説明

ゲームシステム及びゲームプログラム

【課題】ゲームの多様性を高める等の手段として操作案内を機能させることができるゲームシステムを提供する。
【解決手段】ゲームシステムは、各操作時期に対応するオブジェクト106と現在時刻に対応する操作基準標識105とを、ゲーム上にて各レーン104G〜Oに沿って時間順の配置で表示させるとともに、オブジェクト106がオブジェクト106にて示されるべき操作時期に操作基準標識105と一致するようにして、オブジェクト106と操作指示標識105との間にゲーム上の時間の進行に応じた相対的でかつ、各レーン104G〜Oに沿った変位を生じさせることにより、各ボタン7G〜O、8G〜Oの操作をプレイヤに案内するものである。さらに、ゲームシステムは、各レーン104G〜Oの出発位置102及び到達位置103の少なくともいずれか一方の位置を変化させるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームシステム及びゲームプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
所定の経路に沿ってリズム音に対応するノーツバーを表示させるとともに、このノーツバーが操作時期に操作基準標識と一致するようにノーツバーを操作基準標識に向かって移動させることにより、操作時期を案内する音楽ゲームが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−96061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の装置では、所定の経路としての時間軸が固定されているので、ノーツバーの経路、変位方向等、操作案内に変化がない。このため、操作案内に操作の案内以外の機能を持たせることができない。
【0005】
そこで、本発明は、ゲームの多様性を高める等の手段として操作案内を機能させることができるゲームシステム及びゲームプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のゲームシステムは、少なくとも一つの操作部(7、8、9)を有する入力装置(4)と、ゲーム画面(51、52)を表示出力する表示装置(5)と、前記ゲーム中における前記操作部の操作時期を記述したシーケンスデータ(28)を記憶するシーケンスデータ記憶手段(20)と、前記ゲーム上の現在時刻から将来に向かって所定の時間範囲に含まれる前記操作部の操作時期を前記シーケンスデータに基づいて判別し、判別した各操作時期に対応する操作指示標識(106)と前記現在時刻に対応する操作基準標識(105)とを、前記ゲーム上にて所定の経路(104)に沿って時間順の配置で表示させるとともに、前記操作指示標識が該操作指示標識にて示されるべき前記操作時期に前記操作基準標識と一致するようにして、前記操作基準標識と前記操作指示標識との間に前記ゲーム上の時間の進行に応じた相対的でかつ、前記所定の経路に沿った変位を生じさせることにより、前記操作部の操作をプレイヤに案内する操作案内手段(10)と、を備え、前記操作案内手段は、前記所定の経路の出発位置(102)及び到達位置(103)の少なくともいずれか一方の位置を変化させる経路変更手段(10)を備えるものである。
【0007】
また、本発明のゲームシステム用のコンピュータプログラムは、少なくとも一つの操作部(7、8、9)を有する入力装置(4)と、ゲーム画面(51、52)を表示出力する表示装置(5)と、前記ゲーム中における前記操作部の操作時期を記述したシーケンスデータ(28)を記憶するシーケンスデータ記憶手段(20)と、を備えたゲームシステムに組み込まれるコンピュータを、前記ゲーム上の現在時刻から将来に向かって所定の時間範囲に含まれる前記操作部の操作時期を前記シーケンスデータに基づいて判別し、判別した各操作時期に対応する操作指示標識(106)と前記現在時刻に対応する操作基準標識(105)とを、前記ゲーム上にて所定の経路(104)に沿って時間順の配置で表示させるとともに、前記操作指示標識が該操作指示標識にて示されるべき前記操作時期に前記操作基準標識と一致するようにして、前記操作基準標識と前記操作指示標識との間に前記ゲーム上の時間の進行に応じた相対的でかつ、前記所定の経路に沿った変位を生じさせることにより、前記操作部の操作をプレイヤに案内する操作案内手段(10)として機能させるように構成され、さらに、前記操作案内手段を、前記所定の経路の出発位置(102)及び到達位置(103)の少なくともいずれか一方の位置を変化させる経路変更手段(10)として機能させるように構成されたものである。
【0008】
本発明によれば、操作指示標識と操作基準標識とが時間順に配置される所定の経路の出発位置及び到達位置の少なくともいずれか一方の位置を変化させることができる。操作指示標識と操作基準標識との間には、相対的でかつ、所定の経路に沿った変位が生じるため、所定の経路の出発位置及び到達位置の少なくともいずれか一方の位置を変化させることにより、操作指示標識と操作基準標識との間に生じる相対的な変位の経路を変化させることができる。操作指示標識と操作基準標識とによって操作部の操作が案内されるため、操作指示標識と操作基準標識との間の相対的な変位の経路を変化させることにより、プレイヤへの操作案内を変化させることができる。これにより、ゲームの多様性を高める等の手段として操作案内を機能させることができる。
【0009】
経路変更手段は、所定の経路の出発位置及び到達位置の少なくともいずれか一方の位置をどのように変化させてもよい。例えば、本発明のゲームシステムの一態様において、前記操作案内手段は、前記相対的でかつ、前記所定の経路に沿った変位を生じさせるために前記所定の経路上に配置する前記操作基準標識の初期位置(105D)を、初期位置に関する標準状態として前記ゲーム画面内の所定の位置(105D)に設定し、前記経路変更手段は、前記初期位置に関する標準状態の例外状態として前記操作基準標識の前記初期位置が前記ゲーム画面内の前記所定の位置から変化するように、前記所定の経路の前記出発位置及び前記到達位置の少なくともいずれか一方の位置を変化させてもよい。この場合、所定の経路の出発位置及び到達位置の少なくともいずれか一方の変化により、操作基準標識の初期位置が変化するので、操作案内により大きな変化を生じさせることができる。
【0010】
本発明のゲームシステムの一態様において、前記操作案内手段は、前記操作指示標識及び前記操作基準標識を表示させる領域として操作指示領域(101)を、領域位置に関する標準状態として前記ゲーム画面内の所定の位置に設定するとともに、前記操作指示領域として設定される前記ゲーム画面内の領域の位置を、前記領域位置に関する標準状態の例外状態として変化させる領域位置変化手段(10)を備え、前記経路変更手段は、前記領域位置に関する例外状態において前記操作指示標識及び前記操作基準標識が前記操作指示領域内に表示されるように、前記所定の経路の前記出発位置及び前記到達位置の少なくともいずれか一方の位置を変化させてもよい。この場合、操作指示領域という一定の大きさを有する領域単位で表示位置の変更をすることができる。つまり、操作基準標識等が表示される操作指示領域のゲーム画面内における配置を変化させることができるので、ゲーム画面全体のレイアウトを変更することができる。これにより、よりダイナミックにプレイヤへの操作案内を変化させることができる。
【0011】
本発明のゲームシステムの一態様において、前記入力装置には、複数の操作部が設けられ、前記シーケンスデータには、前記操作時期が、前記複数の操作部のいずれかを指定する情報と対応付けて記述され、前記操作案内手段は、各操作時期に対応する操作部が判別可能な態様で前記操作指示標識を表示させてもよい。この場合、入力装置が複数の操作部を有していても、各操作部の操作時期を判別可能な態様で案内することができる。
【0012】
また、入力装置に複数の操作部が設けられている場合において、操作案内手段は、各操作時期に対応する操作部が判別可能であればどのような態様で操作指示標識を表示させてもよい。例えば、本発明のゲームシステムの一態様において、前記操作案内手段は、前記所定の経路を前記複数の操作部のそれぞれに対応するように複数規定し、各操作時期に対応する前記操作指示標識を、前記ゲーム上にて前記複数の操作部のそれぞれに対応する前記所定の経路に沿って時間順の配置で表示させることにより前記各操作時期に対応する操作部が判別可能な態様で前記操作指示標識を表示させてもよい。
【0013】
また、複数の操作部が設けられている入力装置として、どのような入力装置が用いられてもよい。例えば、本発明のゲームシステムの一態様において、前記入力装置として、ボディと、前記ボディから延びるネックと、前記ネックの先端に配置されるヘッドと、を有し、かつ、前記複数の操作部として、前記ネックの前記ヘッド付近に配置されたローフレット操作部と、前記ネックの前記ボディ付近に配置されたハイフレット操作部とを有するギターを模したギターコントローラが設けられ、前記シーケンスデータには、前記ハイフレット操作部についての複数の操作時期が連続するハイフレット操作記述部が含まれ、前記経路変更手段は、前記ハイフレット操作記述部に記述された最初の操作時期が到来する際に、前記所定の経路の前記出発位置及び前記到達位置の少なくともいずれか一方の位置を変化させてもよい。
