コネクタ
【課題】 組み立てに位置合わせの治具や他の部品を必要とせず、コンタクト保持体に対してコンタクトがフローティング状態で且つ抜けないよう保持される両面接続用コネクタの提供。
【解決手段】 絶縁シート5の貫通孔8に、両端に貫通孔の径より大きい寸法の接触頭部6を有し、貫通部7は貫通孔8の径よりも小さい寸法で且つ長さは貫通孔8より長いゴム製のコンタクトを嵌め込む。接触頭部6には、他回路接触部との電気接触面を有し、一方端の電気接触面から他方端の電気接触面へかけては金属膜3で電気的に接続する。コンタクトを貫通孔8へ嵌め込む際には一方の接触頭部を弾力的に圧縮して通過させる。これにより、接触頭部が抜け止めとなりフローティング状態の保持が得られる。
【解決手段】 絶縁シート5の貫通孔8に、両端に貫通孔の径より大きい寸法の接触頭部6を有し、貫通部7は貫通孔8の径よりも小さい寸法で且つ長さは貫通孔8より長いゴム製のコンタクトを嵌め込む。接触頭部6には、他回路接触部との電気接触面を有し、一方端の電気接触面から他方端の電気接触面へかけては金属膜3で電気的に接続する。コンタクトを貫通孔8へ嵌め込む際には一方の接触頭部を弾力的に圧縮して通過させる。これにより、接触頭部が抜け止めとなりフローティング状態の保持が得られる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はBGA(Ball Grid Arrdy)チップのような多数の整列電極を有する部品とPWB(Printed Wiring Boad)を接続する両面接続用コネクタの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、両面接続用コネクタとしては、図4の(b)に示すようなコンタクト連結体15を(c)のような枠体16の収納穴17に圧入し、更に、(a)に示すような片面粘着テープ18を上面から(d)に示すような片面粘着テープ19を下面から貼り付けてコンタクト連結体15を保持するものがある。
【0003】
(b)のコンタクト連結体15は、ゴムやゲル等のように柔軟性の高い絶縁材料で突部20とくびれ部21が交互に連なった形状をしており、突部20の表面には導電性膜22がスパッタ等の手段によって形成されている。何箇所かのくびれ部21の背面には(e)に示すような突起23が設けられている。突起23を含めた前後方向の厚さは収納穴17の幅よりも大きい。
【0004】
図5は、コンタクト連結体15を枠体16の収納穴17へ圧入し、上面と下面とから粘着テープ18,19を貼り付けた側断面図である。圧入することにより、くびれ部21の突起23が圧縮された反作用により収納穴17に保持される。しかし、その保持力以上の外力が加わると上下方向にずれたり、抜けたりする可能性があるので、それを防止するために、図4の(a)、(d)のような片面粘着テープ18,19を貼り付けている。
【0005】
導電性膜22が設けられている突部20は、上面、下面の片面粘着テープ18,19よりは突出しており、それぞれ上面側、下面側の相手方接触部に弾力的に接触することになる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特願2004−33429(図1〜図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のように、従来の両面接続用コネクタは、突起のあるコンタクトと連結体を枠体の収納穴に圧入し、更に、コンタクト連結体の導電性膜が設けられた、相手方との接触面にかからぬようにして、上面、下面に片面粘着テープを貼らなければならない。従って、圧入時には、枠体の収納穴の位置とコンタクトの突起の位置を突起が円滑に入るように治具を用いて合わせなければならない。
【0007】
また、粘着テープを貼り付けるときも、精度よく位置合わせをしないと導電性膜にかかってしまうため治具を用いて高い位置精度で貼り付ける必要がある。
このため、作業工数がかかるうえ、粘着テープの部材費もコスト高の原因になるという問題があった。
【0008】
また、圧入したうえ粘着テープで枠体に保持しているから当然のことながら、枠体に対するコンタクトのフローティングがとれない。そのため、使用時に、BGAチップのボールコポラナリティ(ボール高さ)のばらつきを吸収できず、また、PWBやチップの反りの吸収も十分ではないという問題がある。
