説明

ゲーム機およびプログラム

【課題】ユーザが自身の好みに応じた楽曲で音声記憶ゲームを楽しむことを可能にする。
【解決手段】 外部から入力された楽曲データをその先頭から順に1または複数の拍に対応する分割楽曲データに分割する第1の処理と、第1のステップにて得られた複数の分割楽曲データの各々に対応するアイコンを2個ずつ表示装置に表示させる第2の処理と、表示装置に表示されている複数のアイコンのうちから2つのアイコンを選択する操作が為された場合に、選択された2つのアイコンに対応する分割楽曲データを楽音再生装置に与えて各分割楽曲データに対応する音を再生させる一方、それら2つの分割楽曲データが同一であるか否かを判定し、同一ではないと判定した場合には、アイコンを選択する操作を再度実行するべきことを促す第3の処理とを実行するゲーム機を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音楽要素を取り入れたゲーム機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パソコンや家庭用ゲーム機の高性能化および低価格化に伴い、画像と音声など性質の異なる情報を同時に扱うことにより興趣性を向上させたゲームを手軽に楽しむことが可能になってきている。このようなゲームの一例として非特許文献1に開示された音声記憶ゲームがある。ここで、音声記憶ゲームとは、例えばスピーチなどを録音して得られる音声データを1単語分ずつに分割して得られる各分割音声データに対応するアイコンを2個ずつ表示装置に表示させ、各アイコンに対応する音声を確認しながら、それら複数のアイコンのうちからペアになるアイコンを探し出してゆくゲームであり、トランプを用いた所謂神経衰弱ゲームに類似するものである。
【非特許文献1】[online]、インターネット、 <URL:http://www.manythings.org/ac/family.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような音声記憶ゲームを行う際には、ユーザの好みの楽曲で実行できると便利である。しかし、楽器の演奏音のみで構成された楽曲の楽曲データを非特許文献1に開示された技術で細分化することはできない。非特許文献1に開示された技術では各単語の切れ目を細分化の際の区切りとしているからである。
【0004】
本発明は上記課題に鑑みて為されたものであり、ユーザが自身の好みに応じた楽曲で音声記憶ゲームを楽しむことを可能にする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明は、制御手段と、表示手段と、ポインティングデバイスと、楽曲データを受け取る入力手段と、与えられた楽曲データにしたがって楽音を再生する楽音再生手段と、を備え、前記制御手段は、前記入力手段により受け取った楽曲データをその先頭から順に1または複数の拍に対応する分割楽曲データに分割する第1の処理と、前記第1の処理にて得られた複数の分割楽曲データの各々に対応するアイコンを2個ずつ前記表示手段に表示させる第2の処理と、前記表示手段に表示されている複数の前記アイコンの何れかを選択する操作が前記ポインティングデバイスによって為されたことを契機としてそのアイコンに対応する分割楽曲データを前記楽音再生手段に与えるとともに、複数の前記アイコンのうちの何れか2つを選択する操作が前記ポインティングデバイスによって為されたことを契機としてそれら2つのアイコンに対応する分割楽曲データが一致するか否かを判定し、一致しないと判定した場合に、アイコンを選択する操作を再度実行するべきことを促す第3の処理とを実行することを特徴とするゲーム機を提供する。
【0006】
また、上記課題を解決するために本発明は、制御手段と、表示手段と、複数のタクトスイッチをマトリクス状に配列してなる操作パネルと、楽曲データを受け取る入力手段と、与えられた楽曲データにしたがって楽音を再生する楽音再生手段と、を備え、前記制御手段は、前記入力手段により受け取った楽曲データをその先頭から順に1または複数の拍に対応する分割楽曲データに分割する第1の処理と、前記第1の処理にて得られた複数の分割楽曲データの各々を前記複数のタクトスイッチに対応付ける処理であって、1つのタクトスイッチに複数の分割楽曲データを対応付けることを回避しつつ、1つの分割楽曲データを互いに異なる2つのタクトスイッチに対応付ける第2の処理と、前記複数のタクトスイッチの何れかを選択する操作が前記操作パネルに対して為されたことを契機としてそのタクトスイッチに対応する分割楽曲データを前記楽音再生手段に与えるとともに、何れか2つのタクトスイッチを選択する操作が前記操作パネルに対して為されたことを契機としてそれら2つのタクトスイッチに対応する分割楽曲データが一致するか否かを判定し、一致しないと判定した場合に、タクトスイッチを選択する操作を再度実行するべきことを促す第3の処理とを実行することを特徴とするゲーム機、を提供する。