【0014】
また、入力装置としてギターコントローラが設けられた場合において、経路変更手段は、前記所定の経路の前記出発位置及び前記到達位置の少なくともいずれか一方の位置をどのように変化させてもよい。例えば、本発明のゲームシステムの一態様において、前記操作案内手段は、前記所定の経路が前記ゲーム画面内の下部に位置するように前記出発位置及び前記到達位置を表示に関する標準状態として設定し、前記経路変更手段は、前記ハイフレット操作記述部に記述された最初の操作時期が到来する際に、前記所定の経路の前記出発位置及び前記到達位置が前記ゲーム画面内の上部に位置するように、前記表示に関する標準状態の例外状態として前記所定の経路の前記出発位置及び前記到達位置を変化させてもよい。また、前記操作案内手段は、前記操作基準標識と前記操作指示標識との間の前記相対的でかつ、前記所定の経路に沿った変位が上方から下方に向かって生じるように、前記出発位置を前記到達位置の上方に変位に関する標準状態として設定し、前記経路変更手段は、前記出発位置が前記到達位置の下方に位置し、前記操作基準標識と前記操作指示標識との間の前記相対的でかつ、前記所定の経路に沿った変位が下方から上方に向かって生じるように、前記変位に関する標準状態の例外状態として前記所定の経路の前記出発位置及び前記到達位置の少なくともいずれか一方の位置を変化させてもよい。
【0015】
本発明のゲームシステムの一態様において、前記経路変更手段は、前記入力装置に対する所定の操作に対応して前記所定の経路の前記出発位置及び前記到達位置の少なくともいずれか一方の位置を変化させてもよい。この場合、プレイヤが適宜に所定の経路の出発位置及記到達位置、即ち、操作指示標識及び操作基準標識が表示される位置等をプレイヤの意思に基づいて適宜に変化させることができる。これにより、ゲーム中のプレイヤの視点、姿勢といったプレイヤの動作に関する自由度を向上させることができる。
【0016】
本発明のゲームシステムの一態様において、ゲーム音を再生出力する音声出力装置(6)と、楽曲データを再生させるための楽曲データを記憶する楽曲データ記憶手段(20)と、前記楽曲データに基づいて前記音声出力装置から前記楽曲を再生させる楽曲再生手段(10)と、をさらに備え、前記シーケンスデータには、前記楽曲の再生中における前記操作部の操作時期が記述され、前記操作案内手段は、前記楽曲上の現在時刻から将来に向かって所定の時間範囲に含まれる前記操作部の操作時期を前記シーケンスデータに基づいて判別するとともに、前記楽曲上の時間の進行に応じて前記操作基準標識と前記操作指示標識との間に相対的でかつ、前記所定の経路に沿った変位を生じさせてもよい。この場合、楽曲の進行に応じて操作部の操作が案内される。このため、音楽ゲームの多様性を高める等の手段として操作案内を機能させることができる。
【0017】
操作案内手段は、操作基準標識と操作指示標識との間にゲーム上の時間の進行に応じた相対的でかつ、所定の経路に沿った変位を生じさせる限りにおいて、どのような変位を生じさせてもよい。例えば、本発明のゲームシステムの一態様において、前記操作案内手段は、前記操作指示標識を前記操作基準標識に向かって移動させることにより前記相対的でかつ、前記所定の経路に沿った変位を生じさせてもよい。
【0018】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0019】
以上、説明したように、本発明によれば、ゲームの多様性を高める等の手段として操作案内を機能させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一形態に係るゲーム機の機能ブロック図。
【図2】ギターコントローラの拡大図。
【図3】通常時のゲーム画面を模式的に示した図。
【図4】ライトハンド演奏時のゲーム画面を模式的に示した図。
【図5】シーケンスデータの内容の一例を示す図。
【図6】ゲーム制御部が実行するシーケンス処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図7】ゲーム制御部が実行する操作評価ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図8】操作時期と評価範囲との関係を示す図。
【図9】ライトハンド演奏時のゲーム画面にて表示される各レーンを半透明で予め表示させている場合を模式的に示す図。
【図10A】第1の変形例に係る通常時のゲーム画面及びプレイヤを模擬的に示す図。
【図10B】第1の変形例に係るライトハンド演奏時のゲーム画面及びプレイヤを模擬的に示す図。
【図11】本発明に係る第2の変形例を示す図。
【図12】ゲーム画面に表現された仮想的な3D空間のレーンを側面から見た状態を想像した場合において、プレイヤの視線とレーンとの間に形成される角度がゲーム画面の切り替え前後で等しい場合を示す図。
【図13】ゲーム画面に表現された仮想的な3D空間のレーンを側面から見た状態を想像した場合において、プレイヤの視線とレーンとの間に形成される角度が変化するようにレーンの到達位置を変化させる場合を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るゲーム機の一形態について説明する。図1に示すように、ゲーム機1は、ゲーム機本体3と、入力装置としてのギターコントローラ4と、表示装置としてのモニタ5と、音声出力装置としてのスピーカ6と、を備えている。また、ゲーム機本体3には、ゲームの進行に用いられる不図示の押釦スイッチ、十字キー等の選択手段が設けられている。
【0022】
図2は、ギターコントローラ4の拡大図である。ギターコントローラ4は、形状、大きさ等、いわゆるギターを模したものである。ギターコントローラ4には、ギターのネックに相当する部分にローフレット操作部7と、ハイフレット操作部8とが設けられている。ローフレット操作部7はギターのヘッドに相当する部分の付近に、ハイフレット操作部8はギターのボディに相当する部分の付近に、それぞれ配置されている。また、ローフレット操作部7は、ヘッド側からボディ側に向かって順に、グリーン、レッド、イエロー、ブルー、オレンジにそれぞれ色分けされた5つの音選択ボタン7G、7R、7Y、7B、7Oを備えている。同様に、ハイフレット操作部8もヘッド側からボディ側に向かって順に色分けされた5つの音選択ボタン8G、8R、8Y、8B、8Oを備えている。プレイヤがこれらの各ボタン7G〜O、8G〜Oを選択する選択操作をすると、各ボタン7G〜O、8G〜O毎に異なる選択信号が出力される。
【0023】
ギターコントローラ4のボディ部分の中央付近には、ピッキングレバー9が設けられている。ピッキングレバー9は、ギターの弦を弾く動作をシミュレートするためのもので、プレイヤによってギターの弦のように操作される。このため、ピッキグレバー9は、ボディ部分への取付部を支点として上下に一定範囲だけ回転運動可能に設けられている。ピッキングレバー9の取付部には、ピッキングレバー9が回転運動可能な一定範囲のほぼ中央に保持されるように不図示の弾性部材が設けられている。また、ピッキンレバー9には、不図示の操作検出用のセンサが設けられている。これにより、ギターコントローラ4は、プレイヤがピッキングレバー9を回転運動させる操作をした場合に、この操作を検出して信号として出力可能である。プレイヤはギターを持つようにギターコントローラ4持ち、ギターを演奏するようにギターコントローラ4の各ボタン7、8、9を操作する。ローフレット操作部7と、ハイフレット操作部8と、ピッキングレバー9とがいずれも操作部に相当する。さらに、ギターコントローラ4には、ギターコントローラ4の傾きを検知する不図示の傾斜検知手段が設けられている。また、ギターコントローラ4は、傾斜検知手段が検知した傾きの情報を出力可能に構成されている。この傾斜検知手段としては、傾きセンサ、加速度センサ等の周知の技術が採用される。なお、ギターコントローラ4には、その他ゲームの進行を選択、中止等するための不図示の操作ボタン等も設けられている。
【0024】
図1に示すように、ゲーム機本体3の内部にはコンピュータとしての制御ユニット10が設けられている。制御ユニット10は、制御主体としてのゲーム制御部11と、そのゲーム制御部11からの出力に従って動作する表示制御部12及び音声出力制御部14と、を備えている。ゲーム制御部11は、マイクロプロセッサと、そのマイクロプロセッサの動作に必要な内部記憶装置(一例としてROM及びRAM)等の各種の周辺装置とを組み合わせたユニットとして構成されている。表示制御部12は、ゲーム制御部11から与えられる描画データに応じた画像をフレームバッファに描画し、その描画した画像に対応する映像信号をモニタ5に出力することにより、モニタ5上に所定の画像を表示させる。音声出力制御部14は、ゲーム制御部11から与えられる音声再生データに応じた音声再生信号を生成してスピーカ6に出力することにより、スピーカ6から所定の楽曲(効果音等を含む)を再生させる。
【0025】
制御ユニット10には、ギターコントローラ4が接続される。なお、その他にも、押釦スイッチ、十字キー等が設けられたコントローラ等、各種の入力装置が制御ユニット10に接続されてよい。ゲーム機本体3には、外部記憶装置20が接続されている。外部記憶装置20には、DVDROM、CDROM等の光学式記憶媒体、あるいはEEPROM等の不揮発性半導体メモリ装置といった、電源の供給がなくても記憶を保持可能な記憶媒体が使用される。ゲーム機本体3に外部記憶装置20が接続されることにより、ゲーム制御ユニット11は外部記憶装置20に記憶されている各種プログラム、各種データ等の読み取りが可能になる。