【0009】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて、組み立てに位置合わせの治具を必要とせず、また粘着テープのような抜け止めのための別部品を必要とせず、コンタクト保持体に対してコンタクトがフローティング状態で、且つ抜けないよう保持される両面接続コネクタの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の各構成を有する。
本発明の第1の構成は、下記(イ)の絶縁シートと(ロ)のコンタクトを有することを特徴とするコネクタである。
(イ)コンタクトが貫通する貫通孔を有する絶縁シート
(ロ)前記貫通孔を貫通するゴム製のコンタクトであって、貫通部分の両端が、他回路接触部との電気接触面を有する接触頭部となっており、両端の電気接触面間は電気的に接続されており、接触頭部の大きさは貫通孔の寸法より大きく抜け止めとなっており、貫通部の径は貫通孔の寸法より小さく且つ貫通部の長さは、絶縁シートの厚さ寸法より大きい寸法であるコンタクト
【0011】
本発明の第2の構成は、前記第1の構成の絶縁シートに代えて板状絶縁体としたことを特徴とするコネクタである。
【0012】
本発明の第3の構成は、前記第1の構成又は第2の構成において、貫通孔がコンタクトを複数直線状に配列できる長孔であり、コンタクトが絶縁を保ちつつ複数個直線状に連結されたものであることを特徴とするコネクタである。
【0013】
本発明の第4の構成は、前記第3の構成の長孔が複数列平行に設けられ、該長孔に前記第3の構成の複数個直線状に連結されたコンタクトが貫通していることを特徴とするコネクタである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1の構成において、コンタクトはゴム製のコンタクトである。ゴムは天然ゴム、合成ゴムの他ゲル等の柔軟性の高い材質を含む。このような材質で、貫通部とその両端の接触頭部で構成されている。
接触頭部の大きさは貫通孔の寸法より大であるが、柔軟性のある材質であるため、その一方を圧縮するようにして貫通孔へ押し込むか反対側から引っ張ることによって貫通孔を抜けさせることができ、抜け切ると元の大きさに戻るので、貫通部が貫通孔を貫通し、その両端が貫通孔の径より大であるので、抜け止めとして機能することになる。そして、貫通部の寸法は貫通孔の寸法より小さく且つ貫通部の長さは、絶縁シートの厚さ寸法即ち貫通孔の長さより大きい寸法となっているからコンタクトは浮動可能に保持されることになる。
【0015】
このように、本発明のコネクタにおいては、コンタクトには従来技術におけるような、圧入後保持のための突起がなく、また、保持のための粘着テープの貼り付けも無いから正確な位置合わせのための治具や手間が必要なくコストダウンに資するという利点がある。
【0016】
また、コンタクトは絶縁シートに対して浮動可能に保持されているからBGAチップのボールコポラナリティ(ボール高さ)のばらつきを吸収でき、更に、PWBやチップの反りも吸収できるという利点がある。
【0017】
第2の構成のものは、絶縁シートに代えて板状絶縁体としたものであるから、コンタクトの姿勢保持性がより向上するという利点がある。
【0018】
第3の構成のものは、貫通孔を長孔とし、コンタクトも複数直線状に連結したものとなっているので、多数コンタクトを有するコネクタを容易に実現できる利点がある。
【0019】
第4の構成は、第3の構成のものを複数列設けるようにしたものであるので、BGAチップのボールやPWBの電極パッドが平面マトリクス状に配置されている場合に適した両面接続用コネクタが得られるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
コンタクトの形状は貫通部とその両端の接触頭部とからなるものであり、種々の形状が考えられるが、接触頭部の電気接触面は、相手方との良好な接触を得ようとすれば、絶縁シートや板状絶縁体の面と平行な面であることが最良であり、従って接触頭部の面も平行な面であることが最良である。
そして、両接触頭部を連結する形となる貫通部は、コンタクトの浮動が貫通孔の軸方向であることが最良であるから直線状であることが最良である。
【0021】
そして、接触頭部の大きさを、抜け止め機能を持たせるために貫通孔の寸法より大きくする必要があるが、組立時にコンタクトを貫通孔へ押し込み或いは引き込み易くするには、貫通部の両端を一方はL型他方は逆さL型、即ち全体でコ字型になる形状とするのが最良である。
