説明

コア−シェルポリマー粒子

【課題】乳化凝集トナー組成物に含まれる乳化凝集トナー粒子に配合することが可能なナノサイズ粒子を提供する。
【解決手段】ナノサイズ粒子は、結晶性ポリマーを含むコア部分と、コアの結晶性ポリマーとは混和しない少なくとも1種のモノマーから誘導されるポリマーを含むシェル部分と、を有する。このナノサイズ粒子は、約50℃〜約140℃の融点と約30℃〜約80℃の再結晶点とを有し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノサイズ粒子、乳化凝集トナー粒子を製造するためのプロセス、乳化凝集トナー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
商業的に実施可能な方法で、官能化されたナノサイズポリマー構造を作るための現行のプロセスは、手間がかかるものである。典型的には、ナノサイズポリマー粒子の調製は収率が低く、また大量の界面活性剤を必要としている。さらに、成長時間(development time)、材料コスト、および界面活性剤の除去コストが原因で、慣用されている調製法は不十分、かつ不経済なものとなっている。
【0003】
上述のプロセスの例においては、ナノサイズポリマー粒子を調製するのに、界面活性剤対モノマーの比が約1:1となるような大量の界面活性剤を使用した、フリーラジカル重合プロセスによって実施している。開始プロセスの間に、ラジカルがミセル(約5nm)の中に入り込むとナノサイズ粒子が形成される。しかしながら、重合プロセスの間には、ミセルの形成や破壊が起きることが多い。このことが、そのような重合の固形分含量に限界をもたらす。事実、それらのプロセスでは一般に、高い仕込み量を用いても、固形分含量は10%未満となり、その結果、ナノサイズ粒子製品の収量が低下し、粒径がわずか約50nm未満となってしまう。
【0004】
最近のいくつかの研究において、スターブフィード(starve fed)ラテックス重合プロセスを使用してナノサイズラテックス粒子を調製することにより、最終的な界面活性剤対モノマーの比を約1:15とすることができると報告されている。これは、スターブフィードプロセスの間は常に、実際の界面活性剤対モノマーの比を約1:1に維持することにより達成される。しかしながら、これらの改良された方法を用いてもなお、それらの粒子は、重合が進行するにつれて制御不能に成長する傾向があるが、その理由は、ミセルの形成が活発かつ継続的であり、過剰の界面活性剤が大きな粒子を安定化させるからである。
【0005】
同時係属中の米国特許出願第11/613,736号(発明者:ケオシュケリアン(Keoshkerian)、出願日2006年12月20日)には、スターブフィードフリーラジカル重合法を使用して、水分散性ポリマー骨格の上に官能性ポリマー粒子を形成させるプロセスが開示されている。
【0006】
【特許文献1】米国特許第3,944,493号明細書
【特許文献2】米国特許第4,007,293号明細書
【特許文献3】米国特許第4,079,014号明細書
【特許文献4】米国特許第4,394,430号明細書
【特許文献5】米国特許第4,560,635号明細書
【特許文献6】米国特許第3,590,000号明細書
【特許文献7】米国特許第3,720,617号明細書
【特許文献8】米国特許第3,655,374号明細書
【特許文献9】米国特許第3,983,045号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、乳化/凝集官能性(emulsion/aggregation functionality)を有し、トナー粒子として使用することが可能でありながらも、なお結晶性ポリマーの超低温溶融性を示すようなシェルポリマーを成長させるためのテンプレートとして使用できるナノサイズ粒子が、依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
いくつかの実施態様において、本明細書に開示されているのは、コア部分およびシェル部分を有するナノサイズ粒子であって、そのコア部分が結晶性ポリマーを含み、そのシェル部分が、コアの結晶性ポリマーとは混和しない少なくとも1種のモノマーから誘導されるポリマーを含み、そしてそのナノサイズ粒子が、約50℃〜約140℃の融点および約30℃〜約80℃の再結晶点を有する。
【0009】
さらなる実施態様においては、乳化凝集トナー粒子を製造するためのプロセスが開示されていて、それに含まれるのは、ナノサイズ粒子、凝固剤(coagulating agent)、および任意成分の着色剤を混合する工程、そのナノサイズ粒子を凝集させて、約3〜約20μmのサイズのトナー粒子を形成させる工程、そのトナー粒子の凝集を停止させる工程、およびそのトナー粒子を合一させる工程、であって、ここで、そのナノサイズ粒子がコア部分およびシェル部分を含み、そのコア部分が結晶性ポリマーを含み、そのシェル部分が、そのコアの結晶性ポリマーとは混和しない少なくとも1種のモノマーから誘導されるポリマーを含む。
【0010】
さらなる実施態様においては、バインダ樹脂および場合によっては着色剤を含むトナー粒子を含む乳化凝集トナー組成物が開示されていて、ここで、そのバインダ樹脂が、コア部分およびシェル部分を含むナノサイズ粒子を含み、そのコア部分が結晶性ポリマーを含み、そのシェル部分が、そのコアの結晶性ポリマーとは混和しない少なくとも1種のモノマーから誘導されるポリマーを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、結晶性ポリマーを含むコア部分と、シェル部分の結晶性ポリマーとは混和しないポリマーを含むシェル部分とを有する、ナノサイズ粒子に関する。本明細書に開示されるナノサイズ粒子は、結晶性ポリマーの超低温溶融性を保持している。本明細書に開示されるナノサイズ粒子は、乳化凝集(emulsion aggregation)トナー粒子を生成させるのに使用することができる。
【0012】
本明細書に開示されているのは、凝集/合一官能性(aggregation/coalescence functionality)と超低温溶融性とを有するナノサイズ粒子である。ここで開示されているナノサイズ粒子は、乳化凝集(EA)トナーにおいて使用することができる。いくつかの実施態様においては、本明細書に開示されるナノサイズ粒子は、水分散性結晶性ポリマーからなるコアと、そのコアの上に形成された、たとえば1つのモノマーから誘導される、そのコアの結晶性ポリマーとは混和しないポリマーからなるシェルとを含む。
【0013】
平均粒径を表す場合の「ナノサイズ」という用語は、約1ナノメートル〜約100ナノメートルの平均粒径を意味しているが、このことは当業者のよく理解するところである。たとえば、多くのナノサイズ粒子は、約3nm〜約50nmまたは約5nm〜約20nmである。しかしながら、実施態様は「ナノサイズ」粒子に限定される訳ではなく、実際には、約1ナノメートル〜約1マイクロメートルのナノ範囲(ただし1マイクロメートル未満)の各種の粒径が含まれていてもよい。