【0007】
より好ましい態様においては、前記ゲーム機の制御手段は、前記第1の処理の実行に先立って、楽曲データを何個の分割楽曲データに分割するかを示す分割数、または、各分割楽曲データを何拍数分ずつとするかを示す拍数が与えられた場合には、前記第1の処理においては前記与えられた分割数または拍数で分割楽曲データを生成する、ことを特徴とする。
【0008】
また、上記課題を解決するために本発明は、コンピュータ装置に、前記コンピュータ装置の外部から入力された楽曲データをその先頭から順に1または複数の拍に対応する分割楽曲データに分割する第1の処理と、前記第1の処理にて得られた複数の分割楽曲データの各々に対応するアイコンを2個ずつ表示装置に表示させる第2の処理と、前記表示装置に表示されている複数の前記アイコンの何れかを選択する操作が為されたことを契機としてそのアイコンに対応する分割楽曲データを楽音再生装置に与え、その分割楽曲データに対応する音を再生させるとともに、複数の前記アイコンのうちの何れか2つを選択する操作が為されたことを契機としてそれら2つのアイコンに対応する分割楽曲データが一致するか否かを判定し、一致しないと判定した場合に、アイコンを選択する操作を再度実行するべきことを促す第3の処理とを実行させることを特徴とするプログラム、を提供する。
【0009】
また、上記課題を解決するために本発明は、コンピュータ装置に、前記コンピュータ装置の外部から入力された楽曲データをその先頭から順に1または複数の拍に対応する分割楽曲データに分割する第1の処理と、前記第1の処理にて得られた複数の分割楽曲データの各々を操作パネルにマトリクス状に配列された複数のタクトスイッチに対応付ける処理であって、1つのタクトスイッチに複数の分割楽曲データを対応付けることを回避しつつ、1つの分割楽曲データを互いに異なる2つのタクトスイッチに対応付ける第2の処理と、前記複数のタクトスイッチの何れかを選択する操作が前記操作パネルに対して為されたことを契機としてそのタクトスイッチに対応する分割楽曲データを楽音再生装置に与えるとともに、何れか2つのタクトスイッチを選択する操作が前記操作パネルに対して為されたことを契機としてそれら2つのタクトスイッチに対応する分割楽曲データが一致するか否かを判定し、一致しないと判定した場合に、タクトスイッチを選択する操作を再度実行するべきことを促す第3の処理とを実行させることを特徴とするプログラム、を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ユーザが自身の好みに応じた楽曲で音声記憶ゲームを楽しむことが可能になる、といった効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ本発明を実施するための最良の形態について説明する。
(A:構成)
図1は、本発明の一実施形態に係るゲーム機1の構成例を示す図である。
ゲーム機1は、前述した音声記憶ゲームをユーザに実行させるための装置である。図1に示すように、ゲーム機1は、制御部110、操作部120、楽音再生部130、表示部140、外部機器インタフェース(以下、「I/F」)部150、記憶部160、および、これら各構成要素間のデータ授受を仲介するバス170を有している。
【0012】
制御部110は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部110は、記憶部160に記憶されているプログラムにしたがって作動することにより、ゲーム機1の制御中枢として機能する。この制御プログラムにしたがって作動している制御部110が実行する処理については後に明らかにする。
【0013】
操作部120は、図1では詳細な図示は省略したが、テンキーやカーソルキーなど複数の操作子を備えたキーボードと、マウスなどのポインティングデバイスとを含んでいる。操作部120は、上記各操作子やポインティングデバイスに対するユーザの操作に応じたデータを制御部110に引き渡すことにより、その操作内容を制御部110に伝達する。この操作部120は、音声記憶ゲームにて神経衰弱ゲームにおけるカードの役割を担うアイコンをゲーム画面(図2参照)上で選択する操作をユーザに行わせるためのものである。詳細については後述するが、上記各アイコンには、音声記憶ゲームの対象となる楽曲を表す楽曲データを分割して得られる分割楽曲データの1つが対応付けられているととともに、各分割楽曲データには互いに異なる2つのアイコンが対応付けられている。
【0014】
楽音再生部130は、図1では詳細な図示は省略したが、デコーダ、アンプ、およびスピーカを含んでいる。ここで、デコーダとは、制御部110から受け取った楽曲データ(楽曲の波形を示すデータ)にデコードを施し、そのデコード結果である楽音信号を出力するものである。図1に示す楽音再生部130においては、上記デコーダにより生成された楽音信号はアンプによって適宜増幅された後にスピーカへ供給され、その楽音信号に応じた楽音が上記スピーカから放音される。この楽音再生部130は、ユーザにより選択されたアイコンに対応する分割楽曲データにしたがって音を再生することにより、ゲームクリアのためのヒントをユーザに与える役割を担っている。
