コネクタ嵌合面の保護構造
【課題】ワイヤハーネスが折り曲げられて荷姿とされた際に、該ワイヤハーネスに接続されたコネクタの開口にアース端子等が侵入して損傷を与えることを防止できるコネクタ嵌合面の保護構造を提供する。
【解決手段】ワイヤハーネスの幹線から分岐した枝線の端末に接続される保護対象のコネクタのコネクタ嵌合面の少なくとも幅方向の中心部を、前記幹線から立設して分岐される別の枝線の分岐根元部に隣接または突き当てると共に、該コネクタのコネクタ嵌合面をテープで塞いで、該コネクタを前記分岐根元部に連続する前記幹線に前記テープまたは別のテープで巻き付けている。
【解決手段】ワイヤハーネスの幹線から分岐した枝線の端末に接続される保護対象のコネクタのコネクタ嵌合面の少なくとも幅方向の中心部を、前記幹線から立設して分岐される別の枝線の分岐根元部に隣接または突き当てると共に、該コネクタのコネクタ嵌合面をテープで塞いで、該コネクタを前記分岐根元部に連続する前記幹線に前記テープまたは別のテープで巻き付けている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコネクタ嵌合面の保護構造に関し、詳しくは、ワイヤハーネスを構成する電線の先端に接続されるコネクタが、相手方コネクタと嵌合するまで開口となるコネクタ嵌合面を保護し、外部干渉材がコネクタの開口から侵入してコネクタ内の端子に変形等の損傷を与えるのを防止するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車に配索されるワイヤハーネスは、電線群を集束して幹線および幹線から分岐する枝線を形成し、各幹線、枝線の端末にコネクタを接続し、また、車体パネルにアース接続するためのアース端子を電線端末に接続して組み立てている。このワイヤハーネスの組み立てはワイヤハーネス・メーカでなされ、組み立てられたワイヤハーネスを湾曲したり、折り曲げたりして荷姿に整え、搬送車で自動車を組み立てるカー・メーカに搬送している。
【0003】
前記ワイヤハーネスの電線端末に接続されているコネクタは、自動車に配索された後で、他のワイヤハーネスの相手方コネクタと嵌合され、あるいは自動車に搭載された機器のコネクタ収容部に嵌合される。このように、相手方コネクタ等が嵌合されるコネクタ面(以下、コネクタ嵌合面と称す)は、相手方コネクタ等が嵌合されていない間は開口状態となり、外部干渉材が侵入しやすく、また、埃も侵入しやすくなる。特に、相手方のメスコネクタが内嵌する嵌合空間にタブ端子を突出したオスコネクタはコネクタ嵌合面に嵌合空間が連続するため、外部干渉材が侵入し、タブ端子に変形を発生させる恐れがある。
【0004】
前記コネクタ嵌合面に侵入する前記外部干渉材は、荷姿とするためにワイヤハーネスを曲げたり、折り返したりした際には、同一のワイヤハーネスの電線に接続されているアース端子や後入れ端子となるブラ端子、他の小型コネクタ、クリップ等からなる。また、隣接して荷積されている他のワイヤハーネスのアース端子や後入れ端子等がコネクタ嵌合面から侵入する場合がある。
【0005】
前記したコネクタ嵌合面への外部干渉材の干渉を防止してコネクタを保護する構造として、図12に示すように、キャップ200をコネクタCに被せる場合が多い。また、本出願人は特開2001−102123号公報で、図13(A)に示す保護構造を提供している。該保護構造は、コネクタ100A、100Bをそれぞれ接続した枝線110、120を折り曲げて幹線130の外周面に押し当て、この状態でテープTをコネクタ100A、100Bと幹線130に巻き付けて固定して保護している。相手方コネクタとの嵌合時にはテープTを外して接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−102123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記図12に示すようにキャップ200を被せる構成とする場合、キャップ200をコネクタから離脱しないように、しっかりと嵌合する形状とする必要があり、そのためコネクタ毎の専用仕様となり、コスト高になる。また、キャップは使い捨てであるため資源の無駄になる。
【0008】
また、前記図13(A)に示すように、コネクタを折り返して幹線の外面に押し当てる保護構造では、図13(B)に示すようにコネクタに接続した電線Wはコネクタ接続側の根元から横方向Y(コネクタへの電線挿入方向と直交する方向)に引っ張られ、電線端末の端子圧着部にストレスがかかり、電線を痛める可能性がある。
【0009】
本発明は前記問題を解消せんとするもので、コネクタにキャップを用いず、かつ、コネクタ根元の電線にストレスをかけずに、コネクタ嵌合面を保護できるようにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明は、ワイヤハーネスの幹線から分岐した枝線の端末に接続される保護対象のコネクタのコネクタ嵌合面の少なくとも幅方向の中心部を、前記幹線から立設して分岐される別の枝線の分岐根元部に隣接または突き当てると共に、該コネクタのコネクタ嵌合面をテープで塞いで、該コネクタを前記分岐根元部に連続する前記幹線に前記テープまたは別のテープで巻き付けているコネクタ嵌合面の保護構造を提供している。
【0011】
