説明

コイル製造用カートリッジ及びそれを用いて製造された誘導加熱コイル並びに定着装置

【課題】ターン部の幅が狭くエネルギーのロスが少ない誘導加熱コイルを簡易且つ低コストで製造できるコイル製造用カートリッジを提供する。
【解決手段】カートリッジ40は、トレイ状の第1カートリッジ41と、第1カートリッジ41に所定の間隔を隔てて重なる第2カートリッジ43とで構成される。第1カートリッジ41の凹面41aと第2カートリッジ43の凸面43aとを対向させて、2本のボス47をボス孔48に嵌め込んでナット49を螺合することにより、巻芯部45の周方向外側に凹面41aと凸面43aとで断面円弧状のコイルガイド部50が形成される。カートリッジ40の端部におけるコイルガイド部50の間隔h1は、カートリッジ40の長手方向の側面におけるコイルガイド部50の間隔h2に比べて広くなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置に搭載される誘導加熱方式の定着装置に用いられる誘導加熱コイルに関し、特に、誘導加熱コイルを製造するためのカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた従来の画像形成装置においては、ニップを形成する定着ローラー対の少なくとも一方のローラーに熱源を内蔵させるか、或いは外部に熱源を配置して加熱ローラーとし、この定着ローラー対のニップ部に未定着トナー画像を担持した用紙を挿通して加熱、及び加圧することによって、用紙にトナー画像を定着する熱ローラー定着方式が広く用いられている。
【0003】
また、加熱ローラーに代えて、熱源により加熱される無端状の定着ベルトを用い、定着ベルトとこれに圧接される加圧部材とのニップ部に未定着トナー画像を担持した用紙を挿通することによって、用紙にトナー画像を定着するベルト定着方式が開発されている。このベルト定着方式では、熱ローラー定着方式に比べ熱容量を小さくしてウォームアップ時間を短縮するとともに、消費電力を低減することができる。
【0004】
このような加熱ローラーや定着ベルトの加熱方式として、ハロゲンランプ等のランプで加熱するランプ方式が知られているが、近年のウォームアップ時間の短縮や、省エネルギーの要請から、交番磁界を磁性導体に鎖交させ、渦電流を発生させることによって加熱する誘導加熱(IH:Induction Heating)方式が提案されている。
【0005】
誘導加熱方式では、加熱ローラーや定着ベルトの幅方向に延在するボビンの外周面に沿ってリッツ線が巻回された誘導加熱コイルに高周波電流を印加することにより、高周波磁束が発生する。この高周波磁束が加熱ローラーまたは定着ベルトの誘導発熱層に作用し、誘導発熱層の磁束の周りに渦電流が生じるため、誘導発熱層内の材質固有の抵抗に起因するジュール熱が発生して加熱ローラー、或いは定着ベルトが加熱される。
【0006】
ところで、誘導加熱方式の定着装置では、誘導加熱コイルの長手方向寸法を加熱ローラー、或いは定着ベルトの幅方向寸法と略同一にすると、加熱ローラー、或いは定着ベルトの幅方向両端部に誘導加熱コイルのターン部(折り返し部分)が対向することになる。ここで、ターン部分に発生する磁束はターン部以外の直線部に発生する磁束に比べて小さくなるため、ターン部に対向する加熱ローラー、或いは定着ベルトの幅方向両端部を効率良く加熱することができず、定着温度ムラの発生やエネルギーのロスに繋がっていた。
【0007】
また、誘導加熱コイルの直線部を加熱ローラー、或いは定着ベルトの幅方向寸法よりも長くすれば上記の問題を解決できるが、誘導加熱コイルを含む誘導加熱部が大型化するため、画像形成装置の小型化、コンパクト化の妨げとなっていた。
【0008】
そこで、誘導加熱コイルのターン部の幅を狭くすることにより、装置を大型化することなく誘導加熱コイルに発生する磁束を有効利用する構成が提案されており、例えば特許文献1には、コイルのターン部を加熱部材(加熱ローラー)の長手方向に垂直な方向に積層して巻回する誘導加熱装置が開示されている。また、特許文献2には、コイルの直線部においては被加熱部材(ヒートローラー)の外周面に沿うように面状に配列するとともに、コイルのターン部においてはコイルの巻き回数未満の複数段に積み上げて配列するようにした誘導加熱装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−43049号公報
【特許文献2】特開2008−270215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1のように誘導加熱コイルのターン部においてリッツ線を垂直方向に積層して巻回したり、特許文献2のように複数段に積み上げて配列したりするには、リッツ線を規則的に整列させて巻回するコイル製造装置が必要となる。また、特許文献1の誘導加熱コイルでは、リッツ線を水平方向に巻回した誘導加熱コイルのターン部のみを垂直方向に立ち上げて製造する方法も考えられるが、製造工程数が増加する。従って、誘導加熱コイルの製造コストが増加するという問題点があった。
