説明

ゲーム装置、ゲームプログラムおよび同プログラムを記録した記録媒体

【課題】今までにない感覚でゲームプレイ可能なゲーム装置を提供する。
【解決手段】ターゲットに対して複数の領域を設定し、第1移動体に向かって移動可能に設定される第2移動体に関する情報を前記領域毎に特定するためのターゲット情報を記憶する。制御手段は、操作者の操作に応答して、基準位置から移動を開始した第1移動体が行き着く到着位置における第1移動体が、いずれの前記領域に属するかを判定し(P10)、前記ターゲット情報を参照して(P13)、第1移動体が属する領域に対応する第2移動体に関する情報に基づき、第2移動体を仮想空間に配置する(P14)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム装置、ゲームプログラムおよび同プログラムを記録した記録媒体に関し、例えば、表示装置上のゲーム画面に対して、プレイヤが操作装置(入力装置)をインタラクティブに操作することで、プレイヤにゲームを提供するゲーム装置を制御するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
プレイヤの操作によってゲーム画面に表示された移動体を移動させるゲームとして、魚釣りゲームが知られている。このような魚釣りゲームにおいて、他のプレイヤと、釣り上げた魚の重量を競うものが知られている。また、入力装置にトラックボールを用い、当該トラックボールの回転速度と回転方向とを入力情報として扱うゲームも知られている。
【0003】
さらに、標的に衝突したかを検出し、衝突に応じてメダルを払い出す枚数を抽選するゲームも知られている(例えば、下記特許文献1)。
【0004】
また、魚群レーダを表示する釣りゲーム(例えば、下記特許文献2)や、入力情報に基づいて的(ゴール)に向かって投擲(ショット)を行なうダーツゲームやゴルフゲームも知られている。
【特許文献1】特開2007−098032号公報
【特許文献2】特開2001−190840号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の釣りゲームでは、プレイヤは、画面に表示される湖畔の地形や、湖畔とは別に表示された魚群レーダなどを見て、ルアーを湖面のどの位置にキャストするかを決定することがある。
【0006】
しかし、魚釣りに詳しくないプレイヤや、釣りゲームを体験したことがないプレイヤは、地形や魚群レーダの情報だけでは、湖面のどの位置にキャストすれば大きい魚が釣れるかが、直感的に分からない場合があり、従って、魚釣りゲームの興趣性を十分に享受できないという課題があった。
【0007】
また、ゲーム開始時に予め魚が水中にまばらに配置されている場合、ルアーの到着位置が悪いと周囲に魚がおらず、なかなかヒットしなかった。さらに、大きい魚がいるポイントが分かっても、キャストをする際の入力ミスによりそのポイントを外してしまった場合、ルアーの到着前から大きい魚がヒットするだろうという期待感を欠くという課題があった。
【0008】
そこで、本発明はかかる状況の下に創出されたものであって、今までにない感覚でゲームプレイ可能なゲーム装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、例えば、以下に示すゲーム装置、ゲームプログラムおよび同プログラムを記録した記録媒体として把握される。
すなわち、本発明に係るゲーム装置の一態様は、操作者がゲーム操作を行うための操作手段と、仮想空間内を移動可能に設定される第1移動体を基準位置からターゲットに向かって移動させてゲームの進行を制御する制御手段と、前記ターゲットに対して複数の領域を設定し、前記第1移動体に向かって移動可能に設定される第2移動体に関する情報を前記領域毎に特定するためのターゲット情報を記憶する記憶手段と、を備え、前記制御手段は、前記操作者の操作に応答して、前記基準位置から移動を開始した前記第1移動体が行き着く到着位置を決定する決定処理と、前記到着位置における前記第1移動体が、前記複数の領域のうちいずれの領域に属するかを判定する判定処理と、前記記憶手段から読み出した前記ターゲット情報を参照して、前記第1移動体が属する領域に対応する第2移動体に関する情報を特定する特定処理と、特定した前記第2移動体に関する情報に基づき、前記第2移動体を仮想空間に配置する配置処理と、を実行する。
このように、第1移動体の到着位置に基づいて第2移動体を生成、配置することによって、ターゲットに向かって第1移動体を移動させた後もプレイヤの期待感を維持することができる。
【0010】
ここで、前記制御手段は、前記判定処理により、前記第1移動体の到着位置がいずれかの領域に属すると判定した場合、前記ターゲットの大きさを変更する処理を実行することとしてもよい。
【0011】
また、前記第2移動体に関する情報は、前記第2移動体の大きさ、重さ、得点、能力値の少なくとも一つを示す属性情報を含み、前記ターゲット情報は、前記領域それぞれに、各属性内容が選択される確率を対応付けた確率情報を含み、前記特定処理は、前記確率情報を参照し、前記判定された領域に対応する確率に基づいて前記第2移動体の前記属性を特定する、こととしてもよい。
【0012】
さらに、前記操作手段は、前後左右方向に回転可能に設けられた回転体を備え、前記制御手段は、前記操作手段から、前記回転体の回転速度および回転角度の信号を受け取って、前記第1移動体の到着位置を決定する処理を実行する、こととしてもよい。
【0013】
また、前記制御手段は、前記操作手段から、前記基準位置を所定範囲内で変更する信号を受け付け、当該変更した基準位置に基づいて、第1移動体が移動する弾道を決定する処理を実行する、こととしてもよい。
【0014】
さらに、前記配置処理は、前記到着位置に基づく一定領域内に、若しくは、前記基準位置と前記到着位置との間に設定した所定領域毎に、少なくとも1以上の前記第2移動体を配置するよう処理し、前記制御手段は、前記配置された第2移動体に第1移動体が接近したと判断すると、当該接近された第2移動体を、第1移動体に向かって移動する第2移動体として選択する処理と、前記選択された第2移動体と、第1移動体とが離反したと判断すると、当該第2移動体の前記選択を解除する処理と、を実行する、こととしてもよい。
【0015】
また、本発明に係るゲームプログラムの一態様は、操作者がゲーム操作を行うための操作手段と、仮想空間内を移動可能に設定される第1移動体を基準位置からターゲットに向かって移動させてゲームの進行を制御する制御手段と、前記ターゲットに対して複数の領域を設定し、前記第1移動体に向かって移動可能に設定される第2移動体に関する情報を前記領域毎に特定するためのターゲット情報を記憶する記憶手段とを備えたゲーム装置としてコンピュータを機能させるゲームプログラムであって、前記ゲームプログラムは、前記制御手段に、前記操作者の操作に応答して、前記基準位置から移動を開始した前記第1移動体が行き着く到着位置を決定する決定処理と、前記到着位置における前記第1移動体が、前記複数の領域のうちいずれの領域に属するかを判定する判定処理と、前記記憶手段から読み出した前記ターゲット情報を参照して、前記第1移動体が属する領域に対応する第2移動体に関する情報を特定する特定処理と、特定した前記第2移動体に関する情報に基づき、前記第2移動体を仮想空間に配置する配置処理と、を実行させる。
【0016】
前記ゲームプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、今までにない感覚でゲームプレイ可能なゲーム装置を提供することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。即ち、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0019】
〔A〕一実施形態
図1は、一実施形態のゲーム装置1の外観を模式的に例示する斜視図である。この図1に例示するゲーム装置1は、筐体2を備え、この筐体2は、左右一対の側板3と、前板4と、頂板6と、図示を省略した後板及び底板と、を有する。また、両側板3の上下中央部手前側には、ゲーム装置1の操作者であるプレイヤがゲーム操作を行なうための操作台7が前記底板に対して水平に設けられ、この操作台7よりも上方に所定の間隔をあけて表示装置9が設けられている。
【0020】
表示装置9には、釣りゲームなどのゲーム内容に応じた場面を表示することができる。この場面は、現実世界(リアルワールド)を2次元あるいは3次元的に模擬した仮想空間として表示することができる。
【0021】
また、図1に例示するように、前板4の手前面における右側には、コインやメダルの投入口17を設けることができる。この投入口17の下方には、投入口17に投入されたコインやメダルの数を表示する表示器18が設けられてもよい。なお、投入口17は紙幣を受け付けてもよい。
【0022】
操作台7には、図1及び図2に例示するように、ゲームコントローラ71やボタン群72を配置することができる。これらのゲームコントローラ71やボタン群72は、プレイヤがゲーム操作を行なうのに用いる操作部の一例として用いられる。ゲームコントローラ71には、例えばトラックボールやジョイスティックなどの、プレイヤのゲーム操作に応じた信号をゲーム装置に入力可能な入力デバイスを用いることができる。釣りゲームの場合は、リール付きの釣竿を模した入力デバイスを用いることもできる。