【0015】
表示部140は、例えば液晶ディスプレイとその駆動回路とを含んでおり、制御部110による制御下で各種画像の表示を行うものである。この表示部140は、ゲーム機1の利用をユーザに促すためのGUI(Graphical User Interface)を提供する役割を担っている。
【0016】
図2は、音声記憶ゲームをユーザに実行させるためのGUIとして表示部140に表示されるゲーム画面の一例を示す図である。図2に示すように、表示部140に表示されるゲーム画面には、表示領域210と、終了ボタンB01とが設けられている。表示領域210には、音声記憶ゲームにてカードの役割を担う複数のアイコンが表示される。ユーザは、ペアになると推測されるアイコンをマウスポインタMPを用いてクリック(選択)することにより、音声記憶ゲームを楽しむことができるのである。ここで、ペアになるアイコンとは、同一の分割楽曲データを対応付けられたアイコンのことである。なお、図2では、上記選択操作により選択されたアイコンがハッチングで示されている。終了ボタンB01は、音声記憶ゲームを終了することをユーザに指示させるための仮想ボタンである。ユーザは、上記各仮想ボタンをクリックしたり、上記仮想ボタンに対応する操作子を押下したりすることで、音声記憶ゲームを終了させる旨の指示を入力することができる。
【0017】
外部機器I/F部150は、USB(Universal Serial Bus)など所定の規格に準拠したコネクタ(図示省略)を有し、そのコネクタに接続されている外部機器との間でデータ授受を行うものである。例えば、外部機器I/F部150に、USBメモリなどの記録媒体が接続されると、制御部110は、外部機器I/F部150を介してその記録媒体からデータを読み出したり、その記録媒体にデータを書き込んだりすることができる。本実施形態では、ゲーム機1のユーザは、自身の好みの楽曲の楽曲データが記録された記録媒体を外部機器I/F部150に接続し、その楽曲データを音声記憶ゲームの対象としてゲーム機1に与えることができる。
【0018】
記憶部160は、図1に示すように、揮発性記憶部160aと不揮発性記憶部160bとを含んでいる。揮発性記憶部160aは、例えばRAM(Random Access Memory)であり、上記制御プログラムにしたがって作動している制御部110によってワークエリアとして利用される。一方、不揮発性記憶部160bは、例えばハードディスクである。不揮発性記憶部160bには、各種データやプログラムが記憶されている。
【0019】
不揮発性記憶部160bに記憶されているデータの一例としては、上記各アイコンの画像や前述したゲーム画面の画像を表す画像データ、図3(A)に示す楽曲管理テーブルが挙げられる。図3(A)の楽曲管理テーブルには、楽曲を表す楽曲データを拍を区切りとして所定の拍数分ずつに分割して得られる分割楽曲データの各々に対応付けて、先頭から何番目の分割楽曲データであるかを示す識別子である通し番号とその楽曲を一意に示す楽曲識別子(例えば、楽曲名を示す文字列)とが格納されている。図3に例示する楽曲管理テーブルでは、楽曲Aおよび楽曲Bの分割楽曲データが格納されており、楽曲Aについては3分割され、楽曲Bについては10分割されている。詳細については後述するが、この楽曲管理テーブルの格納内容は、音声記憶ゲームをユーザに提供する際に制御部110によって利用される。また、本実施形態では、楽曲データを所定の拍数分ずつの分割楽曲データに分割し、所謂神経衰弱ゲームにおけるカードの役割を担うアイコンに各分割楽曲データを対応付けるのであるが、何故、所定の拍数分ずつに分割するのかについては後に明らかにする。
【0020】
不揮発性記憶部160bに記憶されているプログラムの一例としては、オペレーティングシステム(Operating System:以下、「OS」)を制御部110に実現させるためのOSプログラムや前述した制御プログラムが挙げられる。本実施形態に係るゲーム機1では、電源(図示省略)が投入されると、制御部110は、OSプログラムを不揮発性記憶部160bから読み出し実行する。このOSプログラムにしたがって作動しOSを実現している状態の制御部110は、他の構成要素の作動制御を行う処理、ユーザの指示に応じて他のプログラムを実行する処理などを実行する。例えば、ユーザが操作部120を適宜操作することにより上記制御プログラムの実行を指示すると、制御部110は、制御プログラムを不揮発性記憶部160bから読み出し、その実行を開始する。この制御プログラムにしたがって作動している制御部110は、以下の3つの処理を実行する。
【0021】