【0014】
同様にして、平均粒径を表す場合の「ミクロンサイズ」という用語は、たとえば約1マイクロメートル(ミクロン)〜約100マイクロメートルの平均粒径を意味する。たとえば、ミクロンサイズ粒子は、約1マイクロメートル〜約100マイクロメートル、たとえば約3マイクロメートル〜約75マイクロメートルまたは約5マイクロメートル〜約50マイクロメートルの平均粒径を有する。本明細書においては、そのようなミクロンサイズ粒子をトナー粒子として使用してもよい。
【0015】
本明細書に記載のナノサイズコア−シェル粒子は超低温溶融性を示す。超低温溶融(性を示す)とは、たとえば、本明細書に開示されている粒子が、少なくとも約70℃、たとえば約70℃〜約105℃または約75℃〜約95℃の融点と、少なくとも約30℃、たとえば約30℃〜約65℃または約35℃〜約60℃の再結晶点とを有することを指している。
【0016】
本明細書に記載の粒子のコア部分は、本明細書に記載の粒子の約10重量パーセント〜約90重量パーセント、たとえば約45重量パーセント〜約85重量パーセントまたは約50重量パーセント〜約75重量パーセントであってよい。本明細書に記載の粒子のシェル部分は、本明細書に記載の粒子の約10重量パーセント〜約90重量パーセント、たとえば約13重量パーセント〜約55重量パーセントまたは約15重量パーセント〜約50重量パーセントであってよい。
【0017】
コアを形成させるために使用することが可能な適切なポリマーの例としては、結晶性ポリマー、たとえば、ポリエステル系モノマーから形成された結晶性ポリマー、ワックスポリマー、ポリオレフィン、ポリケトン、ポリアミドなどが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。
【0018】
このプロセスおよび本発明の粒子のコア部分のために選択されるポリエステル系ポリマーを例示すると、以下のような各種のポリエステルが挙げられる:ポリエチレン−テレフタレート、ポリプロピレン−テレフタレート、ポリブチレン−テレフタレート、ポリペンチレン−テレフタレート、ポリヘキサレン−テレフタレート、ポリヘプタデン−テレフタレート、ポリオクタレン−テレフタレート、ポリエチレン−セバケート、ポリプロピレンセバケート、ポリブチレン−セバケート、ポリエチレン−アジペート、ポリプロピレン−アジペート、ポリブチレン−アジペート、ポリペンチレン−アジペート、ポリヘキサレン−アジペート、ポリヘプタデン−アジペート、ポリオクタレン−アジペート、ポリエチレン−グルタレート、ポリプロピレン−グルタレート、ポリブチレン−グルタレート、ポリペンチレン−グルタレート、ポリヘキサレン−グルタレート、ポリヘプタデン−グルタレート、ポリオクタレン−グルタレート、ポリエチレン−ピメレート、ポリプロピレン−ピメレート、ポリブチレン−ピメレート、ポリペンチレン−ピメレート、ポリヘキサレン−ピメレート、ポリヘプタデン−ピメレート、ポリ(プロポキシル化ビスフェノール−フマレート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノール−スクシネート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノール−アジペート)、ポリ(プロポキシル化ビスフェノール−グルタレート)、スパー(SPAR)(商標)(ディキシー・ケミカルズ(Dixie Chemicals))、ベッコゾル(BECKOSOL)(商標)(ライヒホールド・ケミカル・インコーポレーテッド(Reichhold Chemical Inc))、アラコート(ARAKOTE)(商標)(チバ−ガイギー・コーポレーション(Ciba-Geigy Corporation))、ヘトロン(HETRON)(商標)(アッシュランド・ケミカル(Ashland Chemical))、パラプレックス(PARAPLEX)(商標)(ローム・アンド・ハース(Rohm & Hass))、ポリライト(POLYLITE)(商標)(ライヒホールド・ケミカル・インコーポレーテッド(Reichhold Chemical Inc))、プラストール(PLASTHALL)(商標)(ローム・アンド・ハース(Rohm & Hass))、サイガル(CYGAL)(商標)(アメリカン・シアナミド(American Cyanamide))、アームコ(ARMCO)(商標)(アームコ・コンポジッツ(Armco Composites))、アーポール(ARPOL)(商標)(アッシュランド・ケミカル(Ashland Chemical))、セラネックス(CELANEX)(商標)(セラニーズ・エンジ(Celanese Eng))、ライナイト(RYNITE)(商標)(デュポン(DuPont))、スタイポール(STYPOL)(商標)(フリーマン・ケミカル・コーポレーション(Freeman Chemical Corporation))、それらの混合物など。特に好適なポリエステル系樹脂は結晶性ポリエステル樹脂である。
【0019】
本明細書に開示されている粒子のコアとして選択されるポリマー系樹脂のその他の例としては、ワックスもしくはポリオレフィン、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリペンテン、ポリデセン、ポリドデセン、ポリテトラデセン、ポリヘキサデセン、ポリオクタデセン、およびポリシクロデセン、ポリオレフィンコポリマー、ポリオレフィンの混合物、バイモーダル分子量ポリオレフィン、官能性ポリオレフィン、酸性ポリオレフィン、ヒドロキシルポリオレフィン、分岐状ポリオレフィン、たとえば、日本国の三洋化成(Sanyo Chemicals of Japan)からビスコール(VISCOL)550P(商標)およびビスコール(VISCOL)660P(商標)として入手可能なもの、三井(Mitsui)「ハイ−ワックス(Hi-wax)」NP055およびNP105、またはワックスブレンド物たとえば、マイクロパウダーズ(MicroPowders)、マイクロプロ(Micropro)−440および440wなどが挙げられる。
【0020】
本明細書で用いるのに適した結晶性ポリマーは、約70℃未満、たとえば約55℃〜約70℃または約60℃〜約68℃の融点と、約55℃未満、たとえば約30℃〜約50℃または約35℃〜約45℃の再結晶点とを有しているのがよい。
【0021】
