説明

ゲーム装置、ゲーム制御方法、ならびに、プログラム

【課題】キャラクターの特殊な移動をプレイヤーに不自然に感じさせないゲーム装置等を提供する。
【解決手段】ゲーム装置201の記憶部202は、仮想空間に配置されるキャラクターの位置を記憶し、生成部203は、仮想空間の様子を表す画像を生成し、調整部204は、アイテムが使用された後所定の使用期間の間は、生成された画像のコントラストを低下させるように調整を行い、位置更新部206は、キャラクターの位置を当該使用期間の間でなければ所定の速度以下で変更して更新し、当該使用期間の間であれば速度制限を課さずに変更して更新し、表示部205は、調整された画像を画面に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャラクターの特殊な移動をプレイヤーに不自然に感じさせないのに好適なゲーム装置、ゲーム制御方法、ならびに、これらをコンピュータにて実現するプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、仮想空間に配置されキャラクター同士が対話をしたり戦闘をしたりするRPG(Roll Playing Game)やAVG(AdVenture Game)、STG(ShooTing Game)などのゲームが提供されている。プレイヤー自身の操作に基づいて各種の行動を行うキャラクターは、「マイキャラクター」「自キャラクター」などと呼ばれ、他のプレイヤーの操作や所定のアルゴリズムに基づいて行動を決定するキャラクターは、「敵キャラクター」と呼ばれることがある。
【0003】
また、いずれかのプレイヤーの操作に基づいて行動を決定するキャラクターは、「PC(Player Character)」と、所定のアルゴリズムに基づいてコンピュータが計算を行って行動を決定するキャラクターは、「NPC(Non-Player Character)」と、それぞれ呼ばれる。
【0004】
このほか、NPCで、かつ、自キャラクターを守るような行動をとるキャラクターを「味方キャラクター」「バディキャラクター」などと呼ぶこともある。
【0005】
このような、各種のゲームにおいては、各キャラクターが種々のアイテムを使用する場合も多い。アイテムは、相対するキャラクターに対する攻撃、他のキャラクターからの防御、ゲームの舞台となる仮想空間に配置された各種のオブジェクトを操作するための「鍵」(たとえば、「扉」を開ける「鍵」、「火」を灯すための「マッチ」、「壷」を割るための「棒」、「煙幕」を出すための「煙玉」、「目くらましの光」を出すため「発光弾」等)などに利用される。
【0006】
このようなゲームに関連する技術については、たとえば以下の文献に開示されている。
【特許文献1】特開2002−166045号公報
【0007】
ここで、[特許文献1]においては、敵キャラクターと味方キャラクターとの移動速度および距離を考慮して攻撃の可否を判断することにより、ゲームの戦闘シーンを進める技術が開示されている。
【0008】
さて、このようなゲームにおいては、現実世界と同様に、各キャラクターが仮想空間を移動する速度に上限が設けられていることが多い。プレイヤーは、敵キャラクターの種類や各種のパラメータ情報を見たり、敵キャラクターが実際に移動する様子が画面に表示されるのを見て、当該敵キャラクターに対してどのように行動すべきかを決定する。したがって、プレイヤーから見た敵キャラクターの移動速度は、この上限速度を守らないと、プレイヤーは敵キャラクターの移動を不自然に感じることになり、ゲームシステムに対する不信感が高まることともなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、ゲームの難易度を調整するために、敵キャラクターの移動速度の上限を一時的に撤廃したいことも多い。一方で、上記のように、プレイヤーから見た敵キャラクターの移動は、自然に見えるようにしたいという要望もある。
【0010】
本発明は、上記のような課題を解決するもので、キャラクターの特殊な移動をプレイヤーに不自然に感じさせないのに好適なゲーム装置、ゲーム制御方法、ならびに、これらをコンピュータにて実現するプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上の目的を達成するため、本発明の原理にしたがって、下記の発明を開示する。
【0012】
本発明の第1の観点に係るゲーム装置は、記憶部、生成部、調整部、位置更新部、表示部を備え、以下のように構成する。
【0013】
すなわち、記憶部は、仮想空間に配置されるキャラクターの位置を記憶する。
【0014】
典型的には、当該キャラクターは、NPCの敵キャラクターである。また、当該キャラクターは、典型的にはアイテムを所有しており、当該アイテムは、煙幕用の煙玉や、目眩し用の発光弾などが相当する。以下、アイテムを使用する場合を典型的な例としてとりあげて説明する。
【0015】
一方、生成部は、当該キャラクターを含む当該仮想空間を表す画像を生成する。
【0016】
仮想空間の表示手法としては、2次元の桝目あるいは六角形状に地面を区分けして表示し、当該各桝目等に重ねてキャラクターを提示してキャラクターが仮想空間内に配置される様子を画像に反映させても良い。また、後述するように、仮想空間を3次元空間にして、キャラクター等をポリゴンからなるオブジェクトにより定義し、仮想空間内に配置された視点から視線方向に配置された投影面への透視投影によって、3次元グラフィックス表示する等の手法も考えられる。なお、アイテムについては、画像に反映させても良いし、させなくとも良い。
【0017】
一方、調整部は、所定の使用条件が満たされると、所定の使用期間の間、生成された画像のコントラストを低下させ、そうでない場合、生成された画像のコントラストを維持して、生成された画像のコントラストを調整する。
【0018】
上記のように、キャラクターがアイテムを使用するようなゲームにおいては、所定の使用条件が満たされる場合として、記憶されたアイテムの使用状況が未使用であることを要するように設定する。キャラクターがNPCである場合には、キャラクターの動作選択アルゴリズムを適正に設定することにより、未使用のアイテムを使用する状況か否かをゲーム装置のCPUが判断することとなる。
【0019】
