説明

コネクタ、および、それを備えた吸引カテーテル装置

【課題】操作者の操作の適否に関係なく、吸引カテーテルの洗浄時に気管チューブ側へ洗浄水が流入しないコネクタ、および、それを備えた吸引カテーテル装置を提供する。
【解決手段】コネクタ1は、吸引カテーテル22が挿通される内筒部10と、気管チューブと接続する第1ポート11、内筒部10が移動自在に装着される第2ポート12、および、洗浄水を供給する洗浄ポート13を有する外筒部16と、洗浄ポート13よりも先端側の外筒部16の内部に設けられ、内筒部10の挿通によって開閉する弁体部20とを備え、内筒部10は、吸引カテーテル22を前進させた際に弁体部20を基端側から押圧して開放状態にする第1突起部7と、吸引カテーテル22を後退させた際に弁体部20を先端側から押圧して閉塞状態を維持する第2突起部8と、第2突起部8が弁体部20と当接した際に洗浄ポート13と連通する開口部9とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の気管内に挿入された気管チューブに吸引カテーテルを接続する際に用いられるコネクタ、および、それを備えた吸引カテーテル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人工呼吸器を使用している患者は、気管内に気管挿管チューブまたは気管切開チューブ(以下、総称して気管チューブという)が留置された状態のとき、気管に滞留する異物(痰など)を、自発的に口外に排出することができない。そこで、一般に、患者の気管内に留置された気管チューブ内に吸引カテーテルを挿入し、その吸引カテーテルの先端部から気管に滞留する異物(痰など)を吸引する手法がとられている。なお、本明細書では、気管チューブと接続され、その気管チューブ内に吸引カテーテルを挿入する際に用いられる装置を、「吸引カテーテル装置」と称する。
【0003】
例えば、特許文献1には、気管チューブと接続される気管ポート、および、人工呼吸器と接続される呼吸ポートが形成されたマニホルドと、そのマニホルドを通って患者の気管チューブ内に前進して異物(痰など)を吸引するカテーテル(「吸引カテーテル」と同義。以下同様)と、マニホルド内に配置されてカテーテルによって開閉される弁とを備える吸引カテーテル装置が記載されている。
【0004】
また、この吸引カテーテル装置では、弁は、環状部材と、環状部材にヒンジ止めされたフラップとを有する。そして、そのフラップは、カテーテルが流路を通って移動するときに、カテーテルの末端側端部に押されて開放位置に移動する。また、そのフラップは、カテーテル洗浄のためにカテーテルが流路を通って引き戻されるときに、カテーテルを通して印加される吸引力により開放位置から閉鎖位置に移動する。
【0005】
これにより、操作者が適切な操作を行えば、カテーテルの洗浄時に、フラップが閉鎖位置にあることで、気管ポート側に洗浄液が漏れて気管チューブを経由して患者の体内に洗浄液が流入してしまうという事態は起こらない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4087567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された吸引カテーテル装置では、操作者が適切な操作を行わなかった場合、つまり、例えば、カテーテルの洗浄中に気管ポート側にカテーテルを移動させることでフラップが開放位置に移動した場合や、カテーテルの引き戻し不足でフラップが完全に閉塞位置に移動していなかった場合には、気管ポート側に洗浄水が漏れ、気管チューブを経由して患者の体内に洗浄水が流入してしまい、肺炎や窒息などを誘発してしまうという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、操作者の操作の適否に関係なく、吸引カテーテルの洗浄時に気管チューブ側へ洗浄水が流入しないコネクタ、および、それを備えた吸引カテーテル装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明に係るコネクタは、気管に滞留する異物を吸引する吸引カテーテルを気管チューブに接続する際に用いられるコネクタであって、前記吸引カテーテルを収納した保護スリーブが接続され、前記吸引カテーテルが挿通される流路が形成された内筒部と、先端側に前記気管チューブと接続する第1ポート、基端側に前記内筒部が移動自在に装着される第2ポート、および、前記第1ポートと前記第2ポートとの間に洗浄水を供給する洗浄ポートを有する外筒部と、前記洗浄ポートよりも先端側の前記外筒部の内部に設けられ、前記内筒部の挿通によって開閉する弁体部と、を備え、前記内筒部は、前記吸引カテーテルを先端側に前進させた際に前記弁体部を基端側から押圧して開放状態にする第1突起部と、前記吸引カテーテルを基端側に後退させた際に前記弁体部を先端側から押圧して閉塞状態を維持する第2突起部と、前記第2突起部が前記弁体部と当接した際に前記洗浄ポートと連通する開口部とを有することを特徴とする。