【0023】
ボタン群72には、例えば、ゲームを開始させるためのスタートボタン72aが含まれる。プレイヤは、例えば、投入口17に所定数のコイン又はメダルを投入して、スタートボタン72aを操作(例えば押下)することでゲームをスタートさせることができる。
【0024】
また、ボタン群72には、ゲームに登場するキャラクタの挙動を制御するのに用いられるボタン72b、ボタン72cなどが含まれ得る。なお、ゲームコントローラ71及びボタン群72などの配置関係は任意である。例えば、ゲームコントローラ71の周囲を囲むようにボタン群72が配置されてもよい。
【0025】
ゲームスタート後、プレイヤは、ゲームコントローラ71やボタン群72を操作することで、表示装置9のゲーム表示画面において、キャラクタの挙動などを制御することができる。
【0026】
ゲーム装置1の全体動作(ゲームの開始、進行、終了など)を制御する制御装置70は、例示的に、操作台7内に内蔵することができる。操作台7は、ゲーム装置1の筐体2に固定的に設置されていてもよいし着脱可能に設置されていてもよい。着脱可能な場合、操作台7を別のゲーム装置に設置することで、当該ゲーム装置においても同じゲームを実施することができる。
【0027】
以下、ゲーム装置1を釣りゲーム装置として機能させることのできる制御装置70について説明する。
【0028】
(釣りゲームの概要)
釣りゲームにもいろいろあるが、以下では、ルアーを用いてバスなどの魚を釣るルアーフィッシングゲームを例に説明を行なう。例えば、前記仮想空間に、湖畔などの釣り場の風景、釣り人(アングラー)、アングラーが使用するフィッシングボート、釣具(釣竿、リール、ルアーなど)、水中の魚などをそれぞれ模擬したキャラクタやオブジェクト(データ)を描画することで、リアルワールドでの釣りを擬似体験できる釣りゲームの場面を再現できる。
【0029】
表示装置9には、仮想空間内に設定された仮想視点(カメラ)から見える仮想空間の画像を表示することができ、例えば、プレイヤが操作するキャラクタ(例えば釣り人(アングラー))を含む釣り場の風景を捉えるように視線方向が設定されたカメラの視野範囲にある仮想空間(以下、仮想釣り場ともいう)を表示することができる。
【0030】
その表示画面の一例を図10に示す。この図10には、前記カメラの視野範囲に、フィッシングボート(キャラクタ)110に乗ったアングラー(キャラクタ)30と、アングラー30の前方に位置する2つの桟橋(キャラクタ)200とを含む釣り場の風景が表示された様子を例示している。この表示画面において、2つの桟橋200の間の水面には、複数の同心円により区分された領域(層)を有する的(ターゲット)300が表示されている。この的300は、プレイヤが操作するアングラー30が、ルアーをキャストすべきポイント(キャスティングポイント)を明示している。的300の詳細については後述する。
【0031】
カメラには、仮想空間における現在位置の座標(X,Y,Z座標)や、視方向の座標(X,Y,Z座標)などのパラメータが与えられる。このカメラのパラメータが変更されることで、仮想的なカメラの視方向や視野が変更される。
【0032】
このカメラは、仮想空間において例えばアングラーの背後へ所定距離だけ離れた位置に設定することができる。カメラをアングラーの視線よりも上方に設定することで、俯瞰景を表示装置9に表示させることもできる。俯瞰景へのビュー切り替えは、例えばゲーム進行中にスタートボタン72aを押下することで可能な設定とすることができる。プレイヤは、俯瞰景の表示状態において、再度、スタートボタン72aを押下すれば、ビュー切り替え前の表示画面を再表示させることができる。
【0033】
俯瞰景の表示画面例を図11に示す。この図11に例示する表示画面は、例示的に図10に例示した表示画面からビュー切り替えが行なわれた場合の例を示している。プレイヤは、ゲーム進行中に適宜に当該ビュー切り替えを行なうことで、例えば、的300の位置を容易に確認することができる。プレイヤは、必要に応じてアングラー30(フィッシングボート110)の向きを変えたり、的300の存在する方向にアングラー30(フィッシングボート110)を移動させたりすることができる。
【0034】
例えば、プレイヤは、前記ボタン群72のうち、2つのボタン72cを操作して、アングラー30(フィッシングボート110)の向きをゲーム表示画面において左右方向に変更することができる。この変更に応じてカメラの視方向も変更することができる。また、プレイヤは、他の2つのボタン72bを操作することで、アングラー30を仮想釣り場において左右方向などへ移動させることができる。前記のようにアングラー30がフィッシングボート110に乗っている場合、これらの操作によって、フィッシングボート110の向きを変更したり水面上を移動させたりすることができる。
【0035】
なお、図10及び図11中に符号172c,172dで示すように、以上の操作をプレイヤに示すマーク等をゲーム表示画面に表示することもできる。例えば、ボタン72c又はその近傍に付されたマークと同じ又は類似のマークを符号172cで示すように表示することで、ボタン72cによってアングラー30(フィッシングボート110)の向きが変更可能であることをプレイヤに示すことができる。同様に、ボタン72b又はその近傍に付されたマークと同じ又は類似のマークを符号172bで示すように表示することで、ボタン72bによってアングラー30(フィッシングボート110)の位置を左右方向に移動可能であることをプレイヤに示すことができる。
【0036】
アングラー30は、1又は複数のルアーを使用できる設定であり、複数のルアーを所持している設定においては、例えばゲームコントローラ71の一例としてのトラックボールを左右方向に回転することで、使用するルアーを選択できる。なお、トラックボール71は、図2に例示するように、前後左右方向などの任意の方向に回転可能に設けられた回転体の一例である。本例では、表示装置9に向かう方向への回転を前方回転、その逆方向(プレイヤ側)の回転を後方回転、図2の紙面右方向への回転を右回転、その逆方向への回転を左回転とする。
【0037】
選択可能なルアーは、例えば、水面用、水面直下用、水中用、水底(ボトム)用などである。ルアーの選択は、仮想釣り場に再現される季節や天候、時間などの要素に応じて行なうことができる。この選択は、自動的に行なわれることとしてもよい。
【0038】
仮想釣り場の季節や天候、時間は、例えば、背景画像(テクスチャー)の色を変化させたり、画面上に表示されるアングラーキャラクタの服装や所持品を変化させることで、表現することができる。また、同様にして、晴れ、雨、曇りなどの天候、及び/又は、朝、昼、夕方などの時間の表現を行なうこともできる。
【0039】
仮想釣り場においてアングラーにルアーをキャストさせるには、プレイヤは、例えばトラックボール71を表示装置9に向かう方向へ回転(前方回転)させる。キャスティング方向は、トラックボール71の回転方向を左右斜め方向にずらすことで変えることができる。
【0040】
ルアーがキャストされると、水面に着水するまで当該ルアーを後方から追いかけてゆくような映像を表示装置9に表示させることができる。これは、仮想空間において、アングラーとルアーの着水点との間に、アングラーから着水点に向かう方向に視線方向を設定された仮想視点(カメラ)を配置し、このカメラから見えるルアーを含む画像を表示装置9に次々と生成して映し出すイメージである。
【0041】
ルアーが仮想釣り場の水面に着水すると、前記カメラの視野範囲にある映像として、ルアーを含む水中映像を表示装置9に表示させることができる。したがって、プレイヤは、水中の状況(例えば、ルアーの挙動、ルアー周辺の魚の有無など)を表示装置9において視認することができる。その表示画面例を図12に示す。この図12には、ルアー11と釣り糸(ライン)15とがカメラの捉えた映像として表示され、画面奥に2匹の魚(キャラクタ)10が存在している様子を例示している。プレイヤは、このように水中の状況を視認しながら、リール(釣り糸15)の巻き取り操作(リトリーブ)、水中を進むルアー11に動きを与える操作(ルアーアクション)、魚10がルアー11に食い付いた場合のフッキング操作などを行なうことができる。
【0042】
ゲーム進行中に登場する魚のサイズ(重量)の種類は、一例として、Non-Keeper、Keeper、Lunker、Hawg、Trophyとすることができ、この順序でサイズ(重量)が大きくなる。Trophyは、湖などにおける主的存在の魚のサイズを表し、高度なテクニックを駆使して初めて釣れるような魚である。なお、魚のサイズ(重量)は、「大、中、小」のように簡略化してもよい。
【0043】
さて、このような釣りゲームでは、プレイヤは、表示装置9に表示される釣り場、例えば、湖畔の地形や、湖畔とは別に表示した魚群レーダなどを見て、ルアーを水面のどの位置(ポイント)にキャストするかを決定する場合がある。
【0044】