【0026】
外部記憶装置20には、ゲームプログラム21と、ゲームデータ22とが記憶されている。ゲームプログラム21は、ゲーム機1にて所定の手順に従って音楽ゲームを実行するために必要なコンピュータプログラムであり、そこには、本発明に係る機能を実現するためのシーケンス制御モジュール23及び評価モジュール24が含まれている。ゲーム機本体3が起動されると、ゲーム制御部11はその内部記憶装置に記憶されたオペレーションプログラムを実行してゲーム機1として動作するために必要な各種の処理を実行し、続いて外部記憶装置20からゲームプログラム21を読み込んでこれを実行することにより、ゲームプログラム21に従って音楽ゲームを実行するための環境を設定する。ゲームプログラム21のシーケンス制御モジュール23がゲーム制御部11にて実行されることにより、ゲーム制御部11にはシーケンス処理部15が生成される。また、ゲームプログラム21の評価モジュール24がゲーム制御部11にて実行されることにより、ゲーム制御部11には操作評価部16が生成される。シーケンス処理部15及び操作評価部16は、コンピュータハードウェアとコンピュータプログラムとの組み合わせによって実現される論理的装置である。シーケンス処理部15は、プレイヤが選択した音楽(楽曲)の再生に合わせてプレイヤに操作を指示し、あるいはプレイヤの操作に応じて効果音等の演出を発生させるといった音楽ゲーム処理を実行する。操作評価部16は、プレイヤの操作を評価する処理を実行する。なお、ゲームプログラム21には、上述したモジュール23、24の他にも音楽ゲームを実行するために必要な各種のプログラムモジュールが含まれ、ゲーム制御部11にはそれらのモジュールに対応した論理装置が生成されるが、それらの図示は省略した。
【0027】
ゲームデータ22には、ゲームプログラム21に従って音楽ゲームを実行する際に参照されるべき各種のデータが含まれている。例えば、ゲームデータ22には、楽曲データ25、効果音データ26及び画像データ27が含まれている。楽曲データ25は、ゲームの対象となる楽曲をスピーカ6から再生出力させるために必要なデータである。図1では、一種類の楽曲データ25が示されているが、実際には、プレイヤが複数の楽曲からプレイする楽曲を選択可能である。ゲームデータ22には、それらの複数の楽曲データ25がそれぞれの曲を識別するための情報を付して記録されている。効果音データ26は、プレイヤの操作に応答してスピーカ6から出力させるべき複数種類の効果音を、効果音毎にユニークなコードと対応付けて記録したデータである。効果音は、楽器その他の様々な種類の音声を含む。効果音データは、各種類に対して、音程を変えて所定のオクターブ数だけ用意されている。画像データ27は、ゲーム画面内の背景画像、各種のオブジェクト、アイコン等をモニタ5に表示させるためのデータである。
【0028】
ゲームデータ22には、さらにシーケンスデータ28が含まれている。シーケンスデータ28は、プレイヤに対して指示すべき操作等を定義したデータである。一曲の楽曲データ25に対して、最低一個のシーケンスデータ28が用意される。シーケンスデータ28の詳細は後述する。
【0029】
次に、ゲーム機1にて実行される音楽ゲームの概要を説明する。図3は、モニタ5に表示される通常時のゲーム画面51を模式的に示した図である。図3に示すように、ゲーム機1による音楽ゲームの実行中、モニタ5にはプレイヤを模したキャラクタ100が表示され、そのキャラクタ100の下方、ゲーム画面51内の下部に操作指示領域101が表示される。つまり、ゲーム画面51には、キャラクタ100と、操作指示領域101の表示が含まれている。操作指示領域101には、破線で示す画面の奥側の出発位置102から画面の手前側の到達位置103に向かって延びる5つのレーン104G、104R、104Y、104B、104Oが表示されている。これらの各レーン104G〜Oを区別しないときには、以下でレーン104と表記する。また、図3及び4では、出発位置102及び到達位置103を破線で示したが、実際のゲーム画面には表示されていない。なお、出発位置102及び到達位置103が実際のゲーム画面に表示されていてもよいし、各レーン104G〜Oの出発位置102及び到達位置103が直線で示せるような一律な位置でなく、それぞれ異なる位置であってもよい。
【0030】
各レーン104G〜Oは、それぞれ図3の右からグリーンレーン104G、レッドレーン104R、イエローレーン104Y、ブルーレーン104B、オレンジレーン104O、の順に左に向かって配置されており、各レーン104G〜Oは、ギターコントローラ4のローフレット操作部7の各ボタン7G〜Oにそれぞれ対応している。つまり、グリーンレーン104Gが音選択ボタン7Gに、レッドレーン104Rが音選択ボタン7Rに、イエローレーン104Yが音選択ボタン7Yに、ブルーレーン104Bが音選択ボタン7Bに、オレンジレーン104Oが音選択ボタン7Oに、それぞれ対応している。各レーン104G〜Oは、相互間の間隔が出発位置102から到達位置103に向かって徐々に大きくなるように表示され、到達位置103付近には各レーン104G〜Oを横断する直線が操作基準標識105として表示されている。つまり、操作基準標識105は、初期位置105Dとして操作指示領域101の下側、即ち、ゲーム画面51の下部に位置している。音楽ゲームの実行中、つまり、楽曲の再生の進行中において、各レーン104G〜Oには、ローフレット操作部7の各ボタン7G〜Oに対応する操作指示標識としてのオブジェクト106が適宜に表示される。
【0031】
オブジェクト106は、曲中の適当な時期に各レーン104G〜Oの出発位置102に出現し、矢印Aで示すように楽曲の再生と同期した速度で到達位置103に向かって移動する。そして、オブジェクト106の操作基準標識105への到達に合わせてプレイヤがそのオブジェクト106の移動している各レーン104G〜Oに対応する各ボタン7G〜Oを選択操作し、かつ、ピッキングレバー9を操作すると、これらの操作がされた時刻と、オブジェクト106が操作基準標識105に一致した時刻との間の時間のずれが検出される。それらの時間のずれが小さいほどプレイヤの操作が高く評価される。また、各ボタン7G〜Oの選択操作に応じた効果音がスピーカから再生される。図3で示す例では、ブルーレーン104Bのオブジェクト106が操作基準標識105に到達する直前であり、その到達に合わせてプレイヤはブルーレーン104Bに対応するローフレット操作部7の音選択ボタン7Bを選択操作し、かつ、ピッキングレバー9を操作すればよい。なお、オブジェクト106は、表示する各レーン104G〜Oに対応するカラーで表示されるように構成されてもよい。このように色分けすれることにより、プレイヤはどのレーンに対応するオブジェクト106であるか判別しやすくなる。
【0032】
ゲーム中には、曲中の適宜なタイミングでライトハンド演奏画面へとゲーム画面51が切り替わる。図4は、モニタ5に表示されるライトハンド演奏時のゲーム画面52を模式的に示した図である。ライトハンド演奏とは、いわゆるギターのライトハンド演奏に対応するもので、ギターの弦を右手でタッピングする演奏を指している。ライトハンド演奏では、一般的にギターのボディ付近の弦がタッピングされる。また、ライトハンド演奏時には、プレイヤの姿勢が低姿勢になったり、ギターのネックを上方に持ち上げて演奏したりと、プレイヤの演奏姿勢に変化が生じることが多い。
【0033】
図4に示すように、ライトハンド演奏時のゲーム画面52では、通常時のゲーム画面51と比べて、キャラクタ100が下方に移動している。そして、操作指示領域101の位置がキャラクタ100の上方に移動している。つまり、各レーン104G〜Oの出発位置102、到達位置103及び、操作基準標識105の初期位置105Dがいずれもゲーム画面内の上部に移動している。通常時のゲーム画面51では、出発位置102が到達位置103の上方に位置していたが、ライトハンド演奏時のゲーム画面52では、出発位置102が到達位置の下方に位置している。つまり、通常時のゲーム画面51とライトハンド演奏時のゲーム画面52とでは、出発位置012と到達位置103との間の上下の位置関係が反転している。このため、通常時のゲーム画面51では、オブジェクト106が上方から下方へ、つまり、図3の矢印Aで示す方向へ移動しているのに対し、ライトハンド演奏時のゲーム画面52では、オブジェクト106が下方から上方へ、つまり、図4の矢印Bで示す方向へ移動している。即ち、通常時のゲーム画面51とライトハンド演奏時のゲーム画面52とでは、オブジェクト106の移動方向も反転している。
【0034】