前記コネクタ嵌合面は前記テープまたは前記別のテープで予め塞いでおき、該コネクタ嵌合面を前記分岐根元部に隣接又は突き当て、該コネクタを前記幹線に前記テープまたは前記別のテープで巻き付けていることが好ましい。
【0012】
また、前記コネクタ嵌合面を前記分岐根元部に隣接させ、前記テープまたは前記別のテープを該コネクタに巻き付けながら該コネクタ嵌合面に巻き付けてもよい。
【0013】
保護する対象となる前記コネクタは、そのコネクタ嵌合面が開口となるオスコネクタである場合に好適に適用できる。
これは、アース端子等の外部干渉材が大きく開口したコネクタ嵌合面から侵入し、その内部に突出しているオス端子(タブ)と接触して変形を発生させやすいためである。
【0014】
前記コネクタ嵌合面を突き当てる別の枝線の分岐根元部は、幹線に対して60〜120度の角度で立設分岐され、好ましくは、略垂直方向に分岐したものとしている。このように、幹線から立設する分岐根元部に保護対象のコネクタのコネクタ嵌合面を突き当てると、該コネクタ嵌合面から引き出される電線の方向は、コネクタ嵌合面に対して横方向とはならず、コネクタ挿入方向となる。よって、コネクタ側の根元の電線を無理に横曲げする必要がないことから、電線端末の端子接続部付近にストレスを与えることを防止できる。
【0015】
コネクタ嵌合面を突き当てる別の枝線の分岐根元部が太幅である一方、保護対象のコネクタのコネクタ嵌合面が小さい場合には、コネクタ嵌合面の全体を分岐根元部に押し当ててコネクタ嵌合面を塞ぐことができる。しかしながら、別の枝線の分岐根元部の外径が比較的小さい一方、保護対象のコネクタが大型である場合には、コネクタ嵌合面の一部しか分岐根元部で塞ぐことが出来ない。よって、前記のように、コネクタ嵌合面の幅方向の中央部を分岐根元部に押し当てて塞いでいる。これにより、アース端子の寸法より保護対象コネクタのコネクタ嵌合面の開口寸法を小さくしてアース端子等の侵入を阻止することができる。
【0016】
なお、突き当てた分岐根元部でコネクタ嵌合面の幅方向の中間部が閉鎖された状態で、閉鎖されない両側開口の対角線の寸法(a)と、ワイヤハーネスに取り付けているアース端子のうちでコネクタ内に挿入しやすい最小のアース端子の最大幅寸法を(b)とすると、(a)<(b)であれば、該分岐根元部を有する枝線にコネクタ嵌合面を突き当ててもよい。(a)>(b)であればアース端子がコネクタ内に侵入する恐れがあるため、別の枝線の分岐根元部にコネクタ嵌合面を突き当てるものとしている。
【0017】
このように、保護対象のコネクタのコネクタ嵌合面を突き当てる別の枝線は、当該コネクタを端末に接続した枝線に近接する枝線から順次選択していき、前記(a)<(b)を満足する枝線の分岐根元部に突き当てるものとしている。なお、コネクタ嵌合面を突き当てる別の枝線は、当該コネクタを接続した枝線との寸法が500mm以内とすることが好ましい。
一方、突き当てる枝線が近接位置にあり、コネクタに接続した枝線が長い場合には、折り曲げた枝線を束ねた状態で幹線にテープ巻きで仮止めすることが好ましい。
【0018】
前記のように、コネクタ嵌合面を別のテープで予め塞ぐと、埃の侵入を阻止できる。この別のテープとして、ビニールテープ、布テープ等の比較的破れにくいテープが好適に用いられる。
また、別のテープでコネクタ嵌合面を塞ぐ代わりに、前記のように、コネクタを幹線に巻き付けるテープでコネクタ嵌合面を塞ぐように幹線に巻き付けてもよい。この場合、コネクタ嵌合面に予め別のテープを張り付けておく必要がない。
【0019】
前記コネクタ嵌合面を突き当てる別の枝線は、分岐根元部が幹線に対して略立設状態(即ち、60〜120度)で分岐しておればよく、分岐根元部から突出する先端側が湾曲していてもよいが、該湾曲方向は保護するコネクタを接続した枝線方向に湾曲していることが好ましい。
【0020】
前記コネクタ嵌合面を枝線の分岐根元部に突き当てた状態で、該コネクタを幹線に巻き付けて仮止めするテープとして、紙テープ、スリット入りテープを用い、相手方コネクタとの嵌合時にテープを容易に剥がせるようにしていることが好ましい。
【0021】
前記コネクタ嵌合面を保護するコネクタは、オプション止めのコネクタ、アース端子あるいは後付けのブラ端子が挿入する開口を有するオスコネクタ、エアバック回路等の重要回路端末のコネクタのいずれかで、かつ、前記のように、該コネクタはコネクタ嵌合面が開口したオスコネクタとすることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
前記のように、本発明は、ワイヤハーネスを自動車に配索するまで、該ワイヤハーネスに接続したコネクタの嵌合面を保護するため、該ワイヤハーネスの別の枝線の分岐根元部に突き当てテープ巻きして仮保持している。該突き当てる分岐根元部は幹線に対して略垂直に立設したものとしていることで、突き当てられたコネクタに接続した電線は、コネクタ挿入方向と直交する横方向に引っ張られることはないため、端子圧着部付近の電線へのストレスを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態を示し、(A)はワイヤハーネスを示す概略図、(B)はワイヤハーネスを荷姿とした概略図である。
【図2】保護対象となるコネクタを示し、(A)は斜視図、(B)は断面図である。
【図3】(A)(B)は第1工程を示す図面である。
【図4】第2工程を示し、(A)は正面図、(B)は(A)のB矢視図である。
