説明

コイン精米機

【課題】防音対策を十分に施した都市型のコイン精米機を提供すること。
【解決手段】機械室2と糠室4を隣接配置し、機械室2と糠室4の前に客室6を備え、糠移送筒7を機械室2と糠室4を仕切る壁面を貫通して設け、糠室4に糠ファン3とサイクロン8を設け、糠室4壁面を防音構造10にしたコイン精米機であり、騒音を発する糠ファン3を防音構造10とした糠室4に設けることにより外部への騒音が漏れるのを防止して都市型のコイン精米機として設置することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣の投入量に対応する玄米をとう精(搗精)して白米に精米するコイン精米機に関する。
【背景技術】
【0002】
食生活の向上、食文化の発展に伴い日本人の主食である米についても、美味、良質の米を選択し、栄養条件や嗜好にあわせて精米し、また精米から時間を置かずに炊飯するといった傾向も見られるようになってきた。そこで消費者自身で少量の米を簡単に精米する要求が増大し、貨幣の投入量に対応する比較的少量の米を玄米から白米に精米する、いわゆるコイン精米機が普及している。
【0003】
コイン精米機は、利用客が持参した玄米を投入ホッパーに投入したのち、精米機内で玄米を白米に精米し、かつ糠を分離して精米された白米を利用客に提供する装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−216541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1記載のコイン精米機は、機械室内の装置各部の駆動音が発生するが、とりわけ精米時に糠を分離するための糠ファンの作動時に騒音が発生する。コイン精米機を人口密集地に設置する場合には、糠ファンなどから生じる騒音が住宅地域では迷惑がかかる場合がある。
そこで本発明の課題は、防音対策を十分に施したコイン精米機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の課題は、次の解決手段により解決される。
すなわち、請求項1記載の発明は、機械室(2)と糠室(4)と客室(6)を備えたコイン精米機において、機械室(2)と糠室(4)とを隣接して配置し、機械室(2)内に精米機(19)を配置し、精米機(19)で発生した糠が通過する糠移送筒(7)を機械室(2)と糠室(4)を仕切る壁面を貫通して設け、糠移送筒(7)の搬送終端部にあって、精米機(19)で発生した糠を吸引する糠ファン(3)とサイクロン(8)を糠室(4)内に配置し、糠室(4)壁面を防音構造(10)にしたことを特徴とするコイン精米機とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、機械室(2)と糠室(4)はそれぞれ客室(6)に対向する位置に隣接して配置し、糠室(4)に正転と逆転可能なラセン(37)を内装する糠搬送樋(36)をサイクロン(8)の下方に設け、
糠搬送樋(36)の両端部にそれぞれ糠排出口(36a,36b)を設け、一方の糠排出口(36a)を客室(6)側に設ける糠取出口(5)の上方位置に対向して設け、他方の糠排出口(36b)を糠室(4)内に設けたことを特徴とする請求項1記載のコイン精米機とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によれば、騒音の大きい糠ファン3を防音構造10とした糠室4に設けることにより外部への騒音が漏れるのを低減することができる。
【0009】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、サイクロン8から糠搬送樋36に設けた糠ラセン37の回転方向に応じて、糠を糠室4内に供給して堆積させるか、糠を糠取出口5を通じて客室6内に供給することを一本のラセン37で行なうことができ、構成が簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のコイン精米機の平面図である。
【図2】図1のコイン精米機の客室から見て機械室と糠室をそれぞれが左右逆に配置する構成を採用した場合の平面図(図2(a)、図2(b))である。
【図3】図1のコイン精米機の客室に配置された操作盤のレイアウトを示す図である。
【図4】本発明の一実施例のコイン精米機の糠室内部を見た側面図である。
【図5】図1のコイン精米機の糠室内を見た側面図である。
【図6】本発明の一実施例のコイン精米機の平面図である。
【図7】本発明の一実施例のコイン精米機の正面図(図7(a))と側面図(図7(b))である
【図8】本発明の一実施例のコイン精米機の正面図(図8(a))と側面から見た室内の図(図8(b))である。
【図9】本発明のコイン精米機の作業工程図である。
【図10】本発明のコイン精米機の糠室と機械室と客室を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施例を図面と共に説明する。
本実施例のコイン精米機は、図10の平面図に示すように、それぞれ独立した機械室2と糠室4と客室6とを図示しない連結具で連結して図1に示すようなコイン精米機としている。機械室2と糠室4を隣接位置に並行して配置する。なお、この実施例のコイン精米機では客室6側を前側、機械室2側及び糠室4を後側として説明する。
