説明

ゲーム装置

【課題】 コントローラに設けられたセンサの出力信号を積分してコントローラの方向を求めるゲーム装置において、コントローラの方向の算出結果が時間経過に伴って不正確になるのを防止する技術的手段を提供する。
【解決手段】 本体部1およびコントローラ2は、コントローラ2が本体部1の方向を向いているときに限って一方が放射した音を他方が受音する音の指向性伝送を成立させるスピーカまたはマイクを各々具備する。コントローラ2は、本体部1およびコントローラ2間において音の指向性伝送が成立したときに、ジャイロセンサ22により得られる方向角度θを、本体部1の方向に対応した基準角度0に補正する制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ゲームを進行させる本体部と、本体部に制御情報を送信するコントローラからなるゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のゲーム装置として、加速度センサ等のセンサをコントローラに設け、このセンサによって検出されるコントローラの動きを示す情報を本体部に送り、ゲームの進行の制御に利用するものが提案されている。例えば、特許文献1は、ドライブゲームを楽しむためのゲームコントローラに関するものであるが、この特許文献1に開示のゲームコントローラは、ゲーム装置本体と別体をなし、ユーザが自由に操舵するハンドル型のゲームコントローラである。このゲームコントローラには、加速度センサが設けられており、この加速度センサが検出する加速度に基づいて、ハンドルであるゲームコントローラの操舵角が求められ、ゲームの進行の制御に用いられるようになっている。
【特許文献1】特開2002−224444号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述した加速度センサ等のセンサを用いたコントローラでは、センサの出力信号を積分することによりコントローラの方向を示す情報(特許文献1の場合は操舵角)を得ている。従って、コントローラの方向を示す情報を正確に得るためには、コントローラが基準となる方向を向いている状態において、センサの出力信号の積分値を初期化する必要がある。しかし、このような初期化を行ったとしても、加速度センサ等のセンサにはドリフトがあるため、初期化後の時間経過に伴ってセンサの出力信号の積分値にドリフトに基づく誤差が累積し、方向を示す情報が次第に不正確なものになってゆくという問題があった。
【0004】
この発明は、以上説明した事情に鑑みてなされたものであり、コントローラに設けられたセンサの出力信号を積分してコントローラの方向を求めるゲーム装置において、コントローラの方向の算出結果が時間経過に伴って不正確になるのを防止する技術的手段を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、ゲームを進行させる本体部と、前記本体部に制御情報を送信するコントローラとを具備するゲーム装置において、前記コントローラは、角速度を検出する角速度検出手段と、前記角速度検出手段によって検出される角速度を積分することにより前記本体部の方向に対する前記コントローラの方向の傾きを示す方向角度を算出する積分器とを有する方向検出部を具備し、前記本体部および前記コントローラは、前記コントローラが前記本体部の方向を向いているときに一方が放射した音を他方が受音する音の指向性伝送を成立させるスピーカまたはマイクを各々具備し、前記本体部および前記コントローラ間において前記音の指向性伝送が成立したときに、前記コントローラの方向検出部により得られる方向角度を、前記本体部の方向に対応した基準角度に補正する制御を行う方向補正制御手段を前記本体部または前記コントローラが具備することを特徴とするゲーム装置を提供する。
かかるゲーム装置によれば、方向補正制御手段は、コントローラが本体部の方向を向いており、本体部およびコントローラ間において音の指向性伝送が行われたときに、コントローラの方向検出部が出力する方向角度を、本体部の方向に対応した基準角度に補正する制御を行う。従って、コントローラが本体部の方向を向く度に、方向角度の補正が行われ、時間経過に伴って方向角度が不正確になるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態を説明する。
図1および図2は、この発明の一実施形態であるゲーム装置の構成を示すブロック図であり、図1は特に同ゲーム装置の本体部1の構成の詳細を示すブロック図、図2は特に同ゲーム装置のコントローラ2の構成の詳細を示すブロック図である。ここで、本体部1は、ゲームを進行させる装置であり、コントローラ2は、ゲームの進行に関する制御情報を本体部1に送信する装置である。
【0007】
本実施形態によるゲーム装置の主要な特徴は次の点にある。
a.本体部1の方向に対するコントローラ2の方向の傾きを示す方向角度をジャイロセンサ22に測定させ、ゲームの進行の制御に利用するとともに、コントローラ2が本体部1の方向を向き、本体部1およびコントローラ2間の音の指向性伝送が成立したときに、ジャイロセンサ22により測定されるコントローラ2の方向角度を補正するようにした点
b.本体部1およびコントローラ2間において音信号の授受を行わせ、音信号の往復時間の測定結果に基づいて、本体部1およびコントローラ2間の距離を求め、ゲームの進行の制御に利用するようにした点
c.本体部1およびコントローラ2間の通信における情報の担い手として、通信相手へ送る情報パターンにスペクトラム拡散変調を施した音信号を用いるようにした点
【0008】
上記特徴aに相当する機能をゲーム装置に設けた理由は、既に「発明が解決しようとする課題」の項において述べた通りである。
【0009】
