説明

ゲームプログラムおよび記録媒体

【課題】通常移動時のゲームシーンと戦闘イベント発生時のゲームシーンとをシームレスに連動させ、操作対象キャラクタの操作性および視認性を損なうことなくゲームの興趣性の向上を図ったゲームプログラムおよび記録媒体を提供する。
【解決手段】操作対象キャラクタの周囲に設定された戦闘発生エリア内における敵キャラクタ発生ポイントの有無を判定し、その判定結果に応じて、敵キャラクタ発生ポイントから所定の敵キャラクタを発生させる処理を実行し、操作対象キャラクタと敵キャラクタとが関わる戦闘イベントを発生させ、かつ、該戦闘イベントが発生した際に、仮想空間内における仮想カメラの視点位置を操作対象キャラクタの位置に対してシームレスに接近させるとともに、移動操作時の操作対象キャラクタの仮想空間内における移動速度を通常移動速度よりも低速に設定された戦闘移動速度に変更するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2次元または3次元の仮想空間を構成するフィールドマップ上に操作対象キャラクタを含む複数のオブジェクトを反映したゲーム映像を表示端末の画面上に表示させる機能を有するゲームプログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、コンピュータゲームを実現するゲーム装置では、プレイヤーによって操作される入力手段(例えば、コントローラパッドなど)からの操作信号に応じて、表示端末の画面上に表示されたゲーム映像中の操作対象キャラクタの行動が制御され、ゲームが進行される。特に、近年では、ハードウェア性能の向上に伴い、仮想3次元空間内を操作対象キャラクタが行動するようなゲーム映像を3次元グラフィックスにより提供することで、ゲームの演出効果を高めている。
【0003】
従来より、2次元または3次元の仮想空間を構成するフィールドマップ上で操作対象キャラクタを移動させるゲームでは、仮想空間における視点位置から視線方向にあるオブジェクトの空間的な位置関係を求めてゲーム映像を生成している。この種の画像処理を用いたゲームとしては、ロールプレイングゲーム(RPG)と呼ばれるものが知られている。
【0004】
一般的なRPGでは、操作対象キャラクタが敵キャラクタと戦闘(対戦)を行ないながらゲームが進行される。ところが、従来のRPGでは、この敵キャラクタとの戦闘が付加的なイベントとして定義されていたため、操作対象キャラクタがフィールドマップ上を移動する移動用画面とは別に、敵キャラクタと戦闘するための戦闘用画面が設けられ、移動用画面において所定の条件が成立すると移動用画面から戦闘用画面に移行するようになっていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような従来のゲーム(RPG)では、戦闘が発生する度に移動用画面から戦闘用画面に移行されるため、臨場感が欠けてしまうという問題があった。さらに、この戦闘シーンでは、ターン方式(プレイヤー側のターンと敵側のターンとが交互に繰り返される方式)やアクティブ・タイム・バトル方式(キャラクタ毎に定められた待機時間を経過したことを条件にコマンド入力が許可される方式)が採用されていたが、これらの戦闘シーンの制御方式は、現実世界のようにシームレスに進行する戦闘シーンを表現できるものではなかった。そのため、従来のRPGでは、プレイヤーが仮想現実感を十分に体感することができなかった。
【0006】
そこで、近年、上述したようなRPGにアクションゲームの要素を取り入れたアクションRPGと呼ばれるゲームが各種提供されている。この種のアクションRPGでは、戦闘シーンを含むゲーム映像において、映画のアクションシーンのように操作対象キャラクタをシームレスに動作させることによって臨場感が演出されている。
【0007】
ところが、このようなアクションRPGでは、フィールドマップ上に表示される各種キャラクタやオブジェクトを視認できる程度の大きさに表示する必要があり、かつ、戦闘シーンにおけるキャラクタの操作性を重視してキャラクタの仮想空間内における移動速度が設定されていた。したがって、この種のアクションRPGのフィールドマップ全体の大きさは、ゲーム映像の視認性や移動速度に応じた行動範囲などを考慮して設定されていたため、従来のRPGと比較すると非常に狭かった。そのため、ゲーム映像に日出や日没などの時間経過事象が反映されると違和感が生じてしまう、という問題があった。
【0008】