【0010】
また、コネクタは、前記弁体部が、環状部材と、環状部材にヒンジ付けされたフラップとを有するフラップ弁であることが好ましい。また、コネクタは、前記外筒部が、その先端側に人工呼吸器と接続する第3ポートをさらに有することが好ましい。さらに、コネクタは、前記環状部材が、貫通孔を有し、前記第2突起部が前記貫通孔内を摺動することが好ましい。
【0011】
前記構成によれば、吸引カテーテルを保護スリーブ側に後退させて洗浄する際に、弁体部を開閉する内筒部を備え、その内筒部が、弁体部を先端側から押圧して閉塞状態を維持する第2突起部を有することによって、操作者の操作の適否に関係なく、吸引カテーテルが気管チューブ側に移動しても、移動した吸引カテーテルによって弁体部が開放状態になることが防止される。また、内筒部が、第2突起部が弁体部に当接した際、すなわち、弁体部が閉塞状態のときに洗浄ポートと連通する開口部を有することによって、吸引カテーテルの後退が不十分で弁体部が未閉塞状態、すなわち、第2突起部が弁体部に当接しない状態では、開口部と洗浄ポートが連通せず、内筒部の流路への洗浄水の注入が防止される。それによって、洗浄ポートから開口部を介して流路内に注入された洗浄水が、第1ポート側に弁体部を介して漏れることがない。その結果、操作者の操作の適否に関係なく、洗浄水が気管チューブ内に流入することが防止される。
【0012】
本発明に係る吸引カテーテル装置は、気管チューブと接続して、気管に滞留する異物を吸引するもので、前記コネクタと、前記コネクタの前記内筒部の内部に挿通される吸引カテーテルと、前記吸引カテーテルを収納し、前記内筒部の基端側に接続される保護スリーブと、前記保護スリーブの基端側に配置され、前記吸引カテーテルの内部の減圧度を調整する圧力バルブと、を備えることを特徴とする。
【0013】
前記構成によれば、前記のようなコネクタを備えることによって、吸引カテーテルを保護スリーブ側に後退させて洗浄する際に、洗浄ポートから開口部を介して流路内に注入された洗浄水が、操作者の操作の適否に関係なく、気管チューブ内に流入することが防止される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、操作者の操作の適否に関係なく、吸引カテーテル洗浄時に気管チューブ側へ洗浄水が流入しないコネクタ、および、それを備えた吸引カテーテル装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の吸引カテーテル装置の実施形態の構成を示す模式図である。
【図2】本発明のコネクタの実施形態の構成を示す断面図である。
【図3】図2における弁体部と内筒部との接続の様子を示す斜視図である。
【図4】図2のコネクタの使用時の様子を示す断面図である。
【図5】図4における弁体部と内筒部との接続の様子を示す斜視図である。
【図6】図2のコネクタの使用時の様子を示す断面図である。
【図7】図2のコネクタの使用時の様子を示す断面図である。
【図8】図2のコネクタの使用時の様子を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係るコネクタおよび吸引カテーテル装置の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1、図2に示すように、コネクタ1は、気管に滞留する異物(痰など)を吸引する吸引カテーテル22を気管チューブに接続する際に用いられるもので、内筒部10と、外筒部16と、弁体部20とを備える。以下、各構成について説明する。
なお、本実施形態において、先端側とは患者の気管内に留置される気管チューブ側を意味し、基端側とは吸引カテーテル22の内部を陰圧にする圧力バルブ24(吸引ポンプ26)側を意味する。
【0018】
図2、図3に示すように、内筒部10は、合成樹脂等で構成された筒状体からなり、その形状は特に限定されないが、円筒状、角筒状が好ましい。そして、内筒部10は、基端側に吸引カテーテル22を収納した保護スリーブ23が接続され、内部に吸引カテーテル22が挿通する流路2が形成されている。また、内筒部10は、その先端側に、第1突起部7と、第2突起部8と、開口部9とを有する。