上記特徴bに相当する機能をゲーム装置に設けた理由は、次の通りである。まず、ゲームの進行に関して多彩な制御を行うためには、コントローラの動きを詳細に求める必要がある。これまでに提案されているゲーム装置として、例えばコントローラに赤外線送信装置を設け、このコントローラの赤外線送信装置が送信する赤外線を部屋の各所に設けられた赤外線受信装置により受信し、コントローラの位置を特定するもの等があった。しかし、このような赤外線送信装置および赤外線受信装置を用いると、ゲーム装置が高価なものになってしまう。そこで、本実施形態では、音信号の送受信手段という安価な手段により本体部1およびコントローラ2間の距離を求めるようにしている。上述したコントローラ2の方向に加えて、本体部1およびコントローラ2間の距離を求めることができれば、ゲームの進行に関して多彩な制御が可能になる。
【0010】
このような観点から捉えると、本実施形態によるゲーム装置は、ゲームを進行させる本体部1と、この本体部1に制御情報を送信するコントローラ2とを具備するゲーム装置において、本体部1は、無指向性スピーカにより距離測定用音信号を送信し、コントローラ2は、無指向性マイクにより距離測定用音信号を受信して、受信報告音信号を無指向性スピーカにより送信し、本体部1は、無指向性マイクにより受信報告音信号を受信し、距離測定用音信号を送信してから受信報告音信号を受信するまでの時間に基づいて、本体部1およびコントローラ2間の距離を算出することを特徴とするゲーム装置であると言える。
【0011】
上記特徴cに相当する機能をゲーム装置に設けた理由は、次の通りである。本実施形態では、ジャイロセンサ22により測定されるコントローラ2の方向角度の補正の契機を得るために、本体部1およびコントローラ2間で音信号の授受が行われ、本体部1およびコントローラ2間の距離の測定のために本体部1およびコントローラ2間で音信号の授受が行われる。それに加えて、本実施形態では、本体部1およびコントローラ2間の情報交換のために音信号の授受が行われる。このようにすることで、音信号の送受信のみにより、ゲームの進行の制御に用いるパラメータ(ここではコントローラ2の方向角度や本体部1およびコントローラ2間の距離)を得るための各種の測定のみならず、ゲームの進行の制御のための情報交換までをも賄うことが可能になり、本体部1およびコントローラ2間の情報交換のための他の種類の無線通信装置を設ける必要がなくなり、ゲーム装置を安価なものにすることが可能になる。しかし、このように音信号を多用した場合において、音信号のスペクトラムが特定の帯域に集中していると、耳障りな騒音の原因となる可能性がある。そこで、本体部1およびコントローラ2間の通信における情報の担い手として、通信相手へ送る情報パターンにスペクトラム拡散変調を施した音信号を採用し、このような騒音の発生を回避しているのである。
【0012】
このような観点から捉えると、本実施形態によるゲーム装置は、ゲームを進行させる本体部1と、この本体部1に制御情報を送信するコントローラ2とを具備するゲーム装置において、本体部1およびコントローラ2の一方は、通信相手宛ての情報パターンにスペクトラム拡散変調を施した音信号をスピーカにより送信するスペクトラム拡散送信処理部を具備し、本体部1およびコントローラ2の他方は、スペクトラム拡散変調の施された音信号をマイクを介して受信し、この音信号から通信相手から送られた情報パターンを復調するスペクトラム拡散受信処理部を具備することを特徴とするゲーム装置であると言える。
【0013】
本実施形態では、本体部1およびコントローラ2間において、双方向の音信号の通信を行わせるため、本体部1およびコントローラ2の両方に、スペクトラム拡散送信処理部とスペクトラム拡散受信処理部が設けられている。しかし、例えばコントローラ2から本体部1へ一方向の音信号の伝送を行わせるだけでよい場合には、コントローラ2にスペクトラム拡散送信処理部を設け、本体部1にスペクトラム拡散受信処理部を設けるだけでよい。
以下、本実施形態によるゲーム装置の構成の詳細について説明する。
【0014】
図1に示すように、本体部1は、プロセッサ10と、外部記憶装置11と、メモリ部12と、音信号送受信部13と、信号処理部14と、I/F(インタフェース)15とを有している。プロセッサ10は、本体部1全体を制御する装置である。外部記憶装置11は、例えばDVD(Digital Versatile Disk)等の記録媒体を収容し、プロセッサ10による制御の下、この記録媒体に記録されたゲーム用アプリケーションプログラムを読み出す装置である。メモリ部12は、プロセッサ10が実行する各種の制御プログラムを記憶したROMと、プロセッサ10がワークエリアとして使用するRAMとを含む。プロセッサ10は、このメモリ部12のROM内の制御プログラムおよび外部記憶装置11の記録媒体内のゲーム用アプリケーションプログラムをメモリ部12のRAM内にロードして実行し、ゲーム用アプリケーションプログラムに従ってゲームを進行させる。
【0015】
音信号送受信部13は、コントローラ2との間で音信号の送受信を行うための装置であり、無指向性スピーカ131と無指向性マイク132とを有する。信号処理部14は、スペクトラム拡散送信処理部141と、スペクトラム拡散受信処理部142とを有する。ここで、スペクトラム拡散送信処理部141は、プロセッサ10から与えられるコントローラ2宛ての情報パターンにスペクトラム拡散変調処理を施してオーディオ帯域の信号(以下、単に音信号という)を生成し、この音信号を無指向性スピーカ131から放射する装置である。また、スペクトラム拡散受信処理部142は、コントローラ2が放射するスペクトラム拡散変調処理の施された音信号を無指向性マイク132を介して受信し、この音信号にスペクトラム拡散復調処理を施し、スペクトラム拡散変調処理前の情報パターンを復元してプロセッサ10に引き渡す装置である。
【0016】
I/F15は、プロセッサ10と本体部1の外部のモニタ3との間の情報の授受の制御を行う装置である。ここで、モニタ3は、例えば家庭用のテレビジョン受像機であり、画像を表示する機能と音声を再生する機能を有している。プロセッサ10は、I/F15を介してゲームの展開を示す画像データや音声データをモニタ3に送り、その表示および音としての再生を行わせる。また、プロセッサ10は、機能選択メニュー等、ユーザに伝えるべき情報がある場合に、I/F15を介して、その情報をモニタ3に送り、画像として表示させる。
【0017】
