コネクタ固定治具および材料試験機
【課題】 複数方向への引張試験に適応する。
【解決手段】
コネクタ固定治具100を使用した引張試験機200は、コネクタ300に接続されたケーブル310を巻き取るマンドレル220と、マンドレル220を軸線A1方向に引っ張るアクチュエータ230とを有する。クロスヘッド230によってマンドレル220を軸線A1方向に駆動すると、ケーブル310は軸線A1方向に引っ張られる。コネクタ固定治具100には、ケーブル310が軸線A1に沿った状態でコネクタ300を保持する保持部110と、軸線A1に対して45度傾いた軸線A2、A3に、ケーブル310が沿った状態で、コネクタ300をそれぞれ保持する保持部120、130とが設けられている。
【解決手段】
コネクタ固定治具100を使用した引張試験機200は、コネクタ300に接続されたケーブル310を巻き取るマンドレル220と、マンドレル220を軸線A1方向に引っ張るアクチュエータ230とを有する。クロスヘッド230によってマンドレル220を軸線A1方向に駆動すると、ケーブル310は軸線A1方向に引っ張られる。コネクタ固定治具100には、ケーブル310が軸線A1に沿った状態でコネクタ300を保持する保持部110と、軸線A1に対して45度傾いた軸線A2、A3に、ケーブル310が沿った状態で、コネクタ300をそれぞれ保持する保持部120、130とが設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルを接続するコネクタの引張試験のためのコネクタ固定治具およびそのコネクタ固定治具を用いる材料試験機に関する。
【背景技術】
【0002】
光ケーブル、リード線その他のケーブルを接続するためのコネクタは、所定のケーブル保持力が保証される必要があり、所定仕様に基づいた引張試験が行われる。引張試験は、保持されたケーブルの軸線に沿った引張負荷だけでなく、軸方向に対して傾いた方向の引張負荷を加える必要がある。
従来は、複数種類のコネクタ固定治具によって異なる方向への引張負荷に対応し、あるいは、角度変更可能なユニバーサル治具を使用していた。
【0003】
なお、特許文献1には、複数本の電線の引張試験を行うための検査機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−216432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のコネクタの引張試験において、複数種類のコネクタ固定治具を用いる場合、その交換作業が繁雑であり、ユニバーサル治具を用いる場合、角度変更時に引張方向に対する軸合わせが必要であり、調整作業が繁雑であった。
【0006】
本発明はこのような従来の問題点を解消すべく創案されたもので、複数方向への引張試験に容易に適応することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)請求項1の発明は、ケーブル(CB)が着脱可能に接続されたコネクタ(300)を保持し、試験機により、前記コネクタ(300)と前記ケーブル(CB)との接続部に引張力を与えるためのコネクタ固定治具であって、前記引張力の方向と同一平面上の第1軸線(A1)にケーブル(CB)が沿うように、前記引張力に抗しつつ第1のコネクタを保持する第1保持部(110)と、前記引張力の方向および前記第1軸線と同一平面上の第2軸線(A2)にケーブル(CB)が沿うように、前記引張力に抗しつつ第2のコネクタを保持する第2保持部(120)とを備え、前記第2保持部(120)に保持されている前記コネクタの側面および前面のいずれか一方が前記試験機の負荷軸(D)と所定角度をなすように、前記第2保持部が形成されていることを特徴とする。
(2)請求項2の発明は、請求項1記載のコネクタ固定治具において、前記ケーブル(CB)は前記プラグ(PG)を介して前記コネクタに接続され、前記プラグには前記ケーブル(CB)を保護する補強部材(HK)がケーブル延在方向に延設され、前記第2軸線(A2)と前記負荷軸(D)とが交差する交点(C1)には前記補強部材(HK)の先端部が位置し、前記プラグ(PG)には前記補強部材(HK)を介して前記所定角度で引張力が作用するように、前記第2保持部(120)を形成したことを特徴とする。
(3)請求項3の発明は、請求項2に記載のコネクタ固定治具において、前記コネクタ(300)は前記側面から突設する突起(330)有し、前記第2の保持部(120)には、前記突起(330)が当接して前記引張力の反力を発生する支持面(124)が形成されていることを特徴とする。
(4)請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のコネクタ固定治具において、前記引張力の方向、前記第1軸線(A1)および前記第2軸線(A2)と同一平面上の第3軸線(A3)にケーブル(CB)が沿うように、前記引張力に抗しつつ前記コネクタ(300)を保持する第3保持部(130)をさらに備え、前記第3保持部(130)に保持されている前記コネクタの前記側面および前面のいずれか他方が前記負荷軸(D)と所定角度をなすように、前記第3保持部が形成されていることを特徴とする。
(5)請求項5の発明は、請求項4に記載のコネクタ固定治具において、前記第2軸線(A2)と前記負荷軸(D)が交差する前記交点(C1)と、前記第3軸線(A3)と前記負荷軸が交差する交点(C2)はそれぞれ異なる位置となるように、前記第2保持部(120)と前記第3保持部(130)が形成されていることを特徴とする。
(6)請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の固定治具を使用する材料試験機であって、少なくとも前記第2軸線(A2)と前記負荷軸(D)とが交差する交点(C1)の引張方向の近傍には、前記コネクタ固定治具で保持された前記コネクタから前記第2軸線(A2)に沿って延在するケーブルを前記負荷軸(D)方向に変換するガイド(250)を設けたことを特徴とする。
(7)請求項7の発明は、請求項6に記載の材料試験機であって、前記ガイド(250)は、前記ケーブルに引張力を付与する部材と一体に移動するように構成されていることを特徴とする。
