説明

ゲーム制御プログラム、方法、及びゲーム装置

【課題】娯楽性の高いゲーム装置を表現する。
【解決手段】ゲーム装置10において、統制部14は、ユーザインタフェイス12を介してプレーヤーから操作指示を受け付け、ゲームストーリーの進行を制御する。シーン選択部24は、行動履歴保持部28に保持されたプレーヤーズキャラクタの行動履歴などを参照して、ストーリーを構成するシーンを選択し、シーンデータ保持部34から選択したシーンのデータを読み出す。PC制御部20及びNPC制御部22は、選択されたシーンのデータにしたがって、プレーヤーズキャラクタ及びノンプレーヤーキャラクタの挙動を制御する。統制部14は、シーンの終了条件が満たされると、シーン選択部24に次のシーンを選択するよう指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム制御技術に関し、特に、プレーヤーが操作するキャラクタを中心にストーリーが展開されるゲームを制御するプログラム、方法、及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のRPG(Role Playing Game)では、プレーヤーが操作するキャラクターに対して、特徴、能力、性格などのパラメータが細かく設定されており、プレーヤーは、戦闘などによるそれらのパラメータの増減を通してキャラクタを成長させながら、用意された筋書きに沿ってゲームを展開していく。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
数多くのRPGがリリースされてきたが、それらは、場面設定やストーリーが異なるものの、プレーヤーズキャラクターがゲーム世界を移動して、アイテムを発見したり、イベントをクリアしたりしながらストーリーを進んでいくという点では共通しており、決まったパターンに陥りがちで、斬新なゲームを開発するのが難しくなってきている。本発明者らは、このような状況に鑑み、斬新で、娯楽性の高いゲーム装置を実現するために、全く異なるシステムでゲーム世界を展開する技術を想到するに至った。
【0004】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、より娯楽性の高いゲーム装置を実現する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のある態様は、プログラムに関する。このプログラムは、ユーザから操作指示を受け付けるユーザインタフェイスを介して、前記ユーザからの操作指示を受け付け、前記ユーザが操作するプレーヤーズキャラクタの挙動を制御する機能と、前記プレーヤーズキャラクタ以外のキャラクタであるノンプレーヤーキャラクタの挙動を制御する機能と、ゲームストーリーを構成する複数のシーンのデータを、前記ゲームストーリーの進行に応じて複数の階層に階層化して保持したシーン保持部から、次に実行すべきシーンを選択する機能と、をコンピュータに実現させ、前記シーンを選択する機能は、まず、いずれの階層のシーンを選択するかを選択し、つづいて、選択された階層のシーンの中から次に実行すべきシーンを選択し、前記プレーヤーズキャラクタ又は前記ノンプレーヤーキャラクタの挙動を制御する機能は、選択されたシーンのデータにしたがって、前記プレーヤーズキャラクタ又は前記ノンプレーヤーキャラクタの挙動を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、より娯楽性の高いゲーム装置を実現する技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は、実施の形態に係るゲーム装置10の構成を示す。ゲーム装置10は、ユーザインタフェイス12、統制部14、配役設定部16、キャラクタ生成部18、PC制御部20、NPC制御部22、シーン選択部24、キャラクタデータ保持部26、行動履歴保持部28、PCパラメータ保持部30、NPCパラメータ保持部32、及びシーンデータ保持部34を備える。これらの構成は、ハードウエアコンポーネントでいえば、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0008】