しかし、魚釣りに詳しくないプレイヤや、釣りゲームを行なったことがないプレイヤは、地形や魚群レーダの情報だけでは、水面のどの位置にキャストすれば大きい魚が釣れるかが、直感的に分からない場合が多い。
【0045】
そこで、本例の釣りゲームでは、大きい魚が存在する可能性の高い位置を、「的(ターゲット)300」として画面表示し、プレイヤに対して、当該「的300」を見ながらルアー11をキャストする位置を明確に表示できるようにする。これにより、仮想空間のどの位置に特定の移動体(例えば、サイズの大きな魚)が存在するかをプレイヤに直観的に理解させることができる。
【0046】
また、プレイヤが「的300」の外にルアーをキャストしても、大きな魚が釣れる可能性をもたせるため、ルアー11の着水時にどのようなサイズ(重量)の魚をルアー11付近に生成するかの抽選を、乱数と抽選テーブルとを用いて行なうようにする。
【0047】
さらには、釣りゲームに慣れた上級プレイヤでも飽きないように、「的300」にルアーがキャストされると、「的300」のサイズを変化(例えば縮小)させるようにして、ゲームプレイに難易度をもたせる。
【0048】
また、釣りゲームでは、大きな魚が釣れるほど高得点を与える設定が可能であるが、キャスト回数の決まっている釣りゲームでは、小さな魚はヒットさせずに、より大きな魚を優先的にヒットさせるというように、プレイヤに対して、ヒットさせる魚の選択幅をもたせることも望まれる。
【0049】
しかし、どの位置(「的300」)にルアー11がキャストされたかに基づいて複数の魚を生成する場合、生成できる魚の数は、描画処理の負担上、限られているし、プレイヤが画面内に表示された魚を認識できる数も限られている。
【0050】
そこで、本例の釣りゲームでは、複数の魚を所定条件により所定領域内に配置し、ルアーに食い付く反応を示す魚を、仮想空間に設定した仮想視点の現在の視野(表示画面)内に映っている魚に制限し、ルアーと魚との距離が一定距離を超える、又は魚がルアーに食い付く反応を示してから一定時間を超えると、その魚はルアーに食い付くのを諦め、その後に再度視野内に映った別の魚が食い付く反応を示すようにする。
【0051】
これにより、プレイヤは、食い付く反応を示した魚が小さな魚であれば、リール(ライン)の巻き取り速度を上げて意図的に魚をルアーから引き離して食い付きを回避し、別の大きな魚に食い付かせることが可能となる。したがって、プレイヤがヒットさせる魚の選択幅を広げることができる。
【0052】
(制御装置70の実現例)
以上のような釣りゲーム装置1としての一部又は全部の機能は、例えば、制御装置70に内蔵されたCPU等のコンピュータが所定のアプリケーションプログラム(釣りゲームプログラム)を実行することによって実現される。
【0053】
そのゲームプログラムは、例えばフレキシブルディスク、CD−ROM,CD−R,CD−RW,MO,DVD等のコンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供することができる。この場合、コンピュータはその記録媒体から前記ゲームプログラムを読み取って内部記憶装置及び/又は外部記憶装置に転送し格納して用いる。記憶装置には、例えば、RAMなどのメモリやハードディスクドライブ、光磁気ディスクドライブなどが含まれる。
【0054】
また、ゲームプログラムは、例えばRAM、ハードディスクドライブ、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の記憶装置又は記録媒体に記録しておき、その記憶装置又は記憶媒体からインターネット等の通信回線を介してコンピュータに提供することもできる。
【0055】
ここで、コンピュータとは、例えば、ハードウェアとオペレーティングシステム(OS)とを含む概念であり、OSの制御の下で動作するハードウェアを意味することがある。また、OSが不要でプログラム単独でハードウェアを動作可能な場合には、そのハードウェアがコンピュータに相当するとみることができる。ハードウェアは、CPU等の演算装置と、記録媒体に記録されたプログラムを読み取り可能な読み取り装置とを含むことができる。
【0056】
ゲームプログラムは、上述のようなコンピュータに、ゲーム装置1としての機能を実現させるプログラムコードを含んでいる。また、その機能の一部はプログラムではなくOSによって実現されてもよい。
【0057】
さらに、前記記録媒体としては、フレキシブルディスク、CD−ROM、CD−R、CD−R、CD−RW、DVD、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスクのほか、ICカード、ROMカートリッジ、磁気テープ、パンチカード、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROM等のメモリ),外部記憶装置等や、バーコード等の符号が印刷された印刷物等の、コンピュータ読取可能な種々の媒体を利用することもできる。
【0058】
(制御装置70の構成例)
図3に本実施形態の制御装置70の構成例を示す。この図3に示す制御装置70は、例示的に、プログラムデータ記憶装置51と、CPU52と、システムメモリ53と、ブートROM54と、バスアービタ55と、レンダリングプロセッサ56と、グラフィックメモリ57と、サウンドプロセッサ58と、サウンドメモリ59とを備える。これらは、例えば、バスラインにより相互に通信可能に接続される。
【0059】
プログラムデータ記憶装置(記憶手段)51は、ゲーム装置1を釣りゲーム装置として機能させるアプリケーションプログラム(釣りゲームプログラム)を記憶する。この記憶装置51には、例えばROMやRAM、ハードディスクドライブ、光ディスクドライブ等を用いることができる。また、記憶装置51は、図7〜図9に例示するフローチャートを実行するゲーム実行プログラムや、釣りゲームを表現するのに用いられる画像(静止画及び/又は動画)や音声等のデータを記憶することもできる。
【0060】
CPU(制御手段)52は、記憶装置51から釣りゲームプログラムを読み込んで、実行し、釣りゲーム全体の動作を制御する。この制御には、釣りゲームの画像表示のための座標計算等が含まれる。
【0061】
システムメモリ53には、例えば、CPU52が処理を行なうのに用いるプログラムやデータが格納される。
【0062】
ブートROM54には、例えば、ゲーム装置1を起動するのに用いられるプログラムやデータが格納される。
【0063】
バスアービタ55は、ゲーム装置1の各ブロックや、ゲームコントローラ71及びボタン群72を含む入力デバイスから入力される信号やデータの流れを制御して、バスライン上の信号やデータの衝突を調停する。
【0064】
レンダリングプロセッサ56は、プログラムデータ記憶装置51から読み出された画像データや、プレイヤのゲーム操作に応じた信号、ゲーム展開に応じて描画すべき画像データなどを表示装置9に送信し、ゲーム展開に応じた画像を表示装置9に表示させる。このレンダリングプロセッサ56は、仮想空間内に仮想的なカメラの視点に相当する仮想視点を設定し、この仮想視点(カメラ)から見える仮想空間の画像を生成する画像生成手段の一例としても用いられる。
【0065】
画像データには、例えば、プレイヤが操作するアングラー30、アングラー30が使用するフィッシングボート110、釣具(釣竿、リール、ルアー11など)、水中の魚などをそれぞれ模擬した画像データが含まれる。これらは仮想空間において移動可能なキャラクタ(移動体)であり、それらの画像データは、ポリゴンデータとすることができる。加えて、画像データには、水面上に描画するキャスティングポイント(キャスティングの的300)、魚がルアー11に食い付いたときのフッキング操作(例えばトラックボール71の回転方向)をプレイヤに予想させる矢印などのマークも含まれる。
【0066】
アングラー(キャラクタ)30には、リールの釣り糸(ライン)15の長さや、アングラーキャラクタ30の仮想空間における現在位置(座標)、ルアー11の現在位置(座標)、ルアー11のキャスト方向、所持している(使用可能な)ルアー11の種類などのパラメータを必要に応じて対応付けることができる。なお、ルアー11は、本例において、仮想空間内を移動可能に設定される第1移動体の一例である。アングラーキャラクタ30の位置は、簡易的に、フィッシングボート110の位置と同じとしてもよい。また、ルアー11の位置は、ルアーキャストの予備操作、例えばバックスイングによっても変化し得る。さらに、ルアー11のキャスト方向は、バックスイングの方向に基づいて決まるものとしてもよい。
【0067】
魚(キャラクタ)には、例えば、現在位置(座標)、ルアー11に食い付くか否かを制御する食い付きフラグ、前記食い付きフラグをONとする領域などのパラメータを対応付けることができる。食い付きフラグをONとする領域は、その領域にルアー11が進入するとルアーに食い付く反応を示す領域(以下、反応領域あるいは守備範囲ともいう)を意味する。なお、この反応領域は、魚が配置された箇所からの所定範囲、例えば、球形、立方体や直方体などで規定される領域として設定可能である。球形の場合は中心座標と半径とで表すことができ、立方体や直方体の場合は各頂点座標で表すことができる。
【0068】