また、この種のアクションRPGでは、フィールドマップが狭すぎるため、従来のRPGのように、プレイヤーの入力操作に基づいてフィールドマップ上を船や飛空挺などの乗り物で自由に飛び回るというゲーム映像を採用することができず、結局、このような事象のゲーム映像は、予め所定の移動先に自動的に運ばれるワープゲート的なムービーイベントになっていた。そのため、プレイヤーは、広大な仮想世界を自由に移動するという爽快感を体感することができない、という問題があった。
【0009】
その一方で、従来のRPGの移動用画面のような広大なフィールドマップ上で操作対象キャラクタの移動シーンや戦闘シーンをシームレスに実行できるように制御すると、戦闘時でもキャラクタやオブジェクトの表示が小さくなってしまうため、視認性が低下し、臨場感が欠けてしまうという問題があった。また、この条件下でキャラクタの移動等の動作速度を速くすると、戦闘シーンなどにおけるコマンド入力が慌しくなって操作性が低下してしまうという問題があり、一方、動作速度を遅くすると、移動シーンが冗長的になって興趣性が低下してしまうという問題があった。
【0010】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、通常移動時のゲームシーンと戦闘イベント発生時のゲームシーンとをシームレスに連動させ、操作対象キャラクタの操作性および視認性を損なうことなくゲームの興趣性の向上を図ったゲームプログラムおよび記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の上記目的は、入力手段を介して入力された操作者からの指示に基づいて仮想空間内における行動を操作される操作対象キャラクタと、前記入力手段による指示に関係なく前記仮想空間内で行動する敵キャラクタとを前記仮想空間内に配置し、前記操作対象キャラクタと前記敵キャラクタとを含む前記仮想空間内の一部を仮想カメラから見た画像を生成して表示手段に表示させるゲーム装置としてコンピュータを機能させるゲームプログラムにおいて、前記操作対象キャラクタの周囲の所定範囲に設定された戦闘発生エリア内に、前記敵キャラクタが前記仮想空間内に発生するポイントとして設定された敵キャラクタ発生ポイントが含まれているか否かを判定する戦闘イベント判定手段と、前記戦闘イベント判定手段によって、前記敵キャラクタ発生ポイントが前記戦闘発生エリア内に含まれていると判定された場合に、前記敵キャラクタ発生ポイントから所定の前記敵キャラクタを発生させる処理を実行して、前記操作対象キャラクタと前記敵キャラクタとが関わる戦闘イベントを発生させる戦闘イベント発生手段と、前記戦闘イベントが発生した際に、前記仮想空間内における前記仮想カメラの視点位置を前記操作対象キャラクタの位置に対してシームレスに接近させる視点変更手段と、前記入力手段を介して入力された前記操作対象キャラクタの移動操作に応じて、該操作対象キャラクタ用に設定された所定の移動速度パラメータに基づいて前記操作対象キャラクタの前記仮想空間内における所定の移動速度を決定し、該所定の移動速度で前記操作対象キャラクタを移動操作方向に移動させる移動制御手段と、前記戦闘イベントが発生した際に、前記所定の移動速度パラメータを、通常移動操作時用として設定された通常移動速度パラメータから該通常移動速度パラメータよりも低速に設定された戦闘移動速度パラメータに変更するに変更する移動速度変更手段とを備えたゲーム装置として前記コンピュータを機能させることにより、達成される。
【0012】
また、上記目的は、前記視点変更手段が、前記戦闘イベント判定手段によって前記戦闘発生エリア内に前記敵キャラクタが含まれていないと判定された後に、変更前の前記仮想カメラと前記操作対象キャラクタとの位置関係となるように前記仮想カメラの視点位置をシームレスに移動させることにより、効果的に達成される。
【0013】
また、上記目的は、前記視点変更手段が、前記戦闘イベント判定手段によって前記戦闘発生エリア内に前記敵キャラクタが含まれていないと判定された場合に、該判定から所定時間経過後に、変更前の前記仮想カメラと前記操作対象キャラクタとの位置関係となるように前記仮想カメラの視点位置をシームレスに移動させることにより、効果的に達成される。
【0014】
また、上記目的は、前記移動速度変更手段が、前記戦闘イベント判定手段によって前記戦闘発生エリア内に前記敵キャラクタが含まれていないと判定された後に、前記所定の移動速度パラメータを前記戦闘移動速度パラメータから前記通常移動速度パラメータに戻すことにより、効果的に達成される。
【0015】