【0019】
内筒部10は、好ましくは、内筒本体部3と、蓋部5と、シール部6とからなる。そして、内筒本体部3の内部には吸引カテーテル22が挿通される流路2が形成され、吸引カテーテル22は内筒本体部3の基端側の端面に固定された蓋部5の内部に収納されたシール弁4によって液密に保持されている。また、蓋部5の基端側にはシール部6が固定され、蓋部5とシール部6との間に保護スリーブ23が接続されている。また、内筒本体部3にはリブ3aが形成され、リブ3aが後記する外筒部16の第2ポート12と当接することによって、内筒部10の先端側への移動が制限されると共に、内筒部10の第2ポート12からの脱落を防止している。
【0020】
図4、図5に示すように、内筒本体部3の先端側に形成された第1突起部7は、吸引カテーテル22を気管チューブ側(先端側)に前進、実際には内筒部10を気管チューブ側(先端側)に前進させた際に、後記する弁体部20(フラップ18)を基端側から押圧して開放状態にするものである。なお、第1突起部7の形状と、その形成位置は、弁体部20を構成する弁の種類によって適宜設定され、弁体部20を開放状態にできるように設定する。図5は、弁体部20としてフラップ弁を使用した際の形状と、その形成位置を記載したものである。
【0021】
図2、図3、図8に示すように、内筒本体部3の先端側に形成された第2突起部8は、吸引カテーテル22を保護スリーブ23側(基端側)に後退、実際には内筒部10を保護スリーブ23側(基端側)に後退させた際に、弁体部20(フラップ18)を先端側から押圧して閉塞状態を維持するものである。なお、第2突起部8の形状、その形成位置は、弁体部20を構成する弁の種類によって適宜設定され、弁体部20の閉塞状態を維持できるように設定する。図3は、弁体部20としてフラップ弁を使用した際の第2突起部8の形状と、その形成位置を記載したもので、先端部に屈曲部8aを形成することによって、弁体部20のフラップ18の開放を抑制するストッパーとしての機能を有する。
【0022】
図2、図8に示すように、内筒本体部3の先端側の側面に形成された開口部9は、第2突起部8が弁体部20と当接した際に、後記する洗浄ポート13と連通するものである。そして、吸引カテーテル22の洗浄の際には、洗浄ポート13に接続された洗浄水(滅菌水)が充填されたシリンジ27または専用容器(図示せず)から、開口部9を介して、内筒部10の内部に形成された流路2に洗浄水が注入される。また、開口部9は、洗浄ポート13の後記する外筒部16における形成位置に対応した位置に配置される。
【0023】
図2に示すように、外筒部16は、合成樹脂等で構成された筒状体からなり、その形状は特に限定されないが、円筒状、角筒状が好ましい。そして、外筒部16は、第1ポート11と、第2ポート12と、洗浄ポート13とを有する、
【0024】
第1ポート11は、筒状体の先端側に形成され、気管チューブと接続する部分である。そして、第1ポート11の先端側には、気管チューブのコネクタ部分(図示せず)と嵌合可能なコネクタ11a(図1参照)を有する。
【0025】
第2ポート12は、筒状体の基端側に形成され、内筒部10を移動自在に装着する部分であって、固定部12Aと、移動抑制部12Bとからなることが好ましい。そして、固定部12Aは、その内部に内筒本体部3をシール弁14によって、液密に、かつ、移動自在に装着している。また、移動抑制部12Bは、内筒本体部3に形成されたリブ3aを基端側の端面に内側から当接させることで、内筒部10の保護スリーブ23側への移動を抑制、具体的には内筒部10の第2ポート12(外筒部16)からの脱落を防止している。また、図4に示すように、移動抑制部12Bは、リブ3aを固定部12Aの基端側の端面に外側から当接させることで、内筒部10の先端側への移動を抑制している。
【0026】
洗浄ポート13は、第1ポート11と第2ポート12との間に形成され、後記する弁体部20より基端側に形成されている。また、洗浄ポート13は、第1ポート11および第2ポート12を有する筒状体から分岐して構成されることが好ましい。そして、洗浄ポート13は、洗浄水(滅菌水)が充填されたシリンジ27または専用容器(図示せず)が接続され、内筒部10の開口部9を介して、内筒部10の流路2に洗浄水を注入する経路となるものである。
【0027】
外筒部16は、第1ポート11、第2ポート12および洗浄ポート13に加えて、人工呼吸器と接続される第3ポート15をさらに有することが好ましい。第3ポート15は、第1ポート11および第2ポート12を有する筒状体の先端側に形成され、筒状体から分岐して構成されることが好ましい。外筒部16が第3ポート15を有することによって、患者と人工呼吸器との接続を維持しながら、気管に滞留する異物(痰など)の吸引を行うことができる。