メモリ部12のROMに記憶され、プロセッサ10により実行される制御プログラムとして、コントローラ2との間の情報の授受やコントローラ2に関する情報を取得する処理の制御のための制御プログラムがある。図1には、プロセッサ10を示すボックスの中には、この制御プログラムに従ってプロセッサ10が実行する処理の一部である距離取得処理101と方向取得処理102が示されている。ここで、距離取得処理101は、本体部1およびコントローラ2間の距離、より厳密には本体部1の無指向性スピーカ131とコントローラ2の無指向性マイク(図2参照)との間の距離Dを求める処理である。また、方向取得処理102は、本体部1の無指向性スピーカ131とコントローラ2の指向性マイク(図2参照)とを結ぶ仮想直線を基準としたコントローラ2の傾きを示す方向角度θを求める処理である。距離取得処理101の実行により取得された距離Dと、方向取得処理102の実行により取得された方向角度θは、ゲーム用アプリケーションプログラムに引き渡され、ゲームの進行の制御に用いられる。
【0018】
図2に示すように、コントローラ2は、プロセッサ20と、操作部21と、ジャイロセンサ22と、メモリ部23と、音信号送受信部24と、信号処理部25とを有している。プロセッサ20は、コントローラ2全体を制御する装置である。操作部21は、コントローラ2に配備された押ボタン等の操作子の集合体である。ジャイロセンサ22は、コントローラ2と本体部1とを結ぶ仮想直線に対するコントローラ2の方向の傾きを示す方向角度θを検出する方向検出部としての役割を果たす装置であり、コントローラ2の角速度を検出する角速度検出センサと、この角速度検出センサによって検出される角速度を積分することにより方向角度θを算出する積分器とを有する。メモリ部23は、プロセッサ20が実行する各種の制御プログラムを記憶したROMと、プロセッサ20がワークエリアとして使用するRAMとを含む。プロセッサ20は、このメモリ部23のROM内の制御プログラムをメモリ部23のRAM内にロードして実行し、コントローラ2の各部の制御を行う。
【0019】
音信号送受信部24は、本体部1との間で音信号の送受信を行うための装置であり、無指向性スピーカ241と、無指向性マイク242と、指向性マイク243とを有する。ここで、指向性マイク243は、コントローラ2の所定の軸の方角から到来する音のみを十分な音量で受音する指向性パターンを有している。本実施形態において、この指向性マイク243と本体部1の無指向性スピーカ131は、コントローラ2が本体部1の方向を向いているときに限って一方が放射した音を他方が受音する「音の指向性伝送」を成立させる役割を果たすものである。
【0020】
信号処理部25は、スペクトラム拡散送信処理部251と、スペクトラム拡散受信処理部252および253とを有する。ここで、スペクトラム拡散送信処理部251は、プロセッサ20から与えられる本体部1宛ての情報パターンにスペクトラム拡散変調処理を施し、このスペクトラム拡散処理により得られた信号を無指向性スピーカ241から音信号として放射させる装置である。また、スペクトラム拡散受信処理部252および253は、コントローラ2が放射するスペクトラム拡散処理の施された音信号を無指向性マイク242および指向性マイク243を各々介して受信し、この受信信号にスペクトラム拡散復調処理を施し、スペクトラム拡散処理前の情報パターンを復元してプロセッサ20に各々引き渡す装置である。
【0021】
メモリ部23のROMに記憶され、プロセッサ20により実行される制御プログラムとして、本体部1との間の情報の授受やコントローラ2に関する情報を取得する処理を制御する制御プログラムがある。図2には、プロセッサ20を示すボックスの中には、この制御プログラムに従ってプロセッサ20が実行する処理の一部である測定補助処理201と方向補正処理202と制御情報送信処理203が示されている。ここで、測定補助処理201は、距離測定用音信号が本体部1の無指向性スピーカ131から放射され、この距離測定用音信号が無指向性マイク242により受信された場合に、受信報告音信号を無指向性スピーカ241から送信させる制御を行う処理である。また、方向補正処理202は、本体部1の無指向性スピーカ131から送信された音信号が指向性マイク243により受信されたとき、方向検出部たるジャイロセンサ22により得られる方向角度を補正する制御、より具体的にはジャイロセンサ22の積分器が保持している方向角度θを本体部1の方向に対応した基準角度0に初期化する制御を行う処理である。制御情報送信処理203は、ジャイロセンサ22が出力する方向角度θや操作部21の操作情報等、コントローラ2において発生する各種の情報パターン(情報を示すビット列)を収集し、収集した情報パターンを示す音信号を無指向性スピーカ241から送信させる処理である。
【0022】
図3は、本体部1のスペクトラム拡散送信処理部141およびコントローラ2のスペクトラム拡散送信処理部251の構成例を示すブロック図である。この例におけるスペクトラム拡散送信処理部は、直接拡散方式によるスペクトラム拡散変調処理を実行するものである。図3において、PN発生器42は、クロック発信機41から与えられるクロックに同期し、+1、−1の羅列であるPNパターンを出力する。拡散変調部43は、このPNパターンとプロセッサ10または20から与えられる情報パターンとの積を出力する。増幅部44は、この拡散変調部43の出力信号を増幅して無指向性スピーカ131または241に与え、PNパターンによるスペクトラム拡散変調処理の施された音信号を無指向性スピーカ131または241から送信させる。
【0023】
図4は、本体部1のスペクトラム拡散受信処理部142およびコントローラ2のスペクトラム拡散受信処理部252、253の構成例を示すブロック図である。増幅部51は、無指向性マイク132、242または指向性マイク243から出力される音信号を増幅し、拡散復調部52および同期部53に与える。同期部53は、PN発生器531と時間弁別制御回路532とを有する。プロセッサ10または20は、受信対象である音信号のスペクトラム拡散変調処理に用いられているものと同じPNパターンをPN発生器531に発生させる。時間弁別制御回路532は、PN発生器531が出力するPNパターンと増幅部51から出力される音信号との相互相関値が最大となるようにPN発生器531が出力するPNパターンの位相を制御する。拡散復調部52は、PN発生器531が出力するPNパターンと増幅部51から出力される音信号とを乗算することにより、音信号からスペクトラム拡散変調前の情報パターンを復元し、プロセッサ10または20に出力する。