さらに、上記目的は、前記移動速度変更手段が、前記戦闘イベント判定手段によって前記所定のエリア内に侵入していた前記敵キャラクタが含まれていないと判定された場合に、該判定から所定時間経過後に、前記所定の移動速度パラメータを前記戦闘移動速度パラメータから前記通常移動速度パラメータに戻すことにより、効果的に達成される。
【0016】
また、上記目的は、上記いずれかのゲームプログラムが記録されている、コンピュータにより読取可能な記録媒体により、達成される。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るゲームプログラムおよび記録媒体によれば、通常移動時のゲーム映像と戦闘イベント発生時のゲーム映像とをシームレスに連動させ、かつ、戦闘イベント発生時には操作対象キャラクタを中心に拡大したゲーム映像を表示するとともに、操作対象キャラクタの移動速度を戦闘イベント発生時の操作性を考慮して通常移動時よりも低速に変更するようになっている。これにより、戦闘イベント発生時の視認性や操作対象キャラクタの操作性を向上させつつ、通常移動時に生じていた冗長性を解消することができるので、ゲームの興趣性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照にしながら本発明の実施形態について説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係るゲーム装置のハードウェアの構成例を概略的に示すブロック図である。ここでは、テレビジョン・モニタ等の表示端末に接続して使用することができる家庭用ゲーム装置を例として説明するが、本発明はこれに限定されず、例えば表示画面を備えた携帯用ゲーム機や業務用ゲーム装置(アーケイド・マシン)などにも適用することができる。
【0020】
図1において、本実施形態に係るゲーム装置1は、ゲーム装置本体2と、表示端末(テレビジョン・モニタ等)3と、スピーカ4とを備え、表示端末3およびスピーカ4は、ケーブルなどを介してゲーム装置本体2に電気的に接続されている。
【0021】
ゲーム装置本体2は、CPUなどによってゲーム装置1の全体的な制御を行なう制御部5と、該制御部5によって実行されるゲーム制御プログラムや各種データなどが保存・格納される記憶部6と、コントローラパッド7などを介して入力された操作指示信号を受信して記憶部6などに格納する操作入力部8と、DVD/CD−ROM9やメモリカード10などの記録媒体からゲーム用の各種データを読み出す記録媒体読取部11と、制御部5の指示信号に基づいて表示端末3に表示信号を出力する表示出力部10と、制御部5の指示信号に基づいてスピーカ4に音声信号を出力する音声出力部11と、インターネットなどの通信ネット14を介して他の端末との通信を実行する通信部15とを備え、これらの各部は、ゲーム装置本体2の内部バス16を介して接続されている。なお、ハードウェア的には、制御部5は、CPU,MPU,ROM等を含む制御装置で構成され、記憶部6は、RAMやハードディスクドライブ(HDD)などの情報記憶媒体で構成されているが、本発明は、これらのハードウェアの種類や数に限定されるものではない。
【0022】
図2は、本発明の実施形態に係るゲームシステムの機能構成例を概略的に示すブロック図であり、図3は、本発明の実施形態に係るゲームの通常移動モード(a)および戦闘イベントモード(b)について説明するための模式図である。また、図4は、本実施形態に係るゲーム映像の一例を示す図であって、(a)は通常移動モードのゲームシーンの映像であり、(b)は戦闘イベントモードのゲームシーンの映像である。
【0023】
本実施形態に係るゲームシステムでは、DVD/CD−ROM9などに記録されたゲーム制御プログラムが記録媒体読取部11を介して読み出されて記憶部6にロードされ、この記憶部6にロードされたゲーム制御プログラムおよび各種データが制御部5によって処理されることにより、以下に述べるゲーム処理手段が実現される。なお、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ネットワーク14を介して接続されたサーバ端末等の記憶媒体に記録されているプログラムとゲーム装置1側のプログラムとを協働させてゲーム処理を実行するような形態としてもよく、また、記憶部6に予め格納されたゲーム制御プログラムに基づいて、ゲーム処理手段が実現されるような形態でもよい。
【0024】
