説明

コネクタにおける挿入装着部品の係止構造

【課題】挿入装着部品とハウジング本体との間の係合部位相互を、高額なスライド金型を必要とするスリット等設けずとも、一方の弾性変形により、破損を招くことなく安全に係合状態に移行させることができるコネクタにおける挿入装着部品の係止構造を提供すること。
【解決手段】ハウジング本体20のスペーサ収容空間21に挿入されるスペーサ10の係止構造であって、スペーサ10の外側壁15には挿入方向に沿って進む波形状の波板部16を備え、波板部16を形成している2つの突起部16a,16bの内の一方の突起部16aをハウジング本体20の仮係止部23に係止される仮係止用突部12として利用すると共に、他方の突起部16bをハウジング本体20の本係止部24に係止される本係止用突部13として利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジング本体の部品収容空間に挿入された挿入装着部品を、仮係止位置及び本係止位置の2位置に位置決めするコネクタにおける挿入装着部品の係止構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図6は、下記特許文献1に開示されたコネクタにおける挿入装着部品の係止構造を示したものである。
図6に示したコネクタ100は、挿入装着部品であるスペーサ110と、該スペーサ110が矢印Y1方向に挿入装着される部品収容空間121を有したハウジング本体120と、を備えている。
【0003】
スペーサ110は、ハウジング本体120の端子挿入孔122に装着された端子金具(不図示)の二重係止手段として部品収容空間121に装着される部品で、端子係止部111と、仮係止用突部112と、本係止用突部113と、を備えている。
【0004】
端子係止部111は、端子挿入孔122に装着されている端子金具に係合して端子金具の抜けを防止する突起である。
【0005】
仮係止用突部112は、スペーサ110の部品収容空間121への挿入長が第1の規定値に達したときに、ハウジング本体120に装備されている不図示の仮係止部に係止されて、スペーサ110を仮係止位置に位置決めする突起である。スペーサ110が仮係止位置に位置決めされている状態では、端子係止部111は端子挿入孔122内に突入しておらず、端子挿入孔122への端子金具の挿抜を許容する。
【0006】
本係止用突部113は、スペーサ110の部品収容空間121への挿入長が第1の規定値を超えて第2の規定値に達したときに、ハウジング本体120に装備されている本係止部124に係止されて、スペーサ110を本係止位置に位置決めする突起である。スペーサ110が本係止位置に位置決めされている状態では、端子係止部111が端子挿入孔122内に突入して端子金具と係合して、端子金具の抜けを規制する。
【0007】
特許文献1に開示されたコネクタ100における挿入装着部品の係止構造は、挿入装着部品であるスペーサ110に、部品収容空間121への挿入方向と直交する方向に突出した仮係止用突部112及び、本係止用突部113を設け、その一方、ハウジング本体120の部品収容空間121に臨む位置に、仮係止用突部112を係止する仮係止部と本係止用突部113を係止する本係止部124とを備えたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭64−54678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、例えば本係止用突部113と本係止部124とのように、スペーサ110とハウジング本体120との間で互いに係合する部位同士は、双方が堅くて弾性変形できない剛構造では、係合した際に過大な荷重が作用して、係合部位が潰れたり割れたりする係合部位の破損が生じてしまう。
【0010】
そこで、特許文献1のコネクタにおける挿入装着部品の係止構造では、ハウジング本体120に装備する本係止部124に隣接してスリット126を設けることで、係合時における本係止部124の弾性変形を可能にして、係合部位の破損を防止するようにしている。
【0011】
しかし、ハウジング本体120の壁部にスリット126を装備する対策では、ハウジング本体120の成形金型を構造が繁雑化するスライド金型にする必要があり、成形金型の高額化が製造コストの増大を招くという問題が生じた。
【0012】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消することに係り、挿入装着部品とハウジング本体との間の係合部位相互を、高額なスライド金型を必要とするスリット等を設けずとも、一方の弾性変形により、破損を招くことなく安全に係合状態に移行させることのできるコネクタにおける挿入装着部品の係止構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1)ハウジング本体の部品収容空間に臨むように前記ハウジング本体に一体形成される仮係止部及び本係止部と、