また、貫通部の断面は、連結したものを長孔に装着することを考えると角型にするのが最良である。
【実施例】
【0022】
以下、本発明コネクタを図面を参照して説明する。
図1は、コンタクトが複数連結した連結コンタクトと、コンタクトを絶縁シートの貫通孔へ装着する状況と装着した状態を示す図である。
コンタクトの基材はゴムである。このゴムには天然ゴム、合成ゴム、ゲル等のように柔軟性の高い絶縁材料を含む。形状は、(a)が正面図、(b)が(a)の構造を下から見た下面図、(c)がa(a)の構造を右から見た側面図である。ゴム2は(a)の正面図で見た場合、長手方向に凹凸を繰り返す構造となっており、凸部表面には金属膜3が形成されている。金属膜の形成は、めっき法、アディティブ法、金属粉吹き付け、スパッタ法等がある。
【0023】
凹部はコンタクト1個1個を区切る独立溝となっている。凸部の側断面は(c)に示すようにコ字形をしている。コ字形ゴムの製作には射出成形等がある。上下の接触頭部6の頂面は平らになっており、一方の頂面から他方の頂面へかけて金属膜3が形成されており、両頂面間が電気的に接続されることになる。
【0024】
図1の(d)において右方のコンタクトが斜めに描かれているのは、絶縁シート5の貫通孔8へコンタクトを嵌め込もうとしている図であり、その他は嵌め込み終わった状態図である。絶縁シートはフィルム(テープ)や板状絶縁体にスリットを追加工で開けたり、射出成形で製作したものが考えられる。
【0025】
コンタクトの接触頭部の大きさは、貫通孔8の寸法よりも大きいのでコンタクトが剛体ならば嵌め込みは不可能であるが、本発明のコンタクトはゴムでできているため、弾力的に柔軟性があり圧縮することが可能である。従って、ピンセットのような道具を貫通孔8の下側から挿入してコンタクトの接触頭部6を挟んで貫通孔8の中へ引き入れて下側に出すことは容易にできる。
【0026】
貫通孔から出た接触頭部6は元の大きさ形状に戻るので、図(d)の他のコンタクトのような保持状態になる。コンタクトの貫通部7の寸法は、貫通部8の寸法より小さいからコンタクトは上下に動くことは可能であるが、上下に貫通孔8の寸法より大きい寸法の接触頭部6があるため、これが抜け止め機能を果し、無理に引っ張らない限り抜けることはない。従って、貫通孔の長さ(絶縁シートの厚さ)より貫通部7の長さが長い分だけ浮動(フローティング)が可能となる。
【0027】
このような組み立てにおいては、従来の圧入のような位置合わせの必要がなくそのための治具も必要なく、簡単な道具で簡単に組み立てられ工数がかからないという利点がある。
また、粘着テープで貼り付けることもないので、部品数も少なく低コストに資する。
【0028】
図2の(a)は、この浮動状態を示す図である。
図2の(b)は、PWB9の電極パッド10の上にコンタクトの接触頭部の電気接触面を載せた状態を示す図である。(c)は(b)の状態に対して上からBGAチップ11を押し当てた状態を示す図である。
BGAチップ11の半田ボール12が、コンタクトの上側の電気接触面に当接するようにPWB9、本発明コネクタおよびBGAチップ11は位置決めされている。3者の位置合わせおよび接触状態の保持は、図示されていない通常の手段で行われる。押し当てによってコンタクトのゴムが圧縮するので、コンタクトの高さは(b)の場合に較べて低くなり、貫通部がややΣ状になっている。
【0029】
このように変形したゴムが元の形状に戻ろうとする復元力によって、コンタクトの電気接触面と電極パッド10および半田ボール12との確実な電気接触が得られることになる。上下の電気接触面は金属膜3で電気的に接続されているから、対応する電極パッド10と半田ボール12は電気的に接続されることになる。
【0030】
図2の(b)、(c)においては、PWB9の反りや電極パッド10の高さの不揃い、BGAチップの反りや半田ボールのばらつき等はない状態で示されているが、これら不揃い、ばらつき、反りなどがあっても、コンタクト保持におけるフローティング構造とコンタクト自体の弾力性により、これらを充分吸収することができる。
【0031】
図3は、絶縁シート5(或いは板状絶縁体)に長孔の貫通孔8が複数(図では10本)設けられ、該貫通孔8に連結コンタクト1を嵌め込んだ平面図である。左寄り3本の貫通孔8には孔の形状を示すため連結コンタクトは描いていない。