以上では、発明の理解のために便宜上各構成要素に符号を付したが、これにより本発明が実施の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コネクタ固定治具を交換することなくコネクタに対してケーブルを複数方向へ引張って接続箇所の評価試験を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(A)はコネクタとケーブルの斜視図、(B)はコネクタにケーブルが差し込まれた使用状態を説明する斜視図である。
【図2】本発明に係るコネクタ固定治具の第1の実施の形態を使用する引張試験機の正面図。
【図3】(A)は、図2の引張試験によって試験されるコネクタの例を示す正面図、(B)は、(A)のコネクタの平面図、(C)は、(A)のコネクタの右側面図。
【図4】図3の固定治具の斜視図。
【図5】(A)は、図2のコネクタ固定治具を示す正面図、(B)は、(A)のコネクタ固定治具の平面図、(C)は、(A)のコネクタ固定治具の右側面図。
【図6】図2のコネクタ固定治具によるコネクタ保持状態を示す正面図。
【図7】図2のコネクタ固定治具による他のコネクタ保持状態を示す正面図。
【図8】図2のコネクタ固定治具によるさらに他のコネクタ保持状態を示す正面図。
【図9】図8の保持部130にコネクタを保持する構成を示す図。
【図10】第2保持部に保持されているコネクタにB2方向の引張力を与え、第3保持部に保持されているコネクタにB3方向の引張力を与えることを説明する図。
【図11】(A)は、本発明に係るコネクタ固定治具のさらに他の例を示す正面図、(B)は、(A)の平面図、(C)は、(A)の右側面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
−第1の実施の形態−
本発明に係るコネクタ固定治具を使用した材料試験機の第1の実施の形態を図1〜図10を参照して説明する。図1(A)は、検査対象となるコネクタ300とケーブルを示す。コネクタ300の両端には、(B)に示すようにそれぞれケーブルCB1、CB2のプラグPG1,PG2がそれぞれ差し込まれる。プラグPG1,PG2のそれぞれには補強部材HKがケーブル延在方向に延設されている。コネクタ300はケーブルCB1、CB2…のように複数本のケーブルを接続するために使用される。このようなコネクタ300では、差し込んだケーブルが、プラグ挿抜方向B1、プラグ挿抜方向に対して所定角度を有する引張方向B2,B3に基準引張力で引き抜かれないことが求められている。そこで、第1の実施の形態の材料試験機では、図2に示す構成を採用してケーブルの耐引き抜き力を検査する。
【0011】
図2において、コネクタ固定治具100を使用した引張試験機200は、コネクタ固定治具100を固定するテーブル210と、コネクタ300に接続されたケーブル310を巻き取るマンドレル220と、マンドレル220を負荷軸D方向に引っ張るクロスヘッド230と、クロスヘッド230によってコネクタ300に加えられる引張力Fを検出するロードセル240とを有する。
【0012】
テーブル210には、コネクタ固定治具100にネジ等の連結部によって連結される連結部材212が設けられている。一方、マンドレル220とロードセル240とは、連結部材242によって相互に連結されている。
【0013】
ケーブル310は、マンドレル220とコネクタ固定治具100との間で、マンドレル220と一体に移動するガイド250によって鉛直方向に案内されている。コネクタ固定治具100は、本体102を有し、本体102には、ケーブル310が軸線A1に沿った状態でコネクタ300を保持する保持部110と、ケーブル310が軸線A1に対して45度傾いた軸線A2、A3に沿った状態でコネクタ300をそれぞれ保持する保持部120、130とが設けられている。軸線A1は負荷軸D方向に延在する。
【0014】
本体102には、図6に示すように、保持部110、120において、コネクタ300を支持する支持部材140が、および、図8に示すように、保持部130においてコネクタ300を支持する支持部材150が、それぞれ設けられている。保持部110、120、130は、軸線A1〜A3が同一平面上に配列されるようにコネクタ300を保持し、引張力Fに抗する反力を発生する。
【0015】
保持部110によって保持されたコネクタ300に接続されたケーブルには、軸線A1に沿った引張力Fが作用する。すなわち、クロスヘッド230によってマンドレル220を軸線A1方向に駆動すると、ケーブル310は軸線A1方向に引っ張られる。保持部120、130によって保持されたコネクタ300に接続された各ケーブルには、コネクタ300の側面または前面に対して、図2の負荷軸D方向にそれぞれ引張力Fが作用する。これらの引張方向が図1(A)に示す引張方向B2,B3に相当する。固定治具100の上方に示すガイド250は、マンドレル220と一体となって上下方向(矢印UD方向)に適宜移動可能である。ガイド250は、固定治具100に保持されたコネクタに対するケーブルの延在方向である軸線A2,A3と負荷軸Dとの交点の引張方向近傍でケーブルを左右から案内するようにし、負荷軸D方向に沿った引張力が軸線A2,A3に沿ったケーブル引張力にスムーズに変換するようにしている。この点については、図10を参照して後述する。
なお、ガイド250はクロスヘッド230と一体に移動するようにしても、マンドレル220と一体に移動することになる。
【0016】
図3(A)〜(C)をも参照してコネクタ300について説明する。コネクタ300は、例えば、略直方体状の基部304に、長手方向両端にケーブル310を接続し得る接続部320を設けている。さらに、コネクタ300には、長手方向略中央部に、側方に張り出すフランジ330が形成されている。
【0017】