【0028】
図2に示すように、弁体部20は、外筒部16の内部に設けられ、洗浄ポート13より先端側に配置される。弁体部20が洗浄ポート13より先端側に配置されることによって、異物(痰など)の吸引後に吸引カテーテル22が後退し収容される内筒部10の流路2を密閉空間とすることができ、吸引カテーテル22の洗浄に使用した洗浄水が気管チューブ内に流入することがなくなる。
【0029】
図3、図5に示すように、弁体部20は、環状部材19と、環状部材19にヒンジ付けされたフラップ18とを有するフラップ弁が、製造が容易な点で好ましい。また、弁体部20は、環状部材19に貫通孔19aを設け、貫通孔19a内を第2突起部8が摺動できる構造とすることが好ましい。しかしながら、弁体部20は、内筒部10で挿通可能で、流路2を密閉空間にできれば、スリット弁等でもよい。なお、弁体部20は、柔軟で自己閉塞性に優れたオレフィン系エラストマーで構成されることが好ましい。
【0030】
次に、本発明に係る吸引カテーテル装置の実施形態について説明する。
図1に示すように、吸引カテーテル装置21は、気管チューブと接続して、気管に滞留する異物(痰など)を吸引するもので、コネクタ1と、吸引カテーテル22と、保護スリーブ23と、圧力バルブ24とを備える。そして、吸引カテーテル装置21は、従来公知の排液チューブ25を介して、異物(痰など)の排液容器(図示せず)を備えた吸引ポンプ26に接続される。なお、吸引ポンプ26は、壁吸引装置であってもよい。
以下、各構成について説明するが、コネクタ1については前記のとおりであるので、説明を省略する。
【0031】
吸引カテーテル22は、コネクタ1の内筒部10の内部に挿通されるもので、気管内から異物(痰など)を吸引できるものであれば、特に限定されず、従来公知のカテーテルを使用する。
【0032】
保護スリーブ23は、吸引カテーテル22を長さ方向に収納する、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン等の樹脂シートで構成された柔軟、かつ、高耐久性で破れにくい袋状物であって、先端は内筒部10の基端側に接続され、基端は後記する圧力バルブ24に接続するコネクタ28に接続されている。保護スリーブ23を備えることによって、吸引カテーテル22に直接触れることがなくなるため、操作者の感染リスクが低下する。
【0033】
圧力バルブ24は、保護スリーブ23の基端側に配置され、吸引カテーテル22の内部の減圧度を調整するもので、従来公知の圧力バルブを使用する。圧力バルブ24は、吸引作業のON−OFFに加えて、吸引カテーテル22の内部の減圧度を所定圧力値に調整するものでもよい。
【0034】
次に、コネクタおよび吸引カテーテル装置の使用方法について、図1を用いて説明する。なお、必要に応じて他図も参照して説明する。
【0035】
(1)吸引カテーテル装置21と吸引ポンプ26を接続する。このとき、あらかじめ吸引カテーテル22の減圧度(吸引圧)を、例えば、成人で13〜20kPa、小児で8〜11kPaに設定しておく。
【0036】
(2)患者の気管チューブに、吸引カテーテル装置21のコネクタ1を接続する。
(3)保護スリーブ23の上から、保護スリーブ23に収納された吸引カテーテル22を持って患者側(気管チューブ側)に移動する。このとき、図4に示すように、コネクタ1の内筒部10の気管チューブ側へのスライドによって、内筒部10の第1突起部7が弁体部20を開放状態にする。これによって、図6に示すように、吸引カテーテル22が弁体部20を挿通して気管チューブ側に移動する。そして、吸引カテーテル22を気管チューブ内に所定長さ挿入する。なお、挿入する長さは、吸引カテーテル22に付された目盛(図示せず)と、気管チューブに付された目盛(図示せず)によって確認する。
【0037】
(4)圧力バルブ24をON状態にして、吸引カテーテル22の内部を減圧する。吸引カテーテル22で気管内チューブ内の異物(痰など)を所定時間吸引する。
(5)吸引カテーテル22の内部の減圧を維持しながら、圧力バルブ24を持って、吸引カテーテル22を気管チューブから引き戻す。