このような構成にすることにより、多数の電気接触面が行列状に配列された両面接続用コネクタが得られる。なお、図3のA−A矢視図が、右端のコンタクトも正規に嵌め込んだ図1の(d)となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明コネクタのコンタクトと、該コンタクトが絶縁シートの貫通孔へ装着する状況と装着された状態を示す図である。
【図2】本発明コネクタのコンタクトの浮動状態、PWBの電極パッドに接した状態、更に上からBGAチップを押し付けた状態を示す図である。
【図3】本発明コネクタの1例で、絶縁シートに長孔の貫通孔が複数設けられそれぞれに連結コンタクトを嵌め込んで電気接触面が行列状に配列された例を示す図である。
【図4】従来の両面接続用コネクタの組み立て斜視図である。
【図5】図4のコネクタにおいてコンタクト連結体を枠体の収納穴に圧入し、上下両面から片面粘着テープを貼り付けた状態の断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 連結コンタクト
2 ゴム
3 金属膜
4 独立溝
5 絶縁シート
6 接触頭部
7 貫通部
8 貫通孔
9 PWB
10 電極パッド
11 BGAチップ
12 半田ボール
15 コンタクト連結体
16 枠体
17 収納穴
18 片面粘着テープ
19 片面粘着テープ
20 突部
21 くびれ部
22 導電性膜
23 突起
【技術分野】
【0001】
本発明はBGA(Ball Grid Arrdy)チップのような多数の整列電極を有する部品とPWB(Printed Wiring Boad)を接続する両面接続用コネクタの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、両面接続用コネクタとしては、図4の(b)に示すようなコンタクト連結体15を(c)のような枠体16の収納穴17に圧入し、更に、(a)に示すような片面粘着テープ18を上面から(d)に示すような片面粘着テープ19を下面から貼り付けてコンタクト連結体15を保持するものがある。
【0003】
(b)のコンタクト連結体15は、ゴムやゲル等のように柔軟性の高い絶縁材料で突部20とくびれ部21が交互に連なった形状をしており、突部20の表面には導電性膜22がスパッタ等の手段によって形成されている。何箇所かのくびれ部21の背面には(e)に示すような突起23が設けられている。突起23を含めた前後方向の厚さは収納穴17の幅よりも大きい。
【0004】
図5は、コンタクト連結体15を枠体16の収納穴17へ圧入し、上面と下面とから粘着テープ18,19を貼り付けた側断面図である。圧入することにより、くびれ部21の突起23が圧縮された反作用により収納穴17に保持される。しかし、その保持力以上の外力が加わると上下方向にずれたり、抜けたりする可能性があるので、それを防止するために、図4の(a)、(d)のような片面粘着テープ18,19を貼り付けている。
【0005】
導電性膜22が設けられている突部20は、上面、下面の片面粘着テープ18,19よりは突出しており、それぞれ上面側、下面側の相手方接触部に弾力的に接触することになる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特願2004−33429(図1〜図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のように、従来の両面接続用コネクタは、突起のあるコンタクトと連結体を枠体の収納穴に圧入し、更に、コンタクト連結体の導電性膜が設けられた、相手方との接触面にかからぬようにして、上面、下面に片面粘着テープを貼らなければならない。従って、圧入時には、枠体の収納穴の位置とコンタクトの突起の位置を突起が円滑に入るように治具を用いて合わせなければならない。
【0007】
また、粘着テープを貼り付けるときも、精度よく位置合わせをしないと導電性膜にかかってしまうため治具を用いて高い位置精度で貼り付ける必要がある。
このため、作業工数がかかるうえ、粘着テープの部材費もコスト高の原因になるという問題があった。
【0008】
また、圧入したうえ粘着テープで枠体に保持しているから当然のことながら、枠体に対するコンタクトのフローティングがとれない。そのため、使用時に、BGAチップのボールコポラナリティ(ボール高さ)のばらつきを吸収できず、また、PWBやチップの反りの吸収も十分ではないという問題がある。
