説明

コネクタ

【課題】隣り合う端子部材間の間隔を狭くすることができ、しかも端子部材の結線部とケーブルの芯線とを容易に半田付けすることができるコネクタの提供。
【解決手段】絶縁性のハウジングが、端子部材11等を備えた第1ハウジング部1と、この第1ハウジング部1に装着され、端子部材11等の結線部12等が配置される第2ハウジング部2とから成り、第2ハウジング部2は、内底部及びこの内底部の対向側に形成される開放部を有しケーブル30等の芯線が収容される収容部7等と、これらの収容部7等の間を仕切る仕切り部7a等とを有し、端子部材11等の結線部12等を、収容部7等の内底部に保持されたケーブル30等の芯線を挟んで内底部とは反対側に配置した構成にしてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相手側コネクタの端子部材と電気的に接触する接触部を有する端子部材を備え、この端子部材とケーブルの芯線とを半田によって結線したコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のコネクタは特許文献1に開示されている。この従来のコネクタは、ケーブルの芯線が載置される結線部をハウジングに保持される端子部材に設け、この結線部を芯線の径方向に張り出すように拡開させた形状にし、芯線と、結線部上の芯線の側方に突出する部分との間に形成される半田付け領域において、端子部材の結線部とケーブルの芯線とを半田付けする構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−9895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術は、端子部材に設けた結線部がケーブルの芯線の径方向に張り出す構成となっていることから、隣り合う端子部材の間隔を小さくする狭ピッチ化には基本的に対応し難い。
【0005】
なお、上述した従来技術において、狭ピッチ化に対応させようとして端子部材の結線部の張り出し部分を小さくすると、結線部とケーブルの芯線との間の半田付け領域の確保が難しくなり、半田付けが困難となりやすい。また、仮に半田付けできた場合であっても、ケーブルの芯線の裏側に半田付け箇所が隠れるので、半田付けの良否を確認する半田付け状態の検査は実施が難しくなる。
【0006】
本発明は、上述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、隣り合う端子部材間の間隔を狭くすることができ、しかも端子部材の結線部とケーブルの芯線とを容易に半田付けすることができるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明に係るコネクタは、絶縁性のハウジングと、このハウジングに保持される複数の端子部材と、これらの端子部材に接続される芯線をそれぞれ有する複数のケーブルとを備え、上記端子部材は、相手側コネクタと電気的に接触する接触部と、この接触部に連設され上記ケーブルの芯線に半田付けされる結線部とを有するコネクタであって、上記ハウジングは、内底部及びこの内底部の対向側に形成される開放部を有し上記ケーブルの上記芯線が収容される複数の収容部と、隣接する上記収容部間を仕切る仕切り部とを有し、上記端子部材の上記結線部を、上記収容部の上記内底部に保持された上記ケーブルの上記芯線を挟んで上記内底部とは反対側に配置したことを特徴としている。
【0008】
このように構成した本発明は、端子部材の結線部を、ケーブルの芯線を挟んでハウジングの収容部の内底部と反対側に配置してあり、結線部の形状をケーブルの芯線の保持を可能とするような特別な形状に設定することなく、ケーブルの芯線の保持をハウジングの収容部を介して行なうことができる。このように結線部の形状を特別な形状とする必要がないので、結線部の形状を線形状に維持することができ、これにより結線部の間隔を狭くすることが可能となる。すなわち、結線部に連設される接触部をそれぞれ有する複数の端子部材のうちの隣り合う端子部材の間隔を狭くすることが可能となる。また、端子部材の結線部は、ハウジングの収容部の内底部に対向する開放部側に位置し、ケーブルの芯線は、結線部と収容部の内底部との間に位置するので、端子部材の結線部がケーブルの芯線に隠れることがなく、収容部の開放部側から端子部材の結線部と、ケーブルの芯線とを容易に半田付けすることができる。
