説明

コイル装置

【課題】 たるみを設けることなく新たな断線防止構造とすることで、簡単な組立工程で製造できるコイル装置を提供すること
【解決手段】 コイルボビン11と、そのコイルボビンの周囲に巻き付けたコイル線20と、そのコイルボビンの軸方向の両端の少なくとも一方(後端面14a)に取り付けた端子ピン30と、を備える。端子ピンは、コイルボビン内に挿入される基部32と、コイル線の先端部位23を巻き付けるための巻付部31と、それら基部と巻付部との間に位置する中間部33と、を有する。中間部は、基部側から離れるにつれてその外形寸法が徐々に広くなる等脚台形状からなり、コイル線の先端部位は、中間部と巻付部とに巻き付けるとともに、コイル線の先端部位と中間部とは、相対的に移動可能にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コイル装置に関するもので、より具体的にはコイルボビンに巻き付けたコイル線の両端と、そのコイルボビンに取り付けられた端子ピンとの接続部分の構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
コイル装置は、パワーカプラ,回転センサ等の各種のセンサ,ソレノイド,トランス等に用いられる。図1は、コイル装置の一例を示している。コイル装置は、筒状のコイルボビン(スプール)1の周囲にコイル線2を巻き付けるとともに、そのコイル線2の巻き始めと巻き終わりの両端2aを、コイルボビン1に取り付けた端子ピン3に巻き付けて構成される。この端子ピン3に巻き付けたコイル線2の両端2aは、はんだ4等で固定することもある。
【0003】
コイルボビン1の側面には、軸方向にのびるガイド溝1aが形成され、コイル線2の両端2aは、このガイド溝1a内を通って外部に導かれて、端子ピン3に至る。このとき、ガイド溝1a内でたるみ2bを設けるようにしている。これにより、使用時に端子ピン3とコイルボビン1とが、互いに離反する方向に力が加わり、端子ピン3がコイルボビン1から離れる方向に相対移動した場合でも、たるみ2aの部分でその移動によりコイル線2が引っ張られてコイル線2にストレスが加わることが吸収され、コイル線2が断線するのが防止される。
【0004】
たとえば、コイル装置をパワーカプラ等に用いる場合、コイル線2を巻き付けたコイルボビン1に設けた端子ピン3と、回路基板とを電気的に接続するとともに、それらコイルボビン1並びに回路基板を底のある一端が開口した筒状の金属ケース6内に挿入したのち、その金属ケースの開口側からエポキシ樹脂7等を充填してモールドした構成をとる。すると、使用時に回路基板上の部品・ICが発熱することに伴い、エポキシ樹脂7等が熱膨張するので、コイルボビン1は、エポキシ樹脂7等から図中矢印方向の力を受け、コイルボビン1は、当該力の方向(図中左方向)に移動する。このとき、端子ピン3はエポキシ樹脂7等に樹脂モールドされて一体化されていることから、相対的に端子ピン3はコイルボビン1から離れる方向に移動することになる。よって、上述した使用時における相対移動が生じるが、たるみ2aがあるためコイル線2の断線は防止される。
【0005】
もちろん、端子ピン3とコイルボビン1の相対的な離反方向の移動は、このような熱膨張に伴うものに限ることはなく、たとえば、コイル装置の落下や、外部からあら耐えられる衝撃・振動等の外乱を受け、端子ピン3がコイルボビン1から抜け出る方向に移動することなど各種の場合があり、樹脂モールドの有無に関係なく生じる現象である。この種のたるみを利用した断線防止構造を採用したコイル装置は、たとえば特許文献1等に開示されている。
【特許文献1】特開平10−90006号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のたるみ2aを持たせた構造のコイル装置は、その製造工程に治具や余計な作業が発生し効率が悪い。すなわち、コイルボビン1の周囲にコイル線2を巻き付けているときは、一定のテンションをかけた状態で行えばよいので自動巻付け装置を用いて簡単に行える。しかし、その一定のテンションを掛けた状態のまま端子ピンにまでからげてしまうと、コイル線2の先端はピンと張った状態となり、たるみ2aを設けることができない。そこで、たとえば、図1に示すガイド溝1aをまたぐように棒状体を配置し、その状態でコイル線2の先端をその棒状体の上を通しながら端子ピン3に巻き付ける。すると、ガイド溝1a内をそのまま通過させる場合に比べ、棒状体の上を通る分だけ迂回することになるので、その後、棒状体を取り除くと、迂回させた分だけたるみを形成することができる。このように、棒状体の設置・取り外し等の作業が必要となるので、巻き付け行程が煩雑となる。
【0007】