【図5】分岐根元部に突き当てたコネクタの開口寸法と、該コネクタの開口に挿入する恐れがあるアース端子の寸法との関係を示す説明図である。
【図6】コネクタを突き当てる枝線の分岐根元部が幹線から分岐する角度を示す説明図である。
【図7】(A)は第3工程を示す図面、(B)は(A)の要部拡大図である。
【図8】保護対象のコネクタを接続した枝線が長い場合の処理方法を示す図面である。
【図9】(A)は荷姿とした状態の図面、(B)は折り曲げ方向を示す説明図である。
【図10】第2実施形態を示す図面である。
【図11】(A)〜(D)は変形例を示す概略図、(E)は参考例を示す概略図である。
【図12】従来例を示す斜視図である。
【図13】(A)は他の従来例を示す斜視図、(B)は問題点を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図9に第1実施形態を示す。
自動車に配索するワイヤハーネス1は、インストルメントパネル内には配索するワイヤハーネス、あるいはフロアに沿って配索するフロアハーネス、エンジンルーム内に配索するエンジンルームハーネス等からなる大型のワイヤハーネスからなる。
図1(A)に示すように、ワイヤハーネス1は多数本の電線2を集束して、幹線3、該幹線3から分岐する複数の枝線4を備え、枝線4の端末にコネクタ5が接続されている。さらに、前記電線2の端末には自動車にワイヤハーネス1を配索した後に車体パネルに固定するアース端子6、他のワイヤハーネスのコネクタに挿入する後入れのブラ端子7が接続されている。
【0025】
前記ワイヤハーネス1は、図1(B)に示すように、コンパクトに折り畳まれた荷姿50とされて、自動車組立ラインへと搬送される。この荷姿とされた時に、コネクタ5の相手方コネクタとの嵌合面となる開口にアース端子6等が侵入し、コネクタ5の端子に変形を生じさせる恐れがある。
【0026】
コネクタ5としては、車載機器のコネクタ収容部に嵌合されるコネクタ、他のワイヤハーネスに接続されたコネクタと嵌合されるコネクタ、オプション機器に接続されるハーネス端末のコネクタと接続されるオプション止めコネクタ等がある。
また、コネクタ5はオスコネクタとメスコネクタとがあり、図2に示すように、オスコネクタ5ー1は電線端末の端子挿入側の一端面と対向するコネクタ嵌合面5aが開口10となり、オス端子(タブ)12がハウジング11で囲まれた中空部13内に突出している。該オスコネクタ5−1はコネクタ嵌合面5aの開口10が大きいため、外部干渉材となるアース端子6が侵入しやすい。特に、該オスコネクタ5−1で、且つオプション機器が搭載された場合にオプション機器に接続されたハーネス端末のメス端子と嵌合されるオスコネクタに前記アース端子6等の外部干渉材が挿入しやすくなる。
【0027】
図3(A)に示すように、ワイヤハーネス1の幹線3から分岐した枝線4Aの端末にオプション止めのオスコネクタ5−1が接続されている。該オスコネクタ5ー1からなるコネクタ5の開口10となるコネクタ嵌合面5aを保護するため、第1工程で、図3(B)に示すように、コネクタ嵌合面5aの開口10を塞ぐように、粘着ビニルからなるテープ20を弛みなく張り付けている。
【0028】
前記開口10をテープ20で塞いだ後、第2工程で図4に示すように、該枝線4Aに隣接した別の枝線4Bの分岐根元部15に前記コネクタ5のテープ20で塞いた開口10を突き当てる。該分岐根元部15の幅W1が小さく、開口10の幅W2が大きく、開口10の全体が突き当てられないため、図3(B)に示すように、コネクタ5の開口10の幅方向の中央部を突き当てる。
【0029】
なお、図5に示すように、突き当てた分岐根元部15で閉鎖されない両側開口10a、10bの対角線の寸法(a)と、ワイヤハーネス1に取り付けているアース端子6のうちで最小のアース端子の最大幅寸法を(b)とすると、(a)<(b)であると、該分岐根元部15を有する枝線4Bにコネクタ嵌合面5aを突き当てている。(a)>(b)であれば、該枝線4Bの分岐根元部15に突き当てない。
【0030】
さらに、図6に示すように、突き当てる別の枝線4Bの分岐根元部15は幹線3に対して60〜120度の角度、好ましくは90度の垂直方向に立設しているとしている。
よって、保護対象のコネクタ5を接続した枝線4Aに隣接した別の枝線4Bの分岐根元部が幹線3より60度未満、120度を越えて傾斜状態で分岐する場合は、隣接した枝線4Bに突き当てず、離れた位置の次の位置の枝線4Bが60〜120度の角度で幹線3から分岐している場合は、隣接した枝線4Bを越えて離れた位置の枝線4Bに突き当てている。但し、突き当てる枝線は保護対象のコネクタを接続した枝線から500mm以内としている。
【0031】
前記のように、別の枝線4Bの分岐根元部15にコネクタ5の開口10を突き当てた後、第3工程で、図7に示すように、コネクタ5と幹線3とに紙テープ21を巻き付けて保持している。
【0032】
本実施形態では、枝線4Aに隣接した別の枝線4Bの分岐根元部15にコネクタ5の開口を突き当てているため、枝線4Aは枝線4Bに向けて幹線3に沿って折り返している。
なお、枝線4Aの長さが突き当て位置まで余剰となる場合は、図8に示すように、枝線4Aをさらに折り曲げて束ね、幹線3に紙テープ23で巻き付けている。
【0033】
前記のように、アース端子6等の外部干渉材が侵入しやすいコネクタ5の開口10をテープ20で塞ぎ、別の枝線4Bの分岐根元部15に突き当て、この状態で幹線3にテープ21で巻き付けて保持した状態としている。