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑み、ターン部の幅が狭くエネルギーのロスが少ない誘導加熱コイルを簡易且つ低コストで製造できるコイル製造用カートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明は、長手方向の端部側から見て円弧状に湾曲した凹面を有する第1カートリッジと、該第1カートリッジに着脱可能であり、前記凹面に所定の間隔を隔てて対向する円弧状の凸面を有する第2カートリッジと、前記凹面の底部または前記凸面の頂部のいずれかに形成され、リッツ線が巻回される巻芯部と、該巻芯部の周方向外側に前記凹面と前記凸面とで形成される断面円弧状のコイルガイド部と、前記巻芯部を介して前記第1カートリッジと前記第2カートリッジとを連結または連結解除する結合手段と、を有し、前記第1カートリッジ及び前記第2カートリッジの長手方向の両端部における前記コイルガイド部の間隔h1が、前記第1カートリッジ及び前記第2カートリッジの長手方向の側面における前記コイルガイド部の間隔h2よりも広いコイル製造用カートリッジである。
【0013】
また本発明は、上記構成のコイル製造用カートリッジにおいて、h1/h2が1.1〜1.2であることを特徴としている。
【0014】
また本発明は、上記構成のコイル製造用カートリッジにおいて、前記結合手段は、前記巻芯部の上面に突設され外周面にネジ山が形成されたボスと、該ボスに対向する前記凹面若しくは凸面に形成され前記ボスが嵌合するボス孔と、該ボス孔を介して突出する前記ボスのネジ山に螺合するナットと、で構成されることを特徴としている。
【0015】
また本発明は、上記構成のコイル製造用カートリッジにおいて、前記第1カートリッジ及び前記第2カートリッジの長手方向の両端部に、前記巻芯部の周方向外側に向かって前記凹面と前記凸面とが離間する方向の傾斜面を形成したことを特徴としている。
【0016】
また本発明は、上記構成のコイル製造用カートリッジを用いて製造された誘導加熱コイルであって、前記凹面及び前記凸面に対し垂直な方向から見たとき、前記第1カートリッジ及び前記第2カートリッジの長手方向の両端部に形成されるターン部のコイル幅が前記第1カートリッジ及び前記第2カートリッジの長手方向に沿って形成される直線部のコイル幅よりも狭い誘導加熱コイルである。
【0017】
また本発明は、上記構成の誘導加熱コイルに電流を流して磁束を発生させ、該磁束によって加熱部材に設けた誘導発熱層を誘導加熱する誘導加熱部を備えた定着装置である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の第1の構成によれば、第1カートリッジの凹面と第2カートリッジの凸面とで形成される断面円弧状のコイルガイド部の長手方向の両端部における間隔h1を、長手方向の側面における間隔h2よりも広くすることにより、コイルガイド部に沿って巻芯部にリッツ線を巻回するだけでターン部の幅が狭くエネルギーのロスが少ない誘導加熱コイルを製造することができる。
【0019】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成のコイル製造用カートリッジにおいて、コイルガイド部の長手方向の側面における間隔h2に対する長手方向の両端部における間隔h1の比率を1.1〜1.2とすることにより、誘導加熱コイルのターン部の幅を狭くしつつ、リッツ線を巻回する際の作業性の低下を抑制することができる。
【0020】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1又は第2の構成のコイル製造用カートリッジにおいて、第1カートリッジと第2カートリッジとを連結または連結解除する結合手段として、巻芯部の上面に突設され外周面にネジ山が形成されたボスと、該ボスに対向する凹面若しくは凸面に形成されボスが嵌合するボス孔と、該ボス孔を介して突出するボスのネジ山に螺合するナットとを用いることにより、簡単な構成で第1カートリッジと第2カートリッジとを連結または連結解除することができる。
【0021】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第1乃至第3のいずれかの構成のコイル製造用カートリッジにおいて、第1カートリッジ及び第2カートリッジの長手方向の両端部に、巻芯部の周方向外側に向かって凹面と凸面とが離間する方向の傾斜面を形成することにより、リッツ線を巻回する際、リッツ線が傾斜面に沿ってコイルガイド部に案内されるため、リッツ線の巻回作業を円滑に行うことができる。
【0022】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第1乃至第4のいずれかの構成のコイル製造用カートリッジを用いて誘導加熱コイルを製造することにより、凹面及び凸面に対し垂直な方向から見たとき、第1カートリッジ及び第2カートリッジの両端部に形成されるターン部のコイル幅が第1カートリッジ及び第2カートリッジの長手方向の側面に沿って形成される直線部のコイル幅よりも狭くなる。これにより、コイルの長手方向における直線部の比率が大きくなり、コイルに発生する磁束を有効利用できる誘導加熱コイルを簡易且つ低コストで製造することができる。
【0023】