ライトハンド演奏時のゲーム画面52では、各レーン104G〜Oは、ハイフレット操作部8の各ボタン8G〜Oのそれぞれと、互いに対応する色ごとに対応している。つまり、各レーン104G〜Oとギターコントローラ4の各ボタンとの対応関係が、ローフレット操作部7の各ボタン7G〜Oからハイフレット操作部8の各ボタン8G〜Oに変化する。各レーン104G〜Oには、ハイフレット操作部8の各ボタン8G〜Oに対応するオブジェクト106が適宜に表示される。また、オブジェクト106は、曲中の適当な時期に各レーン104G〜Oの出発位置102に出現し、矢印Bで示すように楽曲の再生と同期した速度で到達位置103に向かって移動する。そして、オブジェクト106の操作基準標識105への到達に合わせてプレイヤがそのオブジェクト106の移動している各レーン104G〜Oに対応する各ボタン8G〜Oを選択操作するすると、その選択操作がされた時刻と、オブジェクト106が操作基準標識105に一致した時刻との間の時間のずれが検出される。それらの時間のずれが小さいほどプレイヤの操作が高く評価され、各ボタン8G〜Oの選択操作に応じた効果音がスピーカ6から再生されるのは、通常時のゲーム画面51の場合と同様である。
【0035】
図4で示す例では、オレンジレーン104Oのオブジェクト106が操作基準標識105に到達する直前であり、その到達に合わせてプレイヤはオレンジレーン104Oに対応するハイフレット操作部8の音選択ボタン8Oを選択操作すればよい。図4で示す例では、キャラクタ100がライトハンド演奏を促すように低姿勢を示し、手にするギターのボディ付近のネックを右手でタッピングする動作が表示されている。なお、ライトハンド演奏時のゲーム画面52において、ローフレット操作部7の各ボタン7G〜Oの選択操作とともにピッキングレバー9を操作した場合、これらの操作も有効としている。但し、ライトハンド演奏時においては、オブジェクト106の表示量が多くなる場合が多い。そして、ローフレット操作部7を使用する場合には、ハイフレット操作部8を使用する場合と比べて、ピッキングレバー9を操作する分だけ操作量が多くなる。このため、ライトハンド演奏時には必然的にハイフレット操作部8の使用が促される。また、通常時のゲーム画面51においても、ハイフレット操作部8の選択操作を有効にしている。
【0036】
次に、図5を参照してシーケンスデータ28の詳細を説明する。図5に示したように、シーケンスデータ28は、条件定義部28aと、操作シーケンス部28bとを備えている。条件定義部28aには、音楽のテンポ、ビート、トラック、また、各ボタン7G〜O、8G〜Oを操作したときにそれぞれ発生させるべき効果音を指定する情報、上述した操作時期のずれと評価との対応関係を指定する情報といった、ゲームを実行するための各種の条件を指定する情報が記述される。
【0037】
一方、操作シーケンス部28bには、ローフレット操作部7の各ボタン7G〜Oの選択操作及びピンキングレバー9の操作または、ハイフレット操作部8の各ボタン8G〜Oの選択操作のいずれかの操作をすべき時期が楽曲中の時刻と対応付けて記述される。即ち、図5にその一部を示したように、操作シーケンス部28bは、楽曲中において操作が行われるべき時期(操作時期)と操作部(各ボタン7G〜O、8G〜O)とを対応付けた複数のレコードの集合として構成されている。操作時期は、楽曲中の小節部分、拍数、及び拍中の時刻を示す値をカンマで区切って記述されている。拍中の時刻は、一拍の先頭からの経過時間であり、一拍の時間長をn個の単位時間に等分して先頭からの単位数で表現される。例えば、楽曲の一小節目の二拍目で、かつその拍の先頭から1/4だけ経過した時刻を操作時期として指定する場合には、“01,2,n/4”と記述される。
【0038】
各ボタンボタン7G〜O、8G〜Oの指定は“button1”〜“button10”と各ボタン7G〜O、8G〜Oに対応するユニークな番号が“button”に付されてそれぞれ記述される。即ち、音選択ボタン7Gが“button1”と、音選択ボタン7Rが“button2”と、音選択ボタン7Yが“button3”と、音選択ボタン7Bが“button4”と、音選択ボタン7Oが“button5”と、それぞれ記述される。同様に、音選択ボタン8Gが“button6”と、音選択ボタン8Rが“button7”と、音選択ボタン8Yが“button8”と、音選択ボタン8Bが“button9”と、音選択ボタン8Oが“button10”と、それぞれ記述される。また、各ボタン7G〜O、8G〜Oの指定は各ボタン7G〜O、8G〜Oに対応する各レーン104G〜Oの指定にも相当する。つまり、“button1”の記述はグリーンレーン104Gの指定に、“button2”の記述はレッドレーン104Rの指定に、“button3”の記述はイエローレーン104Yの指定に、“button4”の記述はブルーレーン104Bの指定に、“button5”の記述はオレンジレーン104Oの指定に、それぞれ相当する。また、同様に“button6”〜“button10”の指定もハイフレット操作部8の各ボタン8G〜Oに対応する各レーン104G〜Oの指定にそれぞれ相当する。図5の例では、一小節目の四拍目の開始時点(000)でローフレット操作部7の音選択ボタン7Gを選択操作するとともにピッキングレバー9を操作し、一小節目の四拍目の開始時点から“0012”相当だけ経過した時期に音選択ボタン7Rを選択操作するとともにピッキングレバー9を操作する。また、二小節目の一拍目の開始時点(000)では音選択ボタン7R及び音選択ボタン7Yを同時に選択操作するとともにピッキングレバー9を操作する。
【0039】
操作シーケンス部28bには、ゲーム画面51、52を通常時のものとライトハンド演奏時のものとの間で切り替えるべき時期が楽曲中の時刻と対応付けて記述されている切替指示情報28cが含まれている。例えば、切替指示情報28cは、ゲーム画面を通常時のものからライトハンド演奏時のものへと切り替える場合には、“change lane position2”と、ライトハンド演奏時のものから通常時のものへと切り替える場合、つまり、各レーン104G〜Oの位置をデフォルト位置に戻す場合には、“change lane position1”と記述される。さらに、操作シーケンス部28bには、ハイフレット操作部8の各ボタン8G〜Oのそれぞれの操作時期を指定する記述が連続するハイフレット操作記述部28dが含まれている。また、切替指示情報28cとハイフレット操作記述部28dとの間にローフレット操作部7の操作時期を指定する記述は含まれていない。図5の例では、三小節目の四拍目の開始時点から“0024”相当だけ経過した時期にゲーム画面が通常時のもの(図3参照)からライトハンド演奏時のもの(図4参照)に切り替わる。また、三小節目の四拍目の開始時点から“0025”相当だけ経過した時期にハイフレット操作部8の音選択ボタン8Yを選択操作する。
【0040】
図5の例では、“03,04,024,button9”〜“03,04,026,button7”の記述がハイフレット操作記述部28dに相当し、“03,04,024,button9”がハイフレット操作記述部28dの最初の操作時期の記述に相当する。なお、切替指示情報28cとハイフレット操作記述部28dの最初の操作時期の記述とは、同じ時刻が指定されていてもよいし、ハイフレット操作記述部28dの最初の操作時期として切替指示情報28cが指定する時刻経過後の異なる時刻が指定されていてもよい。また、図5では条件定義28aがシーケンスデータ28の先頭のみに設けられているが、操作シーケンス部28bの途中の適宜の位置に条件定義部28aが設けられてよい。それにより、曲中でのテンポの変更、効果音の割り当ての変更といった処理を実現することができる。また、同一の楽曲に対して難易度が異なる複数のシーケンスデータ28が予め用意されることもある。この場合、複数のシーケンスデータ28のそれぞれには難易度を判別するための情報が付加される。また、切替指定情報28cは条件定義部28aに含まれていてもよい。
【0041】
ゲーム制御部11のシーケンス処理部15は、上述したシーケンスデータ28にて指定された操作時期にオブジェクト106が操作基準標識105と一致するように各レーン104G〜Oのそれぞれの表示を制御する。
【0042】
次に、ゲーム制御部11が音楽ゲームを実行する際の処理を説明する。ゲーム制御部11は、ゲームプログラム21を読み込んで音楽ゲームを実行するために必要な初期設定を終えると、プレイヤからのゲーム開始の指示に備えて待機する。ゲーム開始の指示は、例えばゲームでプレイする楽曲、あるいは難易度の選択といったゲームで使用するデータを特定する操作を含む。それらの指示を受け付ける手順は、公知の音楽ゲーム等と同様でよい。ゲーム開始が指示されると、ゲーム制御部11は、プレイヤが選択した曲に対応する楽曲データ25を読み取って音声出力制御部14に出力することにより、スピーカ6から楽曲の再生を開始させる。これにより、制御ユニット10が楽曲再生手段として機能する。さらに、ゲーム制御部11は、楽曲の再生に同期して、プレイヤの選択に対応したシーケンスデータ28を読み取って、画像データ27を参照しつつキャラクタ100及び操作指示領域101を含む必要な画像データ27を生成して表示制御部12に出力することにより、モニタ5上にキャラクタ100及び操作指示領域101を含む必要な画像を表示させる。また、音楽ゲームの実行中において、ゲーム制御部11は、操作指示領域101の表示等に必要な処理として、図6に示すシーケンス処理ルーチン、及び図7に示す操作評価ルーチンのそれぞれを所定の周期で繰り返し実行する。なお、図6のルーチンはシーケンス処理部15が、図7のルーチンは操作評価部16がそれぞれ担当する。
【0043】