このように、コネクタ5のコネクタ嵌合面5aを保護した後に、ワイヤハーネス1の全体を、図1(B)および図9(A)に示すように全体を折り畳んで荷姿50としている。この荷姿50とするためワイヤハーネス1を折り畳む際、図9(B)に示すように、対象コネクタ5が突き当てられる枝線4Bは対象コネクタ5を接続した枝線4Aの方向に曲げて折り畳むことが好ましい。
【0034】
この荷姿50とした状態でコネクタ5に近接した位置にアース端子6が位置しても、該コネクタ5のコネクタ嵌合面5aを前記のように保護しているため、アース端子6はコネクタ5の開口10に侵入することはできない。かつ、アース端子だけでなく、小型のコネクタ、クリップ等も開口10に侵入することが防止できる。さらに、開口10をテープ20で塞いでいるため、埃等の異物の侵入も防止できる。
【0035】
かつ、別の枝線4Bの分岐根元部15にコネクタ嵌合面5aが突き当てられたコネクタ5は、該コネクタ5に挿入した電線2が、該電線の挿入方向Xと同一方向に引き出され、該挿入方向Xと直交する横方向に引っ張れらていないため、該電線2にストレスがかからないようにすることができる。
【0036】
さらに、テープが必要なだけで、専用のコネクタキャップを不要とでき、コストアップが殆どなく、資源の無駄を無くすことができる。
【0037】
また、荷姿50から解かれて、ワイヤハーネス1を自動車に配索する際には、幹線3にコネクタ5を巻き付けている紙テープ21は破れやすいため、容易に剥がすことができる。また、コネクタ5の開口10を塞ぐテープ20は、相手方コネクタあるいはコネクタ収容部に嵌合するまで剥がさずに開口10を塞いでおくと、コネクタ5内への埃等の異物の侵入を防止できる。
【0038】
図10に第2実施形態を示す。
前記第1実施形態では別の枝線に突き当てるコネクタ5のコネクタ嵌合面の開口10を別のテープ20で予め塞いでいるが、第2実施形態では開口10をテープ20で塞いでいない。第1実施形態と同様に別の枝線4Bの分岐根元部15に対象となるコネクタ5のコネクタ嵌合面5aを突き当てた後に、幹線3とコネクタ5とを紙テープ21で巻き付ける際に、該紙テープ21でコネクタ5の開口10を閉鎖している。
前記構成とすると、テープ20の巻き付け及び取り外しの両方が不要となり、作業性を高めることができる。
【0039】
前記第1、第2実施形態のいずれの場合も、保護対象となるコネクタ5のコネクタ嵌合面5aを突き当てることが出来る別の枝線の分岐根元部15が、前記のように、幹線3から60〜120度で分岐しておればよく、図11(A)に示すように分岐根元部15から突出する先端側が、保護する対象のコネクタ5を接続した枝線4A側に湾曲していてもよい。但し、図11(E)に示すように、対象のコネクタ5と反対側に湾曲、傾斜している場合は突き当てる分岐根元部として不適となる。
【0040】
なお、別の枝線4Bが対象のコネクタ5と反対向きに湾曲している場合においても、図11(B)に示すように、対象コネクタ5を湾曲方向から突き当てるように回り込ませればよい。
また、図11(C)に示すように、別の枝線4Bが幹線3から対象コネクタ5の枝線4Aと逆方向向きに分岐している場合は、枝線4Aを幹線3の外周に周方向に沿わせて突き当てている。
さらに、図11(D)に示すように、対象コネクタ5の枝線4Aに隣接する枝線より離れた枝線4Bにコネクタ5を突き当てる場合は、隣接する枝線をまたいで折り曲げている。
【0041】
本発明は前記実施形態に限定されず、例えば、エアバック回路等の重要回路の枝線端末のコネクタは、該コネクタがメスコネクタであっても、保護対象のコネクタとしてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 ワイヤハーネス
2 電線
3 幹線
4 枝線
4A 保護対象コネクタを接続した枝線
4B 別の枝線
5 保護対象のコネクタ
5a コネクタ嵌合面
5−1 オスコネクタ
6 アース端子
10 開口
15 分岐根元部
20、21、23 テープ
【技術分野】
【0001】
本発明はコネクタ嵌合面の保護構造に関し、詳しくは、ワイヤハーネスを構成する電線の先端に接続されるコネクタが、相手方コネクタと嵌合するまで開口となるコネクタ嵌合面を保護し、外部干渉材がコネクタの開口から侵入してコネクタ内の端子に変形等の損傷を与えるのを防止するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車に配索されるワイヤハーネスは、電線群を集束して幹線および幹線から分岐する枝線を形成し、各幹線、枝線の端末にコネクタを接続し、また、車体パネルにアース接続するためのアース端子を電線端末に接続して組み立てている。このワイヤハーネスの組み立てはワイヤハーネス・メーカでなされ、組み立てられたワイヤハーネスを湾曲したり、折り曲げたりして荷姿に整え、搬送車で自動車を組み立てるカー・メーカに搬送している。
【0003】
前記ワイヤハーネスの電線端末に接続されているコネクタは、自動車に配索された後で、他のワイヤハーネスの相手方コネクタと嵌合され、あるいは自動車に搭載された機器のコネクタ収容部に嵌合される。このように、相手方コネクタ等が嵌合されるコネクタ面(以下、コネクタ嵌合面と称す)は、相手方コネクタ等が嵌合されていない間は開口状態となり、外部干渉材が侵入しやすく、また、埃も侵入しやすくなる。特に、相手方のメスコネクタが内嵌する嵌合空間にタブ端子を突出したオスコネクタはコネクタ嵌合面に嵌合空間が連続するため、外部干渉材が侵入し、タブ端子に変形を発生させる恐れがある。