結晶性ポリマーに親水性を与え、液状媒体たとえば水中で分散することを可能とするためには、そのポリマーに親水性官能基、たとえばカルボキシル基、スルホン酸、アミン、アミン塩、ホスホン酸塩などが含まれているのがよい。シェルがそのコア部分の官能基のマスキングをしないと、形成された粒子が水を吸収し、そのために、トナー配合物の中で使用したときに高湿度環境下での性質が低下する可能性がある。したがって、本明細書に記載のシェル部分にコア部分の官能基の性質をマスキングさせることにより、トナー粒子として、およびEAトナー形成プロセスにおいて使用するのに好適な粒子を形成させる。別な方法として、本明細書に記載の粒子のシェル部分にも親水性官能基を含ませてもよい。シェル部分のために好適な親水性官能基としては、上述のものが挙げられる。別の言い方をすれば、コア部分および/またはシェル部分に親水性官能基が含まれていてよい。
【0022】
いくつかの実施態様においては、シェルを形成させるのに適したポリマーとしては、たとえば、スチレン、メタクリレート、アミド、アミン、アクリレートたとえばメタクリレート、ブチルアクリレート、ベータ−カルボキシエチルアクリレートなど、ブタジエン、イソプレン、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリロニトリル、ベンゼンたとえばジビニルベンゼンなどのいずれか1種または複数のモノマーから誘導されるポリマーが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。具体的な実施態様においては、結晶性ポリオレフィンがマレイン化オレフィン、たとえばセラマー(CERAMER)(ベイカー・ヒューズ(Baker Hughes))であってもよい。公知の連鎖移動剤、たとえば、ドデカンチオールまたは四臭化炭素を使用して、ポリマーの分子量特性を調節することも可能である。モノマーからポリマーを形成させるのに適切な、シェル部分を形成させるのに適切な各種の方法を、制限無く使用することができる。
【0023】
所望により、上述のポリマーの2種以上の混合物を使用することも可能である。
【0024】
いくつかの実施態様においては、本発明の開示のナノサイズコア−シェル粒子は、スターブフィードフリーラジカル重合法(starve fe(e)d free radical polymerization)を用いて、コア部分の上にポリマーシェルを調製する2ステッププロセスによって形成させる。第1のステップには一般に、液状媒体中において、界面活性剤の存在下または非存在下に結晶性ポリマー粒子(コア部分またはテンプレートと呼ぶこともある)の分散体を形成または作製させることが含まれる。第2のステップには一般に、スターブフィードフリーラジカル重合法を用いてコア部分の上にポリマーシェルを形成させることが含まれる。それらのプロセスによって、ナノメートルサイズからミクロンサイズの範囲の平均粒径を有するポリマー粒子が得られる。
【0025】
そのプロセスの第1のステップにおいては、界面活性剤の存在下または非存在下に、液状媒体中でポリマー粒子の分散体を形成させたり、そうでなければ別の方法で作製させたりする。この分散体が、それに続くスターブフィードフリーラジカル重合法における粒子を成長させるための、シードラテックスとして機能する。この分散体は、たとえば、界面活性剤の存在下または非存在下に、液状媒体中に上述のような各種適切な結晶性ポリマーを分散させることによって形成させることも可能であるが、ここでそのポリマーを自己消散させる(self-dissipate)かあるいは分散させて、その液状媒体の中でナノサイズ粒子を形成させることができる。液状媒体中で結晶性ポリマー粒子の分散体を加熱すると、結晶性ポリマーがナノサイズ粒子を形成するので、それをテンプレートとして使用して、シェルポリマーを成長させる。
【0026】
コアには各種好適な親水性官能基が含まれていてよく、それを使用して、液状媒体中で結晶性ポリマー粒子の分散体を形成または作製させることができる。好適な親水性基としては、たとえばカルボキシル基、スルホン酸、アミン、アミン塩、ホスホン酸塩などが挙げられる。いくつかの実施態様においては、カルボキシル基が使用されるが、その理由は、それを使用すれば結晶性ポリマー分散体が容易に得られるからである。
【0027】
いくつかの実施態様においては、テンプレートを形成するナノサイズ粒子または、ナノサイズ粒子のコア部分は、約1nm〜約100nm、たとえば約2nm〜約40nmまたは約3nm〜約15nmの平均粒径を有する。次いで、凝集合一プロセスにおいてナノサイズ粒子を使用して、1μmよりも大きいトナーサイズの粒子を形成させることができる。
【0028】
結晶性ポリマー粒子の分散体を形成または作製させるには各種の適切な液状媒体を使用することができるが、ただし、ポリマーは、液状物の中でポリマーを安定化させることが可能な官能基を有している。したがって、たとえば適切な液状媒体としては、水たとえば脱イオン水、その他の無機溶媒、有機溶媒、アイソパル(ISOPAR)などが挙げられる。たとえば、アイソパル(ISOPAR)の中においてポリマーを安定化させるブロック状またはランダムな非極性基を有するポリメチルメタクリレートを使用することができる。いくつかの実施態様においては、水が使用されるが、それは、水を使用すれば各種の親水性ポリマーの分散体を容易に形成させることが可能であるからである。
【0029】
ポリマー粒子の分散体を形成または作製させるには、各種適切な界面活性剤を使用してよい。したがって、いくつかの実施態様においては、たとえば水溶液の約0.01重量パーセント〜約15重量パーセント、好ましくは約0.5重量パーセント〜約5重量パーセントの量で、界面活性剤を使用するのがよい。いくつかの実施態様においては、ダウファックス(DOWFAX)を使用するが、その理由は、それを使用すればポリマー分散体が容易に得られるからである。言うまでもないことであるが、所望により各種の適切な界面活性剤を使用することができる。
【0030】
したがって、ポリマー骨格を形成させるために使用することが可能な適切な界面活性剤の例としては、ノニオン性界面活性剤たとえば、ジアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノールで、ローヌ−プーラン(Rhone-Poulenc)から入手可能な、イゲパール(IGEPAL)CA−210(商標)、イゲパール(IGEPAL)CA−520(商標)、イゲパール(IGEPAL)CA−720(商標)、イゲパール(IGEPAL)CO−890(商標)、イゲパール(IGEPAL)CO−720(商標)、イゲパール(IGEPAL)CO−290(商標)、イゲパール(IGEPAL)CO−210(商標)、アンタロックス(ANTAROX)890(商標)およびアンタロックス(ANTAROX)897(商標)などが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。アニオン性界面活性剤の例としては、とりわけ、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルナフタレン硫酸ナトリウム、ジアルキルベンゼンアルキル、硫酸塩およびスルホン酸、アジピン酸、アルドリッチ(Aldrich)から入手可能なもの、ネオゲン(NEOGEN)R(商標)、ネオゲン(NEOGEN)SC(商標)、花王から入手可能なもの、ダウファックス(DOWFAX)2Al(ヘキサデシルジフェニルオキシドジスルホネート)などが挙げられる。たとえば、いくつかの実施態様における、ノニオン性またはアニオン性界面活性剤の有効濃度は、水溶液の約0.01重量パーセント〜約15重量パーセント、または約0.5重量パーセント〜約5重量パーセントである。
