説明

コネクタ

【課題】 高周波特性に対する性能を向上させること。
【解決手段】 コンタクト11,21は、信号コンタクト11とグランドコンタクト21とからなり、前記グランドコンタクト21は一対の前記信号コンタクト11をペアコンタクトとしたペアコンタクト間に配設されており、前記コンタクト11,21の第1接続部13,23は2列に配設されており、前記コンタクト11,21の第2接続部15,25は1列に配設されており、一方の列の前記信号コンタクト11のペアコンタクト、前記グランドコンタクト21、他方の列の前記信号コンタクト11のペア、前記グランドコンタクト21の順に配列される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の接続対象物間を接続するコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコネクタは、複数本の信号コンタクトS、複数本のグランドコンタクトG、複数本の一般(低速)用コンタクトD、各コンタクトS,G,Dを保持するインシュレータ、及び全体を囲むシェルから構成されている。
【0003】
各コンタクトS,G,Dは、S,S,G,S,S,G,S,S,D,D,Dの順に配置されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
また、従来のコネクタとしては、接続部材がモジュラープラグの接続端子と係合するための略U字状に形成された第1の接触片と入出力コネクタと接続するための第2の接触片と連結部分とを有する中継コネクタがある(例えば、特許文献2を参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−334748号公報
【特許文献2】特開2000−182733号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1におけるコネクタは、2本の信号コンタクトSを隣接し、グランドコンタクトGを単純に組み合わせて配置しているだけであるので、2本の信号コンタクトS同士を変換した場合、電気的に対をなしていた2本の信号コンタクトSとグランドコンタクトGとの関係が維持できず、差動信号を伝送する高周波特性に対する性能が実現できなくなるという問題がある。
【0007】
また、特許文献2における中継コネクタは、高周波特性を考慮した接続部材ではない。
【0008】
それ故に本発明の課題は、高周波特性に対する性能を向上することができるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、複数本の導電性のコンタクトと、該コンタクトを保持するインシュレータとを含み、接続対象物と接続するコネクタにおいて、前記コンタクトは、一方の接続対象物と接続し一端側に形成されている第1接続部と、他方の接続対象物と接続し他端側に形成されている第2接続部とを有し、前記コンタクトは、信号コンタクトとグランドコンタクトとからなり、該グランドコンタクトは一対の前記信号コンタクトをペアコンタクトとしたペアコンタクト間に配設されており、前記第1接続部は、前記コンタクトのピッチ方向と直交する方向で2列に配設されており、第2接続部は、前記コンタクトの前記ピッチ方向と直交する方向で1列に配設されており、前記第2接続部の前記ピッチ方向の配列において、一方の列の前記信号コンタクトのペア、前記グランドコンタクト、他方の列の前記信号コンタクトのペア、前記グランドコンタクトの順に配列されていることを特徴とするコネクタであることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のコネクタは、第2接続部のピッチ方向の配列において、一方の列の信号コンタクトのペア、グランドコンタクト、他方の列の信号コンタクトのペア、グランドコンタクトの順に配列されているので、高周波特性に対する性能を向上させることができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のコネクタは、複数本の導電性のコンタクトと、該コンタクトを保持するインシュレータとを含み、接続対象物と接続するコネクタにおいて、前記コンタクトは、一方の接続対象物と接続し一端側に形成されている第1接続部と、他方の接続対象物と接続し他端側に形成されている第2接続部とを有し、前記コンタクトは、信号コンタクトとグランドコンタクトとからなり、該グランドコンタクトは一対の前記信号コンタクトをペアコンタクトとしたペアコンタクト間に配設されており、前記第1接続部は、前記コンタクトのピッチ方向と直交する方向で2列に配設されており、第2接続部は、前記コンタクトの前記ピッチ方向と直交する方向で1列に配設されており、前記第2接続部の前記ピッチ方向の配列において、一方の列の前記信号コンタクトのペア、前記グランドコンタクト、他方の列の前記信号コンタクトのペア、前記グランドコンタクトの順に配列したことにより実現した。