【0004】
前記コネクタ嵌合面に侵入する前記外部干渉材は、荷姿とするためにワイヤハーネスを曲げたり、折り返したりした際には、同一のワイヤハーネスの電線に接続されているアース端子や後入れ端子となるブラ端子、他の小型コネクタ、クリップ等からなる。また、隣接して荷積されている他のワイヤハーネスのアース端子や後入れ端子等がコネクタ嵌合面から侵入する場合がある。
【0005】
前記したコネクタ嵌合面への外部干渉材の干渉を防止してコネクタを保護する構造として、図12に示すように、キャップ200をコネクタCに被せる場合が多い。また、本出願人は特開2001−102123号公報で、図13(A)に示す保護構造を提供している。該保護構造は、コネクタ100A、100Bをそれぞれ接続した枝線110、120を折り曲げて幹線130の外周面に押し当て、この状態でテープTをコネクタ100A、100Bと幹線130に巻き付けて固定して保護している。相手方コネクタとの嵌合時にはテープTを外して接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−102123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記図12に示すようにキャップ200を被せる構成とする場合、キャップ200をコネクタから離脱しないように、しっかりと嵌合する形状とする必要があり、そのためコネクタ毎の専用仕様となり、コスト高になる。また、キャップは使い捨てであるため資源の無駄になる。
【0008】
また、前記図13(A)に示すように、コネクタを折り返して幹線の外面に押し当てる保護構造では、図13(B)に示すようにコネクタに接続した電線Wはコネクタ接続側の根元から横方向Y(コネクタへの電線挿入方向と直交する方向)に引っ張られ、電線端末の端子圧着部にストレスがかかり、電線を痛める可能性がある。
【0009】
本発明は前記問題を解消せんとするもので、コネクタにキャップを用いず、かつ、コネクタ根元の電線にストレスをかけずに、コネクタ嵌合面を保護できるようにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明は、ワイヤハーネスの幹線から分岐した枝線の端末に接続される保護対象のコネクタのコネクタ嵌合面の少なくとも幅方向の中心部を、前記幹線から立設して分岐される別の枝線の分岐根元部に隣接または突き当てると共に、該コネクタのコネクタ嵌合面をテープで塞いで、該コネクタを前記分岐根元部に連続する前記幹線に前記テープまたは別のテープで巻き付けているコネクタ嵌合面の保護構造を提供している。
【0011】
前記コネクタ嵌合面は前記テープまたは前記別のテープで予め塞いでおき、該コネクタ嵌合面を前記分岐根元部に隣接又は突き当て、該コネクタを前記幹線に前記テープまたは前記別のテープで巻き付けていることが好ましい。
【0012】
また、前記コネクタ嵌合面を前記分岐根元部に隣接させ、前記テープまたは前記別のテープを該コネクタに巻き付けながら該コネクタ嵌合面に巻き付けてもよい。
【0013】
保護する対象となる前記コネクタは、そのコネクタ嵌合面が開口となるオスコネクタである場合に好適に適用できる。
これは、アース端子等の外部干渉材が大きく開口したコネクタ嵌合面から侵入し、その内部に突出しているオス端子(タブ)と接触して変形を発生させやすいためである。
【0014】
前記コネクタ嵌合面を突き当てる別の枝線の分岐根元部は、幹線に対して60〜120度の角度で立設分岐され、好ましくは、略垂直方向に分岐したものとしている。このように、幹線から立設する分岐根元部に保護対象のコネクタのコネクタ嵌合面を突き当てると、該コネクタ嵌合面から引き出される電線の方向は、コネクタ嵌合面に対して横方向とはならず、コネクタ挿入方向となる。よって、コネクタ側の根元の電線を無理に横曲げする必要がないことから、電線端末の端子接続部付近にストレスを与えることを防止できる。
【0015】
コネクタ嵌合面を突き当てる別の枝線の分岐根元部が太幅である一方、保護対象のコネクタのコネクタ嵌合面が小さい場合には、コネクタ嵌合面の全体を分岐根元部に押し当ててコネクタ嵌合面を塞ぐことができる。しかしながら、別の枝線の分岐根元部の外径が比較的小さい一方、保護対象のコネクタが大型である場合には、コネクタ嵌合面の一部しか分岐根元部で塞ぐことが出来ない。よって、前記のように、コネクタ嵌合面の幅方向の中央部を分岐根元部に押し当てて塞いでいる。これにより、アース端子の寸法より保護対象コネクタのコネクタ嵌合面の開口寸法を小さくしてアース端子等の侵入を阻止することができる。
【0016】
なお、突き当てた分岐根元部でコネクタ嵌合面の幅方向の中間部が閉鎖された状態で、閉鎖されない両側開口の対角線の寸法(a)と、ワイヤハーネスに取り付けているアース端子のうちでコネクタ内に挿入しやすい最小のアース端子の最大幅寸法を(b)とすると、(a)<(b)であれば、該分岐根元部を有する枝線にコネクタ嵌合面を突き当ててもよい。(a)>(b)であればアース端子がコネクタ内に侵入する恐れがあるため、別の枝線の分岐根元部にコネクタ嵌合面を突き当てるものとしている。
【0017】