図2において、本発明の実施形態に係るゲームシステムの処理を実行するゲーム処理手段20は、メイン処理手段21と、戦闘イベント判定手段22と、戦闘イベント発生手段23と、視点変更手段24と、移動制御手段25と、移動速度変更手段26と、経過時間計測手段27とを備えている。
【0025】
このゲーム処理手段20によって実行されるゲームは、アクションRPGであり、図3に示すように、コントローラパッド7等によって入力された指示に基づいて仮想空間31内における行動を操作される操作対象キャラクタ32と、コントローラパッド7等によって入力される指示に関係なく仮想空間31内で行動する敵キャラクタ33とを有している。本実施形態に係るゲーム処理手段20によって実行されるゲームでは、敵キャラクタ33の行動が主に制御部5のCPU等によってを制御され、操作対象キャラクタ32と敵キャラクタ33とが所定の条件を満たした場合に、戦闘イベントを発生するように設定されている。
【0026】
メイン処理手段21は、記憶部6にロードされたゲーム制御プログラムや各種データ(各キャラクタ32,33のオブジェクトデータや仮想空間31を形成する地形データ等)を読み込んで、ゲームストーリーの進行や仮想空間31のシチュエーション設定などの処理を実行するとともに、仮想空間31内の任意の位置に設定された仮想カメラ34で操作対象キャラクタ32を含む仮想空間31の一部を投影し、この投影された映像を表示端末3の表示画面上に表示する。この仮想カメラ34の視点位置は、操作対象キャラクタ32の移動に伴って連続的に移動され、表示端末3の表示画面上に映し出される映像も、その移動に応じて徐々に変化する。
【0027】
戦闘イベント判定手段22は、所定のイベントとしての戦闘シーンの発生条件を満たしているか否かを判定するものであり、操作対象キャラクタ32が仮想空間(フィールドマップ)31を移動している通常移動時に、敵キャラクタ33が仮想空間31内に発生するポイントとして設定された敵キャラクタ発生ポイントが、該操作対象キャラクタ32の周囲に予め設定された戦闘発生エリア35内に含まれているか否かを判定する。
【0028】
戦闘イベント発生手段23は、戦闘イベント判定手段22によって、敵キャラクタ33の発生ポイントが戦闘発生エリア35内に含まれていると判定された場合に、記憶部6にロードされた各種データに基づいて、敵キャラクタ発生ポイントから所定の敵キャラクタ33を発生させる処理を実行し、操作対象キャラクタ32と敵キャラクタ33とが関わる戦闘イベントを発生させる。
【0029】
視点変更手段24は、戦闘イベントの発生に応じて、仮想空間31内における仮想カメラ34の視点位置を操作対象キャラクタ32の位置に対してシームレスに接近(ズームイン)させ、その後、戦闘イベント判定手段22によって戦闘発生エリア35内に敵キャラクタ33が含まれていない、すなわち敵キャラクタが消滅したと判定された際に、変更前の仮想カメラ34と操作対象キャラクタ32との位置関係(図3(a)に示す位置関係)となるように、仮想カメラ34の視点位置をシームレスに移動(ズームアウト)させる。なお、図3(b),図4(b)に示すズームアップ状態において、仮想カメラ34は、戦闘発生エリア35内に含まれている敵キャラクタ33のうちの最も遠い場所に位置するキャラクタ33を捕捉することができる視野を有している。
【0030】
移動制御手段25は、コントローラパッド7等によって入力された操作対象キャラクタ32の移動操作に応じて、該操作対象キャラクタ用に設定された所定の移動速度パラメータに基づいて操作対象キャラクタ32の仮想空間31内における移動速度を決定し、該移動速度で操作対象キャラクタ32を移動操作方向に移動させる。
【0031】
移動速度変更手段26は、戦闘イベントの発生に応じて、移動制御手段25が操作対象キャラクタ32の移動速度の決定時に参照する所定の移動速度パラメータを、通常移動操作時用として設定された通常移動速度パラメータから、該通常移動速度パラメータよりも低速に設定された戦闘移動速度パラメータに変更する。その後、戦闘イベント判定手段22によって戦闘発生エリア35内に敵キャラクタ33が含まれていない、すなわち敵キャラクタが消滅したと判定された場合、移動速度変更手段26は、移動制御手段25が操作対象キャラクタ32の移動速度の決定時に参照する所定の移動速度パラメータを、戦闘移動速度パラメータから通常移動速度パラメータに戻す。なお、通常移動速度パラメータおよび戦闘移動速度パラメータは、記憶部6にロードされた各種データに含まれているものである。本実施形態に係るゲーム処理手段20によって実行されるゲームでは、操作対象キャラクタ32の仮想空間31内における通常時の移動速度(通常移動速度パラメータ)が中・高速に設定されているため、戦闘イベント時においては、コマンド入力等の操作が慌しくならないように、操作対象キャラクタ32の仮想空間31内における移動速度を通常移動時よりも低速に変更するようになっている。