【実施例1】
【0012】
以下に、図面を参照して本発明に係るコネクタの実施例1を説明する。図1は、本発明に係るコネクタの実施例1を示している。図2は、コネクタのコンタクトを示している。
【0013】
図1及び図2を参照して、コネクタ1は、インシュレータ3と、インシュレータ3に保持されている複数本の導電性の信号コンタクト(コンタクト)11と、複数本の信号コンタクト11に組み合わされてインシュレータ3に保持されている複数本の導電性のグランドコンタクト(コンタクト)21とを有している。
【0014】
信号コンタクト11は、図3にも示すように、保持部12と、保持部12の一端側から延設されている複数の第1信号接続部(第1接続部)13と、保持部12の他端側から延設されている複数の第2信号接続部(第2接続部)15とを有する。
【0015】
第1信号接続部13は、信号コンタクト11及びグランドコンタクト21のピッチP方向(図2を参照)に複数本が間隔G(図3を参照)をもって1列づつがピッチP方向を直交する方向で2列に配設されている。第2信号接続部25は信号コンタクト11及びグランドコンタクト21のピッチP方向(図2を参照)に複数本が間隔Gをもってピッチ方向Pで1列に配設されている。
【0016】
グランドコンタクト21は、図4にも示すように、グランド保持部22と、グランド保持部22の一端側でグランド保持部22から延設されている複数の第1グランド接続部(第1接続部)23と、グランド保持部22をピッチP方向で互いに間隔をもって延設している中間部27と、中間部27からグランド保持部22の他端側へ延設されている複数の第2グランド接続部(第2接続部)25とを有する。複数のグランドコンタクト21のそれぞれは中間部27によって互いに連結されて一体化されている。
【0017】
第1グランド接続部23は、図4にも示すように、信号コンタクト11及びグランドコンタクト21のピッチP方向で互いに間隔をもって配設された1列づつがピッチP方向を直交する方向で2列に配設されている。第2グランド接続部25は、信号コンタクト11及びグランドコンタクト21のピッチP方向(図2を参照)で1列に配設されている。
【0018】
図5は、信号コンタクト11の信号ラインと、グランドコンタクト21のグランドラインとを示している。なお、図5は、信号ライン及びグランドラインの概略を説明しているものであり、図2及び図3に示した信号コンタクト11の本数と、グランドコンタクト21の本数は異なっている。
【0019】
図5をも参照して、グランドコンタクト21は、一対の信号コンタクト11をペアコンタクトとしたペアコンタクト間に配設されている。即ち、一対の信号コンタクト11をペアコンタクトとしたペアコンタクト間には、第1グランドコンタクト21の第1グランド接続部23、グランド保持部22及び第2グランド接続部25を配設するようにピッチP方向の隙間を持っている。
【0020】
グランドコンタクト21の第1グランド接続部23と第2グランド接続部25とは、信号コンタクト11及びグランドコンタクト21のピッチP方向(図2を参照)のピッチP方向において、ずれて配置している。
【0021】
図2に示したように、上側の1列の第1信号接続部13と第1グランド接続部23とのピッチP方向の1列の配列は、右側から信号コンタクト11の第1信号接続部13のペア、第1グランド接続部23、第1信号接続部13のペア、第1グランド接続部23の順となっている。
【0022】
下側の1列の第1信号接続部13と第1グランド接続部23とのピッチP方向の1列の配列は、右側から第1グランド接続部23、信号コンタクト11の第1信号接続部13のペア、第1グランド接続部23の順となっている。
【0023】
第1グランド接続部15及び第2グランド接続部25のピッチP方向の配列は、図2の紙面の右側からグランドコンタクト21の第2グランド接続部25、信号コンタクト11のペアである第2信号接続部15、第2グランド接続部25の順に配列されている。
【0024】
図2に示した信号コンタクト11とグランドコンタクト21との組み合わせでは、第1信号接続部13と第1グランド接続部23との間のピッチPは同一となり、第2信号接続部15と第2グランド接続部25との間のピッチPは同一となる。
【0025】