また、魚(キャラクタ)には、その魚に関する情報の一例として、その魚の属性を示す情報(属性情報)を対応付けることができる。属性情報には、例示的に、大きさ、重さ、得点、能力値の少なくとも一つを含むことができる。なお、能力値とは、例えば、魚のすばやさ(移動速度)、引っ張る力(引きの強さ)、体力、賢さ等を示す情報である。ただし、これらに限られない。したがって、例えば、サイズは小さくても引っ張る力が強い魚や賢い魚を設定することも可能であり、ゲームの面白味を向上することができる。
【0069】
このような魚の属性情報を基に、当該魚がルアー11に食い付いた場合の引きの強さや暴れる度合いに応じて後述するファイトモードの実行回数を魚キャラクタに対応付けることもできる。なお、食い付きフラグがONの魚キャラクタが、対応付けられた前記守備範囲内のルアー11を追いかけて食い付くように移動制御される。また、前記属性情報は、ルアー11の種類によって変化させてもよい。
【0070】
キャスティングポイントを示す的(領域)300は、仮想空間における水面上に複数設定することができる。的300の形状は任意である。円状でもよいし三角形や四角形などの多角形状でもよい。的300には、水面上を移動するものがあってもよい。その場合、的300に対して、移動の可否を規定する移動フラグや移動方向、移動速度、移動範囲などに関するパラメータを必要に応じて対応付けることで、的300の移動制御が可能となる。移動する的300は、固定の的300に対してサイズを変えてもよい。例えば、移動する的300は、ルアー11が命中しやすいように固定の的300よりもサイズを大きく設定することも可能である。
【0071】
的300は、ゲームが進行するにつれて増加あるいは減少する設定にすることも可能である。また、高度なルアーキャスティングスキルをもつプレイヤが命中可能な極小サイズの的300を仮想空間に設定してもよい。この的300には、例えば、既述のTrophyのような湖などの主的存在の巨大魚が高確率で配置されるパラメータを対応付けることができる。
【0072】
的300の一例を図4に例示する。この図4に示す的300には、複数(3)のサークル(同心円)により区分される複数の領域(層)が設定されている。この場合、各層の領域は、例えば、中心座標及び中心座標からの距離(半径)などのパラメータにより特定することができる。例えば、第1領域の半径r1=r、第2領域の半径r2=2×r、第3領域の半径r3=3×rなどと設定することができる。ただし、r1<r2<r3を満たせば足りる。
【0073】
また、ルアー11がどの層に着水したか、つまり、ルアー11の到着地点がどの領域に属するかに応じて、水中のカメラの視野内に配置する魚の大きさ等の前記属性を変化させることもできる。換言すれば、的300の中心座標からルアー11の着水点の座標までの距離に応じて配置する魚の属性を変えることができる。
【0074】
例えば、より半径の小さな層にルアー11が着水した場合ほど、大きなサイズの魚を配置することができる。前記カメラの視野内に複数の魚を配置する場合には、より半径の小さな層にルアー11が着水した場合ほど、大きなサイズの魚が配置される確率を上げるようにすることもできる。
【0075】
一例を次表1に示す。下記に例示するテーブル形式のデータは、的内の層及び的外の領域ごとに配置する魚の大きさや重さなどの属性内容が選択される確率を対応付けたデータ(魚配置抽選テーブル)の一例である。
【表1】

【0076】
この表1には、ルアー11が第1層に着水したと判定されると、魚の属性を示すパラメータの一つである大きさが大、中、小の魚をそれぞれ70%、20%、10%の確率で前記視野内に配置することを例示している。同様に、第2層に着水したと判定されると、50%、30%、20%の割合で、第3層に着水したと判定されると、20%、50%、30%の割合でそれぞれの属性(大きさ)の魚を特定して前記視野内に配置することができる。的外に着水したと判定された場合は、例えば10%、20%、70%での割合でそれぞれの属性(大きさ)の魚を前記視野内に配置することができる。
【0077】
つまり、この魚配置抽選テーブルは、的300に対して複数の領域を設定し、ルアー11に向かって移動可能に設定される魚に関する情報(大、中、小など)を前記領域毎に特定するための情報(ターゲット情報又は特定情報)の一例として用いられ、的300の領域のそれぞれに魚の属性内容が選択される確率を対応付けた確率情報を含んでいる。
【0078】
なお、本例は、前記各領域に対応付ける魚の属性内容の一例が「大きさ」である場合であるが、重さ、得点、能力値(すばやさ(移動速度)、引っ張る力(引きの強さ)、体力、賢さ等)のいずれか一つ又は「大きさ」を含めたいずれか複数の組み合わせとしてもよい。
【0079】
CPU52は、このような前記確率情報を参照し、ルアー11の着水点が属すると判定された領域に対応する確率に基づいてルアー11の着水点が属する領域に対応する魚の属性を特定することができる。
【0080】
これによれば、仮想空間において、大きな魚など、特定の属性をもつ魚が釣れる可能性の高い領域(層)があることを演出することができる。また、的300を外した場合でも大きい魚が出現する可能性があることをプレイヤに期待させることも可能である。
【0081】
なお、的内の層及び的外の領域ごとに予め「大・大・中・小」等の魚出現テーブルを複数対応付けておいてもよい。これによれば、抽選(乱数)によっていずれかの魚出現テーブルを選択、参照することで、ルアー着水時の魚の配置パターンを変えることができる。また、前記層ごとの魚の配置確率は、仮想釣り場の時間帯、天候、季節、ルアー11の種類のいずれか1又はいずれか複数の組み合わせによって変更してもよい。
【0082】
以上のようなテーブルは、例えば記憶装置51に格納しておくことができる。CPU52は、ルアー11が着水した地点と前記的内(層)及び的外の領域との仮想空間内の座標比較によって、ルアー11がどの領域に着水したかを特定し、着水地点に応じた確率で前記視野内に大きさの異なる複数の魚をレンダリングプロセッサ56によって配置(描画)させることが可能となる。
【0083】
ルアーが着水した的300、すなわち、ルアー11の着水点がいずれかの層に属すると判定された的300は、その大きさを変更することもできる。例えば、前記の例で、第1層にルアーが着水したと判定された場合、CPU52は、第1層を表示画面から消失させ、残った第2層及び第3層の半径を変更して、第2層を第1層、第3層を第2層に再設定することができる。
【0084】
つまり、ルアー11が中心層である第1層に着水すると、3層構造の的が2層構造の的に縮小するイメージである。3層構造の的300の場合は、3回いずれかの層にルアーが着水すると的300は消滅する。的300の縮小後の新たな層に対応する魚重量確率は、縮小前の層に対応付けられた確率のままにしておくことができる。例えば、第1層にルアーが着水した場合、表1に例示した魚配置抽選テーブルの第1層のエントリを削除して、第2層及び第3層のエントリを第1層及び第2層のエントリに繰り上げるイメージである。
【0085】
これによれば、中心層である第1層が特定の属性をもつ魚の配置されやすい状態に固定されることを抑制することができる。換言すれば、中心層に何度もルアーを着水させると、大きな魚など、特定の属性をもつ魚は配置されにくくすることができる。つまり、魚がルアーに慣れる等して反応を示さなくなった、いわゆるスレてしまったポイントを演出することが可能となる。したがって、アングラーキャラクタに、決まったポイント(的)300ばかりでなく、いろいろなポイント(的)300を狙わせるようにすることができ、プレイヤに飽きさせないゲーム性をもたせることができる。
【0086】
以上のような的の制御は、例えば層ごとにルアーの着水の有無を示すフラグ(ヒットフラグという)を対応付けることで可能になる。
【0087】
グラフィックメモリ57は、レンダリングプロセッサ56が画像生成を行なうに用いるグラフィックデータ等を記憶する。
【0088】
サウンドプロセッサ58は、プログラムデータ記憶装置51から読み出された音声データや、プレイヤのゲーム操作に応じた信号、ゲーム展開に応じて生成すべき音声データをスピーカ61に送信し、音声をスピーカ61から発生させる。
【0089】
制御装置70には、図示しないインターネットやLAN等のネットワークインタフェースを設けてもよく、当該インタフェースを介して別のゲーム装置1の制御装置70やネットワークサーバと通信を行なうこともできる。したがって、同じゲーム装置1において複数のプレイヤで対戦を行なうことも可能であるし、ネットワーク経由で他のプレイヤとの対戦を行なうことも可能である。
【0090】
入力デバイスには、トラックボール71、ボタン群72のほか、投入口17にコイン又はメダルが投入されたことを検出する検出器、ボタン操作やトラックボール12の回転量、回転角度(0〜180度など)、回転速度(例えば0〜1の範囲で正規化した値)などを検出する個別あるいは共通の検出器なども含まれる。入力デバイスは、これらの検出器で検出された検出信号をゲーム操作信号として制御装置70に入力する。
【0091】
(動作説明)
以下、本実施形態のゲーム装置1(制御装置70)による釣りゲームの動作例について、図7〜図9に例示するフローチャートを参照して説明する。
【0092】
