説明

コネクタ装置及び電子機器

【課題】蓋部材の取り付けを簡単な構成で強固に行うことができるコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ装置は、蓋部材1、ジャック2、上ケース3、内部コネクタ4、ねじ5、基板6、下ケース7を含んで構成される。蓋部材1は、プラグ挿入用開口32を覆う蓋部11と、蓋部材1を上ケース3に固定するための固定部12、蓋部11と固定部12を連結する連結部13からなり、弾性材料で一体に形成される。固定部12は、上ケース3内に挿入される部分にU字状壁121を有しており、固定用開口33に挿入され、上ケース3内部に形成された係合部と係合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ装置、及びコネクタ装置を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器と他の電子機器との間で信号の入出力を行う場合、両電子機器にコネクタ装置を取り付け、このコネクタ装置間をケーブルで接続することによって行うことが多い。例えば、ポータブルCDプレーヤーの再生信号をカーオーディオ装置に入力して、カーオーディオ装置から音を再生する場合、カーオーディオ装置のAUX入力端子用コネクタ装置と、ポータブルCDプレーヤーの再生出力端子用コネクタ装置とをケーブルで接続する。
【0003】
このようなコネクタ装置では、不使用時の塵埃混入の防止、端子保護等を行う場合、端子部を覆う蓋部材が設けられる。コネクタ装置の蓋部材としては、例えば特許文献1、2に示されるような弾性体で形成されたものが知られている。
【0004】
特許文献1に記載されたプラグ挿入口用蓋板は、プラグ挿入口に嵌装される角筒部と、アームと、ホルダからの脱落を防止するためのやじり形の係止片を備えている。しかし、このような係合片は、ホルダに取り付け時の移動規制方向が一方向であるため、蓋板に加わる力の方向によっては蓋板が抜け落ちてしまうおそれがある。
【0005】
特許文献2に記載された入出力端子用キャップは、キャップ本体と、ヒンジ部と、取付部を有しており、取付部がビスによりワッシャを介して筐体に固定されている。この入出力端子用キャップは、ビスにより固定されているため、筐体から分離することはないが、部品点数が多くなり、取り付けのための工数も増加する。
【0006】
【特許文献1】特開平11−54201公報
【特許文献2】特開平8−64302公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、蓋部材の取り付けを簡単な構成で強固に行うことができるコネクタ装置及び蓋部材が強固に取り付けられたコネクタ装置を備える電子機器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のコネクタ装置は、プラグ挿入用開口が形成された収納ケースと、前記収納ケース内部に前記プラグ挿入用開口に臨んで配置されるジャックと、前記プラグ挿入用開口を開閉するための蓋部材と、を備え、前記蓋部材は、弾性材料によって形成されるとともに、前記プラグ挿入用開口を覆う蓋部と、前記収納ケースに挿入される部分にU字状壁を有する固定部と、前記蓋部と前記固定部と搖動可能に連結する連結部を有し、前記収納ケースは、前記固定部が挿入される固定用開口と、挿入された前記固定部の前記U字状壁が係合する係合部を備えるものである。本発明によれば、蓋部材の取り付けを簡単な構成で強固に行うことができる。また、固定部の突起がU字壁状であるので、固定部自体が厚くなり、強度が増す。
【0009】
本発明のコネクタ装置は、前記係合部が、前記U字状壁の内周が接触して係合する凹部を有するものを含む。本発明によれば、U字状壁が複数箇所で収納ケースと係合するので、蓋部材の複数方向の移動を規制でき、蓋部材の取り付けが強固になる。固定部の厚みを増すことができ、強固なものとすることができる。
【0010】
本発明のコネクタ装置は、前記凹部が、前記収納ケースの内壁に形成されるものを含む。本発明によれば、収納ケースに設けられる係合部の強度を高くすることができ、蓋部材の取り付けが強固になる。
【0011】
本発明のコネクタ装置は、前記収納ケースが、互いに係合する上ケースと下ケースを備え、前記プラグ挿入用開口、前記固定用開口、及び前記係合部が、前記上ケースに形成され、前記下ケースには、前記U字状壁を前記係合部に係合する方向に押さえる押さえ板が形成されるものを含む。本発明によれば、U字状壁と係合部と係合方向の移動を規制することができ、さらに蓋部材の取り付けが強固になる。また、係合部と押さえ板は、別部材に形成されるため、U字状壁と係合部を係合させた後に押さえ板で押さえることができ、蓋部材の取り付けを簡単に行うことができる。
