説明

ゲーム用プログラム

【課題】 ウェブサイトとのリンクが可能なパソコンで、二人が一緒に、一つのゲームを楽しむことができるゲーム用プログラムを提供することである。
【解決手段】 パソコンPに接続した第1,2入力手段3,4から同時もしくはほぼ同時に複数の信号が入力されたとき、それらを全て受け付ける機能を設定する手順(ステップS2、S3)と、一つのディスプレイ5に上記第1,2入力手段に対応した第1,2操作対象を表示させる手順(ステップS7)と、第1入力手段3を介して第1操作対象11に対する連続的な処理操作を要求する手順と、第1操作対象11に対する処理操作中に、第2入力手段4を介して第2操作対象12に対する処理操作を要求する手順と、第1,2入力手段から入力された操作信号に基づいてゲームの結果を結論づける手順とを実行させて、2つの入力手段を用いた二人でしかできないゲームを進行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パソコンを利用したゲーム用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ゲーム専用機の替わりに、パソコンを用いたゲームが知られている。
パソコン用ゲームソフトは、CD−ROMなどに記録して販売されるものや、パソコンをインターネットに接続し、特定のウェブサイトからダウンロードして利用するものなどがある。パソコンは、簡単にインターネットに接続することができるので、ウェブサイトから単にゲームソフトをダウンロードするだけではなく、ゲーム中に、ゲームに関連したウェブ情報を表示したり、ゲーム結果に応じて賞品を獲得できるウェブサイトにアクセスしたりなど、ゲームとウェブ情報とをリンクさせることが可能である。
なお、上記のようなゲームは、一般に知られているものであり、特にこれらゲームに関する文献調査は行なわなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のように、パソコンを用いたゲームでは、ウェブ情報とのリンクによって、従来のゲーム専用機では得られなかった、楽しみ方ができる。
しかし、通常のパソコンを用いたゲームでは、複数のプレイヤーが同時に参加して楽しむゲームを実現することは難しかった。
なぜなら、パソコンは、同時に入力された信号のうちいずれか一方のみを選択して処理し、他方の信号は破棄するか、全く同時に入力された2つの信号はどちらも破棄するようにしているからである。
【0004】
例えば、ワープロソフトで、文字入力中にマウスで位置を指定すれば、マウスで指定した位置にカーソルが移動し、その位置から文字が表示されるが、マウスをクリックしたままの状態でキーを押しても文字は表示されない。
つまり、パソコンは、もともと、ひとりのユーザーが使用するもので、同時に、異なる処理を要求する二つの信号が入力されたとき、予め定められたルールに基づいて、一方の信号に基づく処理を行ない、他方の信号を破棄してしまうか、順序が決められない場合には、両信号とも破棄してしまうようにしている。
【0005】
このような処理を行なうパソコンでは、例えば、キーボードとマウスとから、同時に信号が入力されたとき、入力信号に基づく処理が停止してしまうので、キーボードとマウスのように別々の入力手段を二人が同時に操作して進めるゲームには向かないという問題があった。
一方で、ゲーム専用機には、複数のコントローラを接続し、複数人が同時に参加するゲームができるものがあったが、ゲーム専用機は、パソコンのように自由にウェブサイトに接続する機能は備えていない。そのため、ゲームとウェブサイトとをリンクさせた楽しみは得られなかった。
【0006】
この発明の目的は、パソコンで、複数の人が同時に、一つのゲームを楽しむことができるゲーム用プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、第1,2入力手段を備えたパソコンに、第1,2入力手段から同時もしくはほぼ同時に入力された複数の信号を受け付ける機能を設定する手順と、一つのディスプレイに上記第1,2入力手段に対応した第1,2操作対象を表示させる手順と、第1入力手段を介して第1操作対象に対する連続的な処理操作を実行することを要求する手順と、第1操作対象に対する処理操作中に、第2入力手段を介して第2操作対象に対する処理操作を実行することを要求する手順と、第1,2入力手段から入力された操作信号に基づいてゲームの結果を結論づける手順とを実行させる点に特徴を有する。