【0009】
また、本発明に係るコネクタは、上記発明において、上記端子部材の上記結線部によって上記ケーブルの上記芯線を上記収容部の上記内底部に押圧するように、上記収容部に対する上記結線部の配設位置を設定したことを特徴としている。このように構成した本発明は、半田付けに際し、端子部材の結線部と収容部の内底部とによってケーブルの芯線を挟持させることができ、芯線を動かないように位置決めできる。これにより、半田付けを容易に行なうことができるとともに、精度の良い半田付け部を形成することができる。
【0010】
また、本発明に係るコネクタは、上記発明において、上記端子部材の上記結線部と上記収容部の組み合わせを複数組並設し、かつ、上下に配設し、上に並設された隣り合う組を仕切る上記仕切り部に対向する位置に、下に並設された上記組のそれぞれを配置したことを特徴としている。このように構成した本発明は、上下のそれぞれに配置された複数の結線部の並設方向の間隔を狭くすることが可能となる。これにより、結線部の並設方向に沿うハウジングの幅方向の寸法を小さくすることができる。
【0011】
また、本発明に係るコネクタは、上記発明において、上記複数組のうちの上の組の収容部と下の組の収容部とを、上記端子部材の延設方向において前後にずらして配置したことを特徴としている。このように構成した本発明は、上下に配置される収容部のそれぞれの開放部を十分に露出させることができ、結線部と芯線との半田付けが容易になり、しかも精度良く行なうことができる。
【0012】
また、本発明に係るコネクタは、上記発明において、上記ケーブルの上記芯線が半田付けされない上記端子部材の上記結線部が配置される上記収容部を、樹脂によって埋設したことを特徴としている。このように構成した本発明は、接続されるべきでない結線部と芯線の半田付けを埋設された樹脂によって防ぎ、誤配線を防止することができる。
【0013】
また、本発明に係るコネクタは、上記発明において、上記ハウジングは、上記端子部材を保持する第1ハウジング部と、この第1ハウジング部に装着され、上記収容部及び上記仕切り部を有する第2ハウジング部とから成ることを特徴としている。このように構成した本発明は、多品種のコネクタの製作を考えた場合、端子部材を保持する第1ハウジング部は、共通部材とすることができ、変更させる部材はそれぞれの品種のケーブルの配線仕様に応じた第2ハウジング部のみとすることができるので、このような多品種の製作を簡単に行なうことができる。
【0014】
また、本発明に係るコネクタは、上記発明において、上記第2ハウジング部は、上記第1ハウジング部に係合する係合部を有することを特徴としている。このように構成した本発明は、係合部を介して第2ハウジング部を第1ハウジング部に一体に固定することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るコネクタによれば、ハウジングは、内底部及びこの内底部の対向側に形成される開放部を有しケーブルの芯線が収容される複数の収容部と、隣接する収容部間を仕切る仕切り部とを有し、端子部材の結線部を、収容部の内底部に保持された芯線を挟んで内底部とは反対側に配置したことから、結線部の形状をケーブルの芯線の保持を可能とするような特別な形状とする必要がなく、結線部の形状を線形状に維持することができ、これにより結線部の間隔を狭くすることが可能となる。すなわち、複数の端子部材のうちの隣り合う端子部材の間隔を狭くすることが可能となり、従来から要望されていた接触部の狭ピッチ化を実現させることができる。また、端子部材の結線部がケーブルの芯線に隠れることがなく、収容部の開放部側から端子部材の結線部とケーブルの芯線とを容易に半田付けすることができる。これに伴って、従来では困難であった半田付け状態の検査を収容部の開放部側から容易に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るコネクタの一実施形態に備えられるハウジングを示す斜視図である。
【図2】図1の背面側から見た斜視図である。
【図3】図1に示すハウジングの正面図である。
【図4】図1に示すハウジングの側面図である。
【図5】図1に示すハウジングの背面図である。
【図6】図1に示すハウジングの裏面図である。
【図7】図1に示すハウジングの平面図である。