現実世界では、煙幕がはられたり、発光弾が炸裂したりすると、一時的に視界がはっきり見えなくなる。これは、明暗の相違や色彩の相違が減少してしまうため、すなわち、コントラストが低下してしまうためである。そこで、アイテムが使用された場合には、ある使用期間だけ、画像のコントラストを低下させることで、当該アイテムが使用されたことをプレイヤーに通知する。
【0020】
所定の使用条件は、ゲームのルールや種類によって適宜定めることができる。従来のRPGやAVG、STGなどにおいても、どのアイテムをどのタイミングで使用するかは、ゲームシステムが所定のアルゴリズムに基づいて決定しているため、本発明においても同様の技術を適用することができる。
【0021】
さらに、位置更新部は、当該所定の使用期間である場合の当該キャラクターの移動可能範囲が、当該所定の使用期間でない場合の当該キャラクターの移動可能範囲よりも広くなるように設定して、前記記憶部に記憶される当該キャラクターの位置を更新する。
【0022】
アイテムを使用中の場合は、たとえば煙幕を使用している場合に相当し、プレイヤー側は目くらましを受けている状態になるため、キャラクターの移動範囲を広くしてもプレイヤーは不自然な印象を受けない。このため、ゲームシステムは、敵キャラクターの移動先をより自由に選択することができるようになる。これによって、ゲームの難易度を変化させることができる。
【0023】
一方、表示部は、コントラストを調整された画像を表示する。
【0024】
したがって、アイテムの使用期間でなければ、生成部が生成した画像そのものを画面に表示することになるし、アイテムの使用期間であれば、生成部が生成した画像のコントラストを低下させた画像を画面に表示することになる。
【0025】
本発明によれば、当該キャラクターがプレイヤーから見えない期間についてキャラクターの移動速度の上限による制約を緩和するため、ゲームの難易度を適切に調整しながら、プレイヤーに不自然さを感じさせないようにすることができる。
【0026】
また、本ゲーム装置は、使用状況更新部をさらに備え、以下のように構成することができる。
【0027】
ここで、記憶部は、アイテムの使用状況をさらに記憶する。
【0028】
当該所定の使用期間であるか否かにより、当該キャラクターの位置の単位時間あたりの変化に所定の上限を設けるか否かを切り替えて、記憶部に記憶される当該キャラクターの位置を更新する。
【0029】
本発明においては、キャラクターの移動速度の上限を切り替えることによって、キャラクターの移動可能範囲の広狭を変化させる。
【0030】
すなわち、アイテムが使用されていない通常状態の場合には、敵キャラクターは、その上限速度を守りながら仮想世界を移動するが、アイテムが使用された直後から一定期間は、上限速度による縛りがなくなる。このため、ゲームシステムは、敵キャラクターの移動先をより自由に選択することができるようになる。これによって、ゲームの難易度を変化させることができる。
【0031】
一方、このように、敵キャラクターの上限速度による制約がなくなるのは、画面に表示される画像のコントラストが低下している間、すなわち、敵キャラクターの移動がプレイヤーからは認識できない間である。したがって、コントラストが通常に戻り、敵キャラクターの姿がはっきり見えるようになっても、プレイヤーは、敵キャラクターの移動に不自然さを感じないこととなる。
【0032】
そして、使用状況更新部は、当該所定の使用期間の間に、記憶部に記憶される当該アイテムの使用状況を使用済に更新する。
【0033】
アイテムの使用情報を更新するタイミングは、使用期間の始まり(使用条件が満たされた瞬間)でも良いし、使用期間の終わり(画像のコントラストを低下させなくなる瞬間)でも良い。
【0034】
本発明は、上記発明の好適実施形態にかかるものであり、仮想空間内で煙幕などのアイテムをキャラクターが使用した場合にプレイヤーへの目くらましの効果を与えるとともに、その際のキャラクターの移動速度の上限を変化させることで、プレイヤーに自然な印象を与えたままゲームの難易度を調整することができるようになる。
【0035】
また、本発明のゲーム装置は、以下のように構成することができる。
【0036】
すなわち、記憶部は、当該仮想空間に配置される視点の位置および視線の方向、当該仮想空間における当該アイテムの位置をさらに記憶し、生成部は、当該仮想空間を、当該視点から当該視線の方向に見た画像を生成する。
【0037】
上述した通り、3次元グラフィックスにより仮想世界の様子をプレイヤーに提示するためである。
【0038】
一方、調整部は、当該未使用のアイテムについて当該所定の使用条件が満たされると、当該視点の一致と当該未使用のアイテムとの距離、ならびに、当該視線の方向と当該視点から当該未使用のアイテムへの方向とのなす角を計算し、当該距離ならびに当該角が小さくなればなるほど、当該所定の使用期間を長くし、当該コントラストの低下の度合を大きくする。
【0039】
煙幕の煙玉や発光弾が爆発する場所が自分の視線に近い場合には、それだけ目眩しの度合も大きい。すなわち、煙や光も「濃く」なり、視界が回復するまでの時間が長くなる。本発明はこのような状況に対応するもので、アイテムの使用場所が視点に近ければ近いほど、また、アイテムの使用場所が視線方向に近ければ近いほど、所定の使用期間を長くし、コントラストの低下の度合も大きくするのである。
【0040】
本発明によれば、コントラストの低下の度合やその期間を、アイテムの使用される場所に応じて適切に決定することができ、プレイヤーにより自然な仮想空間の画像を提示することができるようになる。
【0041】
また、本発明のゲーム装置において、位置更新部は、当該キャラクターの位置の単位時間あたりの変化に所定の上限を設けるか否かを切り換えるのを、「当該所定の使用期間であるか否か」によるのにかえて、「当該コントラストの低下の度合が所定の閾値以上であるか否か」によるものとするように構成することができる。
【0042】
上記発明では、キャラクターの移動速度の上限による制約が緩和される期間は、所定の使用期間の間であったが、本発明では、コントラストの低下の度合が所定の閾値以上である間となる。上記の例でいえば、「煙が濃かったり、光が眩しいために、敵の動きが見えない」という状況に相当する間は、敵キャラクターの移動速度の制限を緩和するのである。