なお、上記第1,2入力手段は、パソコンに信号を入力できるものであれば、例えば、キーボード、マウスなど、どのようなものであってもよい。また、キーボードを少なくとも二つのエリアに区分し、一方のエリアを第1入力手段とし、他方のエリアを第2入力手段としてもよい。
【0008】
なお、上記ディスプレイ上に表示される第1、2操作対象は、入力手段の操作によって表示状態が変化するものであり、入力手段の操作によって動きが変化するキャラクターのほか、単に画面を区画した表示エリアや、答えの入力枠などを含む。
また、上記処理操作を実行することを要求するとは、そのゲームを進行するために必要な操作をゲームのプレイヤーに対して要求することで、具体的には、操作を促すための画面を表示したり、音声を出力したりすることである。
さらに、上記ゲームの結果を結論づけるとは、ゲームにおけるプレイヤーの勝敗が決定したり、最終的な獲得ポイント数が決定したりして、ゲームが終了することである。
【0009】
第2の発明は、上記第1の発明の手順に、上記第1,2入力手段から入力された操作信号が要求どおりであるとき、ゲームの勝利、点数の獲得、ゲームの継続、その他ゲーム上の特典付与を決める手順を付加した点に特徴を有する。
第3の発明は、第1操作対象に対する処理操作中に、第2入力手段を介して第2操作対象に対する処理操作を実行することを要求する手順において、上記第2操作対象に対する処理操作が連続的である点に特徴を有する。
【0010】
第4の発明は、パソコンに接続されたキーボードを第1,2入力手段のいずれか一方の入力手段に設定し、パソコンに接続されたマウスをいずれか他方の入力手段に設定する手順を付加した点に特徴を有する。
第5の発明は、キーボードを入力手段に設定したとき、キーボード上の6個以上のキーが同時もしくは瞬時に操作されることを入力条件に設定する手順を付加した点に特徴を有する。
上記瞬時に操作されるとは、複数のキーが、同時ではないが、予め設定した非常に短い設定時間内に連続的に操作されることである。
【0011】
第6の発明は、上記第1,2操作対象は、正解を求める問題であって、それらの問題のジャンルを異にした点に特徴を有する。
【発明の効果】
【0012】
第1〜第6の発明によれば、複数のプレイヤーが一緒に楽しむゲームを、パソコンで進行させることができる。複数人が別々の入力手段を操作しながら、一緒に、一つのゲームを楽しむことができるとともに、ゲーム内容とウェブ情報とのリンクも容易になるので、ゲーム内容のバリエーションが増え、面白さの幅が広がる。
特に、第1入力手段を介して連続的な操作が要求されるので、プレイヤーは、第1入力手段を操作する第1操作対象の処理操作中に、第2入力手段を操作することはほとんど不可能である。つまり、この発明のゲーム用プログラムを実行したときには、ひとりで楽しむゲームではなく、実質的にひとりではできないゲームとなる。
【0013】
第2の発明によれば、第1入力手段を介しての第1操作対象に対する処理中に、第2操作対象に対する処理操作を実行するという要求に応えたときに、ゲーム上の特典付与がなされるので、ゲームに勝利したり、継続したりしてゲームを楽しむためには、二人のプレイヤーの操作が必要になる。つまり、ひとりではゲームを楽しめないということになる。
【0014】
第3の発明によれば、第1操作対象に対する処理操作とともに、第2操作対象に対する処理操作も連続的なものなので、両方の処理操作をひとりで行なうことは不可能である。
第4の発明によれば、キーボードとマウスとを、第1,2入力手段として利用できる。
【0015】
第5の発明では、一方の入力手段としてのキーボード上で6個以上のキーを同時もしくは瞬時に押す必要があるので、それだけで、ひとりのプレイヤーの両手を必要とする。従って、もう一方の入力手段を操作してゲームを進行せるためには、実質的にひとりではできない。
【0016】
第6の発明では、第1,2操作対象にあたる問題のジャンルが異なるため、一方の問題を解くためのプレイヤーのと、他方の問題を解くためのプレイヤーの思考回路とが異なる。そのため、所定時間内に同一プレイヤーが、第1入力手段を操作して、第1のジャンルの問題に正解しながら、第2のジャンルの問題にも正解することはほとんど不可能である。つまり、このゲームは、実質的にひとりではできないことになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
この発明の実施形態を、二人でしかできないタイピングゲームを例に説明する。