【0031】
液状媒体と結晶性ポリマーは通常、所望の分散体を得るのに適した量で、分散体またはラテックスの中に存在させる。たとえば、いくつかの実施態様においては、ポリマーは分散体中に、分散体の約1重量パーセント〜約75重量パーセント、たとえば約5重量パーセント〜約50パーセントまたは約10重量パーセント〜約25重量パーセントの量で存在させてよい。
【0032】
液状媒体の中でポリマーが加熱されると、それが自己凝集して、ナノサイズの安定な粒子が形成され、それがコアテンプレートを形成することとなって、次いでその上にスターブフィードラジカル重合法によりシェルポリマーを形成させることが可能となる。いくつかの実施態様においては、ポリマー分散体またはラテックスを撹拌し、加熱して、約30℃〜約110℃、たとえば約45℃〜約95℃または約60℃〜約90℃の温度とする。
【0033】
結晶性ポリマー粒子の成長は、各種適切な方法で実施することができるが、そのような方法としてはたとえば、フリーラジカル重合法、たとえばスターブフィードフリーラジカル重合法がある。いくつかの実施態様においてはスターブフィード重合法が望ましいが、その理由は、この重合法では、粒径の成長および仕込み濃度をより正確に調節することが可能となるからである。粒子のサイズは、モノマーの添加によって調節することができる。具体的には、添加するモノマーの量によって粒径が調節され、この場合、モノマーが添加されるとそれがコアの上で重合され、さらにモノマーを添加するとシェルの上での重合が継続される。
【0034】
シェル部分を形成させるためには、さらなる重合を開始させる。重合を開始させるためには、適切な重合開始剤および適切なモノマーをポリマー分散体またはラテックスに添加する。
【0035】
モノマー添加の前、またはモノマーの添加の開始時のいずれかに、すべての重合開始剤を一度に添加するのが望ましい。しかしながら、時間をかけて重合開始剤を計量仕込みすることも可能である。いくつかの実施態様においては、各種の適切な重合開始剤を使用してよい。選択することが可能な、有用な任意成分のフリーラジカル重合開始剤としては、アゾタイプの重合開始剤たとえば、2−2'−アゾビス(ジメチル−バレロニトリル)、アゾビス(イソブチロニトリル)、アゾビス(シクロヘキサン−ニトリル)、アゾビス(メチル−ブチロニトリル)、それらの混合物など、ペルオキシド重合開始剤たとえば、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、イソプロピルペルオキシ−カーボネート、2,5−ジエンエチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイル−ペルオキシ)ヘキサン、ジ−tert−ブチルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジクロロベンゾイルペルオキシド、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、重硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、重硫酸ナトリウムなどの組合せ、およびそれらの混合物などが挙げられる。本発明の開示に基づけば、当業者であればその他の有用なフリーラジカル重合開始剤は容易に思いつくことであろう。重合開始剤の有効量は一般に、モノマーの約0.01重量パーセント〜約8重量パーセント、たとえばモノマーの約0.05重量パーセント〜約6重量パーセントまたは約0.1重量パーセント〜約5重量パーセントである。
【0036】
ポリマー粒子を成長させながら進行させるには、次いで所望の1種または複数のモノマーをポリマー分散体またはラテックスに添加する。たとえば、所望のポリマー粒子の性質、構造などが得られるように、具体的に1種または複数のモノマーを選択することができる。いくつかの実施態様においては、粒子を成長させるために、各種好適な1種または複数のモノマーを添加することができるが、ただし、それらはコアの結晶性ポリマー部分と混和性があってはならない。1種または複数のモノマーがコアの結晶性ポリマー部分と混和しないことが重要であるが、その理由は、そのようなモノマーであればコアに侵入することはなく、その粒子の中のどこかで重合するということがないからである。その代わりに、そのような1種または複数のモノマーは、コアの表面に存在して、所望のコア/シェル構造を与える。そのような好適なモノマーについては先に述べた。したがって、たとえば異なった1種または複数のモノマーを使用して、不均一な粒子化学構造を得てもよい。別な方法として、2種以上の異なったモノマーまたはモノマーの混合物を、ポリマー粒子が成長している間にうまく添加して、最終的なポリマー粒子がタマネギ状の外観を有するようにしてもよいが、その場合には、連続的に、異なったポリマーの同心的な層のシェルが形成される。
【0037】
さらに、粒子と混和しないモノマーを使用して、粒子のモルホロジーを設計してもよい。いくつかの実施態様においては、非混和性モノマーが、新しく形成されたポリマーからの相分離を示す。いくつかの実施態様においては、コア−シェルの配置が、モノマーと結晶性ポリマーとの親水性によって影響される。本発明の開示に基づけば、その他の変法も明らかであろう。
【0038】
結晶性ポリマー分散体またはラテックスに対して1種または複数のモノマーを添加することは、手動式、機械式、電子式、自動式などで、滴下によったり計量添加したりして実施することができる。いくつかの実施態様においては、滴下による添加が望ましいが、その理由は、そうすることによって、粒径の成長と重合時間をより正確に調節することが可能となるからである。さらに、滴下による添加は、スターブフィード重合プロセスを安定化させ、容易とするという利点を有している。それらの条件は、所望の粒子成長をさせるためには特に適している。言うまでもないことであるが、所望により、その他のモノマー添加方法もまた適している。
【0039】
ポリマー分散体またはラテックスへの1種または複数のモノマーの添加は、各種好適な時間をかけて実施することができる。たとえば、いくつかの実施態様においては、約1.5時間〜約5時間の時間、たとえば約2時間〜約4時間または約2.5時間〜約3.5時間の時間をかけてモノマーを添加することができる。いくつかの実施態様においては、この時間で好適な重合反応が得られるので、これらの時間が望ましい。しかしながら、添加時間は、所望される添加速度および方法、ならびに添加される1種または複数のモノマーの量に関連することは自明であろう。