【0043】
本発明は、上記発明の変形実施形態の一つであり、キャラクターの移動速度の上限が緩和されてもプレイヤーが不自然に感じない期間を適切に判断することができるようになる。
【0044】
また、本発明のゲーム装置において、生成部は、当該仮想空間に配置される当該キャラクターと、当該仮想空間に配置される当該アイテムのうち使用状況が未使用のアイテムと、を、当該視点から当該視線の方向に見た画像を生成するように構成することができる。
【0045】
本発明は上記発明の好適実施形態の一つであり、アイテムが画面に表示されるか否かにより、アイテムが未使用か否かをプレイヤーが認識できるようになる。また、当該アイテムを敵キャラクターが発射や投擲する等、アイテム自体が仮想空間内を移動する場合に、その様子をプレイヤーが認識できるようになる。
【0046】
本発明によれば、アイテムの使用状況や現在の様子を、画面表示からプレイヤーが適切に把握できるようになる。
【0047】
本発明のその他の観点に係るゲーム制御方法は、記憶部、生成部、調整部、位置更新部、表示部を備えるゲーム装置を制御し、生成工程、調整工程、位置更新工程、表示工程を備え、以下のように構成する。
【0048】
すなわち、記憶部には、仮想空間に配置されるキャラクターの位置が、記憶される。
【0049】
一方、生成工程では、生成部が、当該キャラクターを含む当該仮想空間を表す画像を生成する。
【0050】
さらに、調整工程では、所定の使用条件が満たされると、調整部が、所定の使用期間の間、生成された画像のコントラストを低下させ、そうでない場合、生成された画像のコントラストを維持して、生成された画像のコントラストを調整する。
【0051】
そして、位置更新工程では、位置更新部が、当該所定の使用期間であるか否かにより、当該キャラクターの位置の単位時間あたりの変化に所定の上限を設けるか否かを切り替えて、記憶部に記憶される当該キャラクターの位置を更新する。
【0052】
一方、表示工程では、表示部が、コントラストを調整された画像を表示する。
【0053】
本発明のその他の観点に係るプログラムは、コンピュータを上記のゲーム装置として機能させ、コンピュータに上記のゲーム制御方法を実行させるように構成する。
【0054】
また、本発明のプログラムは、コンパクトディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、ディジタルビデオディスク、磁気テープ、半導体メモリ等のコンピュータ読取可能な情報記憶媒体に記録することができる。
【0055】
上記プログラムは、プログラムが実行されるコンピュータとは独立して、コンピュータ通信網を介して配布・販売することができる。また、上記情報記憶媒体は、コンピュータとは独立して配布・販売することができる。
【発明の効果】
【0056】
本発明によれば、キャラクターの特殊な移動をプレイヤーに不自然に感じさせないのに好適なゲーム装置、ゲーム制御方法、ならびに、これらをコンピュータにて実現するプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0057】
以下に本発明の実施形態を説明する。以下では、理解を容易にするため、ゲーム用の情報処理装置を利用して本発明が実現される実施形態を説明するが、以下に説明する実施形態は説明のためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。したがって、当業者であればこれらの各要素もしくは全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【実施例1】
【0058】
図1は、プログラムを実行することにより、本発明の実施形態に係る装置の機能を果たす典型的な情報処理装置の概要構成を示す模式図である。以下、本図を参照して説明する。
【0059】
情報処理装置100は、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM 102と、RAM(Random Access Memory)103と、インターフェイス104と、コントローラ105と、外部メモリ106と、画像処理部107と、DVD−ROM(Digital Versatile Disc ROM)ドライブ108と、NIC(Network Interface Card)109と、音声処理部110と、マイク111と、を備える。
【0060】
ゲーム用のプログラムおよびデータを記憶したDVD−ROMをDVD−ROMドライブ108に装着して、情報処理装置100の電源を投入することにより、当該プログラムが実行され、本実施形態に係る装置が実現される。
【0061】
CPU 101は、情報処理装置100全体の動作を制御し、各構成要素と接続され制御信号やデータをやりとりする。また、CPU 101は、レジスタ(図示せず)という高速アクセスが可能な記憶域に対してALU(Arithmetic Logic Unit)(図示せず)を用いて加減乗除等の算術演算や、論理和、論理積、論理否定等の論理演算、ビット和、ビット積、ビット反転、ビットシフト、ビット回転等のビット演算などを行うことができる。さらに、マルチメディア処理対応のための加減乗除等の飽和演算や、三角関数等、ベクトル演算などを高速に行えるように、CPU 101自身が構成されているものや、コプロセッサを備えて実現するものがある。
【0062】
ROM 102には、電源投入直後に実行されるIPL(Initial Program Loader)が記録され、これが実行されることにより、DVD−ROMに記録されたプログラムをRAM 103に読み出してCPU 101による実行が開始される。また、ROM 102には、情報処理装置100全体の動作制御に必要なオペレーティングシステムのプログラムや各種のデータが記録される。
【0063】
RAM 103は、データやプログラムを一時的に記憶するためのもので、DVD−ROMから読み出したプログラムやデータ、その他ゲームの進行やチャット通信に必要なデータが保持される。また、CPU 101は、RAM 103に変数領域を設け、当該変数に格納された値に対して直接ALUを作用させて演算を行ったり、RAM 103に格納された値を一旦レジスタに格納してからレジスタに対して演算を行い、演算結果をメモリに書き戻す、などの処理を行う。