【図8】本実施形態に備えられる第2ハウジング部を第1ハウジング部に装着する前の状態を示す斜視図である。
【図9】本実施形態に備えられる第2ハウジング部の正面図である。
【図10】本実施形態に備えられる第2ハウジング部の背面図である。
【図11】本実施形態に備えられる端子部材の支持形態を説明する図である。
【図12】端子部材の結線部にケーブルの芯線を配置し、半田付けされる前の状態を示す斜視図である。
【図13】端子部材の結線部にケーブルの芯線を半田付けした状態を示す斜視図である。
【図14】図13の背面側から見た拡大図である。
【図15】本実施形態の外殻構成を示す斜視図である。
【図16】本実施形態が装着される相手側コネクタを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るコネクタの実施の形態を図に基づいて説明する。
【0018】
図1は本発明に係るコネクタの一実施形態に備えられるハウジングを示す斜視図、図2は図1の背面側から見た斜視図である。図3〜7は図1に示すハウジングの説明図で、図3は正面図、図4は側面図、図5は背面図、図6は裏面図、図7は平面図である。図8は本実施形態に備えられる第2ハウジング部を第1ハウジング部に装着する前の状態を示す斜視図、図9,10は本実施形態に備えられる第2ハウジング部の説明図で、図9は正面図、図10は背面図である。図11は本実施形態に備えられる端子部材の支持形態を説明する図、図12は端子部材の結線部にケーブルの芯線を配置し、半田付けされる前の状態を示す斜視図、図13は端子部材の結線部にケーブルの芯線を半田付けした状態を示す斜視図、図14は図13の背面側から見た拡大図、図15は本実施形態の外殻構成を示す斜視図である。
【0019】
[本実施形態の構成]
本実施形態に係るコネクタは、絶縁性のハウジング例えば図1,2等に示すように、それぞれ絶縁性の第1ハウジング部1、及び第1ハウジング部に装着される第2ハウジング部2から成るハウジングと、第1ハウジング部1に保持される複数、例えば図11等に示すようにそれぞれ複数配列されて成る第1端子部材11、第2端子部材13、第3端子部材15、及び第4端子部材17と、これらの第1〜第4端子部材11,13,15,17に接続される芯線をそれぞれ有する複数のケーブル、例えば図12等に示すように、ケーブルカバー29内に収納される第1ケーブル30、第2ケーブル31、第3ケーブル32、第4ケーブル33とを備えている。
【0020】
第1ハウジング部1は、図1〜4に示すように、後述の相手側コネクタ40に装着される突出部3を備えている。この突出部3の開口部4内の下側位置には図3に示すように、後述の相手側コネクタ40の第1外部端子部材43と電気的に接触する第1接触部5が配列されている。また、開口部4内の上側位置には、後述の相手側コネクタ40の第2外部端子部材44と電気的に接触する第2接触部6が配列されている。第1接触部5は、図6,11に示すように、第1端子部材11と第2端子部材13とによって形成されている。また、第2接触部6は、図7,11に示すように、第3端子部材15と第4端子部材17とによって形成されている。図3に示すように、隣り合う第1接触部5間に位置する部分に対向するように、第2接触部6のそれぞれを配置してあり、隣り合う第2接触部6間に位置する部分に対向するように、第1接触部5のそれぞれを配置してある。
【0021】
また、図11に示すように、第1接触部5を形成する第1端子部材11と第2端子部材13は、第1ハウジング部1内の2箇所の支持部において、すなわち第1支持部24aと第2支持部24bにおいて支持されている。同様に、第2接触部6を形成する第3端子部材15と第4端子部材17は、第1ハウジング部1内の2箇所の支持部において、すなわち第1支持部25aと第2支持部25bにおいて支持されている。
【0022】
本実施形態に係るコネクタのハウジングは、内底部及び内底部の対向側に形成される開放部を有しケーブルの芯線が収容される収容部と、隣接する収容部間を仕切る仕切り部とを有している。これらの収容部及び仕切り部は、例えば第2ハウジング部2に設けてある。
【0023】