【0009】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて、組み立てに位置合わせの治具を必要とせず、また粘着テープのような抜け止めのための別部品を必要とせず、コンタクト保持体に対してコンタクトがフローティング状態で、且つ抜けないよう保持される両面接続コネクタの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の各構成を有する。
本発明の第1の構成は、下記(イ)の絶縁シートと(ロ)のコンタクトを有することを特徴とするコネクタである。
(イ)コンタクトが貫通する貫通孔を有する絶縁シート
(ロ)前記貫通孔を貫通するゴム製のコンタクトであって、貫通部分の両端が、他回路接触部との電気接触面を有する接触頭部となっており、両端の電気接触面間は電気的に接続されており、接触頭部の大きさは貫通孔の寸法より大きく抜け止めとなっており、貫通部の径は貫通孔の寸法より小さく且つ貫通部の長さは、絶縁シートの厚さ寸法より大きい寸法であるコンタクト
【0011】
本発明の第2の構成は、前記第1の構成の絶縁シートに代えて板状絶縁体としたことを特徴とするコネクタである。
【0012】
本発明の第3の構成は、前記第1の構成又は第2の構成において、貫通孔がコンタクトを複数直線状に配列できる長孔であり、コンタクトが絶縁を保ちつつ複数個直線状に連結されたものであることを特徴とするコネクタである。
【0013】
本発明の第4の構成は、前記第3の構成の長孔が複数列平行に設けられ、該長孔に前記第3の構成の複数個直線状に連結されたコンタクトが貫通していることを特徴とするコネクタである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1の構成において、コンタクトはゴム製のコンタクトである。ゴムは天然ゴム、合成ゴムの他ゲル等の柔軟性の高い材質を含む。このような材質で、貫通部とその両端の接触頭部で構成されている。
接触頭部の大きさは貫通孔の寸法より大であるが、柔軟性のある材質であるため、その一方を圧縮するようにして貫通孔へ押し込むか反対側から引っ張ることによって貫通孔を抜けさせることができ、抜け切ると元の大きさに戻るので、貫通部が貫通孔を貫通し、その両端が貫通孔の径より大であるので、抜け止めとして機能することになる。そして、貫通部の寸法は貫通孔の寸法より小さく且つ貫通部の長さは、絶縁シートの厚さ寸法即ち貫通孔の長さより大きい寸法となっているからコンタクトは浮動可能に保持されることになる。
【0015】
このように、本発明のコネクタにおいては、コンタクトには従来技術におけるような、圧入後保持のための突起がなく、また、保持のための粘着テープの貼り付けも無いから正確な位置合わせのための治具や手間が必要なくコストダウンに資するという利点がある。
【0016】
また、コンタクトは絶縁シートに対して浮動可能に保持されているからBGAチップのボールコポラナリティ(ボール高さ)のばらつきを吸収でき、更に、PWBやチップの反りも吸収できるという利点がある。
【0017】
第2の構成のものは、絶縁シートに代えて板状絶縁体としたものであるから、コンタクトの姿勢保持性がより向上するという利点がある。
【0018】
第3の構成のものは、貫通孔を長孔とし、コンタクトも複数直線状に連結したものとなっているので、多数コンタクトを有するコネクタを容易に実現できる利点がある。
【0019】
第4の構成は、第3の構成のものを複数列設けるようにしたものであるので、BGAチップのボールやPWBの電極パッドが平面マトリクス状に配置されている場合に適した両面接続用コネクタが得られるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
コンタクトの形状は貫通部とその両端の接触頭部とからなるものであり、種々の形状が考えられるが、接触頭部の電気接触面は、相手方との良好な接触を得ようとすれば、絶縁シートや板状絶縁体の面と平行な面であることが最良であり、従って接触頭部の面も平行な面であることが最良である。
そして、両接触頭部を連結する形となる貫通部は、コンタクトの浮動が貫通孔の軸方向であることが最良であるから直線状であることが最良である。
【0021】