図1は、この実施形態のゲームを行なうためのシステム構成を示すブロック図であり、このシステムは、データ処理部1と、ゲーム用プログラムを記憶した記憶部2と、この発明の第1入力手段であるキーボード3と、第2入力手段であるマウス4と、ディスプレイ5とを備えていえる。そして、上記データ処理部1及び記憶部2がこの発明のパソコンPを構成し、記憶部2がゲーム用プログラムを記憶している。ただし、ゲーム用プログラムを記憶している記憶部2は、パソコンPとは別装置であってもよい。例えば、CD−ROMなどの記録媒体や、上記パソコンPとインターネットを介して接続可能にしたウェブサーバーがゲーム用プログラムを記憶し、これらの記憶部から上記データ処理部1がゲーム用プログラムを読み出してロードするようにしてもよい。
【0018】
次に、パソコンPのデータ処理部1が、記憶部2に記憶しているゲーム用プログラムを実行してゲームを進行する手順を図2のフローチャートに従って説明する。
まず、データ処理部1は、ステップS1で、記憶部2からゲーム用プログラムを読み込み、ステップS2で、データ処理部1に接続されたキーボード3をこの発明の第1入力手段とし、マウス4をこの発明の第2入力手段として設定する。
ステップS3で、データ処理部1は、上記第1、2入力手段からの信号の受付ルールを設定する。このように、第1、2入力手段を設定して、信号の受付ルールを設定することによって、第1、2入力手段から入力された信号が、それぞれ、後で説明する第1、2操作対象に対する処理信号になるということである。また、上記受付ルールでは、キーボード3からの信号とマウス4からの信号とが同時に入力された場合にも、どちらの信号も受け付けるようにする。
【0019】
上記のように、第1、2入力手段と、信号の受付ルールを設定したら、データ処理部1は、図2のステップS4で、ディスプレイ5に図4に示す準備画面6を表示させる。この準備画面6には、これから始めるタイピングゲームの文字入力を訓令式ローマ字で行なうか、ヘボン式ローマ字で行なうかをプレイヤーが決めるための選択ボタン6a,6bと、ゲームをスタートするためのスタートボタン6cとを備えている。
プレイヤーは、上記選択ボタン6aまたは6bをマウス4によってローマ字の入力方式を選択してからスタートボタン6cをクリックする。
【0020】
データ処理部1は、上記選択ボタン6aまたは6bがクリックされたら、ステップS5で、選択された入力方式を認識するとともに、ステップ6でスタート信号を受け付け、ステップS7で図5のタイピング画面7をディスプレイ5に表示させてタイピングゲームを開始する。
タイピングゲームが開始すると、データ処理部1は、図3に示すように3つのフローA,B,Cを並行処理することになるが、処理の詳細については後で説明する。
【0021】
ここでは、上記タイピング画面7を用いて進行するタイピングゲームのルールを簡単に説明する。
上記タイピング画面7には、時間欄8と、問題数欄9と、体力表示欄10と、文字入力欄11と、体力回復アイテム欄12とを備えている。
そして、このタイピングゲームは、上記文字入力欄11に表示された単語を、キーボード3を介してローマ字入力するものであり、入力された文字が正しければ、新たな単語が表示され、用意された全問に正解すればゲームは終了する。
また、予め制限時間が設定され、ゲーム開始からその制限時間が経過した時点で、ゲームは終了する。そして、ゲーム中の残り時間が時間欄8に表示される。
【0022】
一方、上記制限時間とは別に、スタート時に100%で、時間とともに所定の割合で減少する体力を設定し、この体力が0になった時点でゲームが終了するようにしている。
また、体力回復アイテム欄12には、画面の上方から下方へ移動する体力回復アイテム12a,12b,12cを表示させるようにし、これらの体力回復アイテム12a,12b,12cが体力回復アイテム欄12内に表示されている間に、各アイテム12a,12b,12cをマウス4でクリックすると、アイテムが画面から消え、そのクリックごとに上記体力が増加するようにしている。そして、増減する体力の値が、体力表示欄10の数値欄10aとグラフ10bに表示されるようにしている。なお、このグラフ10bは、左端を100%とし、右に向かって減少する体力の残り量を示すようにしている。
【0023】
上記したように、上記タイピング画面7中の文字入力欄11は、そこに示された問題に対する回答として、第1入力手段としてのキーボード3から文字が入力される欄である。つまり、上記文字入力欄11が、第1入力手段に対応したこの発明の第1操作対象にあたる。