【0064】
インターフェイス104を介して接続されたコントローラ105は、ユーザがゲーム実行の際に行う操作入力を受け付ける。
【0065】
インターフェイス104を介して着脱自在に接続された外部メモリ106には、ゲーム等のプレイ状況(過去の成績等)を示すデータ、ゲームの進行状態を示すデータ、ネットワーク対戦の場合のチャット通信のログ(記録)のデータなどが書き換え可能に記憶される。ユーザは、コントローラ105を介して指示入力を行うことにより、これらのデータを適宜外部メモリ106に記録することができる。
【0066】
DVD−ROMドライブ108に装着されるDVD−ROMには、ゲームを実現するためのプログラムとゲームに付随する画像データや音声データが記録される。CPU 101の制御によって、DVD−ROMドライブ108は、これに装着されたDVD−ROMに対する読み出し処理を行って、必要なプログラムやデータを読み出し、これらはRAM 103等に一時的に記憶される。
【0067】
画像処理部107は、DVD−ROMから読み出されたデータをCPU 101や画像処理部107が備える画像演算プロセッサ(図示せず)によって加工処理した後、これを画像処理部107が備えるフレームメモリ(図示せず)に記録する。フレームメモリに記録された画像情報は、所定の同期タイミングでビデオ信号に変換され画像処理部107に接続されるモニタ(図示せず)へ出力される。これにより、各種の画像表示が可能となる。
【0068】
画像演算プロセッサは、2次元の画像の重ね合わせ演算やαブレンディング等の透過演算、各種の飽和演算を高速に実行できる。
【0069】
また、仮想空間が3次元にて構成される場合には、当該3次元空間内に配置され、各種のテクスチャ情報が付加されたポリゴン情報を、Zバッファ法によりレンダリングして、所定の視点位置から仮想空間に配置されたポリゴンを所定の視線の方向へ俯瞰したレンダリング画像を得る演算の高速実行も可能である。
【0070】
さらに、CPU 101と画像演算プロセッサが協調動作することにより、文字の形状を定義するフォント情報にしたがって、文字列を2次元画像としてフレームメモリへ描画したり、各ポリゴン表面へ描画することが可能である。
【0071】
NIC 109は、情報処理装置100をインターネット等のコンピュータ通信網(図示せず)に接続するためのものであり、LAN(Local Area Network)を構成する際に用いられる10BASE−T/100BASE−T規格にしたがうものや、電話回線を用いてインターネットに接続するためのアナログモデム、ISDN(Integrated Services Digital Network)モデム、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)モデム、ケーブルテレビジョン回線を用いてインターネットに接続するためのケーブルモデム等と、これらとCPU 101との仲立ちを行うインターフェイス(図示せず)により構成される。
【0072】
音声処理部110は、DVD−ROMから読み出した音声データをアナログ音声信号に変換し、これに接続されたスピーカ(図示せず)から出力させる。また、CPU 101の制御の下、ゲームの進行の中で発生させるべき効果音や楽曲データを生成し、これに対応した音声をスピーカから出力させる。
【0073】
音声処理部110では、DVD−ROMに記録された音声データがMIDIデータである場合には、これが有する音源データを参照して、MIDIデータをPCMデータに変換する。また、ADPCM形式やOgg Vorbis形式等の圧縮済音声データである場合には、これを展開してPCMデータに変換する。PCMデータは、そのサンプリング周波数に応じたタイミングでD/A(Digital/Analog)変換を行って、スピーカに出力することにより、音声出力が可能となる。
【0074】
さらに、情報処理装置100には、インターフェイス104を介してマイク111を接続することができる。この場合、マイク111からのアナログ信号に対しては、適当なサンプリング周波数でA/D変換を行い、PCM形式のディジタル信号として、音声処理部110でのミキシング等の処理ができるようにする。
【0075】
このほか、情報処理装置100は、ハードディスク等の大容量外部記憶装置を用いて、ROM 102、RAM 103、外部メモリ106、DVD−ROMドライブ108に装着されるDVD−ROM等と同じ機能を果たすように構成してもよい。
【0076】
以上で説明した情報処理装置100は、いわゆる「コンシューマ向けテレビゲーム装置」に相当するものであるが、仮想空間を表示するような画像処理を行うものであれば本発明を実現することができる。したがって、携帯電話、携帯ゲーム機器、カラオケ装置、一般的なビジネス用コンピュータなど、種々の計算機上で本発明を実現することが可能である。
【0077】
たとえば、一般的なコンピュータは、上記情報処理装置100と同様に、CPU、RAM、ROM、DVD−ROMドライブ、および、NICを備え、情報処理装置100よりも簡易な機能を備えた画像処理部を備え、外部記憶装置としてハードディスクを有する他、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、磁気テープ等が利用できるようになっている。また、コントローラ105ではなく、キーボードやマウスなどを入力装置として利用する。
【0078】
図2は、本発明の実施形態の一つにかかるゲーム装置であって、上記情報処理装置100上に実現されるゲーム装置の概要構成を示す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0079】
本実施形態のゲーム装置201は、記憶部202、生成部203、調整部204、表示部205、位置更新部206、使用状況更新部207を備える。
【0080】
記憶部202は、RAM 103などにより構成され、以下の情報を記憶する。
(a)敵キャラクターの位置と上限速度
(b)敵キャラクターが所有するアイテムの使用状況および当該アイテムの位置
(c)視点、視線、投影面と視点との距離
(d)現在使用中のアイテムの強度パラメータpと、使用されてからの経過時間t