そして、接触頭部の大きさを、抜け止め機能を持たせるために貫通孔の寸法より大きくする必要があるが、組立時にコンタクトを貫通孔へ押し込み或いは引き込み易くするには、貫通部の両端を一方はL型他方は逆さL型、即ち全体でコ字型になる形状とするのが最良である。
また、貫通部の断面は、連結したものを長孔に装着することを考えると角型にするのが最良である。
【実施例】
【0022】
以下、本発明コネクタを図面を参照して説明する。
図1は、コンタクトが複数連結した連結コンタクトと、コンタクトを絶縁シートの貫通孔へ装着する状況と装着した状態を示す図である。
コンタクトの基材はゴムである。このゴムには天然ゴム、合成ゴム、ゲル等のように柔軟性の高い絶縁材料を含む。形状は、(a)が正面図、(b)が(a)の構造を下から見た下面図、(c)がa(a)の構造を右から見た側面図である。ゴム2は(a)の正面図で見た場合、長手方向に凹凸を繰り返す構造となっており、凸部表面には金属膜3が形成されている。金属膜の形成は、めっき法、アディティブ法、金属粉吹き付け、スパッタ法等がある。
【0023】
凹部はコンタクト1個1個を区切る独立溝となっている。凸部の側断面は(c)に示すようにコ字形をしている。コ字形ゴムの製作には射出成形等がある。上下の接触頭部6の頂面は平らになっており、一方の頂面から他方の頂面へかけて金属膜3が形成されており、両頂面間が電気的に接続されることになる。
【0024】
図1の(d)において右方のコンタクトが斜めに描かれているのは、絶縁シート5の貫通孔8へコンタクトを嵌め込もうとしている図であり、その他は嵌め込み終わった状態図である。絶縁シートはフィルム(テープ)や板状絶縁体にスリットを追加工で開けたり、射出成形で製作したものが考えられる。
【0025】
コンタクトの接触頭部の大きさは、貫通孔8の寸法よりも大きいのでコンタクトが剛体ならば嵌め込みは不可能であるが、本発明のコンタクトはゴムでできているため、弾力的に柔軟性があり圧縮することが可能である。従って、ピンセットのような道具を貫通孔8の下側から挿入してコンタクトの接触頭部6を挟んで貫通孔8の中へ引き入れて下側に出すことは容易にできる。
【0026】
貫通孔から出た接触頭部6は元の大きさ形状に戻るので、図(d)の他のコンタクトのような保持状態になる。コンタクトの貫通部7の寸法は、貫通部8の寸法より小さいからコンタクトは上下に動くことは可能であるが、上下に貫通孔8の寸法より大きい寸法の接触頭部6があるため、これが抜け止め機能を果し、無理に引っ張らない限り抜けることはない。従って、貫通孔の長さ(絶縁シートの厚さ)より貫通部7の長さが長い分だけ浮動(フローティング)が可能となる。
【0027】
このような組み立てにおいては、従来の圧入のような位置合わせの必要がなくそのための治具も必要なく、簡単な道具で簡単に組み立てられ工数がかからないという利点がある。
また、粘着テープで貼り付けることもないので、部品数も少なく低コストに資する。
【0028】
図2の(a)は、この浮動状態を示す図である。
図2の(b)は、PWB9の電極パッド10の上にコンタクトの接触頭部の電気接触面を載せた状態を示す図である。(c)は(b)の状態に対して上からBGAチップ11を押し当てた状態を示す図である。
BGAチップ11の半田ボール12が、コンタクトの上側の電気接触面に当接するようにPWB9、本発明コネクタおよびBGAチップ11は位置決めされている。3者の位置合わせおよび接触状態の保持は、図示されていない通常の手段で行われる。押し当てによってコンタクトのゴムが圧縮するので、コンタクトの高さは(b)の場合に較べて低くなり、貫通部がややΣ状になっている。
【0029】
このように変形したゴムが元の形状に戻ろうとする復元力によって、コンタクトの電気接触面と電極パッド10および半田ボール12との確実な電気接触が得られることになる。上下の電気接触面は金属膜3で電気的に接続されているから、対応する電極パッド10と半田ボール12は電気的に接続されることになる。
【0030】
図2の(b)、(c)においては、PWB9の反りや電極パッド10の高さの不揃い、BGAチップの反りや半田ボールのばらつき等はない状態で示されているが、これら不揃い、ばらつき、反りなどがあっても、コンタクト保持におけるフローティング構造とコンタクト自体の弾力性により、これらを充分吸収することができる。
【0031】