また、上記体力回復アイテム欄12に表示された回復アイテム12a,12b,12cは、その位置にマウスポインタを一致させてクリックすると、この発明の第2入力手段であるマウス4からの信号を受け付けて処理されるこの発明の第2操作対象にあたる。
そして、上記ステップS7が、これら第1操作対象及び第2操作対象を表示させる手順である。
【0024】
以下に、ゲーム開始から終了までのデータ処理部1の処理手順を、図3のフローチャートに従って説明する。
まず、データ処理部1は、図3に示すフローAのステップS8aで制限時間の計測を開始し、ステップS9aで制限時間までの残り時間を表示させる。そして、ステップS10aで予め設定された制限時間に達したかどうかを判断し、制限時間に達したと判断した場合には、ステップS50のゲーム終了処理へ進んで、このタイピングゲームを終了させる。
なお、このフローAのステップS8a〜S10aを順に示しているが、ステップS9a,10aの処理は、どちらが先でもかまわない。データ処理部1は、時間計測を開始したら、制限時間に達したかどうかを常時監視するとともに、残り時間をリアルタイムで表示させるようにしている。
【0025】
また、データ処理部1は、上記タイピング画面7を表示してタイピングゲームを開始したら、ステップS8bで、上記入力欄11にタイピング用の問題を表示する。ここで表示すべき問題は、予め、ゲーム用プログラム中に記憶したものであり、問題の表示後にステップS9bでキーボード3から入力された信号を受信し、ステップS10bで、キーボード3から入力された文字と問題とが一致するかどうか判断する。なお、このステップS10bで、正解として用いるデータは上記ステップS5で認識したローマ字の入力方式に沿ったものである。
【0026】
このステップS10bで、キーボード3からの入力を正解と判定した場合には、データ処理部1は、ステップS11bへ進み、正解ポイントを加算してステップS12bへ進むが、ステップS10bで不正解と判定した場合にはステップS9bへ戻り、キーボード3から正解の入力があるまでステップS9b及びS10bを繰り返す。
一方、データ処理部1は、ステップS11bからステップS12bへ進んだら、予め用意されている問題を全問表示しかたどうかを判断する。全問表示していた場合には、ステップS50へ進み、ゲーム終了処理を行なう。
【0027】
さらにまた、データ処理部1は、上記ステップS8a及びS8bとは別に、図3のフローCの処理を進める。すなわち、図2に示すステップS7から図3に示すステップS8cに進み、体力の初期値である100%を、図5に示すタイピング画面7の体力表示欄10の数値欄10a及びグラフ10bに表示させる。
次に、ステップS9cで、データ処理部1は、その時点での体力の数値が0より大きいかどうかを判断し、体力の数値が0以下と判断した場合には、ステップS50のゲーム終了処理へ進む。
【0028】
一方、上記ステップS9cで体力が0より大きいと判断した場合には、ステップS10cへ進み、予め設定されている所定値を体力の数値から減算して、その演算結果を図5の体力表示欄10に表示させる。
データ処理部1は、ステップS11cで体力回避クアイテム12a,12b,12cのいずれかがクリックされたことを検出したら、ステップS12cへ進み、データ処理部1は予め設定されている所定値を体力の値に加算するとともに、その演算結果を体力表示欄10に表示させ、ステップS9cへ戻る。
また、上記体力回復アイテムがクリックされない場合には、ステップS11cからステップS9cへ戻る。
【0029】
なお、図3では、ステップS11cで、上記タイピング画面7の体力回復アイテム欄12の回復アイテム12a,12b,12cがクリックされたかどうかを判断するようにしているが、ステップS10cとステップS11cの順序はどちらが先でも良く、データ処理部1はマウス4のクリック信号が入力された時点で、それを認識してステップS12cの処理を行なうようにすればよい。
【0030】
そして、このタイピングゲームは、図3のフローAにおいて制限時間に達したときか、フローBにおいて全問正解したときか、フローCにおいて体力が0になったときのいずれかで、データ処理部1の処理がステップS50に進んでゲームを終了するようにしている。
ただし、このタイピングゲームにおいて、タイピング画面7に表示される問題に全問正解するためには、キーボード3による文字入力中に、体力回復アイテム12a,12b,12cをクリックして体力を増加させなければ、時間が足りないように設定しておく。