【0012】
機械室2について図1と図9に基づいて説明する。
機械室2には投入した玄米を精米処理する精米設備、いわゆるユニット型精米設備1を搭載している。ユニット型精米設備1は玄米を投入する投入ホッパ14と、投入ホッパ14に投入した玄米を繰出すロータリバルブ13と、ロータリバルブ13で繰出された玄米を揚穀する石抜用昇降機15と、玄米に混じる石を抜く石抜機16と、石抜機16で石抜き処理された玄米を揚穀する精米用昇降機18と、玄米を精米処理する精米機19と、精米機19で精米処理された白米を受ける白米タンク20とを設けている。
【0013】
糠室4について図1と図5と図9に基づいて説明する。
糠室4は糠室4の内壁面を簡単なコンクリート型枠用合板(以下、コンパネという)10で囲った防音構造となっており、糠室4内部には、精米機19で精米処理して発生した糠を吸引する糠ファン3と、糠ファン3で吸引された糠と空気とを分離するサイクロン8と、サイクロン8で分離された糠を受ける糠搬送樋36と、糠搬送樋36内にあって糠を搬送する糠ラセン37とを設けている。石抜用昇降機15、石抜機16、精米用昇降機18及び精米機19などがユニット型精米設備1を構成する。
【0014】
糠搬送樋36は客室6側との仕切壁近傍位置から糠室4後部に向かって延びる構成とし、その両端部にそれぞれ糠排出口36a、36bを形成している。客室6側の糠排出口36aは客室6側から取り出せる糠取出口5の上方位置に設け、糠取出口5には客室6側から引き出せる糠収納用ボックス40を設けている。糠室4の後部側の糠排出口36bは糠室4の床面に向かって開口する構成である。
【0015】
精米機19と糠ファン3とは糠移送筒7で接続しており、糠移送筒7は機械室2と糠室4の横仕切壁2a,4aに形成する貫通穴2b,4bを貫通し、糠移送筒7の終端部に糠ファン3を接続する構成である。
【0016】
次に操作盤21について以下説明する。
操作盤21にはコインを投入するコイン投入口24、精白度を選択する精白度選択ボタン28が設けられており、本実施の形態では精白度選択ボタン28は上白ボタン28a、標準ボタン28b、8ぶボタン28cからなる。また操作盤21にはもち米選択ボタン27、投入コイン表示部25、残金返却口26、精米処理して発生した糠を利用者が持ち帰る糠取出しボタン34が設けられている。
【0017】
精米作業の概要について説明する。
玄米を持参した利用者は、コイン投入口24にコインを投入して玄米を投入ホッパ14に投入する。そして、精白度選択ボタン28のいずれかを選択すると、ユニット型精米設備1が駆動を開始し、投入ホッパ14内の玄米は前述の各装置を通過して石抜処理、及び精米処理がなされ、精白米は白米タンク20に貯留され、利用者は精白米を持ち帰る。
【0018】
精米機19の精米処理で発生した糠は、糠ファン3で吸引され、糠移送筒7を通過してサイクロン8から糠搬送樋36に落下する。糠ラセン37で糠室4の後部側に向かって搬送され、糠室4の後部側の糠排出口36bから糠室4内に排出される。利用者が糠取出ボタン34を押すと糠ラセン37は客室4側に向かって搬送すべく逆転し、糠は客室6側の糠排出口36aから糠収納用ボックス40に排出される。利用者は客室6から糠収納用ボックス40を取り出し、自分の米の糠を持ち帰る。
【0019】
次に、本実施の形態のコイン精米機の特徴について説明する。
図1に示すコイン精米機では、投入ホッパ14を客室2の左右一側に対向する位置に配置し、白米タンク20の白米取出口を客室2の左右中央部に対向する位置に配置し、糠収納用ボックス40を客室2の左右他側に対向する位置に配置する。操作盤21は白米タンク20と投入ホッパ14との間の位置に配置する。すなわち、糠取出しと白米取出しを隣接位置にして利用者が糠と白米を取り出しやすい構成としている。
【0020】
糠室4と機械室2はそれぞれ後側に出入り用の扉42a,42bを設ける。客室6にも利用者の出入り用の客室用扉11を前側に設ける。コイン精米機の管理者は、メンテナンス時に機械室2側の扉42bか糠室4側の扉42aのいずれか必要なほうの扉を開けて室内に入ることができる。また、両方の扉を開けることで同時に両方の室内の様子を確認することができる。特に背面視で観音式の扉状になるよう扉42a,42bを構成することで、管理者が開閉し易い。
【0021】
糠室4の防音構造はコンパネ10で囲ったものであり、このような簡単な構造で騒音がかなりの程度低減でき、また糠室4をコンパネ10からなる防音構造で覆うことで糠室4からの糠の飛散防止に役立つ。また、糠室4の全体を防音構造とするため、機械室の入口ドア4bはエアータイト型とすることで防音効果を出すことができる。さらに、機械室2の内壁面をコンパネで囲ってもよい。
【0022】
また、1つの糠ラセン37で簡単に、しかも安価に糠の糠室4内への堆積機能と糠の持ち帰り機能を達成できる。なお、図4は糠排出口36aを客室6側に突出させて構成した図5の別実施例である。
【0023】
また、図6のコイン精米機の平面図に示す実施例では、糠室4に対向側の客室6のコーナー部を切り落とした構成とし、糠室4と対向する位置に利用者のの出入口用の客室用扉11を設けたので、利用者が客室6における米の投入・取出の邪魔にならないだけでなく、またコーナ部が欠けていることでコイン精米機のスペースコンパクトにすることができる場合がある。