【0040】
所望の粒径および構造を得るために、モノマー添加の際に、1種または複数のモノマーを各種適切な量で、結晶性ポリマー分散体またはラテックスに添加することができる。たとえば、いくつかの実施態様においては、モノマー溶液の液滴を段階的に加えて、所定の時間の間モノマー溶液の液滴が定常的に加えられるようにする。別な実施態様においては、約1mL〜約10mLの量のモノマー溶液を一時に添加することもできる。いくつかの実施態様においては、滴下による添加が望ましいが、その理由は、それによってスターブフィード重合を調節することが可能となるからである。言うまでもないことであるが、所望により、それぞれの工程で、各種の量のモノマー溶液を添加してよい。
【0041】
1種または複数のモノマーの添加は、各種好適な添加速度で結晶性ポリマー分散体またはラテックスに添加することができる。たとえば、いくつかの実施態様においては、添加する間、モノマーの添加速度が一定で、規則的である。別な実施態様においては、モノマーの添加を一定ではあるが不規則的にしたり、一定でなくかつ不規則的にしたりすることも可能である。いくつかの実施態様においては、添加速度を一定にするのが望ましいが、その理由は、それによってばらつきがなく、安定してポリマーを成長させることが可能となるからである。言うまでもないことであるが、所望により各種の添加速度を使用することができる。
【0042】
1種または複数のモノマーと結晶性ポリマー分散体またはラテックスとの反応は、各種適切な手段によって起こさせることができる。たとえば、いくつかの実施態様においては、モノマー溶液と結晶性ポリマー分散体を混合することにより、発熱的に反応を起こさせる。いくつかの実施態様においては、手動または自動の手段を用いて、加熱、振盪、撹拌、圧力調節、または触媒の添加により、反応を起こさせることも可能である。いくつかの実施態様においては、独立した、1または複数の発熱反応が望ましいが、その理由は、そうすることによって、調節された重合のための好適な環境が得られるからである。言うまでもないことであるが、所望により、反応に影響する各種の因子を加減することも可能である。
【0043】
必要とされるかあるいは所望により、1種または複数のモノマーとポリマー分散体またはラテックスとの反応を、各種適切な温度で実施することができ、また、外部加熱の存在下または非存在下で実施することができる。たとえば、1種または複数のモノマーと結晶性ポリマー分散体またはラテックスとの反応に際しては典型的には発熱が起きるが、その反応の際に、さらに加熱したりあるいは冷却したりすることも可能である。いくつかの実施態様においては、反応混合物をほぼ一定の温度に維持して、望ましい反応動力学が得られるようにするのが望ましい。たとえば、その反応混合物を、ほぼ室温(約25℃)〜約150℃たとえば約30℃〜約125℃、または約40℃〜約100℃たとえば約60℃〜約80℃の温度に維持することができる。いくつかの実施態様においては、反応速度を上げるために、加熱するのが望ましい。
【0044】
さらに、1種または複数のモノマーの添加が完了した後にも、ある時間さらなる加熱を行って、重合が高い転化率となるように支援することもできる。その加熱は、各種適切な温度、たとえば、1種または複数のモノマーの添加の間、反応温度を維持できるような温度で実施することができる。
【0045】
重合を進行させ、完了させるためには、その加熱時間の後で、モノマー−ポリマー分散体の反応を次いで場合によっては冷却する。その冷却は、連続的に実施するか、もしくはさらに加熱をしたり冷却速度を落としたりする時間を間にはさんで不連続的に実施してもよいし、また自然に行わせるかもしくはたとえば冷凍もしくはその他の手段によって機械的に実施してもよいし、または、適切なエクストラクション(extraction)に充分な程ゆっくりとポリマーが成長するのに必要なだけの長時間もしくは短時間だけ連続して実施することができる。たとえば、いくつかの実施態様においては、冷却を連続的に自然に行わせる。言うまでもないことであるが、所望により、各種の冷却方法や冷却装置が適している。
【0046】
当業者のよく理解するところであるが、1種または複数のモノマーから誘導されるポリマーがコア部分の表面上に残るように、すなわち、その1種または複数のモノマーから誘導されたポリマーがシェル部分を形成するようにするためには、その1種または複数のモノマーは、コア部分のポリマーとは混和性があってはならない。
【0047】
ポリマー粒子の成長とエクストラクションを完了させるために、その冷却時間の後に、場合によっては粒子を採取(harvest)することができる。官能化ポリマーを採取するための手段としては、たとえば、場合によっては、冷却したポリマー溶液を分離、乾燥、希釈、乳化、吸い上げ(siphoning)などをするための各種適切な、手動式、機械式、電子式、自動式手段を使用することができる。言うまでもないことであるが、所望により、エクストラクションを実施するための各種の方法、手段または装置を適切に使用することができる。別な方法として、いくつかの実施態様においては、コア−シェルポリマー粒子の分散体を、中間の分離工程なしで、直接次のプロセスにおいて使用することも可能である。
【0048】
上述のプロセスを使用して、ラテックスプロセスにおいて、商業目的で使用することが可能なスケールで、ナノサイズコア−シェルポリマー粒子を調製してもよい。具体的には、いくつかの実施態様においては、そのプロセスを使用して、本明細書に記載のような、ナノサイズからミクロンサイズまでの平均粒径を有するコア−シェルポリマー粒子を調製することができる。具体的には、そのコア−シェル粒子は、約1nm〜約500nm、たとえば約3nm〜約250nmまたは約5nm〜約100nmであってよい。さらに、本明細書に開示されている粒子は、コアシェルモルホロジーまたはタマネギ状のモルホロジーを有していてもよいが、後者は、フィード速度とモノマーのタイプを変化させるか、あるいはそのコアの結晶性ポリマー部分とは非混和性のモノマーを使用することによって得ることができる。
【0049】
さらなる実施態様においては、粒子をEAプロセスにかけて、着色剤を含むEAトナー粒子を形成させてもよい。生成したナノサイズ粒子を、トナーの出発バインダ樹脂としてEAトナープロセスに組み入れてもよい。そのような実施態様においては、EAプロセスの間に着色剤を添加して、生成するEAトナー粒子全体に存するようにしてもよい。
【0050】
本明細書で使用するとき、着色剤には、顔料、染料、染料混合物、顔料混合物、染料と顔料との混合物などが含まれる。着色剤は、本明細書に記載されているような粒子またはEAトナー粒子の、約2重量パーセント〜約18重量パーセントたとえば約3重量パーセント〜約15重量パーセントまたは約4重量パーセント〜約13重量パーセントの量で存在させる。