前記部品収容空間に挿入される挿入装着部品に装備されて前記挿入装着部品の前記部品収容空間に対する挿入長が第1の規定値に達したときに前記仮係止部に係止されて、前記挿入装着部品を仮係止位置に位置決めする仮係止用突部と、
前記挿入装着部品に装備されて前記挿入装着部品の前記部品収容空間に対する挿入長が第1の規定値を超えて第2の規定値に達したときに前記本係止部に係止されて、前記挿入装着部品を本係止位置に位置決めする本係止用突部と、
を備えるコネクタにおける挿入装着部品の係止構造であって、
前記挿入装着部品の挿入方向に沿って延在する側壁に、前記挿入方向に沿って進む波形状に形成されて、波形の突起部に押圧荷重を受けると、その押圧荷重によって前記突起部が偏平形状に弾性変形して挿入方向に伸長する波板部を備え、
前記波板部に形成される波形上の2つの突起部の内の一方の突起部が前記仮係止用突部として利用されると共に、他方の突起部が前記本係止用突部として利用されることを特徴とするコネクタにおける挿入装着部品の係止構造。
【0014】
(2)前記波板部は、前記側壁上の挿入方向に沿う一部範囲において、前記側壁の全幅に渡って形成されていることを特徴とする上記(1)に記載のコネクタにおける挿入装着部品の係止構造。
【0015】
(3)前記仮係止用突部及び前記本係止用突部として利用される前記2つの突起部は、前記波板部上で連続する一対の凹凸であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のコネクタにおける挿入装着部品の係止構造。
【0016】
(4)前記波板部の一面には、前記挿入方向に延在して設けられて前記2つの突起部の弾性強度を高めるリブが装備されたことを特徴とする上記(1)〜(3)の何れか1つに記載のコネクタにおける挿入装着部品の係止構造。
【0017】
上記(1)の構成によれば、挿入装着部品に装備される仮係止用突部や本係止用突部は、挿入装着部品の挿入方向に沿って延在する側壁に形成された波板部における波形の突起部で、前記突起部がハウジング本体側の仮係止部や本係止部に当接した際に受ける押圧荷重によって偏平形状に弾性変形する板ばねとして機能する。そのため、スリット等を設けずとも、挿入装着部品とハウジング本体との間の係合部位相互に過大な荷重をかけずに、仮係止用凸部と仮係止部との係合、或いは本係止用突部と本係止部との係合を完了させることができる。
【0018】
従って、上記(1)の構成によれば、挿入装着部品とハウジング本体との間の係合部位相互を、高額なスライド金型を必要とするスリット等設けずとも、一方の弾性変形により、破損を招くことなく安全に係合状態に移行させることができる。
【0019】
また、ハウジング本体等を成形する金型として構造が複雑化するスライド金型が不要で、成形金型の構造の単純化により製造コストの低減を図ることができる。
【0020】
上記(2)の構成によれば、挿入装着部品に装備される仮係止用突部や本係止用突部は、挿入装着部品の挿入方向に沿って延在する側壁の全幅に渡って延在するため、ハウジング本体に装備される仮係止部や本係止部の幅寸法が挿入装着部品とハウジング本体との間の係合幅となり、ハウジング本体に装備される仮係止部や本係止部の幅寸法を変えるだけで、簡単に挿入装着部品とハウジング本体との間の係合強度を調整することができる。従って、挿入装着部品とハウジング本体との間の係合強度の調整が容易になる。
【0021】
上記(3)の構成によれば、挿入装着部品に装備される仮係止用突部や本係止用突部は、波板部の波形上で連続する一対の凹凸のため、波板部の挿入方向に沿う長さ寸法は、波形の1周期分だけに短縮することができる。そのため、波板部の挿入方向に沿う長さが波形の多周期分に及ぶ場合と比較すると、部品収容空間における側板の形状を単純にして、挿入装着部品の成形性を向上させることができる。
【0022】
上記(4)の構成によれば、挿入装着部品において仮係止用突部や本係止用突部として機能する波板部の2つの突起部は、リブの肉厚等を調整することで、簡単に弾性強度を調整することができ、所望の弾性強度を持つ突起部を容易に得ることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によるコネクタにおける挿入装着部品の係止構造によれば、挿入装着部品に装備される仮係止用突部や本係止用突部は、挿入装着部品の挿入方向に沿って延在する側壁に形成された波板部における波形の突起部で、前記突起部がハウジング本体側の仮係止部や本係止部に当接した際に受ける押圧荷重によって偏平形状に弾性変形する板ばねとして機能する。