また、本発明の第6の構成によれば、上記第5の構成の誘導加熱コイルに電流を流して磁束を発生させ、該磁束によって加熱部材に設けた誘導発熱層を誘導加熱する誘導加熱部を備えることにより、誘導加熱コイルを含む誘導加熱部が大型化せず、コンパクトでエネルギーのロスが少ない定着装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明により製造された誘導加熱コイルを用いる定着装置が搭載された画像形成装置の概略断面図
【図2】本発明により製造された誘導加熱コイルを用いる定着装置16の側面断面図
【図3】定着装置16に用いられる誘導加熱部25の平面図
【図4】本発明のコイル製造用カートリッジ40の分解斜視図
【図5】本発明のコイル製造用カートリッジ40を長手方向の端部側から見た側面図
【図6】誘導加熱コイル29が巻き上げられたカートリッジ40を長手方向に対し垂直に切断した側面断面図
【図7】誘導加熱コイル29が巻き上げられたカートリッジ40の端部を長手方向に対し平行に切断した側面断面図
【図8】長手方向の側面からコイルガイド部50にリッツ線押さえ部材51を挿入したカートリッジ40を長手方向に対し垂直に切断した側面断面図
【図9】第2カートリッジ43を取り外したカートリッジ40を長手方向に対し垂直に切断した側面断面図
【図10】第2カートリッジ43を取り外したカートリッジ40の端部を長手方向に対し平行に切断した側面断面図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明により製造された誘導加熱用コイルを用いる定着装置が搭載された画像形成装置の構成を示す模式断面図であり、ここではタンデム方式のカラー画像形成装置について示している。カラープリンター100本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、Pc及びPdが、中間転写ベルト8の移動方向上流側(図1では右側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa〜Pdは、異なる4色(マゼンタ、シアン、イエロー及びブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像及び転写の各工程によりマゼンタ、シアン、イエロー及びブラックの画像を順次形成する。
【0026】
これらの画像形成部Pa〜Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム1a、1b、1c及び1dが配設されており、さらに駆動手段(図示せず)により図1において時計回りに回転する中間転写ベルト8が各画像形成部Pa〜Pdに隣接して設けられている。これらの感光体ドラム1a〜1d上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム1a〜1dに当接しながら移動する中間転写ベルト8上に順次一次転写されて重畳された後、二次転写ローラー9の作用によって記録媒体の一例としての用紙P上に二次転写され、さらに、定着装置13において用紙P上に定着された後、装置本体より排出される。感光体ドラム1a〜1dを図1において反時計回りに回転させながら、各感光体ドラム1a〜1dに対する画像形成プロセスが実行される。
【0027】
トナー像が転写される用紙Pは、カラープリンター100の本体下部に配置された用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラー12a及びレジストローラー対12bを介して二次転写ローラー9と後述する中間転写ベルト8の駆動ローラー11とのニップ部へと搬送される。中間転写ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが主に用いられる。また、二次転写ローラー9からみて中間転写ベルト8の移動方向の下流側には中間転写ベルト8表面に残存するトナー等を除去するためのブレード状のベルトクリーナー19が配置されている。
【0028】
次に、画像形成部Pa〜Pdについて説明する。回転自在に配設された感光体ドラム1a〜1dの周囲及び下方には、感光体ドラム1a〜1dを帯電させる帯電器2a、2b、2c及び2dと、各感光体ドラム1a〜1dに画像情報を露光する露光装置5と、感光体ドラム1a〜1d上にトナー像を形成する現像装置3a、3b、3c及び3dと、感光体ドラム1a〜1d上に残留した現像剤(トナー)等を除去するクリーニング部7a、7b、7c及び7dが設けられている。
【0029】
パソコン等の上位装置から画像データが入力されると、先ず、帯電器2a〜2dによって感光体ドラム1a〜1dの表面を一様に帯電させ、次いで露光装置5によって画像データに応じて光照射し、各感光体ドラム1a〜1d上に画像データに応じた静電潜像を形成する。現像装置3a〜3dには、それぞれマゼンタ、シアン、イエロー及びブラックの各色のトナーを含む二成分現像剤が所定量充填されている。なお、後述のトナー像の形成によって各現像装置3a〜3d内に充填された二成分現像剤中のトナーの割合が規定値を下回った場合にはトナーコンテナ4a〜4dから各現像装置3a〜3dにトナーが補給される。この現像剤中のトナーは、現像装置3a〜3dにより感光体ドラム1a〜1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光装置5からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