【0081】
これらの情報は、後述するような本発明の要素によって更新される場合もあるし、公知のゲーム進行技術によって更新される場合もある。
【0082】
本実施形態では、敵キャラクターはNPCであり、あらかじめ用意されたプログラムにより実現されるアルゴリズムに従い、仮想空間の中を移動したり、アイテムを使用したりする。たとえば、乱数を用いて移動方向を決めたり、視点の位置(自キャラクターの近傍に相当する)に近付くように移動方向を決めたり、視点との距離が近付けば近づくほどアイテムを使用する確率を高めるように乱数を用いたり、等である。
【0083】
敵キャラクターが所有するアイテムは、煙幕用の煙玉や、目眩し用の発光弾などに相当するものである。現実世界では、これらのアイテムが使用されると視界が煙で遮られたり、明るさで目が眩んだりして周囲のものが見えなくなる。本実施形態では、この状況を仮想空間を提示した画像を画面に表示する際に、画像のコントラストを調整することによって表現する。
【0084】
また、強度パラメータp、および、経過時間tから、アイテムの現在の状況(煙の濃さや発光の眩しさ等)を計算することができる。なお、以下の説明では、理解を容易にするため、アイテムが1つだけであると仮定して説明するが、アイテムが複数同時に使用される状況では、これらのアイテムを配列によって管理し、それぞれのアイテムについて後述する処理を実行すれば良い。
【0085】
図3は、本ゲーム装置201にて実行されるゲーム制御処理の制御の流れを示すフローチャートである。以下、本図を参照して説明する。
【0086】
まず、本処理が開始されると、CPU 101は、DVD−ROMドライブ108に装着されるDVD−ROMから、初期化用の各種数値パラメータを読み出して、RAM 103に用意される記憶部202を初期化する(ステップS301)。各種のパラメータは、DVD−ROMに記録されているものをそのまま利用しても良いし、DVD−ROMに記録されている設定に基づいて、乱数により生成する等しても良い。
【0087】
なお、本実施形態では、強度パラメータpは「0」に、経過時間tは「−1」に、それぞれ初期化する。これらはいずれも、当該アイテムが現在使用中でないことを意味する。
【0088】
ついで、CPU 101は、RAM 103に用意される記憶部202を参照し、画像処理部107が用意する3次元グラフィックス機能を利用して、当該視点から当該視線の方向に見たときの仮想空間の様子を表す画像を生成する(ステップS302)。この画像には、少なくとも敵キャラクターが含まれるが、たとえばアイテム(特に、「未使用」のアイテム。)や自キャラクターなどを含めることとしても良い。また、本実施形態では、一点透視による透視投影を用いた3次元グラフィックスを採用するが、平行投影としても良いし、SLG(SimuLation Game)に見られるような桝目や六角形によるマップ表示や鳥瞰図表現を採用することとしても良い。
【0089】
したがって、CPU 101は、RAM 103、画像処理部107と共働して、生成部203として機能する。生成された画像は、RAM 103内の画像バッファに記憶される。
【0090】
さらに、CPU 101は、RAM 103に用意される記憶部202を参照して、敵キャラクターがアイテムを使用するか否かを判断する(ステップS303)。アイテムを使用するためには、以下の条件を満たす必要がある。
(a)当該アイテムが「未使用」であること、かつ、
(b)所定の使用条件を満たすこと。
【0091】
所定の使用条件は、NPCの行動アルゴリズムによって決定されるものであり、たとえば、以下のような条件を採用することができる。
(1)敵キャラクターと視点との距離が近付いている場合。
(2)敵キャラクターの体力パラメータが所定の閾値よりも少ない場合。
(3)敵キャラクターと自キャラクターの体力パラメータの差が閾値よりも少ない場合。
(4)発生させた乱数が所定の範囲に含まれる場合。
(5)キャラクターが仮想空間内の所定の場所に到達した場合。
(6)仮想空間内における時刻が所定の時刻に達した場合。
(7)敵キャラクターが発射・投擲したアイテムが、所定の場所に到達した場合。
(8)上記の適当な組み合わせ。
【0092】
アイテムを使用しない場合(ステップS303;No)、CPU 101は、CPU 101は、RAM 103に記憶されたアイテムの経過時間tについて、t≧0であるか否かを判定する(ステップS306)。そうでない場合(ステップS306;No)、現在アイテムは使用されていないことを意味する。そこで、CPU 101は、敵キャラクターを当該敵キャラクターに割り当てられる上限速度以下で移動させるように、敵キャラクターの移動先を計算する(ステップS307)。
【0093】
アイテムが使用されない限りは、ステップS307における計算は垂直同期割込間隔で行われるため、敵キャラクターの移動がリアルタイムで行われる場合には、敵キャラクターの移動量が、当該上限速度に垂直同期割込間隔を乗じた値以下となるように条件付けを行うことになる。このような条件付けは、上記のNPCの行動アルゴリズムに組み込まれている。
【0094】
そして、RAM 103の記憶部202に記憶される敵キャラクターの位置を、ステップS307で計算された移動先に更新する(ステップS308)。したがって、CPU 101は、RAM 103と共働して位置更新部206として機能する。
【0095】
そして、次の垂直同期割込が発生するまで待機する(ステップS304)。この待機の際には、ゲームに必要な他の処理をコルーチン的に適宜実行することが可能である。
【0096】
垂直同期割込が発生すると、CPU 101は、RAM 103内の画像バッファに記憶される画像をモニタに表示するように、画像処理部107に指示を出し(ステップS305)、ステップS302に戻る。これにより、画像バッファに蓄積された画像が、モニタの画面に表示され、プレイヤーは仮想空間の様子を知得することができるようになる。
【0097】
したがって、CPU 101は、RAM 103、画像処理部107等と共働して、表示部205として機能する。
【0098】
一方、t≧0である場合は(ステップS306;Yes)、アイテムは使用中である、すなわち、現在の時刻はアイテムの使用期間の間である、ということを意味する。そこで、以下では、アイテムを使用すると判断された場合(ステップS303;Yes)に沿って説明する。