本実施の形態のゲーム装置10は、ゲームストーリーの構成部品であるシーンを多数用意し、ストーリーの進行に合わせて適切なシーンを選択し、選択したシーンをつなぎ合わせてストーリーを展開していく。プレーヤーにより操作されるプレーヤーズキャラクタ(PC)の行動履歴などに応じてシーンが選択されていくので、プレーヤーはPCの操作を介して独自のストーリーを構築していくことができる。また、PCが同じ行動をとったとしても、同じシーンが選択されるとは限らないので、何が起こるか予想できない面白さを実現することができる。ノンプレーヤーキャラクタ(NPC)も、予め決められた行動のみをとるのではなく、人工知能により制御されて自律的に行動する。NPCの行動もシーンの選択に影響を与えうるので、ストーリーの分岐の可能性は非常に多岐にわたる。したがって、ユーザは、何度でも繰り返してゲームを行い、様々なストーリーを経験することができる。本実施の形態のゲーム装置は、このような全く新しい形態のゲームを提案するものである。
【0009】
ユーザインタフェイス12は、図示しないコントローラなどに設けられたボタンなどによりプレーヤーから操作指示を受け付ける。統制部14は、ゲームのストーリーの進行を統括的に制御する。統制部14は、シーンの選択条件を内包した、テーブルトーク型RPGにおけるゲームマスターに似た役割を果たし、PC及びNPCの行動とストーリーの進行を統制する。配役設定部16は、ストーリーの登場人物に予め用意されたキャラクタのいずれを配役するかの指示をプレーヤーから受け付けて、キャラクタの配役を設定する。キャラクタ生成部18は、固定的なキャラクタが配役されない登場人物の役を務めるキャラクタ(モブキャラクタ)を自動生成する。キャラクタデータ保持部26は、予め固定的に用意されたキャラクタのパラメータや、モブキャラクタの構成部品となる画像データなどを保持する。
【0010】
PC制御部20は、ユーザインタフェイス12を介してPCの操作指示をプレーヤーから受け付け、PCの挙動を制御する。PCパラメータ保持部30は、PCの制御に用いるパラメータを保持する。PC制御部20は、PCパラメータ保持部30を参照して、PCが選択可能な行動(以下、「コマンドセット」という)のリストをプレーヤーに提示し、その中からPCの行動の指示を受け付ける。PC制御部20は、プレーヤーからコマンドセットの指定を受け付けると、PCにその行動を実行させ、行動の内容に応じてPCパラメータ保持部30のパラメータを適宜変更するとともに、必要であれば、行動履歴保持部28に行動の履歴を格納する。行動履歴保持部28に格納されたPCの行動履歴は、シーン選択部24におけるシーンの選択に影響を与える。例えば、PCが学校内を歩行中にコマンドセットのリストの提示要求を受け付けると、PC制御部20は、周囲のキャラクタとの会話、授業への参加などの行動をリストとして提示する。プレーヤーが授業への参加を選択すると、PC制御部20は、PCに教室に移動して授業に参加する行動を取らせるとともに、PCパラメータ保持部30の疲労度を増加させ、学習度を増加させる。また、行動履歴保持部28に、授業に参加した旨を記録する。
【0011】
NPC制御部22は、NPCの挙動を制御する。NPCパラメータ保持部32は、NPCの制御に用いるパラメータを保持する。NPCは、PCと同様のデータ構造のパラメータを持ち、PCが実行可能な行動と同じ行動をとることができる。それらの選択可能なコマンドセットのうち、いずれの行動をとるかは、人工知能部により決定される。すなわち、PCは、ユーザの意志を反映して行動するが、NPCは、人工知能部によりシミュレートされるNPC自身の意志にしたがって行動する。人工知能部は、NPCパラメータ保持部32に格納されたパラメータ、過去の記憶、感情などを参照して、NPCの思考をシミュレートし、行動を決定する。例えば、NPC同士の人間関係は、当事者間の記憶やその時点の感情をもとに決定される。また、人工知能部は、過去の記憶や、現在の感情をもとに、人物評価、技能、精神能力などのパラメータを一時的に補正して、NPCの行動を決定してもよい。
【0012】