【0032】
経過時間計測手段27は、戦闘イベント判定手段22によって戦闘発生エリア35内に侵入していた敵キャラクタ33の存在が無くなったと判定された時点、すなわち戦闘イベントが終了したと判定された時点からの経過時間を計測する。視点変更手段24および移動速度変更手段26は、この経過時間計測手段27による計時に基づいて、戦闘イベント判定手段22によるイベント終了判定から所定時間(数秒)経過後に、仮想カメラ34の位置を変更前の操作対象キャラクタ32に対する視点位置となるようにシームレスに移動させるとともに、移動制御手段25が操作対象キャラクタ32の移動速度の決定時に参照する所定の移動速度パラメータを戦闘移動速度パラメータから通常移動速度パラメータに戻すようになっている。
【0033】
なお、図4(a)に示した通常時のゲーム映像の一例では、実際には仮想空間31の一部に存在している敵キャラクタ33の表示が省略されているが、これは、ゲーム装置1のメモリ機能への負荷を軽減するとともに、操作対象キャラクタ32の視認性およびゲームの興趣性の向上を図るための処理である。この種のアクションRPGにおいて、通常移動時の画面上に敵キャラクタ33を表示してしまうと、複数の敵キャラクタ33の存在によって操作対象キャラクタ32を認識しづらくなるとともに、プレイヤーに敵キャラクタ33の位置を事前に知られてしまう。そのため、本実施形態に係るゲーム処理手段20によって実行されるゲームでは、通常移動時における敵キャラクタ33の表示を省略することにより、操作対象キャラクタ32の視認性およびゲームの興趣性を良好にしている。
【0034】
また、図3では、戦闘発生エリア35として、操作対象キャラクタ32の位置を中心とした矩形エリアを示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば操作対象キャラクタ32の位置を中心点として描いた所定半径を有する円形や球体を戦闘発生エリア35として設定してもよく、また、進行方向に広がる所定の扇形エリアなどを戦闘発生エリア35として設定してもよい。
【0035】
また、移動制御手段25が操作対象キャラクタ32の移動速度の決定時に参照する所定の移動速度パラメータ、すなわち通常移動速度パラメータおよび戦闘移動速度パラメータは、視点変更手段24によるズームアップの度合いに応じて適切な速度に設定されていることが好ましい。例えば、戦闘イベント時のゲーム映像が通常時のゲーム映像に対して2倍にズームアップされるのであれば、通常移動速度パラメータが0〜100の範囲で設定され、かつ、戦闘移動速度パラメータが0〜50の範囲で設定されているのが適当である。
【0036】
次に、本発明の実施形態に係るゲーム処理の全体の流れを図5を参照にしながら説明する。図5は、本発明の実施形態に係るゲーム処理を説明するためのフローチャートである。同図のフローチャートでは、操作対象キャラクタ32をPキャラクタ(プレイヤー・キャラクタ)と記載し、かつ、敵キャラクタ33をEキャラクタ(エネミー・キャラクタ)と記載している。
【0037】
本実施形態に係るゲーム処理では、操作対象キャラクタ32が仮想空間31内を移動するのがメイン行動である通常移動モードと、操作対象キャラクタ32と敵キャラクタ33とが所定の条件を満たした場合に発生する戦闘イベントとに大別され、この通常移動モードと戦闘イベントモードとがシームレスに連動する構成になっている。
【0038】
まず、ゲーム装置1の制御部5によってゲーム処理手段20が起動されると、メイン処理手段21によって、通常移動モードが実行される(ステップS101)。この通常移動モードでは、移動制御手段25が操作対象キャラクタ32の移動速度の決定時に参照する所定の移動速度パラメータは、通常移動速度パラメータに設定されており、敵キャラクタ33の表示フラグはオフ状態に設定されている。そして、操作入力部8からの操作信号の入力に応じて操作対象キャラクタ32の位置情報が更新され(ステップS102,S103)、かつ、記憶部6にロードされた各種データから敵キャラクタ33の位置情報が取得される(ステップS104)。
【0039】