さらに、たるみ1aを設けた場合、経時変化によりそのたるみ部分がコイルボビン1に巻き付けた部分に移動してしまい、巻き付けた部位がゆるむおそれがある。係る事態の発生を防止するためには、コイルボビン1の周囲に巻き付けた部分からガイド溝1a内に導かれる直前の部位に接着剤8を塗布して、その一定のテンションで巻き付けられた状態を維持するような作業も必要となるので煩雑となる。
【0008】
また、たるみ2aの量や形成位置が一定量でないため、衝撃や振動の度合いで断線することもある。さらに、上述したパワーカプラ等のように、ケース内に収納するタイプの場合、係る収納させる際にたるみ2aの部分が移動してしまい、断線を防止するために十分なたるみの量・位置を維持することができないおそれもある。
【0009】
この発明は、たるみを設けることなく新たな断線防止構造とすることで、巻き線作業に治具や別工程が不要になるため、簡単な組立工程で製造できるとともに、製造されたコイル装置の品質の安定化を図ることができるコイル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明によるコイル装置は、(1)コイルボビンと、そのコイルボビンの周囲に巻き付けたコイル線と、そのコイルボビンの軸方向の両端の少なくとも一方に取り付けた端子ピンと、を備え、端子ピンは、コイルボビン内に挿入される基部と、コイル線の先端部位を巻き付けるための巻付部と、それら基部と巻付部との間に位置する中間部と、を有し、中間部は、基部側から離れるにつれてその外形寸法が徐々に大きくなるような形状からなり、コイル線の先端部位は、中間部と巻付部とに巻き付けるとともに、コイル線の先端部位と中間部とは、相対的に移動可能にした。
【0011】
端子ピンの形状が、コイルボビンに挿入される基部側から徐々に外形寸法が大きく(広く)なるような中間部を設けたので、その中間部の側面の一部また全部が、傾斜面となる。よって、外部からの衝撃や振動その他の力が作用して、端子ピンがコイルボビンから相対的に離反する方向に移動しようとした場合、傾斜面の効果により、その移動によりコイル線の先端部位に加わるストレスが小さく、断線が防止される。よって、従来のように“たるみ”を持たせる必要が無く、コイル線のコイルボビンに対する巻付け行程が、特別な治具など用いることなく簡単に行える。さらに、従来のように、たるみ量の不足やたるみの形成位置が不適切となることで断線を生じるようなことも無くなる。
【0012】
(2)コイル線の先端部位は、巻付部に巻付けられた全部あるいは一部がはんだ付けされてその巻付部に固定されるようにするとよい。このようにすると、コイル線の先端部位が巻付部に確実に固定されるので、使用時にはずれたりすることがない。もちろん、はんだにより固定するものに限ることはなく、樹脂その他の接着剤により固定しても良いし、単に巻き付けるだけでも良い。この発明は、第1実施形態の変形例として実現されている。
【0013】
(3)端子ピンは、平板状に形成されるとよい。このようにすれば、端子ピンを所定形状に打ち抜くことで簡単に傾斜面(実施形態の傾斜辺33a)を有する中間部を備えた端子ピンを製造することができる。もちろん、円柱を基本形状とし、中間部を円錐形にしたり、その他の任意の形状とすることができる。
【0014】
(4)基部の側面は、中間部との境界付近に切欠部が形成され、コイル線の先端部位は、その切欠部内を通りコイルボビンの角部と非接触で中間部に巻き付けられるようにするとよい。この発明は、第2実施形態で実現されている。このようにすると、コイル線の先端部位が、コイルボビンの角部に擦れてストレスを受けることを抑制できる。
【0015】
(5)端子ピンの巻付部の先端側に、その巻付部の側面よりも外側に突出する接続端子部を設け、その接続端子部が回路基板に連結されて一体化するようにするとよい。この発明は、第3実施形態により実現されている。第3実施形態では、接続端子部は、巻付部の先端側を90度折り曲げたL字状に形成したが、本発明はこれに限ることはなく、T字状でも良いし、任意の形状で少なくとも一方の側面が外に突出する部分を有し、その部分が接続端子部となって回路基板に接続されるようになっていればよい。また、回路基板との接続も、第3実施形態のように、回路基板に設けた孔部内に挿入・貫通する構造に限ることはなく、回路基板の表面に面接触(線接触)させる(好ましくは、その接触部位ではんだ付け等にて一体化する)ようにしてもよい。このようにすると、回路基板と接続され、センシング等の所定の機能を有するコイル装置(一種の電子機器・部品)となる。
【0016】