PC及びNPCが選択可能なコマンドセットは、実行中のシーンによって異なる。コマンドセットは、PCパラメータ保持部30及びNPCパラメータ保持部32に格納されてもよいし、シーンデータ保持部34に格納されてもよい。前者の場合、各コマンドセットには、起動可能なシーンの情報が格納されており、そのコマンドセットは指定されたシーンにおいてのみ選択可能となる。後者の場合、シーン選択部24によりシーンが選択されると、そのシーンで選択可能なコマンドセットがシーンデータ保持部34から読み出され、PC制御部20及びNPC制御部22に与えられる。いずれにしても、PC制御部20及びNPC制御部22は、実行中のシーンにおいて選択可能なコマンドセットの中から、PC及びNPCの行動を選択して実行する。こうして、各シーンにおけるストーリーが展開される。
【0013】
PCパラメータ保持部30及びNPCパラメータ保持部32は、体力、疲労度、負傷度などのキャラクタの身体能力を表すパラメータや、精神力、士気、ストレスなど、キャラクタの精神能力を表すパラメータや、満腹度、眠気、喉の渇きなど、キャラクタの充足度を表すパラメータや、怒り、恐怖、悲哀など、キャラクタの感情状態を表すパラメータや、操縦技能、医療技能、政治技能など、キャラクタの技能を表すパラメータや、他のキャラクタに対する感情を表すパラメータや、過去の記憶などの情報を含む。PCパラメータ保持部30及びNPCパラメータ保持部32には、ゲームの性格に応じて、表現される世界をより忠実に再現するために必要なパラメータが設けられればよい。例えば、個人の戦闘が行われるゲームでは、戦闘に必要な攻撃力、防御力、魔力などのパラメータを設ければよいし、飛行機の操縦が行われるゲームでは、操縦に必要な瞬発力、判断力、視力などのパラメータを設ければよい。
【0014】
シーン選択部24は、統制部14からシーンを選択するための条件を通知され、シーンデータ保持部34に保持されたシーンの中から、条件に合致したシーンを選択する。統制部14は、前に実行されたシーンに関連するようなシーンが選択されるように、シーン選択部24に選択条件を通知する。統制部14は、シーン選択部24によりシーンが選択されると、選択されたシーンに、人物、場所などの状況を組み込んで、シーンを進行させる。シーンの選択方法については、後で詳述する。
【0015】
図2は、本実施の形態のゲーム装置が提供するゲームの流れを示すフローチャートである。まず、ユーザインタフェイス12を介して、プレーヤーからストーリータイプの選択を受け付けると(S10)、配役設定部16は、そのストーリータイプにおいて登場する役柄をユーザに提示し、それぞれの役柄にいずれのキャラクタを配役するかの設定指示をプレーヤーから受け付ける(S12)。配役設定部16は、PCに配役されたキャラクタのデータを、キャラクタデータ保持部26から読み出してPCパラメータ保持部30へ格納する。また、NPCに配役されたキャラクタのデータを、キャラクタデータ保持部26から読み出して、NPCパラメータ保持部32に格納する(S14)。これにより、それぞれの役に、ユーザから指示されたキャラクタがキャスティングされ、以降、配役されたキャラクタが固定的にその役を演じることになる。予め用意され、キャラクタデータ保持部26に保持されているキャラクタを配役してもよいし、配役したキャラクタの個性などを示すパラメータをユーザが適宜変更できるようにしてもよい。
【0016】
プレーヤーは、好みのキャラクタを主役及び脇役にキャスティングして、ストーリーを展開させることができる。同じストーリータイプであっても、配役が異なると、登場人物間の人間関係が変わり、ストーリー展開にも影響を与えるので、異なるストーリーを楽しむことができる。例えば、あるキャラクタを主役にキャスティングし、そのキャラクタと仲が良いように設定されているキャラクタをヒロイン役にキャスティングすると、スムーズに話が進む。逆に、主役のキャラクタと仲が悪いキャラクタをヒロイン役にキャスティングすると、そのキャラクタと仲良くなれるようにうまく人間関係を構築していく過程が必要となり、ゲームの難易度が上がる。このように、配役を自由に設定可能とすることで、ストーリーのバリエーションを飛躍的に増加させることができ、プレーヤーは何度も飽きることなくゲームを楽しむことができる。