このように、保護対象のコネクタのコネクタ嵌合面を突き当てる別の枝線は、当該コネクタを端末に接続した枝線に近接する枝線から順次選択していき、前記(a)<(b)を満足する枝線の分岐根元部に突き当てるものとしている。なお、コネクタ嵌合面を突き当てる別の枝線は、当該コネクタを接続した枝線との寸法が500mm以内とすることが好ましい。
一方、突き当てる枝線が近接位置にあり、コネクタに接続した枝線が長い場合には、折り曲げた枝線を束ねた状態で幹線にテープ巻きで仮止めすることが好ましい。
【0018】
前記のように、コネクタ嵌合面を別のテープで予め塞ぐと、埃の侵入を阻止できる。この別のテープとして、ビニールテープ、布テープ等の比較的破れにくいテープが好適に用いられる。
また、別のテープでコネクタ嵌合面を塞ぐ代わりに、前記のように、コネクタを幹線に巻き付けるテープでコネクタ嵌合面を塞ぐように幹線に巻き付けてもよい。この場合、コネクタ嵌合面に予め別のテープを張り付けておく必要がない。
【0019】
前記コネクタ嵌合面を突き当てる別の枝線は、分岐根元部が幹線に対して略立設状態(即ち、60〜120度)で分岐しておればよく、分岐根元部から突出する先端側が湾曲していてもよいが、該湾曲方向は保護するコネクタを接続した枝線方向に湾曲していることが好ましい。
【0020】
前記コネクタ嵌合面を枝線の分岐根元部に突き当てた状態で、該コネクタを幹線に巻き付けて仮止めするテープとして、紙テープ、スリット入りテープを用い、相手方コネクタとの嵌合時にテープを容易に剥がせるようにしていることが好ましい。
【0021】
前記コネクタ嵌合面を保護するコネクタは、オプション止めのコネクタ、アース端子あるいは後付けのブラ端子が挿入する開口を有するオスコネクタ、エアバック回路等の重要回路端末のコネクタのいずれかで、かつ、前記のように、該コネクタはコネクタ嵌合面が開口したオスコネクタとすることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
前記のように、本発明は、ワイヤハーネスを自動車に配索するまで、該ワイヤハーネスに接続したコネクタの嵌合面を保護するため、該ワイヤハーネスの別の枝線の分岐根元部に突き当てテープ巻きして仮保持している。該突き当てる分岐根元部は幹線に対して略垂直に立設したものとしていることで、突き当てられたコネクタに接続した電線は、コネクタ挿入方向と直交する横方向に引っ張られることはないため、端子圧着部付近の電線へのストレスを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態を示し、(A)はワイヤハーネスを示す概略図、(B)はワイヤハーネスを荷姿とした概略図である。
【図2】保護対象となるコネクタを示し、(A)は斜視図、(B)は断面図である。
【図3】(A)(B)は第1工程を示す図面である。
【図4】第2工程を示し、(A)は正面図、(B)は(A)のB矢視図である。
【図5】分岐根元部に突き当てたコネクタの開口寸法と、該コネクタの開口に挿入する恐れがあるアース端子の寸法との関係を示す説明図である。
【図6】コネクタを突き当てる枝線の分岐根元部が幹線から分岐する角度を示す説明図である。
【図7】(A)は第3工程を示す図面、(B)は(A)の要部拡大図である。
【図8】保護対象のコネクタを接続した枝線が長い場合の処理方法を示す図面である。
【図9】(A)は荷姿とした状態の図面、(B)は折り曲げ方向を示す説明図である。
【図10】第2実施形態を示す図面である。
【図11】(A)〜(D)は変形例を示す概略図、(E)は参考例を示す概略図である。
【図12】従来例を示す斜視図である。
【図13】(A)は他の従来例を示す斜視図、(B)は問題点を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図9に第1実施形態を示す。
自動車に配索するワイヤハーネス1は、インストルメントパネル内には配索するワイヤハーネス、あるいはフロアに沿って配索するフロアハーネス、エンジンルーム内に配索するエンジンルームハーネス等からなる大型のワイヤハーネスからなる。
図1(A)に示すように、ワイヤハーネス1は多数本の電線2を集束して、幹線3、該幹線3から分岐する複数の枝線4を備え、枝線4の端末にコネクタ5が接続されている。さらに、前記電線2の端末には自動車にワイヤハーネス1を配索した後に車体パネルに固定するアース端子6、他のワイヤハーネスのコネクタに挿入する後入れのブラ端子7が接続されている。
【0025】
前記ワイヤハーネス1は、図1(B)に示すように、コンパクトに折り畳まれた荷姿50とされて、自動車組立ラインへと搬送される。この荷姿とされた時に、コネクタ5の相手方コネクタとの嵌合面となる開口にアース端子6等が侵入し、コネクタ5の端子に変形を生じさせる恐れがある。
【0026】
コネクタ5としては、車載機器のコネクタ収容部に嵌合されるコネクタ、他のワイヤハーネスに接続されたコネクタと嵌合されるコネクタ、オプション機器に接続されるハーネス端末のコネクタと接続されるオプション止めコネクタ等がある。
また、コネクタ5はオスコネクタとメスコネクタとがあり、図2に示すように、オスコネクタ5ー1は電線端末の端子挿入側の一端面と対向するコネクタ嵌合面5aが開口10となり、オス端子(タブ)12がハウジング11で囲まれた中空部13内に突出している。該オスコネクタ5−1はコネクタ嵌合面5aの開口10が大きいため、外部干渉材となるアース端子6が侵入しやすい。特に、該オスコネクタ5−1で、且つオプション機器が搭載された場合にオプション機器に接続されたハーネス端末のメス端子と嵌合されるオスコネクタに前記アース端子6等の外部干渉材が挿入しやすくなる。
