説明

コネクタ用保護カバー

【課題】本発明は、コネクタの不正な着脱を防止することができ、しかも、大きな取付スペースを必要としないコンパクトな構造であるコネクタ用保護カバーを提供する。
【解決手段】相互に合体する一対のカバー部材2,3を備え、一対のコネクタ10,20の嵌合している状態を保持するためのラッチレバーを一対のカバー部材2,3によって保護するコネクタ用保護カバーであって、ラッチレバーは操作部と係止作用部とを有し、係止作用部は、操作部が操作されることにより一対のコネクタの嵌合している状態を保持する係止位置と、一対のコネクタ10,20の嵌合している状態を解除する係止解除位置との間で移動するようになっており、一対のカバー部材2,3が、分離できないように相互に合体した状態で操作部を覆い、かつ、ラッチレバーの操作部に装着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機やパチスロ機などの遊技機に使用されるコネクタのラッチレバーに取り付けて用いられ、ラッチレバーに一旦取り付けられると破壊することなしに取り外すことができない構造を有し、コネクタの不正な着脱を防止するためのコネクタ用保護カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電線同士を電気的に接続する際や、電線を回路基板に電気的に接続する際などには、相互に取り外し可能な構造を有する一対のコネクタが使用されている。一対のコネクタの係止機構には、例えば、一方のコネクタに設けられたラッチレバーを他方のコネクタに壁部に引っ掛けて係止するものや、一方のコネクタの壁部に一体的に形成された係止爪を他方のコネクタに壁部に形成された係止溝に係合させて係止するものなどがある。係止解除は、ラッチレバーを係止解除方向に指で動かしたり、コネクタの壁部を弾性的に撓ませたりすることで行われるようになっている。このようにして、相互接続した一対のコネクタを取り外し可能とすることで、コネクタの不意の脱落が防止され、一対のコネクタを介して接続する機器同士のメンテンス性が良くなると共に、電気的接続の作業性が高められるようになっている。
【0003】
しかしながら、遊技機で取得した遊技球や遊技用硬貨などを景品に変換することができるアミューズメント産業の分野において、正規の電気・電子部品に類似する特殊な部品をコネクタを介して遊技機に接続し、遊技機を不正な方法で制御するといった遊技機の不正改造が問題となっている。不正な特殊部品は、正規な部品に非常に良く類似するように巧妙に作られているため、外部から簡単に見分けがつかないことが多く、不正改造の発見を難しくしている。
【0004】
このようなことから、アミューズメント産業に関係する分野において、遊技機の不正改造の防止を図ることが行われている。一例として、相互接続した一対のコネクタを接着剤などで接着して分離できないようにし、不正な特殊部品そのものを接続できないようにする方法がある。しかし、この方法では、遊技機の内部に実装されているコネクタ接続している部品が故障し、それを新しい部品に交換する場合などに、一対のコネクタを破壊しなければならないという問題がある。
【0005】
他の一例として、一対のコネクタを接着せずに容易に分離することができないようにしたものが、特開2006−34784号公報で開示されている(特許文献1)。この従来例は、相互接続している基板コネクタとケーブルコネクタを外部から見えないように覆うコネクタカバーに関するものである。コネクタカバーの内面には、一対のコネクタの壁部などに形成された被係止部に係合する多数の係止突起が形成されている。コネクタの壁部に形成された被係止部にコネクタカバーの係止突起が係合することで、コネクタカバーが一対のコネクタに固定されるようになっている。
【0006】
コネクタカバーは、このカバー自体を破壊しないかぎりコネクタから外れないようになっている。遊技機が故障した場合などには、一対のコネクタを破壊せずにコネクタカバーだけを破壊し、故障した電子部品の交換をして、再び一対のコネクタの接続を行うことができる。遊技機が不正改造された場合は、コネクタカバーが破壊されているため、外部から不正改造を発見することができる。
【0007】
【特許文献1】特開2006−34784号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のコネクタカバーは、一対のコネクタの周囲を全体的に覆う箱形状に形成されているため、コネクタの周囲にコネクタカバーを取り付けるための追加のスペースを必要とすることになる。このため、遊技機の内部において、コネクタの周囲に取付スペースがない場合には、コネクタカバーをコネクタに取り付けることができなくなるという問題があった。
【0009】
また、コネクタとコネクタカバーの取り付け状態によっては、コネクタとコネクタカバーとの間に隙間を生じる心配があり、コネクタの被係止部とコネクタカバーの係止突起との係合が不十分になったり、コネクタカバーが外力により変形したりして、係止が外れやすくなるという心配があった。
【0010】
上記問題点に鑑み、本発明は、コネクタの不正な着脱を防止することができ、しかも、大きな取付スペースを必要としないコンパクトな構造であるコネクタ用保護カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記問題を解決するため、請求項1に記載のコネクタ用保護カバーは、相互に合体する一対のカバー部材を備え、一対のコネクタの嵌合している状態を保持するためのラッチレバーを前記一対のカバー部材によって保護するコネクタ用保護カバーであって、前記ラッチレバーは操作部と係止作用部とを有し、該係止作用部は、前記操作部が操作されることにより前記一対のコネクタの嵌合している状態を保持する係止位置と、前記一対のコネクタの嵌合している状態を解除する係止解除位置との間で移動するようになっており、前記一対のカバー部材が、分離できないように相互に合体した状態で前記操作部を覆い、かつ、前記ラッチレバーを有する一方のコネクタに装着されることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載のコネクタ用保護カバーは、相互に合体する一対のカバー部材を備え、一対のコネクタの嵌合している状態を保持するためのラッチレバーに前記一対のカバー部材が装着されることによって、前記一対のコネクタを保護するコネクタ用保護カバーであって、前記ラッチレバーは操作部と係止作用部とを有し、該係止作用部は、前記操作部が操作されることにより前記一対のコネクタの嵌合している状態を保持する係止位置と、前記一対のコネクタの嵌合している状態を解除する係止解除位置との間で移動するようになっており、前記一対のカバー部材が、分離できないように相互に合体した状態で前記係止作用部に装着され、かつ、該係止作用部の移動を拘束することを