図7に例示するように、ゲームがスタートすると、制御装置70は、プレイヤがトラックボール71を操作することで入力される回転速度および回転角度の信号を検出し(処理P1)、その検出結果を基に、前記操作がルアー11の選択、バックスイング、ルアー11のキャストのいずれに相当するかをCPU52において判定する(処理P2)。
【0093】
例えば、CPU52は、左右回転入力ならばルアー11の選択、後方回転入力ならばバックスイング、前方回転入力ならばルアーキャストの指示とそれぞれ判断することができる(処理P3,P4,P5)。ここで、バックスイングの種類に基づいて、ルアーの出発点(基準位置)とキャスト角度とを定めることができる。
【0094】
なお、バックスイング無しでルアー11をキャストすることも許容される。その場合、ルアー11の出発点は、近似的にアングラー位置とし、キャスト角度は所定角としてもよい。したがって、初心者や子供などのゲーム操作に詳しくないプレイヤが、トラックボール71をやみくもに前方回転させただけでも、ルアーキャストが可能であり、後述するように何らかの魚は釣り上げることができる。
【0095】
バックスイングの種類は、キャスト方法によって異ならせることができる。キャスト方法の一例としては、オーバーヘッドキャスト、バックハンドキャスト、サイドハンドキャスト、ピッチングキャストなどが挙げられる。
【0096】
例えば、オーバーヘッドキャストのバックスイングは、釣竿をアングラーキャラクタ30の真後ろに傾ける動作となる。バックハンドキャストのバックスイングは、釣竿をアングラーキャラクタ30の左後方に動かす動作となる。サイドハンドキャストのバックスイングは、釣竿をアングラーキャラクタ30の右方向に動かす動作となる。ピッチングキャストのバックスイングは、ルアー11を振り子のように下方向へ動かす動作となる。
【0097】
CPU52は、これらの動作の違いをトラックボール71の回転方向の相違を利用して検出することでバックスイングの種類を検出することができ、検出したバックスイングに対応するアングラーキャラクタ30の動作をレンダリングプロセッサ56によって表示装置9に描画させることができる。つまり、CPU52は、トラックボール71から、ルアー11の基準位置をキャスティング方法に応じて所定範囲内で変更する信号を受け付けることができる。
【0098】
これによれば、プレイヤは、仮想空間の水面に存在する屋根や流木、桟橋などの障害物を避けるのに適切なルアー11の弾道を考慮して、適切なキャスティング方法を選んでルアーキャストを行なうことが可能となる。したがって、ゲーム性を向上できる。
【0099】
なお、トラックボール71の後方回転量の相違によってバックスイングの長短を判断し、バックスイングが短い場合にはルアー11の弾道を低くし、バックスイングが長い場合にはルアー11の弾道を高くするような制御も可能である。
【0100】
これに対して、フォワードスイングについては、各キャスト方法に対して変えなくてもよく、トラックボール71の回転方向によって、左、前方、右側などのキャスト方向を決めることができる。ピッチングキャストの場合のキャスト方向は、トラックボール71の回転方向の相違によらず前方に固定してよい。
【0101】
なお、トラックボール71の回転方向は、図2に例示したように、トラックボール71を上から見たときの円の中心を通って表示装置9側に向かう直線を基準として、この基準からのずれ角で表すことができる。キャスト方向は、このずれ角を基に定めることができる。また、一定のずれ角の範囲内(例えば±45度以内)にトラックボール71の回転方向が収まっている場合に、前方へのキャストを有効とすることもできる。
【0102】
さて、トラックボール71の操作入力が前方回転入力と判断された場合、CPU52は、トラックボール71の回転速度および回転角度の信号を受け取って、ルアー11の出発点(基準位置)から、ルアー11の弾道(移動経路)、着水点(到着位置)を決定し、レンダリングプロセッサ56に、ルアー11の前記弾道に沿ったキャストシーンの表示装置9への画面表示を行なわせる(処理P6)。
【0103】
ルアーの弾道は、例えば、トラックボール71の回転方向(例えば±45度以内)、回転速度、バックスイングの種類(既述のように変更されたルアー11の基準位置)、および重力加速度を加味した演算により求めることができる。なお、仮想空間内に季節や天候、時間帯などに応じた風を発生させる場合、風(風速、風向など)の影響をも加味してルアー11の弾道を求めることもできる。
【0104】
その後、CPU52は、ルアー11のキャストから着水までに、トラックボール71の後方回転入力、あるいは惰性で回転しているトラックボール71の回転停止が検出されるか否かを監視する(処理P7のNルート)。
【0105】
後方回転入力あるいは回転停止が検出された場合、CPU52は、ルアー11の移動速度を減速(ブレーキ)する表示制御を行ない、着水点を再決定する(処理P8)。つまり、プレイヤは、ルアー11のキャスト後に、トラックボール71を後方回転あるいは停止させることで、いわゆるサミングを仮想空間において表現できる。これにより、キャスト後のルアー11の飛距離を調整することができる。
【0106】
このように、トラックボール71の操作入力に基づいてルアー11の着水点が決定されるようにすることで、プレイヤのトラックボール71の操作スキルの相違に応じたキャスティングスキルを演出することができ、ゲーム性を高めることができる。
【0107】
ルアー11のキャスト後、CPU52は、ルアー11が水面に着水したと判定すると、着水点近傍の的(例えば、一番近い的)300を探し、着水点に応じた領域(的300の第1〜第3層、的外)を求めて、的300に着水したか否かの判定を行なう(処理P10)。なお、着水判定は、ルアー11の弾道と水面をなす座標平面との接触判定により行なうことができる。
【0108】
つまり、CPU52は、仮想空間内を移動可能に設定されるルアー11を基準位置の一例であるアングラー位置又はバックスイングにより定まる位置からターゲット(的)300に向かって移動させてゲームの進行を制御する制御部の一例として用いられる。従って、CPU52は、プレイヤの操作に応答して、仮想空間において、前記基準位置から移動を開始したルアー11が行き着く到着位置(着水点)を決定する。
【0109】
的300には、例えば、中心座標、各層の半径が対応付けられて記憶装置51に記憶されており、CPU52は、着水点の座標と的300の中心座標とを比較し、着水点がどの的300のどの半径の領域内に含まれるかを演算、判定する(処理P10)。
【0110】
的300内に着水したと判定した場合、CPU52は、当該的300の大きさを既述のようにして変更(縮小)し(処理P11)、レンダリングプロセッサ56に対応する表示を行なわせる。また、ルアー11が着水すると、CPU52は、仮想空間内に魚を配置する。
【0111】
例えば、CPU52は、表1に例示した魚配置抽選テーブル(魚出現テーブル)を参照するのに用いる乱数を生成し(処理P12)、当該乱数を基に、処理P10で特定した領域に対応する魚配置抽選テーブル(魚出現テーブル)を参照し(処理P13)、ルアー11が属する層に対応する魚に関する情報(大、中、小などの属性)を特定する。
【0112】
そして、CPU52は、特定した属性の魚10を配置する仮想空間内の位置を決定する。この配置位置は、例えばルアー11の着水点(到着位置)に基づく一定領域内とすることができる。当該領域は、例えば図5に示すように、ルアー11を捉えるように設定されたカメラ(仮想視点)12に対して所定角度内の領域とすることができる。図5においては、例えば、ルアー11の着水点を挟んでカメラ12の配置位置と反対側で、かつ、カメラ12の視線方向に対してカメラ12の視方向±30度及び±40度の領域に、4匹の魚10が配置された様子を例示している(処理P14)。図12に、このときのゲーム表示画面例を示す。ただし、図12においては、4匹の魚10のうち2匹の魚10の表示は省略している。
【0113】
このカメラ12の視野内での各魚の配置位置は、例えばCPU52によって乱数を発生し、これを用いることでランダムとしてもよいし、カメラ12の視方向へルアー11から一定距離(魚10ごとに異なっていてもよい)だけ離れた位置としてもよい。
【0114】
以上のように、本実施形態によれば、プレイヤに対し、仮想空間のどの位置に特定の属性をもつ魚(例えば、大きな魚)がいるかを、ゲーム表示画面において的300を明示的に表示することで直感的に理解させることができる。
【0115】
CPU52は、当該配置と併せて、あるいは別途、カメラ12の視野外にも魚を配置することができる。視野外に配置する魚は、図5又は図6に例示するように、ルアー11の位置とアングラーキャラクタ30の位置とを結ぶ仮想的な線分13の周辺とすることができる。線分13は、リトリーブによりルアー11が直線的に移動する場合の経路に相当する。
【0116】
例えば、図5にライン14で示すように、アングラーキャラクタ30からルアー11の着水点へ向かって離れた一定距離毎に、魚20を配置することができる。魚20には、現在位置(座標)を中心とした所定領域(反応領域)21を対応付けることができる。この領域21は、魚20の移動に応じて移動する。