第1に、図2に示すゲーム画面を表示部140に表示させ、音声記憶ゲームの実行をユーザに促す処理である。より詳細に説明すると、制御部110は、音声記憶ゲームの対象となる楽曲(以下、対象楽曲)を表す楽曲データを拍の位置で分割して得られる複数の分割楽曲データの各々に対応する2つのアイコンをランダムに並べ替えて(例えば、アイコンに対応する分割楽曲データの通し番号の順とは異なる順に並べ替える等)表示領域210に配列したゲーム画面を表示部140に表示させる。ここで、対象楽曲は、楽曲管理テーブルに楽曲識別子が格納されているものの中からユーザに選択させても良いし、対象楽曲の楽曲データを記録媒体経由で与えさせるようにしても良い。ただし、記録媒体経由で対象楽曲の楽曲データを与えさせる場合には、その楽曲データを拍を区切りとして所定の拍数分ずつ分割し分割楽曲データを生成する必要がある。なお、楽曲データを拍を区切りとして所定の拍数分ずつの分割楽曲データに分割する際には、例えばaubioなどの既存のBeat Detectionのアルゴリズムを用いることができる。また、楽曲データを何拍分ずつに分割するかについては、操作部120の操作により適宜ユーザに指定させるようにすれば良い。
【0022】
さて、本実施形態で対象楽曲の楽曲データを所定の拍数分ずつの分割楽曲データに分割する理由は以下の2つである。まず、第1に、拍を区切りとすることにより、単語(非特許文献1における分割単位)を含んでいない楽曲の楽曲データを機械的に分割することが可能になるからである。第2に、拍を区切りとすることにより、音声記憶ゲームの難易度を柔軟に調整することが可能になるからである。音声記憶ゲームにおいては、各アイコンに対応付けられた分割楽曲データの表す音は、所謂神経衰弱におけるトランプに描かれているマークおよび数と同様の役割を果たしている。具体的には、1つのアイコンを選択しそのアイコンに対応する音を聴いたユーザは、その音とアイコンの表示位置とを対応付けて脳裏に記憶することや、「この音に対応するのは、画面の右下に表示されているアイコンのはず・・・」等の思考を繰り返して音声記憶ゲームを遂行するのである。したがって、各アイコンに対応する音が数拍分など充分に長く、特徴的なものであるならば、その音に対応付けてアイコンの表示位置を記憶することは容易になる。逆に、各アイコンに対応する音が1拍分など非常に短い場合には、他のアイコンの音との弁別が難しくなり、上記記憶作業は困難になる。このことに着目し、本実施形態では、音声記憶ゲームの対象となる楽曲の楽曲データを拍を区切りとしてユーザに指定された拍数分ずつに分割するのである。
【0023】
また、本実施形態では、制御部110は、対象楽曲に対応する各分割楽曲データとゲーム画面に表示される各アイコンとの対応を管理するため、上記ゲーム画面を表示させることに先立って、図3(B)に示すアイコン管理テーブルを揮発性記憶部160a内に作成する。このアイコン管理テーブルには、アイコン毎に、そのアイコンの表示位置、ペアリング完了フラグ、および、そのアイコンに対応付けられている分割楽曲データを一意に示す分割楽曲データ識別子(本実施形態では、楽曲識別子と通し番号との組み合わせ)が格納される。ここで、ペアリング完了フラグとは、音声記憶ゲームの開始時点では“0”がセットされ、ペアになるアイコンが発見されたことを契機として“1”がセットされるフラグである。このアイコン管理テーブルの格納内容は、操作部120を適宜操作することによってユーザが選択した2つのアイコンがペアになるのか否か(すなわち、それら2つのアイコンに対応する分割楽曲データが同一であるのか否か)を制御部110に判定させる際、および、全てのアイコンのペアリングが完了したか否かを制御部110に判定させる際に利用される。
【0024】
制御プログラムにしたがって作動している制御部110が実行する第2の処理は、操作部120に対してユーザが行った操作に応じた処理の実行である。具体的には、制御部110は、ユーザによりアイコンを選択する操作が操作部120に対して為されたことを検出すると、そのアイコンに対応する分割楽曲データを楽音再生部130に与え、その分割楽曲データの表す音を再生させる。前述したように、このようにして再生される音は、所謂神経衰弱ゲームにおけるトランプのマークや数と同じ役割を担うのである。また、制御部110は、終了ボタンB01がクリックされると、表示部140にゲーム画面を消去させる等、音声記憶ゲームを終了させる処理を行うのである。
【0025】
そして、制御プログラムにしたがって作動している制御部110が実行する第3の処理は、ユーザにより2つのアイコンが選択された場合に、それらアイコンがペアになるか否かを判定し、その判定結果に応じた処理の実行である。例えば、制御部110は、ユーザにより選択された2つのアイコンに対応付けてアイコン管理テーブルに格納されている分割楽曲データ識別子が一致する場合には、両アイコンはペアになると判定し、正解である旨をユーザに報知する。逆に、ペアにならないと判定した場合には、再選択を促す報知を行う。