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載された発明は、請求項1に記載のコネクタ用保護カバーにおいて、前記一対のカバー部材が、前記ラッチレバーに装着されることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載された発明は、請求項1又は2に記載のコネクタ用保護カバーにおいて、前記一対のカバー部材の合体時に、合体方向に交差して相互に重なり合う前記一対のカバー部材の一方の壁部に係止部が設けられ他方の壁部に前記係止部に係合する被係止部が設けられたことを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載された発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載のコネクタ用保護カバーにおいて、前記一対のカバー部材には、該一対のカバー部材の破壊による分離を助長するための破断容易部が形成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載された発明は、請求項5に記載のコネクタ用保護カバーにおいて、前記破断容易部が、前記一対のカバー部材を相互に連結するために、各カバー部材の隣接する壁部に一体形成された可撓性のヒンジ部であることを特徴とする。
【0017】
請求項7に記載された発明は、請求項1,3〜6の何れか1項に記載のコネクタ用保護カバーにおいて、前記ラッチレバーの前記操作部に第1の規制面と第2の規制面とが形成され、前記一対のカバー部材に第1の規制面に当接する第1の当接面と前記第2の規制面に当接する第2の当接面とが形成され、前記第1の規制面と前記第1の当接面とが当接し、前記第2の規制面と前記第2の当接面とが当接することで、合体した前記一対のカバー部材の上下方向と左右方向の移動が規制されることを特徴とする。
【0018】
請求項8に記載された発明は、請求項4〜7の何れか1項に記載のコネクタ用保護カバーにおいて、前記ラッチレバーは、一端に形成された前記操作部と他端に形成された前記係止作用部との間の支点部により前記一方のコネクタに弾性的に支持され、前記操作部が押されて該操作部が撓むことにより前記係止作用部が前記係止位置と前記係止解除位置との間で移動するようになっており、前記一対のカバー部材の内部構造が前記操作部の形状に対応する形状に形成され、前記一対のカバー部材は該一対のカバー部材の内側で前記操作部を受容した状態で合体し、前記操作部が前記一対のカバー部材の内壁に当接することを特徴とする。
【0019】
請求項9に記載された発明は、請求項4〜6の何れか1項に記載のコネクタ用保護カバーにおいて、各カバー部材が、連結部と、該連結部の両端で連結された一対の取付部とを有し、前記連結部の両側で各一対の前記取付部が相互に合体したときに前記一対のカバー部材が枠をなし、該枠の内側に一対の前記ラッチレバーが位置することを特徴とする。
【0020】
請求項10に記載された発明は、請求項9に記載のコネクタ用保護カバーにおいて、前記係止部は一方の前記取付部に設けられ、前記被係止部は他方の前記取付部に設けられたことを特徴とする。
【0021】
請求項11に記載された発明は、請求項9又は10に記載のコネクタ用保護カバーにおいて、前記破断容易部が前記連結部に設けられたことを特徴とする。
【0022】
請求項12に記載された発明は、請求項9〜11の何れか1項に記載のコネクタ用保護カバーにおいて、前記ラッチレバーは、一端に反り面を有する前記操作部及び前記係止作用部を有し、他端に前記ラッチレバーを枢動自在に軸支する支点部を有しており、合体した前記一対のカバー部材が前記操作部の前記反り面に接した状態で前記操作部の外側に配置されることを特徴とする。
【0023】
請求項13に記載された発明は、請求項1〜12の何れか1項に記載のコネクタ用保護カバーにおいて、前記一対のコネクタが、回路基板とフラットケーブルとを電気的に相互接続することを特徴とする。
【0024】
請求項14に記載された発明は、請求項2〜13の何れか1項に記載のコネクタ用保護カバーにおいて、前記一対のコネクタのうち一方のコネクタが回路基板に直付けされている直付けコネクタであり、他方のコネクタがケーブルに接続しているケーブルコネクタであり、前記回路基板の基板上面には、前記直付けコネクタが固定される箇所に該直付けコネクタの取付スペースを画定する貫通部を有する基板カバーが動かないように覆設されており、一方のカバー部材が、前記基板カバーの前記貫通部の周囲の壁部に係合する脚部と、該脚部が前記貫通部の周囲の壁部に係合した状態で前記係止作用部の外面に当接して該係止作用部の移動を拘束する拘束部と、を有することを特徴とする。
【0025】
請求項15に記載された発明は、回路基板に直付けされている直付けコネクタと、ケーブルが接続しているケーブルコネクタとの嵌合している状態を保持するために、一方のコネクタに設けられたラッチレバーに装着されるコネクタ用保護カバーであって、前記回路基板の基板上面には、前記直付けコネクタが固定される箇所に該直付けコネクタの取付スペースを画定する貫通部を有する基板カバーが動かないように覆設されており、前記ラッチレバーは操作部と係止作用部とを有し、該係止作用部は、前記操作部が操作されることにより前記一対のコネクタの嵌合している状態を保持する係止位置と、前記一対のコネクタの嵌合している状態を解除する係止解除位置との間で移動するようになっており、少なくとも前記係止作用部に装着される本体と、前記基板カバーの前記貫通部の周囲の壁部に係合する脚部と、該脚部が前記貫通部の周囲の壁部に係合した状態で前記係止作用部の外面に当接して該係止作用部の移動を拘束する拘束部と、を有することを特徴とする。
【0026】
請求項16に記載された発明は、請求項15に記載のコネクタ用保護カバーにおいて、前記貫通部の周囲の壁部に係合部が設けられ、該係合部に前記脚部が係入されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本願の請求項1記載の発明によれば、ラッチレバーの操作部が一対のカバー部材により覆われることで、操作部を操作できなくなり、コネクタの不正な着脱を防止することができる。一対のカバー部材は、操作部を覆うものであるから、コネクタ全体を覆う場合と比較すると、保護カバーがコンパクト化され、保護カバーの取付スペースを小さくすることができる。
【0028】
請求項2記載の発明によれば、一対のカバー部材によりラッチレバーの係止作用部の移動が拘束されることで、コネクタの不正な着脱を直接的に防止することができる。一対のカバー部材は、係止作用部に装着されるものであるから、コネクタ全体を覆う場合と比較すると、保護カバーがコンパクト化され、保護カバーの取付スペースを小さくすることができる。
【0029】