なお、上記ステップS50のゲーム終了処理には、正解数、タイプミス数、残り時間、残り体力値などに応じてポイントを算出する手順や、それらを表示したゲーム終了画面をディスプレイ5に表示させる手順などを含む。
【0031】
以上のように、データ処理部1は、記憶部2が記憶しているこのゲーム用プログラムに基づいて処理を実行して、ゲームを進行する。そして、データ処理部1は、図3に示す3つのフローA,B,Cを並行処理する際に、キーボード3から入力される信号と、マウス4から入力される信号とを、どちらも常に受信するように設定されている(図2のステップS3)ので、キーボード3から入力される文字信号を受け付けて正誤を判断しながら、マウス4のクリック信号に基づいて体力の演算処理も実行できる。
【0032】
なお、このタイピングゲームでは、時間や体力に制限があるため、問題に対するタイピングを素早くしなければ、ポイントを獲得できないままゲームが終了してしまう。そこで、プレイヤーはキーボード3によるタイピングに集中して、画面に表示される問題に素早く、連続的に対応しなければならない。従って、このゲームにおいては、データ処理部1が、上記ステップS8bで問題を表示することが、この発明の第1入力手段を介して第1操作対象に対する連続的な処理操作を実行することを要求する手順となる。
【0033】
また、上記したように、このタイピングゲームでは、タイピング画面7に表示される問題をクリアするために、キーボード3による文字入力中に、体力回復アイテム12a,12b,12cのクリックが必要になるルールになっているので、タイピング用の問題を表示することが、この発明の第1操作対象に対する処理中に、第2入力手段に対する処理操作を要求する手順となる。
【0034】
このように、上記ゲームでは、第1入力手段の連続的な操作中に、第2処理手段の操作が要求されるため、その要求に応えることはひとりのプレイヤーでは不可能である。つまり、ゲームをクリアするためには、二人のプレイヤーが必要である。
言い換えれば、上記実施形態のゲーム用プログラムによれば、二人が協力して一緒に楽しむゲームを進行させることができる。しかも、このゲームはパソコンで行なうので、インターネットに接続して、ゲーム内容とインターネット情報とをリンクさせて楽しむこともできる。
【0035】
上記実施形態では、タイピングゲームを例に説明したが、この発明のゲーム用プログラムは、タイピングゲームに限らず、少なくとも二人のプレイヤーが参加して、それぞれが同時もしくはほぼ同時に、個々の入力手段を操作して対応する操作対象の処理を行なう様々なゲームに適用できる。
【0036】
また、上記タイピングゲームでは、第1入力手段であるキーボード3の操作が、連続的な処理操作を要求されるものであって、その操作中に第2入力手段であるマウス4の操作による体力回復アイテム12a,12b,12cのクリック処理が要求されるようにしている。上記体力回復アイテム12a,12b,12cは、次々、連続的に表示されるので、これら体力回復アイテム12a,12b,12cをクリックする処理も、連続的な処理操作である。
【0037】
つまり、上記タイピングゲームは、第1、2操作対象に対する処理操作が、どちらも連続的であって、両方の処理をひとりのプレイヤーが実行することが不可能なゲームである。
ただし、第1操作対象に対する処理操作のみが連続的であれば、第2操作対象に対する処理は不連続であっても、両方の処理操作をひとりで実行することはほとんど不可能なので二人でしかできないゲームとなる。
【0038】
また、ひとりではできないゲームとしては、次のようなものも考えられる。
例えば、キーボードを第1の入力手段として設定し、このキーボードの6個以上のキーを同時に押させ、その間に、第2入力手段としてのマウスをクリックさせたり、画面上の特定の箇所にマウスポインタを移動させたりするゲームが、ひとりではできないゲームとして考えられる。なぜなら、キーボードの6個のキーを同時に押すためには、6本の指が必要であり、第1入力手段の操作にひとりのプレイヤーの両手を必要とするからである。
【0039】
さらに、ひとりではできないゲームとしては、上記のように、第1、2入力手段の操作がひとりではほとんど不可能な状態になるようなルールの設定のほか、ゲームに勝ったり、ポイントを獲得したりするために、一方の操作対象の操作に集中することが必要で、両方の処理を短時間に交互に行なうことが不可能になるようなルール設定も考えられる。
【0040】