【0024】
本実施形態において、PNパターンは2種類用意されている。コントローラ2のスペクトラム拡散送信処理部251は、本体部1のプロセッサ10宛ての情報パターンに対し、第1のPNパターンを用いたスペクトラム拡散変調処理を施し、その結果得られる音信号を無指向性スピーカ241から放射させる。そして、本体部1のスペクトラム拡散受信処理部142は、無指向性マイク132により受信される音信号に対し、第1のPNパターンを用いたスペクトラム拡散復調処理を施し、情報パターンを復元してプロセッサ10に出力する。一方、本体部1のスペクトラム拡散送信処理部141は、コントローラ2のプロセッサ20宛ての情報パターンに対し、第2のPNパターンを用いたスペクトラム拡散変調処理を施し、その結果得られる音信号を無指向性スピーカ131から放射させる。そして、コントローラ2のスペクトラム拡散受信処理部252および253は、無指向性マイク242および指向性マイク243により各々受信される音信号に対し、第2のPNパターンを用いたスペクトラム拡散復調処理を各々施し、情報パターンを復元してプロセッサ20に出力する。
【0025】
ここで、本体部1宛ての情報パターンに第1のPNパターンを用いたスペクトラム拡散変調処理が施され、その結果得られる音信号がコントローラ2の無指向性スピーカ241から放射される場合において、この音信号がゲーム装置の設置された部屋の壁により反射され、無指向性マイク242または指向性マイク243により受信されることもあり得る。しかし、無指向性マイク242および指向性マイク243の後段のスペクトラム拡散受信処理部252および253は、第2のPNパターンを用いたスペクトラム拡散復調処理を行うので、この無指向性スピーカ241からの音信号から情報パターンが復元されることはない。本体部1の無指向性スピーカ131から放射され、部屋の壁による反射を経て、無指向性マイク132により受信される音信号についても同様である。
【0026】
次に本実施形態の動作を説明する。図5は、本実施形態におけるゲーム装置の動作のうち方向角度θの補正に関連した動作を示すフローチャートである。ゲーム装置において、本体部1のプロセッサ10がゲーム用アプリケーションプログラムの実行を開始するとき、制御プログラムは、方向取得処理102の一部である初期化処理をプロセッサ10に実行させる。この初期化処理において、プロセッサ10は、コントローラ2を本体部1に向けてコントローラ2の初期設定ボタンを押下すべき旨のメッセージをモニタ3に表示させる。このメッセージを確認したユーザがコントローラ2を本体部1に向けて操作部21の初期設定ボタンを押下すると、コントローラ2のプロセッサ20は、方向補正処理202を実行し、ジャイロセンサ22の積分器に保持された方向角度θを0に初期化する(ステップS101およびS102)。また、その際に、プロセッサ20は、制御情報送信処理203を実行し、方向角度θの初期化を完了した旨の初期化完了報告の情報パターンをスペクトラム拡散送信処理部251に与える。これにより、この情報パターンにスペクトラム拡散変調処理を施した音信号が無指向性スピーカ241から送信される。
【0027】
本体部1では、この音信号が無指向性マイク132により受信され、スペクトラム拡散受信処理部142により音信号から初期化完了報告の情報パターンが復元される。プロセッサ10は、初期化完了報告の情報パターンをスペクトラム拡散受信処理部142から受け取ると、ゲーム用アプリケーションプログラムに従ってゲームを進行させる(ステップS103)。
【0028】
コントローラ2では、プロセッサ20がステップS104〜S106の処理を繰り返す。まず、ステップS104において、プロセッサ20は制御情報送信処理203を実行し、ジャイロセンサ22が出力する方向角度θを示すビット列の前にそのビット列が方向角度θを示すものであることを示す識別コードを付加して情報パターンを生成し、この情報パターンをスペクトラム拡散送信処理部251に与える。これにより、この情報パターンにスペクトラム拡散変調処理を施した音信号が無指向性スピーカ241から送信される。
【0029】
本体部1では、この音信号が無指向性マイク132により受信され、スペクトラム拡散受信処理部142により音信号から識別コードと方向角度θの情報パターンが復元される。プロセッサ10は、この情報パターンをスペクトラム拡散受信処理部142から受け取ると、方向取得処理102を実行し、情報パターン中の方向角度θをゲーム用アプリケーションプログラムに引き渡す。
【0030】
次にステップS105において、プロセッサ20は、指向性マイク243が本体部1の無指向性スピーカ131からの音信号を受信したか否かを判断する。この判断結果が「NO」である場合、ステップS106に進み、プロセッサ20は、操作部21の操作によりゲーム終了の指令が与えられたか否かを判断する。この判断結果が「NO」である場合、プロセッサ20は、処理をステップS104に戻し、ステップS104〜S106を繰り返す。従って、指向性マイク243が本体部1の無指向性スピーカ131からの音信号を受信せず、かつ、操作部21の操作によりゲーム終了の指令が与えられない場合には、ステップS104〜S106が繰り返され、ジャイロセンサ22からの方向角度θの取得および本体部1への方向角度θの送信が繰り返される。
【0031】
コントローラ2が本体部1の方向を向き、本体部1の無指向性スピーカ131から送信された音信号がコントローラ2の指向性マイク243によって受信されると、ステップS105の判断結果が「YES」となる。この結果、コントローラ2におけるプロセッサ20は、方向補正処理202を実行し、ジャイロセンサ22の積分器が保持している方向角度θを0に初期化する(ステップS107)。そして、プロセッサ20は処理をステップS104に戻す。このように本実施形態におけるコントローラ2では、本体部1の無指向性スピーカ131から送信される音信号が指向性マイク243によって受信される度に、ジャイロセンサ22の積分器が保持している方向角度θを0に初期化する処理が行われる。