【0030】
そして、一次転写ローラー6a〜6dにより一次転写ローラー6a〜6dと感光体ドラム1a〜1dとの間に所定の転写電圧で電界が付与され、感光体ドラム1a〜1d上のマゼンタ、シアン、イエロー及びブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、一次転写後に感光体ドラム1a〜1dの表面に残留したトナー等がクリーニング部7a〜7dにより除去される。
【0031】
中間転写ベルト8は、上流側の従動ローラー10と、下流側の駆動ローラー11とに掛け渡されており、駆動モーター(図示せず)による駆動ローラー11の回転に伴い中間転写ベルト8が時計回りに回転を開始すると、用紙Pがレジストローラー対12bから所定のタイミングで駆動ローラー11とこれに隣接して設けられた二次転写ローラー9とのニップ部(二次転写ニップ部)へ搬送され、中間転写ベルト8上のフルカラー画像が用紙P上に転写される。トナー像が転写された用紙Pは定着装置13へと搬送される。
【0032】
定着装置13に搬送された用紙Pは、定着ベルト21及び加圧ローラー23(図2参照)により加熱及び加圧されてトナー像が用紙Pの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された用紙Pは、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられる。用紙Pの片面のみに画像を形成する場合は、そのまま排出ローラー対15によって排出トレイ17に排出される。
【0033】
一方、用紙Pの両面に画像を形成する場合は、定着装置13を通過した用紙Pは一旦排出ローラー対15方向に搬送され、用紙Pの後端が分岐部14を通過した後に排出ローラー対15を逆回転させるとともに分岐部14の搬送方向を切り換えることで、用紙Pの後端から反転搬送路18に振り分けられ、画像面を反転させた状態で二次転写ニップ部に再搬送される。そして、中間転写ベルト8上に形成された次の画像が二次転写ローラー9により用紙Pの画像が形成されていない面に転写され、定着装置13に搬送されてトナー像が定着された後、排出ローラー対15によって排出トレイ17に排出される。
【0034】
図2は、定着装置16の側面断面図であり、図3は、定着装置16の誘導加熱部25を図2の左方向から見た平面図である。なお、図3では誘導加熱部25の内部構成が見えるようにアーチコア30bを取り外した状態を示している。図2、図3に示すように、定着装置13は、図2において反時計回り方向に回動する無端状の定着ベルト21と、定着ベルト21に内接するベルト支持部材22と、定着ベルト21を介してベルト支持部材22に圧接され、図2において時計回り方向に回転する加圧ローラー23と、定着ベルト21を挟んで加圧ローラー23の反対側に配置される誘導加熱部25と、を含む構成である。
【0035】
用紙搬送方向(図2の下から上方向)に対し定着ニップ部Nの下流側には、定着ベルト21から用紙を分離する分離板35と、分離板35を支持する分離板ホルダー37とが配置されている。
【0036】
定着ベルト21は、ベルト支持部材22に接する最内側に設けられた誘導発熱層や、加圧ローラー23に接する最外側に設けられた離型層を含む複数の層が積層されて成る無端状のベルトである。この定着ベルト21は、ベルト支持部材22、及び定着ハウジング(図示せず)の内面から突出して定着ベルト21の幅方向両端部に内接する円弧状のフランジ部24に巻き掛けられ、所定の張力が与えられるとともに、ベルト支持部材22に接していない部分が誘導加熱部25と所定の間隔を隔てた円弧形状に保持されている。なお、フランジ部24に代えて、ベルト支持部材22の反対側(誘導加熱部25と対向する側)において定着ベルト21に内接する断面視アーチ形状の支持部材を配置しても良い。
【0037】
定着ベルト21の誘導発熱層としては、ニッケル等の金属をメッキ、又は圧延処理した金属層が用いられる。離型層としては、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)等のフッ素系樹脂が用いられ、塗料の塗布やチューブを被せることによって形成されている。離型層は、PFAチューブであれば10〜50μm、フッ素樹脂塗料であれば10〜30μm程度の厚さが適当である。
【0038】
また、誘導発熱層と離型層との間に、弾性層として厚さ100〜1000μm程度のシリコンゴム層を設けても良い。この構成によれば、弾性層が用紙上の未定着トナー像を包み込んで、ソフトに定着できる。その結果、画像の高画質化を図ることが可能となり、高性能な定着装置13を得ることができる。
【0039】
また、誘導発熱層と離型層との間に蓄熱層を設けて誘導発熱層で発生した熱を逃がさないようにし、且つ定着ベルト21の表面の温度を均一に保持することもできる。その結果、さらに高い加熱効率が得られるとともに、ウォームアップ時間の短縮及び消費電力の低減の効果を高めることが可能となる。