請求項3記載の発明によれば、一対のカバー部材は、操作部を覆い、かつ、操作部に装着されものであるから、保護カバーがより一層コンパクト化され、保護カバーの取付スペースをさらに小さくすることができる。
【0030】
請求項4又は10記載の発明によれば、一対のカバー部材の合体時、係止部と被係止部とが係合することで、一対のカバー部材を互いに係止することができる。
【0031】
請求項5記載の発明によれば、一対のカバー部材を強制的に分離する際には、破断容易部をニッパなどの工具で破断することで、一対のカバー部材を容易に分離することができる。
【0032】
請求項6記載の発明によれば、ヒンジ部が破断容易部を兼ねているから、新しい構成を追加せずに破断容易部を設けることができる。
【0033】
請求項7記載の発明によれば、一対のカバー部材を備える保護カバーが操作部から外れたり、操作部が一対のカバー部材の内側で撓んだり、移動したりすることを防止することができ、操作部を確実に操作できなくすることができる。
【0034】
請求項8記載の発明によれば、一対のカバー部材を備える保護カバーが操作部から外れたり、操作部が支点部を支点として撓んだりすることを規制することができる。
【0035】
請求項9記載の発明によれば、保護カバーの構造が容易化してよりコンパクトになるため、操作部の外側への出っ張りが少なくなり、取付スペースの影響を受けづらくなる。
【0036】
請求項11記載の発明によれば、破断容易部が連結部に設けられているから、一対のカバー部材の分離を容易に行うことができる。
【0037】
請求項12記載の発明によれば、操作部の係止解除方向への移動を拘束することができる。
【0038】
請求項13記載の発明によれば、一対のコネクタが回路基板とフラットケーブルとを電気的に相互接続するから、回路基板が実装されている遊技機などを不正な方法で制御するといった不正改造を妨げることができる。また、一対のカバー部材が破壊された場合にも、一対のカバー部材が破壊されていることを根拠として不正改造を容易に知ることができる。
【0039】
請求項14記載の発明によれば、一方のカバー部材の脚部が基板カバーの貫通部の周囲の壁部に係合することで、ラッチレバーに対するカバー部材の相対的位置が固定され、この状態で拘束部が係止作用部の外面に当接することで、係止作用部の移動が拘束される。このため、コネクタの不正な着脱をより確実に防止することができる。
【0040】
請求項15記載の発明によれば、保護カバーの脚部が基板カバーの貫通部の周囲の壁部に係合することで、ラッチレバーに対する保護カバーの相対的位置が固定され、かつ、拘束部が係止作用部の外面に当接し、係止作用部の移動が直接的に拘束される。また、保護カバーを簡易な構造とすることができ、保護カバーのより一層のコンパクト化を図ることができる。
【0041】
請求項16記載の発明によれば、基板カバーに簡易な追加工を行うことにより、脚部が係入される係合部を容易に設けることができる。このため、既存の部品を有効利用して、コストを抑えた保護カバーを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下に本発明の実施の形態の具体例を図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明に係るコネクタ用保護カバーの第1の実施形態を示す。本実施形態のコネクタ用保護カバー1は、合体前の初期形状が分割された形状である一対のカバー部材2,3を有しており、図示しない回路基板に垂直に固定されている直付けコネクタ10にフラットケーブルの端部に接続されているケーブルコネクタ20が嵌合している状態で、両コネクタ10,20の嵌合状態を保持するためにケーブルコネクタ20に設けられているラッチレバー26の操作部27(図2参照)に覆設されるものである。直付けコネクタ10とラッチレバー26を有するケーブルコネクタ20とから基板用コネクタアッセンブリ8が構成されている。
【0043】
図示しない回路基板は、所定のパターンで回路導体が印刷などにより形成されたものであり、パチンコ機やスロットマシンなどの遊技機の内部に実装されて用いられるものである。回路基板には、相嵌合する一対のコネクタ10,20を介して外部の制御装置との間で制御信号が送受信されるようになっている。
【0044】
直付けコネクタ10は、雌型のコネクタハウジング11と、一方に基板の配線導体に接続する導体接触部を有し、他方にケーブルコネクタ20の雌端子に接続する端子接触部を有し、中間部分に壁部に圧入支持される固定部を有する多数の雄端子15(図18参照)と、を備えている40極のコネクタである。コネクタハウジング11は、枠状に樹脂成形されたものであり、ケーブルコネクタ20を受容する雌型の嵌合部12が前側で開口形成されている。ここでいう”前側”とは、コネクタ20に対してコネクタ10が嵌合する側をいい、図1及び図2で示すコネクタ10の上側をいうものとする。
【0045】
嵌合部12内において、雄端子15の端子接触部が上向きに突出し、ケーブルコネクタ20の雌端子と接続できるように待ち受けている。コネクタハウジング11の底壁13からは、雄端子15の導体接触部が下向きに突出している(図示せず)。基板用コネクタ10が回路基板に取り付けられ、導体接触部が回路導体にろう付けなどで接続されるようになっている。なお、コネクタハウジング11のサイズは、任意であり、回路基板の設計仕様に応じたものが用いられる。この点に関し、本実施形態の保護カバー1は、コネクタハウジング11のサイズが変更になった場合であっても、ラッチレバー26の仕様が変更にならない限り利用できるものとして提供されている。
【0046】
図2に示すように、ケーブルコネクタ20は、多数の端子収容室が区画形成された雄型の嵌合部(図示せず)を前側に有するコネクタハウジング21と、各端子収容室に収容される多数の雌端子(図示せず)と、雌端子に接続されたフラットケーブル(図示せず)をコネクタハウジング21の壁部に挟んだ状態でコネクタハウジング21の後側の壁部に固定されたラッチホルダ25と、から構成されている。ここで、コネクタハウジング21の”前側”とは、コネクタ10に対してコネクタ20を嵌合する側をいい、図1及び図2で示すコネクタ20の下側をいうものとする。
【0047】
コネクタハウジング21は、矩形状に樹脂成形されたものであり、規則正しいピッチ間隔で上下二列に配列された多数の端子収容室(図示せず)を有している。端子収容室は、前壁(図示せず)と後壁22に貫通して形成されている。前壁からは、各端子収容室に収容された雌端子の一方の端部に形成された電気接触部が臨み、後壁22からは、雌端子の他方の端部に形成された電線接続部が臨むようになっている。電線接続部には、フラットケーブルを構成する各信号線の被覆部が除去された芯線部が圧接されている。前壁と後壁22とは、それらの周囲を囲繞する枠状の枠壁23によって連結されている。
【0048】