【0117】
この領域21に後述するごとくリトリーブ中にルアー11が進入すると、CPU52は、配置された魚20にルアー11が接近したと判断することができる。領域21に対するルアー11の進入の有無は、例えば、ルアー11の位置座標と領域21を形成する座標範囲との比較演算により可能である。この場合、CPU52は、ルアー11に接近された魚20を、ルアー11に向かって移動する魚20として選択する。この選択は、例えば、CPU52が、当該反応領域21に対応する魚20の食い付きフラグをONに設定することで実施できる。これにより、食い付きフラグがONの魚がルアー11を追いかけて食い付くように移動制御(以下、食い付き制御ともいう)される。
【0118】
もう一つの例は、図6に示すように、アングラーキャラクタ30の位置(基準位置)とルアー11の着水点(到着位置)との間に設定した所定領域22毎に、少なくとも1以上の魚20を配置することができる。この場合、魚20が移動しても領域22は移動しない。本例においても、リトリーブ中にルアー11がいずれかの領域22に進入すると、CPU52は、配置された魚20にルアー11が接近したと判断することができる。そして、CPU52は、当該魚20の食い付きフラグをONに設定することで、ルアー11に接近された魚20を、ルアー11に向かって移動する魚20として選択し、食い付き制御を実施する。
【0119】
なお、図5及び図6のいずれの配置においても、食い付き制御は、カメラ12の視野内に映る魚20に制限することができる。例えば反応領域21又は22にルアー11が進入した時点で直ちに食い付き制御を実行すると、プレイヤが視認できない表示画面外でルアー11への食い付きが生じる場合がある。そこで、一定の待ち時間(タイムラグ)を設ける、あるいは、進入判定にカメラ12の位置や移動速度を加味することで、このような不自然な描画を回避し、カメラ12の視野内の魚20のみがルアー11に食い付く反応を示すように制御する。
【0120】
さて、CPU52は、上述のごとく配置された複数の魚10,20のうち、ルアー着水時にカメラ12の視野内に配置された魚10のいずれか1又は複数の食い付きフラグをONに設定する(処理P15)。これにより、当該魚10が配置位置からルアー11に向かって移動するようにレンダリングプロセッサ56によって描画制御される。
【0121】
例えば図12に例示した2匹の魚10のうち表示画面右側の魚10の食い付きフラグがONに設定されたとすると、CPU52は、図13及び図14に例示するように当該魚10がルアー11に向かって移動して、図15に例示するようにルアー11に食い付こうとする様子をレンダリングプロセッサ56に描画させる。なお、食い付きフラグをONにする魚10は、CPU52が乱数を発生し、この乱数を用いてランダムに決定することとしてもよいし、所定のルール(例えば、ルアー11との距離が一番近い魚10)に従って決定することとしてもよい。
【0122】
一方、プレイヤは、ルアー11が着水した後、トラックボール71を前後左右いずれかの方向に回転することで、リトリーブを実施することができる。CPU52は、この操作に応答して、ルアー11を着水点からアングラー位置へ戻るように移動させる描画処理をレンダリングプロセッサ56に行なわせる(処理P15a)。
【0123】
次いで、CPU52は、食い付きフラグをONに設定した魚がルアー11に食い付いたか(接触したか)否かを判定する(処理P16)。この判定は、例えば、当該魚の位置座標とルアー11の位置座標との比較演算により行なうことができる。すなわち、両者の座標比較により距離がゼロあるいは所定範囲に収まった時点で、魚がルアー11に食い付いた(接触した)と判定することができる。
【0124】
魚がルアー11に食い付いたと判定した場合、CPU52は、魚をヒットするのに満たすべき所定の条件をレンダリングプロセッサ56によって表示装置9に表示させることができる。例えば図16に例示するように、フッキングの方向をプレイヤに予想させる矢印などのマークを、一定時間、レンダリングプロセッサ56に描画させる(処理P17)。なお、マークの大きさを変えるなどしてフッキングの強度も併せて描画してもよい。
【0125】
プレイヤは、このマークに応じた方向にトラックボール71を回転させることで、フッキングを行なうことができる。なお、プレイヤに飽きさせないために、例えば、魚の動きにフェイント動作を設定して、フッキングの成功率を下げるようにすることもできる。
【0126】
プレイヤによってトラックボール71が操作されて、CPU52が、その回転方向(付加的に回転速度)入力が上述したフッキング方向(付加的に強度)表示と一致あるいは一定のずれ幅に収まっていることを検出すると、適切なフッキング操作が行なわれた、つまり、プレイヤの操作が所定条件を満たしたものと判定して、プレイヤによるリールの巻取り操作(リトリーブ)、例えばトラックボール71の前後左右いずれかの方向に回転入力を受け付ける(処理P19)。
【0127】
一方、適切なフッキング操作が行なわれなかったと判定された場合(処理P18のNルート)、CPU52は、処理P31に進んで、当該魚の食い付きフラグをOFFに設定し、レンダリングプロセッサ56に、フッキングに失敗したため魚がルアー11から離れていく描画制御を行なわせる。あるいは、食い付きフラグをOFFに設定した魚は、表示画面上から削除してもよい(以降においても同様)。これによれば、描画処理の負担を軽減することができる。
【0128】
なお、リトリーブの速度は、トラックボール71の回転速度によって変化させることができる。また、リトリーブは、プレイヤの操作に関わらず自動で行なってもよい。自動的なリトリーブ中に、トラックボール71に対する操作が所定の操作量以上行なわれた場合は、自動リトリーブを解除して、プレイヤの手動によるリトリーブを有効とすることもできる。その場合、トラックボール71に対する操作量が所定量以下になると、再び自動リトリーブに切り替えることも可能である。
【0129】
リトリーブ中、CPU52は、レンダリングプロセッサ56に魚が一定時間ごとに暴れるように描画制御することができる。これをファイトモードという。ファイトモードの表示画面例を図17に示す。この図17には、魚10がアングラーから離れる方向に逃げようと抵抗している様子を例示している。このファイトモード中は、表示画面下部に図17中及び図18に例示するようなリトリーブ方向を指示する矢印やカーソルなどのマークを、高テンションゾーン、セーフティゾーン、低テンションゾーンが連結されているメーター内に表示して、プレイヤにトラックボール71による操作入力を促すことができる(処理P20)。なお、前記セーフティゾーンは、このゾーン内に前記マーク(矢印やカーソルなど)が収まっていれば、適切なラインテンションが維持されていることを意味する。一方、低テンションゾーンは、このゾーン内に前記マークが位置しているとラインテンションが弱く、ルアー11のフックが外れる(バレる)可能性があることを意味し、前記高テンションゾーンは、このゾーン内に前記マークが位置しているとラインテンションが強く、ラインが切れる可能性があることを意味する。
【0130】
ファイトモード中、CPU52は、プレイヤのトラックボール71の操作入力を受け付けることができ(処理P21)、その入力(回転方向や回転速度)が適切であるか否かを判定する(処理P22)。ファイトモードは、既述の魚の属性情報(大きさ、重さ、得点、能力値等)に基づいた回数だけ繰り返し実施することができる。小さな魚など、特定の魚の場合、このようなファイトモードは実施しない(処理をバイパスする)こととしてもよい。また、フッキング操作として適切と判定されるトラックボール71の回転速度は、魚の属性情報によって異ならせてもよい。
【0131】
ファイトモードでのトラックボール71の操作入力が、適切であれば、CPU52は、ファイトモードの成功と判断する(処理P22のYルート)。ファイトモードに失敗した場合(処理P22のNルート)、CPU52は、魚の食いつきフラグをOFFにし(処理P23)、レンダリングプロセッサ56に、ルアーから魚が離れていく描画制御を行なわせる。
【0132】
ファイトモード終了後(あるいはファイトモード不実施の場合)、CPU52は、図9に例示するように、リトリーブを行ない(処理P24)、ルアー11とアングラーキャラクタ30との間の距離(ラインの長さ)が所定値以下になったり、魚が食いつかずに時間切れになったりしたか否かを判定する(処理P25)。
【0133】
いずれの条件も満たされない場合(処理P25のNルート)、CPU52は、リトリーブを継続し(処理P24)、ルアー11をアングラー位置まで移動させる処理を実行する。このとき、魚がヒットしていれば、CPU52は、ヒットした魚をルアー11と共にアングラー位置まで移動させる処理を実行し、その様子をレンダリングプロセッサ56に描画させることになる。
【0134】
処理P25において、いずれかの条件が満たされると(処理P25のYルート)、CPU52は、ルアーの引き上げ処理を行ない(処理P26)、残りキャスト回数を1デクリメントする(処理P27)。
【0135】