【0040】
蓄熱層は、シリカやアルミナ、酸化マグネシウム等の金属酸化物の粉末をフィラーとして配合して熱伝導率を高めたシリコンゴムや、アルミ、銅、ニッケル等の熱伝導率の高い金属で構成され、これらをチューブ状に成型したものを被覆する、或いはメッキするなどして設けられている。蓄熱層は、シリコンゴムのように弾性がある材料であれば良いが、金属で構成した場合、肉厚を厚くし過ぎるとベルトの硬度が上がり、トナーを溶融するのに必要なニップ量が得られなくなってしまう。したがって、蓄熱層の厚さは、10〜1000μm、望ましくは50〜500μmとする。
【0041】
本実施形態に用いる定着ベルト21の構成としては、例えば、厚さ35μmのニッケル層(誘導発熱層)上に厚さ200μmのシリコンゴム層(弾性層)を積層し、厚さ30μmのPFAチューブ(離型層)で被覆した外径40mm、幅360mmのベルトが挙げられる。
【0042】
また、定着ベルト21の表面に接するようにサーミスター(図示せず)が設けられている。このサーミスターにより定着ベルト21の温度を検知し、誘導加熱部25に流れる電流をON/OFFすることによって定着温度の制御を行う。
【0043】
また、定着ベルト21の幅方向(図2の紙面と垂直方向)の寸法は、誘導加熱部25の幅方向の寸法よりも狭く、且つ定着ニップ部Nを通過する最大の用紙幅よりも広く設定されている。これにより、誘導加熱部25は定着ベルト21全体を均一に加熱して定着ムラの発生を防止するとともに、定着ベルト21は用紙サイズに係わらず用紙全面を覆うことができるため、ベルト支持部材22への未定着トナーの付着を防止できる。
【0044】
ベルト支持部材22は、定着ベルト21を介して加圧ローラー23と当接することで、用紙を挿通させる定着ニップ部Nを形成する。ベルト支持部材22の材質としては、アルミニウム等の金属や耐熱性樹脂等が用いられる。また、定着ベルト21との接触面には弾性層として厚さ100〜1000μm程度のシリコンゴム層が設けられ、シリコンゴム層の表面には離型層としてPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製のシートが貼り付けられている。
【0045】
本実施形態に用いるベルト支持部材22の構成としては、例えば、幅11mm、長さ300mmの直方体形状のステンレス(SUS)製の板部材の、定着ベルト21との対向面に、厚さ500μmのシリコンゴム層(弾性層)を積層し、さらにPTFEシート(離型層)を対向面の立ち上がり部分まで貼り付けたものが挙げられる。なお、金属製の薄板を折り曲げて形成した中空状のベルト支持部材22を用いても良い。
【0046】
加圧ローラー23は、例えば芯金23aの外側に弾性層23bが設けられている。芯金23aには加圧ローラー23の圧力を調整する圧調整機構(図示せず)が配置されている。加圧ローラー23の構成としては、例えば、直径20mmのアルミニウム製の芯金23aの外側に、弾性層を構成する厚さ7.5mmのシリコンゴム層23bが設けられた外径35mmのローラーが挙げられる。加圧ローラー23は図示しない駆動モーターにより時計回り方向に回転駆動される。なお、加圧ローラー23の表面はPFAチューブ等の離型層で被覆されていても良い。
【0047】
誘導加熱部25は、電磁誘導により定着ベルト21を加熱するものであり、コイルボビン27、誘導加熱コイル29、及びセンターコア30a、アーチコア30b、サイドコア30cからなるコア部等で構成され、定着ベルト21の円弧状の外面の一部を囲うように対向して配設される。
【0048】
コイルボビン27は、定着ベルト21の外面に沿う断面円弧状に成形されている。コイルボビン27の材質は、耐熱性樹脂(例えばPPS:ポリフェニレンサルファイド樹脂、PET:ポリエチレンテレフタレート樹脂、LCP:液晶ポリマー樹脂)であることが好ましい。
【0049】
コイルボビン27上には、リッツ線28を誘導加熱部25の長手方向(図2の紙面と垂直方向)に複数回(ここでは8回)巻回した誘導加熱コイル29が配置されている。誘導加熱コイル29は、図示しない電源に接続されている。また、誘導加熱コイル29のコイルボビン27への固定は、耐熱性接着剤(例えばシリコン系接着剤)を用いて行う。
【0050】
リッツ線28は、細線(導線)を複数本束ねて撚り合わせたものをエナメル層で被覆し、さらにエナメル層の外側を融着層で被覆したものである。細線の本数はリッツ線28に接続される電源の電圧に応じて調整される。例えば、電圧100Vの場合は150本の細線を撚り合わせた直径3.3mmのリッツ線28が用いられ、電圧200Vの場合は75本の細線を撚り合わせた直径1.7〜1.8mmのリッツ線28が用いられる。
【0051】
センターコア30aは、誘導加熱コイル29の内部に配置される断面矩形状をなすフェライト製のコアであり、ここではコイルボビン27の長手方向両端部に配置されている。センターコア30aの両側には複数対のアーチコア30b及び一対のサイドコア30cが配置されている。両側のアーチコア30bは、センターコア30aを挟んで互いに対称な形状を有し、その断面形状がアーチ形に成形されたフェライト製コアである。各アーチコア30bの全長は誘導加熱コイル29が配置された領域よりも長い。また、両側のサイドコア30cは、ブロック形状に成形されたフェライト製のコアである。サイドコア30cは各アーチコア30bの一端(図2では上下端)に連結して設けられている。各サイドコア30cは、それぞれ誘導加熱コイル29が配置された領域の外側を覆っている。
