扉体の正確な昇降作動及び止水機能を確実に確保することが可能となる。
また、支持ローラにより、ラック棒の傾斜を防止し、駆動歯車下方でのラック棒の屈曲発生を防止することが可能となり、屈曲防止保護管を設ける必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の開閉装置における屈曲ラック部を示す斜視図である。
【図2】本発明の開閉装置における小ラック棒と連結ブロックの分解斜視図である。
【図3】本発明の開閉装置における屈曲ラック部の当接面の説明図である。
【図4】本発明の開閉装置設置形態の一例を示す図である。
【図5】案内ガイド金物の断面図である。
【図6】支持ローラの作用の説明図である。
【図7】案内ガイド金物の設置例を示す図である。
【図8】従来の直線状ラック式の水門ゲート開閉装置のラックカバーの説明図である。
【図9】従来のラックカバーを設ける必要のないラック式開閉装置の概略図である。
【図10】従来の屈曲式のラック棒の一例を示す斜視図である。
【図11】従来の屈曲式のラック棒の別の例を示す斜視図である。
【図12】図10に示すラック棒の屈曲防止保護管の説明図である。
【図13】図11に示すラック棒による水門ゲート移動についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例】
【0016】
図1〜図4において、ラック棒1は扉体に連結される直線ラック部2とこの直線ラック部の上側に連結される屈曲ラック部3からなる。屈曲ラック部3は、複数の小ラック棒4の間に連結ブロック5を配置し、小ラック棒4の端部のピン孔6と連結ブロック5の端部のピン孔7にラックピン兼用の連結ピン8を通して連結する。
【0017】
小ラック棒4は対向する側板9の間にラックピン10がピニオンギヤ12のピッチと同じピッチで直線状に直列に配置されている。ラックピン10及びラックピン兼用の連結ピン8は、ピニオン駆動機構11のピニオンギヤ12に噛み合い、ピニオンギヤ12の回転により、ラック棒1が上下動し、ラック棒1に連結された扉体が昇降する。
【0018】
小ラック棒4の側板9の両端は、ラックピン10の中心より屈曲側(図3において左側)にラック棒の進行軸13と一定角度の傾斜面14を有し、屈曲方向と反対側に進行軸13に直角な当接面15を有する。
【0019】
一方、連結ブロック5の各側板16の内側には凸部17が形成されている。凸部17の上下面は進行軸13に直角な当接面18が形成され、この当接面18は小ラック棒4の側板9の端面の傾斜面14又は当接面15に当接する。
【0020】
小ラック棒4の傾斜面14及びは当接面15と連結ブロック5の凸部17の当接面18により、図3(a)に示すように、各小ラック棒4が直線形態となった時、小ラック棒4の当接面15と連結ブロック5の凸部17の当接面18が面接触する。屈曲時は図3(b)に示す状態になり、図3(c)に示すように、ラック棒1の傾斜面14が連結ブロック5の凸部17の当接面18に当接することにより屈曲の限度となる。こうして屈曲ラック部は1方向のみに屈曲可能な構造となる。
【0021】
なお、小ラック棒の端面どうしを当接させる形態にすると、端部孔から端面までの長さがピン間隔の1/2に制限され、これはピン結合における部材の強度確保上不利な形態となるが、本発明は、連結ブロック5に凸部17を形成することで強度を確保することが可能となる。
【0022】
小ラック棒4の端部のピン孔6と連結ブロック5の端部のピン孔7に通すラックピン兼用の連結ピン8の両端には、それぞれ案内ロール19を回転可能に止め金具20で保持する。
【0023】
屈曲ラック部3は図5に示す案内ガイド金物内を移動する。図5において、筒状の案内ガイド金物21の四隅にはローラガイド22が配置されている。屈曲ラック部3が移動する際に、上下左右に蛇行したとしても、案内ロール19が案内ガイド金物21のローラガイド22に接して回転することで屈曲ラック部3がスムーズに移動可能となる。
図1及び図4に示すように、ピニオン駆動機構11には、ピニオンギヤ12と反対側で且つピニオンギヤ12を挟む位置関係に一対のガイドローラ23が配置され、ラックピン10とピニオンギヤ12の適正な噛合わせを確保するとともに、ラックピン10がピニオンギヤ12から外れるのを防止する。
【0024】
図1、図4及び図6(a)に示すように、ピニオン駆動機構の下方には、ラック棒1の屈曲側と反対側に接する支持ローラ24をピニオンギヤ12の下方に配置する。支持ロールがない場合、図6(b)に示すように、ラック棒1が傾斜するが、支持ローラ24によりラック棒1を鉛直方向に保持可能となって扉体の昇降作動及び止水機能を確実にすることができる。