図4は固定治具100の斜視図、図5(A)は固定治具100の正面図、(B)はその上面図、(C)は(A)の右側面図である。図4および図5に示すように、保持部110は、基部304の断面形状に対応し、基部304が、治具本体102の正面から、わずかな隙間を持って嵌合し得る主溝部112を有する。図3(B)に示すように、基部304の断面形状は長辺M、短辺Sの長方形であり、主溝部112はその幅広の辺に対応した幅Mを有する。主溝部112の底部には、フランジ330が治具本体102の前面から余裕をもって挿入し得る底溝部116が形成されている。底溝部116の主溝部112側の端部は支持面114とされ、ケーブルに引張力が働いた状態でフランジ330に当接して、引張力Fに抗する反力Rを発生する。主溝部112は引張力Fの方向に開口しており、開口端部118から、マンドレル220方向にケーブル310を引き出し得る。
【0018】
図6に示すように支持部材140は長方形プレート状に形成され、本体102の側面に穿設されたねじ穴142に螺合された蝶ネジ144によって本体102に固定される。支持部材140は、主溝部112の治具前面を部分的に塞いで、コネクタ300の治具前面への脱落を阻止する。
【0019】
保持部120は、基部304の長方形断面における長辺に対応した幅Mの主溝部122を有し、主溝部122には、基部304を治具前面からわずかな隙間を持って嵌合し得る。主溝部122の引張力Fの方向の端部には、フランジ330が治具前面から挿入し得る切り込み溝126が形成されている。切り込み溝126の引張力F方向の面は、引張力Fに抗する反力Rを発生する支持面124とされている。保持部120には、切り込み溝126よりも引張力Fの方向に、開口溝128が形成されている。開口溝128は、引張力Fの方向に開口しており、開口端部129から、マンドレル220方向にケーブル310を引き出し得る。
【0020】
支持部材140は、図6および図7に示すように、保持部120、130共通に使用され、支持部材140を保持部130側に回転させることによって、主溝部122の側面を部分的に塞いで、コネクタ300の側方への脱落を阻止する。
【0021】
図5に示すように、保持部130は、基部304の長方形断面における短辺Sに対応した幅の主溝部132を有し、主溝部132の引張力Fの方向の端部には、フランジ330におけるコネクタ300の全幅に対応した長さLの開口端部138が形成されている。本体102はフランジ330におけるコネクタ300の全幅Lに対応した幅(厚さL)を有し、開口端部138は本体102の全幅に渡って形成されている。主溝部132は、基部304の正面視長方形形状の長辺の長さPの略1/2の深さを有し、主溝部132との段差部139には、片側のフランジ330が嵌合される。
【0022】
図8および図9に示すように、支持部材150は、引張力Fに抗しつつフランジ330を支持し、コネクタ300が開口端部138から引張力F方向に引き出されることを阻止する。支持部材150は、一方のフランジ330に当接する略長方形状の第1プレート152と、他方のフランジ330に当接しつつ第1プレート152を支持する、L字状の第2プレート154とを含む。
【0023】
第1プレート152は、一端部が蝶ネジ162によって本体102に固定され、第2プレート154はネジ164、166によって本体102に固定されている。蝶ネジ162、は本体102に形成されたネジ穴156に螺合され、ネジ164、166は本体102に形成されたネジ穴158、160にそれぞれ螺合されている。
【0024】
第1、第2プレート152、154によって、略U字状の支持部材150が構成され、そのフランジ330への当接面は、引張力Fに抗するための反力Rを発生する支持面168となる。支持部材150は略U字状であるので、ケーブル310の周囲でコネクタ300を支持でき、ケーブル310を引張力F方向に引き出し得る。
【0025】
図4によく示されているように、治具本体102の前面には段差部104が形成され、保持部110、120は段差部104に形成されている。図3に示すように、コネクタ300のフランジ330における幅をL、基体304の厚み幅をSとするとき、図5に示すように本体102は、段差部104において幅(L−S)/2だけ幅狭となり、保持部110、120に収納されたコネクタ300は、段差部104と略面一となる。これによって、保持部110、120にコネクタ300を装着する際に、あるいは装着後に、作業者が、治具前面からコネクタ300に手を触れることができ、着脱作業が容易になる。また、保持部110の底溝部116が幅広に形成されていることも、着脱作業を容易にしている。
【0026】
図10を参照するに、第2軸線A2と負荷軸Dとが交差する交点C1には補強部材HKの先端部が位置し、プラグPGに補強部材HKを介して所定角度で引張力が作用するように、第2保持部120が形成されている。第3保持部130に保持されたコネクタ300も同様に、軸線A3と負荷軸Dとが交差する交点C2には補強部材HKの先端部が位置し、プラグPGに補強部材HKを介して所定角度で引張力が作用するように、第3保持部130が形成されている。
【0027】
第2保持部120に保持したコネクタ300の引張試験時と、第3保持部130に保持したコネクタ300の引張試験時では、ガイド250の位置を変更している。すなわち、第1の実施の形態では、マンドレル220と一体に昇降するガイド250を、マンドレル220に対して上下動する不図示の機構が設けられている。
【0028】
ケーブルCB1の軸線A2,A3と、引張力Fの方向、すなわち、負荷軸D方向の軸線A1との交点をそれぞれC1,C2とするとき、ケーブル補強部HKの先端がそれぞれC1,C2と一致するように、各保持部120と130の固定治具100上での傾き、位置が設定される。ケーブル補強部HKの先端部から引き出されるケーブルCB1はガイド250で案内され、コネクタ300に対するケーブルの引張方向を図1の引張方向B2とB3の方向とすることができる。すなわち、クロスヘッド230によりマンドレル220を上方に移動するとき、ガイド250もコネクタに対して上方に移動する。したがって、ガイド250の上方への移動に伴って、ガイド250を経由してコネクタまで延在するケーブルの角度(軸線A1と軸線A2の交差角度)は変化し、ケーブルは、コネクタの側面を基準として図1の角度B2方向や、コネクタの前面を基準として図1の角度B3方向に引っ張られる。
なお、マンドレル220と一体に移動する限り、ガイド250でケーブルを把持してもよい。