(6)上記の(5)の発明を前提とし、コイルボビン並びに回路基板を筒状のケース内に収納するとともに、そのケース内に樹脂を充填して回路基板を樹脂モールドするとよい。この発明は、第4実施形態により実現される。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、たるみを設けることなく新たな断線防止構造とすることで、巻き線作業に治具や別工程が不要になり、簡単な組立工程で製造できるとともに、製造されたコイル装置の品質の安定化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図2は、本発明のコイル装置の第1実施形態を示している。本実施形態のコイル装置は、円筒状のコイルボビン11の周囲にコイル線20を巻き付けるとともに、そのコイル線20の巻き始めと巻き終わりの両端を、コイルボビン11に取り付けた端子ピン30に巻き付けるという基本構成をとっている。
【0019】
コイルボビン11は、円柱状の本体の周面に、一周にわたる帯状の凹部12が形成される。この凹部12は、無端状(リング状)となっている。この凹部12を挟み、軸方向先端は、幅の狭いフランジ部13となり、軸方向後端は、幅の広いベース部14となる。ベース部14の側面には、軸方向に伸びるガイド溝15が2本形成される。このガイド溝15は、一端は凹部12に連続し、他端はベース部14の後端面14aに開口している。また、2本のガイド溝15は、180度離れた位置、つまり、径方向反対側(両ガイド溝15を結ぶ仮想線が、ベース部14の直径となる)位置に設けられている。
【0020】
ベース部14の後端面14aには、端子ピン30を挿入するための挿入穴16が形成される。この挿入穴16は、ガイド溝15に沿って形成される。そして、本実施形態では、後述するように、端子ピン30の形状を平板としているので、挿入穴16も扁平な矩形状の穴となる。そして、ガイド溝15は、ベース部14の後端面14a近傍側で、挿入穴16と繋がっている。つまり、ガイド溝15から挿入穴16に至る連続した空間が形成される。もちろん、ガイド溝15の幅は、挿入穴16の幅よりも狭くしており、挿入穴16内に挿入された端子ピン30が、ガイド溝15側に抜け出ることが抑制される。さらに、挿入穴16の全長にわたってガイド溝15に開口するのではなく、その奥部は、閉塞する(ガイド溝15と接続されない)ように構成することで、より確実に、挿入穴16内に30を挿入した状態を保持できる。
【0021】
端子ピン30は、金属製の平板を用い、適宜形状に形成される。具体的な形状は、以下の通りである。まず、端子ピン30は、挿入穴16の内形状に略符合する矩形状の基部32と、コイル線20の先端部位22を巻き付けるための細長な帯状の巻付部31と、それら基部32と巻付部31との間に位置する中間部33と、を有する。これら巻付部31,基部32,中間部33の肉厚は、いずれも等しくし、一枚の金属板を打ち抜くこと等で製造することができる。また、巻付部31の幅は、基部32の幅よりも狭くしている。そして、中間部33は、基部32側が上辺となる略等脚台形を基本形状としている。つまり、中間部33は、その幅が基部32側が最も狭く、そこから離れる(巻付部31側に近づく)につれて徐々に幅が広くなるようにしている。これにより、その中間部33の両傾斜辺33aは、ベース部14の後端面14aを基準として、逆ハの字になる。さらに、中間部33は、もっとも幅の狭い基部32側の当該幅を、基部32の幅とほぼ等しくさせている。これにより、挿入穴16内には、基部32のみが挿入されることになり、中間部33並びに巻付部31は、コイルボビン11の外部に露出する。
【0022】
コイル線20は、銅線(ワイヤ)の周囲をポリウレタン,ポリエステル,エナメル等の絶縁性材料で被覆した低抵抗の金属細線である。このコイル線20を、一定のテンションでコイルボビン11の凹部12内に巻き付けることでコイル部21が形成される。コイル線20のうち、コイル部21の両端に繋がる引出線部位22は、ガイド溝15内に配線され、更にそのコイル線20の両先端部位23が、ガイド溝15から外部(ベース部14の後端面14aの外側)に引き出されるとともに、それぞれ端子ピン30に巻き付けられて固定される。
【0023】
具体的には、先端部位23は、端子ピン30の中間部33と巻付部31の周囲に巻き付けられる。このとき、ガイド溝15から端子ピン30(中間部33,巻付部31)に至るまで、コイル線20の引出線部位22並びに先端部位23は、所定のテンションでピンと張った状態となり、従来のように、ガイド溝15内で“たるみ”を設けていない。これにより、コイル線20の先端部位23は、端子ピン30の中間部33の傾斜辺33aに所定ターン数巻き付けられた後、その後に続く巻付部31に巻き付けられて固定される。よって、中間部33に巻き付けられていたコイル線20の先端部位23は、中間部33の外形状に符合し、コイルボビン11から離反するにつれて徐々にその巻幅(両傾斜辺33a間に掛け渡されている間隔)が広くなる。