【0099】
さて、アイテムを使用すると判断されると(ステップS303;Yes)、CPU 101は、アイテムの強度パラメータを計算し(ステップS309)、計算された値をpに代入するとともに、アイテム使用の経過時間tに0を代入する(ステップS310)。
【0100】
アイテムの強度パラメータには、常に所定の定数を採用しても良いが、アイテムの位置と視点の位置(もしくは自キャラクターの位置。以下「視点」を例としてとりあげて説明する。)や視線の方向関係によって定めることとしても良い。
【0101】
たとえば、アイテムの位置と視点の位置との間の距離dが小さければ小さいほど大きい値となるようにする手法である。このほか、視点からアイテムへの方向と、視線の方向と、がなす角θが小さければ小さいほど大きい値とするようにする手法である。また、これらを組み合わせても良い。
【0102】
一般に、単調減少関数f(・)とg(・)があるとき、
p = f(d)×g(θ)
とすれば、容易に強度パラメータを計算することができる。これらの強度パラメータは、所定の精度の浮動小数点や固定小数点による計算を用いるのが典型的である。
【0103】
単調減少関数f(・)やg(・)としては、たとえば以下の関数h(・)を選択することができる。ここで、L,Mは、適当な正定数である。
(1)h(z) = 1 (z<L);
h(z) = 1-(M-z)/(M-L) (L<z≦M);
h(z) = 0 (M<z)
(2)h(z) = exp(-z/L)
(3)h(z) = exp(-z2/L)
(4)h(z) = 1 - 2×atan(z/L)/π
(5)配列表を用いた関数h(z)。インデックスzが増加するにつれて配列表の要素の値h[z]が減少するように配列表を設定しておき、h(z) = h[z]とする。ただし、h[0] は 1とし十分大きいzに対してはh[z] = 0とする。
【0104】
このようにすると、強度パラメータpについては、常に
0≦p≦1
が成立することとなる。
【0105】
さて、強度パラメータpと経過時間tを初期化した(ステップS310)後は、CPU 101は、RAM 103の記憶部202に記憶される当該アイテムの使用状況を「使用済」に更新して(ステップS311)、ステップS306に進む。すなわち、CPU 101は、RAM 103と共働して、使用状況更新部207として機能する。
【0106】
さて、t≧0であるか否かを判定する(ステップS306)のであるが、ステップS310を経由した後は、t≧0であるから(ステップS306;Yes)、アイテムは使用中ということになる。
【0107】
そこで、経過時間tを1増やす(ステップS312)。すなわち、経過時間tは垂直同期割込間隔を単位としている。
【0108】
ついで、CPU 101は、強度パラメータpと経過時間tから、コントラストの低下度合のパラメータ値αを計算する(ステップS313)。
【0109】
一般に、煙玉による煙幕や発光弾による光は、時間の経過とともに減衰するから、経過時間tに適用する関数q(・)として、上記の関数h(・)のいずれかを採用することができる。もちろん、tが増加するにつれて漸近的にq(t)が0に近付くような対応付けを行うのであれば、どのような関数を採用しても良い。
【0110】
そして、パラメータ値αを、以下のように計算する。
α = p×q(t)
【0111】
パラメータ値αはコントラストの低下の度合を示すパラメータであり、上記のような計算を行って得た場合には、
0≦α≦1
【0112】
が成立する。
【0113】
すなわち、α=0が、画像のコントラストを一切変化させないことに対応し、α=1が、画像を完全にコントラストがなくなった状態(すべて同じ色)にすることに対応する。
【0114】
そして、本実施形態では、コントラストの低下を表現するために、所定の色とのαブレンディングを行う。
【0115】
すなわち、煙幕や発光弾による光の色彩を、RGB表現で
(R,G,B)
とする。これらの情報は、DVD−ROM等からRAM 103等に読み出されており、初期化されている。
【0116】
CPU 101は、RAM 103内の画像バッファに生成されている画像のそれぞれのピクセルについて、以下の処理を繰り返す(ステップS314〜ステップS316)。
【0117】
すなわち、当該ピクセルの画素値が
(r,g,b)
であるときに、当該ピクセルの画素値を、
(r,g,b) ← α×(R,G,B) + (1-α)×(r,g,b)
のように、線形合成して代入する(ステップS315)。この処理を、各ピクセルについて繰り返す(ステップS316)。
【0118】
このような処理を行うことにより、α>0である間は、生成された画像の画素値が、コントラストが低下するように変化することとなる。また、α=0の場合は、生成された画像のコントラストに変化はない。
【0119】
したがって、CPU 101は、RAM 103と共働して、調整部204として機能する。
【0120】
なお、上記の手法では、画面全体をある色(R,G,B)に近付けるようにαブレンディングするが、あらかじめ煙幕や発光弾の光の画像を用意しておき、この画像とαブレンディングするような態様を採用しても良い。
【0121】
これらのαブレンディングする画像の合成位置を、仮想空間におけるアイテムの位置を透視投影した場所に応じて移動させることによって、よりリアルな煙幕や発光弾の爆発などの様子を提示することも可能である。
【0122】
各ピクセルの画素値の調整が終了したら(ステップS316)、CPU 101は、敵キャラクターの移動先を、「上限速度」の制限を課さずに計算する(ステップS317)。
【0123】
上記のように、アイテムが使用されない限りは、垂直同期割込間隔で行われるため、敵キャラクターの移動がリアルタイムで行われる場合には、敵キャラクターの移動量が、当該上限速度に垂直同期割込間隔を乗じた値以下となるように条件付けを行うことになるが、ステップS317においては、コントラストが低下しているため、敵キャラクターを設定されている上限速度よりも大きい速度で移動させても、その姿はプレイヤーには見えない。したがって、移動速度を速くしてゲームの難易度をあげたとしても、プレイヤーに不自然さを感じさせないですむ。