【0051】
好適な着色剤の例としては、たとえば以下のようなものが挙げられる:カーボンブラック状のリーガル(REGAL)330(登録商標)マグネタイト、たとえばモーベイ(Mobay)マグネタイトのMO8029(商標)、MO8060(商標);コロンビアン(Columbian)マグネタイト;マピコ・ブラックス(MAPICO BLACKS)(商標)および表面処理マグネタイト;ファイザー(Pfizer)マグネタイトCB4799(商標)、CB5300(商標)、CB5600(商標)、MCX6369(商標);バイエル(Bayer)マグネタイト、ベイフェロックス(BAYFERROX)8600(商標)、8610(商標);ノーザン・ピグメンツ(Northern Pigments)マグネタイト、NP−604(商標)、NP−608(商標);マグノックス(Magnox)マグネタイト、TMB−100(商標)、またはTMB−104(商標);など。着色顔料としては、シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、グリーン、ブラウン、ブルー、またはそれらの混合物から選択することができる。顔料の具体例としては以下のようなものが挙げられる:フタロシアニン、ヘリオゲンブルー(HELIOGEN BLUE)L6900(商標)、D6840(商標)、D7080(商標)、D7020(商標)、パイラム・オイル・ブルー(PYLAM OIL BLUE)(商標)、パイラム・オイル・イエロー(PYLAM OIL YELLOW)(商標)、ポール・ウーリッヒ・アンド・カンパニー・インコーポレーテッド(Paul Uhlich & Company, Inc.)から入手可能なピグメント・ブルー・1(PIGMENT BLUE 1(商標)、ピグメント・バイオレット・1(PIGMENT VIOLET 1)(商標)、ピグメント・レッド・48(PIGMENT RED 48)(商標)、レモン・クローム・イエロー・DCC1026(LEMON CHROME YELLOW DCC 1026)(商標)、E.D.トルイジン・レッド(E. D. TOLUIDINE RED)(商標)および、オンタリオ州トロント(Toronto, Ontario)のドミニオン・カラー・コーポレーション・リミテッド(Dominion Color Corporation, Ltd)から入手可能なボン・レッド・C(BON RED C)(商標)、ノバパーム・イエロー・FGL(NOVAPERM YELLOW FGL)(商標)、ヘキスト(Hoechst)からのホスタパーム・ピンク・E(HOSTAPERM PINK E)(商標)、およびデュポン社(E. I. DuPont de Nemours & Company)からのシンクアシア・マゼンタ(CINQUASIA MAGENTA)(商標)など。一般的に選択され得る着色剤は、ブラック、シアン、マゼンタ、またはイエロー、およびそれらの混合物である。マゼンタの例は、2,9−ジメチル−置換キナクリドンおよびアントラキノン染料で、カラー・インデックスにおいてCI60710、CI・ディスパースド・レッド15とされているもの、ジアゾ染料で、カラー・インデックスにおいてCI26050、CI・ソルベント・レッド19とされているものなどである。シアンの代表例としては、銅テトラ(オクタデシルスルホンアミド)フタロシアニン、x−銅フタロシアニン顔料で、カラー・インデックスにおいてCI74160、CI・ピグメント・ブルーとされているもの、およびアントラスレン・ブルーでカラー・インデックスにおいてCI69810、スペシャル・ブルーX−2137とされているものなどが挙げられる。イエローの代表例は、ジアリーリドイエロー3,3−ジクロロベンジデンアセトアセトアニリド、モノアゾ顔料でカラー・インデックスにおいてCI12700、CI・ソルベント・イエロー16とされているもの、ニトロフェニルアミンスルホンアミドで、カラー・インデックスにおいてフェロン・イエローSE/GLN、CI・ディスパースド・イエロー33、2,5−ジメトキシ−4−スルホンアニリドフェニルアゾ−4'−クロロ−2,5−ジメトキシアセトアセトアニリド、およびパーマネント・イエローFGLである。着色マグネタイト、たとえばマピコ・ブラック(MAPICO BLACK)(商標)とシアン成分の混合物も着色剤として選択することができる。その他公知の着色剤を選択することができるが、そのようなものとしては以下のものが挙げられる:レバニル・ブラック(Levanyl Black)A−SF(マイルス(Miles)、バイエル(Bayer))およびサンスパース・カーボン・ブラック(Sunsperse Carbon Black)LHD9303(サン・ケミカルズ(Sun Chemicals))、および着色染料たとえば、ネオペン・ブルー(Neopen Blue)(ビー・エー・エス・エフ(BASF))、スーダン・ブルー(Sudan Blue)OS(ビー・エー・エス・エフ(BASF))、ピー・ブイ・ファスト・ブルー(PV Fast Blue)B2G01(アメリカン・ヘキスト(American Hoechst))、サンスパース・ブルー(Sunsperse Blue)BHD6000(サン・ケミカルズ(Sun Chemicals))、イルガライト・ブルー(Irgalite Blue)BCA(チバ・ガイギー(Ciba-Geigy))、パリオゲン・ブルー(Paliogen Blue)6470(ビー・エー・エス・エフ(BASF))、スーダン・III(Sudan III)(マテソン(Matheson)、コールマン(Coleman)、ベル(Bell))、スーダン・II(Sudan II)(マテソン(Matheson)、コールマン(Coleman)、ベル(Bell))、スーダン・IV(Sudan IV)(マテソン(Matheson)、コールマン(Coleman)、ベル(Bell))、スーダン・オレンジ(Sudan Orange)G(アルドリッチ(Aldrich))、スーダン・オレンジ(Sudan Orange)220(ビー・エー・エス・エフ(BASF))、パリオゲン・オレンジ(Paliogen Orange)3040(ビー・エー・エス・エフ(BASF))、オルト・オレンジ(Ortho Orange)OR2673(ポール・ウーリッヒ(Paul Uhlich))、パリオゲン・イエロー(Paliogen Yellow)152、1560(ビー・エー・エス・エフ(BASF))、リソール・ファスト・イエロー(Lithol Fast Yellow)0991K(ビー・エー・エス・エフ(BASF))、パリオトール・イエロー(Paliotol Yellow)1840(ビー・エー・エス・エフ(BASF))、ネオペン・イエロー(Neopen