【0024】
そのため、スリット等を設けずとも、挿入装着部品とハウジング本体との間の係合部位相互に過大な荷重をかけずに、仮係止用凸部と仮係止部との係合、或いは本係止用突部と本係止部との係合を完了させることができる。
【0025】
従って、本発明によれば、挿入装着部品とハウジング本体との間の係合部位相互を、高額なスライド金型を必要とするスリット等設けずとも、一方の弾性変形により、破損を招くことなく安全に係合状態に移行させることができる。
【0026】
また、ハウジング本体等を成形する金型として構造が複雑化するスライド金型が不要で、成形金型の構造の単純化により製造コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係るコネクタにおける挿入装着部品の係止構造を採用したハウジング本体とスペーサの第1実施形態の分解斜視図である。
【図2】図1に示したスペーサの拡大斜視図である。
【図3】図2に示したスペーサの正面図である。
【図4】(a)は第1実施形態のハウジング本体のスペーサ収容空間に挿入されたスペーサが仮係止される前の挿入状態の説明図、(b)は(a)の状態から挿入が進んでスペーサの仮係止用突部がハウジング本体の仮係止部を乗り越える途中の状態の説明図、(c)は(b)の状態から更に挿入が進んでスペーサが仮係止位置に位置決めされた状態の説明図、(d)は(c)の状態から更に挿入が進んでスペーサが本係止位置に位置決めされた状態の説明図である。
【図5】スペーサの仮係止用突部及び本係止用突部の第2実施形態を示すスペーサの要部の正面図である。
【図6】従来のコネクタにおける挿入装着部品の係止構造の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係るコネクタにおける挿入装着部品の係止構造の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0029】
図1〜図4は本発明に係る挿入装着部品の係止構造を採用したコネクタのハウジング本体とスペーサの第1実施形態の説明図で、図1は第1実施形態のハウジング本体とスペーサの分解斜視図、図2は図1に示したスペーサの拡大斜視図、図3は図2に示したスペーサの正面図である。また、図4(a)は第1実施形態のハウジング本体のスペーサ収容空間に挿入されたスペーサが仮係止される前の挿入状態の説明図、図4(b)は図4(a)の状態から挿入が進んでスペーサの仮係止用突部がハウジング本体の仮係止部を乗り越える途中の状態の説明図、図4(c)は図4(b)の状態から更に挿入が進んでスペーサが仮係止位置に位置決めされた状態の説明図、図4(d)は図4(c)の状態から更に挿入が進んでスペーサが本係止位置に位置決めされた状態の説明図である。
【0030】
図1に示すように、本発明に係る挿入装着部品の係止構造を採用したコネクタ1は、挿入装着部品であるスペーサ10と、該スペーサ10が矢印Y2方向に挿入装着される部品収容空間としてのスペーサ収容空間21を有したハウジング本体20と、を備えている。
【0031】
スペーサ10は、ハウジング本体20の端子挿入孔22に装着された端子金具(不図示)の二重係止手段としてスペーサ収容空間21に装着される部品で、図2及び図3に示すように、端子係止部11と、仮係止用突部12と、本係止用突部13と、を備えている。
【0032】
端子係止部11は、端子挿入孔22に装着されている端子金具に係合して端子金具の抜けを防止する突起である。
【0033】
仮係止用突部12は、スペーサ10のスペーサ収容空間21への挿入長が第1の規定値に達したときに、図4(c)に示すようにハウジング本体20に装備されている仮係止部23に係止されて、スペーサ10を仮係止位置(図4(c)に示す位置)に位置決めする突起である。スペーサ10が仮係止位置に位置決めされている状態では、端子係止部11は端子挿入孔22内に突入しておらず、端子挿入孔22への端子金具の挿抜を許容する。
【0034】
本係止用突部13は、スペーサ10のスペーサ収容空間21への挿入長が第1の規定値を超えて第2の規定値に達したときに、図4(d)に示すようにハウジング本体20に装備されている本係止部24に係止されて、スペーサ10を本係止位置(図4(d)に示す位置)に位置決めする突起である。スペーサ10が本係止位置に位置決めされている状態では、端子係止部11が端子挿入孔22内に突入して端子金具と係合して、端子金具の抜けを規制する。
【0035】