以上がゲーム機1の構成である。本実施形態では、本発明に係るゲーム機に特徴的な3つの処理をソフトウェアモジュールで実現する場合について説明したが、ハードウェアモジュールで実現しても勿論良い。
【0026】
(B:動作)
以下、制御プログラムにしたがって制御部110が実行する動作について図面を参照しつつ説明する。
前述したように、ゲーム機1の電源(図示省略)が投入されると、制御部110は、まず、OSプログラムを不揮発性記憶部160bから読み出し、その実行を開始する。OSプログラムにしたがって作動しOSを実現している状態の制御部110がユーザの指示に応じて他のプログラムを実行することについては前述した通りである。例えば、ユーザが操作部120を適宜操作することによって制御プログラムの実行指示を入力すると、その操作内容は操作部120から制御部110へと伝達される。係る実行指示を受け取った制御部110は、その実行指示にて実行を指示されたプログラム(すなわち、制御プログラム)を不揮発性記憶部160bから読み出し、その実行を開始する。
【0027】
図4は、制御プログラムにしたがって制御部110が実行する動作の流れを示すフローチャートである。制御部110は、まず、対象楽曲の楽曲データについて、所定の拍数分ずつに分割楽曲データに分割されているか否かを判定する(ステップSA100)。より詳細に説明すると、本実施形態では、前述した楽曲管理テーブル(図2参照)に楽曲識別子が格納されている楽曲のうちから、対象楽曲が選択された場合には、制御部110は、分割済みであると判定する。一方、楽曲管理テーブルには格納されてない楽曲が対象楽曲として指定された場合(例えば、対象楽曲の楽曲データが記録媒体経由で与えられた場合)には、制御部110は、分割済みではないと判定する。以下、本動作例では、外部機器I/F部150に接続されている記録媒体に格納されている楽曲データが対象楽曲の楽曲データとして指定された場合について説明する。前述したように、係る場合は、ステップSA100の判定結果は“No”になる。
【0028】
ステップSA100の判定結果が“No”である場合には、制御部110は、対象楽曲の楽曲データを所定のアルゴリズムにしたがって拍を区切りとして分割楽曲データに分割する(ステップSA110)。そして、制御部110は、ステップSA110の完了後にステップSA120以降の処理を実行する。一方、ステップSA100の判定結果が“Yes”である場合には、制御部110は上記ステップSA110の処理を実行することなく、ステップSA120以降の処理を実行する。本動作例では、ステップSA100の判定結果は“No”になるのであるから、ステップSA110の処理が実行されることになる。なお、ステップSA110の処理を実行する際には、同一の楽曲データを音声記憶ゲームの対象として指定された場合に、分割処理が再度実行されることを回避するため、その分割結果を楽曲管理テーブルに登録する処理を制御部110に実行させても良い。
【0029】
ステップSA120においては、制御部110は前述したゲーム画面(図2参照)を表示部140に表示させる。より詳細には、ゲーム画面の表示を行う際には、制御部110は、分割楽曲データの各々に対応するアイコンを2個ずつ、例えば擬似乱数などを用いてその通し番号の順とは異なる順にランダムに並び替えて表示領域210に配列したゲーム画面を表示部140に表示させる。
【0030】
上記ゲーム画面を視認したユーザは、ポインティングデバイスを適宜操作して表示領域210内のアイコンをクリックする操作、終了ボタンB01をクリックする操作等を行うことができる。一方、上記ゲーム画面を表示部140に表示させている状態の制御部110は、ユーザの操作内容を示すデータを操作部120から受け取ることを待ち受けており、ユーザの操作内容を示すデータを受け取る度に、その操作内容に応じた処理を実行する(ステップSA130)。例えば、表示領域210に表示されている何れかのアイコンが選択されたことを示すデータを操作部120から受け取ると、制御部110は、アイコン管理テーブルの格納内容を参照して、そのアイコンに対応する分割楽曲データを特定し、その分割楽曲データを楽音再生部130に与える。そして、制御部110は、ユーザにより2つのアイコンが選択されたことを検出すると(ステップSA140:Yes)、選択された2つのアイコンの各表示位置を求め、アイコン管理テーブルにおける各表示位置に対応した各データの楽曲識別子および通し番号を比較することにより、それら2つのアイコンがペアになるか否かを判定する(ステップSA150)。
【0031】
ステップSA150の判定結果が“No”である場合には、制御部110は、アイコンの選択を継続するべきことを促すメッセージを表示部140に表示させ(ステップSA190)、ステップSA130以降の処理を繰り返し実行する。逆に、ステップSA150の判定結果が“Yes”であると、制御部110は、それらアイコンについてのペアリング完了フラグを“1”に更新するとともに、正解である旨を示すメッセージを表示部140に表示させる(ステップSA160)。