【0029】
以上のとおり、同一平面上の軸線に沿った異なる角度の保持部110、120、130をコネクタ固定治具100に設けたことによって、コネクタ300の保持位置を保持部110、120、130と変更し、コネクタ300に対するケーブル310の複数方向への引張試験に容易に適応でき、このとき、軸線合わせはほとんど必要ない。従って、複数方向への引張試験に容易に適応し得る。
【0030】
また、コネクタから延在するケーブルの向きを、マンドレル220と一体に移動するガイド250により鉛直の負荷軸方向に変換するようにし、加えて、ガイド250の固定治具110に対する高さ位置を調整可能にすることにより、保持部120,130に保持したコネクタの姿勢に対応するケーブルの引張方向を、予め設定したB2,B3に設定することが容易になる。ガイド250を使用しない場合は、マンドレル220の図示しないリールからケーブルが引き出されるポイントと、保持部120,130に保持したコネクタとの位置関係を正しく規定する作業を行って、上述した引張方向B2,B3を設定することになるが、かかる作業は煩雑となる。
【0031】
なお、第1の実施の形態では縦置きの試験機について説明したが横置きの試験機、あるいは傾斜した方向に引張力Fを発生する試験機に本発明を適用し得ることはいうまでもない。また、保持部の軸線の角度、個数、配置を種々設定し得ることはいうまでもない。
【0032】
−第2の実施の形態−
次に、図11を参照して、本発明に係るコネクタ固定治具の第2の実施の形態を説明する。なお、図中、第1の実施の形態と同一もしくは相当部分には同一符号を付し、説明を省略する。
【0033】
図11において、本体102は、保持部110、120、130をそれぞれ有するブロック102A、102B、102Cを接合して構成され、ブロック102A、102B、102Cはボルト106、108によって相互に固定されている。ブロック102A、102B、102Cの相互接合面には、凹凸部108が形成され、相互の位置決めが容易であるとともに、引張力Fを加えたときに、相互にずれが生じることが防止されている。
【0034】
以上のように、保持部110、120、130ごとに本体102を分割可能とすれば、角度設定を適宜変更し、あるいは、1個の本体102によって複数のコネクタ300に適合することができる。
【0035】
以上説明した固定治具を次のように変形してもよい。
(1)ガイド250はケーブルの向きを変換するようにケーブルを案内するようにしたが、ガイド250がマンドレル220やクロスヘッド230と一体に移動する構成を採用する限り、ガイド250でケーブルを把持してケーブルを所定角度で引っ張るようにしてもよい。ガイド250でケーブルを把持して引張力を付与する場合、マンドレル220を省略してもよい。
なお、以上の実施の形態のようにガイド250でケーブルを把持せずに案内する理由は、ガイドで強く把持できない光ケーブルを検査対象とするからである。
(2)少なくとも2個の評価対象である同一コネクタを、それぞれ異なる引張形態となるように固定する保持部を有する固定治具であれば、3つの保持部を有する固定治具に限定されない。保持部110と120または保持部120と130の組合せでも良い。
(3)引張方向Dとケーブル引出方向B2,B3とが異なる第1固定形式と、引張方向Dとケーブル引出方向とが第1固定方式とは異なる第2固定形式を採用してもよい。
なお、コネクタの種類、形状は、ケーブルの先端にプラグが設けられたケーブルを接続するものであれば、どのようなものでもよい。
【符号の説明】
【0036】
A1、A2、A3 軸線 F 引張力
100 コネクタ固定治具 110、120、130 保持部
140、150 支持部材 300 コネクタ
310 ケーブル
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルを接続するコネクタの引張試験のためのコネクタ固定治具およびそのコネクタ固定治具を用いる材料試験機に関する。
【背景技術】
【0002】
光ケーブル、リード線その他のケーブルを接続するためのコネクタは、所定のケーブル保持力が保証される必要があり、所定仕様に基づいた引張試験が行われる。引張試験は、保持されたケーブルの軸線に沿った引張負荷だけでなく、軸方向に対して傾いた方向の引張負荷を加える必要がある。
従来は、複数種類のコネクタ固定治具によって異なる方向への引張負荷に対応し、あるいは、角度変更可能なユニバーサル治具を使用していた。
【0003】
なお、特許文献1には、複数本の電線の引張試験を行うための検査機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−216432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のコネクタの引張試験において、複数種類のコネクタ固定治具を用いる場合、その交換作業が繁雑であり、ユニバーサル治具を用いる場合、角度変更時に引張方向に対する軸合わせが必要であり、調整作業が繁雑であった。
【0006】
本発明はこのような従来の問題点を解消すべく創案されたもので、複数方向への引張試験に容易に適応することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)請求項1の発明は、ケーブル(CB)が着脱可能に接続されたコネクタ(300)を保持し、試験機により、前記コネクタ(300)と前記ケーブル(CB)との接続部に引張力を与えるためのコネクタ固定治具であって、前記引張力の方向と同一平面上の第1軸線(A1)にケーブル(CB)が沿うように、前記引張力に抗しつつ第1のコネクタを保持する第1保持部(110)と、前記引張力の方向および前記第1軸線と同一平面上の第2軸線(A2)にケーブル(CB)が沿うように、前記引張力に抗しつつ第2のコネクタを保持する第2保持部(120)とを備え、前記第2保持部(120)に保持されている前記コネクタの側面および前面のいずれか一方が前記試験機の負荷軸(D)と所定角度をなすように、前記第2保持部が形成されていることを特徴とする。