なお、第1信号接続部13と第2信号接続部15のピッチPは同一でなくてもよく、第1グランド接続部15と第2グランド接続部25のピッチPは、必ずしも同一でなくてもよい。なお、図2において、左側の2列における4本の信号コンタクト11は、一般(低速)用コンタクトである。
【0026】
図6は、図1に示したコネクタ1を背面から見た状態を示している。図7は、コネクタ1と、コネクタ1に嵌合する前の第1相手コネクタ(接続対象物)と、第2相手コネクタ(接続対象物)とを示している。
【0027】
図1、図6及び図7を参照して、コネクタ1の前面には、2つの第1相手コネクタ41,42を嵌合させる第1嵌合部5,6が形成されている。第1嵌合部5、6には、図2に示した信号コンタクト11の第1信号接続部13と、グランドコンタクト21の第1グランド接続部23とが位置している。
【0028】
一方の第1相手コネクタ41には、第1相手嵌合部44が形成されており、他方の第1相手コネクタ42には、第1相手嵌合部45が形成されている。第1相手嵌合部44には第1相手接続部47が位置している。第1相手嵌合部45には第1相手接続部48が位置している。第1相手接続部47,48は、第1信号接続部13及び第1グランド接続部23に一対一に対応して接続して、信号の伝送とグランドするために必要な本数を有する。
【0029】
図6及び図7を参照して、コネクタ1の背面には、第2相手コネクタ51を嵌合させる第2嵌合部7が形成されている。第2嵌合部7には、信号コンタクト11の第2信号接続部15と、グランドコンタクト21の第2グランド接続部25とが位置している。
【0030】
第2相手コネクタ51には、第2相手嵌合部53が形成されており、第2相手嵌合部53に第2相手接続部55が位置している。第2相手接続部55は、第2信号接続部15及び第2グランド接続部25に一対一に対応して接続し、信号の伝送とグランドするために必要な本数を有する。
【0031】
コネクタ1の第1嵌合部5、6に第1相手コネクタ41,42の第1相手嵌合部44,45が嵌合したときには、2列の信号コンタクト11の第1信号接続部13とグランドコンタクト21の第1グランド接続部23のそれぞれに第1相手接続部47,48が接続する。
【0032】
コネクタ1の第2嵌合部7に第2相手コネクタ51の第2相手嵌合部53が嵌合したときには、1列の信号コンタクト11の第2信号接続部15とグランドコンタクト21の第2グランド接続部25のそれぞれに第2相手接続部53が接続する。
【0033】
図8は、グランドコンタクト21の変形例を示している。この変形例において、図4に示したグランドコンタクト21と異なる部分は、中間部27の部分であるため、図4のグランドコンタクト21と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略する。
【0034】
図8を参照して、中間部27は、ピッチP方向の一端部が分割されている。中間部27の一端部のそれぞれには、フランジ部29a,29bが形成されている。フランジ部29a,29bは互いに合され結合されている。
【実施例2】
【0035】
図9は、コネクタの実施例2を示している。図9におけるコネクタ100は、図7によって説明した2つの第1相手コネクタ41,42に代わる第1サブ基板(接続対象物)113及び第2サブ基板(接続対象物)115と、図7によって説明した第2相手コネクタ51に代わるメイン基板(接続対象物)117とを接続するものである。
【0036】
なお、コンタクトは、図2乃至図4によって説明した信号コンタクト11とグランドコンタクト21と組み合わせ構成や機能がほぼ同じであるため、図2乃至図4をも参照して同じ部分には同じ符号を付して説明する。
【0037】
図9とともに図2乃至図4を参照して、コネクタ100は、インシュレータ103と、インシュレータ103に保持されている信号コンタクト11と、グランドコンタクト21とを有する。
【0038】
インシュレータ103は、メイン基板117に実装される。インシュレータ103の一面には、第1サブ基板113を嵌合させる第1嵌合部105と、第2サブ基板115を嵌合させる第2嵌合部106が形成されている。第1嵌合部105には、一方の列の信号コンタクト11の第1信号接続部13と、グランドコンタクト21の第1グランド接続部23とが位置している。第1サブ基板113には、第1信号接続部13及び第1グランド接続部23に一対一に対応して信号を伝送しかつグランド接続する導電パターンを有する。
【0039】
第2嵌合部106には、もう一方の列の信号コンタクト11の第1信号接続部13と、グランドコンタクト21の第1グランド接続部23とが位置している。第2サブ基板115には、第1信号接続部13及び第1グランド接続部23に一対一に対応して信号を伝送しかつグランド接続する導電パターンを有する。