【0052】
アーチコア30bは、例えば誘導加熱部25の長手方向に間隔をおいて複数箇所に配置されている。本実施形態では、隣り合うアーチコア30b同士の間隔は10mm程度としている。また、アーチコア30bの配置密度は、高ければ高いほど磁束の誘導性能が良くなる。しかしながら、ある程度アーチコア30bの配置密度を減らしても磁束の誘導性能の低下は少ないので、充分な性能を発揮できる範囲で高いコストパフォーマンスが得られるようにアーチコア30bの配置密度を設定することが好ましい。また、定着ベルト21の幅方向の温度分布を調整する場合、アーチコア30bの配置密度を調整することで対応可能である。
【0053】
また、サイドコア30cは、誘導加熱部25の長手方向において複数に分割されており、その1つの長さが30〜60mm程度である。複数のサイドコア30cは誘導加熱部25の長手方向に間隔をあけずに連続して配置されている。サイドコア30cを配置する範囲の全長は誘導加熱コイル29が配置された領域の長さに対応している。このようにサイドコア30cを連続して複数配置することで、アーチコア30bの配置による温度分布の振れ幅を均す効果がある。なお、各アーチコア30b、サイドコア30cの配置は、例えば誘導加熱コイル29の磁束密度(磁界強度)分布に合わせて決定されている。アーチコア30bがある程度の間隔をおいて配置されている分、アーチコア30bが抜けた箇所でサイドコア30cが磁束の集束効果を補い、長手方向での磁束密度分布(温度分布)を均している。
【0054】
誘導加熱部25は、誘導加熱コイル29に高周波電流を供給することにより、センターコア30a及び両側のアーチコア30b及びサイドコア30cを通じて磁束を発生させる。誘導加熱部25から発せられる磁束は定着ベルト21の誘導発熱層に作用する。その結果、誘導発熱層の磁束の周りに渦電流が生じるため、誘導発熱層の電気抵抗によってジュール熱が発生して定着ベルト21が発熱することになる。
【0055】
誘導加熱コイル29に流れる電流は、サーミスターによって定着ベルト21が所定の温度となるように制御されている。そして、誘導加熱部25により定着ベルト21が加熱されて所定の温度に昇温された後に、定着ニップ部Nで挟持されながら搬送される用紙P(図1参照)が加熱されるとともに、加圧ローラー23にて加圧されることにより、用紙P上の粉体状態のトナーが用紙Pに溶融定着される。
【0056】
図3に示すように、誘導加熱コイル29を平面的に見た場合、誘導加熱部25の両端部に位置するターン部29bの幅w1の方が、誘導加熱部25の長手方向に平行な直線部29aの幅w2に比べて狭くなっている。この構成により、誘導加熱コイル29の長手方向に占める直線部29aの割合が大きくなり、誘導加熱コイル29の長手方向寸法を定着ベルト21の幅方向寸法と略同一としたときの、定着ベルト21の幅方向に対向する直線部29aの割合も大きくなる。
【0057】
従って、誘導加熱コイル29の長手方向寸法を大きくすることなく、ターン部29bに比べて大きな磁束の発生する直線部29aを定着ベルト21の加熱に広く利用することができ、定着ベルト21の幅方向全域を効率良く且つ均一に加熱することができ、定着温度ムラの発生やエネルギーのロスを抑制することができる。
【0058】
図4は、誘導加熱コイル29を製造するカートリッジ40の分解斜視図であり、図5は、カートリッジ40を長手方向の端部側から見た側面図である。カートリッジ40は、トレイ状の第1カートリッジ41と、第1カートリッジ41に所定の間隔を隔てて重なる第2カートリッジ43とを有する。第1カートリッジ41及び第2カートリッジ43は、例えばアルミニウム等の金属で形成される。
【0059】
第1カートリッジ41は、長手方向の端部側から見て円弧状に湾曲した凹面41aを有し、凹面41aの底部にはリッツ線が巻回される細長状の巻芯部45が長手方向に沿ってリブ状に形成されている。巻芯部45には上向きに突出する2本のボス47が形成されている。ボス47の外周面にはネジ山が切られている。
【0060】
第2カートリッジ43は、長手方向の端部側から見て円弧状に湾曲した凸面43aを有し、凸面43aの頂部にはボス47に対応する位置にボス孔48が形成されている。第1カートリッジ41の凹面41aと第2カートリッジ43の凸面43aとを対向させて、2本のボス47をボス孔48に嵌め込み、ボス47のネジ山にナット49を螺合することにより、図5に示すように、凹面41aと凸面43aとの間に断面円弧状のコイルガイド部50が形成される。カートリッジ40の端部におけるコイルガイド部50の間隔h1は、カートリッジ40の長手方向の側面におけるコイルガイド部50の間隔h2に比べて広くなっている。
【0061】