すなわち、図8〜10に示すように、第2ハウジング部2は、第1端子部材11及び第2端子部材13に関連して設けた下側の収容部と、第3端子部材15及び第4端子部材17に関連して設けた上側の収容部とを備えている。下側の収容部は、上下2段に形成され、この下側の収容部の上段には第1端子部材11に関連して設けられ、上方に内底部を有し、この内底部に対向する下方に開放部を有する第1収容部7が配置され、下側の収容部の下段には第2端子部材13に関連して設けられ、上方に内底部を有し、この内底部に対向する下方に開放部を有する第2収容部8が配置されている。下側の収容部の上段に設けられた第1収容部7には、図11に示す第1端子部材11の第1結線部12が挿通する穴11aを形成してあり、下側の収容部の下段に設けられた第2収容部8には、図11に示す第2端子部材13の第2結線部14が挿通する穴13aを形成してある。
【0024】
隣り合う第1収容部7間は第1仕切り部7aによって仕切られ、隣り合う第2収容部8間は第2仕切り部8aによって仕切られている。また、図6に示すように、第1収容部7と第2収容部8とは、第1,第2端子部材11,13の延設方向において前後にずらして配置してある。すなわち、第1収容部7を第1ハウジング部1の突出部3から離れた位置に配置してあり、第2収容部8を第1ハウジング部1の突出部3に近づく位置に配置してある。
【0025】
上述と同様に、図8〜10に示すように、第2ハウジング部2の第3端子部材15及び第4端子部材17に関連して設けた上側の収容部は、上下2段に形成され、この上側の収容部の下段には第3端子部材15に関連して設けられ、下方に内底部を有し、この内底部に対向する上方に開放部を有する第3収容部9が配置され、上側の収容部の上段には、第4端子部材17に関連して設けられ、下方に内底部を有し、この内底部に対向する上方に開放部を有する第4収容部10が配置されている。上側の収容部の下段に設けられた第3収容部9には、図11に示す第3端子部材13の第3結線部16が挿通する穴15aを形成してあり、上側の収容部の上段に設けられた第4収容部10には、図11に示す第4端子部材17の第4結線部18が挿通する穴17aを形成してある。
【0026】
隣り合う第3収容部9間は第3仕切り部9aによって仕切られ、隣り合う第4収容部10間は第4仕切り部10aによって仕切られている。また、図1,2,7に示すように、第3収容部9と第4収容部10とは、第3,第4端子部材15,17間の延設方向において前後にずらして配置してある。すなわち、第3収容部9を第1ハウジング部1の突出部3から離れた位置に配置してあり、第4収容部10を第1ハウジング部1の突出部3に近づく位置に配置してある。
【0027】
また、第2ハウジング部2は、第1ハウジング部1に係合する係合部を備えている。すなわち、第2ハウジング部2の下側の収容部の側部付近には図6等に示すように、第1ハウジング部1の段部21aに係合する係合部、例えばフック部20aと、第1ハウジング部1の段部21bに係合する係合部、例えばフック部20bとを備えている。また、第2ハウジング部2の上側の収容部の側部付近には図7等に示すように、第1ハウジング部1の段部23aに係合する係合部、例えばフック部22aと、第1ハウジング部1の段部23bに係合する係合部、例えばフック部22bとを備えている。
【0028】
また、本実施形態に係るコネクタは、端子部材の結線部を、収容部の内底部に配置されたケーブルの芯線を挟んで内底部とは反対側に配置してある。
【0029】
すなわち、図12〜14に示す第1ケーブル30、及び第2ケーブル31の芯線のそれぞれは、第2ハウジング部2の下側の収容部の上段を形成する第1収容部7内において、第1端子部材11の第1結線部12と、第1収容部7の内底部との間に配置され、例えば第1結線部12によって内底部に押圧されている。つまり、第1結線部12を、第1収容部7の内底部に保持された第1ケーブル30の芯線、及び第2ケーブル31の芯線を挟んで、内底部とは反対側の開放部側に配置してある。
【0030】
同様に、第3ケーブル32、及び第4ケーブル33の芯線のそれぞれは、第2ハウジング部2の上側の収容部の上段を形成する第4収容部10内において、第4端子部材17の第4結線部18と、第4収容部10の内底部との間に配置され、例えば第4結線部18によって内底部に押圧されている。すなわち、第4結線部18を、第4収容部10の内底部に保持された第3ケーブル32の芯線、及び第4ケーブル33の芯線を挟んで、内底部とは反対側の開放部側に配置してある。
【0031】