【0017】
PCでもNPCでもない、固定的なキャスティングを必要としない登場人物であるモブキャラクタは、キャラクタ生成部18により自動生成される(S16)。キャラクタデータ保持部26には、モブキャラクタを生成するための部品となる、髪、目、鼻、口などの体の部位の画像が、性別、年齢などによりグループ化されて保持されている。キャラクタ生成部18は、統制部14から、ストーリー展開において登場するモブキャラクタの年齢、性別などの情報を受け付け、その属性に合わせてキャラクタデータ保持部26から体の各部位の画像を選択し、それらを組み合わせて、年齢や性別に見合った外見のモブキャラクタを自動生成する。例えば所定時間が経過する度、所定の条件が充足される度、1つのストーリーが開始される度、またはランダムに、モブキャラクタが上述のように自動生成されることにより、プレーするごとにモブキャラクタの外観も変わるので、プレーヤーに楽しみを与えることができる。また、ストーリー内においても、例えば、売店の販売員にモブキャラクタが配置されている場合に、次の日に売店を訪れると異なるモブキャラクタが販売員として働いているというように、より現実感の高い演出を行うことができる。
【0018】
ストーリー進行の準備が整うと、統制部14は、ストーリーを進行させる(S18)。ストーリーを進行させる手順については、後で詳述する。統制部14は、ストーリーの終了条件をチェックし(S20)、終了条件を満たすまでの間は(S20のN)、ストーリーの進行させ(S20)、終了条件を満たすと(S20のY)、ゲームを終了させる。
【0019】
図3は、ストーリーを進行させる手順の詳細を示すフローチャートである。シーン選択部24がシーンを選択すると、統制部14は、選択されたシーンの起動条件と終了条件を取得し、起動条件も終了条件も満たさない間は(S22のNかつS24のN)、フリーターンでゲームを進行させる(S26)。起動条件を満たす前に(S22のN)、終了条件を満たした場合は(S24のY)、そのシーンの選択を解除し(S28)、シーン選択部24に再度シーンを選択させる(S20)。起動条件を満たすと(S22のY)、そのシーンのデータをシーンデータ保持部34から読み出して、PC制御部20及びNPC制御部22に通知し、シーンを実行する(S30)。
【0020】
シーンを起動する際に、シーンの状況設定や目的などの説明や、シーンの終了条件をプレーヤーに提示するムービーなどが表示されてもよいし、シーンが起動されたことをプレーヤーに提示せず、フリーターンからシームレスにシーンに移行してもよい。シーンが実行されると、NPC制御部22は、シーンのデータにしたがってNPCの挙動を制御する。PC制御部20も、シーンのデータにしたがって、選択可能なコマンドセットのみをプレーヤーに提示する。シーンの実行中に、終了条件を満たすと(S32のY)、そのシーンを終了する。終了条件には、シーンにおける目標を達成して終了する成功条件と、シーンにおける目標を達成できずに終了する失敗条件があり、いずれの条件によりシーンが終了したかによって、行動履歴保持部28に格納される行動履歴が変わり、以降のシーンの選択に影響を及ぼす。例えば、主人公であるPCがヒロインであるNPCに恋心を告白するシーンにおいて、ヒロインが主人公の想いを受け入れれば、告白に成功したという行動履歴が行動履歴保持部28に登録され、例えば、主人公とヒロインがデートに行くシーンが選択される。逆に、ヒロインが主人公の思いを拒絶すれば、告白に失敗したという行動履歴が行動履歴保持部28に登録され、例えば、主人公が友人に相談に行くシーンが選択される。
【0021】
シーンが終了すると、しばらくの間フリーターンでゲームが進行され(S34)、その間に、統制部14は、前述したようにストーリーの終了条件をチェックする。ストーリーが終了していない場合は、再びS20に戻り、シーン選択部24により次のシーンが選択される。
【0022】