そして、CPU52は、残りキャスト回数が0になっているか否かを確認し(処理P28)、0になっていなければ(処理P28のNルート)、例えば、コンティニュー画面をレンダリングプロセッサ56によって表示装置9に一定時間表示させる。なお、キャスト回数の初期値(上限値)は、任意に設定でき、例えば3回や6回などである。
【0136】
このコンティニュー画面が表示されている時間内に、プレイヤによるゲーム継続操作、例えば、プレイヤによる追加のコインやメダルの投入口17への投入などが検出されれば(処理P29のYルート)、CPU52は、処理P1に戻ってゲームの実行を継続する。コンティニュー画面が表示されている時間内に、プレイヤによるゲーム継続操作が検出されなければ、CPU52は、ゲームを終了させる(処理P29のNルート)。
【0137】
処理P28において、残りキャスト回数が0になっていない場合(処理P28のNルート)、CPU52は、処理P1に戻ってゲームの実行を継続する。
【0138】
さて、前記の処理P16(図8参照)において、CPU52が食い付きフラグをONに設定した魚がルアー11に食い付かなかった(接触しなかった)と判定した場合(処理P16のNルート)、CPU52は、食い付きフラグがONの魚とルアー11との間の距離が所定値を超えたか(ルアー11が魚の反応領域21から外れたか)否か(例えば図5の場合)、あるいは、食い付きフラグがONの魚の現在位置が所定の領域22から外れたか否か(例えば図6の場合)、あるいは食い付きフラグがONの魚がルアー11を追いかけている時間が一定時間を超えたか否かを判定する(処理P30)。
【0139】
ルアー11が魚の反応領域21又は22から外れた(ルアー11と、食い付きフラグがONの魚とが離反した)又は食い付きフラグがONの魚がルアー11を追いかけている時間が一定時間を超えたと判定した場合(処理P30のYルート)には、CPU52は、その魚の食い付きフラグをOFFにし(処理P31)、ルアー11に向かって移動させる魚としての選択を解除する。その際、レンダリングプロセッサ56は、例えば、魚がルアーを追いかけるのを諦めてルアー11から離れてゆく様子を描画する。
【0140】
このような処理により、プレイヤは、リトリーブの速度(トラックボール71の回転速度)を上げて、特定の属性をもつ魚からルアー11を一定距離以上又は一定時間引き離すことで、意図的に食い付かせないようにすることが可能となる。特定の属性の魚とは、例えば、大きさ(重量)の小さな魚で釣り上げたくない魚である。
【0141】
したがって、プレイヤは、意図的に大きさ等の所望の属性の魚を選択的にターゲットにしてヒットさせることが可能となり、キャスト回数に決まりのある釣りゲームにおいては、プレイヤの意図に反してキャスト回数が増えることを抑制することができる。
【0142】
一方、処理P30において、ルアー11が魚の反応領域21又は22から外れていない又は食い付きフラグがONの魚がルアー11を追いかけている時間が一定時間を超えていないと判定された場合(処理P30のNルート)、CPU52は、処理P16以降の処理を実施する。
【0143】
その後、CPU52は、食い付きフラグがONの魚の有無を確認し(処理P32)、食い付きフラグがONの魚が存在すれば(処理P32のYルート)、処理P16以降の処理を実施する。存在しなければ(処理P32のNルート)、CPU52は、処理P14において、ルアー着水時にカメラ12の視野外に配置された魚にルアー11が接近したか否かを判定する(処理P33)。前記接近は、例えば、ルアー11の位置とアングラーキャラクタ30の位置との間に、図5又は図6に例示したように一定距離間隔又は所定領域に配置された魚の反応領域21又は22に、ルアー11が進入(接触)したことをもって検出可能である。
【0144】
その結果、ルアー11の魚20への接近(反応領域21又は22への進入)が検出されると(処理P33のYルート)、CPU52は、処理P15に戻って、ルアー11に接近された当該反応領域21又は22に対応する魚を選択(例えば食い付きフラグをON)して、処理P16以降の処理を実施する。
【0145】
すなわち、CPU52は、ルアー着水時にカメラの視野内に配置された魚がルアー11に食い付かなかった(接触しなかった)と判定した場合(魚が諦めた場合、ルアー11が魚から逃げ切った場合)、図5又は図6に例示したように一定距離毎に若しくは所定領域22毎に配置された魚のいずれかを選択(食い付きフラグをON)して配置位置からルアー11へ向かって移動開始させる。
【0146】
これにより、ルアー11のリトリーブ中に、カメラ12の視野外に配置された魚20の反応領域21又は22にルアー11が進入してルアー11が魚20に接近し、当該魚20がカメラ12の視野内に入ると、この魚20がルアー11に反応して食い付こうとする演出が可能となる。
【0147】
したがって、プレイヤが表示装置9において視認しうる魚のみがルアー11を追いかけて食い付こうとする自然な動きを表現することができる。また、ルアー11を追いかけて食い付こうとする魚20は、カメラ12の視野範囲内の魚に制限されるから、描画処理の負担も軽減される。
【0148】
なお、リトリーブ中に、プレイヤは、トラックボール71を左右方向などに操作することで、ルアーアクションを加えることができる。ルアーアクションは、使用しているルアーの種類に応じたものとすることができる。例えば、ストップ&ゴー、ただ巻き、ボトムノッキングなどのルアーアクションのいずれか1又は複数を加えることができる。
【0149】
ルアーアクションが加えられた場合、その操作量や変化の頻度などに応じて、反応領域21又は22を変化させたり反応領域21又は22内のバスの活性度を変化させたりすることもできる。活性度とは、バスがルアーに食い付こうとする意志の度合いを示す指標を表し、活性度が高いバスほどルアー11を積極的に追いかけて食い付こうとする動作が再現される。
【0150】
したがって、適度なルアーアクションが加わると、例えば、反応領域20又は21を拡大したり魚の活性度を高くしたりすることで、ルアー11からより遠くに配置された魚や、カメラ12の視野内に存在するバスの中でもワンサイズ上の魚がルアー11を追いかけて食い付こうとする動作を演出できる。
【0151】
ルアー11がいずれの反応領域21又は22にも進入したことが検出されない場合(処理P33のNルート)、CPU52は、前記処理P25以降の処理を実施する。
【0152】
以上のように、本実施形態によれば、仮想空間の水面に特定の属性をもつ魚が存在する確率の高いポイントを、的として画面表示し、プレイヤに対して、当該的を見ながらルアーをキャストする位置を明確に表示することができる。
【0153】
〔B〕その他
上述したゲーム装置1は、ゲーム内容を理解できていないプレイヤ、例えば初心者や子供などがトラックボール71を単純に一定方向に回転させているだけでも、一定サイズ以下の魚は必ず釣り上げることができる設定とすることもできる。一定サイズを超える魚を釣り上げるには、それなりのテクニックが要求される仕様とすることができる。
【0154】
なお、上述した釣りゲームの進行中には、ボーナスゲームを登場させることもできる。例えば複数のステージ(異なる釣り場など)が存在する場合に、1又は複数ステージ終了毎にボーナスステージを登場させることができる。一例を挙げると、4日間のフィッシングトーナメントの、1〜4日目のそれぞれが1ステージ(計4ステージ)に相当する設定である場合、1ステージや2ステージ終了毎にボーナスゲームを設けることができる。
【0155】
ボーナスゲームの登場タイミングは、上記のように規則的でもよいし、登場する場合も有るし無い場合もあるといった具合に不規則(例えば乱数を用いてランダム)にしてもよい。そして、ボーナスゲームの登場タイミングの設定は、適宜に変更することもできる。
【0156】
ボーナスゲームは、1種類でも複数種類でもよい。ボーナスゲームを複数種類設ける場合には、規則的あるいは不規則に次回に登場するボーナスゲームを変更することもできる。ボーナスゲームの一例としては、水中を進むルアーの挙動を制御して、水中に設定された複数のサークルを所定の順序でくぐらせるようなゲームや、一列に並んだ風船をルアーキャストにより割るようなゲームなどが挙げられる。
【0157】
このようなボーナスゲームにおいて高得点を獲得したプレイヤに対しては、特別仕様のルアーを提供することができる。特別仕様のルアーの一例としては、通常のルアーよりも飛距離が出るルアーや、より大きなサイズ(重量)の魚がヒットしやすいルアー(逆にいえば、小さなサイズのバスは興味を示さないルアー)が挙げられる。
【0158】
特別仕様のルアーを獲得したプレイヤは、当該ルアーを、ボーナスゲーム終了後に登場するステージ以降で使用できる設定とすることができる。その際、当該ルアーを使用可能なステージを指定(制限)することも可能である。また、使用可能な回数を制限することも可能である。
【0159】
特別仕様のルアーの代わりに、プレイヤに対して景品を提供してもよい。例えば、ゲーム装置1がカフェバーなどの店舗に設置してある場合、当該店舗内で供されるビール等の商品と交換可能なレシートをゲーム装置1から発行できるようにすることができる。
【0160】