上述したように、第1端子部材11の第1結線部12と、第2ハウジング部2の下側の収容部の上段を形成する第1収容部7との組み合わせを複数組並設してあり、第2端子部材13の第2結線部14と、第2ハウジング部2の下側の収容部の下段を形成する第2収容部8との組み合わせを複数組並設してある。また、図5に示すように、上に並設された隣り合う第1結線部12と第1収容部7の組を仕切る第1仕切り部7aに対向する位置に、下に並設された第2結線部14と第2収容部8との組のそれぞれを配置してある。
【0032】
同様に、第3端子部材15の第3結線部16と、第2ハウジング部2の上側の収容部の下段を形成する第3収容部9との組み合わせを複数組並設してあり、第4端子部材17の第4結線部18と、第2ハウジング部2の上側の収容部の上段を形成する第4収容部10との組み合わせを複数組並設してある。また、同図5に示すように、上に並設された隣り合う第4結線部18と第4収容部10の組を仕切る第4仕切り部10aに対向する位置に、下に並設された第3結線部16と第3収容部9との組のそれぞれを配置してある。
【0033】
図13,14に示すように、第1ケーブル30の芯線と第1端子部材11の第1結線部12とは、第1収容部7の開放部から半田付けされ、第1収容部7の開放部側に露出する第1半田付け部34によって接続されている。また、第2ケーブル31の芯線と第1端子部材11の第1結線部12も、第1収容部7の開放部から半田付けされ、第1収容部7の開放部側に露出する第2半田付け部35によって接続されている。また、第3ケーブル32の芯線と第4端子部材17の第4結線部18とは、第4収容部10の開放部から半田付けされ、第4収容部10の開放部側に露出する第3半田付け部36によって接続されている。また、第4ケーブル33の芯線と第4端子部材17の第4結線部18も、第4収容部10の開放部から半田付けされ、第4収容部10の開放部側に露出する第4半田付け部37によって接続されている。
【0034】
なお、ケーブルの芯線が半田付けされない端子部材の結線部が配置される収容部には、図14に示すように樹脂39a,39b等が埋設され、ケーブルの芯線の収納ができないように形成してある。
【0035】
図13,14に示すように第1,第4端子部材11,17の第1,第4結線部12,18のそれぞれと、第1〜第4ケーブル30〜33の芯線のそれぞれとの第1〜第4半田付け部34〜37部分は、透明の樹脂で被覆され、さらに図15に示すように例えば塩化ビニル樹脂のカバー38で被覆される。
【0036】
[相手側コネクタ]
図16は本実施形態が装着される相手側コネクタを示す斜視図である。この図16に示すように、上述した本実施形態に係るコネクタが装着される相手側コネクタ40は、本実施形態に係るコネクタの図1等に示す突出部3が嵌入される開口部41を有している。また、この開口部41内に、本実施形態に係るコネクタの図3に示す開口部4内に挿入可能な保持部42を備えている。この保持部42の下側部分には、本実施形態に係るコネクタの図3に示す第1接触部5が電気的に接触可能な第1外部端子部材43が配置され、保持部42の上側部分には、本実施形態に係るコネクタの図3に示す第2接触部6が電気的に接触可能な第2外部端子部材44が配置されている。このような相手側コネクタ40は、例えば電子機器等に内蔵されている。
【0037】
[本実施形態の動作]
図16に示す相手側コネクタ40の開口部41に、本実施形態に係るコネクタの突出部3を嵌入させることにより、相手側コネクタ40の保持部42が本実施形態の開口部4内に挿入される。これに伴って相手側コネクタ40の第1外部端子部材43に本実施形態に係るコネクタの第1接触部5が接触し、相手側コネクタ40の第2外部端子部材44に本実施形態に係るコネクタの第2接触部6が接触する。これにより、本実施形態に係るコネクタと、相手側コネクタ40との間の信号の送受信が可能となる。
【0038】
[本実施形態の効果]