図4は、シーンデータ保持部34の内部データを模式的に示す。シーンデータ保持部34は、複数のシーンのデータを、ゲームストーリーの進行に応じて複数の階層に階層化して保持する。シーン選択部24は、まず、いずれの階層のシーンを選択するかを選択し、更に、選択された階層のシーンの中から次に実行すべきシーンを選択する。例えば、次に実行すべき階層が「階層2」である場合は、「シーン2−1」、「シーン2−2」、・・・、の中からシーンが選択される。
【0023】
シーンの中には、シーンの終了後に連続して実行すべきシーンが規定されているものがある。例えば、シーン1−3の終了後には、つづいてシーン1−3Aを実行し、その終了後には、更にシーン1−3AA又はシーン1−3ABを実行すべきことが規定されている。シーン選択部24は、実行中のシーンに連続シーンが指定されている場合は、シーン終了後に、指定された子シーンを選択する。分岐が複数ある場合には、それらのうちのいずれかを選択する。
【0024】
図5は、シーンを選択する方法の詳細を示すフローチャートである。シーン選択部24は、統制部14からシーンの選択を指示されると、まず、前回のシーンに連続シーンが指定されていないかを確認する(S40)。連続シーンが指定されている場合は(S40のY)、シーン選択部24は、行動履歴保持部28に保持されたPCの行動履歴などを参照して、指定された子シーンの中からシーンを選択する(S50)。
【0025】
連続シーンが指定されていない場合は(S40のN)、シーン選択部24は、現在の階層を示すカウンタ値を参照して階層を特定し(S42)、行動履歴保持部28に保持されたPCの行動履歴などを参照して、いずれの階層のシーンを選択すべきかを選択する(S44)。例えば、ある階層のシーンにおいて、必ず経験すべきイベントを経験していなかったり、必ず取得すべきアイテムなどを取得していない場合には、次の階層へ進むべきではないので、シーン選択部24は、現在と同じ階層又は過去の階層を選択する。シーン選択部24は、次の階層へストーリーを進めてもよいと判断した場合は、次の階層を選択する。シーン選択部24は、階層を選択すると、選択した階層のシーンの中から、行動履歴保持部28に保持されたPCの行動履歴などを参照して、統制部14から指示された条件に合致するシーンを選択する。シーンが複数選択された場合は、それら複数のシーンを待機状態とし、いずれかのシーンの起動条件が満たされたときにそのシーンを起動し、他のシーンの選択を解除してもよい。
【0026】
シーン選択部24は、階層又はシーンを選択するときに、行動履歴保持部28に保持されたPCの行動履歴の他に、PCの現在位置、現在時間、PCパラメータ、NPCパラメータなどを参照してもよい。
【0027】
このようにシーンをストーリーの進行に応じて階層化し、まず階層を選択してから、シーンを選択することにより、シーンの組合せの自由度を持たせながらも、シーンの時系列的な整合性を保つことができる。また、同一の階層内においても、時系列的に連続するシーンの分岐を設けることを可能とすることにより、より柔軟で自由度の高いストーリーを表現することができる。
【0028】
図6は、コマンドセットの構造を模式的に示す。前述したように、コマンドセットは、PCやNPCの行動を規定するものであり、実行可能な条件を満たしているときに、PCやNPCの行動の選択肢として選択される。PCの場合は、プレーヤーの指示にしたがって、選択可能なコマンドセットの中から実行するコマンドセットが指定される。NPCの場合は、NPC制御部22の人工知能部によって、実行するコマンドセットが指定される。
【0029】
コマンドセットは、図6に示したように、階層構造を有していてもよい。すなわち、PCとNPCの間で、又はNPCとNPCの間での行動が階層的に定義されてもよい。例えば、PCが「愛を語る」という行動をとったときに、相手のNPCは「負けじと愛を語る」、「照れる」、「視線をそらす」のいずれかの行動を選択する。NPCが「負けじと愛を語る」という行動を選択すると、PCは「じっと見つめる」という行動が選択肢として与えられる。このように、行動を階層化して定義することができるので、キャラクタ間の会話などを的確に表現することができる。従来の画一的で一方的な会話システムとは異なり、より人間的で自然に近い会話を実現することができる。