【0032】
そして、ユーザがコントローラ2の操作部21を操作してゲームの終了の指令を与えると、コントローラ2のプロセッサ20は、このゲーム終了の指令を検知し、ゲーム終了の指令を示す識別コードを情報パターンとしてスペクトラム拡散送信処理部251へ与え、このゲーム終了の指令を示す識別コードにスペクトラム拡散変調処理を施した音信号を無指向性スピーカ241から送信させ、処理を終了する(ステップS106)。本体部1では、この音信号が無指向性マイク132により受信され、ゲーム終了の指令を示す識別コードが音信号から復調される。この復調された識別コードに従い、プロサッサ10は、ゲーム用アプリケーションプログラムの実行を終了する。
以上が本実施形態における方向角度θの補正に関連した動作の詳細である。
【0033】
図6(a)は、本実施形態において本体部1のプロセッサ10が実行する距離取得処理101の処理内容を示すフローチャート、図6(b)はコントローラ2のプロセッサ20が実行する測定補助処理201の処理内容を示すフローチャートである。また、図7は、本実施形態における本体部1およびコントローラ2間の距離測定のための音信号の授受の様子を示すタイムチャートである。以下、これらの図を参照し、本実施形態におけるゲーム装置の動作のうち距離Dの測定に関連した動作を説明する。
【0034】
図6(a)に示すように、本体部1のプロセッサ10は、距離取得処理101において、まず、音信号送信処理を実行する(ステップS201)。この音信号送信処理では、送信対象の音信号が距離測定用音信号であることを示す識別コードからなる情報パターンをスペクトラム拡散送信処理部141に引き渡す。これにより、この識別コードにスペクトラム拡散変調処理を施した距離測定用音信号が無指向性スピーカ131から送信される。この距離測定用音信号を無指向性スピーカ131から送信させたプロセッサ10は、その後、距離測定用音信号を受信した旨の受信報告音信号がコントローラ2から受信されたか否かの判断を繰り返す(ステップS202)。
【0035】
一方、コントローラ2のプロセッサ20は、図6(b)に示すように、測定補助処理201において、本体部1側から距離測定用音信号を受信したか否かの判断を繰り返している(ステップS301)。そして、距離測定用音信号が無指向性マイク242により受信され、スペクトラム拡散受信処理部252により距離測定用音信号の識別コードが復元されると、この距離測定用音信号の識別コードがプロセッサ20に引き渡される。この結果、ステップS301の判断結果が「YES」となり、プロセッサ20は、内蔵のタイマに所定時間の計時を開始させる(ステップS302)。次に、プロセッサ20は、距離測定用音信号の受信報告であることを示す識別コードを情報パターンとしてスペクトラム拡散送信処理部251に引き渡し、この受信報告の識別コードにスペクトラム拡散変調処理を施した受信報告音信号を無指向性スピーカ241から送信させる(ステップS303)。そして、プロセッサ20は、内蔵のタイマによる計時が終了したか否かの判断を繰り返す(ステップS304)。
【0036】
そして、タイマによる計時が終了し、タイムアップとなると、ステップS304の判断結果が「YES」となる。これにより、プロセッサ20は、タイマをリセットする(ステップS305)。次にプロセッサ20は、操作部21の操作によりゲーム終了の指令が与えられたか否かを判断する(ステップS306)。この判断結果が「NO」である場合、プロセッサ20は、処理をステップS301に戻し、本体部1側から距離測定用音信号を受信したか否かの判断を繰り返す。
【0037】
ところで、コントローラ2が距離測定用音信号を受信し、プロセッサ20が内蔵のタイマに計時を開始させた直後、図7に示すように、後続の距離測定用音信号がコントローラ2に到達する場合がある。しかし、内蔵のタイマによる計時が行われている期間は、ステップS304の判断結果が「NO」となって、ステップS301〜S303の処理が実行されないため、コントローラ2の無指向性マイク242によって距離測定用音信号が受信されたとしても、その距離測定用音信号は無視される。このように、距離測定用音信号が最初に受信された後、一定期間に亙って後続の距離測定用音信号を無視するようにしているのは、次の理由によるものである。すなわち、最初に受信された距離測定用音信号は本体部1からコントローラ2に直接届いた直接波であって、本体部1およびコントローラ2間の距離Dの測定に用いるのに適しているのに対し、後続の距離測定用音信号は、本体部1から送信された後、部屋の壁による反射を経てコントローラ2に届いた反射波であり、距離Dの測定に用いるのに適さないからである。
【0038】
さて、既に述べたように、距離測定用音信号を無指向性スピーカ131から送信させたプロセッサ10は、図6(a)に示すように、距離測定用音信号を受信した旨の受信報告音信号がコントローラ2から受信されたか否かの判断を繰り返している(ステップS202)。コントローラ2から受信報告音信号が受信されると、このステップS202の判断結果が「YES」となる。これによりプロセッサ10は、内蔵のタイマに所定時間の計時を開始させる(ステップS203)。次にプロセッサ10は、先に距離測定用音信号の送信を行ってから受信報告音信号の受信(ステップS202=「YES」)が確認されるまでの時間a(図7参照)に基づき、本体部1およびコントローラ2間の距離Dを算出する(ステップS204)。より具体的には、時間aからコントローラ2側での音信号の処理の所要時間を差し引いたものを音速により乗算することにより距離Dを算出する。この距離Dは、距離取得処理101からゲーム用アプリケーションプログラムに引き渡される。次にプロセッサ10は、距離測定用音信号を無指向性スピーカ131から送信させる(ステップS205)。そして、プロセッサ10は、その後、タイマによる計時が終了したか否かの判断を繰り返す(ステップS206)。