上述のように構成した本実施形態に係るコネクタによれば、第1,第4端子部材11,17の第1,第4結線部12,18のそれぞれを、第1〜第4ケーブル30〜33の芯線のうちの該当するものを挟んで第2ハウジング部2の第1,第4収容部7,10の内底部と反対側に配置してあり、第1,第4結線部12,18の形状を、半田を保持できるような特別な形状に設定することなく単純な線形状のままにして、第1〜第4ケーブル30〜33の芯線の保持を、第2ハウジング部2の第1,第4収容部7,10の内底部を介して行なうことができる。このように第1,第4結線部12,18の形状を特別な形状とする必要がないので、第1,第4結線部12,18の間隔を狭くすることが可能となる。すなわち、第1,第4結線部12,18にそれぞれ連設される第1接触部5を形成する第1端子部材11、第2接触部6を形成する第4端子部材17のうちの、それぞれ隣り合う端子部材間の間隔を狭くすることが可能となる。これにより、第1接触部5及び第2接触部6の狭ピッチ化が可能となる。
【0039】
なお、上記実施形態は図13,14に示したように、第1ケーブル30の芯線及び第2ケーブル31の芯線を第2ハウジング部2の第1収容部7に収容させ、それぞれ第1半田付け部34と第2半田付け部35とによって第1端子部材11の第1結線部12に結線し、また、第3ケーブル32の芯線及び第4ケーブル33の芯線を第2ハウジング部2の第4収容部10に収容させ、それぞれ第3半田付け部36と第4半田付け部37とによって第4端子部材17の第4結線部18に結線してある。しかし、本発明は、このような結線態様に限られないことはもちろんである。例えば、第2収容部8に樹脂を埋設しない状態において、第1ケーブル30の芯線あるいは第2ケーブル31の芯線を第2ハウジング部2の第2収容部8に収容させ、第2端子部材13の第2結線部14と半田付けして結線してもよく、また、第3収容部9に樹脂を埋設しない状態において、第3ケーブル32の芯線あるいは第4ケーブル33の芯線を第2ハウジング部2の第3収容部9に収容させ、第3端子部材15の第3結線部16と半田付けして結線してもよい。このように第1〜第4端子部材11,13,15,17の第1〜第4結線部12,14,16,18と、第1〜第4ケーブル30〜33の芯線のそれぞれとの結線態様は、種々の組み合わせとすることができる。
【0040】
また、上記実施形態は、第1,第4端子部材11,17の第1,第4結線部12,18が、第2ハウジング部2の第1,第4収容部7,10の内底部に対向する開放部側に位置し、第1〜第4ケーブル30〜33の芯線は、第1,第4結線部12,18と、第1,第4収容部7,10の内底部との間に位置するので、第1,第4端子部材11,17が第1〜第4ケーブル30〜33の芯線に隠れることがなく、第1,第4収容部7,10の開放部側から第1,第4端子部材11,17の第1,第4結線部12,18と、第1〜第4ケーブル30〜33の芯線とを容易に半田付けすることができる。これに伴って、半田付け状況の良否の検査を第1,第4収容部7,10の開放部側から容易に行なうことができる。
【0041】
また、本実施形態は、第1,第4端子部材11,17の第1,第4結線部12,18によって、第1〜第4ケーブル30〜33の芯線を第1,第4収容部7,10のそれぞれの内底部に押圧するように、第1,第4収容部7,10に対する第1,第4結線部12,18の配置関係を設定してある。これにより、半田付けに際し、第1,第4端子部材11,17の第1,第4結線部12,18と、第1,第4収容部7,10の内底部とによって第1〜第4ケーブル30〜33の芯線を挟持させることができ、芯線を動かないように位置決めでき、半田付けを容易に行なうことができるとともに、精度の良い第1〜第4半田付け部34〜37を形成することができる。
【0042】
また、本実施形態は、第1,第2端子部材11,13の第1,第2結線部12,14と、第1,第2収容部7,8の該当するものの組み合わせを複数組並設し、かつ上下に配置してある。同様に、第3,第4端子部材15,17の第3,第4結線部16,18と、第3,第4収容部9,10の該当するものの組み合わせを複数組並設し、かつ上下に配置してある。また、第2ハウジング部2の下側部分において、上段に並設された隣り合う第1端子部材11の第1結線部12と第1収容部7とのそれぞれの組を仕切る第1仕切り部7aに対向する位置に、下段に並設された隣り合う第2端子部材13の第2結線部14と第2収容部8との組のそれぞれを配置してある。同様に、第2ハウジング部2の上側部分において、上段に並設された隣り合う第4端子部材17の第4結線部18と第4収容部10とのそれぞれの組を仕切る第4仕切り部10aに対向する位置に、下段に並設された隣り合う第3端子部材15の第3結線部16と第3収容部9との組のそれぞれを配置してある。これにより、第2ハウジング部2の下側部分の上下に配置された第1結線部12、第2結線部14それぞれの間隔、及び第2ハウジング部2の上側部分の上下に配置された第4結線部18、第3結線部16それぞれの間隔を狭くすることが可能となり、第1〜第4結線部12,14,16,18の並設方向に沿う第2ハウジング部2の幅方向の寸法を小さくすることができる。