【0032】
次いで、制御部110は、全てのアイコンがペアになったか否かを判定する(ステップSA170)。具体的には、制御部110は、アイコン管理テーブル内の全てのペアリングフラグの値が“1”である場合に、全てのアイコンがペアになったと判定する。そして、制御部110は、ステップSA170の判定結果が“No”である場合には、前述したステップSA190の処理を実行した後に、ステップSA130以降の処理を繰り返し実行し、逆に、ステップSA160の判定結果が“Yes”である場合には、ゲームクリアを示すメッセージを表示部140に表示(ステップSA180)させた後、本ゲームを終了するのである。
【0033】
以上に説明したように、本実施形態に係るゲーム機1によれば、ユーザが好みの楽曲で音声記憶ゲームを楽しむことが可能になる。また、本実施形態では、分割楽曲データのデータサイズ(すなわち、分割楽曲データに対応する拍数)を適宜調整することにより所望の難易度で音声記憶ゲームを楽しむことが可能になる。
【0034】
(C:他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、上記実施形態に以下に述べる変形を加えても良いことは勿論である。
(1)上述した実施形態では、外部機器I/F部150を楽曲データを入力するための入力手段として用い、ゲーム機1に予め記憶されている楽曲データの他に、USBメモリなどの記録媒体に記録されている楽曲データを音声記憶ゲームの対象とする場合について説明した。しかしながら、インターネットなどの電気通信回線経由のダウンロードにより配布される楽曲データを音声記憶ゲームの対象とすることも可能である。このようなことは、楽曲データを入力するための入力手段として例えばNIC(Network Interface Card)やモデムなどの通信I/F部をゲーム機1に追加し、係る通信I/F部を用いて電気通信回線に接続し、その電気通信回線に接続されているコンテンツサーバから楽曲データをダウンロードすることにより実現される。
【0035】
(2)上述した実施形態では、音声記憶ゲームの対象となる楽曲の楽曲データを所定の拍数分ずつの分割楽曲データに分割する場合について説明したが、各分割楽曲データに含まれる拍の数が一定である必要はない。また、上述した実施形態では、分割楽曲データに対応する拍の数を調整することによって、ゲームの難易度を調整する場合について説明したが、楽曲データを何分割するかを操作部120の操作によりユーザに指定させ、その分割数でゲームの難易度を調整させても良い。一般に、分割数が大きいほど、各分割楽曲データに含まれる拍の数は少なくなるため、ゲームとしての難易度は高くなるからである。なお、上述した実施形態のように、予め複数の分割楽曲データに分割されて楽曲データがゲーム機1に記憶されている場合も、その分割数とユーザが指定した分割数とが異なる場合には、ユーザが指定した分割数に整合するよう、各分割楽曲データを拍を区切りとして細分化したり、逆に、分割楽曲データを数個ずつ通し番号順に連結して新たな分割楽曲データを生成したりしても良い。
【0036】
(3)上述した実施形態では、音声記憶ゲームの実行を促すためのGUI画面をゲーム機1の表示部140に表示させるとともに、ゲーム機1の操作部120に対する操作に応じて音声記憶ゲームを遂行する場合について説明したが、所謂オンラインゲームとして音声記憶ゲームを提供することも可能である。具体的には、インターネットなどの電気通信回線にゲーム機1と、音声記憶ゲームに参加するユーザの利用端末(例えば、パーソナルコンピュータ等)とを接続する。そして、図2に示すゲーム画面を上記利用端末に表示させるためのデータ(例えば、HTMLなどのマークアップ言語で記述されたデータ)をゲーム機1から電気通信回線を介して利用端末に配信し、そのデータにしたがって利用端末の表示部にゲーム画面(図2参照)を表示させるのである。その後、上記利用端末は、自端末の操作部に対してユーザが何等かの操作(例えば、アイコンを選択する操作等)を行う度に、その操作内容を示すデータ(以下、操作内容データ)を上記電気通信回線を介してゲーム機1へ送信する。上記操作内容データを受け取ったゲーム機1は、その操作内容データの示す操作内容に応じた処理を実行する。例えば、何れかのアイコンを選択する操作が為されたのであれば、そのアイコンに対応する分割楽曲データを利用端末へ配信し、その分割楽曲データに対応する音声を放音させる。また、何れか2つのアイコンを選択する操作が為されたのであれば、それらアイコンがペアになるか否かを判定し、その判定結果に応じたメッセージを利用端末に出力させるためのデータを配信するのである。なお、係る態様にあっては、電気通信回線を解して複数の利用端末をゲーム機1に接続し、各利用端末のユーザを音声記憶ゲームに参加させるようにしても良い。具体的には、上記複数のユーザの各々に予めゲームの実行順(アイコンのペアリングに挑戦する順)を定めておき、アイコンのペアリングに失敗する毎にその実行順にしたがって、ペアリングに挑戦するユーザを切り替えてゆくのである。