間隔h1とh2の比率が小さすぎると、誘導加熱コイル29のターン部29bの幅w1を十分に狭くすることができない。一方、間隔h1とh2の比率が大きすぎると、リッツ線28を整列させて巻回することが困難となり作業性が低下する。従って、h1をh2の1.1〜1.2倍程度の広さにしておくことが好ましい。例えば、h2が3mmのとき、h1は3.4〜3.5mmに調整される。
【0062】
また、第1カートリッジ41及び第2カートリッジ43の長手方向両端部には、それぞれ傾斜面41b、43bが形成されている。リッツ線28を巻芯部45に巻回する際、傾斜面41b、43bに沿ってリッツ線28がコイルガイド部50に案内されるため、リッツ線28の巻回作業を円滑に行うことができる。
【0063】
次に、カートリッジ40を用いた誘導加熱コイル29の製造方法について説明する。先ず、リッツ線28が巻き取られたリール(図示せず)からリッツ線28を繰り出して巻芯部45に沿わせ、巻き始め側の先端が所定の長さだけカートリッジ40から突出するようにセットする。次いで、リッツ線28に所定の張力を掛けつつ、カートリッジ40の巻芯部45に所定回数(例えば8回)だけ巻回する。
【0064】
図6は、誘導加熱コイル29が巻き上げられたカートリッジ40を長手方向に対し垂直に切断した側面断面図であり、図7は、誘導加熱コイル29が巻き上げられたカートリッジ40の端部を長手方向に対し平行に切断した側面断面図である。図6に示すように、カートリッジ40の長手方向中央部におけるコイルガイド部50の間隔h2は、誘導加熱コイル29を構成するリッツ線28の直径の2倍よりも狭い。そのため、巻芯部45にリッツ線28を巻回していくと、誘導加熱コイル29の直線部29aではリッツ線28がジグザグに積層され、凹面41aに接触するリッツ線28同士、及び凸面43aに接触するリッツ線28同士が離間している。
【0065】
一方、カートリッジ40の長手方向両端部におけるコイルガイド部50の間隔h1は、誘導加熱コイル29を構成するリッツ線28の直径の略2倍となっている。そのため、巻芯部45にリッツ線28を巻回していくと、図7に示すように、誘導加熱コイル29のターン部29bではリッツ線28が2層に積層され、凹面41aに接触するリッツ線28同士、及び凸面43aに接触するリッツ線28同士が密着している。即ち、ターン部29bでは直線部29aに比べてリッツ線28が密に巻回される。
【0066】
これにより、リッツ線28は既に巻回されたリッツ線28に沿ってコイルガイド部50の奥側から順次整列して巻回され、コイルガイド部50に沿って断面円弧状の誘導加熱コイル29が巻き上げられる。そして、巻き上げられた誘導加熱コイル29が緩まないように保持しながら、リッツ線28のリール側を所定の長さだけカートリッジ40から突出するように切断することにより、リッツ線28の巻き始め側、及び巻き終わり側の両端がカートリッジ40から突出した状態となる。このリッツ線28の両端には端子を取り付けておく。
【0067】
次に、図8に示すように、カートリッジ40の長手方向の側面からコイルガイド部50にリッツ線押さえ部材51を挿入する。その結果、リッツ線28はコイルガイド部50内で圧縮されて断面形状が円形から四角形状に変化し、隣接するリッツ線28同士が密着する。また、カートリッジ40の長手方向の両端部においてもリッツ線押さえ部材51の押圧力がリッツ線に加わるため、リッツ線28の断面形状が円形から四角形状に変化し、隣接するリッツ線28同士が密着する。
【0068】
この状態で、リッツ線28の両端に取り付けられた端子を介して誘導加熱コイル29に電流を流すと、リッツ線28が自己発熱することによって表面の融着層が溶融する。そして、一定時間経過後に電流を遮断して誘導加熱コイル29を冷却することにより、融着層が再び固化して誘導加熱コイル29の形状が固定される。
【0069】
形状が固定された誘導加熱コイル29は、ナット49を弛めて第2カートリッジ43を取り外すことにより巻芯部45から取り外すことができる。図9は、第2カートリッジ43を取り外したカートリッジ40を長手方向に対し垂直に切断した側面断面図であり、図10は、第2カートリッジ43を取り外したカートリッジ40の端部を長手方向に対し平行に切断した側面断面図である。誘導加熱コイル29のターン部29bの厚みaはコイルガイド部50の間隔h1と略等しく、直線部29aの厚みbはコイルガイド部50の間隔h2と略等しくなっている。また、ターン部29bの幅w1は、直線部29aの幅w2に比べて狭くなっている。
【0070】
カートリッジ40から取り外された誘導加熱コイル29は、誘導加熱部25を構成するコイルボビン27(図2参照)に装着される。ここで、コイルガイド部50の曲率はコイルボビン27の曲率と略同一になっているため、コイルボビン27の形状に応じた誘導加熱コイル29を簡単に製造することができる。
【0071】
なお、上記の手順ではカートリッジ40の長手方向の側面からコイルガイド部50にリッツ線押さえ部材51を挿入したが、さらにカートリッジ40の長手方向の両端部からリッツ線押さえ部材51を挿入しても良い。この場合、リッツ線押さえ部材51を挿入する工程が増加するものの、ターン部29bのリッツ線28同士が確実に密着するため、ターン部29bの幅w1のより狭い誘導加熱コイル29を製造することができる。