【0124】
なお、この際に、パラメータ値αが所定の閾値以上の場合のみ(画面のコントラストの低下の程度が一定以上の場合のみ)に、「上限速度」の制限を課さずに敵キャラクターを移動させることとしても良い。
【0125】
また、パラメータ値αが所定の閾値以上を維持しながら、経過時間tがある定数値に等しくなった場合に、「上限速度」の制限を課さずに敵キャラクターを移動させることとしても良い。これは、煙幕や光で画面が見にくくなっている時間が一定以上連続した場合に、敵キャラクターの移動の制限を緩和するものである。
【0126】
敵キャラクターの移動の制限を緩和するためには、たとえば、ステップS307において採用されるNPCの行動アルゴリズムに、さらに、以下のような行動形式を追加すれば良い。
(1)視線方向から離れる方向に移動する。
(2)視点位置から離れる方向に移動する。
(3)プレイヤーが操作する自キャラクターの背後に移動する。
(4)上記の処理を乱数で組み合わせる。
【0127】
そして、RAM 103の記憶部202に記憶される敵キャラクターの位置を、ステップS317で計算された移動先に更新する(ステップS318)。
【0128】
そして、パラメータ値αが所定の精度で0に等しくなったか否かを判定し(ステップS319)0に等しくなったら(ステップS319;Yes)、経過時間tに-1を代入して(ステップS320)、アイテムの使用期間を終了し、ステップS304に戻る。
【0129】
なお、他の手法としては、経過時間tが所定の上限時間より大きくなった場合にも同様に、t ← -1を実行して、アイテムの使用期間を終了することとしても良い。
【0130】
図4は、パラメータ値αによって調整の結果がどのように変化するかを示す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0131】
本図(a)は、アイテムがまだ使用されていない状況におけるものであり、画像401には、地面402、敵キャラクター403、敵キャラクター403が投擲した煙玉のアイテム404、自キャラクター405が描かれている。
【0132】
本図(b)は、本図(a)の後、アイテム404が使用された直後に画像バッファに生成された画像401の様子を示すものであり、煙玉のアイテム404が画像401には含まれていない。
【0133】
本図(c)は、α=1の場合の調整後の画像401の様子を示すものであり、これは、アイテム404が爆発した直後等に画面に表示される。本例では、(R,G,B)として白色を採用しているため、画像401全体が真っ白になっている。
【0134】
本図(d)は、0<α<1における調整後の画像401の様子を示すものであり、画像401は、白い靄がかかったようになっていて、コントラストが低下している。したがって、敵キャラクター403の姿もはっきりとは見えない。このため、本図では符号を付していない。なお、本図(d)は、本図(c)に比べればコントラストが高い表示例であり、敵キャラクター403の姿もいくぶん見えなくはないが、本図(d)と本図(c)の間のコントラストを採用したり、爆発直後は本図(c)とし、次第に本図(d)のようなコントラストの低下した状態に至るようにしても良い。
【0135】
本図(e)は、本図(c)や本図(d)のような状態が続いた後に、α=0となった状態を示すものであり、敵キャラクター403の位置が大きく変化していることが、ユーザにもはっきりわかる表示例となっている。
【0136】
このように、本実施形態によれば、当該キャラクターがプレイヤーから見えない期間についてキャラクターの移動速度の上限による制約を緩和するため、ゲームの難易度を適切に調整しながら、プレイヤーに不自然さを感じさせないようにすることができる。
【0137】
本実施形態では、キャラクターの移動速度そのものの上限を切り換えることで、キャラクターの移動可能範囲の広狭を切り替えることとしているが、その他の態様を採用することもできる。
【0138】
たとえば、1つのアイテムを使用した場合、画面のコントラストが低くなったときにキャラクターが1回だけ瞬間移動(「ワープ」と呼ばれることもある。)できるものとする手法である。画面のコントラストが低い間に瞬間移動がなされるため、不自然な移動をキャラクターがしている、との印象をプレイヤーに与えることはない。
【0139】
瞬間移動の移動先は、上記(1)〜(4)で示したものも含め、ゲームのルール等によって適宜変更が可能である。たとえば、現在のゲーム場面における任意の場所からランダムに選択することとしたり、自キャラクター405の背後など、敵キャラクター403にとって有利となる場所としたり、自キャラクター405から見えにくい場所とする等の手法が考えられる。
【0140】
1回だけ瞬間移動ができるとする場合の、瞬間移動のタイミングについては、パラメータ値αが所定の閾値未満になった瞬間としても良い。また、パラメータ値αと時刻tを監視することで、パラメータ値αが所定の閾値以上になっていた時間長を計測することが可能であるから、この時間長が長くなればなるほど、瞬間移動できる範囲を広くすることとしても良い。
【0141】
なお、複数回の瞬間移動は1回の瞬間移動と同等と考えることができるため、本実施形態では、1つのアイテムに対して可能な瞬間移動の回数を1回としているが、この回数制限を設けずに、コントラストが所定の閾値よりも低い間は何回でも移動が可能であることとしても良い。
【0142】
本実施形態によれば、アイテムを使用した際に、一時的に敵キャラクター403の振舞いを自キャラクター405よりも有利にすることができるため、プレイヤーに対しては当該振舞いを不自然に感じさせずに、ゲームの難易度を変化させて、プレイヤーの興味を惹くことができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0143】
以上説明したように、本発明によれば、キャラクターの特殊な移動をプレイヤーに不自然に感じさせないのに好適なゲーム装置、ゲーム制御方法、ならびに、これらをコンピュータにて実現するプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】プログラムを実行することにより、本発明のゲーム装置の機能を果たす典型的な情報処理装置の概要構成を示す模式図である。