(2)請求項2の発明は、請求項1記載のコネクタ固定治具において、前記ケーブル(CB)は前記プラグ(PG)を介して前記コネクタに接続され、前記プラグには前記ケーブル(CB)を保護する補強部材(HK)がケーブル延在方向に延設され、前記第2軸線(A2)と前記負荷軸(D)とが交差する交点(C1)には前記補強部材(HK)の先端部が位置し、前記プラグ(PG)には前記補強部材(HK)を介して前記所定角度で引張力が作用するように、前記第2保持部(120)を形成したことを特徴とする。
(3)請求項3の発明は、請求項2に記載のコネクタ固定治具において、前記コネクタ(300)は前記側面から突設する突起(330)有し、前記第2の保持部(120)には、前記突起(330)が当接して前記引張力の反力を発生する支持面(124)が形成されていることを特徴とする。
(4)請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のコネクタ固定治具において、前記引張力の方向、前記第1軸線(A1)および前記第2軸線(A2)と同一平面上の第3軸線(A3)にケーブル(CB)が沿うように、前記引張力に抗しつつ前記コネクタ(300)を保持する第3保持部(130)をさらに備え、前記第3保持部(130)に保持されている前記コネクタの前記側面および前面のいずれか他方が前記負荷軸(D)と所定角度をなすように、前記第3保持部が形成されていることを特徴とする。
(5)請求項5の発明は、請求項4に記載のコネクタ固定治具において、前記第2軸線(A2)と前記負荷軸(D)が交差する前記交点(C1)と、前記第3軸線(A3)と前記負荷軸が交差する交点(C2)はそれぞれ異なる位置となるように、前記第2保持部(120)と前記第3保持部(130)が形成されていることを特徴とする。
(6)請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の固定治具を使用する材料試験機であって、少なくとも前記第2軸線(A2)と前記負荷軸(D)とが交差する交点(C1)の引張方向の近傍には、前記コネクタ固定治具で保持された前記コネクタから前記第2軸線(A2)に沿って延在するケーブルを前記負荷軸(D)方向に変換するガイド(250)を設けたことを特徴とする。
(7)請求項7の発明は、請求項6に記載の材料試験機であって、前記ガイド(250)は、前記ケーブルに引張力を付与する部材と一体に移動するように構成されていることを特徴とする。
以上では、発明の理解のために便宜上各構成要素に符号を付したが、これにより本発明が実施の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コネクタ固定治具を交換することなくコネクタに対してケーブルを複数方向へ引張って接続箇所の評価試験を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(A)はコネクタとケーブルの斜視図、(B)はコネクタにケーブルが差し込まれた使用状態を説明する斜視図である。
【図2】本発明に係るコネクタ固定治具の第1の実施の形態を使用する引張試験機の正面図。
【図3】(A)は、図2の引張試験によって試験されるコネクタの例を示す正面図、(B)は、(A)のコネクタの平面図、(C)は、(A)のコネクタの右側面図。
【図4】図3の固定治具の斜視図。
【図5】(A)は、図2のコネクタ固定治具を示す正面図、(B)は、(A)のコネクタ固定治具の平面図、(C)は、(A)のコネクタ固定治具の右側面図。
【図6】図2のコネクタ固定治具によるコネクタ保持状態を示す正面図。
【図7】図2のコネクタ固定治具による他のコネクタ保持状態を示す正面図。
【図8】図2のコネクタ固定治具によるさらに他のコネクタ保持状態を示す正面図。
【図9】図8の保持部130にコネクタを保持する構成を示す図。
【図10】第2保持部に保持されているコネクタにB2方向の引張力を与え、第3保持部に保持されているコネクタにB3方向の引張力を与えることを説明する図。
【図11】(A)は、本発明に係るコネクタ固定治具のさらに他の例を示す正面図、(B)は、(A)の平面図、(C)は、(A)の右側面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
−第1の実施の形態−
本発明に係るコネクタ固定治具を使用した材料試験機の第1の実施の形態を図1〜図10を参照して説明する。図1(A)は、検査対象となるコネクタ300とケーブルを示す。コネクタ300の両端には、(B)に示すようにそれぞれケーブルCB1、CB2のプラグPG1,PG2がそれぞれ差し込まれる。プラグPG1,PG2のそれぞれには補強部材HKがケーブル延在方向に延設されている。コネクタ300はケーブルCB1、CB2…のように複数本のケーブルを接続するために使用される。このようなコネクタ300では、差し込んだケーブルが、プラグ挿抜方向B1、プラグ挿抜方向に対して所定角度を有する引張方向B2,B3に基準引張力で引き抜かれないことが求められている。そこで、第1の実施の形態の材料試験機では、図2に示す構成を採用してケーブルの耐引き抜き力を検査する。
【0011】
図2において、コネクタ固定治具100を使用した引張試験機200は、コネクタ固定治具100を固定するテーブル210と、コネクタ300に接続されたケーブル310を巻き取るマンドレル220と、マンドレル220を負荷軸D方向に引っ張るクロスヘッド230と、クロスヘッド230によってコネクタ300に加えられる引張力Fを検出するロードセル240とを有する。
【0012】
テーブル210には、コネクタ固定治具100にネジ等の連結部によって連結される連結部材212が設けられている。一方、マンドレル220とロードセル240とは、連結部材242によって相互に連結されている。
【0013】
ケーブル310は、マンドレル220とコネクタ固定治具100との間で、マンドレル220と一体に移動するガイド250によって鉛直方向に案内されている。コネクタ固定治具100は、本体102を有し、本体102には、ケーブル310が軸線A1に沿った状態でコネクタ300を保持する保持部110と、ケーブル310が軸線A1に対して45度傾いた軸線A2、A3に沿った状態でコネクタ300をそれぞれ保持する保持部120、130とが設けられている。軸線A1は負荷軸D方向に延在する。