【0027】
図3(A)に示すように、ワイヤハーネス1の幹線3から分岐した枝線4Aの端末にオプション止めのオスコネクタ5−1が接続されている。該オスコネクタ5ー1からなるコネクタ5の開口10となるコネクタ嵌合面5aを保護するため、第1工程で、図3(B)に示すように、コネクタ嵌合面5aの開口10を塞ぐように、粘着ビニルからなるテープ20を弛みなく張り付けている。
【0028】
前記開口10をテープ20で塞いだ後、第2工程で図4に示すように、該枝線4Aに隣接した別の枝線4Bの分岐根元部15に前記コネクタ5のテープ20で塞いた開口10を突き当てる。該分岐根元部15の幅W1が小さく、開口10の幅W2が大きく、開口10の全体が突き当てられないため、図3(B)に示すように、コネクタ5の開口10の幅方向の中央部を突き当てる。
【0029】
なお、図5に示すように、突き当てた分岐根元部15で閉鎖されない両側開口10a、10bの対角線の寸法(a)と、ワイヤハーネス1に取り付けているアース端子6のうちで最小のアース端子の最大幅寸法を(b)とすると、(a)<(b)であると、該分岐根元部15を有する枝線4Bにコネクタ嵌合面5aを突き当てている。(a)>(b)であれば、該枝線4Bの分岐根元部15に突き当てない。
【0030】
さらに、図6に示すように、突き当てる別の枝線4Bの分岐根元部15は幹線3に対して60〜120度の角度、好ましくは90度の垂直方向に立設しているとしている。
よって、保護対象のコネクタ5を接続した枝線4Aに隣接した別の枝線4Bの分岐根元部が幹線3より60度未満、120度を越えて傾斜状態で分岐する場合は、隣接した枝線4Bに突き当てず、離れた位置の次の位置の枝線4Bが60〜120度の角度で幹線3から分岐している場合は、隣接した枝線4Bを越えて離れた位置の枝線4Bに突き当てている。但し、突き当てる枝線は保護対象のコネクタを接続した枝線から500mm以内としている。
【0031】
前記のように、別の枝線4Bの分岐根元部15にコネクタ5の開口10を突き当てた後、第3工程で、図7に示すように、コネクタ5と幹線3とに紙テープ21を巻き付けて保持している。
【0032】
本実施形態では、枝線4Aに隣接した別の枝線4Bの分岐根元部15にコネクタ5の開口を突き当てているため、枝線4Aは枝線4Bに向けて幹線3に沿って折り返している。
なお、枝線4Aの長さが突き当て位置まで余剰となる場合は、図8に示すように、枝線4Aをさらに折り曲げて束ね、幹線3に紙テープ23で巻き付けている。
【0033】
前記のように、アース端子6等の外部干渉材が侵入しやすいコネクタ5の開口10をテープ20で塞ぎ、別の枝線4Bの分岐根元部15に突き当て、この状態で幹線3にテープ21で巻き付けて保持した状態としている。
このように、コネクタ5のコネクタ嵌合面5aを保護した後に、ワイヤハーネス1の全体を、図1(B)および図9(A)に示すように全体を折り畳んで荷姿50としている。この荷姿50とするためワイヤハーネス1を折り畳む際、図9(B)に示すように、対象コネクタ5が突き当てられる枝線4Bは対象コネクタ5を接続した枝線4Aの方向に曲げて折り畳むことが好ましい。
【0034】
この荷姿50とした状態でコネクタ5に近接した位置にアース端子6が位置しても、該コネクタ5のコネクタ嵌合面5aを前記のように保護しているため、アース端子6はコネクタ5の開口10に侵入することはできない。かつ、アース端子だけでなく、小型のコネクタ、クリップ等も開口10に侵入することが防止できる。さらに、開口10をテープ20で塞いでいるため、埃等の異物の侵入も防止できる。
【0035】
かつ、別の枝線4Bの分岐根元部15にコネクタ嵌合面5aが突き当てられたコネクタ5は、該コネクタ5に挿入した電線2が、該電線の挿入方向Xと同一方向に引き出され、該挿入方向Xと直交する横方向に引っ張れらていないため、該電線2にストレスがかからないようにすることができる。
【0036】
さらに、テープが必要なだけで、専用のコネクタキャップを不要とでき、コストアップが殆どなく、資源の無駄を無くすことができる。
【0037】
また、荷姿50から解かれて、ワイヤハーネス1を自動車に配索する際には、幹線3にコネクタ5を巻き付けている紙テープ21は破れやすいため、容易に剥がすことができる。また、コネクタ5の開口10を塞ぐテープ20は、相手方コネクタあるいはコネクタ収容部に嵌合するまで剥がさずに開口10を塞いでおくと、コネクタ5内への埃等の異物の侵入を防止できる。
【0038】
図10に第2実施形態を示す。
前記第1実施形態では別の枝線に突き当てるコネクタ5のコネクタ嵌合面の開口10を別のテープ20で予め塞いでいるが、第2実施形態では開口10をテープ20で塞いでいない。第1実施形態と同様に別の枝線4Bの分岐根元部15に対象となるコネクタ5のコネクタ嵌合面5aを突き当てた後に、幹線3とコネクタ5とを紙テープ21で巻き付ける際に、該紙テープ21でコネクタ5の開口10を閉鎖している。
前記構成とすると、テープ20の巻き付け及び取り外しの両方が不要となり、作業性を高めることができる。
【0039】