【0037】
(4)上述した実施形態では、全てのアイコンのペアリングを完了した時点で、ゲームクリアを示すメッセージを出力させる場合について説明したが、音声記憶ゲームの開始時点を起算点としてゲームクリアまでに要した時間を計時し、その所要時間を表示しても良く、また、その所要時間が短い程高い点数に換算してその点数を上記メッセージとともの出力しても良い。また、複数のユーザを1回の音声記憶ゲームに参加させる態様においては、ユーザ毎にアイコンのペアリングに成功する毎に点数を加算し、ゲームクリア時点で各ユーザの獲得点数を出力するようにしても良い。
【0038】
(5)上述した実施形態では、音声記憶ゲームをユーザに実行させるためのユーザインタフフェイスをGUIで提供する場合について説明したが、ハードウェアで上記ユーザインタフェイスを提供しても良い。具体的には、本出願人の提案に係るテノリオン(登録商標)と称される機器(詳細については、<URL:http://www.yamaha.co.jp/design/tenori-on/>参照)を用いて上記ユーザインタフェイスを提供するとしても良い。上記テノリオンは256個のタクトスイッチを16×16のマトリクス状に配列してなる操作パネルを有しており、それらタクトスイッチの各々に対応付けて音声データを記憶することができる。そして、上記テノリオンのユーザは、適宜タクトスイッチを押下することによって、そのタクトスイッチに対応付けられた音を上記テノリオンに出力させることができるのである。そこで、上記各タクトスイッチに、前述した分割楽曲データを対応付け、それらタクトスイッチに本実施形態に係るアイコンの役割を担わせれば、上記テノリオンを音声記憶ゲームを実行するためのユーザインタフェイスとして用いることが可能になる。
【0039】
(6)上述した実施形態では、1つの楽曲データを音声記憶ゲームの対象とする場合について説明したが、2以上の楽曲データを同時に音声記憶ゲームの対象としても良いことは勿論である。複数の楽曲データの各々を拍を区切りとして分割し、その分割楽曲データの各々についてアイコンを2個ずつ配列したゲーム画面により音声記憶ゲームをユーザに実行させるのである。一般に、対象となる楽曲の数が増えるアイコンの数か増加し、アイコンの表示位置とそのアイコンに対応する音とを対応付けて記憶することは困難になるのであるから、同時に使用する楽曲データの数を調整することによっても音声記憶ゲームの難易度を調整することが可能になる。
【0040】
(7)上述した実施形態では、本発明に係るゲーム機に特徴的な処理を制御部110に実行させるための制御プログラムがゲーム機1の不揮発性記憶部160bに予め記憶されている(インストールされている)場合について説明した。しかし、係る制御プログラムを、例えばCD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)やDVD(Digital Versatile Disk)などコンピュータ装置が読み取り可能な記録媒体に記録して配布しても良く、また、上記電気通信回線経由のダウンロードにより配布しても良い。このようにして配布される制御プログラムを、例えばパソコンなどの一般的なコンピュータ装置にインストールしたり、そのコンピュータ装置に実行させたりすることによって、一般的なコンピュータ装置に本発明に係るゲーム機と同一の処理を実行させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態に係るゲーム機1の構成例を示す図である。
【図2】同ゲーム機1の表示部140に表示されるゲーム画面の一例を示す図である。
【図3】同ゲーム機1の不揮発性記憶部160bに格納されているデータの一例を示す図である。
【図4】同ゲーム機1の制御部110が制御プログラムにしたがって実行する動作の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
1…ゲーム機、110…制御部、120…操作部、130…楽音再生部、140…表示部、150…外部機器I/F部、160…記憶部、160a…揮発性記憶部、160b…不揮発性記憶部、170…バス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御手段と、
表示手段と、
ポインティングデバイスと、
楽曲データを受け取る入力手段と、
与えられた楽曲データにしたがって楽音を再生する楽音再生手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記入力手段により受け取った楽曲データをその先頭から順に1または複数の拍に対応する分割楽曲データに分割する第1の処理と、