雌端子は、導電性基板を打ち抜いて折り曲げることにより形成され、一方の端部に雄端子15と弾性接触する電気接触部を有し、他方の端部に圧接部としての電線接続部を有している。各端子収容室に収容された雌端子は、図示しない係止手段により係止され、端子収容室から抜け出さないようになっている。
【0049】
ラッチホルダ25は、一対のコネクタ10,20の嵌合状態(係止状態)を保持するためのロック部材であり、樹脂成形により一体的に形成され、幅方向両側で相互に離間している一対のラッチレバー26,26と、一対のラッチレバー26,26を連結する連結部30と、から構成されている。各ラッチレバー26は、力点としての操作部27と、この操作部27の反対側に位置する係止作用部28と、操作部27と係止作用部28との間に位置して連結部30の両端部にそれぞれ連結されている支点部29と、から構成されている。係止作用部28の内面には、直付けコネクタ10の壁部の係止溝(図示せず)に係合する係止爪28a(図4参照)が形成されている。操作部27と連結部30の端面との間には、操作部27の撓みを許容する撓み空間31を存し、係止作用部28とコネクタハウジング21の側面との間には、直付けコネクタ10の嵌合部12の壁部の進入を許容する隙間32を存している(図4参照)。
【0050】
すなわち、ラッチレバー26の係止作用部28は、相互に嵌合している一対のコネクタ10,20の嵌合状態を保持する係止位置と、前記一対のコネクタ10,20の嵌合状態を解除する解除位置との間で撓むことができるようになっている。一対のコネクタ10,20の嵌合動作は、ラッチレバー26の操作部27を撓み空間31の狭まる方向に押して係止作用部28を外側へ開いた状態で行われ、一対のコネクタ10,20が相互に嵌合した後、操作部27を押す力を解除することで係止作用部28が元形状に弾性復帰し、係止作用部28の内面に形成された係止爪28aが直付けコネクタ10の枠壁の係止溝(図示せず)に係合して、一対のコネクタ10,20が係止されるようになっている。
【0051】
このように、ラッチレバー26の操作部27を操作することで、一対のコネクタ10,20の係止と係止解除を行うことができ、一対のコネクタ10,20の再接続が可能となる。一対のコネクタ10,20がラッチレバー26により相互に係止されることで、一対のコネクタ10,20が不用意に外れることが防止されて電気的接続の信頼性が高められる。
【0052】
次に、本実施形態の保護カバーについて説明する。図3に示すように、この保護カバー1は、ラッチレバー26の操作部27に取り付けて用いられ、コネクタの不正な着脱を防止して、遊技機の不正改造を妨げるために用いられるものである。保護カバー1は、ラッチレバー26の操作部27だけを部分的に覆うように相互に合体する一対のカバー部材2,3を有している。なお、他の形態として、保護カバー1がラッチレバー26の操作部27と係止作用部28を覆うように作ることも可能である。一対のカバー部材2,3は、ヒンジ部4と共に一体的に樹脂成形されている。本実施形態では、3本に分割された細いヒンジ部4が形成されているが、一つの幅広のヒンジ部を形成することもできる。本実施形態の3本のヒンジ部4は、一対のカバー部材2,3の分離を容易にする部位(破断容易部)を兼ねており、ニッパなどでヒンジ部4を破断することで、一対のカバー部材2,3を容易に分離することができるようにもなっている。ヒンジ部を幅広に形成した場合は、一対のカバー部材2,3の他の部分に一対のカバー部材2,3の分離を容易にするための部位を形成することができる。なお、遊技機の不正改造を目的としてコネクタを使用するために、分離を容易にする部位が不正に破断されることも考えられるが、この場合は、破断されたことを根拠として、不正改造を知ることができる。
【0053】
一対のカバー部材2,3は、一対のカバー部材2,3の間にラッチレバー26の操作部27を受容した際に、操作部27との間で隙間を生じないようにするため、ラッチレバー26のプロファイルが反映された内部形状を有している。すなわち、一対のカバー部材2,3の内部形状は、操作部27のプロファイルに対応する内部形状をなしている。具体的には、図4に示すように、操作部27は、自由端側で斜めに傾斜している第1の規制面70と、支点部近傍で斜めに傾斜している第2の規制面71と、撓み空間31を画定するU字状の第3の規制面72とを有し、これに対して、一方のカバー部材2は、第1の規制面70に当接する第1の当接面75と、第2の規制面71に当接する第2の当接面76と、U字状の第3の規制面72に当接する第3の当接面77とを有している。
【0054】
このため、操作部27に一対のカバー部材2,3が取り付けられると、第1〜3の規制面70,71,72に対して対応する第1〜3の当接面75,76,77がそれぞれに当接することにより、一対のカバー部材2,3の上下方向・左右方向の移動が規制されて、合体した一対のカバー部材2,3が操作部27から外れないように装着されると共に、操作部27の撓みが直接的に規制されるようになっている。操作部27の撓みが規制されることで、係止作用部28の撓みも規制されるようになっている。カバー部材2の下側には、係止作用部28の閉じ方向の撓みを規制する規制部73が突設されている。なお、図5に示すように、一対のカバー部材2,3の壁部をラッチレバー26の係止作用部28に沿うように下方に長く延長し、延長部分を回路基板80(図6,7)に覆設される基板用プラスチックカバー81に係合させることで、係止作用部28の撓みを直接的に拘束又は規制することもできる。この変形例についての詳細は後述する。
【0055】
一対のカバー部材2,3を合体したときに、合体方向に交差して相互に重なり合う一方のカバー部材2の壁部の内面に係止爪(係止部)2aが内向きに突設され、他方のカバー部材3の壁部に係止爪2aと対応する位置で係止孔(被係止部)3aが貫通して設けられている。ラッチレバー26を挟むように一対の取付部2,3を対向させ、そのまま一対の取付部2,3を相互に合体すると、係止爪2aが係止孔3aに係合し、一対の取付部2,3は分離できないように相互に係止される。しかも、係止爪2aと係止孔3aの係合部分は、一対のカバー部材2,3の内側に位置するため、係合部分が外部から見えなくなり、係止爪2aと係止孔3aの係止解除を行うことはできず、一対のカバー部材2,3を破壊しない限り一対のカバー部材2,3を分離することはできないようになっている。
【0056】
以上により、第1の実施形態の保護カバー1によれば、一対のカバー部材2,3が分離できないように相互に合体して、ラッチレバー26の操作部27を覆うから、操作部27の操作ができなくなり、コネクタの不正な着脱が防止される。これにより、回路基板が実装されている遊技機などを不正な方法で制御するといった不正改造を妨げることができる。保護カバー1が破壊されて不正改造が行われた場合にも、保護カバー1が破壊されていることを根拠として不正改造を容易に知ることができる。また、保護カバー1は、ラッチレバー26の操作部27だけを部分的に保護するものであるから、構造のコンパクト化を図ることができ、取付スペースを小さくすることができる。