続いて、戦闘イベント判定手段22によって、操作対象キャラクタ32の周囲に設定された戦闘発生エリア35内に敵キャラクタ33の発生ポイントが含まれているか否かが判定される(ステップS105)。この判定の結果、戦闘発生エリア35内に敵キャラクタ33の発生ポイントが含まれている場合には、視点変更手段24によって仮想カメラ34の視点位置が操作対象キャラクタ32の位置に近づけられることにより、ゲーム映像がシームレスにズームアップされ(ステップS106)、かつ、移動速度変更手段26によって移動制御手段25が操作対象キャラクタ32の移動速度の決定時に参照する所定の移動速度パラメータが通常移動速度パラメータから戦闘移動速度パラメータに変更される(ステップS107)。そして、戦闘イベント発生手段23によって、敵キャラクタ発生ポイントから敵キャラクタ33を生じる(敵キャラクタ33の表示フラグをオン状態にする)処理が実行され、操作対象キャラクタ32と敵キャラクタ33とが関わる戦闘イベントを発生させる戦闘イベントモードが実行される(ステップS108)。戦闘イベントにおける各敵キャラクタ33は、予め付与されているライフゲージ値が操作対象キャラクタ32との戦闘により減少して0になるか、あるいは戦闘発生エリア35の範囲外に退避するまで存在している。
【0040】
その後、戦闘イベント判定手段22によって、戦闘発生エリア35内に存在していた敵キャラクタ33の有無が判定され(ステップS109)、戦闘発生エリア35内の敵キャラクタ33が消滅・退避したと判定されると、経過時間計測手段27によって、その判定時点からの経過が計時される(ステップS110)。そして、ステップS102〜ステップS104と同様に、メイン処理手段21によって、操作対象キャラクタ32の位置情報の更新および敵キャラクタ33の位置情報の取得が実行される(ステップS111〜ステップS113)。経過時間計測手段27による計時を参照して、敵キャラクタ33の消滅・退避の判定から所定時間(数秒間)経過したことが確認されると(ステップS114)、戦闘イベント判定手段22によって、再度、戦闘発生エリア35内における敵キャラクタ33の存在の有無が判定される(ステップS115)。
【0041】
ステップS115において、再び戦闘発生エリア35内に敵キャラクタ33の存在が確認された場合には、ステップS108に戻って戦闘イベントモードが継続される。一方、ステップS115において、戦闘発生エリア35内に敵キャラクタ33の存在が確認されなかった場合には、視点変更手段24によって変更前の仮想カメラ34と操作対象キャラクタ32との位置関係となるように、仮想カメラ34の視点位置がシームレスに移動(ズームアウト)されるとともに(ステップS116)、移動速度変更手段26によって移動制御手段25が操作対象キャラクタ32の移動速度の決定時に参照する所定の移動速度パラメータが戦闘移動速度パラメータから通常移動速度パラメータに戻され(ステップS117)、再び、メイン処理手段21によって通常移動モードが実行され、敵キャラクタ33の表示フラグがオフ状態に設定される(ステップS101)。
【0042】
以上のように、本実施形態に係るゲームプログラムおよび該ゲームプログラムを記録した記録媒体9によれば、通常移動モードのゲーム映像と戦闘イベントモードのゲーム映像とをシームレスに連動させ、かつ、戦闘イベントモードには操作対象キャラクタ32を中心にズームインしたゲーム映像を出力するとともに、移動操作時の操作対象キャラクタ32の仮想空間31内における移動速度を通常移動時よりも低速に変更するようになっている。これにより、戦闘イベント発生時の視認性や操作対象キャラクタ32の操作性を損なうことなく、通常移動モードにおける操作対象キャラクタ32の移動速度を速めることができる。この結果、冗長的になりやすかった通常移動モードにおけるゲーム進行のスピード化を図ることができ、かつ、ゲームの興趣性の向上を図ることができる。
【0043】
以上、本発明の実施形態について具体的に説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態に係るゲーム装置のハードウェアの構成例を概略的に示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係るゲームシステムの機能構成例を概略的に示すブラック図である。
【図3】本発明の実施形態に係るゲームの通常移動モード(a)および戦闘イベントモード(b)について説明するための模式図である。
【図4】本実施形態に係るゲーム映像の一例を示す図であって、(a)は通常移動モードのゲームシーンの映像であり、(b)は戦闘イベントモードのゲームシーンの映像である。