本実施形態の場合、仮係止用突部12及び本係止用突部13は、図3に示すように、スペーサ10の挿入方向(図3の矢印Y3方向)に沿って延在する側壁である一対の外側壁15,15に、装備されている。
【0036】
更に詳しく説明すると、各外側壁15は、波板部16を備えている。波板部16は、図3に矢印Y3で示す挿入方向に沿って進む波形状に形成されている。また、波板部16は、突出方向が逆となる2つの突起部16a,16bが連続形成されることで、波形を形成している。本実施形態の場合、波板部16に形成される波形上の2つの突起部16a,16bの内の一方の突起部16aが仮係止用突部12として利用されると共に、他方の突起部16bが本係止用突部13として利用される。
【0037】
即ち、本実施形態の場合、仮係止用突部12及び本係止用突部13として利用される2つの突起部16a,16bは、波形上で連続する一対の凹凸である。
【0038】
波板部16は、波形の突起部16a,16bに押圧荷重を受けると、その押圧荷重によって突起部16a,16bが図4(b)に矢印T1で示すように偏平形状に弾性変形すると共に、図4(b)に矢印T2で示すように挿入方向に伸長する。
【0039】
波板部16は、図3に示すように、外側壁15,15上の挿入方向に沿う一部範囲にのみ装備されたものである。波板部16における波形の突起部16a,16bは、図2に示すように、外側壁15,15の全幅Wに渡って形成されている。
【0040】
本実施形態の場合、図3に示すように、波板部16の一面(内側面)には、挿入方向に延在して設けられて2つの突起部16a,16bの弾性強度を高める1本のリブ17が装備されている。
【0041】
ハウジング本体20のスペーサ収容空間21内には、図4に示すように、スペーサ10の外側壁15を挟んで対向する一対の隔壁25a,25bが装備されている。ハウジング本体20における仮係止部23は、隔壁25aから隔壁25b側に突出した突起である。また、本係止部24は、隔壁25bから隔壁25a側に突出した突起である。仮係止部23及び本係止部24の幅寸法(図4では紙面と直交する方向に延在する長さ寸法)は、要求される係止力に応じて設定される。
【0042】
本実施形態におけるコネクタにおける挿入装着部品の係止構造は、簡単に説明すると、スペーサ10の両外側壁15,15の波板部16において波形状に連続する2つの突起部16a,16bを、ハウジング本体20内の仮係止部23及び本係止部24により係止される仮係止用突部12及び本係止用突部13としたものである。
【0043】
以上に説明した第1実施形態における挿入装着部品の係止構造の場合、スペーサ10に装備される仮係止用突部12や本係止用突部13は、スペーサ10の挿入方向に沿って延在する一対の外側壁15,15に形成された波板部16における波形の突起部16a,16bで、突起部16a,16bがハウジング本体20側の仮係止部23や本係止部24に当接した際に受ける押圧荷重によって偏平形状に弾性変形する板ばねとして機能する。
【0044】
そのため、スリット等を設けずとも、スペーサ10とハウジング本体20との間の係合部位相互に過大な荷重をかけずに、仮係止用凸部と仮係止部23との係合、或いは本係止用突部13と本係止部24との係合を完了させることができる。
【0045】
従って、第1実施形態に示した係止構造の構成によれば、スペーサ10とハウジング本体20との間の係合部位相互を、高額なスライド金型を必要とするスリット等設けずとも、一方の弾性変形により、破損を招くことなく安全に係合状態に移行させることができる。
【0046】
また、ハウジング本体20等を成形する金型として構造が複雑化するスライド金型が不要で、成形金型の構造の単純化により製造コストの低減を図ることができる。
【0047】
また、以上に説明した第1実施形態における挿入装着部品の係止構造の場合、スペーサ10に装備される仮係止用突部12や本係止用突部13は、図2に示したようにスペーサ10の挿入方向に沿って延在する外側壁15の全幅に渡って延在するため、ハウジング本体20に装備される仮係止部23や本係止部24の幅寸法がスペーサ10とハウジング本体20との間の係合幅となり、ハウジング本体20に装備される仮係止部23や本係止部24の幅寸法を変えるだけで、簡単にスペーサ10とハウジング本体20との間の係合強度を調整することができる。従って、スペーサ10とハウジング本体20との間の係合強度の調整が容易になる。
【0048】