図3は、絶縁シート5(或いは板状絶縁体)に長孔の貫通孔8が複数(図では10本)設けられ、該貫通孔8に連結コンタクト1を嵌め込んだ平面図である。左寄り3本の貫通孔8には孔の形状を示すため連結コンタクトは描いていない。
このような構成にすることにより、多数の電気接触面が行列状に配列された両面接続用コネクタが得られる。なお、図3のA−A矢視図が、右端のコンタクトも正規に嵌め込んだ図1の(d)となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明コネクタのコンタクトと、該コンタクトが絶縁シートの貫通孔へ装着する状況と装着された状態を示す図である。
【図2】本発明コネクタのコンタクトの浮動状態、PWBの電極パッドに接した状態、更に上からBGAチップを押し付けた状態を示す図である。
【図3】本発明コネクタの1例で、絶縁シートに長孔の貫通孔が複数設けられそれぞれに連結コンタクトを嵌め込んで電気接触面が行列状に配列された例を示す図である。
【図4】従来の両面接続用コネクタの組み立て斜視図である。
【図5】図4のコネクタにおいてコンタクト連結体を枠体の収納穴に圧入し、上下両面から片面粘着テープを貼り付けた状態の断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 連結コンタクト
2 ゴム
3 金属膜
4 独立溝
5 絶縁シート
6 接触頭部
7 貫通部
8 貫通孔
9 PWB
10 電極パッド
11 BGAチップ
12 半田ボール
15 コンタクト連結体
16 枠体
17 収納穴
18 片面粘着テープ
19 片面粘着テープ
20 突部
21 くびれ部
22 導電性膜
23 突起
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(イ)の絶縁シートと(ロ)のコンタクトを有することを特徴とするコネクタ。
(イ)コンタクトが貫通する貫通孔を有する絶縁シート
(ロ)前記貫通孔を貫通するゴム製のコンタクトであって、貫通部分の両端が、他回路接触部との電気接触面を有する接触頭部となっており、両端の電気接触面間は電気的に接続されており、接触頭部の大きさは貫通孔の寸法より大きく抜け止めとなっており、貫通部の径は貫通孔の寸法より小さく且つ貫通部の長さは、絶縁シートの厚さ寸法より大きい寸法であるコンタクト
【請求項2】
請求項の1絶縁シートに代えて板状絶縁体としたことを特徴とするコネクタ。
【請求項3】
貫通孔がコンタクトを複数直線状に配列できる長孔であり、コンタクトが絶縁を保ちつつ複数個直線状に連結されたものであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のコネクタ。
【請求項4】
請求項3の長孔が複数列平行に設けられ、該長孔に請求項3のコンタクトが貫通していることを特徴とするコネクタ。
【請求項1】
下記(イ)の絶縁シートと(ロ)のコンタクトを有することを特徴とするコネクタ。
(イ)コンタクトが貫通する貫通孔を有する絶縁シート
(ロ)前記貫通孔を貫通するゴム製のコンタクトであって、貫通部分の両端が、他回路接触部との電気接触面を有する接触頭部となっており、両端の電気接触面間は電気的に接続されており、接触頭部の大きさは貫通孔の寸法より大きく抜け止めとなっており、貫通部の径は貫通孔の寸法より小さく且つ貫通部の長さは、絶縁シートの厚さ寸法より大きい寸法であるコンタクト
【請求項2】
請求項の1絶縁シートに代えて板状絶縁体としたことを特徴とするコネクタ。
【請求項3】
貫通孔がコンタクトを複数直線状に配列できる長孔であり、コンタクトが絶縁を保ちつつ複数個直線状に連結されたものであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のコネクタ。
【請求項4】
請求項3の長孔が複数列平行に設けられ、該長孔に請求項3のコンタクトが貫通していることを特徴とするコネクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2007−59219(P2007−59219A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−243565(P2005−243565)
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
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