前記第1の処理にて得られた複数の分割楽曲データの各々に対応するアイコンを1つの分割楽曲データ当たり2個ずつ前記表示手段に表示させる第2の処理と、
前記表示手段に表示されている複数の前記アイコンの何れかを選択する操作が前記ポインティングデバイスによって為されたことを契機としてそのアイコンに対応する分割楽曲データを前記楽音再生手段に与えるとともに、複数の前記アイコンのうちの何れか2つを選択する操作が前記ポインティングデバイスによって為されたことを契機としてそれら2つのアイコンに対応する分割楽曲データが一致するか否かを判定し、一致しないと判定した場合に、アイコンを選択する操作を再度実行するべきことを促す第3の処理と
を実行することを特徴とするゲーム機。
【請求項2】
制御手段と、
表示手段と、
複数のタクトスイッチをマトリクス状に配列してなる操作パネルと、
楽曲データを受け取る入力手段と、
与えられた楽曲データにしたがって楽音を再生する楽音再生手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記入力手段により受け取った楽曲データをその先頭から順に1または複数の拍に対応する分割楽曲データに分割する第1の処理と、
前記第1の処理にて得られた複数の分割楽曲データの各々を前記複数のタクトスイッチに対応付ける処理であって、1つのタクトスイッチに複数の分割楽曲データを対応付けることを回避しつつ、1つの分割楽曲データを互いに異なる2つのタクトスイッチに対応付ける第2の処理と、
前記複数のタクトスイッチの何れかを選択する操作が前記操作パネルに対して為されたことを契機としてそのタクトスイッチに対応する分割楽曲データを前記楽音再生手段に与えるとともに、何れか2つのタクトスイッチを選択する操作が前記操作パネルに対して為されたことを契機としてそれら2つのタクトスイッチに対応する分割楽曲データが一致するか否かを判定し、一致しないと判定した場合に、タクトスイッチを選択する操作を再度実行するべきことを促す第3の処理と
を実行することを特徴とするゲーム機。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記第1の処理の実行に先立って、楽曲データを何個の分割楽曲データに分割するかを示す分割数、または、各分割楽曲データを何拍数分ずつとするかを示す拍数が与えられた場合には、前記第1の処理においては前記与えられた分割数または拍数で分割楽曲データを生成する
ことを特徴とする請求項1または2の何れか1に記載のゲーム機。
【請求項4】
コンピュータ装置に、
前記コンピュータ装置の外部から入力された楽曲データをその先頭から順に1または複数の拍に対応する分割楽曲データに分割する第1の処理と、
前記第1の処理にて得られた複数の分割楽曲データの各々に対応するアイコンを2個ずつ表示装置に表示させる第2の処理と、
前記表示装置に表示されている複数の前記アイコンの何れかを選択する操作が為されたことを契機としてそのアイコンに対応する分割楽曲データを楽音再生装置に与え、その分割楽曲データに対応する音を再生させるとともに、複数の前記アイコンのうちの何れか2つを選択する操作が為されたことを契機としてそれら2つのアイコンに対応する分割楽曲データが一致するか否かを判定し、一致しないと判定した場合に、アイコンを選択する操作を再度実行するべきことを促す第3の処理と
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項5】
コンピュータ装置に、
前記コンピュータ装置の外部から入力された楽曲データをその先頭から順に1または複数の拍に対応する分割楽曲データに分割する第1の処理と、
前記第1の処理にて得られた複数の分割楽曲データの各々を操作パネルにマトリクス状に配列された複数のタクトスイッチに対応付ける処理であって、1つのタクトスイッチに複数の分割楽曲データを対応付けることを回避しつつ、1つの分割楽曲データを互いに異なる2つのタクトスイッチに対応付ける第2の処理と、
前記複数のタクトスイッチの何れかを選択する操作が前記操作パネルに対して為されたことを契機としてそのタクトスイッチに対応する分割楽曲データを楽音再生装置に与えるとともに、何れか2つのタクトスイッチを選択する操作が前記操作パネルに対して為されたことを契機としてそれら2つのタクトスイッチに対応する分割楽曲データが一致するか否かを判定し、一致しないと判定した場合に、タクトスイッチを選択する操作を再度実行するべきことを促す第3の処理と
を実行させることを特徴とするプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−200211(P2008−200211A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−38553(P2007−38553)
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】