【0014】
本体102には、図6に示すように、保持部110、120において、コネクタ300を支持する支持部材140が、および、図8に示すように、保持部130においてコネクタ300を支持する支持部材150が、それぞれ設けられている。保持部110、120、130は、軸線A1〜A3が同一平面上に配列されるようにコネクタ300を保持し、引張力Fに抗する反力を発生する。
【0015】
保持部110によって保持されたコネクタ300に接続されたケーブルには、軸線A1に沿った引張力Fが作用する。すなわち、クロスヘッド230によってマンドレル220を軸線A1方向に駆動すると、ケーブル310は軸線A1方向に引っ張られる。保持部120、130によって保持されたコネクタ300に接続された各ケーブルには、コネクタ300の側面または前面に対して、図2の負荷軸D方向にそれぞれ引張力Fが作用する。これらの引張方向が図1(A)に示す引張方向B2,B3に相当する。固定治具100の上方に示すガイド250は、マンドレル220と一体となって上下方向(矢印UD方向)に適宜移動可能である。ガイド250は、固定治具100に保持されたコネクタに対するケーブルの延在方向である軸線A2,A3と負荷軸Dとの交点の引張方向近傍でケーブルを左右から案内するようにし、負荷軸D方向に沿った引張力が軸線A2,A3に沿ったケーブル引張力にスムーズに変換するようにしている。この点については、図10を参照して後述する。
なお、ガイド250はクロスヘッド230と一体に移動するようにしても、マンドレル220と一体に移動することになる。
【0016】
図3(A)〜(C)をも参照してコネクタ300について説明する。コネクタ300は、例えば、略直方体状の基部304に、長手方向両端にケーブル310を接続し得る接続部320を設けている。さらに、コネクタ300には、長手方向略中央部に、側方に張り出すフランジ330が形成されている。
【0017】
図4は固定治具100の斜視図、図5(A)は固定治具100の正面図、(B)はその上面図、(C)は(A)の右側面図である。図4および図5に示すように、保持部110は、基部304の断面形状に対応し、基部304が、治具本体102の正面から、わずかな隙間を持って嵌合し得る主溝部112を有する。図3(B)に示すように、基部304の断面形状は長辺M、短辺Sの長方形であり、主溝部112はその幅広の辺に対応した幅Mを有する。主溝部112の底部には、フランジ330が治具本体102の前面から余裕をもって挿入し得る底溝部116が形成されている。底溝部116の主溝部112側の端部は支持面114とされ、ケーブルに引張力が働いた状態でフランジ330に当接して、引張力Fに抗する反力Rを発生する。主溝部112は引張力Fの方向に開口しており、開口端部118から、マンドレル220方向にケーブル310を引き出し得る。
【0018】
図6に示すように支持部材140は長方形プレート状に形成され、本体102の側面に穿設されたねじ穴142に螺合された蝶ネジ144によって本体102に固定される。支持部材140は、主溝部112の治具前面を部分的に塞いで、コネクタ300の治具前面への脱落を阻止する。
【0019】
保持部120は、基部304の長方形断面における長辺に対応した幅Mの主溝部122を有し、主溝部122には、基部304を治具前面からわずかな隙間を持って嵌合し得る。主溝部122の引張力Fの方向の端部には、フランジ330が治具前面から挿入し得る切り込み溝126が形成されている。切り込み溝126の引張力F方向の面は、引張力Fに抗する反力Rを発生する支持面124とされている。保持部120には、切り込み溝126よりも引張力Fの方向に、開口溝128が形成されている。開口溝128は、引張力Fの方向に開口しており、開口端部129から、マンドレル220方向にケーブル310を引き出し得る。
【0020】
支持部材140は、図6および図7に示すように、保持部120、130共通に使用され、支持部材140を保持部130側に回転させることによって、主溝部122の側面を部分的に塞いで、コネクタ300の側方への脱落を阻止する。
【0021】
図5に示すように、保持部130は、基部304の長方形断面における短辺Sに対応した幅の主溝部132を有し、主溝部132の引張力Fの方向の端部には、フランジ330におけるコネクタ300の全幅に対応した長さLの開口端部138が形成されている。本体102はフランジ330におけるコネクタ300の全幅Lに対応した幅(厚さL)を有し、開口端部138は本体102の全幅に渡って形成されている。主溝部132は、基部304の正面視長方形形状の長辺の長さPの略1/2の深さを有し、主溝部132との段差部139には、片側のフランジ330が嵌合される。
【0022】
図8および図9に示すように、支持部材150は、引張力Fに抗しつつフランジ330を支持し、コネクタ300が開口端部138から引張力F方向に引き出されることを阻止する。支持部材150は、一方のフランジ330に当接する略長方形状の第1プレート152と、他方のフランジ330に当接しつつ第1プレート152を支持する、L字状の第2プレート154とを含む。
【0023】
第1プレート152は、一端部が蝶ネジ162によって本体102に固定され、第2プレート154はネジ164、166によって本体102に固定されている。蝶ネジ162、は本体102に形成されたネジ穴156に螺合され、ネジ164、166は本体102に形成されたネジ穴158、160にそれぞれ螺合されている。
【0024】
第1、第2プレート152、154によって、略U字状の支持部材150が構成され、そのフランジ330への当接面は、引張力Fに抗するための反力Rを発生する支持面168となる。支持部材150は略U字状であるので、ケーブル310の周囲でコネクタ300を支持でき、ケーブル310を引張力F方向に引き出し得る。
【0025】