【0057】
図5には、第1の実施形態の変形例が示されている。この変形例では、一方のカバー部材3Aに下方に延長した脚部82が形成されている。脚部82の内面には、ラッチレバー26の係止作用部28の下端部に当接するL字状の当接部83が設けられている。当接部83は、垂直な第1の当接面84aと、湾曲した第2の当接面84bとを有している。脚部82は、回路基板80に覆設される基板用プラスチックカバー(基板カバー)81の壁部に設けられた孔部(係合部)87に係入されるようになっている。孔部87は図6に示されている。基板用プラスチックカバー81は、回路基板80の不正改造を防止するために基板上面に動かないように覆設される既設の透明カバーであり、図6にはカバー81の一部が示されている。基板用プラスチックカバー81が回路基板80に一旦取り付けられると、破壊しない限り取り外すことができないようになっている。換言すると、基板用プラスチックカバー81が破壊されている場合は、遊技機が不正改造されていることが判るようになっている。遊技機には、コネクタを介してケーブルが接続されているが、コネクタの着脱を業者が必要に応じて行うことができるように、基板用プラスチックカバー81のコネクタ接続部分に対応する部分にはカバーの高さが周囲の部分より低くなっている取付部85が設けられている。取付部85には、基板80に配設されたコネクタ10を挿通するための貫通部88が設けられている。この実施形態では貫通部88は孔であるが、基板80の端部等にコネクタが設けられる場合などには、必ずしも孔である必要はなく、コネクタ形状に対応した切り欠きであってもよい。また、カバーの高さがコネクタの着脱操作に支障のない程度に低い場合は取付部がなくとも、貫通部88があればよい。
【0058】
図7には、カバー部材2A,3Aがラッチレバー26の係止作用部28に装着された状態が示されている。カバー部材3Aの脚部82は、貫通部88の周囲に配置され、回路基板上80に重なる水平な壁部86に設けられた孔部87に係入されている。このとき、脚部82に続くL字状の当接部83は、係止作用部28の外面に当接している。当接部83の垂直な第1の当接面84aに、係止作用部28の垂直な外面、つまり係止作用部がコネクタから離れる方向に枢動することを規制する外面が当接し、当接部83の湾曲した第2の当接面84bに、係止作用部28の先端の湾曲した外面、つまりカバー部材がコネクタから離れる方向に移動するのを規制する外面が当接するようになっている。第2の当接面84bに係止作用部28の先端の湾曲した外面が当接することで、保護カバー1Aの抜けが防止されるようにもなっている。このようにして、脚部82(拘束部)が孔部87に係入されると、脚部82の動きが拘束され、これによって、当接部83に当接している係止作用部28の移動も拘束されるようになっている。ここでいう当接とは、ラッチレバーとカバー部材とが常に接している状態だけでなく、ラッチの係止が解除できない程度に係止作用部が移動できる隙間が係止作用部と当接部との間に生じている状態を含むこととする。
【0059】
保護カバー1Aのこの変形例によると、本体がラッチレバー26の操作部27を覆うことで、操作部27への不正アクセスを防止し、保護カバー1Aの脚部82がラッチレバー26の係止作用部28の動きを拘束することで、ラッチレバー26の係止解除を確実に防止することが可能となる。
【0060】
なお、この変形例においては、保護カバー1Aの脚部82が基板用プラスチックカバー81の孔部87に係入するようになっているが、孔部87を凹みに変更したり、孔部87を回路基板80に設けたり、コネクタ10の一部を延長して設けた基板面に平行な壁に設けたりすることも可能であり、脚部87が係入される相手側の構成を制限するものではない。
【0061】
次に、本発明に係る保護カバーの第2の実施形態について、図8〜12を参照して説明する。本実施形態の保護カバー40も、第1の実施形態の保護カバー1と同様に基板用コネクタアッセンブリ48に適用されるものである。基板用コネクタアッセンブリ48が、40極の直付けコネクタ50とケーブルコネクタ60とから構成されている点も第1の実施形態と同様である。本実施形態では、第1の実施形態と重複する説明を略し、相違する構成について説明することとする。なお、これから説明する本実施形態の保護カバー40は、第1の実施形態のコネクタ20の一対のラッチレバー2,3にも適用可能である。
【0062】
本実施形態の直付けコネクタ50は、コネクタハウジング51と、多数の雄端子と、ラッチレバー52とから構成されている点が、第1の実施形態の直付けコネクタ10と相違している。本実施形態の保護カバー40は、ラッチレバー52の操作部53から外れないように取り付けられている。
【0063】
図9及び図10に示すように、ラッチレバー52は、コネクタハウジング51の長手方向両側で互いに離間して枢動自在に設けられている。ラッチレバー52の一端が軸(図示せず)を介してコネクタハウジング51の一旦に軸支されている。ラッチレバー52の他端には、外面に凹状の反り面66を有する操作部53と係止作用部54とが形成されている。操作部53の端面には、指の滑りを防止するための多数の細い溝53aが形成されている。係止部としての作用部54は、一対のラッチレバー52の対向する方向に突設され、ケーブルコネクタ60の段部61に係合することにより、ケーブルコネクタ60を抜け止めするようになっている。
【0064】
ラッチレバー52は、相互に嵌合している一対のコネクタ50,60の係止状態を保持する係止位置と、一対のコネクタ50,60の係止状態を解除する解除位置との間で回動でき、各位置で図示しないストッパにより係止されるようになっている。したがって、一対のコネクタ50,60を嵌合する際は、一対のラッチレバー52,52を係止解除位置まで外側に開いて(回動して)コネクタ嵌合し、嵌合後は、一対のラッチレバー52,52を係止位置まで内側に閉じる(回動する)ことで、一対のコネクタ50,60を係止できるようになっている。一対のコネクタ50,60を分離する際は、再び、所定の力で一対のラッチレバー52,52を係止解除位置まで外側に開くことで、分離することができる。
【0065】
本実施形態の保護カバー40は、相互に合体して枠状となる相対向する一対のカバー部材41を備えている(図8)。この一対のカバー部材41は対称形状を成している。1種類のカバー部材41が樹脂成形により作られ、作られた一対のカバー部材41,41が相互に合体することで、枠状の保護カバー40が構成されるようになっている。
【0066】