【0039】
そして、タイマによる計時が終了し、タイムアップとなると、ステップS206の判断結果が「YES」となる。これにより、プロセッサ10は、タイマをリセットする(ステップS207)。次にプロセッサ10は、コントローラ2からゲーム終了の指令が受信されたか否かを判断する(ステップS208)。この判断結果が「NO」である場合、プロセッサ10は、処理をステップS202に戻し、コントローラ2側から受信報告音信号を受信したか否かの判断を繰り返す。
【0040】
以上説明した本体部1側の処理において、本体部1が受信報告音信号を受信し、プロセッサ10が内蔵のタイマに計時を開始させた直後、図7に示すように、後続の受信報告音信号が本体部1に到達する場合がある。しかし、内蔵のタイマによる計時が行われている期間は、ステップS206の判断結果が「NO」となって、ステップS202〜S205の処理が実行されないため、本体部1の無指向性マイク132によって受信報告音信号が受信されたとしても、その受信報告音信号は無視される。これは、既に説明したコントローラ2側の処理と同様、コントローラ2側から受信される受信報告音信号のうち反射波を無視し、直接波のみに基づいて距離測定を行うためである。
【0041】
ユーザがコントローラ2の操作部21を操作して、ゲームの終了の指令を与えると、コントローラ2では、ステップS306の判断結果が「YES」となる。これによりプロセッサ20は、ゲーム終了の指令を示す識別コードを情報パターンとしてスペクトラム拡散送信処理部251へ与え、このゲーム終了の指令を示す識別コードにスペクトラム拡散変調処理を施した音信号を無指向性スピーカ241から送信させ、測定補助処理201を終了する。本体部1では、この音信号が無指向性マイク132により受信され、ゲーム終了の指令を示す識別コードが音信号から復調される。これにより、ステップS208の判断結果が「YES」となり、プロサッサ10は、距離取得処理101を終了するとともに、ゲーム用アプリケーションプログラムの実行を終了する。
【0042】
以上説明した距離Dの測定に関連した動作において、本体部1およびコントローラ2におけるタイマの計時時間は、例えば次のようにして定められる。まず、本体部1およびコントローラ2間の距離Dが1m〜4mの範囲であり、音速が340m/secであるとすると、図7に示す往復時間aは、2×1/340≒0.006sec〜2×4/340≒0.024secの範囲となる。この場合、コントローラ2が距離測定用音信号を受信してから次に再び距離測定用音信号を受信するまでに最短でも0.006secは掛かるので、コントローラ2ではタイマの計時時間を0.006secとし、距離測定用音信号を受信してから0.006secの間は後続の距離測定用音信号を反射波とみなして無視する。本体部1側も同様であり、タイマの計時時間を0.006secとし、受信報告音信号を受信してから0.006secの間は後続の受信報告音信号を反射波とみなして無視する。このようにすることで、反射波の影響を回避して、音信号の往復時間aを求め、本体部1およびコントローラ2間の距離Dを正確に求めることができる。
【0043】
本実施形態において、コントローラ2は、本体部1からの距離測定用音信号を受信すると、直ちに受信報告音信号を送信し、本体部1は、コントローラ2からの受信報告音信号を受信すると、直ちに往復時間aを求めて距離Dを算出し、距離測定用音信号を送信した。このため、本体部1における距離測定用音信号の送信間隔、すなわち、距離Dの測定周期であるサンプリング周期は、本体部1およびコントローラ2間の音信号の往復時間aとなり、十分に短いサンプリング周期で距離Dの測定を行うことが可能になる。しかし、コントローラ2では、本体部1からの距離測定用音信号を受信した後、所定時間だけ待って受信報告音信号を送信するようにしてもよい。この場合、距離Dのサンプリング周期は長くなるが、タイマの計時時間を長くし、反射波の影響を確実に回避することができるという利点がある。
【0044】
以上説明したように、本実施形態によれば、本体部1の無指向性スピーカ131から放射される音信号がコントローラ2の指向性マイク243によって受信されたときに、コントローラ2においてジャイロセンサ22の積分器が保持する方向角度θを初期値に補正するようにしたので、時間経過に伴って方向角度θの算出結果が不正確になるのを防止し、正確な方向角度θを求めてゲームの進行の制御に用いることができる。
【0045】
また、本実施形態によれば、本体部1およびコントローラ2間で音信号を往復させ、その往復時間を測定するようにしたので、この往復時間の測定結果に基づいて本体部1およびコントローラ2間の距離Dを算出し、ゲームの進行の制御に用いることができる。
【0046】
また、本実施形態では、音信号を利用した距離Dの測定の際、コントローラ2側では、本体部1側からの距離測定用音信号が受信された場合、その後の所定時間内に受信される距離測定用音信号は反射波として無視し、本体部1側では、コントローラ2側からの受信報告音信号が受信された場合、その後の所定時間内に受信される受信報告音信号は反射波として無視するようにしたので、反射波の影響を回避し、直接音である音信号の往復時間を求め、距離Dを正確に算出することができる。
【0047】
また、本実施形態では、赤外線や電磁波などの無線送受信手段を利用することなく、音信号送受信部13および24を用いて本体部1およびコントローラ2間の通信を行うようにしたので、本体部1およびコントローラ2間の通信手段を安価にすることができる。
【0048】
また、本実施形態では、本体部1およびコントローラ2間の通信における情報の担い手として、情報パターンにスペクトラム拡散変調を施した音信号を採用したので、オーディオ帯域内の特定の帯域に音信号のスペクトラムが集中するのを避けて、音信号のスペクトラムをオーディオ帯域全体に拡散させ、耳障りな騒音を発生させることなく、本体部1およびコントローラ2間の音信号の授受を行うことができる。
【0049】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明には他にも実施形態があり得る。例えば次の通りである。