図4によく示されているように、治具本体102の前面には段差部104が形成され、保持部110、120は段差部104に形成されている。図3に示すように、コネクタ300のフランジ330における幅をL、基体304の厚み幅をSとするとき、図5に示すように本体102は、段差部104において幅(L−S)/2だけ幅狭となり、保持部110、120に収納されたコネクタ300は、段差部104と略面一となる。これによって、保持部110、120にコネクタ300を装着する際に、あるいは装着後に、作業者が、治具前面からコネクタ300に手を触れることができ、着脱作業が容易になる。また、保持部110の底溝部116が幅広に形成されていることも、着脱作業を容易にしている。
【0026】
図10を参照するに、第2軸線A2と負荷軸Dとが交差する交点C1には補強部材HKの先端部が位置し、プラグPGに補強部材HKを介して所定角度で引張力が作用するように、第2保持部120が形成されている。第3保持部130に保持されたコネクタ300も同様に、軸線A3と負荷軸Dとが交差する交点C2には補強部材HKの先端部が位置し、プラグPGに補強部材HKを介して所定角度で引張力が作用するように、第3保持部130が形成されている。
【0027】
第2保持部120に保持したコネクタ300の引張試験時と、第3保持部130に保持したコネクタ300の引張試験時では、ガイド250の位置を変更している。すなわち、第1の実施の形態では、マンドレル220と一体に昇降するガイド250を、マンドレル220に対して上下動する不図示の機構が設けられている。
【0028】
ケーブルCB1の軸線A2,A3と、引張力Fの方向、すなわち、負荷軸D方向の軸線A1との交点をそれぞれC1,C2とするとき、ケーブル補強部HKの先端がそれぞれC1,C2と一致するように、各保持部120と130の固定治具100上での傾き、位置が設定される。ケーブル補強部HKの先端部から引き出されるケーブルCB1はガイド250で案内され、コネクタ300に対するケーブルの引張方向を図1の引張方向B2とB3の方向とすることができる。すなわち、クロスヘッド230によりマンドレル220を上方に移動するとき、ガイド250もコネクタに対して上方に移動する。したがって、ガイド250の上方への移動に伴って、ガイド250を経由してコネクタまで延在するケーブルの角度(軸線A1と軸線A2の交差角度)は変化し、ケーブルは、コネクタの側面を基準として図1の角度B2方向や、コネクタの前面を基準として図1の角度B3方向に引っ張られる。
なお、マンドレル220と一体に移動する限り、ガイド250でケーブルを把持してもよい。
【0029】
以上のとおり、同一平面上の軸線に沿った異なる角度の保持部110、120、130をコネクタ固定治具100に設けたことによって、コネクタ300の保持位置を保持部110、120、130と変更し、コネクタ300に対するケーブル310の複数方向への引張試験に容易に適応でき、このとき、軸線合わせはほとんど必要ない。従って、複数方向への引張試験に容易に適応し得る。
【0030】
また、コネクタから延在するケーブルの向きを、マンドレル220と一体に移動するガイド250により鉛直の負荷軸方向に変換するようにし、加えて、ガイド250の固定治具110に対する高さ位置を調整可能にすることにより、保持部120,130に保持したコネクタの姿勢に対応するケーブルの引張方向を、予め設定したB2,B3に設定することが容易になる。ガイド250を使用しない場合は、マンドレル220の図示しないリールからケーブルが引き出されるポイントと、保持部120,130に保持したコネクタとの位置関係を正しく規定する作業を行って、上述した引張方向B2,B3を設定することになるが、かかる作業は煩雑となる。
【0031】
なお、第1の実施の形態では縦置きの試験機について説明したが横置きの試験機、あるいは傾斜した方向に引張力Fを発生する試験機に本発明を適用し得ることはいうまでもない。また、保持部の軸線の角度、個数、配置を種々設定し得ることはいうまでもない。
【0032】
−第2の実施の形態−
次に、図11を参照して、本発明に係るコネクタ固定治具の第2の実施の形態を説明する。なお、図中、第1の実施の形態と同一もしくは相当部分には同一符号を付し、説明を省略する。
【0033】
図11において、本体102は、保持部110、120、130をそれぞれ有するブロック102A、102B、102Cを接合して構成され、ブロック102A、102B、102Cはボルト106、108によって相互に固定されている。ブロック102A、102B、102Cの相互接合面には、凹凸部108が形成され、相互の位置決めが容易であるとともに、引張力Fを加えたときに、相互にずれが生じることが防止されている。
【0034】
以上のように、保持部110、120、130ごとに本体102を分割可能とすれば、角度設定を適宜変更し、あるいは、1個の本体102によって複数のコネクタ300に適合することができる。
【0035】
以上説明した固定治具を次のように変形してもよい。
(1)ガイド250はケーブルの向きを変換するようにケーブルを案内するようにしたが、ガイド250がマンドレル220やクロスヘッド230と一体に移動する構成を採用する限り、ガイド250でケーブルを把持してケーブルを所定角度で引っ張るようにしてもよい。ガイド250でケーブルを把持して引張力を付与する場合、マンドレル220を省略してもよい。
なお、以上の実施の形態のようにガイド250でケーブルを把持せずに案内する理由は、ガイドで強く把持できない光ケーブルを検査対象とするからである。
(2)少なくとも2個の評価対象である同一コネクタを、それぞれ異なる引張形態となるように固定する保持部を有する固定治具であれば、3つの保持部を有する固定治具に限定されない。保持部110と120または保持部120と130の組合せでも良い。
(3)引張方向Dとケーブル引出方向B2,B3とが異なる第1固定形式と、引張方向Dとケーブル引出方向とが第1固定方式とは異なる第2固定形式を採用してもよい。
なお、コネクタの種類、形状は、ケーブルの先端にプラグが設けられたケーブルを接続するものであれば、どのようなものでもよい。
【符号の説明】
【0036】
A1、A2、A3 軸線 F 引張力
100 コネクタ固定治具 110、120、130 保持部
140、150 支持部材 300 コネクタ