Yellow)(ビー・エー・エス・エフ(BASF))、ノボパーム・イエロー(Novoperm Yellow)FG1(ヘキスト(Hoechst))、パーマネント・イエロー(Permanent Yellow)YE0305(ポール・ウーリッヒ(Paul Uhlich))、ルモゲン・イエロー(Lumogen Yellow)D0790(ビー・エー・エス・エフ(BASF))、サンスパース・イエロー(Sunsperse Yellow)YHD6001(サン・ケミカルズ(Sun Chemicals))、スコ−ゲルプ(Suco-Gelb)L1250(ビー・エー・エス・エフ(BASF))、スコ−イエロー(Suco-Yellow)D1355(ビー・エー・エス・エフ(BASF)),ホストパーム・ピンク(Hostaperm Pink)E(アメリカン・ヘキスト(American Hoechst))、ファナル・ピンク(Fanal Pink)D4830(ビー・エー・エス・エフ(BASF))、シンクアシア・マゼンタ(デュポン(DuPont))、リソール・スカーレット(Lithol Scarlet)D3700(ビー・エー・エス・エフ(BASF))、トルイジン・レッド(Toluidine Red)(アルドリッチ(Aldrich))、スカーレット・フォア・サーモプラスト(Scarlet for Thermoplast)NSD PS PA(ユージン・クールマン・オブ・カナダ(Ugine Kuhlmann of Canada))、イー・ディー・トルイジン・レッド(E. D. Toluidine Red)(アルドリッチ(Aldrich))、リソール・ルービン・トナー(Lithol Rubine Toner)(ポール・ウーリッヒ(Paul Uhlich))、リソール・スカーレット(Lithol Scarlet)4440(ビー・エー・エス・エフ(BASF))、ボン・レッド(Bon Red)C(ドミニオン・カラー・カンパニー(Dominion Color Company))、ロイヤル・ブリリアント・レッド(Royal Brilliant Red)RD−8192(ポール・ウーリッヒ(Paul Uhlich))、オラセット・ピンク(Oracet Pink)RF(チバ・ガイギー(Ciba-Geigy))、パリオゲン・レッド(Paliogen Red)3871K(ビー・エー・エス・エフ(BASF))、パリオゲン・レッド(Paliogen Red)3340(ビー・エー・エス・エフ(BASF))、およびリソール・ファスト・スカーレット(Lithol Fast Scarlet)L4300(ビー・エー・エス・エフ(BASF))。
【0052】
一つのEAトナー調製法においては、ナノサイズコア−シェルポリマー粒子をバインダ樹脂として使用する場合、本明細書に開示されるナノサイズ粒子のエマルションを、サーマルプローブおよびメカニカルスターラを備えるガラス樹脂製の反応器の中に仕込む。場合によっては、着色剤をその反応器に撹拌しながら添加してもよい。さらに、場合によっては、オイルレスシステムのためにワックス分散体を添加してもよい。その混合物を撹拌し、外部水浴を用いて、約0.25℃/分〜約2℃/分、たとえば約0.5℃/分〜約2℃/分または約0.25℃/分〜約1.5℃/分の速度で、所望の温度たとえば約40℃〜約70℃、たとえば約45℃〜約70℃または約40℃〜約65℃まで加熱する。凝集の有効性を確保するために、調製したばかりの合一化剤の溶液を用いる。エマルションが所望の温度に達したら、合一化剤の溶液をその混合物の中にポンプ、たとえばペリスタポンプを用いて注入する。合一化剤の溶液の添加は、たとえば、約1時間〜約5時間、たとえば約1時間〜約4時間または約1.5時間〜約5時間で完了させ、その後混合物をさらに約1時間〜約4時間、たとえば約1時間〜約3.5時間または約1.5時間〜約4時間撹拌する。次いでその反応器の温度を、反応の終了するときに、たとえば約45℃〜約75℃、たとえば約50℃〜約75℃または約45℃〜約70℃になるように上げて、確実に球状化させ、完全に合一させるようにしてもよい。次いでその混合物を、たとえば約29℃〜約45℃、たとえば約32℃〜約45℃または約29℃〜約41℃の温度の脱イオン水を用いて冷却する。次いでそのスラリーを洗浄、乾燥させる。
【0053】
さらなるEAトナー配合法においては、本明細書に開示されるナノサイズ粒子、任意成分の着色剤、および凝固剤を、樹脂のガラス転移温度(Tg)またはそれより高い温度、たとえば樹脂のTgより5℃〜約50℃高い温度で、最初にホモジナイズさせ、次いで混合することにより分散体を製造してもよいが、樹脂のTgは通常約50℃〜約80℃の範囲であるか、または約52℃〜約65℃の範囲である。その混合物を成長させて、所望のサイズたとえば約3マイクロメートル〜約30マイクロメートル、たとえば約4マイクロメートル〜約15マイクロメートルまたは約5マイクロメートル〜約10マイクロメートルとする。次いでそのナノサイズ粒子を高温下、たとえば約60℃〜約98℃で合一させて、トナー粒子を形成させるために好適な形状とモルホロジーとする。場合によっては、次いでそのトナー粒子にさらなる加工、たとえば篩別、濾過による洗浄、および/または乾燥などを加える。次いでそのスラリーを洗浄して不純物を除去してもよい。その洗浄では、塩基の添加、場合によっては酵素化合物の添加、と数時間の混合を加えてもよい。次いでそのトナー粒子を濾過してウェットケーキとし、脱イオン水を用いて再スラリー化し、混合する。混合の後、スラリーを脱水し、脱イオン水に加え、pHを調整して混合する。pHは、約3〜約5、たとえば約3.5〜約5または約3〜約4.5になるように調整する。次いでその粒子を再び脱水し、少量の水を用いて再スラリー化して乾燥プロセスの際の分散性を改良する。次いでそのトナー母粒子(parent toner particle)を、乾燥機を使用して乾燥させ、包装する。
【0054】
上述したのは、EAプロセスの単なるいくつかの例であり、その他のプロセスとしては、異なった方法で製造することが可能なポリエステルEAトナーの製造プロセスも挙げられる。
【0055】
本明細書に記載のナノサイズ粒子は、樹脂の中に、各種有効な量、たとえばトナーの約30重量パーセント〜約98重量パーセント、たとえば約40重量パーセント〜約95重量パーセントまたは約50重量パーセント〜約90重量パーセントで存在させ、また、ブルックヘブン(Brookhaven)ナノサイズ粒子分析器で測定した容積平均直径が約5nm〜約1μmであるような小さな平均粒径とすることができる。
【0056】
いくつかの実施態様においては、トナー粒子には、着色剤に加えて、その他の成分たとえばワックス、硬化剤、電荷添加剤、および表面添加剤などが含まれていてよい。
【0057】