カバー部材41は、一対のラッチレバー52,52の間でケーブルコネクタ60の側面と平行に延在する長尺の連結部42と、連結部42の両端に一体形成され、ラッチレバー52の操作部52の外側部分を覆うように装着される取付部43,44と、から構成されている。連結部42は、薄い肉厚で形成されている。また、連結部42の側面には、一対のカバー部材41,41の破壊による分離を助長するための部位(破断容易部)68,69、すなわち、孔部65の周囲に形成された肉厚の薄い部位が形成されている。この部位68,69がニッパなどで破断されることで、一対のカバー部材41,41が容易に分離することができるようになっている。
【0067】
一対のカバー部材41,41が、合体して枠をなし、操作部52の反り面66に接した状態で操作部52の外側に配置されることで、一対のラッチレバー52,52の外側への回動が規制されて一対のコネクタ50,60の係止状態が保持されるとともに、一対のカバー部材41,41(保護カバー40)の上下方向及び水平方向の移動が規制されて一対のカバー部材41,41が操作部53から外れないようになっている。なお、第1の実施形態のコネクタ20の一対のラッチレバー2,3に本実施形態の保護カバー40を適用する場合には、カバー部材の取付部にラッチレバー2,3の操作部27の撓みを規制する部位を設けるとともに、保護カバー40を一対のラッチレバー2,3から外れないようにするために、操作部27の第1の規制面70及び第2の規制面71に接した状態で一対の操作部27,27の外側に配置して用いられる。本実施形態の保護カバー40は、構造が容易でコンパクトであり、ラッチレバー52の外側への出っ張りが少ない分、取付スペースの影響を受けづらくなっている。
【0068】
図12に示すように、各一対の取付部43,44を合体したときに、合体方向に交差して相互に重なり合う一方の取付部43の壁面には係止爪(係止部)43aが突設され、他方の取付部44の壁面には係止爪43aと対応する位置で先端に爪部44bを有する可撓性の係止アーム(被係止部)44aが立ち上がって設けられている。可撓性の係止アーム44aは、係止アーム44aの基部が連結されている壁面と直交する壁面から離れて形成されている。このため、取付部44の壁部に外力が加えられて壁部が変形しても、係止アーム44aは壁部の変形の影響を受けづらくなり、係止爪43aと係止アーム44aの爪部44bの係止の信頼性が高められるようになっている。
【0069】
本実施形態の一対のカバー部材41,41は、対称形状であるから、連結部42の一端に形成された取付部43は係止爪43aを有し、連結部43の他端に形成された取付部44は先端に爪部44bをもつ係止アーム44aを有している。各一対の取付部43,44を対向させ、各一対の取付部43,44をスライドさせながら相互に合体すると、係止アーム44aが係止爪43aに押されて撓んだ後、係止アーム44aが弾性復帰して係止アーム44aの爪部44bが係止爪43aに係合し、各一対の取付部43,44が分離できないように相互に係止されるようになっている。
【0070】
各一対の取付部43,44が合体した状態で、係止アーム44aの爪部44bと係止爪43aの係合部分は一対の取付部43,44の内側に位置することとなる。このため、係合部分が外部から見えなくなると共に、係合部分に外部から接触することができなくなり、一対の取付部43,44の係止を解除することを妨げることができる。
【0071】
以上により、第2の実施形態によれば、一対のカバー部材41,41は、相互に合体した際に枠状をなしてラッチレバー52の操作部53を覆い、しかも、ラッチレバー52の外側への回動が枠状のカバー部材41,41により規制されるから、一対のコネクタ50,60を外すことができなくなり、コネクタ50,60の不正な着脱を防止することができる。また、一対のカバー部材41,41は操作部53の周囲だけを覆うものであるから、一対のカバー部材41,41からなる保護カバー1をコンパクトな部品として提供することができ、取付スペースを小さくすることができる。
【0072】
図13及び14には、第2の実施形態の変形例が示されている。この変形例では、一対のカバー部材41A,41Aがラッチレバー26の係止作用部28を覆うように、ラッチレバー26に装着されるようになっている。一対のコネクタ10,20には、第1の実施形態で示されているコネクタが適用されている。一対のカバー部材41A,41Aは、長尺の連結部42Aと、連結部42Aの両端に一体形成された取付部43A,44Aと、から構成されている。取付部43A,44Aの構成が、第2の実施形態の取付部43,44と相違する点を除いて、この変形例の一対のカバー部材41A,41Aは第2の実施形態一対のカバー部材41,41と同様の構成となっている。取付部43Aには取付部44A寄り壁面内側に係止爪43aが突設されており、取付部44Aには係止爪43aに係合する孔部を有する係止アーム44aが設けられている。
【0073】
この変形例によれば、一対のカバー部材41A,41Aがラッチレバー26の係止作用部28を覆うようにラッチレバー26に装着されているから、露出しているラッチレバー26の係止作用部28を抉るなどしてコネクタ10,20を取り外すことを直接的に防止することができる。また、この変形例では、合体した一対のカバー部材41A,41Aの枠内に係止作用部28が位置し、係止作用部28の外側への移動が拘束されるようになっているから、第1の実施形態の変形例のように、基板用81に孔部87を形成しなくても、ラッチレバー26の係止作用部28の移動を拘束することができる利点がある。
【0074】
次に、本発明に係る保護カバーの第3の実施形態について、図15〜18を参照して説明する。本実施形態の保護カバー90は、一部品として射出成形された点で、第1の実施形態の略半割状の保護カバー1や、第2の実施形態の分割型の保護40と相違している。
【0075】
図15に示す本実施形態の保護カバー90は、カバー本体91がラッチレバー26の係止作用部28に装着されたときに、カバー本体91の下方に延長形成された部分が回路基板80の基板上面に覆設される基板用プラスチックカバー81に係合するようになっている。基板用プラスチックカバー81は、その形態が制限されるものではないが、第1の実施形態の変形例に示されているものと同様のものが適用されることができる。また、本実施形態の保護カバー90が適用されるラッチレバー26は、第1の実施形態のラッチレバーと同様である。
【0076】
保護カバー90は、ラッチレバー26の係止作用部28に装着されるカバー本体91と、カバー本体91に続きカバー本体91の下方に延長形成された脚部92と、脚部92の内面に設けられ、係止作用部28の移動を拘束する当接部93と、から構成されている。カバー本体91は、基壁95と、基壁95の両側に垂設された一対の側壁96と、一対の側壁96を連結する連結壁97と、を備えている。これらの壁95,96,97に囲まれた下端開口からラッチレバー26の上端が挿入され、ラッチレバー26の上端がカバー本体91の上端開口から露出するまでカバー本体91が下方へ動かされ、カバー本体91がラッチレバー26の係止作用部28を覆う位置で、位置決めされるようになっている。すなわち、カバー本体91は、図16に示すように、操作部27の先端を露出させ、係止作用部28を覆う位置でラッチレバー26に装着されるようになっている。