【0024】
本実施形態のコイル装置は、コイル線20が巻き始めから巻き終わりまで、ピンと張った状態となり、“たるみ”がない(設ける必要がない)ので、特別な治具を用いることなく自動巻付け装置等により簡単にコイルボビン11にコイル線20を巻き付けることができる。また、使用時等に於いて、外部からの衝撃や振動などにより、端子ピン30がコイルボビン11から抜け出る方向の力が加わり、端子ピン30が相対的にコイルボビン11から離反する方向に移動したとすると、中間部33(傾斜辺33a)も相対的にコイルボビン11のベース部14の後端面14aから離反する方向に移動するが、その中間部33に巻き付けられていたコイル線20の先端部位23は、その移動に伴い中間部33(端子ピン30)から過度なストレスが加わることが無く、断線することがない。
【0025】
これは、上述したように、端子ピン30の中間部33は、その幅が後端面14aから離れるにつれて徐々に広くなっているので、上記の相対的な両者が離れる方向の移動では、元々の基本状態における中間部33に巻き付けられていたコイル線20の先端部位23の寸法形状に対して移動後の中間部33の両傾斜辺33a間の距離は短くなり、傾斜辺33aとコイル線20の先端部位23との間に隙間が生じるので、両者の間で大きな抵抗を生じることなくスムーズに移動されることが一因と考えられる。また、上記の移動により、中間部33の先端(巻付部31との境界)の位置さらには巻付部31もコイルボビン11の後端面14aから離反することになり、巻付部31に巻き付けられていたコイル線20の先端部位23は、その巻付部31とともに移動することになるので、それに続く中間部33に巻き付けられていた先端部位23の巻付部31近傍部位もそれにつれて移動しようとする。このとき、たとえば円錐状のコイルバネが伸びる場合、個々のターン部分の径が小さくなり、各線の軸方向に沿う方向に起立する方向に変化しながら全長が伸びるが、それと同じように中間部33に巻き付けられた先端部位23は、コイルボビン11の後端面14aに対して起立する方向に変形・変位し、両傾斜辺33aに掛け渡される各ターン部分の間隔が短くなろうとするが、上述したように中間部33の両傾斜辺33aが後端面14aに対して逆ハの字になっていることも相まって、後端面14aから離反する中間部33(傾斜辺33a)は、上記の中間部33に巻き付けられた先端部位23の変形を許容する。このことからも、端子ピン30が相対的にコイルボビン11から離反する方向に移動した場合でも、コイル線20の先端部位23ひいては引出線部位22に対して過度に引っ張る方向にストレスが加わることがなく、コイル線20の破断が抑止される。
【0026】
また、一端離れた端子ピン30が元の位置に戻る場合も、上記と逆の動作を行うことになるとともに、コイル線20に対して引っ張る方向に力が加わらないので、やはり断線するのが抑止される。よって、本実施形態のコイル装置は、“たるみ”を設けることなく、断線を防止する構造がとれる。なお、相対的な移動距離は、実際には、ごくわずかである。
【0027】
なお、端子ピン30に対するコイル線20の巻付け・固定構造は、図2に示すように、中間部33並びに巻付部31に対して巻き付けただけでも良いし、図3に示すように、巻付部31の部分ではんだ40等により固定しても良い。特に、本実施形態では、端子ピン30が平板状としていることから、はんだ40を用いなくても巻き付けた状態を保持できる。また、はんだ40を用いる場合、巻付部31の一部又は全部で行い、中間部33に巻き付けた先端部位23には、はんだをつけないようにすることである。
【0028】
図4は、本発明に係るコイル装置の第2実施形態の要部を示している。本実施形態では、端子ピン30の基部32の中間部33側の側面に凹状切欠部32aを設けた。この凹状切欠部32aは、ガイド溝15に開口している。これにより、ガイド溝15内に配線された引出線部位22は、ガイド溝15から上記の凹状切欠部32aを経由し、そのままコイルボビン11の後端面14aに接触することなく先端部位23が中間部33に巻き付けることができる。このように、コイルボビン11の後端面14aに接触しないので、そこから受けるストレスが無く、より確実に断線が阻止される。なお、その他の構成並びに作用効果は第1実施形態並びにその変形例と同様にすることができるので、その詳細な説明を省略する。
【0029】
図5は、本発明に係るコイル装置の第3実施形態を示している。本実施形態のコイル装置は、端子ピン30の巻付部31の先端側を90度折り曲げて接続端子部35を備えるようにしている。この接続端子部35を、回路基板41に設けた端子穴(プリント配線に接続される穴)に挿入するとともに、はんだ付けする。これにより、本実施形態のコイル装置を、回路基板41に対して電気・機械的に直接接続することができる。