ワックスの例としては、官能化ワックス、ポリプロピレンおよびポリエチレン(アライド・ケミカル・アンド・ペトロライト・コーポレーション(Allied Chemical and Petrolite Corporation)から商用的に入手可能)、ワックスエマルション(マイケルマン・インコーポレーテッド(Michaelman Inc.)およびダニエルス・プロダクツ・カンパニー(Daniels Products Company)から入手可能)、エポリーン(EPOLENE)N−15(イーストマン・ケミカル・プロダクツ・インコーポレーテッド(Eastman Chemical Products, Inc.)から市販)、ビスコール(VISCOL)550−P、低重量平均分子量ポリプロピレン(三洋化成(株)(Sanyo Kasei K.K.)から入手可能)およびそれらの同等物などが挙げられる。市販のポリエチレンは通常、約1,000〜約1,500の分子量を有するが、それに対して市販のポリプロピレンは、約4,000〜約5,000の分子量を有しているものと考えられる。官能化ワックスの例としては、アミン、アミド、イミド、エステル、四級アミン、カルボン酸またはアクリルポリマーエマルション、たとえばジョンクリル(JONCRYL)74、89、130、537、および538(すべて、SC・ジョンソン・ワックス(SC Johnson Wax)から入手可能)、アライド・ケミカル・アンド・ペトロライト・コーポレーション(Allied Chemical and Petrolite Corporation))およびSC・ジョンソン・ワックス(SC Johnson Wax)から市販されている、塩素化ポリプロピレンおよびポリエチレンなどが挙げられる。ワックスを使用する場合には、ワックスは、染料複合体(dye complex)の中に、トナーの約2重量パーセント〜約20重量パーセント、たとえば約3重量パーセント〜約15重量パーセントまたは約4重量パーセント〜約12重量パーセントの量で存在させてよい。
【0058】
トナーにはさらに、公知の電荷添加剤をたとえば0.1〜5重量パーセントの量で存在させてもよいが、そのようなものとしてはたとえばアルキルピリジニウムハライド、重硫酸塩、米国特許第3,944,493号明細書、米国特許第4,007,293号明細書、米国特許第4,079,014号明細書、米国特許第4,394,430号明細書、および米国特許第4,560,635号明細書(これらには、ジステアリルジメチルアンモニウムメチルスルフェート電荷添加剤を用いたトナーが説明されている)に記載の電荷調節添加剤、負電荷向上添加剤たとえばアルミニウム錯体などが挙げられる。
【0059】
洗浄後または乾燥後にトナー組成物に添加することが可能な表面添加剤としては、たとえば、金属塩、脂肪酸の金属塩、コロイダルシリカ、チタン、スズなどの金属酸化物、それらの混合物などが挙げられるが、それらの添加剤は通常、約0.1〜約2重量パーセントの量で存在させる(米国特許第3,590,000号明細書、米国特許第3,720,617号明細書、米国特許第3,655,374号明細書、および米国特許第3,983,045号明細書を参照のこと)。添加剤としては、たとえば、チタニア、ならびに流動助剤たとえばデグッサ・ケミカルズ(Degussa Chemicals)から入手可能なアエロジル(AEROSIL)R972(登録商標)のようなヒュームドシリカ、またはキャボット・コーポレーション(Cabot Corporation)もしくはデグッサ・ケミカルズ(Degussa Chemicals)から入手可能なシリカ類が挙げられるが、それらは約0.1〜約2パーセントの量で使用され、凝集プロセスの間に添加することもできるし、あるいは形成されたトナー製品の中にブレンドすることもできる。
【0060】
以下の実施例により本発明の実施態様を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。上述の開示および以下の示唆に従えば、各種多くの水分散性ポリマー、重合開始剤およびモノマーを用いて本発明を実施することが可能であり、各種の用途に使用することが可能であることは明らかであろう。
【実施例】
【0061】
約862.9gの水を、約150.1gのセラマー(CERAMER)1608(マレイン化ポリエチレン)に添加し、約80℃まで加熱した。水酸化ナトリウム水溶液(約21g/約60gの水)を加え、その混合物を約10分間撹拌すると、約4.5nmのナノサイズ分散体が得られた。次いで、過硫酸カリウム水溶液(約2.04gのK2S2O8/約23gの水)をその混合物に一度に加え、スチレン(約52mL)、アクリル酸ブチル(約17mL)、ベータ−カルボキシエチルアクリル酸(約3.7g)およびドデシルチオール(約5.62g)のモノマー溶液を、約165分かけて滴下法により添加した。その分散体を約80℃で合計約8時間加熱した。
【0062】
その粒径は約4.5nmから約9.7nmにまで増大した。さらに、そのコア/シェル粒子は、結晶性ポリエステルの性質を維持していることを示した、すなわち、その粒子は明らかな融点と明らかな再結晶点とを示した。この実施例で生成した粒子は、約90.46℃の融点と約36.93℃の再結晶点を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア部分とシェル部分とを有するナノサイズ粒子であって、
前記コア部分が、結晶性ポリマーを含み、
前記シェル部分が、コアの前記結晶性ポリマーとは混和しない少なくとも1種のモノマーから誘導されるポリマーを含み、
前記ナノサイズ粒子が、約50℃〜約140℃の融点と約30℃〜約80℃の再結晶点とを有することを特徴とする粒子。
【請求項2】
乳化凝集トナー粒子を製造するためのプロセスであって、
ナノサイズ粒子と、凝固剤と、場合によっては着色剤と、を混合する工程と、
前記ナノサイズ粒子を凝集させて、約1〜約20マイクロメートルのサイズのトナー粒子を形成させる工程と、
前記トナー粒子の凝集を停止させる工程と、
前記トナー粒子を合一させる工程と、
を含み、
前記ナノサイズ粒子が、コア部分とシェル部分とを含み、前記コア部分が、結晶性ポリマーを含み、前記シェル部分が、コアの前記結晶性ポリマーとは混和しない少なくとも1種のモノマーから誘導されるポリマーを含むことを特徴とするプロセス。
【請求項3】
バインダ樹脂と、場合によっては着色剤と、を含むトナー粒子を含む乳化凝集トナー組成物であって、
前記バインダ樹脂が、コア部分とシェル部分とを含むナノサイズ粒子を含み、
前記コア部分が結晶性ポリマーを含み、
前記シェル部分が、コアの前記結晶性ポリマーとは混和しない少なくとも1種のモノマーから誘導されるポリマーを含むことを特徴とする乳化凝集トナー組成物。

【公開番号】特開2008−214633(P2008−214633A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−49896(P2008−49896)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】