【0012】
本発明の電子機器は上記したコネクタ装置を備えるものである。本発明によれば、電子機器のコネクタ装置の蓋部材の取り付けを簡単な構成で強固に行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、蓋部材の取り付けを簡単な構成で強固に行うことができるコネクタ装置及びコネクタ装置が取り付けられた電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0015】
図1から図4に、本発明の実施の形態のコネクタ装置を示す。図1は本発明の実施の形態のコネクタ装置の分解斜視図、図2は本発明の実施の形態のコネクタ装置の組立完成図、図3は本発明の実施の形態のコネクタ装置の要部展開図、図4は本発明の実施の形態のコネクタ装置の要部断面図である。
【0016】
図に示すコネクタ装置は、蓋部材1、ジャック2、上ケース3、内部コネクタ4、ねじ5、基板6、下ケース7を含んで構成される。上ケース3と下ケース7は、上ケース3の爪部31を下ケース7の溝71に係合することにより一体化され、ジャック2、内部コネクタ4、基板6を収納する収納ケースを構成する。
【0017】
ジャック2は、ミニプラグが挿入されるミニジャックであり、ミニプラグの差し込み口21が上ケース3のプラグ挿入用開口32に臨んで配置される。内部コネクタ4は、ジャック2と接続され、図示しないケーブルに接続される。ジャック2と内部コネクタ4は、基板6に固定され、下ケース7の所定位置に収納される。
【0018】
蓋部材1は、プラグ挿入用開口32を開閉するためのもので、ジャック2の不使用時にプラグ挿入用開口32を閉鎖することにより、ジャック2の差し込み口21が外部に露出することを防止することができる。したがって、埃等の付着の防止、外部からの衝撃に対する保護が可能となるものである。
【0019】
蓋部材1は、プラグ挿入用開口32を覆う蓋部11と、蓋部材1を上ケース3に固定するための固定部12、蓋部11と固定部12を連結する連結部13からなり、ゴム、エストラマ等の弾性材料で一体に形成される。蓋部11は、係合突起11aを有しており、プラグ挿入用開口32を閉鎖時には、ジャック2の差し込み口21に挿入される(図4参照)。固定部12は、上ケース3内に挿入される部分にU字状壁121を有しており、固定用開口33に挿入され、上ケース3内部に形成された係合部34と係合する(図3参照)。連結部13は、蓋部11及び固定部12に比較して薄く形成され、蓋部11と固定部12を互いに搖動可能に連結している。したがって、蓋部11の先端部11b(図4参照)を図示上方向に移動させることにより、係合突起11aと差し込み口21との係合を解除し、プラグ挿入用開口32及び差し込み口21を露出させることができる。
【0020】
下ケース7の上方には、押さえ板72が突設され、コネクタ装置組立て時には、蓋部材1の固定部12を、U字状壁121が上ケース3の係合部34に係合する方向に押さえる働きをする。
【0021】
次に、蓋部材1の固定部12と上ケース3及び下ケース7との係合動作について説明する。上ケース3の内壁には、板状の突起341が形成され、突起341の周りの凹部342とともに係合部34を構成する。突起341は、固定部11のU字状壁121の内部空間に対応した大きさであり、係合時にはU字状壁121の内側壁接触する。
【0022】
コネクタ装置の組立て時、上ケース3と下ケース7が離反した状態で、固定部12を固定用開口33に挿入し、凹部341に係合する。その状態で、上ケース3と下ケース7を一体化すると、下ケース7の押さえ板71が固定部12の背面(U字状壁121が形成された面と反対の面)に位置することになる。
【0023】
この時、U字状壁121の内周側壁121aは突起341の側壁341aに、U字状壁121の端面f及びdが上ケース3の凹部上面a及びcに、U字状壁121の底面eが突起341の壁面bに接触する。そして、蓋部材1を押し込むことにより、係合突起11aと差し込み口21とを係合させ、組立てを終了する。
【0024】