【0077】
脚部92は、図17に示すように、基板用プラスチックカバー81の取付部85の周囲に配置され、回路基板80上に重なる水平な壁部86に設けられた孔部87に係入される。脚部92に続くL字状の当接部93は、図18(片側にのみ保護カバー90が装着されている)に示すように、係止作用部28の外面に当接し、係止作用部28の移動を直接的に拘束するようになっている。当接部93は、垂直な第1の当接面94aと、湾曲した第2の当接面94bとを有している。当接部93の垂直な第1の当接面94aに、係止作用部28の垂直な外面、つまり係止作用部がコネクタから離れる方向に枢動することを規制する外面が当接し、当接部93の湾曲した第2の当接面94bに、係止作用部28の先端の湾曲した外面、つまり保護カバー90がコネクタから離れる方向に移動するのを規制する外面が当接し、が当接するようになっている。第2の当接面94bに係止作用部28の先端の湾曲した外面が当接することで、保護カバー90の抜けが防止されるようにもなっている。このように、脚部92が基板用プラスチックカバー81の孔部87に係入されることで、係止作用部28は一対のコネクタ10,20が嵌合している状態の位置である係止位置から、一対のコネクタ10,20が嵌合を解除している位置である係止解除位置へ移動することが防止されるようになっている。
【0078】
なお、本実施形態において、保護カバー90の脚部92が基板用プラスチックカバー81の孔部87に係入するようになっているが、孔部87を凹みに変更したり、孔部87を回路基板80に設けたり、コネクタ10の一部を延長して設けた基板面に平行な壁に設けたりすることも可能であり、することも可能であり、脚部92が係入される相手側の構成を制限するものではない。また、ラッチレバー26の操作部27の先端が保護カバー90の上端開口から露出しているが、保護カバー90を長くして、ラッチレバー26の操作部27が保護カバー90内に収まるようにすることも可能である。
【0079】
以上により、第3の実施形態によれば、ラッチレバー26の係止作用部28に装着された保護カバー90の脚部92が基板用プラスチックカバー81の孔部87に係合することで、ラッチレバー26に対する保護カバー90の相対的位置が固定され、かつ、当接部93が係止作用部28の外面に当接し、係止作用部28の移動が直接的に拘束される。したがって、簡易な構造の保護カバ90ーにより、ラッチレバー26の不正操作を確実に防止することができる。
【0080】
なお、本発明は上記実施形態に制限するものではなく、他の形態で実施することもできる。コネクタ用保護カバーの第1の実施形態において、一対のカバー部材2,3は、操作部27のプロファイルに対応する内部形状に形成されているが、一対のカバー部材が操作部27を覆い、一対のカバー部材が操作部27から外れないようになっている限り、合体時の一対のカバー部材の壁部を箱状に形成することも可能である。また、第1の実施形態では、保護カバー1が一対のラッチレバー26,26の操作部27に装着されているが、片側のみに保護カバー1を装着しても、コネクタの不正な着脱を防止することができる。
【0081】
第2の実施形態において、一対のカバー部材41,41が相互に合体した際に枠状をなしているが、変形例として、一対のカバー部材41,41が操作部53から外れない限り、一対の操作部53を上から覆うように一対のカバー部材41,41の合体した形状を箱状に形成することも可能である。
【0082】
また、第1の実施形態においては、一対のカバー部材2,3がカバー部材2,3の壁部にそれぞれ形成された係止爪2aと係止孔3aとの係合によりそれぞれ係止され、第2の実施形態においては、一対のカバー部材41,41が一対の取付部43,44の壁部にそれぞれ形成された係止爪43aと係止アーム44aの爪部44bとの係合により係止されるようになっているが、このような係止手段によらなくても、例えば接着剤や強力な両面テープを用いて一対のカバー部材2,3,41,41を分離できないように係止することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】コネクタに適用された本発明に係るコネクタ用保護カバーの第1の実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示すコネクタを示す斜視図である。
【図3】合体前のコネクタ用保護カバーを示す斜視図である。
【図4】図3のコネクタ用保護カバーの一方の取付部がラッチレバーに取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図5】保護カバーの第1の実施形態の変形例を示す図である。
【図6】貫通部を有する基板用プラスチックカバーを示す説明図である。
【図7】ラッチレバーに図5に示す保護カバーが装着された状態を示す部分断面図である。
【図8】コネクタに適用された本発明に係るコネクタ用保護カバーの第2の実施形態を示す斜視図である。
【図9】図5に示すコネクタ用保護カバーの一方のカバー部材とコネクタを示す斜視図である。
【図10】一方のカバー部材がラッチレバーに取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図11】図8のA−A線に沿って切断した断面図である。
【図12】図8のB−B線に沿って切断した断面図である。
【図13】保護カバーの第2の実施形態の変形例を示す図である。
【図14】一対のカバー部材がラッチレバーに取り付けられた状態を示す図である。
【図15】コネクタに適用された本発明に係るコネクタ用保護カバーの第3の実施形態を示す斜視図である。
【図16】保護カバーがラッチレバーに取り付けられた状態を示す図である。
【図17】基板用プラスチックカバーの貫通部にコネクタが配置されている状態を示す図である。
【図18】図17のC−C線に沿って切断した断面図である。
【符号の説明】
【0084】
1,1A,40,40A,90 保護カバー
2,2A,3,3A カバー部材
2a 係止爪(係止部)
3a 係止孔(被係止部)
4 ヒンジ部
8 基板用コネクタアッセンブリ
10,50 直付けコネクタ
20 ケーブルコネクタ
26 ラッチレバー
41,41A カバー部材
42 連結部
43,44 取付部
43a 係止爪(係止部)
44a 係止アーム(被係止部)
80 回路基板
81 基板用プラスチックカバー
82,92 脚部
83,93 当接部
84a,94a 垂直な第1の当接面
84b,94b 湾曲した第2の当接面
91 カバー部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に合体する一対のカバー部材を備え、一対のコネクタの嵌合している状態を保持するためのラッチレバーを前記一対のカバー部材によって保護するコネクタ用保護カバーであって、