【0030】
このように所定の回路基板41に接続され一体化されることで、センシング等の所望の機能を付加したコイル装置となる。なお、その他の構成並びに作用効果は各実施形態並びにその変形例と同様にすることができるので、その詳細な説明を省略する。
【0031】
図6は、本発明に係るコイル装置の第4実施形態を示している。本実施形態のコイル装置は、第3実施形態のコイル装置を前提とし、一体化したコイルボビン11並びに回路基板41等を底のある一端が開口した筒状の金属ケース42内に挿入したのち、その金属ケース42の開口側からエポキシ樹脂43等を充填してモールドした構成をとる。なお、樹脂モールドしたとしても、中間部33(傾斜辺33a)の周囲(コイル線20の先端部位23を巻き付けた部位)には、完全にエポキシ樹脂が稠密に入り込まず、中間部33とそこに巻き付けたコイル線20の先端部位23は、相対的に若干移動できるように構成する。
【0032】
この実施形態では、使用時に回路基板上の部品・ICが発熱することに伴い、エポキシ樹脂43が熱膨張するので、コイルボビン11は、エポキシ樹脂43等から図中矢印方向の力を受け、コイルボビン11は、当該力の方向(図中左方向)に移動する。このとき、端子ピン30はエポキシ樹脂43に樹脂モールドされて一体化されていることから、相対的に端子ピン30はコイルボビン11から離れる方向に移動することになる。よって、上述した使用時における相対移動が生じるが、中間部33に巻き付けた先端部位23と傾斜辺33aとの構造からコイル線20の断線は防止される。なお、その他の構成並びに作用効果は各実施形態並びにその変形例と同様にすることができるので、その詳細な説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】従来のコイル装置の一例を示す図である。
【図2】本発明に係るコイル装置の第1実施形態を示す図である。
【図3】その変形例を示す図である。
【図4】本発明に係るコイル装置の第2実施形態の要部を示す図である。
【図5】本発明に係るコイル装置の第3実施形態を示す図である。
【図6】本発明に係るコイル装置の第4実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
11 コイルボビン
20 コイル線
23 先端部位
30 端子ピン
31 巻付部
32 基部
32a 凹状切欠部
33 中間部
33a 傾斜辺
35 接続端子部
40 はんだ
41 回路基板
42 ケース
43 エポキシ樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルボビンと、
そのコイルボビンの周囲に巻き付けたコイル線と、
そのコイルボビンの軸方向の両端の少なくとも一方に取り付けた端子ピンと、
を備え、
前記端子ピンは、前記コイルボビン内に挿入される基部と、前記コイル線の先端部位を巻き付けるための巻付部と、それら基部と巻付部との間に位置する中間部と、を有し、
前記中間部は、前記基部側から離れるにつれてその外形寸法が徐々に大きくなるような形状からなり、
前記コイル線の先端部位は、前記中間部と前記巻付部とに巻き付けるとともに、前記コイル線の先端部位と前記中間部とは、相対的に移動可能にしたことを特徴とするコイル装置。
【請求項2】
前記コイル線の先端部位は、前記巻付部に巻付けられた全部あるいは一部がはんだ付けされてその巻付部に固定されることを特徴とする請求項1に記載のコイル装置。
【請求項3】
前記端子ピンは、平板状に形成されることを特徴とする請求項1または2に記載のコイル装置。
【請求項4】
前記基部の側面は、前記中間部との境界付近に切欠部が形成され、前記コイル線の先端部位は、その切欠部内を通り前記コイルボビンの角部と非接触で前記中間部に巻き付けられるようにしたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のコイル装置。
【請求項5】
前記端子ピンの前記巻付部の先端側に、その巻付部の側面よりも外側に突出する接続端子部を設け、
その接続端子部が回路基板に連結されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のコイル装置。
【請求項6】
前記コイルボビン並びに前記回路基板を筒状のケース内に収納するとともに、そのケース内に樹脂を充填して前記回路基板を樹脂モールドすることを特徴とする請求項5に記載のコイル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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