【0030】
なお、NPCに配役されていたキャラクタが戦闘で死亡してしまったり、何らかの事情で不在の状態となったような場合に、そのキャラクタに代えて、キャラクタ生成部18により自動生成されたモブキャラクタを、その役に配置してもよい。この場合、キャラクタ生成部18は、生成したモブキャラクタのパラメータを生成して、NPCパラメータ保持部32に格納する。以降、自動生成されたキャラクタが、NPCの役を固定的に演じることになる。これにより、ストーリーの進行に必要な役のキャラクタが不在となってしまった場合であっても、代役を配置してストーリーを進行させることができる。なお、代役として配置されたモブキャラクタは、通常のモブキャラクタ(端役キャラクタ)とは異なり、そのストーリー内では再度自動生成されることはない。このような場合、代役のモブキャラクタのデータは、該ストーリーが終了するまでキャラクタデータ保持部26に保持される。
【0031】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施の形態に係るゲーム装置の構成を示す図である。
【図2】実施の形態のゲーム装置が提供するゲームの流れを示すフローチャートである。
【図3】ストーリーを進行させる手順の詳細を示すフローチャートである。
【図4】シーンデータ保持部の内部データを模式的に示す図である。
【図5】シーンを選択する方法の詳細を示すフローチャートである。
【図6】コマンドセットの構造を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0033】
10 ゲーム装置、12 ユーザインタフェイス、14 統制部、16 配役設定部、18 キャラクタ生成部、20 PC制御部、22 NPC制御部、24 シーン選択部、26 キャラクタデータ保持部、28 行動履歴保持部、30 PCパラメータ保持部、32 NPCパラメータ保持部、34 シーンデータ保持部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザから操作指示を受け付けるユーザインタフェイスを介して、前記ユーザからの操作指示を受け付け、前記ユーザが操作するプレーヤーズキャラクタの挙動を制御する機能と、
前記プレーヤーズキャラクタ以外のキャラクタであるノンプレーヤーキャラクタの挙動を制御する機能と、
ゲームストーリーを構成する複数のシーンのデータを、前記ゲームストーリーの進行に応じて複数の階層に階層化して保持したシーン保持部から、次に実行すべきシーンを選択する機能と、をコンピュータに実現させ、
前記シーンを選択する機能は、まず、いずれの階層のシーンを選択するかを選択し、つづいて、選択された階層のシーンの中から次に実行すべきシーンを選択し、
前記プレーヤーズキャラクタ又は前記ノンプレーヤーキャラクタの挙動を制御する機能は、選択されたシーンのデータにしたがって、前記プレーヤーズキャラクタ又は前記ノンプレーヤーキャラクタの挙動を制御することを特徴とするプログラム。
【請求項2】
前記シーンを選択する機能は、前記プレーヤーズキャラクタの行動履歴を保持する履歴保持部に保持された前記プレーヤーズキャラクタの行動履歴に基づいて、前記シーンを選択することを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記シーンを選択する機能は、更に、前記プレーヤーズキャラクタの現在位置、前記ゲームストーリーにおける現在時間、及び前記プレーヤーズキャラクタ又は前記ノンプレーヤーキャラクタの属性を示すパラメータのいずれかに基づいて、前記シーンを選択することを特徴とする請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記シーンのデータは、そのシーンの起動条件を含み、
前記シーンを選択する機能により選択されたシーンの起動条件が満たされたときに、そのシーンが起動され、前記プレーヤーズキャラクタ又は前記ノンプレーヤーキャラクタの挙動を制御する機能に、そのシーンのデータが通知されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のプログラム。