例えば、第1、2操作対象としてそれぞれ、回答の入力を要求する問題を表示するとともに、上記第1操作対象の問題と、第2操作対象の問題のジャンルを異なるものにする。より具体的には、第1操作対象として算数の計算問題と回答入力枠とを表示し、第2操作対象としてしりとりの単語枠を表示するなどである。計算問題を解くためのプレイヤーの思考回路と、しりとりをする際のプレイヤーの思考回路とは異なるため、ひとりのプレイヤーが短時間に、両方の問題に正解することはほとんど不可能である。ただし、このようなクイズ形式のゲームの場合にも、制限時間を設定する必要がある。
【0041】
また、このような問題形式のゲームは、ゲーム要素を加味した教材としても利用できる。
例えば、親子参加ゲームとして、第1操作対象には子供用の算数や国語の問題を表示し、第2操作対象では、大人用の問題を表示し、両者の正解率に応じて回答時間が長くなって、出題数や得点が多くなるようにすれば、親子がどちらもがんばって高得点を目指すことが期待できる。
【0042】
上記したようないずれのゲームにおいても、上記実施形態で説明したように、第1、2入力手段からの同時もしくはほぼ同時に入力された信号を受け付ける機能をパソコンに設定する手順が実行されることが必要である。もしも、同時もしくはほぼ同時に入力された信号のうち、いずれか一方だけしか受け付けない設定になっていれば、第1入力手段が連続的に操作されている間、第2入力手段からの入力が受け付けられないので、第2入力手段を操作するプレイヤーは楽しめない。その反対も同様である。少なくとも二人が同時にプレイをするためには、第1、2入力手段から同時もしくはほぼ同時に入力された信号を受け付けることが必須である。
なお、上記実施形態では、第1、2入力手段を用いたゲームを説明したが、入力手段は、二つに限らず、プレイヤーの数分だけ設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】実施形態のゲームを実行するシステムの構成図である。
【図2】実施形態のゲーム用プログラムにおける、ゲームの開始前の準備手順までを示したフローチャートである。
【図3】図2に示すフローチャートの以降の手順を示したフローチャートである。
【図4】実施形態のゲームの準備画面を示した図である。
【図5】実施形態のゲーム中であるタイピング画面を示した図である。
【符号の説明】
【0044】
P パソコン
1 データ処理部
2 記憶部
3 キーボード
4 マウス
5 ディスプレイ
7 タイピング画面
11 文字入力欄
12 体力回復アイテム欄

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1,2入力手段を備えたパソコンに、第1,2入力手段から同時もしくはほぼ同時に入力された複数の信号を受け付ける機能を設定する手順と、一つのディスプレイに上記第1,2入力手段に対応した第1,2操作対象を表示させる手順と、第1入力手段を介して第1操作対象に対する連続的な処理操作を実行することを要求する手順と、第1操作対象に対する処理操作中に、第2入力手段を介して第2操作対象に対する処理操作を実行することを要求する手順と、第1,2入力手段から入力された操作信号に基づいてゲームの結果を結論づける手順とを実行させるゲーム用プログラム。
【請求項2】
第1,2入力手段から入力された操作信号が要求どおりであるとき、ゲームの勝利、点数の獲得、ゲームの継続、その他ゲーム上の特典付与を決める手順を付加した請求項1記載のゲーム用プログラム。
【請求項3】
第1操作対象に対する処理操作中に、第2入力手段を介して第2操作対象に対する処理操作を実行することを要求する手順において、上記第2操作対象に対する処理操作が連続的である請求項1または2に記載のゲーム用プログラム。
【請求項4】
パソコンに接続されたキーボードを第1,2入力手段のいずれか一方の入力手段に設定し、パソコンに接続されたマウスをいずれか他方の入力手段に設定する手順を付加した請求項1〜3のいずれか1に記載のゲーム用プログラム。
【請求項5】
キーボードを入力手段に設定したとき、キーボード上の6個以上のキーが同時もしくは瞬時に操作されることを入力条件に設定する手順を付加した請求項4に記載のゲーム用プログラム。
【請求項6】
第1,2操作対象は、正解を求める問題であって、それらの問題のジャンルを異にした請求項1〜5のいずれか1に記載のゲーム用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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