310 ケーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルが着脱可能に接続されたコネクタを保持し、試験機により、前記コネクタと前記ケーブルとの接続部に引張力を与えるためのコネクタ固定治具であって、
前記引張力の方向と同一平面上の第1軸線にケーブルが沿うように、前記引張力に抗しつつ第1のコネクタを保持する第1保持部と、
前記引張力の方向および前記第1軸線と同一平面上の第2軸線にケーブルが沿うように、前記引張力に抗しつつ第2のコネクタを保持する第2保持部とを備え、
前記第2保持部に保持されている前記コネクタの側面および前面のいずれか一方が前記試験機の負荷軸と所定角度をなすように、前記第2保持部が形成されていることを特徴とするコネクタ固定治具。
【請求項2】
請求項1記載のコネクタ固定治具において、
前記ケーブルは前記プラグを介して前記コネクタに接続され、前記プラグには前記ケーブルを保護する補強部材がケーブル延在方向に延設され、
前記第2軸線と前記負荷軸とが交差する交点には前記補強部材の先端部が位置し、前記プラグには前記補強部材を介して前記所定角度で引張力が作用するように、前記第2保持部を形成したことを特徴とするコネクタ固定治具。
【請求項3】
請求項2に記載のコネクタ固定治具において、
前記コネクタは前記側面から突設する突起有し、
前記第2の保持部には、前記突起が当接して前記引張力の反力を発生する支持面が形成されていることを特徴とするコネクタ固定治具。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のコネクタ固定治具において、
前記引張力の方向、前記第1軸線および前記第2軸線と同一平面上の第3軸線にケーブルが沿うように、前記引張力に抗しつつ前記コネクタを保持する第3保持部をさらに備え、
前記第3保持部に保持されている前記コネクタの前記側面および前面のいずれか他方が前記負荷軸と所定角度をなすように、前記第3保持部が形成されていることを特徴とするコネクタ固定治具。
【請求項5】
請求項4に記載のコネクタ固定治具において、
前記第2軸線と前記負荷軸が交差する前記交点と、前記第3軸線と前記負荷軸が交差する交点はそれぞれ異なる位置となるように、前記第2保持部と前記第3保持部が形成されていることを特徴とするコネクタ固定治具。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の固定治具を使用する試験機であって、
少なくとも前記第2軸線と前記負荷軸とが交差する交点の引張方向の近傍には、前記コネクタ固定治具で保持された前記コネクタから前記第2軸線に沿って延在するケーブルを前記負荷軸方向に変換するガイドを設けたことを特徴とする材料試験機。
【請求項7】
請求項6に記載の材料試験機であって、
前記ガイドは、前記ケーブルに引張力を付与する部材と一体に移動するように構成されていることを特徴とする材料試験機。
【請求項1】
ケーブルが着脱可能に接続されたコネクタを保持し、試験機により、前記コネクタと前記ケーブルとの接続部に引張力を与えるためのコネクタ固定治具であって、
前記引張力の方向と同一平面上の第1軸線にケーブルが沿うように、前記引張力に抗しつつ第1のコネクタを保持する第1保持部と、
前記引張力の方向および前記第1軸線と同一平面上の第2軸線にケーブルが沿うように、前記引張力に抗しつつ第2のコネクタを保持する第2保持部とを備え、
前記第2保持部に保持されている前記コネクタの側面および前面のいずれか一方が前記試験機の負荷軸と所定角度をなすように、前記第2保持部が形成されていることを特徴とするコネクタ固定治具。
【請求項2】
請求項1記載のコネクタ固定治具において、
前記ケーブルは前記プラグを介して前記コネクタに接続され、前記プラグには前記ケーブルを保護する補強部材がケーブル延在方向に延設され、
前記第2軸線と前記負荷軸とが交差する交点には前記補強部材の先端部が位置し、前記プラグには前記補強部材を介して前記所定角度で引張力が作用するように、前記第2保持部を形成したことを特徴とするコネクタ固定治具。
【請求項3】
請求項2に記載のコネクタ固定治具において、
前記コネクタは前記側面から突設する突起有し、
前記第2の保持部には、前記突起が当接して前記引張力の反力を発生する支持面が形成されていることを特徴とするコネクタ固定治具。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のコネクタ固定治具において、
前記引張力の方向、前記第1軸線および前記第2軸線と同一平面上の第3軸線にケーブルが沿うように、前記引張力に抗しつつ前記コネクタを保持する第3保持部をさらに備え、
前記第3保持部に保持されている前記コネクタの前記側面および前面のいずれか他方が前記負荷軸と所定角度をなすように、前記第3保持部が形成されていることを特徴とするコネクタ固定治具。
【請求項5】
請求項4に記載のコネクタ固定治具において、
前記第2軸線と前記負荷軸が交差する前記交点と、前記第3軸線と前記負荷軸が交差する交点はそれぞれ異なる位置となるように、前記第2保持部と前記第3保持部が形成されていることを特徴とするコネクタ固定治具。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の固定治具を使用する試験機であって、
少なくとも前記第2軸線と前記負荷軸とが交差する交点の引張方向の近傍には、前記コネクタ固定治具で保持された前記コネクタから前記第2軸線に沿って延在するケーブルを前記負荷軸方向に変換するガイドを設けたことを特徴とする材料試験機。
【請求項7】
請求項6に記載の材料試験機であって、
前記ガイドは、前記ケーブルに引張力を付与する部材と一体に移動するように構成されていることを特徴とする材料試験機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−237121(P2010−237121A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−87035(P2009−87035)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]