【請求項5】
前記シーンのデータは、そのシーンの終了条件を含み、
前記シーンを選択する機能により選択されたシーンの終了条件が満たされたときに、そのシーンが終了され、次のシーンが選択されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のプログラム。
【請求項6】
前記シーンの終了条件は、そのシーンにおいて前記プレーヤーズキャラクタが達成すべき目標の達成に成功したことを示す成功条件と、達成に失敗したことを示す失敗条件とを含み、
前記成功条件と失敗条件のいずれの条件に合致してシーンが終了したかに基づいて、そのシーンにおける前記プレーヤーズキャラクタの行動履歴が前記履歴保持部に登録されることを特徴とする請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
前記シーンを選択する機能により選択されたシーンの起動条件が満たされる前に、そのシーンの終了条件が満たされたときに、そのシーンの選択が解除され、別のシーンが選択されることを特徴とする請求項5又は6に記載のプログラム。
【請求項8】
前記シーンを選択する機能は、実行中のシーンの階層を保持し、次に実行すべきシーンを選択するときに、前記プレーヤーズキャラクタの行動履歴に基づいて、次の階層に進行すべきであると判定したときは、次の階層のシーンの中から次に実行すべきシーンを選択し、前の階層に戻るべきであると判定したときは、前の階層のシーンの中から次に実行すべきシーンを選択することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のプログラム。
【請求項9】
実行中のシーンから分岐した複数のシーンが存在する場合は、前記シーンを選択する機能は、実行中のシーンが終了したときに、分岐先の複数のシーンの中から次に実行すべきシーンを選択することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のプログラム。
【請求項10】
前記シーンのデータは、前記プレーヤーズキャラクタ及び前記ノンプレーヤーキャラクタの挙動を規定するコマンド群を含み、
前記プレーヤーズキャラクタの挙動を制御する機能は、前記コマンド群の中から、プレーヤーズキャラクタが実行可能なコマンドを選択してユーザに提示し、ユーザからコマンドの指定を受け付けると、指定されたコマンドを実行し、
前記ノンプレーヤーキャラクタの挙動を制御する機能は、前記コマンド群の中から、前記ノンプレーヤーキャラクタの挙動を規定するコマンドを選択して実行することを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のプログラム。
【請求項11】
前記プレーヤーズキャラクタの挙動を制御する機能及び前記ノンプレーヤーキャラクタの挙動を制御する機能は、前記プレーヤーズキャラクタ及び前記ノンプレーヤーキャラクタの属性を示すパラメータをそれぞれ保持し、
前記プレーヤーズキャラクタの挙動を制御する機能は、前記プレーヤーズキャラクタのパラメータに基づいて、前記コマンド群の中から、ユーザに提示するコマンドを選択し、
前記ノンプレーヤーキャラクタの挙動を制御する機能は、前記ノンプレーヤーキャラクタのパラメータに基づいて、前記コマンド群の中から、前記ノンプレーヤーキャラクタの挙動を規定するコマンドを選択することを特徴とする請求項10に記載のプログラム。
【請求項12】
前記プレーヤーズキャラクタのパラメータと、前記ノンプレーヤーキャラクタのパラメータは、同じデータ構造を有することを特徴とする請求項11に記載のプログラム。
【請求項13】
前記プレーヤーズキャラクタ及び前記ノンプレーヤーキャラクタを演じるキャラクタの配役の設定を受け付ける機能を更に実現し、
前記配役の設定を受け付ける機能は、ゲームの開始時に前記配役の設定を受け付けると、前記プレーヤーズキャラクタ及び前記ノンプレーヤーキャラクタのパラメータに、その役に設定されたキャラクタのパラメータを設定することを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載のプログラム。