図6のシーケンス処理ルーチンが開始されると、ゲーム制御部11のシーケンス処理部15は、まずステップS1にて楽曲上の現在時刻を取得する。現在時刻は、一例として楽曲の再生開始時点を基準としてゲーム制御部11の内部クロックにて計時すればよい。続くステップS2において、シーケンス処理部15は、シーケンスデータ28から、操作指示領域101に表示すべき時間長(表示範囲)のデータを取得する。表示範囲は、一例として現在時刻から楽曲の二小節相当の時間長に設定される。
【0044】
次のステップS3にて、シーケンス処理部15はシーケンスデータ28から取得したデータ内にレーン位置の切り替え指示があるか否か、つまり、図5の例において“change lane position2”又は“change lane position1”のいずれかの指示があるか否かを判別する。ステップS3にて、肯定判断した場合には、シーケンス処理部15はステップS8に進み、否定判断した場合には、ステップS4に進む。
【0045】
ステップS8において、シーケンス処理部15は取得した現在時刻とレーン位置の切り替え指示とを比較して、現在時刻がレーン切り替え指示のタイミングに該当するが否かを判別する。ステップS8にて、肯定判断した場合には、シーケンス処理部15はステップS9に進み、否定判断した場合にはシーケンス処理部15はステップS4に進む。ステップS9において、シーケンス処理部15はレーン位置の切り替え指示に従って、予め定められた所定の位置に各レーン104G〜Oの位置を切り替える。図5の例では、“change lane position2”の指示に基づいて操作指示領域101をキャラクタ100の上方の位置へ、“change lane position1”の指示に基づいて操作指示領域101をキャラクタ100の下方のデフォルト位置へ、キャラクタ100及び操作指示領域101をそれぞれ移動させることにより、各レーン104G〜Oの出発位置102及び到達位置102を変化させる。
【0046】
ステップS4において、シーケンス処理部15は各レーン104G〜Oの位置を決定する。この処理は、例えば、ステップS8及びステップS9を経ていない場合には、レーン104の位置は前回のルーチンで決定されたレーン104の位置を維持する。なお、この場合、図6のルーチンの実行が初回のときには、前回のルーチンで決定されたレーン104の位置が存在しないので、レーン104の位置は、デフォルト位置に決定する。一方、ステップS8及びステップS9を経てレーン位置の切り替えを実行している場合には、レーン104の位置は切り替え後の位置に決定する。
【0047】
次のステップS5にて、シーケンス処理部15は各レーン104G〜Oに表示すべき全てのオブジェクト106の操作指示領域101内における座標を演算する。その演算は、一例として以下のように行われる。表示範囲に含まれている操作時期に対応付けられた各レーン104G〜Oの指定、即ち、図5の例において“button1”〜“button10”のいずれかの指定に基づいてオブジェクト106を各レーン104G〜Oのいずれに配置するべきかを判別する。また、各操作時期と現在時刻との時間差に応じて、操作基準標識105からの時間軸方向(つまり、オブジェクト106の移動方向)における各レーン104G〜O上のそれぞれのオブジェクト106の位置を判別する。これにより、各オブジェクト106を、指定された各レーン104G〜O上に操作基準標識105から時間軸に沿って配置するために必要な各オブジェクト106の座標を取得することができる。
【0048】
続くステップS6において、シーケンス処理部15はステップS4で決定されたレーンの位置、及びステップS5で演算されたオブジェクト106の座標に基づいて、操作指示領域101を描画するために必要な画像データを生成する。具体的には、決定されたレーン位置に各レーン104G〜Oが表示され、その各レーン104G〜O上に演算された座標にオブジェクト106が配置されるように画像データを生成する。各レーン104G〜O及びオブジェクト106の画像は、画像データ27から取得すればよい。
【0049】
ステップS7において、シーケンス処理部15は表示制御部12に画像データを出力する。これにより、モニタ5に操作指示領域101が表示される。ステップS7の処理を終えると、シーケンス処理部15は今回のシーケンス処理ルーチンを終了する。以上の処理が実行されることにより、シーケンスデータ28にて記述された操作時期にオブジェクト106が操作基準標識105へ到達するように各レーン104G〜O上にオブジェクト106が移動表示されるとともに、楽曲中の適宜なタイミングで各レーン104G〜Oの表示される位置、つまり、操作指示領域101及びキャラクタ100が表示される位置が切り替えられる。
【0050】
次に、図7の操作評価ルーチンを説明する。図7の操作評価ルーチンが開始されると、操作評価部16は、まずステップS11で、ギターコントローラ4の出力信号を参照して、各ボタン7G〜O、8G〜O及びピッキングレバー9の操作の有無を判別する。この操作の判別を操作評価部16は、ギターコントローラ4の出力信号に基づいて操作出力信号を判別することにより行う。操作評価部16は、ローフレット操作部7の各ボタン7G〜Oの選択操作を示す信号が出力された場合には、その各ボタン7G〜Oの操作から一定の時間内に出力されるピッキングレバー9の操作を示す信号の出力をもって操作出力信号が出力されたと判断し、ハイフレット操作部8の各ボタン8G〜Oの選択操作を示す信号が出力された場合には、その各ボタン8G〜Oの操作を示す信号の出力をもって操作出力信号が出力されたと判断する。一方、各ボタン7G〜O、8G〜O及びピッキングレバー9の操作を示す出力信号がなかった場合、及び、これらの操作を示す出力信号があった場合でも、ローフレット操作部7の各ボタン7G〜O若しくは、ピッキングレバー9のそれぞれの単独操作を示す出力信号の場合、及び、ローフレット操作部7の各ボタン7G〜Oの操作から一定の時間を超えて出力されたピッキングレバー9の操作を示す出力信号の場合には、操作出力信号なしと判断する。そして、ステップS11では、操作出力信号がなければ、操作評価部16は、今回のルーチンを終了し、操作出力信号があればステップS12へ進む。
【0051】
ステップS12において、操作評価部16は、ギターコントローラ4から出力された出力信号に基づいて、各ボタン7G〜O、8G〜Oのいずれが選択操作されたかを判別するとともに、操作出力信号が出力されたタイミング(楽曲上の時刻)を判別する。続くステップS13にて、操作評価部16は、選択操作がされた各ボタン7G〜O、8G〜Oに対応するレーンに関して、シーケンスデータ28に記述された直近の操作時期、つまりは選択操作がされた各ボタン7G〜O、8G〜Oに対応するレーンに関して、シーケンスデータ28上で時間的に最も接近した操作時期を特定し、その操作時期と操作出力信号が出力された時刻との間のずれ時間を取得する。
【0052】
次のステップS14において、操作評価部16は、ずれ時間が評価範囲内か否かを判別することにより、プレイヤの操作が適切か否か判断する。評価範囲は、比較対象の操作時期を中心として前後に所定の時間範囲で設定される。一例として、図8に示したように、操作時期を中心として複数段のレベル(図ではレベルA〜C)が設定され、それらのレベルが設定されている時間範囲が評価範囲として扱われる。ステップS14にてずれ時間が評価範囲外の場合、操作評価部16は今回のルーチンを終了し、評価範囲内の場合にはステップS15に進む。ステップS15にて、操作評価部16は、ステップS13で取得したずれ時間が図8のレベルA〜Cのいずれに属するかを判別することにより、プレイヤのギターコントローラ4への操作に対する評価を決定する。レベルAが最高評価であり、レベルB、Cの順に評価が下がる。その後、操作評価部16はステップS16に進み、評価結果がモニタ5に表示されるように、表示制御部12への出力を制御する。ステップS16の処理を完了すると、操作評価部16は今回のルーチンを終了する。
【0053】
以上に説明したように、本形態のゲーム機1においては、シーケンスデータ28に含まれる切替指示情報28cの“change lane position”の指示と対応付けられた時刻になると、通常のゲーム画面51とライトハンド演奏時のゲーム画面52との間でゲーム画面が切り替えられる。これにより、各レーン104G〜Oの表示位置及びオブジェクト106の移動方向を変化させることができるので、ゲームの多様性を高める等の手段として操作案内を機能させることができる。また、この形態では、各レーン104G〜Oの表示位置の変化に合わせてキャラクタ100の位置及び、姿勢等も変化させているので、プレイヤの視点の変化及びプレイヤの姿勢の変化を誘導することができる。特に、ライトハンド演奏時には、各レーン104G〜Oを上方に移動させることにより、プレイヤの姿勢を低姿勢あるいはギターのネックを持ち上げた姿勢等、実際の演奏時の姿勢に近い姿勢に誘導することができる。これにより、よりリアリティのあるギター演奏が行えるため、ゲームの多様性等をより向上させることができる。さらに、ゲーム制御部11は、ギターコントローラ4に設けられた傾斜検知手段が検知した傾きの情報に基づいて、ライトハンド演奏時のゲーム画面52に対応するネックを持ち上げる等のギターコントローラ4への所定の操作を判定し、この所定の操作に対応させて大きな歓声をスピーカ6から出力する、追加点を与える等の特典をプレイヤに与えてもよい。これにより、ゲームの臨場感を向上させることができる。