また、上述した実施形態では、ゲーム装置1の一例として釣りゲーム装置について説明したが、上述した技術的なコンセプトは、他のゲームに適用することも可能である。一例を挙げると、アメリカンフットボールのゲームにおいて、クォーターバックが投げるボールを第1移動体、当該ボールを捕球しうる候補の味方選手(レシーバ)を的、相手方選手を第2移動体にそれぞれ見立てることもできる。
【0161】
この場合、候補レシーバ毎に、相手方選手に関する情報(例えば、身長、体重、スピード、タックルの強弱、ポジションなどの属性)を対応付けておくことで、ボールを捕球したレシーバの位置に応じて、属性の異なる相手方選手をレシーバの周囲に出現させるような表示制御も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】一実施形態のゲーム装置1の外観を模式的に例示する斜視図である。
【図2】図1に例示する操作台の模式的平面図である。
【図3】本実施形態の制御装置の構成例を示すブロック図である。
【図4】本実施形態の的の構成例を示す模式図である。
【図5】本実施形態の釣りゲームの動作を説明すべく魚の配置例を示すイメージ図である。
【図6】本実施形態の釣りゲームの動作を説明すべく他の魚の配置例を示すイメージ図である。
【図7】本実施形態の釣りゲームの動作を説明するフローチャートである。
【図8】本実施形態の釣りゲームの動作を説明するフローチャートである。
【図9】本実施形態の釣りゲームの動作を説明するフローチャートである。
【図10】本実施形態の釣りゲームの表示画面例を示す図である。
【図11】本実施形態の釣りゲームの表示画面例(俯瞰景)を示す図である。
【図12】本実施形態の釣りゲームの表示画面例(水中映像)を示す図である。
【図13】本実施形態の釣りゲームの表示画面例(魚がルアーに近づく様子)を示す図である。
【図14】本実施形態の釣りゲームの表示画面例(魚がルアーに近づく様子)を示す図である。
【図15】本実施形態の釣りゲームの表示画面例(魚がルアーに食い付こうとする様子)を示す図である。
【図16】本実施形態の釣りゲームの表示画面例(フッキング)を示す図である。
【図17】本実施形態の釣りゲームの表示画面例(ファイトモード)を示す図である。
【図18】図17に示す表示画面例におけるメーターを抜き出して示す図である。
【符号の説明】
【0163】
1…ゲーム装置、2…筐体、3…側板、4…前板、6…頂板、7…操作台、10,20…魚(キャラクタ)、11…ルアー(キャラクタ)、12…カメラ(仮想視点)、15…釣り糸(ライン)(キャラクタ)、30…アングラー(キャラクタ)、70…制御装置、71…ゲームコントローラ(トラックボール)、72…ボタン群、72a…スタートボタン、72b,72c…ボタン、9…表示装置、17…投入口、18…表示器、51…プログラムデータ記憶装置、52…CPU、53…システムメモリ、54…ブートROM、55…バスアービタ、56…レンダリングプロセッサ、57…グラフィックメモリ、58…サウンドプロセッサ、59…サウンドメモリ、61…スピーカ、62…バックアップメモリ、110…フィッシングボート(キャラクタ)、200…桟橋(キャラクタ)、300…的(ターゲット)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者がゲーム操作を行うための操作手段と、
仮想空間内を移動可能に設定される第1移動体を基準位置からターゲットに向かって移動させてゲームの進行を制御する制御手段と、
前記ターゲットに対して複数の領域を設定し、前記第1移動体に向かって移動可能に設定される第2移動体に関する情報を前記領域毎に特定するためのターゲット情報を記憶する記憶手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記操作者の操作に応答して、前記基準位置から移動を開始した前記第1移動体が行き着く到着位置を決定する決定処理と、
前記到着位置における前記第1移動体が、前記複数の領域のうちいずれの領域に属するかを判定する判定処理と、
前記記憶手段から読み出した前記ターゲット情報を参照して、前記第1移動体が属する領域に対応する第2移動体に関する情報を特定する特定処理と、
特定した前記第2移動体に関する情報に基づき、前記第2移動体を仮想空間に配置する配置処理と、
を実行する、ことを特徴とする、ゲーム装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記判定処理により、前記第1移動体の到着位置がいずれかの領域に属すると判定した場合、前記ターゲットの大きさを変更する処理を実行する
ことを特徴とする、請求項1に記載のゲーム装置。
【請求項3】
前記第2移動体に関する情報は、
前記第2移動体の大きさ、重さ、得点、能力値の少なくとも一つを示す属性情報を含み、
前記ターゲット情報は、
前記領域それぞれに、各属性内容が選択される確率を対応付けた確率情報を含み、
前記特定処理は、
前記確率情報を参照し、前記判定された領域に対応する確率に基づいて前記第2移動体の前記属性を特定する
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のゲーム装置。
【請求項4】
前記操作手段は、
前後左右方向に回転可能に設けられた回転体を備え、
前記制御手段は、
前記操作手段から、前記回転体の回転速度および回転角度の信号を受け取って、前記第1移動体の到着位置を決定する処理を実行する
ことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のゲーム装置。
【請求項5】
前記制御手段は、
前記操作手段から、前記基準位置を所定範囲内で変更する信号を受け付け、
当該変更した基準位置に基づいて、第1移動体が移動する弾道を決定する処理を実行する
ことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のゲーム装置。
【請求項6】
前記配置処理は、
前記到着位置に基づく一定領域内に、若しくは、前記基準位置と前記到着位置との間に設定した所定領域毎に、少なくとも1以上の前記第2移動体を配置するよう処理し、
前記制御手段は、
前記配置された第2移動体に第1移動体が接近したと判断すると、当該接近された第2移動体を、第1移動体に向かって移動する第2移動体として選択する処理と、
前記選択された第2移動体と、第1移動体とが離反したと判断すると、当該第2移動体の前記選択を解除する処理と、
を実行する
ことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のゲーム装置。
【請求項7】
コンピュータをゲーム装置として機能させるゲームプログラムであって、
前記ゲーム装置は、
操作者がゲーム操作を行うための操作手段と、
仮想空間内を移動可能に設定される第1移動体を基準位置からターゲットに向かって移動させてゲームの進行を制御する制御手段と、
前記ターゲットに対して複数の領域を設定し、前記第1移動体に向かって移動可能に設定される第2移動体に関する情報を前記領域毎に特定するためのターゲット情報を記憶する記憶手段とを備えるものであり、
前記ゲームプログラムは、
前記制御手段に、
前記操作者の操作に応答して、前記基準位置から移動を開始した前記第1移動体が行き着く到着位置を決定する決定処理と、
前記到着位置における前記第1移動体が、前記複数の領域のうちいずれの領域に属するかを判定する判定処理と、
前記記憶手段から読み出した前記ターゲット情報を参照して、前記第1移動体が属する領域に対応する第2移動体に関する情報を特定する特定処理と、
特定した前記第2移動体に関する情報に基づき、前記第2移動体を仮想空間に配置する配置処理と、を実行させることを特徴とする、ゲームプログラム。
【請求項8】
コンピュータをゲーム装置として機能させるゲームプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
前記ゲーム装置は、
操作者がゲーム操作を行うための操作手段と、
仮想空間内を移動可能に設定される第1移動体を基準位置からターゲットに向かって移動させてゲームの進行を制御する制御手段と、
前記ターゲットに対して複数の領域を設定し、前記第1移動体に向かって移動可能に設定される第2移動体に関する情報を前記領域毎に特定するためのターゲット情報を記憶する記憶手段とを備えるものであり、
前記ゲームプログラムは、
前記制御手段に、
前記操作者の操作に応答して、前記基準位置から移動を開始した前記第1移動体が行き着く到着位置を決定する決定処理と、
前記到着位置における前記第1移動体が、前記複数の領域のうちいずれの領域に属するかを判定する判定処理と、
前記記憶手段から読み出した前記ターゲット情報を参照して、前記第1移動体が属する領域に対応する第2移動体に関する情報を特定する特定処理と、
特定した前記第2移動体に関する情報に基づき、前記第2移動体を仮想空間に配置する配置処理と、を実行させることを特徴とする、記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図18】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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