【0024】
この場合には客室6の出入口用の客室用扉11は、片側に取り付けた蝶番11aを支点として開閉自在とするため、従来の引き扉式の出入口用扉に比べて安価に出入口部を構成できる。
【0025】
また図7の正面図(図7(a))と側面図(図7(b))に示す実施例では、客室の前側はガラス製の引き戸の客室用扉11のある構成とし、さらに客室6の左右両側部を側壁透明ガラス43を嵌め込んだ構成とすることで客室内部を外部から良く見えるようにしておくと、防犯上、外部からの死角のないため、利用者に安心感を与えることができる。
【0026】
さらに客室6の前側の庇上部を透明ガラス45の嵌め込み式の看板を配置すると、客室内部の天井に配置した照明灯46を利用して省スペースでコイン精米機の看板を構成することができ、建屋内の照明灯46で充分な電飾効果を出すことができ、室内の照明灯46を使うため、省エネルギー効果もある。この照明付きの看板は、遠くの外部からの視認性は劣るが、米を持参した利用者はコイン精米機の在り場所を十分知っている場合がほとんどであり、客室内の照明灯46の明かりだけで、容易にコイン精米機の在り場所を見出すことができる。
【0027】
図8には、別実施例のコイン精米機の正面図(図8(a))と側面から見た室内の図(図8(b))を示す。この例では客室の前側はガラス製の引き戸11のある構成とし、客室前面の庇上部を看板スペースとして張り出し部49を設け、その前面を透明ガラス45も嵌め込み式とし、客室内部の照明灯46を利用して電飾効果を出す構成である。建屋内の照明灯46で看板は充分な電飾効果を出すことができ、電力も必要な室内の照明を使うため、省エネルギーとなる。また、張り出し部49の下部には通気穴49aを設けているので、安価に換気効果を出すことも出来る。
【0028】
コイン精米機における盗難防止のために、コイン精米機には、盗難検出のために(a)操作盤の抉じ開け、(b)金庫の抉じ開け及び(c)人を検知しているにも拘わらず、精米作業が行われていない場合には、それらの危険を知らせる信号をシーケンサに取り込み、出力信号を基に看板や照明灯46を点滅させて、周囲に注意を促す構成とすることができる。
【0029】
またコイン精米機の側壁面に看板を配置し、該看板をLED電飾にして、上記危険を知らせる信号により、側壁面の看板を点滅させる構成にしてもよい。
【0030】
電飾看板は目立ち、点灯は比較的遠くからでも、上記した異常があると容易に分かる。しかも警報音を小さく発する構成にすると、付近住民の苦情になりにくい。
【産業上の利用可能性】
【0031】
ユニット型精米設備の装置各部のレイアウトを変更すれば図2のように、糠室4と機械室2の左右を変更することも可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 ユニット型精米設備 2 機械室
2a 横仕切壁 2b 貫通穴
3 糠ファン 4 糠室
4a 横仕切壁 4b 貫通穴
5 糠取出口 6 客室
7 糠移送筒 8 サイクロン
10 防音壁(コンパネ) 11 客室用扉
13 ロータリバルブ 14 投入ホッパ
15 石抜用昇降機 16 石抜機
18 精米用昇降機 19 精米機
20 白米タンク 21 操作盤
24 コイン投入口 25 投入コイン数表示部
26 残金返却口 27 もち米利用ボタン
28 精白度選択ボタン 28a 上白ボタン
28b 標準ボタン 28c 8ぶボタン
34 糠取出ボタン 36 糠搬送樋
36a 糠取出部 36b 糠排出部
37 糠ラセン 40 糠収納用ボックス
42a 糠室用扉 42b 機械室用扉
43 側壁透明ガラス
45 嵌め込み式の看板用透明ガラス
46 照明灯 49 看板用張出部
49a 通気穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械室(2)と糠室(4)と客室(6)を備えたコイン精米機において、機械室(2)と糠室(4)とを隣接して配置し、機械室(2)内に精米機(1)を配置し、精米機(1)で発生した糠が通過する糠移送筒(7)を機械室(2)と糠室(4)を仕切る壁面を貫通して設け、糠移送筒(7)の搬送終端部にあって、精米機(1)で発生した糠を吸引する糠ファン(3)とサイクロン(8)を糠室(4)内に配置し、糠室(4)壁面を防音構造(10)にしたことを特徴とするコイン精米機。
【請求項2】
機械室(2)と糠室(4)はそれぞれ客室(6)に対向する位置に隣接して配置し、糠室(4)に正転と逆転可能なラセン(37)を内装する糠搬送樋(36)をサイクロン(8)の下方に設け、
糠搬送樋(36)の両端部にそれぞれ糠排出口(36a,36b)を設け、一方の糠排出口(36a)を客室(6)側に設ける糠取出口(5)の上方位置に対向して設け、他方の糠排出口(36b)を糠室(4)内に設けたことを特徴とする請求項1記載のコイン精米機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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