【0040】
第1嵌合部105に第1サブ基板105が嵌合し、第2嵌合部106に第2サブ基板106が嵌合したときには、第1及び第2嵌合部105,106に位置している第1信号接続部13及び第1グランド接続部23に、第1及び第2サブ基板113,115の導電パターンが一対一に接続する。
【0041】
信号コンタクト11の第2信号接続部15と、グランドコンタクト21の第2グランド接続部25とは、インシュレータ103の内側から外へ導出されている。第2信号接続部15と第2グランド接続部25とは、メイン基板117に設けられている導電パターンに一対一に対応して信号を伝送しかつグランド接続する。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、1つの情報信号を差動信号として2本の信号線を用いて伝送する方式いわゆる差動伝送方式の信号回路の接続に用いる高周波用コネクタの用途としても適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係るコネクタを前面で斜めに見た状態を示す斜視図である(実施例1)。
【図2】図1に示したコネクタのコンタクトを示す斜視図である。
【図3】図2に示した信号コンタクトを示す斜視図である。
【図4】図2に示したグランドコンタクトを示す斜視図である。
【図5】図2に示したコネクタの信号ライン及びグランドラインを概略構成で示した構成図である。
【図6】図1に示したコネクタを背面から見た状態を示した斜視図である。
【図7】図1に示したコネクタと、このコネクタに嵌合する接続対象物とを概略構成を示した断面図である。
【図8】図1に示したグランドコンタクトの変形例を示した斜視図である。
【図9】本発明に係るコネクタの実施例2を示す断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1,100 コネクタ
3,103 インシュレータ
5,6,105 第1嵌合部
7,106 第2嵌合部
11 信号コンタクト(コンタクト)
13 第1信号接続部(第1接続部)
15 第2信号接続部(第2接続部)
21 グランドコンタクト(コンタクト)
23 第1グランド接続部(第1接続部)
25 第2グランド接続部(第2接続部)
27 中間部
29a,29b フランジ部
41,42 第1相手コネクタ
44,45 第1相手嵌合部
47,48 第1相手接続部
51 第2相手コネクタ
53 第2相手嵌合部
55 第2相手接続部
113 第1サブ基板(接続対象物)
115 第2サブ基板(接続対象物)
117 メイン基板(接続対象物)
G 間隔
P ピッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の導電性のコンタクトと、該コンタクトを保持するインシュレータとを含み、接続対象物と接続するコネクタにおいて、
前記コンタクトは、一方の接続対象物と接続し一端側に形成されている第1接続部と、他方の接続対象物と接続し他端側に形成されている第2接続部とを有し、
前記コンタクトは、信号コンタクトとグランドコンタクトとからなり、
該グランドコンタクトは一対の前記信号コンタクトをペアコンタクトとしたペアコンタクト間に配設されており、
前記第1接続部は、前記コンタクトのピッチ方向と直交する方向で2列に配設されており、第2接続部は、前記コンタクトの前記ピッチ方向と直交する方向で1列に配設されており、
前記第2接続部の前記ピッチ方向の配列において、一方の列の前記信号コンタクトのペア、前記グランドコンタクト、他方の列の前記信号コンタクトのペア、前記グランドコンタクトの順に配列されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
請求項1記載のコネクタにおいて、前記グランドコンタクトは、前記グランドコンタクトの前記第1接続部と前記第2接続部とを連結する中間部を有し、複数の前記グランドコンタクトのそれぞれを前記中間部で連結し一体化したことを特徴とするコネクタ。
【請求項3】
請求項1記載のコネクタにおいて、前記グランドコンタクトの前記第1接続部と前記第2接続部とは、前記コンタクトの前記ピッチ方向において、ずれて配置されていることを特徴とするコネクタ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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