【図2】本実施形態に係るゲーム装置の概要構成を示す説明図である。
【図3】本実施形態にて実行されるゲーム制御処理の制御の流れを示すフローチャートである。
【図4】本実施形態にて生成・調整された画像の様子を示す説明図である。
【符号の説明】
【0145】
100 情報処理装置
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 インターフェイス
105 コントローラ
106 外部メモリ
107 画像処理部
108 DVD−ROMドライブ
109 NIC
110 音声処理部
111 マイク
201 ゲーム装置
202 記憶部
203 生成部
204 調整部
205 表示部
206 位置更新部
207 使用状況更新部
401 画像
402 地面
403 敵キャラクター
404 アイテム
405 自キャラクター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想空間に配置されるキャラクターの位置を、記憶する記憶部、
当該キャラクターを含む当該仮想空間を表す画像を生成する生成部、
所定の使用条件が満たされると、所定の使用期間の間、前記生成された画像のコントラストを低下させ、そうでない場合、前記生成された画像のコントラストを維持して、前記生成された画像のコントラストを調整する調整部、
当該所定の使用期間である場合の当該キャラクターの移動可能範囲が、当該所定の使用期間でない場合の当該キャラクターの移動可能範囲よりも広くなるように設定して、前記記憶部に記憶される当該キャラクターの位置を更新する位置更新部、
前記コントラストを調整された画像を表示する表示部
を備えることを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
請求項1に記載のゲーム装置であって、
前記記憶部は、当該仮想空間に配置されるアイテムの使用状況をさらに記憶し、
前記所定の使用条件が満たされるためには、少なくとも、前記記憶されたアイテムの使用状況が未使用であることを要し、
前記位置更新部は、当該所定の使用期間であるか否かにより、当該キャラクターの位置の単位時間あたりの変化に所定の上限を設けるか否かを切り替えて、当該キャラクターの移動可能範囲を設定し、
当該所定の使用期間の間に、前記記憶部に記憶される当該アイテムの使用状況を使用済に更新する使用状況更新部
をさらに備えることを特徴とするゲーム装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のゲーム装置であって、
前記記憶部は、当該仮想空間に配置される視点の位置および視線の方向、当該仮想空間における当該アイテムの位置をさらに記憶し、
前記生成部は、当該仮想空間を、当該視点から当該視線の方向に見た画像を生成し、
前記調整部は、当該未使用のアイテムについて当該所定の使用条件が満たされると、当該視点の一致と当該未使用のアイテムとの距離、ならびに、当該視線の方向と当該視点から当該未使用のアイテムへの方向とのなす角を計算し、当該距離ならびに当該角が小さくなればなるほど、当該所定の使用期間を長くし、当該コントラストの低下の度合を大きくする
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項4】
請求項3に記載のゲーム装置であって、
前記位置更新部は、当該キャラクターの位置の単位時間あたりの変化に所定の上限を設けるか否かを切り換えるのを、「当該所定の使用期間であるか否か」によるのにかえて、「当該コントラストの低下の度合が所定の閾値以上であるか否か」によるものとする
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載のゲーム装置であって、
前記生成部は、当該仮想空間に配置される当該キャラクターと、当該仮想空間に配置される当該アイテムのうち使用状況が未使用のアイテムと、を、当該視点から当該視線の方向に見た画像を生成する
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項6】
仮想空間に配置されるキャラクターの位置を、記憶する記憶部、生成部、調整部、位置更新部、表示部を有するゲーム装置を制御するゲーム制御方法であって、
前記生成部が、当該キャラクターを含む当該仮想空間を表す画像を生成する生成工程、
所定の使用条件が満たされると、前記調整部が、所定の使用期間の間、前記生成された画像のコントラストを低下させ、そうでない場合、前記生成された画像のコントラストを維持して、前記生成された画像のコントラストを調整する調整工程、
前記位置更新部が、当該所定の使用期間である場合の当該キャラクターの移動可能範囲が、当該所定の使用期間でない場合の当該キャラクターの移動可能範囲よりも広くなるように設定して、前記記憶部に記憶される当該キャラクターの位置を更新する位置更新工程、
前記表示部が、前記コントラストを調整された画像を表示する表示工程
を備えることを特徴とするゲーム制御方法。
【請求項7】
コンピュータを、
仮想空間に配置されるキャラクターの位置を、記憶する記憶部、
当該キャラクターを含む当該仮想空間を表す画像を生成する生成部、
所定の使用条件が満たされると、所定の使用期間の間、前記生成された画像のコントラストを低下させ、そうでない場合、前記生成された画像のコントラストを維持して、前記生成された画像のコントラストを調整する調整部、
当該所定の使用期間である場合の当該キャラクターの移動可能範囲が、当該所定の使用期間でない場合の当該キャラクターの移動可能範囲よりも広くなるように設定して、前記記憶部に記憶される当該キャラクターの位置を更新する位置更新部、
前記コントラストを調整された画像を表示する表示部
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−119176(P2008−119176A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−305033(P2006−305033)
【出願日】平成18年11月10日(2006.11.10)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】