前記第1、第2実施形態のいずれの場合も、保護対象となるコネクタ5のコネクタ嵌合面5aを突き当てることが出来る別の枝線の分岐根元部15が、前記のように、幹線3から60〜120度で分岐しておればよく、図11(A)に示すように分岐根元部15から突出する先端側が、保護する対象のコネクタ5を接続した枝線4A側に湾曲していてもよい。但し、図11(E)に示すように、対象のコネクタ5と反対側に湾曲、傾斜している場合は突き当てる分岐根元部として不適となる。
【0040】
なお、別の枝線4Bが対象のコネクタ5と反対向きに湾曲している場合においても、図11(B)に示すように、対象コネクタ5を湾曲方向から突き当てるように回り込ませればよい。
また、図11(C)に示すように、別の枝線4Bが幹線3から対象コネクタ5の枝線4Aと逆方向向きに分岐している場合は、枝線4Aを幹線3の外周に周方向に沿わせて突き当てている。
さらに、図11(D)に示すように、対象コネクタ5の枝線4Aに隣接する枝線より離れた枝線4Bにコネクタ5を突き当てる場合は、隣接する枝線をまたいで折り曲げている。
【0041】
本発明は前記実施形態に限定されず、例えば、エアバック回路等の重要回路の枝線端末のコネクタは、該コネクタがメスコネクタであっても、保護対象のコネクタとしてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 ワイヤハーネス
2 電線
3 幹線
4 枝線
4A 保護対象コネクタを接続した枝線
4B 別の枝線
5 保護対象のコネクタ
5a コネクタ嵌合面
5−1 オスコネクタ
6 アース端子
10 開口
15 分岐根元部
20、21、23 テープ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤハーネスの幹線から分岐した枝線の端末に接続される保護対象のコネクタのコネクタ嵌合面の少なくとも幅方向の中心部を、前記幹線から立設して分岐される別の枝線の分岐根元部に隣接または突き当てると共に、該コネクタのコネクタ嵌合面をテープで塞いで、該コネクタを前記分岐根元部に連続する前記幹線に前記テープまたは別のテープで巻き付けているコネクタ嵌合面の保護構造。
【請求項2】
前記コネクタ嵌合面は前記テープまたは前記別のテープで予め塞いでおき、該コネクタ嵌合面を前記分岐根元部に隣接又は突き当て、該コネクタを前記幹線に前記テープまたは前記別のテープで巻き付けている請求項1に記載のコネクタ嵌合面の保護構造。
【請求項3】
前記コネクタ嵌合面を前記分岐根元部に隣接させ、前記テープまたは前記別のテープを該コネクタに巻き付けながら該コネクタ嵌合面に巻き付け、前記幹線に巻き付けている請求項1に記載のコネクタ嵌合面の保護構造。
【請求項4】
前記保護対象となるコネクタは、コネクタ嵌合面が開口となるオスコネクタ、オプションコネクタ、重要回路端末のコネクタのいずれかである請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のコネクタ嵌合面の保護構造。
【請求項5】
前記コネクタ嵌合面を突き当てる別の枝線の分岐根元部は、幹線に対して60〜120度の角度で立設されているものである請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のコネクタ嵌合面の保護構造。
【請求項1】
ワイヤハーネスの幹線から分岐した枝線の端末に接続される保護対象のコネクタのコネクタ嵌合面の少なくとも幅方向の中心部を、前記幹線から立設して分岐される別の枝線の分岐根元部に隣接または突き当てると共に、該コネクタのコネクタ嵌合面をテープで塞いで、該コネクタを前記分岐根元部に連続する前記幹線に前記テープまたは別のテープで巻き付けているコネクタ嵌合面の保護構造。
【請求項2】
前記コネクタ嵌合面は前記テープまたは前記別のテープで予め塞いでおき、該コネクタ嵌合面を前記分岐根元部に隣接又は突き当て、該コネクタを前記幹線に前記テープまたは前記別のテープで巻き付けている請求項1に記載のコネクタ嵌合面の保護構造。
【請求項3】
前記コネクタ嵌合面を前記分岐根元部に隣接させ、前記テープまたは前記別のテープを該コネクタに巻き付けながら該コネクタ嵌合面に巻き付け、前記幹線に巻き付けている請求項1に記載のコネクタ嵌合面の保護構造。
【請求項4】
前記保護対象となるコネクタは、コネクタ嵌合面が開口となるオスコネクタ、オプションコネクタ、重要回路端末のコネクタのいずれかである請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のコネクタ嵌合面の保護構造。
【請求項5】
前記コネクタ嵌合面を突き当てる別の枝線の分岐根元部は、幹線に対して60〜120度の角度で立設されているものである請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のコネクタ嵌合面の保護構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−89271(P2012−89271A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233112(P2010−233112)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
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