【0050】
(1)上記実施形態では、本体部1およびコントローラ2間において音の指向性伝送を行わせるために、コントローラ2に指向性マイク243を設けた。しかし、コントローラ2に指向性スピーカを設け、コントローラ2から本体部1への音の指向性伝送が行われたときに、コントローラ2の方向角度θの補正のための制御を行うようにしてもよい。図8および図9は各々その例を示すものである。
【0051】
図8に示す例において、コントローラ2に設けられた指向性スピーカ244は、常にコントローラ2から見て固定された方向に音信号を送信している。本体部1は、無指向性マイク132によりこの指向性スピーカ244からの音信号を受信すると、その受信報告としての音信号を無指向性スピーカ131により送信する。コントローラ2は、この受信報告としての音信号を無指向性マイク241により受信すると、ジャイロセンサ22(図1参照)の積分器が保持している方向角度θを基準角度0に初期化する。この態様においても、コントローラ2が本体部1の方向を向く毎に、コントローラ2の指向性スピーカ244からの音信号が本体部1の無指向性マイク132により受信され、コントローラ2において方向角度θの補正が行われる。従って、上記実施形態と同様な効果が得られる。
【0052】
図9に示す例においても、指向性スピーカ244は、常にコントローラ2から見て固定された方向に音信号を送信している。また、コントローラ2は、方向角度θを示す音信号を無指向性スピーカ241により定期的に送信している。そして、本体部1では無指向性マイク132により受信した音信号から方向角度θを求め、この方向角度θからオフセットαを減算する補正を行い、方向角度θ−αをゲームの進行の制御に利用している。そして、本体部1は、無指向性マイク132によりコントローラ2の指向性スピーカ244からの音信号を受信すると、その直後に無指向性マイク132により受信される音信号から求めた方向角度θ(例えばθxとする)をオフセットαとし、以後は、無指向性マイク132により受信される音信号から求めた方向角度θからオフセットα=θxを減算した方向角度θ−α=θ−θxをゲームの進行の制御に利用する。この態様においても、上記実施形態と同様な効果が得られる。
【0053】
(2)上記実施形態では、距離Dの測定を行うサンプル周期を、音信号が本体部1およびコントローラ2間を往復する時間aよりも短くすることができない。そこで、本体部1は、無指向性スピーカ131により複数種類の距離測定用音信号を巡回的に送信し、コントローラ2は、無指向性マイク242により複数種類の距離測定用音信号を順次受信するのに応じて、複数種類の距離測定用音信号に各々対応した複数種類の受信報告音信号を無指向性スピーカ241により順次送信し、本体部1は、無指向性マイク132により複数種類の受信報告音信号を順次受信し、各種類の受信報告音信号を受信する毎に、当該受信方向音信号に対応した種類の距離測定用音信号を送信してから当該受信報告音信号を受信するまでの時間に基づいて、本体部1およびコントローラ2間の距離Dを算出するようにしてもよい。
【0054】
この態様によれば、本体部1およびコントローラ2間の音信号の往復時間aよりも短い時間間隔で、例えば互い異なる情報パターンにスペクトラム拡散変調処理を施して生成した距離測定用音信号A、B、Cを順次送信した場合において、コントローラ2は、距離測定用音信号Aを受信した後、これに対応した受信報告信号A’を送信し、それから例えば時間aの間は、反射波である可能性のある距離測定用音信号Aのみを無視すればよい。また、コントローラ2は、距離測定用音信号Bを受信した後、これに対応した受信報告信号B’を送信し、それから例えば時間aの間は、反射波である可能性のある距離測定用音信号Bのみを無視すればよい。また、コントローラ2は、距離測定用音信号Cを受信した後、これに対応した受信報告信号C’を送信し、それから例えば時間aの間は、反射波である可能性のある距離測定用音信号Cのみを無視すればよい。
【0055】
一方、本体部1は、受信報告音信号A’を受信した場合、先行する距離測定用音信号Aの送信から受信報告信号A’の受信までの時間に基づいて距離Dを算出するとともに距離測定用音信号Aを送信し、それから例えば時間aの間は、反射波である可能性のある受信方向音信号A’のみを無視すればよい。また、本体部1は、受信報告音信号B’を受信した場合、先行する距離測定用音信号Bの送信から受信報告信号B’の受信までの時間に基づいて距離Dを算出するとともに距離測定用音信号Bを送信し、それから例えば時間aの間は、反射波である可能性のある受信方向音信号B’のみを無視すればよい。また、本体部1は、受信報告音信号C’を受信した場合、先行する距離測定用音信号Cの送信から受信報告信号C’の受信までの時間に基づいて距離Dを算出するとともに距離測定用音信号Cを送信し、それから例えば時間aの間は、反射波である可能性のある受信方向音信号C’のみを無視すればよい。この態様によれば、反射波の影響を回避しつつ、音信号の往復時間aよりも短い時間間隔で本体部1およびコントローラ2間の距離Dを測定することができる。なお、互いに異なった複数種類の距離測定用音信号および受信報告音信号を得るための方法としては、例えば音信号をスペクトラム拡散変調処理により得る際の情報パターンを変える方法の他、PNパターンを変える方法を用いてもよい。
【0056】
(3)上記実施形態において、音信号送受信部13および24の他に、本体部1およびコントローラ2間の無線通信手段を追加し、コントローラ2の方向角度θの補正と、本体部1およびコントローラ2間の距離Dの測定のためにのみ音信号送受信部13および24を利用し、それ以外の本体部1およびコントローラ2間の通信は追加した無線通信手段により行うようにしてもよい。
【0057】
(4)上記実施形態では、スペクトラム拡散変調処理が施された音信号を本体部1およびコントローラ2間で送受信させ、コントローラ2の方向角度θの補正と、本体部1およびコントローラ2間の距離Dの測定を行ったが、他の変調方法による変調処理が施された音信号あるいは何も変調処理が施されていない音を本体部1およびコントローラ2間で送受信させ、コントローラ2の方向角度θの補正と、本体部1およびコントローラ2間の距離Dの測定を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】この発明の一実施形態であるゲーム装置の構成を示すブロック図であり、特に同ゲーム装置の本体部1の構成を詳細に示すブロック図である。