【0072】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態で示した定着ベルト21、加圧ローラー23等の構成は好ましい一例であり、本発明の目的を達成可能な他の構成を採用することもできる。また、上記実施形態では、本発明のカートリッジ40で製造された誘導加熱コイル29を、誘導加熱部25により定着ベルト21の誘導発熱層を加熱するベルト定着方式に用いた例について説明したが、定着ベルト21に代えて誘導発熱層を有する加熱ローラーを設けた熱ローラー定着方式にも同様に適用可能である。
【0073】
また、上記実施形態では、第1カートリッジ41の凹面41aの底部に巻芯部45を設けたが、第2カートリッジ43の凸面43aの頂部に巻芯部45を設けても良い。さらに、第1カートリッジ41と第2カートリッジ43を連結または連結解除する結合手段としては、ネジ山が形成されたボス47とナット49とを用いる他、ボルトやクランプ等の他の結合手段を用いることもできる。
【0074】
また、本発明のカートリッジ40を用いて製造された誘導加熱コイル29は、図1に示したタンデム式のカラープリンターに限らず、デジタル複合機やカラー複写機、アナログ方式のモノクロ複写機、或いはモノクロプリンターやファクシミリ等の、電子写真プロセスを用いた種々の画像形成装置の定着装置13の誘導加熱部25に適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、熱ローラー定着方式やベルト定着方式の定着装置の誘導加熱部に用いられる誘導加熱コイルの製造に利用可能である。本発明の利用により、ターン部の幅が狭くエネルギーのロスが少ない誘導加熱コイルを簡易且つ低コストで製造することができる。
【符号の説明】
【0076】
13 定着装置
21 定着ベルト(加熱部材)
22 ベルト支持部材
23 加圧ローラー
25 誘導加熱部
27 コイルボビン
28 リッツ線
29 誘導加熱コイル
29a 直線部
29b ターン部
30a センターコア
30b アーチコア
30c サイドコア
40 カートリッジ
41 第1カートリッジ
41a 凹面
43 第2カートリッジ
43a 凸面
41b、43b 傾斜面
45 巻芯部
47 ボス(結合手段)
48 ボス孔(結合手段)
49 ナット(結合手段)
50 コイルガイド部
51 リッツ線押さえ部材
100 カラープリンター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向の端部側から見て円弧状に湾曲した凹面を有する第1カートリッジと、
該第1カートリッジに着脱可能であり、前記凹面に所定の間隔を隔てて対向する円弧状の凸面を有する第2カートリッジと、
前記凹面の底部または前記凸面の頂部のいずれかに形成され、リッツ線が巻回される巻芯部と、
該巻芯部の周方向外側に前記凹面と前記凸面とで形成される断面円弧状のコイルガイド部と、
前記巻芯部を介して前記第1カートリッジと前記第2カートリッジとを連結または連結解除する結合手段と、を有し、
前記第1カートリッジ及び前記第2カートリッジの長手方向の両端部における前記コイルガイド部の間隔h1が、前記第1カートリッジ及び前記第2カートリッジの長手方向の側面における前記コイルガイド部の間隔h2よりも広いコイル製造用カートリッジ。
【請求項2】
h1/h2が1.1〜1.2であることを特徴とする請求項1に記載のコイル製造用カートリッジ。
【請求項3】
前記結合手段は、前記巻芯部の上面に突設され外周面にネジ山が形成されたボスと、該ボスに対向する前記凹面若しくは凸面に形成され前記ボスが嵌合するボス孔と、該ボス孔を介して突出する前記ボスのネジ山に螺合するナットと、で構成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコイル製造用カートリッジ。
【請求項4】
前記第1カートリッジ及び前記第2カートリッジの長手方向の両端部に、前記巻芯部の周方向外側に向かって前記凹面と前記凸面とが離間する方向の傾斜面を形成したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のコイル製造用カートリッジ。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のコイル製造用カートリッジを用いて製造された誘導加熱コイルであって、前記凹面及び前記凸面に対し垂直な方向から見たとき、前記第1カートリッジ及び前記第2カートリッジの長手方向の両端部に形成されるターン部のコイル幅が前記第1カートリッジ及び前記第2カートリッジの長手方向に沿って形成される直線部のコイル幅よりも狭い誘導加熱コイル。
【請求項6】
請求項5に記載の誘導加熱コイルに電流を流して磁束を発生させ、該磁束によって加熱部材に設けた誘導発熱層を誘導加熱する誘導加熱部を備えた定着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−16391(P2013−16391A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149205(P2011−149205)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】