また、以上に説明した第1実施形態における挿入装着部品の係止構造の場合、スペーサ10に装備される仮係止用突部12や本係止用突部13は、波板部16の波形上で連続する一対の凹凸のため、波板部16の挿入方向に沿う長さ寸法は、上記第1実施形態のように波形の1周期分だけに短縮することができる。そのため、波板部16の挿入方向に沿う長さが波形の多周期分に及ぶ場合と比較すると、スペーサ収容空間21における外側壁15の形状を単純にして、スペーサ10の成形性を向上させることができる。
【0049】
また、以上に説明した第1実施形態における挿入装着部品の係止構造の場合、スペーサ10において仮係止用突部12や本係止用突部13として機能する波板部16の2つの突起部16a,16bは、リブ17の肉厚等を調整することで、簡単に弾性強度を調整することができ、所望の弾性強度を持つ突起部16a,16bを容易に得ることができる。
【0050】
図5は、本発明に係るコネクタにおける挿入装着部品の係止構造を採用したスペーサの第2実施形態の要部を示したものである。
【0051】
この第2実施形態のスペーサ10Aは、基本的な構造は第1実施形態のスペーサ10と同一で良く、第1実施形態と同一の構成については第1実施形態と同番号を付して説明を省略する。
【0052】
この第2実施形態のスペーサ10Aが第1実施形態のスペーサ10と異なる点は、ハウジング本体20の仮係止部23と係合する波板部16の突起部16aの端面161と、本係止部24と係合する波板部16の突起部16bの端面162とを、何れも、挿入方向に直交する平坦面としたものである。このようにすることで、各突起部16a,16bの係合力を高めることができる。
【0053】
なお、本発明のコネクタにおける挿入装着部品の係止構造は、前述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形、改良等が可能である。
【0054】
例えば、挿入装着部品は、上記実施形態に示したペーサに限るものではなく、ハウジング本体に挿入装着されて端子金具を位置決めするホルダなども該当する。
【符号の説明】
【0055】
1 コネクタ
10 スペーサ(挿入装着部品)
12 仮係止用突部
13 本係止用突部
15 外側壁(側壁)
16 波板部
16a,16b 突起部
17 リブ
20 ハウジング本体
21 スペーサ収容空間(部品収容空間)
23 仮係止部
24 本係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング本体の部品収容空間に臨むように前記ハウジング本体に一体形成される仮係止部及び本係止部と、
前記部品収容空間に挿入される挿入装着部品に装備されて前記挿入装着部品の前記部品収容空間に対する挿入長が第1の規定値に達したときに前記仮係止部に係止されて、前記挿入装着部品を仮係止位置に位置決めする仮係止用突部と、
前記挿入装着部品に装備されて前記挿入装着部品の前記部品収容空間に対する挿入長が第1の規定値を超えて第2の規定値に達したときに前記本係止部に係止されて、前記挿入装着部品を本係止位置に位置決めする本係止用突部と、
を備えるコネクタにおける挿入装着部品の係止構造であって、
前記挿入装着部品の挿入方向に沿って延在する側壁に、前記挿入方向に沿って進む波形状に形成されて、波形の突起部に押圧荷重を受けると、その押圧荷重によって前記突起部が偏平形状に弾性変形して挿入方向に伸長する波板部を備え、
前記波板部に形成される波形上の2つの突起部の内の一方の突起部が前記仮係止用突部として利用されると共に、他方の突起部が前記本係止用突部として利用されることを特徴とするコネクタにおける挿入装着部品の係止構造。
【請求項2】
前記波板部は、前記側壁上の挿入方向に沿う一部範囲において、前記側壁の全幅に渡って形成されていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタにおける挿入装着部品の係止構造。
【請求項3】
前記仮係止用突部及び前記本係止用突部として利用される前記2つの突起部は、前記波板部上で連続する一対の凹凸であることを特徴とする請求項1又は2に記載のコネクタにおける挿入装着部品の係止構造。
【請求項4】
前記波板部の一面には、前記挿入方向に延在して設けられて前記2つの突起部の弾性強度を高めるリブが装備されたことを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のコネクタにおける挿入装着部品の係止構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−45573(P2013−45573A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181774(P2011−181774)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】