【0054】
以上の形態においては、ゲーム機1の外部記憶装置20が楽曲データ記憶手段、シーケンスデータ記憶手段、として機能する。また、制御ユニット10が、シーケンス処理部15に図6のステップS1、ステップS2及び、ステップS4〜ステップS7の処理を実行させることにより操作案内手段として機能する。さらに、制御ユニット10は、シーケンス処理部15に図6のステップS3、ステップS8及び、ステップS9を実行させることにより経路変更手段及び、領域位置変化手段として機能する。また、図3に示すように、ゲーム画面内の上部に操作指示領域101が表示されている状態、つまり、ゲーム画面内の上部にレーン104の出発位置102及び到達位置103が表示されている状態が表示に関する標準状態に相当し、図4に示すように、ゲーム画面内の下部に操作指示領域101が表示されている状態、つまり、ゲーム画面内の下部にレーン104の出発位置102及び到達位置103が表示されている状態が表示に関する例外状態に相当する。また、図3に示すように、レーン104の出発位置102が到達位置103の上方に位置する状態が変位に関する標準状態に相当し、図4に示すように、レーン104の出発位置102が到達位置103の下方に位置する状態が変位に関する例外状態に相当する。また、図3に示すように、キャラクタ100の下方、つまり、ゲーム画面51の下部に操作指示領域101が位置している状態が領域位置に関する標準状態に相当し、図4に示すように、キャラクタ100の上方、つまり、ゲーム画面52の上部に操作指示領域101が位置している状態が領域位置に関する例外状態に相当する。さらに、図3に示すように、操作基準標識105の初期位置105Dが、領域位置に関する標準状態において操作指示領域101の下側、つまり、ゲーム画面51の下部に位置している状態が初期位置に関する標準状態に相当し、図4に示すように、操作基準標識105の初期位置105Dが、領域位置に関する例外状態において操作指示領域101の上側、つまり、ゲーム画面52の上部に位置している状態が初期位置に関する例外状態に相当する。また、各レーン104G〜Oが所定の経路に相当する。
【0055】
本発明は上述の形態に限定されず、適宜の形態にて実施することができる。上述の形態では、操作評価部16は、図7のルーチンにおいて、ハイフレット操作部8の各ボタン8G〜Oの選択操作を示す信号の出力をもって、操作出力信号の出力と判断しているが、このような構成に限定されるものではない。ハイフレット操作部8の各ボタン8G〜Oの選択操作を示す信号が出力された場合にも、これらの各ボタン8G〜Oの操作を示す信号の出力から一定の時間内に出力されるピッキングレバー9の操作を示す信号の出力をもって操作出力信号が出力されたと判断してもよい。この場合、操作評価部16は、ハイフレット操作部8の各ボタン8G〜Oの単独操作を示す出力信号、及び、各ボタン8G〜Oの操作を示す信号の出力から一定の時間を超えて出力されたピッキングレバー9の操作を示す出力信号を操作出力信号なしと判断すればよい。また、上述の形態では、ライトハンド演奏時のゲーム画面52において、ローフレット操作部7の各ボタン7G〜Oの選択操作とともにピッキングレバー9を操作した場合、この操作が有効となるように構成されているが、無効となるような構成としてもよい。これにより、ライトハンド演奏時のゲーム画面においてライトハンド演奏を促すことができる。
【0056】
また、上述の形態では、通常時のゲーム画面51においてもハイフレット操作部8の選択操作が有効となるように構成されているが、無効となるような構成としてもよい。通常時のゲーム画面51においてハイフレット操作部8の選択操作を無効とすることにより、操作評価ルーチンにおいて操作出力信号の出力と判断されるまでの操作量がローフレット操作部7を選択操作する場合に比べて少ないハイフレット操作部8の操作が、通常時のゲーム画面51において使用されることを防止することができる。この場合、例えば、通常時とライトハンド演奏時とのゲーム画面の切り替え指示、つまり、図5の例における“change lane position2”及び“change lane position1”の各指示により、ハイフレット操作部8の選択操作の有効、無効を切り替えればよい。また、入力装置としては、ギターコントローラ等の専用のコントローラを利用した例に限らず、タッチパネル、押釦、レバー、トラックボールといった各種の構成の入力装置を利用することができる。
【0057】
また、上述の形態では、操作シーケンスデータに記述された指示に基づいて所定の経路の出発位置及び到達位置を変化させているが、このような構成に限定されるものではない。例えば、ゲーム制御部11は、傾斜検知手段が検知した傾きの情報に基づいて、ギターコントローラ4の所定方向への傾きが一定以上になる所定の操作を判定し、この所定の操作に対応させて経路変更手段が所定の経路の出発位置及び到達位置を変化させるように構成されていてもよい。この場合、実際のギター演奏者がライトハンド演奏の際にギターを一定方向に傾ける動作に対応させてゲーム画面の切り替えができるので、臨場感を演出できる。また、入力装置に対する所定の操作は、このような傾斜検知手段が検知した傾きの情報に基づく所定方向への傾きが一定以上になる操作に限定されず、例えば、単なるボタンの操作等、プレイヤが行う各種の操作を所定の操作として採用することができる。また、傾斜検知手段が省略されたギターコントローラによっても本発明は実施可能である。また、例えば、操作評価手段としての操作評価部が、プレイヤのギターコントローラへの操作に対する評価結果に応じた指示を出力するように構成され、経路変更手段が操作評価部からの評価結果に応じた指示に基づいて所定の経路の出発位置及び到達位置を変化させるように構成されていてもよい。この場合、例えば、プレイヤの評価が良い場合にはゲーム画面を切り替え、プレイヤの評価が良くない場合にはゲーム画面を切り替えないというようにプレイヤの技量に応じてゲーム画面の切り替えができるので、ゲームの難易度をより適切に変化させることができる。また、同一の楽曲に対して難易度の異なる複数のシーケンスデータが用意されている場合において、難易度の低いシーケンスデータからは所定の経路の出発位置及び到達位置を変化させる指示が省略されていてもよい。また、例えば、シーケンスデータがEASY、MEDIUM、HARD等の難易度別に分類される場合には、EASYに分類されるシーケンスデータからは所定の経路の出発位置及び到達位置を変化させる指示が省略されていてもよい。また、これら難易度に応じたシーケンスデータが用意され、操作評価手段が所定の経路の出発位置及び到達位置を変化させる指示を出力するように構成されている場合において、難易度の低いシーケンスデータが用いられている場合には、経路変更手段が操作評価部からの指示に関わらず所定の経路の出発位置及び到達位置を変化させなくてもよい。この場合、プレイヤの技量に加えて、シーケンスデータの分類によってもゲームの難易度を変化させることができる。
【0058】
また、上述の形態では、所定の経路がゲーム画面51、52に表示されているが、このような構成に限定されるものではない。例えば、所定の経路が点滅していても、ゲーム画面に表示されていなくてもよい。また、所定の経路が直線に限定されるものでもない。例えば、所定の経路は曲線であってもよい。また、上述の形態では、操作基準標識は、初期位置から移動せずに、操作指示標識が操作基準標識に向かって移動しているが、このような形態に限定されるものではない。例えば、操作案内手段に関しては、操作指示標識を移動させず、操作基準標識を移動させることにより両標識間の相対的な変位を実現してもよい。この場合、操作指示標識を所定の表示範囲(例えば2小節相当の時間長)毎に一括して更新し、操作基準標識は、表示範囲が更新される毎に出発位置付近の初期位置から到達位置へと移動するようにそれらの表示を制御すればよい。本発明は単一の操作部のみが設けられている場合にも適用可能である。複数の操作部が設けられている場合であっても、操作案内手段は、操作部が判別可能な態様で操作指示標識を表示できるとともに、操作指示標識と操作基準標識とを所定の経路に沿って時間順の配置で表示させ、操作基準標識と操作指示標識との間にゲーム上の時間の進行に応じた相対的でかつ、所定の経路に沿った変位を生じさせる限りにおいて、操作部毎に規定された所定の経路のそれぞれに操作指示標識を表示させる形態とは異なる形態で操作を案内してもよい。例えば、複数の操作部のそれぞれに対して互いに異なるシンボルを割り当て、操作指示標識をそれらのシンボルに対応して操作部毎に変更すれば、各操作部の操作指示標識を同一の経路に配置しても、複数の操作部のいずれを操作すべきかをプレイヤが判別可能である。
【0059】
また、上述の形態では、操作案内手段は、表示に関する標準状態としてゲーム画面内の下部に所定の経路が位置するように出発位置及び到達位置を設定しているが、このような構成に限定されるものではない。また、同様に、操作案内手段は、変位に関する標準状態として、操作基準標識と操作指示標識との間の相対的でかつ、所定の経路に沿った変位が上方から下方に生じるように、出発位置を到達位置の上方に設定しているが、このような構成に限定されるものではない。操作案内手段は、標準状態として所定の経路が任意の位置に位置するように出発位置及び到達位置を任意に設定してもよい。例えば、操作案内手段は、標準位置として、所定の経路をゲーム画面内の右側に設定してもよいし、出発位置を到達位置の下方に設定してもよい。また、操作案内手段は、経路変更手段が位置を変化させた後の所定の経路を実際の変化前に予め予期可能なように案内してもよい。図9は、ライトハンド演奏時のゲーム画面52にて表示される各レーン104を半透明で予め表示させている場合を模式的に示している。例えば、図9に示すように、実際に所定の経路の位置を変化させる前に予め変化後の状態を破線104Fのような半透明で示すことにより、所定の経路等の位置の変化に伴ってプレイヤがオブジェクト等を見失うことを防止することができる。また、変化先の経路等を予め示すことにより、経路等の変化タイミングを分かりやすく案内することができる。
【0060】
経路変更手段は、表示に関する標準状態の例外状態として、所定の経路がゲーム画面内の上部に位置するように出発位置及び到達位置を変化させているが、このような構成に限定されるものではない。また、同様に、経路変更手段は、変位に関する標準状態の例外状態として、操作基準標識と操作指示標識との間の相対的でかつ、所定の経路に沿った変位が下方から上方に向かって生じるように、出発位置を到達位置の下方に位置を変化させているが、このような構成に限定されるものではない。例えば、経路変更手段は、所定の経路がゲーム画面内の左側に設定された標準状態に対する例外状態として、所定の経路がゲーム画面の右側にくるように、出発位置及び到達位置を変化させてもよい。この場合、所定の経路がゲーム画面の左側に位置すればローフレットボタンの操作を、所定の経路がゲーム画面の右側に位置すればハイフレットボタンの操作を、それぞれ案内していることを直感的に伝えることができる。
【0061】
また、図10A、図10B及び、図11は、本発明に係る変形例を示している。図10Aは、第1の変形例に係る通常時のゲーム画面51及びプレイヤ200を模擬的に示している。図10Aに示すように、通常時のゲーム画面51、つまり、標準状態では操作指示領域101がゲーム画面51内の下部に設定されている。一方、図10Bは、第1の変形例に係るライトハンド演奏時のゲーム画面52及びプレイヤを模擬的に示している。図10Bに示すように、ライトハンド演奏時のゲーム画面52、つまり、例外状態では出発位置102及び到達位置103がゲーム画面52に対して右方向に傾いており、操作指示領域101自体が標準状態を示すゲーム画面51と比べて図10Bの矢印R1で示すように右回転して右方向に傾いている。そして、例外状態にて操作指示領域101を右回転させることによりプレイヤ200の姿勢も操作指示領域101の回転につられて図10Bの矢印R2で示すような右回転の変化が促される。この場合、操作指示領域101の位置を徐々に回転させればプレイヤがオブジェクトの位置を見失うことを抑制できる。なお、操作指示領域101の回転の速度は急激であってもよい。さらに、操作指示領域101の回転にともなってギターコントローラに操作指示領域101の回転に対応する回転操作がされたことが判定された場合には、歓声等の特典を与えてもよい。以上のように、経路変更手段は、操作案内手段が任意の位置に標準状態として設定した所定の経路の出発位置及び到達位置に対する例外状態として、任意の位置に所定の経路の出発位置及び到達位置を変化させてよい。
【0062】
また、経路変更手段は、例えば、所定の経路がゲーム画面内の下部に位置し、かつ、出発位置が到達位置の下方に位置するように設定された標準状態に対する例外状態として、出発位置が到達位置の上方に位置するように、出発位置のみを変化させてもよいし、又は、出発位置及び到達位置の両方の位置を変化させてもよい。つまり、経路変更手段は、所定の経路の出発位置及び到達位置の両方の位置を変化させる構成に限定されるものではなく、所定の経路の出発位置及び到達位置のいずれか一方のみの位置を変化させてもよい。
【0063】
また、例えば、経路変更手段は、複数のレーンのうちの一部のレーンのみの出発位置及び到達位置を変化させてもよい。図11は、本発明に係る第2の変形例を示している。図11に示すように、経路変更手段は、複数のレーン104のうちの一部のレーン104G、104R、104Yについて標準状態の到達位置103を例外状態の到達位置103Pへ変化させてもよい。この場合、到達位置103の位置が変化していない左2つのレーン104O、104Bにてローフレットボタンの操作を、例外状態の到達位置103Pに位置する右3つのレーン104G、104R、104Yにてハイフレットボタンの操作を、それぞれ案内することができる。また、図11に示す第2の変形例では、例外状態において、一部のレーン104G、104R、104Yの到達位置103のみ位置を変化させているが、到達位置103に加えて出発位置102の位置を変化させてもよいし、出発位置102のみの位置を変化させてもよい。
【0064】
上述の形態では、レーン104の到達位置103が出発位置102の斜め下方に配置されているので、レーン104が奥側から手前側に延びているような仮想的な3D空間が画面上に表現されている。この場合において、プレイヤの視線とレーン104との間に形成される角度は任意でよい。例えば、通常時にゲーム画面51において、プレイヤの視線とレーン104との間に形成される角度が90度の場合には、奥行きがない空間、つまり、2次元空間を表現できる一方で、90度以外の角度の場合には、奥行きがある3次元空間を表現できるとともに、角度が0度若しくは180度に近づくに従って空間の奥行きが広がるようにプレイヤに体感させることができる。つまり、プレイヤの視線とレーン104との間に形成される角度によって仮想的な3D空間の奥行きの度合いが任意に表現されてもよい。図12及び図13は、プレイヤの視線Sとレーン104との間に形成される角度を仮想的な3D空間において側面から見た場合を想像して示す図である。図12は、通常時のゲーム画面51とライトハンド演奏時のゲーム画面52において、プレイヤの視線Sとレーン104との間に形成される角度αが等しい場合を示している。この場合、プレイヤがレーン104を見上げるときの角度と見下ろすときの角度とが等しいので、到達位置103の位置の変化の前後においてプレイヤが感じる違和感を抑制することができる。また、操作指示領域101内において、プレイヤの視線Sとレーン104との間に形成される角度を変化させるように、経路変更手段は出発位置及び到達位置の少なくともいずれか一方の位置を変化させてもよい。図13は、経路変更手段が角度αから角度βとなるようにレーン104の到達位置103を変化させる場合を示す図である。図13に示すように、プレイヤの視線Sに対して傾斜の小さい角度αから傾斜の大きい角度βへゲームの状況に応じて角度を変化させてもよい。傾斜が小さいと遠くから徐々にオブジェクトが近づくように感じさせることができるので、オブジェクトの移動を比較的小さく表現することができる一方で、傾斜が大きいと上から下に落ちていくように感じさせることができるので、オブジェクトの移動を比較的大きく表現することができる。このため、プレイヤの視線Sとレーン104との間に形成される角度を変化させることにより、プレイヤが体感するスピード感を変化させることができるので、難易度の調整をすることができる。
【0065】
上述の形態では、領域変更手段は、領域位置に関する例外状態において操作指示領域をゲーム画面の上部に配置するとともに、キャラクタの位置も下部に変化させている。つまり、操作指示領域の位置の変化に対応させてその他のものの位置にも変化を与えることにより、3D空間においてあたかも視点が移動したかのような効果を発揮させているが、このような構成に限定されるものではない。例えば、領域位置に関する例外状態においてキャラクタ等、その他のものの位置はそのままに操作指示領域の位置のみをゲーム画面の上部等、任意の位置に変化させてもよい。また、上述の形態では、領域位置に関する例外状態において領域位置変化手段がゲーム画面内における操作指示領域の表示位置を変化させるとともに、経路変更手段が領域位置に関する例外状態における操作指示領域に操作基準標識等が表示されるように所定の経路の出発位置及び到達位置を変化させているが、このような構成に限定されえるものではない。例えば、領域位置変化手段を省略してもよい。つまり、通常のゲーム画面とライトハンド演奏時のゲーム画面との間で操作指示領域の位置が変化しない状態において、経路変更手段が、所定の位置から位置に変化のない操作指示領域内にて所定の経路の出発位置及び到達位置の少なくともいずれか一方の位置を変化させてもよい。
【0066】
また、上述の形態では、楽曲を再生し、楽曲の演奏時間に基づいて操作基準標識と操作指示標識との間にゲーム上の時間の進行に応じた相対的でかつ、所定の経路に沿った変位を生じさせているが、このような構成に限定されるものではない。例えば、時間経過に合わせて変化する映像を画面に表示し、その映像に基づいて操作基準標識と操作指示標識との間に相対的でかつ、所定の経路に沿った変位を生じさせてもよい。この映像としては例えば、所定の時刻に所定の位置に旗があげられる旗揚げ映像、所定の時刻に所定の場所に到達するドライブ映像、もしくは、楽曲を省略したダンス映像といったものが考えられる。この場合、シーケンスデータには、ゲーム中における操作部の操作時期が記述されていればよく、操作案内手段は、楽曲上の時間にかえてゲーム上の時間を使用すればよい。つまり、本発明のゲームシステムは、音楽ゲームに限定されるものではない。さらに、本発明のゲームシステムは、商業施設に設置される業務用ゲーム機、家庭用の据置型ゲーム機、携帯型のゲーム機、ネットワークを利用して実現されるゲームシステムといった適宜の形態で実現されてよい。