【図5】本発明の実施形態に係るゲーム処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0045】
1 ゲーム装置
3 表示端末
7 コントローラパッド
9 記録媒体
20 ゲーム処理手段
21 メイン処理手段
22 イベント判定手段
23 戦闘イベント判定手段
24 視点変更手段
25 移動制御手段
26 移動速度変更手段
27 経過時間計測手段
31 仮想空間
32 操作対象キャラクタ(プレイヤー(P)キャラクタ)
33 敵キャラクタ(エネミー(E)キャラクタ)
34 仮想カメラ
35 戦闘発生エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力手段を介して入力された操作者からの指示に基づいて仮想空間内における行動を操作される操作対象キャラクタと、前記入力手段による指示に関係なく前記仮想空間内で行動する敵キャラクタとを前記仮想空間内に配置し、前記操作対象キャラクタと前記敵キャラクタとを含む前記仮想空間内の一部を仮想カメラから見た画像を生成して表示手段に表示させるゲーム装置としてコンピュータを機能させるゲームプログラムであって、
前記操作対象キャラクタの周囲の所定範囲に設定された戦闘発生エリア内に、前記敵キャラクタが前記仮想空間内に発生するポイントとして設定された敵キャラクタ発生ポイントが含まれているか否かを判定する戦闘イベント判定手段と、
前記戦闘イベント判定手段によって、前記敵キャラクタ発生ポイントが前記戦闘発生エリア内に含まれていると判定された場合に、前記敵キャラクタ発生ポイントから所定の前記敵キャラクタを発生させる処理を実行して、前記操作対象キャラクタと前記敵キャラクタとが関わる戦闘イベントを発生させる戦闘イベント発生手段と、
前記戦闘イベントが発生した際に、前記仮想空間内における前記仮想カメラの視点位置を前記操作対象キャラクタの位置に対してシームレスに接近させる視点変更手段と、
前記入力手段を介して入力された前記操作対象キャラクタの移動操作に応じて、該操作対象キャラクタ用に設定された所定の移動速度パラメータに基づいて前記操作対象キャラクタの前記仮想空間内における移動速度を決定し、該移動速度で前記操作対象キャラクタを移動操作方向に移動させる移動制御手段と、
前記戦闘イベントが発生した際に、前記所定の移動速度パラメータを、通常移動操作時用として設定された通常移動速度パラメータから該通常移動速度パラメータよりも低速に設定された戦闘移動速度パラメータに変更する移動速度変更手段と
を備えたゲーム装置として前記コンピュータを機能させることを特徴とするゲームプログラム。
【請求項2】
前記視点変更手段は、前記戦闘イベント判定手段によって前記戦闘発生エリア内に前記敵キャラクタが含まれていないと判定された後に、変更前の前記仮想カメラと前記操作対象キャラクタとの位置関係となるように前記仮想カメラの視点位置をシームレスに移動させる請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項3】
前記視点変更手段は、前記戦闘イベント判定手段によって前記戦闘発生エリア内に前記敵キャラクタが含まれていないと判定された場合に、該判定から所定時間経過後に、変更前の前記仮想カメラと前記操作対象キャラクタとの位置関係となるように前記仮想カメラの視点位置をシームレスに移動させる請求項2に記載のゲームプログラム。
【請求項4】
前記移動速度変更手段は、前記戦闘イベント判定手段によって前記戦闘発生エリア内に前記敵キャラクタが含まれてないと判定された後に、前記所定の移動速度パラメータを、前記戦闘移動速度パラメータから前記通常移動速度パラメータに戻す請求項1ないし3のいずれかに記載のゲームプログラム。
【請求項5】
前記移動速度変更手段は、前記戦闘イベント判定手段によって前記所定のエリア内に侵入していた前記敵キャラクタが含まれていないと判定された場合に、該判定から所定時間経過後に、前記所定の移動速度パラメータを、前記戦闘移動速度パラメータから前記通常移動速度パラメータに戻す請求項4に記載のゲームプログラム。
【請求項6】
コンピュータにより読取可能な記録媒体であって、請求項1ないし5のいずれかに記載のゲームプログラムが記録されていることを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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