前記ラッチレバーは操作部と係止作用部とを有し、該係止作用部は、前記操作部が操作されることにより前記一対のコネクタの嵌合している状態を保持する係止位置と、前記一対のコネクタの嵌合している状態を解除する係止解除位置との間で移動するようになっており、前記一対のカバー部材が、分離できないように相互に合体した状態で前記操作部を覆い、かつ、前記ラッチレバーを有する一方のコネクタに装着されることを特徴とする、コネクタ用保護カバー。
【請求項2】
相互に合体する一対のカバー部材を備え、一対のコネクタの嵌合している状態を保持するためのラッチレバーに前記一対のカバー部材が装着されることによって、前記一対のコネクタを保護するコネクタ用保護カバーであって、
前記ラッチレバーは操作部と係止作用部とを有し、該係止作用部は、前記操作部が操作されることにより前記一対のコネクタの嵌合している状態を保持する係止位置と、前記一対のコネクタの嵌合している状態を解除する係止解除位置との間で移動するようになっており、前記一対のカバー部材が、分離できないように相互に合体した状態で前記係止作用部に装着され、かつ、該係止作用部の移動を拘束することを特徴とする、コネクタ用保護カバー。
【請求項3】
前記一対のカバー部材が、前記ラッチレバーに装着されていることを特徴とする、請求項1に記載のコネクタ用保護カバー。
【請求項4】
前記一対のカバー部材の合体時に、合体方向に交差して相互に重なり合う前記一対のカバー部材の一方の壁部に係止部が設けられ、他方の壁部に前記係止部に係合する被係止部が設けられたことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のコネクタ用保護カバー。
【請求項5】
前記一対のカバー部材には、該一対のカバー部材の破壊による分離を助長するための破断容易部が形成されていることを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載のコネクタ用保護カバー。
【請求項6】
前記破断容易部が、前記一対のカバー部材を相互に連結するために、各カバー部材の隣接する壁部に一体形成された可撓性のヒンジ部であることを特徴とする、請求項5に記載のコネクタ用保護カバー。
【請求項7】
前記一対のカバー部材が前記操作部を受容した状態で合体するようになっており、前記ラッチレバーの前記操作部に第1の規制面と第2の規制面とが形成され、前記一対のカバー部材に第1の規制面に当接する第1の当接面と前記第2の規制面に当接する第2の当接面とが形成され、前記第1の規制面と前記第1の当接面とが当接し、前記第2の規制面と前記第2の当接面とが当接することで、合体した前記一対のカバー部材の上下方向と左右方向の移動が規制されることを特徴とする、請求項1,3〜6の何れか1項に記載のコネクタ用保護カバー。
【請求項8】
前記ラッチレバーは、一端に形成された前記操作部と他端に形成された前記係止作用部との間の支点部により前記一方のコネクタに弾性的に支持され、前記操作部が押されて該操作部が撓むことにより前記係止作用部が前記係止位置と前記係止解除位置との間で移動するようになっており、前記一対のカバー部材の内部構造が前記操作部の形状に対応する形状に形成され、前記一対のカバー部材は該一対のカバー部材の内側で前記操作部を受容した状態で合体し、前記操作部が前記一対のカバー部材の内壁に当接することを特徴とする、請求項1,3〜7の何れか1項に記載のコネクタ用保護カバー。
【請求項9】
各カバー部材が、連結部と、該連結部の両端で連結された一対の取付部とを有し、前記連結部の両側で各一対の前記取付部が相互に合体したときに前記一対のカバー部材が枠をなし、該枠の内側に一対の前記ラッチレバーが位置することを特徴とする、請求項3〜5の何れか1項に記載のコネクタ用保護カバー。
【請求項10】
前記係止部は一方の前記取付部に設けられ、前記被係止部は他方の前記取付部に設けられたことを特徴とする、請求項9に記載のコネクタ用保護カバー。
【請求項11】
前記破断容易部が前記連結部に設けられたことを特徴とする、請求項9又は10に記載のコネクタ用保護カバー。
【請求項12】
前記ラッチレバーは、一端に反り面を有する前記操作部及び前記係止作用部を有し、他端に前記ラッチレバーを枢動自在に軸支する支点部を有しており、合体した前記一対のカバー部材が前記操作部の前記反り面に接した状態で前記操作部の外側に配置されることを特徴とする、請求項9〜11の何れか1項に記載のコネクタ用保護カバー。
【請求項13】
前記一対のコネクタが、回路基板とフラットケーブルとを電気的に相互接続することを特徴とする、請求項1〜12の何れか1項に記載のコネクタ用保護カバー。
【請求項14】
前記一対のコネクタのうち一方のコネクタが回路基板に直付けされている直付けコネクタであり、他方のコネクタがケーブルに接続しているケーブルコネクタであり、前記回路基板の基板上面には、前記直付けコネクタが固定される箇所に該直付けコネクタの取付スペースを画定する貫通部を有する基板カバーが動かないように覆設されており、一方のカバー部材が、前記基板カバーの前記貫通部の周囲の壁部に係合する脚部と、該脚部が前記貫通部の周囲の壁部に係合した状態で前記係止作用部の外面に当接して該係止作用部の移動を拘束する拘束部と、を有することを特徴とする、請求項2〜13の何れか1項に記載のコネクタ用保護カバー。
【請求項15】
回路基板に直付けされている直付けコネクタと、ケーブルが接続しているケーブルコネクタとの嵌合している状態を保持するために、一方のコネクタに設けられたラッチレバーに装着されるコネクタ用保護カバーであって、
前記回路基板の基板上面には、前記直付けコネクタが固定される箇所に該直付けコネクタの取付スペースを画定する貫通部を有する基板カバーが動かないように覆設されており、
前記ラッチレバーは操作部と係止作用部とを有し、該係止作用部は、前記操作部が操作されることにより前記一対のコネクタの嵌合している状態を保持する係止位置と、前記一対のコネクタの嵌合している状態を解除する係止解除位置との間で移動するようになっており、
少なくとも前記係止作用部に装着される本体と、前記基板カバーの前記貫通部の周囲の壁部に係合する脚部と、該脚部が前記貫通部の周囲の壁部に係合した状態で前記係止作用部の外面に当接して該係止作用部の移動を拘束する拘束部と、を有することを特徴とする、コネクタ用保護カバー。
【請求項16】
前記貫通部の周囲の壁部に係合部が設けられ、該係合部に前記脚部が係入されていることを特徴とする、請求項15に記載のコネクタ用保護カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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