【請求項14】
前記配役の設定を受け付ける機能により配役が設定された前記プレーヤーズキャラクタ及び前記ノンプレーヤーキャラクタ以外の端役キャラクタのデータを生成する機能を更に実現し、
前記キャラクタのデータを生成する機能は、前記端役キャラクタのデータを生成するときに、その端役キャラクタの属性に応じて、前記端役キャラクタの体の部位の形状データを保持するキャラクタデータ保持部から体の部位ごとに形状データを選択し、選択した形状データを組み合わせて端役キャラクタのデータを生成することを特徴とする請求項13に記載のプログラム。
【請求項15】
前記ノンプレーヤーキャラクタに設定されていたキャラクタが不在の状態となったとき、前記キャラクタのデータを生成する機能が自動生成したキャラクタを、そのノンプレーヤーキャラクタの役に設定することを特徴とする請求項14に記載のプログラム。
【請求項16】
ユーザから操作指示を受け付けるユーザインタフェイスと、
ゲームストーリーの進行を制御する統制部と、
前記ユーザインタフェイスを介して前記ユーザからの操作指示を受け付け、前記ユーザが操作するプレーヤーズキャラクタの挙動を制御するプレーヤーズキャラクタ制御部と、
前記ユーザが操作するキャラクタ以外のキャラクタであるノンプレーヤーキャラクタの挙動を制御するノンプレーヤーキャラクタ制御部と、
前記ゲームストーリーを構成する複数のシーンのデータを、前記ゲームストーリーの進行に応じて複数の階層に階層化して保持するシーン保持部と、
前記シーン保持部に保持されたシーンの中から、次に実行すべきシーンを選択するシーン選択部と、を備え、
前記シーン選択部は、まず、いずれの階層のシーンを選択するかを選択し、つづいて、選択された階層のシーンの中から次に実行すべきシーンを選択し、
前記プレーヤーズキャラクタ制御部又は前記ノンプレーヤーキャラクタ制御部は、前記シーン選択部により選択されたシーンのデータにしたがって、前記プレーヤーズキャラクタ又は前記ノンプレーヤーキャラクタの挙動を制御することを特徴とするゲーム装置。
【請求項17】
ユーザから操作指示を受け付けるユーザインタフェイスを介して、前記ユーザからの操作指示を受け付け、前記ユーザが操作するプレーヤーズキャラクタの挙動を制御するステップと、
前記プレーヤーズキャラクタ以外のキャラクタであるノンプレーヤーキャラクタの挙動を制御するステップと、
ゲームストーリーを構成する複数のシーンのデータを、前記ゲームストーリーの進行に応じて複数の階層に階層化して保持したシーン保持部から、次に実行すべきシーンを選択するステップと、を含み、
前記シーンを選択するステップは、まず、いずれの階層のシーンを選択するかを選択し、つづいて、選択された階層のシーンの中から次に実行すべきシーンを選択し、
前記プレーヤーズキャラクタ又は前記ノンプレーヤーキャラクタの挙動を制御するステップは、選択されたシーンのデータにしたがって、前記プレーヤーズキャラクタ又は前記ノンプレーヤーキャラクタの挙動を制御することを特徴とするゲーム制御方法。
【請求項18】
ユーザから操作指示を受け付けるユーザインタフェイスを介して、前記ユーザからの操作指示を受け付け、前記ユーザが操作するプレーヤーズキャラクタの挙動を制御する機能と、
前記プレーヤーズキャラクタ以外のキャラクタであるノンプレーヤーキャラクタの挙動を制御する機能と、
ゲームストーリーを構成する複数のシーンのデータを、前記ゲームストーリーの進行に応じて複数の階層に階層化して保持したシーン保持部から、次に実行すべきシーンを選択する機能と、をコンピュータに実現させ、
前記シーンを選択する機能は、まず、いずれの階層のシーンを選択するかを選択し、つづいて、選択された階層のシーンの中から次に実行すべきシーンを選択し、
前記プレーヤーズキャラクタ又は前記ノンプレーヤーキャラクタの挙動を制御する機能は、選択されたシーンのデータにしたがって、前記プレーヤーズキャラクタ又は前記ノンプレーヤーキャラクタの挙動を制御することを特徴とするプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate