コイル装置
【課題】コア及びコイルの双方の状態に対して高い応答性を有するセンサ固定構造を提供する。
【解決手段】本発明の実施形態に係るコイル装置は、コイルと、少なくとも一部がコイル内に通されたコアと、コイル装置内の所定の物理量を検出するセンサを備え、センサのセンサヘッドがコアとコイルの間に配置される。
【解決手段】本発明の実施形態に係るコイル装置は、コイルと、少なくとも一部がコイル内に通されたコアと、コイル装置内の所定の物理量を検出するセンサを備え、センサのセンサヘッドがコアとコイルの間に配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサを備えたコイル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド自動車や電気自動車の駆動システム等で使用される大容量のコイル装置(例えばリアクトル)は、高負荷時に鉄損や銅損による発熱量が多く、高負荷の状態で使用し続けると、コアやコイルが過熱して特性が低下する。そのため、一部の大容量のコイル装置には、温度センサ(例えばサーミスタ)によりコイル装置内の温度を監視し、コイル装置が一定温度以上に昇温しないように制御する構成が採用されている。
【0003】
特許文献1に開示されるリアクトルは、互いに平行に配置され、一端同士が連結された一対の直線コイルを有しており、この直線コイルの間に温度センサが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−203998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のセンサ配置では、コイルの温度変化に対しては高い応答性が得られるが、温度センサがコイルによってコアから遮蔽されているため、コアの温度変化を敏速に検出することができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係るコイル装置は、コイルと、少なくとも一部がコイル内に通されたコアとを備えたコイル装置であって、コイル装置内の所定の物理量を検出するセンサを更に備え、センサのセンサヘッドがコアとコイルの間に配置されたコイル装置である。
この構成によれば、コイルの状態の変化(例えば温度変化)をより敏速に検出することが可能になる。また、コアとセンサヘッドの間がコイルによって遮蔽されないため、コアの状態の変化も敏速かつ感度良く検出される。
【0007】
コアの少なくともコイルと対向する面を被覆する絶縁被覆部材を更に備え、センサヘッドは絶縁被覆部材とコイルの間に配置されていてもよい。
この構成によれば、コアとコイルとの確実な絶縁が確保される。
【0008】
絶縁被覆部材には、センサヘッドを固定するセンサ固定部が形成されていてもよい。
この構成によれば、センサヘッドをコイル装置に取り付け易く、またセンサ固定部が形成された所定の位置にセンサヘッドを取り付けることが可能になる。
【0009】
センサヘッドは略円柱状であり、センサ固定部は、センサヘッドの円柱面が嵌入される嵌入穴を有してもよい。
この構成によれば、他の取り付け部材(例えば螺子や固定金具)が不要であり、センサヘッドを嵌入穴に差し込むだけでセンサが固定されるため、少ない作業時間でセンサを取り付けることができる。また、嵌入穴の半径方向にセンサヘッドを精度良く位置決めすることができる。
【0010】
嵌入穴のコイル側には、嵌入穴の軸方向全長に亘って、外部空間と連絡するスリットが形成されていてもよい。
この構成によれば、センサヘッドの外径のバラツキによって嵌合力が大きく変化しないため、常に適度な嵌合力でセンサヘッドを固定することができる。
【0011】
センサ固定部は、嵌入穴の先端に形成された、センサヘッドの端面の一方と当接する壁部を更に有してもよい。
この構成によれば、センサヘッドの端面(例えば基端)を壁部に突き当てることにより、センサヘッドを軸方向に精度良く位置決めすることができる。
【0012】
センサは、センサヘッドの一方の端面から延びるリードを備え、コアは、平行に並べられた第1及び第2の直線コア部と、第1及び第2の直線コア部の隣接する端部同士をそれぞれ連結する一対の連結コア部とを有するリングコアであり、第1及び第2の直線コア部並びに一対の連結コア部は絶縁被覆部材により被覆され、コイルは、第1及び第2の直線コア部がそれぞれ通された第1及び第2の直線コイルを含み、センサ固定部は、絶縁被覆部材の第1の直線コア部を被覆する部分における、第2の直線コア部と対向する内側面に形成され、絶縁被覆部材の連結コア部を被覆する部分には、リードを収容して連結コア部の上面までガイドするガイド溝が内側面に沿って形成されていてもよい。
この構成によれば、部品点数を増やすことなくセンサ固定部を設けることができ、リードがリアクトル本体の組み立ての妨げになることも防止される。また、内側面の温度は、比較的にホットスポットの温度に近い為、センサが温度センサである場合には、このセンサを使用してホットスポットの温度を適切に制御することが可能である。
【0013】
内側面には、内側面から突出し、その下面によりセンサ固定部からガイド溝までリードをガイドする上側突出部が形成されていてもよい。
この構成によれば、センサ固定部からガイド溝まで所望の経路でリードを配線することが可能になる。
【0014】
連結コア部の上面におけるガイド溝の付近には、リードを固定するリード固定部が形成されていてもよい。
この構成によれば、上側突出部及びガイド溝により連結コア部の上面までガイドされたリードをリード巻き付け部に弛み無く巻き付けることで、センサヘッドはセンサ固定部内に固定される。また、コアにコイルを装着する際に、リードの弛みにより、リードがコイルと接触して、コイルの装着を阻害することがない。
【0015】
センサヘッドは略柱状であり、センサは、センサヘッドの一端面から延びるリードを備え、センサ固定部は、センサヘッドを収容する溝部と、溝部の一端に形成され、センサヘッドの一方の端面と当接する壁部と、を有し、壁部には、センサヘッドよりも細く、リードが通されるスリットが形成されるよう構成されてもよい。
この構成によれば、溝部にセンサヘッドを収容し、リードをスリットから引き出して、センサヘッドの一端面を壁部に当接させることで、センサヘッドを取り付けるための追加部品を要することなく、センサヘッドを所定の位置に正確に配置することができる。
【0016】
溝部の少なくとも壁部側は、壁部に向かって溝幅が広がる拡張部となっており、スリットの一端は、壁部に形成された、センサヘッドの横断面よりも広い空隙部に開いており、スリットの他端は閉じているように構成されてもよい。
この構成によれば、センサヘッドを横断面よりも広い空間を介して溝部に導入した後、リードをスリットに差し込んでから溝部と反対側へ引っ張り、センサヘッドの一端面を壁部に当接させることで、センサヘッドを所定の位置に正確に配置することができる。すなわち、溝部が形成されるコアとコイルとの隙間(及び溝を長手方向に延長した空間)内でセンサヘッドを移動させるだけで、センサヘッドを所定の位置に配置することができるため、コイルにコアを差し込んだ後でも、センサヘッドの装着が可能になる。
【0017】
センサ固定部は、スリットの他端側に立設された、リードが巻き付けられ又は引っ掛けられるリード巻き付け部を更に有するように構成されてもよい。
この構成によれば、センサヘッドを溝部に収容した後に、リードをリード巻き付け部に巻き付け又は引っ掛けることで、スリットの閉じた他端にリードが押し当てられて、リードがスリットから抜けなくなる。
【0018】
リード巻き付け部は、コアの表面から突出する直立部と、直立部の先端からコアの表面と略平行に、スリットと反対側へ延びる腕部とを有するように構成されてもよい。
この構成によれば、リードが掛けられる直立部のスリットに対する反対側へ延びる腕部により、リードが直立部の先端から抜けることが防止される。
【0019】
コイルが一面に沿って配置され、コア及びコイルが固定されるベースを更に備え、リード巻き付け部は、コアのベースに対する反対側の面に立設されるように構成されてもよい。
この構成によれば、コイル装置を組み立てた後(コア及びコイルをベース上に取り付けた後)でも、センサをコイル装置に容易に取り付けることができる。
【0020】
隙間は、壁部に形成されたスリットと連絡する貫通穴又は凹部であってもよい。
この構成によれば、貫通穴又は凹部を介してセンサヘッドを溝部に差し込むことができる。
【0021】
センサ固定部は、壁部に対して溝部と反対側に設けられた、貫通穴又は凹部を介して溝部と連絡する、ガイド溝を更に有する構成であってもよい。
この構成によれば、ガイド溝がセンサヘッドを貫通穴又は凹部まで案内するため、センサヘッドを貫通穴又は凹部に通すことが容易になる。
【0022】
コイルは直線コイル部を有し、コアは、直線コイル部内に配置された直線コア部を有し、絶縁被覆部材は、直線コア部の両端部の側面から突出し、直線コイル部を軸方向両側から挟み込むフランジ部を更に有し、壁部はフランジ部の一部として形成された構成であってもよい。
この構成によれば、コイル装置を組み立てた後で、フランジ部に形成された隙間(貫通穴又は凹部)を介してコアとコイルとの間の所定の位置にセンサヘッドを配置することが可能になる。
【0023】
絶縁被覆部材は、インサート成形によりコアと一体に成形されていてもよい。
この構成によれば、コアと絶縁被覆部材(ボビン)との隙間を最小化できるため、コイル装置が小型化される。
【0024】
絶縁被覆部材は、コアと別体に形成されたボビンであってもよい。
この構成によれば、従来構造のコイル装置に対しても、大幅な設計変更や製造設備の変更を行わずに、ボビンの形状を変更するだけで、本発明の適用が可能になる。
【0025】
センサは温度センサであってもよい。
この構成によれば、コイル装置のより適切な温度管理が可能になる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の実施形態の構成により、コア及びコイルの双方の状態に対して高い応答性を有するセンサ固定構造が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施形態に係るリアクトルの斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るリアクトルの分解図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るU型コアコアユニットの斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るU型コアコアユニットの正面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係るU型コアコアユニットの平面図である。
【図6】図5におけるA−A断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係るコアモジュールの斜視図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係るコアモジュールの平面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係るコアモジュールの側面図である。
【図10】本発明の第2実施形態の変形例に係るコアモジュールの斜視図である。
【図11】本発明の第2実施形態の変形例に係るコアモジュールのY方向側面図である。
【図12】本発明の第2実施形態の変形例に係るコアモジュールのX方向側面図である。
【図13】本発明の第3実施形態の変形例に係るコアモジュールのY方向側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の第1実施形態に係るリアクトル1(図1〜6)、第2実施形態に係るリアクトル1000(図7〜9)及び第2実施形態の変形例に係るリアクトル2000(図10〜12)、及び第3実施形態に係るリアクトル3000(図13)について、図面を参照しながら説明する。
【0029】
(第1実施形態)
最初に第1実施形態について説明する。図1はリアクトル1の斜視図であり、図2はその分解図である。なお、以下の第1実施形態に関する説明において、図1における左下側から右上側に向かう方向を奥行き方向(X軸方向)、右下側から左上側に向かう方向を幅方向(Y軸方向)、下側から上側に向かう方向を高さ方向(Z軸方向)と定義する。なお、リアクトル1を使用する際には、リアクトル1をどのような方向に向けて配置してもよい。
【0030】
図1及び図2に示されるように、リアクトル1は、コイル10、コアモジュール20、一対のコア固定具30、サーミスタ40、放熱ケース50、及び端子台60を備えている。コイル10とコアモジュール20によりリアクトル本体1aが構成される。リアクトル本体1a(具体的にはコアモジュール20)のX軸方向両端には、それぞれコア固定具30を取り付けるための一対のブラケット21bが形成されている。ブラケット21bには、インサート成形によりナットが埋め込まれている。コア固定具30の取り付け穴に通した2本のボルト72を、一対のブラケット21bに埋め込まれたナットの雌ねじにねじ込み、締め付けることで、コア固定具30がコアモジュール20に取り付けられている。
【0031】
放熱ケース50は、熱伝導性が良好で軽量な金属(例えばアルミニウム合金)から形成された略箱形の部材であり、リアクトル本体1aを収容する。放熱ケース50のX軸方向両端部の内側には、コア固定具30を取り付けるための雌ねじ52fを有する取り付け座52が形成されている。コア固定具30を取り付けたリアクトル本体1aを放熱ケース50内に収容して、ボルト74によりコア固定具30を取り付け座52に固定することで、リアクトル本体1aは放熱ケース50内に固定される。リアクトル本体1aが放熱ケース50内に取り付けられた後、放熱ケース50とリアクトル本体1aとの隙間に充填剤(不図示)が充填される。また、放熱ケース50は、強制冷却装置の冷却面上に設置される。すなわち、放熱ケース50の底面50bは強制冷却装置の冷却面と接触し、リアクトル1内で発生した熱の大半は、放熱ケース50の底面50bを介して強制冷却装置の冷却面に流出する。
【0032】
放熱ケース50の縁部の一端には、ボルト76により端子台60が取り付けられている。端子台60は、バスバー62a及び62bを備えており、各バスバー62a、62bは、それぞれコイル10のリード部13a、13bと溶接される。
【0033】
図2に示されるように、コアモジュール20は、2つの略U字状に形成されたU型コアユニット20a及び20bのU字の先端同士を、ギャップ部材20gを介して突き合わせて接着剤で貼り合わせた、略O字形のリングコアである。U型コアユニット20a及び20bは、それぞれ磁性体から形成されたU型コアを射出成形(インサート成形)により樹脂で被覆したものである。なお、この樹脂被覆は、コアとコイルとの電気的絶縁を確保するために従来使用されていた絶縁ボビンがコアと一体に成形されたものである。ギャップ部材20gは、所定の厚さを有する非磁性体(例えば、アルミナ等の各種セラミックスや樹脂)の板材である。なお、U型コアユニット20aには、サーミスタ40のセンサヘッド42を固定するためのセンサ固定部24(図3〜図6)が形成されている。センサ固定部24の詳細は後述する。
【0034】
図3、図4及び図5は、それぞれセンサ固定部24が形成されたU型コアユニット20aの斜視図、正面図及び平面図である。また、図6は、図5におけるA−A断面図である。U型コアユニット20aは、一対の互いに平行に配置された略直方体状の直線コア部22a、22bと、直線コア部22a、22bを連結する略台形柱状(略台形の底面を有する直柱体状)の連結コア部21を有する。直線コア部22a、22bには、それぞれ磁性体から形成された略直方体状のI型コア断片22cが埋め込まれている。また、連結コア部21には、磁性体から形成された略台形柱状の連結コア断片21c(図6)が埋め込まれている。2つのI型コア断片22cは、それぞれ非磁性体のギャップ部材(不図示)を介して連結コア断片21cと接着固定され、略U字状のU型コアに成形される。このU型コアを射出成形(インサート成形)により樹脂で被覆したものがU型コアユニット20aである。なお、ギャップ面となるU型コアユニット20aの両端面22fは、被覆されずに露出している。U型コアユニット20aの被覆樹脂にはポリフェニレンサルファイド(PPS)等の耐熱樹脂が使用される。また、本実施形態では、各コア断片21c、22cに圧粉磁心が使用されるが、ケイ素鋼板やフェライトを使用してもよい。なお、U型コアユニット20bも、U型コアユニット20aと概略構成は同様であるが、直線コア部22a、22bの長さ(X軸方向寸法)が短く、またセンサを固定するための構造が形成されていない点でU型コアユニット20aと異なる。なお、U型コアユニット20aとU型コアユニット20bを全く同一の構成としてもよい。
【0035】
コイル10は、平角エナメル線から形成された2つの同一構造の直線コイル部12a、12bを平行に配置して、一端(図2における右上端)同士を連結させた構造を有している。2つの直線コイル部12a、12bの中空部に、U型コアユニット20aの2つの直線コア部22a、22bをそれぞれ通した後、ギャップ部材20gを介してU型コアユニット20bと端面同士を突き合わせて接着すると、リアクトル本体1aが形成される。図2に示されるように、各U型コアユニット20a、20bの直線コア部22a、22bと連結コア部21との境界部には、それぞれフランジ部20fが形成されている。コイル10は、各U型コアユニット20a、20bのフランジ部20fの間で挟まれて、X軸方向へ移動しないようになっている。
【0036】
次に、U型コアユニット20aに形成されたセンサ固定部24の詳細を説明する。図3及び図4に示すように、本実施形態のセンサ固定部24は、直線コア部22aにおける直線コア部22bと対向する面(内側面22s)の下部に配置され、直線コア部22aの樹脂被覆から形成されている。センサ固定部24は内側面22sより突出しており、内部にはコイル軸方向(X軸方向)に延びる嵌入穴241が形成されている。嵌入穴241は、サーミスタ40のセンサヘッド42が嵌入されるように、センサヘッド42よりも僅かに狭い径の略円柱形状に形成されている。嵌入穴241の入り口(ギャップ面22fと隣接する開口)にはテーパー242が形成され、サーミスタ40を嵌入穴241内に挿入し易くなっている。また、直線コア部22aを直線コイル部12a内に差し込む際にセンサ固定部24が直線コイル部12aと干渉しないよう、センサ固定部24の突出部244、245は内側面22sから所定の高さで(すなわち、対向する直線コイル部12aの内周面と平行な面で)切り取られている。そのため、嵌入穴241は外部に露出し、嵌入穴241の円筒面には外部空間と連絡するスリット243がコイル軸方向の全長に亘って形成されている。センサ固定部24が内側面22sから突出した部分は、スリット243よりも上側に配置された上側突出部244と、スリット243よりも下側に配置された下側突出部245に分けられる。上側突出部244は直線コア部22aのX軸方向における略全長にわたって形成されている。一方、下側突出部245の長さ(X軸方向寸法)は、サーミスタ40のセンサヘッド42の全長よりも少し長い程度となっている。また、嵌入穴241も下側突出部245と同じ長さに形成されており、嵌入穴241の先端(図5、図6における右端)には壁部246が形成されている。壁部246には、外部空間と連絡する開口247が形成されている。
【0037】
本実施形態のリアクトル1に取り付けられるサーミスタ40は、略円柱形状のセンサヘッド42と、センサヘッド42の基端から延びるリード44を備えている。なお、サーミスタ素子は、センサヘッド42内の先端部付近に配置されている。サーミスタ40を取り付ける際、センサヘッド42は基端側から嵌入穴241に差し込まれる。センサヘッド42を嵌入穴241の最奥部まで差し込むと、センサヘッド42の基端が壁部246と当接する。これにより、センサヘッド42はコアモジュール20に対してX軸方向において位置決めされる。また、センサヘッド42は嵌入穴241に嵌入されることにより、コアモジュール20に対してY軸及びZ軸方向において位置決めされる。従って、センサヘッド42を嵌入穴241に最奥部まで差し込むことにより、センサヘッド42はコアモジュール20に対して精度良く位置決めされる。また、リード44は、壁部246に設けられた開口247に通され、上側突出部244の下面に沿って連結コア部21まで配線される。なお、上側突出部244の下面も、嵌入穴241と同じ径の円柱面となっている。また、開口247はスリット243と連絡しており、リード44はセンサ固定部24の側面からスリット243を介して開口247に通される。
【0038】
連結コア部21の樹脂被覆部には、直線コア部22aの内側面22sとの境界付近に、上下方向(Z軸方向)に延びるガイド溝26が形成されている。また、連結コア部21の上面には、ガイド溝26の付近に、リードを巻き付けて固定するための3つのリード巻き付けピン21tが形成されている。リード巻き付けピン21tも被覆樹脂から形成された構造である。上側突出部244により連結コア部21までガイドされたリード44は、ガイド溝26内を通って連結コア部21の上面までガイドされ、弛まないようにリード巻き付けピン21tに絡げられた後、図示しない制御部まで配線される。このように、リード44は、上側突出部244及びガイド溝26により所定の位置に確実に配線されるため、リード44がリアクトル1の組み立ての障害になることが防止される。また、ガイド溝26がリード44を収容するため、U型コアユニット20aにコイル10を装着する際に、リード44がコイル10の連結コア部21への接近を妨げることがなく、コイル10は連結コア部21のフランジ部20fと確実に当接し、正しく位置決めされる。
【0039】
上記の実施形態のような構造のリアクトルでは、コイル10の上面中央の折曲部がリアクトル内で最高温度に到達するホットスポットH(図1)となる。リアクトルの温度制御の目的は、このホットスポットHの温度を上限値以下に維持することである。しかしながら、実製品ではホットスポットHの正確な温度測定は難しく、そのためホットスポットHの温度と相関の高い測定値が得られ、尚且つ取り付けが容易な箇所にサーミスタが配置される。すなわち、サーミスタの配置及び固定構造の決定においては、サーミスタの測定値とホットスポットHの実温度との相関と、サーミスタの取り付け容易性が重要な要素となる。
直線コイル部12aと12bの隙間(すなわちコイル外部)にセンサヘッドを配置する従来の構成では、リアクトルの作動中にサーミスタがピーク温度を検出するタイミングは、ホットスポットHの実温度がピークに到達するタイミングよりも数秒から10数秒遅延する。
一方、上記実施形態のリアクトル1では、サーミスタがピーク温度を検出するタイミングの、ホットスポットHの実温度がピークに到達するタイミングに対する遅延時間は、検出限界(0.1秒)以下であった。
また、コイル10とコアモジュール20の下面、上面、及び外側面との間にセンサヘッドを配置した場合でも、それぞれピーク温度を検出するタイミングの遅延時間は、同様に検出限界以下であった。
すなわち、コアとコイルとの間にセンサヘッドを配置する構成により、ホットスポットHの温度変化に対して時間遅れの無い温度測定が可能になる。
【0040】
また、コイル外部にセンサヘッドを配置する従来の構成では、センサヘッドがコイルによってコアから遮蔽されているため、コアの温度変化を敏速に検出することができなかった。上記実施形態では、2つの主要な発熱部材であるコアとコイルの間にセンサヘッドを配置する構成により、コアとコイルの両方の温度変化が高い感度で敏速に検出されるようになり、より適切な温度管理が可能になる。
【0041】
また、上記の実施形態では、センサヘッド42は、嵌入穴241に嵌入され、壁部246と当接することにより、センサ固定部24(すなわちコア20)に対して全ての方向で正確に位置決めされる。これにより、センサヘッドの配置のバラツキに起因する測定誤差が低減する。
【0042】
また、上記の実施形態では、コアモジュールの樹脂被覆部(ボビン部)にセンサ固定部24を設ける構成により、サーミスタのセンサヘッドを取り付けるための新たな部材が不要となり、またセンサヘッドの取り付けに必要なスペースも削減される。特に、直線コイル部間にセンサ固定構造を設けた従来の構成と比べ、リアクトルの幅方向(Y軸方向)寸法を小さくすることができる。
【0043】
また、上記の実施形態では、嵌入穴241にスリット243が形成されているため、上側突出部244と下側突出部245が比較的に自由に弾性変形することができ、嵌入穴241とセンサヘッド42との間に適度な嵌合力を与えることができる。この構成により、嵌入穴241にセンサヘッド42を差し込み易く、また一度差し込んだら抜け難いセンサ固定構造が実現する。
【0044】
また、センサ固定部24のスリット243が、壁部246に形成された開口247と連絡する構成により、サーミスタ40のリード44を細い開口247に挿し通すことなく、センサ固定部24の側面からスリット243を介して開口247に引き入れることができるため、手間を掛けずにサーミスタを取り付けることができる。
【0045】
上記の実施形態では、サーミスタ40のセンサヘッド42が直線コア部22の内側面22sの下端付近に配置されるが、センサヘッドはコアとコイルとの隙間であれば、任意の位置に配置することができる。例えば、センサヘッドを内側面22sの上端付近に配置してもよい。この場合、センサヘッドはリアクトル内で最高温度となるホットスポットH(図1)付近に配置されるため、ホットスポットの温度に近い測定値を得ることができ、リアクトルの動作をより適切に制御することが可能になる。また、上記の実施形態と同様に、リアクトル本体の幅方向寸法を低減することができる。
【0046】
センサヘッドは、コアの上側(例えばコアモジュールの上面)に配置してもよい。この場合も、センサヘッドはホットスポットH付近に配置されるため、リアクトルのより適切な動作制御が可能になる。また、リアクトルの幅方向(Y軸方向)寸法を更に削減することができる。また、リアクトルの組み立て後にサーミスタを取り付けることができるため、リアクトルが組み立て易くなり、またサーミスタも取り付け易くなる。
【0047】
また、センサヘッドは、コアの下側(例えばコアモジュールの下面)に配置してもよい。この場合も、リアクトルの幅方向寸法を大幅に低減することができる。
【0048】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るリアクトル1000について説明する。以下の第2実施形態に関する説明においては、第1実施形態と同一又は対応する構成に対して、同一又は類似の符号を使用して、重複する説明は省略する。なお、リアクトル1000のコアモジュール1020に設けられたセンサ固定部1024(センサ固定部24)及びリード巻き付け部1021t(リード巻き付けピン21t)を除く構成は、第1実施形態のリアクトル1と同一であるため、第2実施形態については第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0049】
図7は、サーミスタ40を取り付けたリアクトル1000のコアモジュール1020の斜視図である。なお、以下の第2実施形態に関する説明において、図7における左下側から右上側に向かう方向を奥行き方向(X軸方向)、右下側から左上側に向かう方向を幅方向(Y軸方向)、下側から上側に向かう方向を高さ方向(Z軸方向)と定義する。また、図8はコアモジュール1020の平面図であり、図9はコアモジュール1020をX軸負方向で見た側面図である。
【0050】
リアクトル1000においては、サーミスタ40のセンサヘッド42を固定するセンサ固定部1024が、コアモジュール1020を構成するU型コアユニット1020aの直線コア部1022aの上面に形成されている。センサ固定部1024は、センサヘッド42が収容される溝部1241を有している。溝部1241は、フランジ部1020fからX軸正方向に延びている。また、センサヘッド42の先端部が収容される溝部1241の先端部(図8における上端部)は、直線コア部1022aのX軸方向及びY軸方向における略中央に形成されている。溝部1241はフランジ部1020fを貫通し、U型コアユニット1020aの端(図8における下端)まで達している。フランジ部1020fには貫通穴1244が形成されている。また、フランジ部1020fの溝部1241近傍には、上方に突出した突出部1243が形成されている。
【0051】
また、フランジ部1020fのX軸正方向側(図8における下側)に隣接して、溝部1241のY軸正方向側(図8における右側)には、サーミスタ40のリード44を巻き付ける(若しくは引っ掛ける)ためのリード巻き付け部1021tが設けられている。リード巻き付け部1021tは、連結コア部1021cの上面から突出した直立部1211と、直立部1211の上端からY軸正方向側に延びる腕部1212を有している。腕部1212は先端において下方に延び、リード巻き付け部1021tはX軸方向から見て略Γ字状に形成されている。
【0052】
溝部1241の先端側(図8における上側)は、センサヘッド42の外径よりも若干広い一定の溝幅を有する等幅部1241aとなっている。また、溝部1241の基端側(図8における下側)は、フランジ部1020fに近づくほど溝幅が広がる略V字状の拡張部1241bとなっている。具体的には、拡張部1241bにおいて、溝部1241のY軸負方向側(図8における左側)の側壁が、フランジ部1020fに近づくほどY軸負方向側に変位するように、溝部1241の他方の側壁(ZX平面と平行)に対して傾斜している。以下、この傾斜した側壁を「傾斜側壁1241s」と呼ぶ。
【0053】
フランジ部1020fに形成された異形の貫通穴1244は、傾斜側壁1241s側に形成された大径部1244aと、溝部1241の他方の側壁側に形成されたスリット部1244bを有している。大径部1244aは、略丸穴状であり、センサヘッド42の外径よりも若干広い径に形成されている。また、スリット部1244bは、Y軸方向に細長く形成されている。スリット部1244bの短尺方向(Z軸方向)の寸法は、センサヘッド42の外径より小さく、リード44の幅よりも大きくなっている。すなわち、大径部1244aにはセンサヘッド42及びリード44が通過可能であり、スリット部1244bにはリード44は通過可能であるがセンサヘッド42は通過することができない。
【0054】
センサ固定部1024にサーミスタ40のセンサヘッド42を固定するときは、貫通穴1244の大径部1244aから溝部1241にセンサヘッド42を先端から差し込み、センサヘッド42の全体が溝部1241に収容された後、センサヘッド42の基端から延びるリード44を貫通穴1244のスリット部1244bへ移動する。次いで、リード44を弛まないように軽く引っ張りながらリード巻き付け部1021tに巻き付ける。このとき、センサヘッド42は、リード44に引っ張られて貫通穴1244に接近するが、スリット部1244bを通過できず、センサヘッド42の基端がフランジ部1020fに突き当たり、固定される。
【0055】
貫通穴1244のスリット部1244bは、大径部1244aよりもリード巻き付け部1021t側に形成されている。そのため、リード44を引っ張った状態でリード巻き付け部1021tに絡げると、リード44はスリット部1244bから大径部1244aへ外れなくなり、センサヘッド42が大径部1244aを通って溝部1241から抜け落ちることが防止される。また、リード44は、リード巻き付け部1021tの直立部1211における貫通穴1244から遠位側(図9における右側)の側面に引っ掛けられる。リード巻き付け部1021tの腕部1212も貫通穴1244に対して遠位側に形成されているため、腕部1212によりリード44が直立部1211の側面を滑って抜けることが防止される。また、突出部1243のリード巻き付け部1021t側には、凹部1245が形成されている。これにより、直立部1211と突出部1243の間に広い隙間が確保され、突出部1243がリード44の巻き付けを阻害することが防止される。また、上述のように、溝部1241は、フランジ部1020fを貫通して、連結コア部1021cの上面にも達してガイド溝1246を形成している。連結コア部1021cの上面に形成された溝部1241は、センサヘッド42を貫通穴1244に通す際にガイドとして機能し、センサヘッド42を貫通穴1244に通し易くしている。
【0056】
(第2実施形態の変形例)
上記の第2実施形態では、センサヘッド42が収容されるセンサ固定部1024の溝部1241が直線コア部1022の上面に形成されているが、コアモジュール1020の他の面(例えば、直線コア部1022の外側面、下面、内側面等)に溝部を配置してもよい。次に、センサ固定部の溝部を直線コア部の外側面に設けた、本発明の第2実施形態の変形例について説明する。なお、以下の変形例の説明において、上記の第2実施形態と同一又は対応する構成に対して、同一又は類似の符号を使用して、重複する説明は省略する。
【0057】
図10は、本発明の第2実施形態の変形例に係るリアクトル2000のコアモジュール2020(サーミスタ40を取り付けた状態)の斜視図である。以下の説明において、図10における左下側から右上側に向かう方向を奥行き方向(X軸方向)、右下側から左上側に向かう方向を幅方向(Y軸方向)、下側から上側に向かう方向を高さ方向(Z軸方向)と定義する。また、図11はY軸正方向で見た側面図であり、図12はX軸正方向で見た側面図である。
【0058】
リアクトル2000においては、サーミスタ40のセンサヘッド42を固定するセンサ固定部2024が、コアモジュール2020を構成するU型コアユニット2020aの直線コア部2022aの外側面に形成されている。センサ固定部2024は、センサヘッド42が収容される溝部2241を有している。溝部2241は、フランジ部2020fからX軸正方向に延びている。図11に示されるように、溝部2241はフランジ部2020f側ほど溝幅が広くなる略V字状に形成されている。すなわち、溝部2241は全体が拡張部となっている。溝部2241の先端における溝幅は、センサヘッド42の外径よりも若干広くなっている。また、センサヘッド42の先端部が収容される溝部2241の先端(図11における右端)は、直線コア部2022aのX軸方向及びZ軸方向における略中央に形成されている。
【0059】
溝部2241の下側の側壁2241tは、フランジ部2020f側(X軸負方向側)が高くなるように、XY面(水平面)に対して僅かに傾斜している。また、溝部2241の上側の側壁2241sは、XY面に対して側壁2241tと同じ方向に、更に傾斜している。溝部2241は、フランジ部2020fを貫通し、フランジ部2020fには貫通穴2244が形成されている。
【0060】
フランジ部2020fには、上述の第2実施形態と同様の、異形の貫通穴2244が形成されている。貫通穴2244は、側壁2241s側(図12において下側)に形成された大径部2244aと、溝部2241の側壁2241t側(図12において上側)に形成されたスリット部2244bを有している。大径部2244aは、略丸穴状であり、センサヘッド42の外径よりも若干広い径に形成されている。また、スリット部2244bは、Z軸方向に細長く形成されている。スリット部2244bの短尺方向(X軸方向)の寸法は、センサヘッド42の外径より小さく、リード44の幅よりも大きくなっている。すなわち、大径部2244aにはセンサヘッド42及びリード44が通過可能であり、スリット部2244bにはリード44は通過可能であるがセンサヘッド42は通過することができない。
【0061】
フランジ部2020fの貫通穴2244の周囲からは、上側が開いた略U字状のガイド溝部2246がX軸負方向へ突出している。ガイド溝部2246の連結コア部2021c側の壁部2246aは、連結コア部1021cと一体化している。壁部2246aの先端部(図11における左端部)の上端には、リード巻き付け部2021tが設けられている。リード巻き付け部2021tは、連結コア部2021cの上面から垂直に突出した直立部2211と、直立部2211の上端からY軸正方向側に延びる腕部2212を有している。
【0062】
センサ固定部2024にサーミスタ40のセンサヘッド42を固定するときは、貫通穴2244の大径部2244aから溝部2241にセンサヘッド42を先端から差し込み、センサヘッド42の全体が溝部2241に収容された後、リード44をリード巻き付け部2021tに引っ掛けてから引っ張ると、リード44は上方へ引き上げられて、貫通穴2244のスリット部2244bへ移動する。このとき、センサヘッド42は、リード44に引っ張られて貫通穴2244に接近するが、スリット部2244bを通過できず、センサヘッド42の基端がフランジ部2020fに突き当たり、固定される。
【0063】
貫通穴2244のスリット部2244bは、大径部2244aよりもリード巻き付け部2021t側に形成されている。そのため、リード44をリード巻き付け部2021tに引っ掛けてから引っ張って弛みを取ると、リード44はスリット部2244bから外れなくなり、センサヘッド42が大径部2244aを通って溝部2241から抜け落ちることが防止される。また、リード44は、リード巻き付け部2021tの直立部2211における貫通穴2244に対する遠位側(図11における左側)の側面に引っ掛けられる。リード巻き付け部2021tの腕部2212も貫通穴2244に対して遠位側に形成されているため、腕部2212によりリード44が直立部2211の側面を滑って抜けることが有効に防止される。また、略U字状のガイド溝部2246は、センサヘッド42を貫通穴2244に差し込む際にガイドとして機能し、センサヘッド42を貫通穴2244に通し易くしている。
【0064】
上述した第2実施形態及びその変形例では、貫通穴1244、2244は外部から閉じた穴であるが、これらを外部に開いた凹部(溝)としてもよい。
【0065】
また、上述した第2実施形態及びその変形例では、フランジ部1020f、2020fに隣接してセンサ固定部1024、2024の溝部1241、2241が形成され、フランジ部1020f、2020fにセンサヘッド42及びリード44を通す貫通穴1244、2244が形成されているが、フランジ部が形成されていない面にセンサ固定部の溝部を設ける構成としてもよい。その場合には、溝部の拡張部側の一端に貫通穴(大径部及びスリット部)が形成され壁部が設けられる。
【0066】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態も、上記に説明した第2実施形態の変形例と同様に、センサ固定部の溝部がコアモジュールの直線コア部の外側面に設けられている。しかしながら、溝部の形状及び溝部にサーミスタを収容する構成は上記の各実施形態と異なる。図13は、本発明の第3実施形態に係るリアクトル3000のコアモジュール3020をY軸正方向で見た側面図である。なお、リアクトル3000は、第2実施形態の変形例に係るリアクトル2000とは、コアモジュールの構成及びサーミスタの配置のみが異なる。以下の第3実施形態の説明においては、上記の各実施形態と同一又は対応する構成に対して、同一又は類似の符号を使用して、重複する説明は省略する。また、座標も上記の各実施形態と共通のものを使用する。
【0067】
第2実施形態の変形例と同様に、コアモジュール3020のセンサ固定部3024も、フランジ部3020fに形成された貫通穴3244と、貫通穴3244からコアモジュール3020の直線コア部3022の外側面に沿って延びる溝部3241と、貫通穴3244から溝部3241と反対側へ延びるガイド溝部3246と、リード巻き付け部3021tを有している。溝部3241は、貫通穴3244から直線コア部3022の外側面中央部に向かってやや下方(Z軸負方向)に傾斜して形成された導入部3241aと、導入部3241aの先端からやや上方(Z軸正方向)へ傾斜して形成された保持部3241bを有している。導入部3241aと保持部3241bは、それぞれ互いに略平行な2つの側壁(下部側壁3241a1、3241b1及び上部側壁3241a2、3241b2)を有している。また、保持部3241bの下部側壁3241b1と上部側壁3241b2は、略U字状に形成された側壁3241b3によって連結されている。導入部3241aの下部側壁3241a1と保持部3241bの下部側壁3241b1は、段差部3241cを介して連結されている。
【0068】
第3実施形態では、サーミスタ40のセンサヘッド42を溝部内へ差し込み固定する方法が、第2実施形態の変形例と異なる。第2実施形態の変形例では、サーミスタ40のセンサヘッド42は、先端から溝部2241に差し込まれ、センサヘッド42の全体が溝部2241に収容された後、センサヘッド42の基端から延びるリード44を引っ張って、基端をフランジ部2020fに突き当てることで、センサヘッド42の位置決め及び固定がなされる。他方、第3実施形態では、リード44がセンサヘッド42の基端から出た直後でU字状に折り返された状態で、センサヘッド42が基端側から溝部3241に差し込まれ、センサヘッド42の全体が保持部3241bに到達した後にリード44が引っ張られて、センサヘッド42の先端が段差部3241cに突き当てられることで、センサヘッド42の位置決め及び固定がなされる。
【0069】
このように、第3実施形態では、第2実施形態及びその変形例のようにセンサヘッド42をフランジ部3020fに突き当ることで固定する構成が採用されていないため、貫通穴3244は第2実施形態の貫通穴2244の様な異形の穴ではなく、センサヘッド42と折り返されたリード44が通過できる大きさの単純な長穴(例えば長丸穴や長角穴)として形成されている。
【0070】
また、第3実施形態では、ガイド溝部3246のY軸負方向側(図13における紙面表側)の壁部3246bの上端にリード巻き付け部3021tが設けられている。しかし、リード巻き付け部3021tは、第2実施形態の変形例と同様に、連結コア部2021c側の壁部や、連結コア部2021cの上面に設けてもよい。
【0071】
また、第3実施形態では、2つのU型コアユニット3020a、3020bの直線部が略同じ長さに形成されており、溝部3241は2つのU型コアユニット3020a、3020bに跨って形成されている。しかし、第2実施形態と同様に、U型コアユニット3020aの直線部をU型コアユニット3020bよりも長くし、溝部3241をU型コアユニット3020aのみに形成してもよい。同様に、第1及び第2実施形態においても、第3実施形態と同様に、2つのU型コアユニット3020a、3020bに跨って溝部が形成され構成としてもよい。
【0072】
以上が本発明の3つの例示的な実施形態の説明である。本発明の実施の形態は、上記に説明したものに限定されず、特許請求の範囲の記載により表現された技術的思想の範囲内で任意に変更することができる。
【0073】
例えば、上記の各実施形態では、コイル装置本体(例えば、リアクトル本体1a)は放熱ケース内に収容されているが、放熱ケースは必ずしも必要ではない。また、放熱ケースの代わりに単なる板状のベースの上にコイル装置本体を固定してもよい。また、コイル装置本体を取り付けるケースやベースは、必ずしも熱伝導性の優れた金属から形成された、放熱機能を有するものでなくてもよい。
【0074】
上記の各実施形態では、コアモジュールの樹脂被覆部(ボビン部)に設けた構造のみでセンサヘッドを固定する構成であるが、センサヘッドを接着剤や固定具でコアモジュールに取り付けてもよい。
【0075】
上記の各実施形態は、磁性体のコアとボビン(樹脂被覆部)が射出成形により一体に形成されたコアモジュールを使用するコイル装置に本発明を適用した例であるが、コアと別体に形成した樹脂製の絶縁ボビンを使用する構成にも本発明を適用することができる。この場合、ボビンにセンサ固定部を設けてもよい。
【0076】
また、上記の各実施形態は、サーミスタのコイル装置への取り付けに本発明を適用した例であるが、当然ながら別種の温度センサ(熱電対、白金測温体等)の取り付けにも本発明を適用することができる。また、温度センサ以外の各種センサ(例えば、湿度センサ、ガスセンサ、振動センサ、磁気センサ、電位センサ、音圧センサ等)の取り付けにも本発明を適用することができる。
【0077】
また、上記の各実施形態は、互いに平行な2つの直線部を有するリングコアの各直線部が、直列に連結された直線コイルでそれぞれ巻回された構成のリアクトルであるが、本発明が適用されるコイル装置の構成はこれに限定されない。例えば、E型コア及びI型コアから構成された「日」字形コアと3つの直線コアからなる3相リアクトルにも本発明を適用することができる。また、リアクトルに限らず、変圧器その他のコイル装置にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0078】
1、1000、2000、3000 リアクトル
10 コイル
20、1020、2020,3020 コアモジュール
20a、20b、1020a、2020a、3020a、3020b U型コアユニット
24、1024、2024、3024 センサ固定部
40 サーミスタ
H ホットスポット
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサを備えたコイル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド自動車や電気自動車の駆動システム等で使用される大容量のコイル装置(例えばリアクトル)は、高負荷時に鉄損や銅損による発熱量が多く、高負荷の状態で使用し続けると、コアやコイルが過熱して特性が低下する。そのため、一部の大容量のコイル装置には、温度センサ(例えばサーミスタ)によりコイル装置内の温度を監視し、コイル装置が一定温度以上に昇温しないように制御する構成が採用されている。
【0003】
特許文献1に開示されるリアクトルは、互いに平行に配置され、一端同士が連結された一対の直線コイルを有しており、この直線コイルの間に温度センサが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−203998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のセンサ配置では、コイルの温度変化に対しては高い応答性が得られるが、温度センサがコイルによってコアから遮蔽されているため、コアの温度変化を敏速に検出することができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係るコイル装置は、コイルと、少なくとも一部がコイル内に通されたコアとを備えたコイル装置であって、コイル装置内の所定の物理量を検出するセンサを更に備え、センサのセンサヘッドがコアとコイルの間に配置されたコイル装置である。
この構成によれば、コイルの状態の変化(例えば温度変化)をより敏速に検出することが可能になる。また、コアとセンサヘッドの間がコイルによって遮蔽されないため、コアの状態の変化も敏速かつ感度良く検出される。
【0007】
コアの少なくともコイルと対向する面を被覆する絶縁被覆部材を更に備え、センサヘッドは絶縁被覆部材とコイルの間に配置されていてもよい。
この構成によれば、コアとコイルとの確実な絶縁が確保される。
【0008】
絶縁被覆部材には、センサヘッドを固定するセンサ固定部が形成されていてもよい。
この構成によれば、センサヘッドをコイル装置に取り付け易く、またセンサ固定部が形成された所定の位置にセンサヘッドを取り付けることが可能になる。
【0009】
センサヘッドは略円柱状であり、センサ固定部は、センサヘッドの円柱面が嵌入される嵌入穴を有してもよい。
この構成によれば、他の取り付け部材(例えば螺子や固定金具)が不要であり、センサヘッドを嵌入穴に差し込むだけでセンサが固定されるため、少ない作業時間でセンサを取り付けることができる。また、嵌入穴の半径方向にセンサヘッドを精度良く位置決めすることができる。
【0010】
嵌入穴のコイル側には、嵌入穴の軸方向全長に亘って、外部空間と連絡するスリットが形成されていてもよい。
この構成によれば、センサヘッドの外径のバラツキによって嵌合力が大きく変化しないため、常に適度な嵌合力でセンサヘッドを固定することができる。
【0011】
センサ固定部は、嵌入穴の先端に形成された、センサヘッドの端面の一方と当接する壁部を更に有してもよい。
この構成によれば、センサヘッドの端面(例えば基端)を壁部に突き当てることにより、センサヘッドを軸方向に精度良く位置決めすることができる。
【0012】
センサは、センサヘッドの一方の端面から延びるリードを備え、コアは、平行に並べられた第1及び第2の直線コア部と、第1及び第2の直線コア部の隣接する端部同士をそれぞれ連結する一対の連結コア部とを有するリングコアであり、第1及び第2の直線コア部並びに一対の連結コア部は絶縁被覆部材により被覆され、コイルは、第1及び第2の直線コア部がそれぞれ通された第1及び第2の直線コイルを含み、センサ固定部は、絶縁被覆部材の第1の直線コア部を被覆する部分における、第2の直線コア部と対向する内側面に形成され、絶縁被覆部材の連結コア部を被覆する部分には、リードを収容して連結コア部の上面までガイドするガイド溝が内側面に沿って形成されていてもよい。
この構成によれば、部品点数を増やすことなくセンサ固定部を設けることができ、リードがリアクトル本体の組み立ての妨げになることも防止される。また、内側面の温度は、比較的にホットスポットの温度に近い為、センサが温度センサである場合には、このセンサを使用してホットスポットの温度を適切に制御することが可能である。
【0013】
内側面には、内側面から突出し、その下面によりセンサ固定部からガイド溝までリードをガイドする上側突出部が形成されていてもよい。
この構成によれば、センサ固定部からガイド溝まで所望の経路でリードを配線することが可能になる。
【0014】
連結コア部の上面におけるガイド溝の付近には、リードを固定するリード固定部が形成されていてもよい。
この構成によれば、上側突出部及びガイド溝により連結コア部の上面までガイドされたリードをリード巻き付け部に弛み無く巻き付けることで、センサヘッドはセンサ固定部内に固定される。また、コアにコイルを装着する際に、リードの弛みにより、リードがコイルと接触して、コイルの装着を阻害することがない。
【0015】
センサヘッドは略柱状であり、センサは、センサヘッドの一端面から延びるリードを備え、センサ固定部は、センサヘッドを収容する溝部と、溝部の一端に形成され、センサヘッドの一方の端面と当接する壁部と、を有し、壁部には、センサヘッドよりも細く、リードが通されるスリットが形成されるよう構成されてもよい。
この構成によれば、溝部にセンサヘッドを収容し、リードをスリットから引き出して、センサヘッドの一端面を壁部に当接させることで、センサヘッドを取り付けるための追加部品を要することなく、センサヘッドを所定の位置に正確に配置することができる。
【0016】
溝部の少なくとも壁部側は、壁部に向かって溝幅が広がる拡張部となっており、スリットの一端は、壁部に形成された、センサヘッドの横断面よりも広い空隙部に開いており、スリットの他端は閉じているように構成されてもよい。
この構成によれば、センサヘッドを横断面よりも広い空間を介して溝部に導入した後、リードをスリットに差し込んでから溝部と反対側へ引っ張り、センサヘッドの一端面を壁部に当接させることで、センサヘッドを所定の位置に正確に配置することができる。すなわち、溝部が形成されるコアとコイルとの隙間(及び溝を長手方向に延長した空間)内でセンサヘッドを移動させるだけで、センサヘッドを所定の位置に配置することができるため、コイルにコアを差し込んだ後でも、センサヘッドの装着が可能になる。
【0017】
センサ固定部は、スリットの他端側に立設された、リードが巻き付けられ又は引っ掛けられるリード巻き付け部を更に有するように構成されてもよい。
この構成によれば、センサヘッドを溝部に収容した後に、リードをリード巻き付け部に巻き付け又は引っ掛けることで、スリットの閉じた他端にリードが押し当てられて、リードがスリットから抜けなくなる。
【0018】
リード巻き付け部は、コアの表面から突出する直立部と、直立部の先端からコアの表面と略平行に、スリットと反対側へ延びる腕部とを有するように構成されてもよい。
この構成によれば、リードが掛けられる直立部のスリットに対する反対側へ延びる腕部により、リードが直立部の先端から抜けることが防止される。
【0019】
コイルが一面に沿って配置され、コア及びコイルが固定されるベースを更に備え、リード巻き付け部は、コアのベースに対する反対側の面に立設されるように構成されてもよい。
この構成によれば、コイル装置を組み立てた後(コア及びコイルをベース上に取り付けた後)でも、センサをコイル装置に容易に取り付けることができる。
【0020】
隙間は、壁部に形成されたスリットと連絡する貫通穴又は凹部であってもよい。
この構成によれば、貫通穴又は凹部を介してセンサヘッドを溝部に差し込むことができる。
【0021】
センサ固定部は、壁部に対して溝部と反対側に設けられた、貫通穴又は凹部を介して溝部と連絡する、ガイド溝を更に有する構成であってもよい。
この構成によれば、ガイド溝がセンサヘッドを貫通穴又は凹部まで案内するため、センサヘッドを貫通穴又は凹部に通すことが容易になる。
【0022】
コイルは直線コイル部を有し、コアは、直線コイル部内に配置された直線コア部を有し、絶縁被覆部材は、直線コア部の両端部の側面から突出し、直線コイル部を軸方向両側から挟み込むフランジ部を更に有し、壁部はフランジ部の一部として形成された構成であってもよい。
この構成によれば、コイル装置を組み立てた後で、フランジ部に形成された隙間(貫通穴又は凹部)を介してコアとコイルとの間の所定の位置にセンサヘッドを配置することが可能になる。
【0023】
絶縁被覆部材は、インサート成形によりコアと一体に成形されていてもよい。
この構成によれば、コアと絶縁被覆部材(ボビン)との隙間を最小化できるため、コイル装置が小型化される。
【0024】
絶縁被覆部材は、コアと別体に形成されたボビンであってもよい。
この構成によれば、従来構造のコイル装置に対しても、大幅な設計変更や製造設備の変更を行わずに、ボビンの形状を変更するだけで、本発明の適用が可能になる。
【0025】
センサは温度センサであってもよい。
この構成によれば、コイル装置のより適切な温度管理が可能になる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の実施形態の構成により、コア及びコイルの双方の状態に対して高い応答性を有するセンサ固定構造が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施形態に係るリアクトルの斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るリアクトルの分解図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るU型コアコアユニットの斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るU型コアコアユニットの正面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係るU型コアコアユニットの平面図である。
【図6】図5におけるA−A断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係るコアモジュールの斜視図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係るコアモジュールの平面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係るコアモジュールの側面図である。
【図10】本発明の第2実施形態の変形例に係るコアモジュールの斜視図である。
【図11】本発明の第2実施形態の変形例に係るコアモジュールのY方向側面図である。
【図12】本発明の第2実施形態の変形例に係るコアモジュールのX方向側面図である。
【図13】本発明の第3実施形態の変形例に係るコアモジュールのY方向側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の第1実施形態に係るリアクトル1(図1〜6)、第2実施形態に係るリアクトル1000(図7〜9)及び第2実施形態の変形例に係るリアクトル2000(図10〜12)、及び第3実施形態に係るリアクトル3000(図13)について、図面を参照しながら説明する。
【0029】
(第1実施形態)
最初に第1実施形態について説明する。図1はリアクトル1の斜視図であり、図2はその分解図である。なお、以下の第1実施形態に関する説明において、図1における左下側から右上側に向かう方向を奥行き方向(X軸方向)、右下側から左上側に向かう方向を幅方向(Y軸方向)、下側から上側に向かう方向を高さ方向(Z軸方向)と定義する。なお、リアクトル1を使用する際には、リアクトル1をどのような方向に向けて配置してもよい。
【0030】
図1及び図2に示されるように、リアクトル1は、コイル10、コアモジュール20、一対のコア固定具30、サーミスタ40、放熱ケース50、及び端子台60を備えている。コイル10とコアモジュール20によりリアクトル本体1aが構成される。リアクトル本体1a(具体的にはコアモジュール20)のX軸方向両端には、それぞれコア固定具30を取り付けるための一対のブラケット21bが形成されている。ブラケット21bには、インサート成形によりナットが埋め込まれている。コア固定具30の取り付け穴に通した2本のボルト72を、一対のブラケット21bに埋め込まれたナットの雌ねじにねじ込み、締め付けることで、コア固定具30がコアモジュール20に取り付けられている。
【0031】
放熱ケース50は、熱伝導性が良好で軽量な金属(例えばアルミニウム合金)から形成された略箱形の部材であり、リアクトル本体1aを収容する。放熱ケース50のX軸方向両端部の内側には、コア固定具30を取り付けるための雌ねじ52fを有する取り付け座52が形成されている。コア固定具30を取り付けたリアクトル本体1aを放熱ケース50内に収容して、ボルト74によりコア固定具30を取り付け座52に固定することで、リアクトル本体1aは放熱ケース50内に固定される。リアクトル本体1aが放熱ケース50内に取り付けられた後、放熱ケース50とリアクトル本体1aとの隙間に充填剤(不図示)が充填される。また、放熱ケース50は、強制冷却装置の冷却面上に設置される。すなわち、放熱ケース50の底面50bは強制冷却装置の冷却面と接触し、リアクトル1内で発生した熱の大半は、放熱ケース50の底面50bを介して強制冷却装置の冷却面に流出する。
【0032】
放熱ケース50の縁部の一端には、ボルト76により端子台60が取り付けられている。端子台60は、バスバー62a及び62bを備えており、各バスバー62a、62bは、それぞれコイル10のリード部13a、13bと溶接される。
【0033】
図2に示されるように、コアモジュール20は、2つの略U字状に形成されたU型コアユニット20a及び20bのU字の先端同士を、ギャップ部材20gを介して突き合わせて接着剤で貼り合わせた、略O字形のリングコアである。U型コアユニット20a及び20bは、それぞれ磁性体から形成されたU型コアを射出成形(インサート成形)により樹脂で被覆したものである。なお、この樹脂被覆は、コアとコイルとの電気的絶縁を確保するために従来使用されていた絶縁ボビンがコアと一体に成形されたものである。ギャップ部材20gは、所定の厚さを有する非磁性体(例えば、アルミナ等の各種セラミックスや樹脂)の板材である。なお、U型コアユニット20aには、サーミスタ40のセンサヘッド42を固定するためのセンサ固定部24(図3〜図6)が形成されている。センサ固定部24の詳細は後述する。
【0034】
図3、図4及び図5は、それぞれセンサ固定部24が形成されたU型コアユニット20aの斜視図、正面図及び平面図である。また、図6は、図5におけるA−A断面図である。U型コアユニット20aは、一対の互いに平行に配置された略直方体状の直線コア部22a、22bと、直線コア部22a、22bを連結する略台形柱状(略台形の底面を有する直柱体状)の連結コア部21を有する。直線コア部22a、22bには、それぞれ磁性体から形成された略直方体状のI型コア断片22cが埋め込まれている。また、連結コア部21には、磁性体から形成された略台形柱状の連結コア断片21c(図6)が埋め込まれている。2つのI型コア断片22cは、それぞれ非磁性体のギャップ部材(不図示)を介して連結コア断片21cと接着固定され、略U字状のU型コアに成形される。このU型コアを射出成形(インサート成形)により樹脂で被覆したものがU型コアユニット20aである。なお、ギャップ面となるU型コアユニット20aの両端面22fは、被覆されずに露出している。U型コアユニット20aの被覆樹脂にはポリフェニレンサルファイド(PPS)等の耐熱樹脂が使用される。また、本実施形態では、各コア断片21c、22cに圧粉磁心が使用されるが、ケイ素鋼板やフェライトを使用してもよい。なお、U型コアユニット20bも、U型コアユニット20aと概略構成は同様であるが、直線コア部22a、22bの長さ(X軸方向寸法)が短く、またセンサを固定するための構造が形成されていない点でU型コアユニット20aと異なる。なお、U型コアユニット20aとU型コアユニット20bを全く同一の構成としてもよい。
【0035】
コイル10は、平角エナメル線から形成された2つの同一構造の直線コイル部12a、12bを平行に配置して、一端(図2における右上端)同士を連結させた構造を有している。2つの直線コイル部12a、12bの中空部に、U型コアユニット20aの2つの直線コア部22a、22bをそれぞれ通した後、ギャップ部材20gを介してU型コアユニット20bと端面同士を突き合わせて接着すると、リアクトル本体1aが形成される。図2に示されるように、各U型コアユニット20a、20bの直線コア部22a、22bと連結コア部21との境界部には、それぞれフランジ部20fが形成されている。コイル10は、各U型コアユニット20a、20bのフランジ部20fの間で挟まれて、X軸方向へ移動しないようになっている。
【0036】
次に、U型コアユニット20aに形成されたセンサ固定部24の詳細を説明する。図3及び図4に示すように、本実施形態のセンサ固定部24は、直線コア部22aにおける直線コア部22bと対向する面(内側面22s)の下部に配置され、直線コア部22aの樹脂被覆から形成されている。センサ固定部24は内側面22sより突出しており、内部にはコイル軸方向(X軸方向)に延びる嵌入穴241が形成されている。嵌入穴241は、サーミスタ40のセンサヘッド42が嵌入されるように、センサヘッド42よりも僅かに狭い径の略円柱形状に形成されている。嵌入穴241の入り口(ギャップ面22fと隣接する開口)にはテーパー242が形成され、サーミスタ40を嵌入穴241内に挿入し易くなっている。また、直線コア部22aを直線コイル部12a内に差し込む際にセンサ固定部24が直線コイル部12aと干渉しないよう、センサ固定部24の突出部244、245は内側面22sから所定の高さで(すなわち、対向する直線コイル部12aの内周面と平行な面で)切り取られている。そのため、嵌入穴241は外部に露出し、嵌入穴241の円筒面には外部空間と連絡するスリット243がコイル軸方向の全長に亘って形成されている。センサ固定部24が内側面22sから突出した部分は、スリット243よりも上側に配置された上側突出部244と、スリット243よりも下側に配置された下側突出部245に分けられる。上側突出部244は直線コア部22aのX軸方向における略全長にわたって形成されている。一方、下側突出部245の長さ(X軸方向寸法)は、サーミスタ40のセンサヘッド42の全長よりも少し長い程度となっている。また、嵌入穴241も下側突出部245と同じ長さに形成されており、嵌入穴241の先端(図5、図6における右端)には壁部246が形成されている。壁部246には、外部空間と連絡する開口247が形成されている。
【0037】
本実施形態のリアクトル1に取り付けられるサーミスタ40は、略円柱形状のセンサヘッド42と、センサヘッド42の基端から延びるリード44を備えている。なお、サーミスタ素子は、センサヘッド42内の先端部付近に配置されている。サーミスタ40を取り付ける際、センサヘッド42は基端側から嵌入穴241に差し込まれる。センサヘッド42を嵌入穴241の最奥部まで差し込むと、センサヘッド42の基端が壁部246と当接する。これにより、センサヘッド42はコアモジュール20に対してX軸方向において位置決めされる。また、センサヘッド42は嵌入穴241に嵌入されることにより、コアモジュール20に対してY軸及びZ軸方向において位置決めされる。従って、センサヘッド42を嵌入穴241に最奥部まで差し込むことにより、センサヘッド42はコアモジュール20に対して精度良く位置決めされる。また、リード44は、壁部246に設けられた開口247に通され、上側突出部244の下面に沿って連結コア部21まで配線される。なお、上側突出部244の下面も、嵌入穴241と同じ径の円柱面となっている。また、開口247はスリット243と連絡しており、リード44はセンサ固定部24の側面からスリット243を介して開口247に通される。
【0038】
連結コア部21の樹脂被覆部には、直線コア部22aの内側面22sとの境界付近に、上下方向(Z軸方向)に延びるガイド溝26が形成されている。また、連結コア部21の上面には、ガイド溝26の付近に、リードを巻き付けて固定するための3つのリード巻き付けピン21tが形成されている。リード巻き付けピン21tも被覆樹脂から形成された構造である。上側突出部244により連結コア部21までガイドされたリード44は、ガイド溝26内を通って連結コア部21の上面までガイドされ、弛まないようにリード巻き付けピン21tに絡げられた後、図示しない制御部まで配線される。このように、リード44は、上側突出部244及びガイド溝26により所定の位置に確実に配線されるため、リード44がリアクトル1の組み立ての障害になることが防止される。また、ガイド溝26がリード44を収容するため、U型コアユニット20aにコイル10を装着する際に、リード44がコイル10の連結コア部21への接近を妨げることがなく、コイル10は連結コア部21のフランジ部20fと確実に当接し、正しく位置決めされる。
【0039】
上記の実施形態のような構造のリアクトルでは、コイル10の上面中央の折曲部がリアクトル内で最高温度に到達するホットスポットH(図1)となる。リアクトルの温度制御の目的は、このホットスポットHの温度を上限値以下に維持することである。しかしながら、実製品ではホットスポットHの正確な温度測定は難しく、そのためホットスポットHの温度と相関の高い測定値が得られ、尚且つ取り付けが容易な箇所にサーミスタが配置される。すなわち、サーミスタの配置及び固定構造の決定においては、サーミスタの測定値とホットスポットHの実温度との相関と、サーミスタの取り付け容易性が重要な要素となる。
直線コイル部12aと12bの隙間(すなわちコイル外部)にセンサヘッドを配置する従来の構成では、リアクトルの作動中にサーミスタがピーク温度を検出するタイミングは、ホットスポットHの実温度がピークに到達するタイミングよりも数秒から10数秒遅延する。
一方、上記実施形態のリアクトル1では、サーミスタがピーク温度を検出するタイミングの、ホットスポットHの実温度がピークに到達するタイミングに対する遅延時間は、検出限界(0.1秒)以下であった。
また、コイル10とコアモジュール20の下面、上面、及び外側面との間にセンサヘッドを配置した場合でも、それぞれピーク温度を検出するタイミングの遅延時間は、同様に検出限界以下であった。
すなわち、コアとコイルとの間にセンサヘッドを配置する構成により、ホットスポットHの温度変化に対して時間遅れの無い温度測定が可能になる。
【0040】
また、コイル外部にセンサヘッドを配置する従来の構成では、センサヘッドがコイルによってコアから遮蔽されているため、コアの温度変化を敏速に検出することができなかった。上記実施形態では、2つの主要な発熱部材であるコアとコイルの間にセンサヘッドを配置する構成により、コアとコイルの両方の温度変化が高い感度で敏速に検出されるようになり、より適切な温度管理が可能になる。
【0041】
また、上記の実施形態では、センサヘッド42は、嵌入穴241に嵌入され、壁部246と当接することにより、センサ固定部24(すなわちコア20)に対して全ての方向で正確に位置決めされる。これにより、センサヘッドの配置のバラツキに起因する測定誤差が低減する。
【0042】
また、上記の実施形態では、コアモジュールの樹脂被覆部(ボビン部)にセンサ固定部24を設ける構成により、サーミスタのセンサヘッドを取り付けるための新たな部材が不要となり、またセンサヘッドの取り付けに必要なスペースも削減される。特に、直線コイル部間にセンサ固定構造を設けた従来の構成と比べ、リアクトルの幅方向(Y軸方向)寸法を小さくすることができる。
【0043】
また、上記の実施形態では、嵌入穴241にスリット243が形成されているため、上側突出部244と下側突出部245が比較的に自由に弾性変形することができ、嵌入穴241とセンサヘッド42との間に適度な嵌合力を与えることができる。この構成により、嵌入穴241にセンサヘッド42を差し込み易く、また一度差し込んだら抜け難いセンサ固定構造が実現する。
【0044】
また、センサ固定部24のスリット243が、壁部246に形成された開口247と連絡する構成により、サーミスタ40のリード44を細い開口247に挿し通すことなく、センサ固定部24の側面からスリット243を介して開口247に引き入れることができるため、手間を掛けずにサーミスタを取り付けることができる。
【0045】
上記の実施形態では、サーミスタ40のセンサヘッド42が直線コア部22の内側面22sの下端付近に配置されるが、センサヘッドはコアとコイルとの隙間であれば、任意の位置に配置することができる。例えば、センサヘッドを内側面22sの上端付近に配置してもよい。この場合、センサヘッドはリアクトル内で最高温度となるホットスポットH(図1)付近に配置されるため、ホットスポットの温度に近い測定値を得ることができ、リアクトルの動作をより適切に制御することが可能になる。また、上記の実施形態と同様に、リアクトル本体の幅方向寸法を低減することができる。
【0046】
センサヘッドは、コアの上側(例えばコアモジュールの上面)に配置してもよい。この場合も、センサヘッドはホットスポットH付近に配置されるため、リアクトルのより適切な動作制御が可能になる。また、リアクトルの幅方向(Y軸方向)寸法を更に削減することができる。また、リアクトルの組み立て後にサーミスタを取り付けることができるため、リアクトルが組み立て易くなり、またサーミスタも取り付け易くなる。
【0047】
また、センサヘッドは、コアの下側(例えばコアモジュールの下面)に配置してもよい。この場合も、リアクトルの幅方向寸法を大幅に低減することができる。
【0048】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るリアクトル1000について説明する。以下の第2実施形態に関する説明においては、第1実施形態と同一又は対応する構成に対して、同一又は類似の符号を使用して、重複する説明は省略する。なお、リアクトル1000のコアモジュール1020に設けられたセンサ固定部1024(センサ固定部24)及びリード巻き付け部1021t(リード巻き付けピン21t)を除く構成は、第1実施形態のリアクトル1と同一であるため、第2実施形態については第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0049】
図7は、サーミスタ40を取り付けたリアクトル1000のコアモジュール1020の斜視図である。なお、以下の第2実施形態に関する説明において、図7における左下側から右上側に向かう方向を奥行き方向(X軸方向)、右下側から左上側に向かう方向を幅方向(Y軸方向)、下側から上側に向かう方向を高さ方向(Z軸方向)と定義する。また、図8はコアモジュール1020の平面図であり、図9はコアモジュール1020をX軸負方向で見た側面図である。
【0050】
リアクトル1000においては、サーミスタ40のセンサヘッド42を固定するセンサ固定部1024が、コアモジュール1020を構成するU型コアユニット1020aの直線コア部1022aの上面に形成されている。センサ固定部1024は、センサヘッド42が収容される溝部1241を有している。溝部1241は、フランジ部1020fからX軸正方向に延びている。また、センサヘッド42の先端部が収容される溝部1241の先端部(図8における上端部)は、直線コア部1022aのX軸方向及びY軸方向における略中央に形成されている。溝部1241はフランジ部1020fを貫通し、U型コアユニット1020aの端(図8における下端)まで達している。フランジ部1020fには貫通穴1244が形成されている。また、フランジ部1020fの溝部1241近傍には、上方に突出した突出部1243が形成されている。
【0051】
また、フランジ部1020fのX軸正方向側(図8における下側)に隣接して、溝部1241のY軸正方向側(図8における右側)には、サーミスタ40のリード44を巻き付ける(若しくは引っ掛ける)ためのリード巻き付け部1021tが設けられている。リード巻き付け部1021tは、連結コア部1021cの上面から突出した直立部1211と、直立部1211の上端からY軸正方向側に延びる腕部1212を有している。腕部1212は先端において下方に延び、リード巻き付け部1021tはX軸方向から見て略Γ字状に形成されている。
【0052】
溝部1241の先端側(図8における上側)は、センサヘッド42の外径よりも若干広い一定の溝幅を有する等幅部1241aとなっている。また、溝部1241の基端側(図8における下側)は、フランジ部1020fに近づくほど溝幅が広がる略V字状の拡張部1241bとなっている。具体的には、拡張部1241bにおいて、溝部1241のY軸負方向側(図8における左側)の側壁が、フランジ部1020fに近づくほどY軸負方向側に変位するように、溝部1241の他方の側壁(ZX平面と平行)に対して傾斜している。以下、この傾斜した側壁を「傾斜側壁1241s」と呼ぶ。
【0053】
フランジ部1020fに形成された異形の貫通穴1244は、傾斜側壁1241s側に形成された大径部1244aと、溝部1241の他方の側壁側に形成されたスリット部1244bを有している。大径部1244aは、略丸穴状であり、センサヘッド42の外径よりも若干広い径に形成されている。また、スリット部1244bは、Y軸方向に細長く形成されている。スリット部1244bの短尺方向(Z軸方向)の寸法は、センサヘッド42の外径より小さく、リード44の幅よりも大きくなっている。すなわち、大径部1244aにはセンサヘッド42及びリード44が通過可能であり、スリット部1244bにはリード44は通過可能であるがセンサヘッド42は通過することができない。
【0054】
センサ固定部1024にサーミスタ40のセンサヘッド42を固定するときは、貫通穴1244の大径部1244aから溝部1241にセンサヘッド42を先端から差し込み、センサヘッド42の全体が溝部1241に収容された後、センサヘッド42の基端から延びるリード44を貫通穴1244のスリット部1244bへ移動する。次いで、リード44を弛まないように軽く引っ張りながらリード巻き付け部1021tに巻き付ける。このとき、センサヘッド42は、リード44に引っ張られて貫通穴1244に接近するが、スリット部1244bを通過できず、センサヘッド42の基端がフランジ部1020fに突き当たり、固定される。
【0055】
貫通穴1244のスリット部1244bは、大径部1244aよりもリード巻き付け部1021t側に形成されている。そのため、リード44を引っ張った状態でリード巻き付け部1021tに絡げると、リード44はスリット部1244bから大径部1244aへ外れなくなり、センサヘッド42が大径部1244aを通って溝部1241から抜け落ちることが防止される。また、リード44は、リード巻き付け部1021tの直立部1211における貫通穴1244から遠位側(図9における右側)の側面に引っ掛けられる。リード巻き付け部1021tの腕部1212も貫通穴1244に対して遠位側に形成されているため、腕部1212によりリード44が直立部1211の側面を滑って抜けることが防止される。また、突出部1243のリード巻き付け部1021t側には、凹部1245が形成されている。これにより、直立部1211と突出部1243の間に広い隙間が確保され、突出部1243がリード44の巻き付けを阻害することが防止される。また、上述のように、溝部1241は、フランジ部1020fを貫通して、連結コア部1021cの上面にも達してガイド溝1246を形成している。連結コア部1021cの上面に形成された溝部1241は、センサヘッド42を貫通穴1244に通す際にガイドとして機能し、センサヘッド42を貫通穴1244に通し易くしている。
【0056】
(第2実施形態の変形例)
上記の第2実施形態では、センサヘッド42が収容されるセンサ固定部1024の溝部1241が直線コア部1022の上面に形成されているが、コアモジュール1020の他の面(例えば、直線コア部1022の外側面、下面、内側面等)に溝部を配置してもよい。次に、センサ固定部の溝部を直線コア部の外側面に設けた、本発明の第2実施形態の変形例について説明する。なお、以下の変形例の説明において、上記の第2実施形態と同一又は対応する構成に対して、同一又は類似の符号を使用して、重複する説明は省略する。
【0057】
図10は、本発明の第2実施形態の変形例に係るリアクトル2000のコアモジュール2020(サーミスタ40を取り付けた状態)の斜視図である。以下の説明において、図10における左下側から右上側に向かう方向を奥行き方向(X軸方向)、右下側から左上側に向かう方向を幅方向(Y軸方向)、下側から上側に向かう方向を高さ方向(Z軸方向)と定義する。また、図11はY軸正方向で見た側面図であり、図12はX軸正方向で見た側面図である。
【0058】
リアクトル2000においては、サーミスタ40のセンサヘッド42を固定するセンサ固定部2024が、コアモジュール2020を構成するU型コアユニット2020aの直線コア部2022aの外側面に形成されている。センサ固定部2024は、センサヘッド42が収容される溝部2241を有している。溝部2241は、フランジ部2020fからX軸正方向に延びている。図11に示されるように、溝部2241はフランジ部2020f側ほど溝幅が広くなる略V字状に形成されている。すなわち、溝部2241は全体が拡張部となっている。溝部2241の先端における溝幅は、センサヘッド42の外径よりも若干広くなっている。また、センサヘッド42の先端部が収容される溝部2241の先端(図11における右端)は、直線コア部2022aのX軸方向及びZ軸方向における略中央に形成されている。
【0059】
溝部2241の下側の側壁2241tは、フランジ部2020f側(X軸負方向側)が高くなるように、XY面(水平面)に対して僅かに傾斜している。また、溝部2241の上側の側壁2241sは、XY面に対して側壁2241tと同じ方向に、更に傾斜している。溝部2241は、フランジ部2020fを貫通し、フランジ部2020fには貫通穴2244が形成されている。
【0060】
フランジ部2020fには、上述の第2実施形態と同様の、異形の貫通穴2244が形成されている。貫通穴2244は、側壁2241s側(図12において下側)に形成された大径部2244aと、溝部2241の側壁2241t側(図12において上側)に形成されたスリット部2244bを有している。大径部2244aは、略丸穴状であり、センサヘッド42の外径よりも若干広い径に形成されている。また、スリット部2244bは、Z軸方向に細長く形成されている。スリット部2244bの短尺方向(X軸方向)の寸法は、センサヘッド42の外径より小さく、リード44の幅よりも大きくなっている。すなわち、大径部2244aにはセンサヘッド42及びリード44が通過可能であり、スリット部2244bにはリード44は通過可能であるがセンサヘッド42は通過することができない。
【0061】
フランジ部2020fの貫通穴2244の周囲からは、上側が開いた略U字状のガイド溝部2246がX軸負方向へ突出している。ガイド溝部2246の連結コア部2021c側の壁部2246aは、連結コア部1021cと一体化している。壁部2246aの先端部(図11における左端部)の上端には、リード巻き付け部2021tが設けられている。リード巻き付け部2021tは、連結コア部2021cの上面から垂直に突出した直立部2211と、直立部2211の上端からY軸正方向側に延びる腕部2212を有している。
【0062】
センサ固定部2024にサーミスタ40のセンサヘッド42を固定するときは、貫通穴2244の大径部2244aから溝部2241にセンサヘッド42を先端から差し込み、センサヘッド42の全体が溝部2241に収容された後、リード44をリード巻き付け部2021tに引っ掛けてから引っ張ると、リード44は上方へ引き上げられて、貫通穴2244のスリット部2244bへ移動する。このとき、センサヘッド42は、リード44に引っ張られて貫通穴2244に接近するが、スリット部2244bを通過できず、センサヘッド42の基端がフランジ部2020fに突き当たり、固定される。
【0063】
貫通穴2244のスリット部2244bは、大径部2244aよりもリード巻き付け部2021t側に形成されている。そのため、リード44をリード巻き付け部2021tに引っ掛けてから引っ張って弛みを取ると、リード44はスリット部2244bから外れなくなり、センサヘッド42が大径部2244aを通って溝部2241から抜け落ちることが防止される。また、リード44は、リード巻き付け部2021tの直立部2211における貫通穴2244に対する遠位側(図11における左側)の側面に引っ掛けられる。リード巻き付け部2021tの腕部2212も貫通穴2244に対して遠位側に形成されているため、腕部2212によりリード44が直立部2211の側面を滑って抜けることが有効に防止される。また、略U字状のガイド溝部2246は、センサヘッド42を貫通穴2244に差し込む際にガイドとして機能し、センサヘッド42を貫通穴2244に通し易くしている。
【0064】
上述した第2実施形態及びその変形例では、貫通穴1244、2244は外部から閉じた穴であるが、これらを外部に開いた凹部(溝)としてもよい。
【0065】
また、上述した第2実施形態及びその変形例では、フランジ部1020f、2020fに隣接してセンサ固定部1024、2024の溝部1241、2241が形成され、フランジ部1020f、2020fにセンサヘッド42及びリード44を通す貫通穴1244、2244が形成されているが、フランジ部が形成されていない面にセンサ固定部の溝部を設ける構成としてもよい。その場合には、溝部の拡張部側の一端に貫通穴(大径部及びスリット部)が形成され壁部が設けられる。
【0066】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態も、上記に説明した第2実施形態の変形例と同様に、センサ固定部の溝部がコアモジュールの直線コア部の外側面に設けられている。しかしながら、溝部の形状及び溝部にサーミスタを収容する構成は上記の各実施形態と異なる。図13は、本発明の第3実施形態に係るリアクトル3000のコアモジュール3020をY軸正方向で見た側面図である。なお、リアクトル3000は、第2実施形態の変形例に係るリアクトル2000とは、コアモジュールの構成及びサーミスタの配置のみが異なる。以下の第3実施形態の説明においては、上記の各実施形態と同一又は対応する構成に対して、同一又は類似の符号を使用して、重複する説明は省略する。また、座標も上記の各実施形態と共通のものを使用する。
【0067】
第2実施形態の変形例と同様に、コアモジュール3020のセンサ固定部3024も、フランジ部3020fに形成された貫通穴3244と、貫通穴3244からコアモジュール3020の直線コア部3022の外側面に沿って延びる溝部3241と、貫通穴3244から溝部3241と反対側へ延びるガイド溝部3246と、リード巻き付け部3021tを有している。溝部3241は、貫通穴3244から直線コア部3022の外側面中央部に向かってやや下方(Z軸負方向)に傾斜して形成された導入部3241aと、導入部3241aの先端からやや上方(Z軸正方向)へ傾斜して形成された保持部3241bを有している。導入部3241aと保持部3241bは、それぞれ互いに略平行な2つの側壁(下部側壁3241a1、3241b1及び上部側壁3241a2、3241b2)を有している。また、保持部3241bの下部側壁3241b1と上部側壁3241b2は、略U字状に形成された側壁3241b3によって連結されている。導入部3241aの下部側壁3241a1と保持部3241bの下部側壁3241b1は、段差部3241cを介して連結されている。
【0068】
第3実施形態では、サーミスタ40のセンサヘッド42を溝部内へ差し込み固定する方法が、第2実施形態の変形例と異なる。第2実施形態の変形例では、サーミスタ40のセンサヘッド42は、先端から溝部2241に差し込まれ、センサヘッド42の全体が溝部2241に収容された後、センサヘッド42の基端から延びるリード44を引っ張って、基端をフランジ部2020fに突き当てることで、センサヘッド42の位置決め及び固定がなされる。他方、第3実施形態では、リード44がセンサヘッド42の基端から出た直後でU字状に折り返された状態で、センサヘッド42が基端側から溝部3241に差し込まれ、センサヘッド42の全体が保持部3241bに到達した後にリード44が引っ張られて、センサヘッド42の先端が段差部3241cに突き当てられることで、センサヘッド42の位置決め及び固定がなされる。
【0069】
このように、第3実施形態では、第2実施形態及びその変形例のようにセンサヘッド42をフランジ部3020fに突き当ることで固定する構成が採用されていないため、貫通穴3244は第2実施形態の貫通穴2244の様な異形の穴ではなく、センサヘッド42と折り返されたリード44が通過できる大きさの単純な長穴(例えば長丸穴や長角穴)として形成されている。
【0070】
また、第3実施形態では、ガイド溝部3246のY軸負方向側(図13における紙面表側)の壁部3246bの上端にリード巻き付け部3021tが設けられている。しかし、リード巻き付け部3021tは、第2実施形態の変形例と同様に、連結コア部2021c側の壁部や、連結コア部2021cの上面に設けてもよい。
【0071】
また、第3実施形態では、2つのU型コアユニット3020a、3020bの直線部が略同じ長さに形成されており、溝部3241は2つのU型コアユニット3020a、3020bに跨って形成されている。しかし、第2実施形態と同様に、U型コアユニット3020aの直線部をU型コアユニット3020bよりも長くし、溝部3241をU型コアユニット3020aのみに形成してもよい。同様に、第1及び第2実施形態においても、第3実施形態と同様に、2つのU型コアユニット3020a、3020bに跨って溝部が形成され構成としてもよい。
【0072】
以上が本発明の3つの例示的な実施形態の説明である。本発明の実施の形態は、上記に説明したものに限定されず、特許請求の範囲の記載により表現された技術的思想の範囲内で任意に変更することができる。
【0073】
例えば、上記の各実施形態では、コイル装置本体(例えば、リアクトル本体1a)は放熱ケース内に収容されているが、放熱ケースは必ずしも必要ではない。また、放熱ケースの代わりに単なる板状のベースの上にコイル装置本体を固定してもよい。また、コイル装置本体を取り付けるケースやベースは、必ずしも熱伝導性の優れた金属から形成された、放熱機能を有するものでなくてもよい。
【0074】
上記の各実施形態では、コアモジュールの樹脂被覆部(ボビン部)に設けた構造のみでセンサヘッドを固定する構成であるが、センサヘッドを接着剤や固定具でコアモジュールに取り付けてもよい。
【0075】
上記の各実施形態は、磁性体のコアとボビン(樹脂被覆部)が射出成形により一体に形成されたコアモジュールを使用するコイル装置に本発明を適用した例であるが、コアと別体に形成した樹脂製の絶縁ボビンを使用する構成にも本発明を適用することができる。この場合、ボビンにセンサ固定部を設けてもよい。
【0076】
また、上記の各実施形態は、サーミスタのコイル装置への取り付けに本発明を適用した例であるが、当然ながら別種の温度センサ(熱電対、白金測温体等)の取り付けにも本発明を適用することができる。また、温度センサ以外の各種センサ(例えば、湿度センサ、ガスセンサ、振動センサ、磁気センサ、電位センサ、音圧センサ等)の取り付けにも本発明を適用することができる。
【0077】
また、上記の各実施形態は、互いに平行な2つの直線部を有するリングコアの各直線部が、直列に連結された直線コイルでそれぞれ巻回された構成のリアクトルであるが、本発明が適用されるコイル装置の構成はこれに限定されない。例えば、E型コア及びI型コアから構成された「日」字形コアと3つの直線コアからなる3相リアクトルにも本発明を適用することができる。また、リアクトルに限らず、変圧器その他のコイル装置にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0078】
1、1000、2000、3000 リアクトル
10 コイル
20、1020、2020,3020 コアモジュール
20a、20b、1020a、2020a、3020a、3020b U型コアユニット
24、1024、2024、3024 センサ固定部
40 サーミスタ
H ホットスポット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルと、少なくとも一部が前記コイル内に通されたコアとを備えたコイル装置であって、
前記コイル装置内の所定の物理量を検出するセンサを更に備え、
前記センサのセンサヘッドが前記コアと前記コイルの間に配置されたコイル装置。
【請求項2】
前記コアの少なくとも前記コイルと対向する面を被覆する絶縁被覆部材を更に備え、
前記センサヘッドは前記絶縁被覆部材と前記コイルの間に配置された、ことを特徴とする請求項1に記載のコイル装置。
【請求項3】
前記絶縁被覆部材には、前記センサヘッドを固定するセンサ固定部が形成されている、ことを特徴とする請求項2に記載のコイル装置。
【請求項4】
前記センサヘッドは略円柱状であり、
前記センサ固定部は、前記センサヘッドの円柱面が嵌入される嵌入穴を有する、ことを特徴とする請求項3に記載のコイル装置。
【請求項5】
前記嵌入穴の前記コイル側には、該嵌入穴の軸方向全長に亘って、外部空間と連絡するスリットが形成されている、ことを特徴とする請求項4に記載のコイル装置。
【請求項6】
前記センサ固定部は、前記嵌入穴の先端に形成された、前記センサヘッドの一方の端面と当接する壁部を更に有する、ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のコイル装置。
【請求項7】
前記センサは、前記センサヘッドの前記一方の端面から延びるリードを備え、
前記コアは、平行に並べられた第1及び第2の直線コア部と、前記第1及び前記第2の直線コア部の隣接する端部同士をそれぞれ連結する一対の連結コア部とを有するリングコアであり、前記第1及び前記第2の直線コア部並びに前記一対の連結コア部は前記絶縁被覆部材により被覆され、
前記コイルは、前記第1及び前記第2の直線コア部がそれぞれ通された第1及び第2の直線コイルを含み、
前記センサ固定部は、前記絶縁被覆部材の前記第1の直線コア部を被覆する部分における、前記第2の直線コア部と対向する内側面に形成され、
前記絶縁被覆部材の前記連結コア部を被覆する部分には、前記リードを収容して前記連結コア部の上面までガイドするガイド溝が前記内側面に沿って形成されている、ことを特徴とする請求項3から請求項6のいずれか一項に記載のコイル装置。
【請求項8】
前記内側面には、前記内側面から突出し、その下面により前記センサ固定部から前記ガイド溝まで前記リードをガイドする上側突出部が形成されている、ことを特徴とする請求項7に記載のコイル装置。
【請求項9】
前記連結コア部の上面における前記ガイド溝の付近には、前記リードを固定するリード固定部が形成されている、ことを特徴とする請求項8に記載のコイル装置。
【請求項10】
前記センサヘッドは略柱状であり、
前記センサは、前記センサヘッドの一端面から延びるリードを備え、
前記センサ固定部は、
前記センサヘッドを収容する溝部と、
前記溝部の一端に形成され、前記センサヘッドの一方の端面と当接する壁部と、
を有し、
前記壁部には、前記センサヘッドよりも細く、前記リードが通されるスリットが形成されている、ことを特徴とする請求項3に記載のコイル装置。
【請求項11】
前記溝部の少なくとも前記壁部側は、該壁部に向かって溝幅が広がる拡張部となっており、
前記スリットの一端は、前記壁部に形成された、前記センサヘッドの横断面よりも広い空隙部に開いており、前記スリットの他端は閉じている、ことを特徴とする請求項10に記載のコイル装置。
【請求項12】
前記センサ固定部は、前記スリットの他端側に立設された、前記リードが巻き付けられ又は引っ掛けられるリード巻き付け部を更に有する、ことを特徴とする請求項11に記載のコイル装置。
【請求項13】
前記リード巻き付け部は、前記コアの表面から突出する直立部と、前記直立部の上端から前記コアの表面と略平行に、前記スリットと反対側へ延びる腕部とを有する、ことを特徴とする請求項12に記載のコイル装置。
【請求項14】
前記コイルが一面に沿って配置され、前記コア及び前記コイルが固定されるベースを更に備え、
前記リード巻き付け部は、前記コアの前記ベースに対する反対側の面に立設された、ことを特徴とする請求項12又は請求項13に記載のコイル装置。
【請求項15】
前記空隙部は、前記壁部に形成された前記スリットと連絡する貫通穴又は凹部である、ことを特徴とする請求項11から請求項14のいずれか一項に記載のコイル装置。
【請求項16】
前記センサ固定部は、前記壁部に対して前記溝部と反対側に設けられた、前記貫通穴又は前記凹部を介して前記溝部と連絡する、ガイド溝を更に有する、ことを特徴とする請求項15に記載のコイル装置。
【請求項17】
前記コイルは直線コイル部を有し、
前記コアは、前記直線コイル部内に配置された直線コア部を有し、
前記絶縁被覆部材は、前記直線コア部の両端部の側面から突出し、前記直線コイル部を軸方向両側から挟み込むフランジ部を更に有し、
前記壁部は前記フランジ部の一部として形成されている、ことを特徴とする請求項10から請求項16のいずれか一項に記載のコイル装置。
【請求項18】
前記絶縁被覆部材は、インサート成形により前記コアと一体に成形されている、ことを特徴とする請求項1から請求項17のいずれか一項に記載のコイル装置。
【請求項19】
前記絶縁被覆部材は、前記コアと別体に形成されたボビンである、ことを特徴とする請求項1から請求項17のいずれか一項に記載のコイル装置。
【請求項20】
前記センサは温度センサである、ことを特徴とする請求項1から請求項19のいずれか一項に記載のコイル装置。
【請求項1】
コイルと、少なくとも一部が前記コイル内に通されたコアとを備えたコイル装置であって、
前記コイル装置内の所定の物理量を検出するセンサを更に備え、
前記センサのセンサヘッドが前記コアと前記コイルの間に配置されたコイル装置。
【請求項2】
前記コアの少なくとも前記コイルと対向する面を被覆する絶縁被覆部材を更に備え、
前記センサヘッドは前記絶縁被覆部材と前記コイルの間に配置された、ことを特徴とする請求項1に記載のコイル装置。
【請求項3】
前記絶縁被覆部材には、前記センサヘッドを固定するセンサ固定部が形成されている、ことを特徴とする請求項2に記載のコイル装置。
【請求項4】
前記センサヘッドは略円柱状であり、
前記センサ固定部は、前記センサヘッドの円柱面が嵌入される嵌入穴を有する、ことを特徴とする請求項3に記載のコイル装置。
【請求項5】
前記嵌入穴の前記コイル側には、該嵌入穴の軸方向全長に亘って、外部空間と連絡するスリットが形成されている、ことを特徴とする請求項4に記載のコイル装置。
【請求項6】
前記センサ固定部は、前記嵌入穴の先端に形成された、前記センサヘッドの一方の端面と当接する壁部を更に有する、ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のコイル装置。
【請求項7】
前記センサは、前記センサヘッドの前記一方の端面から延びるリードを備え、
前記コアは、平行に並べられた第1及び第2の直線コア部と、前記第1及び前記第2の直線コア部の隣接する端部同士をそれぞれ連結する一対の連結コア部とを有するリングコアであり、前記第1及び前記第2の直線コア部並びに前記一対の連結コア部は前記絶縁被覆部材により被覆され、
前記コイルは、前記第1及び前記第2の直線コア部がそれぞれ通された第1及び第2の直線コイルを含み、
前記センサ固定部は、前記絶縁被覆部材の前記第1の直線コア部を被覆する部分における、前記第2の直線コア部と対向する内側面に形成され、
前記絶縁被覆部材の前記連結コア部を被覆する部分には、前記リードを収容して前記連結コア部の上面までガイドするガイド溝が前記内側面に沿って形成されている、ことを特徴とする請求項3から請求項6のいずれか一項に記載のコイル装置。
【請求項8】
前記内側面には、前記内側面から突出し、その下面により前記センサ固定部から前記ガイド溝まで前記リードをガイドする上側突出部が形成されている、ことを特徴とする請求項7に記載のコイル装置。
【請求項9】
前記連結コア部の上面における前記ガイド溝の付近には、前記リードを固定するリード固定部が形成されている、ことを特徴とする請求項8に記載のコイル装置。
【請求項10】
前記センサヘッドは略柱状であり、
前記センサは、前記センサヘッドの一端面から延びるリードを備え、
前記センサ固定部は、
前記センサヘッドを収容する溝部と、
前記溝部の一端に形成され、前記センサヘッドの一方の端面と当接する壁部と、
を有し、
前記壁部には、前記センサヘッドよりも細く、前記リードが通されるスリットが形成されている、ことを特徴とする請求項3に記載のコイル装置。
【請求項11】
前記溝部の少なくとも前記壁部側は、該壁部に向かって溝幅が広がる拡張部となっており、
前記スリットの一端は、前記壁部に形成された、前記センサヘッドの横断面よりも広い空隙部に開いており、前記スリットの他端は閉じている、ことを特徴とする請求項10に記載のコイル装置。
【請求項12】
前記センサ固定部は、前記スリットの他端側に立設された、前記リードが巻き付けられ又は引っ掛けられるリード巻き付け部を更に有する、ことを特徴とする請求項11に記載のコイル装置。
【請求項13】
前記リード巻き付け部は、前記コアの表面から突出する直立部と、前記直立部の上端から前記コアの表面と略平行に、前記スリットと反対側へ延びる腕部とを有する、ことを特徴とする請求項12に記載のコイル装置。
【請求項14】
前記コイルが一面に沿って配置され、前記コア及び前記コイルが固定されるベースを更に備え、
前記リード巻き付け部は、前記コアの前記ベースに対する反対側の面に立設された、ことを特徴とする請求項12又は請求項13に記載のコイル装置。
【請求項15】
前記空隙部は、前記壁部に形成された前記スリットと連絡する貫通穴又は凹部である、ことを特徴とする請求項11から請求項14のいずれか一項に記載のコイル装置。
【請求項16】
前記センサ固定部は、前記壁部に対して前記溝部と反対側に設けられた、前記貫通穴又は前記凹部を介して前記溝部と連絡する、ガイド溝を更に有する、ことを特徴とする請求項15に記載のコイル装置。
【請求項17】
前記コイルは直線コイル部を有し、
前記コアは、前記直線コイル部内に配置された直線コア部を有し、
前記絶縁被覆部材は、前記直線コア部の両端部の側面から突出し、前記直線コイル部を軸方向両側から挟み込むフランジ部を更に有し、
前記壁部は前記フランジ部の一部として形成されている、ことを特徴とする請求項10から請求項16のいずれか一項に記載のコイル装置。
【請求項18】
前記絶縁被覆部材は、インサート成形により前記コアと一体に成形されている、ことを特徴とする請求項1から請求項17のいずれか一項に記載のコイル装置。
【請求項19】
前記絶縁被覆部材は、前記コアと別体に形成されたボビンである、ことを特徴とする請求項1から請求項17のいずれか一項に記載のコイル装置。
【請求項20】
前記センサは温度センサである、ことを特徴とする請求項1から請求項19のいずれか一項に記載のコイル装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−216741(P2012−216741A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110962(P2011−110962)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(390005223)株式会社タムラ製作所 (526)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(390005223)株式会社タムラ製作所 (526)
【Fターム(参考)】
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