【図2】同ゲーム装置の構成を示すブロック図であり、特に同ゲーム装置のコントローラ2の構成を詳細に示すブロック図である。
【図3】同実施形態において用いられているスペクトラム拡散送信処理部141、251の構成例を示すブロック図である。
【図4】同実施形態において用いられているスペクトラム拡散受信処理部142、252、253の構成例を示すブロック図である。
【図5】同ゲーム装置の動作のうち方向角度θの補正に関連した動作を示すフローチャートである。
【図6】(a)は、同ゲーム装置の本体部1のプロセッサ10が実行する距離取得処理101の処理内容を示すフローチャート、(b)はコントローラ2のプロセッサ20が実行する測定補助処理201の処理内容を示すフローチャートである。
【図7】同ゲーム装置における本体部1およびコントローラ2間の距離測定のための音信号の授受の様子を示すタイムチャートである。
【図8】同ゲーム装置において本体部1およびコントローラ2間において音の指向性伝送を成立させるための他の構成例を示す図である。
【図9】同ゲーム装置において本体部1およびコントローラ2間において音の指向性伝送を成立させるための他の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
1……本体部、2……コントローラ、10,20……プロセッサ、11……外部記憶装置、12,23……メモリ部、13,24……音信号送受信部、14,25……信号処理部、131,241……無指向性スピーカ、132,242……無指向性マイク、243……指向性マイク、141,251……スペクトラム拡散送信処理部、142,252,253……スペクトラム拡散受信処理部、101……距離取得処理、102……方向取得処理、201……測定補助処理、202……方向補正処理、203……制御情報送信処理。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲームを進行させる本体部と、前記本体部に制御情報を送信するコントローラとを具備するゲーム装置において、
前記コントローラは、角速度を検出する角速度検出手段と、前記角速度検出手段によって検出される角速度を積分することにより前記本体部の方向に対する前記コントローラの方向の傾きを示す方向角度を算出する積分器とを有する方向検出部を具備し、
前記本体部および前記コントローラは、前記コントローラが前記本体部の方向を向いているときに限って一方が放射した音を他方が受音する音の指向性伝送を成立させるスピーカまたはマイクを各々具備し、
前記本体部および前記コントローラ間において前記音の指向性伝送が成立したときに、前記コントローラの方向検出部により得られる方向角度を、前記本体部の方向に対応した基準角度に補正する制御を行う方向補正制御手段を前記本体部または前記コントローラが具備することを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
前記本体部および前記コントローラの各々は、無指向性スピーカおよび無指向性マイクを具備し、
前記本体部は、無指向性スピーカにより距離測定用音信号を送信し、
前記コントローラは、無指向性マイクにより前記距離測定用音信号を受信して、受信報告音信号を無指向性スピーカにより送信し、
前記本体部は、無指向性マイクにより前記受信報告音信号を受信し、前記距離測定用音信号を送信してから前記受信報告音信号を受信するまでの時間に基づいて、前記本体部および前記コントローラ間の距離を算出することを特徴とする請求項1に記載のゲーム装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記無指向性マイクにより前記距離測定用音信号を受信してから所定時間が経過するまでの間に前記無指向性マイクにより受信される距離測定用音信号を無視し、
前記本体部は、前記無指向性マイクにより前記受信報告音信号を受信してから所定時間が経過するまでの間に前記無指向性マイクにより受信される受信報告音信号を無視することを特徴とする請求項2に記載のゲーム装置。
【請求項4】
前記本体部は、無指向性スピーカにより複数種類の距離測定用音信号を巡回的に送信し、
前記コントローラは、無指向性マイクにより前記複数種類の距離測定用音信号を順次受信するのに応じて、前記複数種類の距離測定用音信号に各々対応した複数種類の受信報告音信号を無指向性スピーカにより順次送信し、
前記本体部は、無指向性マイクにより前記複数種類の受信報告音信号を順次受信し、各種類の受信報告音信号を受信する毎に、当該受信報告音信号に対応した種類の距離測定用音信号を送信してから当該受信報告音信号を受信するまでの時間に基づいて、前記本体部および前記コントローラ間の距離を算出することを特徴とする請求項2または3に記載のゲーム装置。
【請求項5】
前記本体部および前記コントローラの一方は、通信相手宛ての情報パターンにスペクトラム拡散変調を施した音信号をスピーカにより送信するスペクトラム拡散送信処理部を具備し、前記本体部および前記コントローラの他方は、スペクトラム拡散変調の施された音信号をマイクを介して受信し、この音信号から通信相手から送られた情報パターンを復調するスペクトラム拡散受信処理部を具備することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1の請求項に記載のゲーム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−101035(P2009−101035A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−277124(P2007−277124)
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】