【0025】
案内ガイド金物21は、図7に示すように、屈曲後に水平に延長してもよい。水平に延長することにより、建屋の高さが制限される場合に有効である。
【符号の説明】
【0026】
1:ラック棒 2:直線ラック部
3:屈曲ラック部 4:小ラック棒
5:連結ブロック 6:ピン孔
7:ピン孔 8:連結ピン
9:側板 10:ラックピン
11:ピニオン駆動機構 12:ピニオンギヤ
13:進行軸 14:傾斜面
15:当接面 16:側板
17:凸部 18:当接面
19:案内ロール 20:止め金具
21:案内ガイド金物 22:ローラガイド
23:ガイドローラ 24:支持ローラ
30:ラック棒 31:ピニオン駆動機構
32:水門の扉体 33:ラック棒保護管
34:操作室 35:水門の扉体
36:屈曲式のラック棒 37:屈曲防止保護管
38:ピニオン駆動機構 39:屈曲ガイド
40:建屋 41:分割ピンラック
42:ピン 43:ラック部材
44:連結部材 45:ピン
46:ピニオンギヤ 47:ピンラック芯線
48:荷重作用芯線 49:直線ラック部
50:水門の扉体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水門の扉体に連結されたラック棒の上部に一方向に屈曲可能な屈曲ラック部が形成され、屈曲ラック部はラック棒を分割した隣り合う小ラック棒どうしが連結ブロックを介して連結されて形成され、ラック棒に噛み合うピニオンギヤをピニオン駆動機構により回転させてラック棒の屈曲ラック部を案内ガイド金物内を屈曲させながら案内して昇降させることにより水門の扉体を開閉する水門ゲート開閉装置において、
小ラック棒は対向する側板の間にピニオンギヤのピッチに対応した間隔で直線状にラックピンが直列に設けられ、
小ラック棒の端部のピン孔と連結ブロックの端部のピン孔にラックピンを兼ねる連結ピンが通されて小ラック棒のラックピンと同列に設けられ、
小ラック棒の側板の両端はラックピンの中心より屈曲側に傾斜した傾斜面を有するとともに、屈曲方向と反対側に小ラック棒の進行軸に直角な当接面を有し、連結ブロックの各側板の内側に形成された凸部の上下に小ラック棒の傾斜面又は当接面に当接する、進行軸に直角な当接面が形成され定ることを特徴とする水門ゲート開閉装置。
【請求項2】
ピニオン駆動機構の下方にラック棒の屈曲側と反対側の面に接する支持ローラを配置したことを特徴とする請求項1記載の水門ゲート開閉装置。
【請求項1】
水門の扉体に連結されたラック棒の上部に一方向に屈曲可能な屈曲ラック部が形成され、屈曲ラック部はラック棒を分割した隣り合う小ラック棒どうしが連結ブロックを介して連結されて形成され、ラック棒に噛み合うピニオンギヤをピニオン駆動機構により回転させてラック棒の屈曲ラック部を案内ガイド金物内を屈曲させながら案内して昇降させることにより水門の扉体を開閉する水門ゲート開閉装置において、
小ラック棒は対向する側板の間にピニオンギヤのピッチに対応した間隔で直線状にラックピンが直列に設けられ、
小ラック棒の端部のピン孔と連結ブロックの端部のピン孔にラックピンを兼ねる連結ピンが通されて小ラック棒のラックピンと同列に設けられ、
小ラック棒の側板の両端はラックピンの中心より屈曲側に傾斜した傾斜面を有するとともに、屈曲方向と反対側に小ラック棒の進行軸に直角な当接面を有し、連結ブロックの各側板の内側に形成された凸部の上下に小ラック棒の傾斜面又は当接面に当接する、進行軸に直角な当接面が形成され定ることを特徴とする水門ゲート開閉装置。
【請求項2】
ピニオン駆動機構の下方にラック棒の屈曲側と反対側の面に接する支持ローラを配置したことを特徴とする請求項1記載の水門ゲート開閉装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−179231(P2011−179231A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44449(P2010−44449)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(594148645)株式会社協和製作所 (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(594148645)株式会社協和製作所 (10)
【Fターム(参考)】
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