図4(A)は、図2の線A、A’を含む面で切断した時の要部断面図であり、図4(B)は、図2の線B、B’を含む面で切断した時の要部断面図である。図4に示すように、押さえ板71はU字状壁121を係合部34に係合させる方向に押さえており、固定部11の図示左右方向の移動を規制している。また、U字状壁121の内周側壁121aは突起341の側壁341aに接触しているので、図示垂直方向の移動も規制される。図示上下方向の移動は、空間34a分だけ可能であり、それ以上の移動は、U字状壁121の端面f及びdが上ケース3の凹部上面a及びcに、U字状壁121の底面eが突起341の壁面bに接触するため、規制される。
【0025】
したがって、蓋部材1を上方向に強く引っ張った場合でも、抜けにくくなっている。また、蓋部材1を図示上方向左右に強く引っ張った場合でも、上下方向の規制を上下2箇所で行っているので、抜けにくくなっている。すなわち、図示右上方向に引っ張った場合は、U字状壁121の端面f及びdと上ケース3の凹部上面a及びcとの係合が強いストッパとして働き、図示左上方向に引っ張った場合は、U字状壁121の底面eと突起341の壁面bとの係合が強いストッパとして働くので、容易には抜けない。
【0026】
なお、この例では、固定部12と係合部34との間に空間34aがあるものとしたが、この空間はなくてもよい。また、ジャック2は、ミニプラグが結合されるミニジャックに限らず他の種類のジャックにも適合可能である。
【0027】
このようなコネクタ装置は、例えば、カーオーディオ装置のAUX端子をして利用される。その場合、カーオーディオ装置筐体表面の適宜の箇所に取り付けられる。その際、ジャックを収納するケースを専用のものとせず、取り付ける電子機器の筐体の一部を兼用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0028】
以上のように、本発明は、蓋部材の取り付けを簡単な構成で強固に行うことができるコネクタ装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態のコネクタ装置の分解斜視図
【図2】本発明の実施の形態のコネクタ装置の組立完成図
【図3】本発明の実施の形態のコネクタ装置の要部展開図
【図4】本発明の実施の形態のコネクタ装置の要部断面図
【符号の説明】
【0030】
1 蓋部材
2 ジャック
3 上ケース
4 内部コネクタ
5 ねじ
6 基板
7 下ケース
11 蓋部
11a 係合突起
12 固定部
13 連結部
21 プラグ差し込み口
31 爪
32 プラグ挿入用開口
33 固定用開口
34 係合部
71 溝
72 押さえ板
121 U字状壁
121a 内周側壁
341 突起
342 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグ挿入用開口が形成された収納ケースと、
前記収納ケース内部に前記プラグ挿入用開口に臨んで配置されるジャックと、
前記プラグ挿入用開口を開閉するための蓋部材と、を備え、
前記蓋部材は、弾性材料によって形成されるとともに、前記プラグ挿入用開口を覆う蓋部と、前記収納ケースに挿入される部分にU字状壁を有する固定部と、前記蓋部と前記固定部と搖動可能に連結する連結部を有し、
前記収納ケースは、前記固定部が挿入される固定用開口と、挿入された前記固定部の前記U字状壁が係合する係合部を備えるコネクタ装置。
【請求項2】
請求項1記載のコネクタ装置であって、
前記係合部は、前記U字状壁の内周が接触して係合する凹部を有するコネクタ装置。
【請求項3】
請求項2記載のコネクタ装置であって、
前記凹部は、前記収納ケースの内壁に形成されるコネクタ装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項記載のコネクタ装置であって、
前記収納ケースは、互いに係合する上ケースと下ケースを備え、
前記プラグ挿入用開口、前記固定用開口、及び前記係合部は、前記上ケースに形成され、
前記下ケースには、前記U字状壁を前記係合部に係合する方向に押さえる押さえ板が形成されるコネクタ装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項記載のコネクタ装置を備える電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−210054(P2006−210054A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−18520(P2005−18520)
【出願日】平成17年1月26日(2005.1.26)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】