(6)図8に示すように、圧力バルブ24を持って引き戻すことにより保護スリーブ23が圧力バルブ24側に引き戻され、内筒部10も圧力バルブ24側にスライドする。それによって、第1突起部7の弁体部20に対する基端側からの押圧が解除される。そして、弁体部20の自己閉塞性により閉塞状態となった弁体部20が、内筒部10の第2突起部8により先端側から押圧される。なお、弁体部20の閉塞は、引き戻された吸引カテーテル22の減圧により行ってもよい。その結果、操作者の操作の適否に関係なく、吸引カテーテル22の気管チューブ側への移動によって、弁体部20が開放状態になることが防止される。
【0038】
(7)図8に示すように、吸引カテーテル22の引き戻しが十分であることを目視確認する。この確認は、吸引カテーテル22に付されたマーカ22aで行う。
(8)吸引カテーテル装置21の洗浄ポート13に、洗浄水(滅菌水)を充填したシリンジ27を接続する。このとき、吸引カテーテル22の減圧によって、洗浄水が開口部9を介して流路2に注入され、吸引カテーテル22が洗浄される。
【0039】
本発明においては、第2突起部8によって弁体部20の閉塞状態が維持され、流路2の密閉状態が維持されるため、洗浄水が弁体部20から気管チューブ側に漏れることがない。また、本発明においては、図7に示すように、吸引カテーテル22の引き戻しが不十分な状態で洗浄操作を行っても、洗浄ポート13と開口部9とが連通していないため、気管チューブ側に洗浄水が流入することがない。さらに、本発明においては、内筒部10の移動によって弁体部20が開閉するため、吸引カテーテル22が弁体部20に接触することがなく、吸引カテーテル22に付着した異物が弁体部20に付着することがない。
【0040】
(9)患者の呼吸状態を確認し、再度吸引を行う必要があるか判断する。吸引終了であれば、圧力バルブ24をOFF状態にして、吸引カテーテル装置21を吸引ポンプ26から外す。再吸引が必要であれば、(3)以降の操作を繰り返す。
【符号の説明】
【0041】
1 コネクタ
2 流路
7 第1突起部
8 第2突起部
9 開口部
10 内筒部
11 第1ポート
12 第2ポート
13 洗浄ポート
16 外筒部
20 弁体部
21 吸引カテーテル装置
22 吸引カテーテル
23 保護スリーブ
24 圧力バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気管に滞留する異物を吸引する吸引カテーテルを気管チューブに接続する際に用いられるコネクタであって、
前記吸引カテーテルを収納した保護スリーブが接続され、前記吸引カテーテルが挿通される流路が形成された内筒部と、
先端側に前記気管チューブと接続する第1ポート、基端側に前記内筒部が移動自在に装着される第2ポート、および、前記第1ポートと前記第2ポートとの間に洗浄水を供給する洗浄ポートを有する外筒部と、
前記洗浄ポートよりも先端側の前記外筒部の内部に設けられ、前記内筒部の挿通によって開閉する弁体部と、を備え、
前記内筒部は、前記吸引カテーテルを先端側に前進させた際に前記弁体部を基端側から押圧して開放状態にする第1突起部と、前記吸引カテーテルを基端側に後退させた際に前記弁体部を先端側から押圧して閉塞状態を維持する第2突起部と、前記第2突起部が前記弁体部と当接した際に前記洗浄ポートと連通する開口部とを有することを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記弁体部は、環状部材と、前記環状部材にヒンジ付けされたフラップとを有するフラップ弁であることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記環状部材は、貫通孔を有し、前記第2突起部が前記貫通孔内を摺動することを特徴とする請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記外筒部は、その先端側に人工呼吸器と接続する第3ポートをさらに有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項5】
気管チューブと接続して、気管に滞留する異物を吸引する吸引カテーテル装置であって、
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のコネクタと、
前記コネクタの前記内筒部の内部に挿通される吸引カテーテルと、
前記吸引カテーテルを収納し、前記内筒部の基端側に接続される保護スリーブと、
前記保護スリーブの基端側に配置され、前記吸引カテーテルの内部の減圧度を調整する圧力バルブと、を備えることを特徴とする吸引カテーテル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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