説明

コエンザイムQ10の製造法

【課題】水等に不溶性で薬用、食用として摂取時、体内への吸収が甚だしく悪く、又、光に対して過敏で分解し易く、又酸化し易く不安定な補酵素成分であるコエンザイムQ10の性質を著明に改善する製造法を提供する。
【解決手段】シクロデキストリンに水を加え、よく混合し、泥状にねった水和混合物中にコエンザイムQ10を均一に混和して行き、一定時間、通常30分〜数時間程度よく混合攪拌、よくねってシクロデキストリン分子空洞内にコエンザイムQ10分子を包接せしめ、コエンザイムQ10の水溶性、又は水に対する乳化懸濁性を改善し、光に対する過敏分解性や酸化等の不安定性をも改善、安定化せしめることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水溶性、乳化エマルジョン化性大なる補酵素、コエンザイムQ10の製造法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、水等に不溶性の補酵素、コエンザイムQ10はそのまま錠剤、カプセル化し、製品化したので胃腸内で吸収も悪く、胃腸障害もあり、薬効も低下、光を受けたり酸化して変質しやすく不安定な性質をもっている。
この欠点を除くため、油等に溶かしソフトカプセル化等して製品加工し、かなり胃腸よりの吸収も改善され、品質もやゝ安定化したが、まだ吸収も不十分で、光に対し不安定、又酸化し易い成分なので、未完成の品質のまま経過し使用されて来た。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来法では次の様な問題点があった。
コエンザイムQ10を加工しないで不溶性のまま錠剤化したり、せいぜい油類等に溶解して軟カプセル化する方法がとられた。
しかし、この程度の加工法では幾分胃腸からの吸収も改善され、コエンザイム成分の光に弱く、酸化され易い不安定性も少しは改善されたが、まだまだ不完全であった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
シクロデキストリンの通常0.3〜3倍重量の水を加え、よく混合しねった水和物中にコエンザイムQ10を均一に混和して行き、一定時間よく混和攪拌(通常30分〜数時間程度)、シクロデキストリン分子空洞内にコエンザイムQ10分子を包接加工させる。
例えばシクロデキストリン100グラムに50mlの水を加え、よく泥状にねって混和した水和混合物にコエンザイムQ10、30グラムを徐々に加え攪拌混合すると、コエンザイムQ10分子をシクロデキストリン分子空洞内に包接させることができ、水に対する乳化エマルジョン化し易い性質に改質、又、光や酸化に対し安定な性質に加工できる。
【発明の効果】
【0005】
従来のコエンザイムQ10は水等に対し不溶性、疎水性であるし、光に照射され速かに分解され易く、又酸化され易い、不安定な性質を持っているが本発明にかかる製造法により、6個から10個のD−グルコピラノース基がα(1.4)グルコシド結合により環状結合したオリゴマーであり重合度によりα−(6)、β−(7)、δ−(8)シクロデキストリンが主として用いられ、このシクロデキストリンを水と混和し、この水和(水との混合)物にコエンザイムQ10を混和、なるべく強力にねり合せ攪拌することにより、シクロデキストリンは分子内に各種の有機化合物(ゲスト分子)を包接できる空洞をもつ単分子的ホスト分子として、この混合時間中にゲスト分子であるコエンザイムQ10分子を包接させ安定化せしめるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
例をあげて本製造法を説明する。
シクロデキストリンにはα−CD、β−CD、δ−CD等の種類があるが、コエンザイムQ10分子の加工にはδ−CDが適している。
シクロデキストリン100gに50mlの水を加え、乳鉢等でよくねり、泥状の水和物を作り、これにコエンザイムQ10末30gを徐々に添加、よく均等に混和し、30分〜数時間位擂潰機、練合機、ホモジナイザー等で十分に攪拌、れん合させ包接加工を完成させる。
一般に時間と共に、やや粘度が上昇しペースト状になると含水包接体が生成されたものとみなされる。そして必要に応じ、これを乾燥後、適当な溶媒で洗浄すれば安定した包接体が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シクロデキストリンに水を加え混合した水和混合物中にコエンザイムQ10を混和し、一定時間、通常30分乃至数時間程度、攪拌混合し、シクロデキストリン分子空洞内にコエンザイムQ10分子を包接せしめてなるコエンザイムQ10の製造法。

【公開番号】特開2006−1917(P2006−1917A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−207931(P2004−207931)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(503198574)
【Fターム(参考)】