【符号の説明】
【0067】
1 ゲーム機
4 ギターコントローラ(入力装置)
5 モニタ(表示装置)
6 スピーカ(音声出力装置)
7 ローフレット操作部(操作部)
8 ハイフレット操作部(操作部)
9 ピッキングレバー(操作部)
10 制御ユニット(コンピュータ、操作案内手段、経路変更手段、楽曲再生手段、領域位置変化手段)
11 ゲーム制御部
12 表示制御部
14 音声出力制御部
15 シーケンス処理部
16 操作評価部
20 外部記憶装置(楽曲データ記憶手段、シーケンスデータ記憶手段)
21 ゲームプログラム
22 ゲームデータ
25 楽曲データ
28 シーケンスデータ
28a 条件定義部
28b 操作シーケンス部
28c 切替指示情報
28d ハイフレット操作記述部
51 通常時のゲーム画面(ゲーム画面)
52 ライトハンド演奏時のゲーム画面(ゲーム画面)
100 キャラクタ
101 操作指示領域
102 出発位置
103 到達位置
104 レーン(所定の経路)
105 操作基準標識
105D 初期位置
106 オブジェクト(操作指示標識)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの操作部を有する入力装置と、
ゲーム画面を表示出力する表示装置と、
前記ゲーム中における前記操作部の操作時期を記述したシーケンスデータを記憶するシーケンスデータ記憶手段と、
前記ゲーム上の現在時刻から将来に向かって所定の時間範囲に含まれる前記操作部の操作時期を前記シーケンスデータに基づいて判別し、判別した各操作時期に対応する操作指示標識と前記現在時刻に対応する操作基準標識とを、前記ゲーム上にて所定の経路に沿って時間順の配置で表示させるとともに、前記操作指示標識が該操作指示標識にて示されるべき前記操作時期に前記操作基準標識と一致するようにして、前記操作基準標識と前記操作指示標識との間に前記ゲーム上の時間の進行に応じた相対的でかつ、前記所定の経路に沿った変位を生じさせることにより、前記操作部の操作をプレイヤに案内する操作案内手段と、を備え、
前記操作案内手段は、前記所定の経路の出発位置及び到達位置の少なくともいずれか一方の位置を変化させる経路変更手段を備えていることを特徴とするゲームシステム。
【請求項2】
前記操作案内手段は、前記相対的でかつ、前記所定の経路に沿った変位を生じさせるために前記所定の経路上に配置する前記操作基準標識の初期位置を、初期位置に関する標準状態として前記ゲーム画面内の所定の位置に設定し、
前記経路変更手段は、前記初期位置に関する標準状態の例外状態として前記操作基準標識の前記初期位置が前記ゲーム画面内の前記所定の位置から変化するように、前記所定の経路の前記出発位置及び前記到達位置の少なくともいずれか一方の位置を変化させることを特徴とする請求項1に記載のゲームシステム。
【請求項3】
前記操作案内手段は、前記操作指示標識及び前記操作基準標識を表示させる領域として操作指示領域を、領域位置に関する標準状態として前記ゲーム画面内の所定の位置に設定するとともに、前記操作指示領域として設定される前記ゲーム画面内の領域の位置を、前記領域位置に関する標準状態の例外状態として変化させる領域位置変化手段を備え、
前記経路変更手段は、前記領域位置に関する例外状態において前記操作指示標識及び前記操作基準標識が前記操作指示領域内に表示されるように、前記所定の経路の前記出発位置及び前記到達位置の少なくともいずれか一方の位置を変化させることを特徴とする請求項1又は2に記載のゲームシステム。
【請求項4】
前記入力装置には、複数の操作部が設けられ、
前記シーケンスデータには、前記操作時期が、前記複数の操作部のいずれかを指定する情報と対応付けて記述され、
前記操作案内手段は、各操作時期に対応する操作部が判別可能な態様で前記操作指示標識を表示させる請求項1〜3のいずれか一項に記載の音楽ゲームシステム。
【請求項5】
前記操作案内手段は、前記所定の経路を前記複数の操作部のそれぞれに対応するように複数規定し、各操作時期に対応する前記操作指示標識を、前記ゲーム上にて前記複数の操作部のそれぞれに対応する前記所定の経路に沿って時間順の配置で表示させることにより前記各操作時期に対応する操作部が判別可能な態様で前記操作指示標識を表示させる請求項4に記載のゲームシステム。
【請求項6】
前記入力装置として、ボディと、前記ボディから延びるネックと、前記ネックの先端に配置されるヘッドと、を有し、かつ、前記複数の操作部として、前記ネックの前記ヘッド付近に配置されたローフレット操作部と、前記ネックの前記ボディ付近に配置されたハイフレット操作部とを有するギターを模したギターコントローラが設けられ、
前記シーケンスデータには、前記ハイフレット操作部についての複数の操作時期が連続するハイフレット操作記述部が含まれ、
前記経路変更手段は、前記ハイフレット操作記述部に記述された最初の操作時期が到来する際に、前記所定の経路の前記出発位置及び前記到達位置の少なくともいずれか一方の位置を変化させる請求項4又は5に記載のゲームシステム。
【請求項7】
前記操作案内手段は、前記所定の経路が前記ゲーム画面内の下部に位置するように前記出発位置及び前記到達位置を表示に関する標準状態として設定し、
前記経路変更手段は、前記ハイフレット操作記述部に記述された最初の操作時期が到来する際に、前記所定の経路の前記出発位置及び前記到達位置が前記ゲーム画面内の上部に位置するように、前記表示に関する標準状態の例外状態として前記所定の経路の前記出発位置及び前記到達位置を変化させる請求項6に記載のゲームシステム。
【請求項8】
前記操作案内手段は、前記操作基準標識と前記操作指示標識との間の前記相対的でかつ、前記所定の経路に沿った変位が上方から下方に向かって生じるように、前記出発位置を前記到達位置の上方に変位に関する標準状態として設定し、
前記経路変更手段は、前記出発位置が前記到達位置の下方に位置し、前記操作基準標識と前記操作指示標識との間の前記相対的でかつ、前記所定の経路に沿った変位が下方から上方に向かって生じるように、前記変位に関する標準状態の例外状態として前記所定の経路の前記出発位置及び前記到達位置の少なくともいずれか一方の位置を変化させる請求項6又は7に記載のゲームシステム。
【請求項9】
前記経路変更手段は、前記入力装置に対する所定の操作に対応して前記所定の経路の前記出発位置及び前記到達位置の少なくともいずれか一方の位置を変化させる請求項1〜8のいずれか一項に記載のゲームシステム。
【請求項10】
ゲーム音を再生出力する音声出力装置と、
楽曲データを再生させるための楽曲データを記憶する楽曲データ記憶手段と、
前記楽曲データに基づいて前記音声出力装置から前記楽曲を再生させる楽曲再生手段と、をさらに備え、
前記シーケンスデータには、前記楽曲の再生中における前記操作部の操作時期が記述され、
前記操作案内手段は、前記楽曲上の現在時刻から将来に向かって所定の時間範囲に含まれる前記操作部の操作時期を前記シーケンスデータに基づいて判別するとともに、前記楽曲上の時間の進行に応じて前記操作基準標識と前記操作指示標識との間に相対的でかつ、前記所定の経路に沿った変位を生じさせる請求項1〜9のいずれか一項に記載のゲームシステム。
【請求項11】
前記操作案内手段は、前記操作指示標識を前記操作基準標識に向かって移動させることにより前記相対的でかつ、前記所定の経路に沿った変位を生じさせる請求項1〜10のいずれか一項に記載のゲームシステム。
【請求項12】
少なくとも一つの操作部を有する入力装置と、ゲーム画面を表示出力する表示装置と、前記ゲーム中における前記操作部の操作時期を記述したシーケンスデータを記憶するシーケンスデータ記憶手段と、を備えたゲームシステムに組み込まれるコンピュータを、
前記ゲーム上の現在時刻から将来に向かって所定の時間範囲に含まれる前記操作部の操作時期を前記シーケンスデータに基づいて判別し、判別した各操作時期に対応する操作指示標識と前記現在時刻に対応する操作基準標識とを、前記ゲーム上にて所定の経路に沿って時間順の配置で表示させるとともに、前記操作指示標識が該操作指示標識にて示されるべき前記操作時期に前記操作基準標識と一致するようにして、前記操作基準標識と前記操作指示標識との間に前記ゲーム上の時間の進行に応じた相対的でかつ、前記所定の経路に沿った変位を生じさせることにより、前記操作部の操作をプレイヤに案内する操作案内手段として機能させるように構成され、
さらに、前記操作案内手段を、前記所定の経路の出発位置及び到達位置の少なくともいずれか一方の位置を変化させる経路変更手段として機能させるように構成されたゲームシステム用のコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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