【0043】
また、本実施形態は、第2ハウジング部2の下側部分において、上段に並設された第1収容部7と下段に並設された第2収容部8とを、第1,第2端子部材11,13の延設方向において前後にずらして配置してある。同様に、第2ハウジング部2の上側部分において、下段に並設された第3収容部9と上段に並設された第4収容部10とを、第3,第4端子部材15,17の延設方向において前後にずらして配置してある。これにより、第1〜第4収容部7〜10のそれぞれの開放部を十分に露出させることができ、第1〜第4結線部12,14,16,18と、第1〜第4ケーブル30〜33の芯線との該当するもの同士の半田付けが容易になり、しかも精度良く行なうことができる。
【0044】
また、本実施形態は、第1〜第4ケーブル30〜33の芯線が半田付けされない第1〜第4端子部材11,13,15,17の第1〜第4結線部12,14,16,18が配置される第1〜第4収容部7〜10を、図14に示すように、樹脂39a,39b等によって埋設してある。これにより、接続されるべきでない第1〜第4結線部12,14,16,18のうちの該当する結線部と、第1〜第4ケーブル30〜33の芯線とが誤って接続されてしまう誤配線を防止することができる。
【0045】
また、本実施形態は、ハウジングの全体を、第1〜第4端子部材11,13,15,17を保持する第1ハウジング部1と、この第1ハウジング部1に装着され、第1〜第4収容部7〜10、及び第1〜第4仕切り部7a〜10aを有する第2ハウジング部2とから成る構成にしてある。これにより、多品種のコネクタの製作を考えた場合、第1〜第4端子部材11,13,15,17を保持する第1ハウジング部1は、全ての品種の共通部材とすることができ、変更させる部材は、それぞれの品種のケーブルの配線仕様に応じた第2ハウジング部2のみとすることができるので、このような多品種の製作を簡単に行なうことができる。
【0046】
また、第2ハウジング部2は、第1ハウジング部1の段部21a,21b,23a,23bのそれぞれに係合するフック部20a,20b,22a,22bを備えている。これにより、フック部20a,20b,22a,22bを介して第2ハウジング部2を第1ハウジング部1に一体に固定することができる。
【0047】
また、図11に示すように、第1,第2端子部材11,13は、第1ハウジング部1内において第1支持部24aと第2支持部24bの2箇所で支持させてあり、同様に、第3,第4端子部材15,17は、第1ハウジング部1内において第1支持部25aと第2支持部25bの2箇所で支持させてある。これに伴い、相手側コネクタ40への装着に際して、第1,第2端子部材11,13にあっては、第1支持部24aと第2支持部24bの間の両端支持において生じる撓み変形と、第1支持部24bから先端側部分の片持支持において生じる撓み変形とを組み合わせた撓み変形を確保することができる。同様に、第3,第4端子部材15,17にあっても、第1支持部25aと第2支持部25bの間の両端支持において生じる撓み変形と、第1支持部25bから先端側部分の片持支持において生じる撓み変形とを組み合わせた撓み変形を確保することができる。これによって、相手側コネクタ40の第1外部端子部材43と第1接触部5との間に、また相手側コネクタ40の第2外部端子部材44と第2接触部6との間に、第1〜第4端子部材11,13,15,17の撓み変形に応じたそれぞれ良好な接触圧を確保できる。また、相手側コネクタ40へ装着する際の装着力に応じた第1〜第4端子部材11,13,15,17の撓み変形を生じさせることができ、これによって、相手側コネクタ40の第1,第2外部端子部材43,44への第1,第2接触部5,6の摺接を円滑に行なわせることができる。
【符号の説明】
【0048】
1 第1ハウジング部
2 第2ハウジング部
3 突出部
4 開口部
5 第1接触部
6 第2接触部
7 第1収容部
7a 第1仕切り部
8 第2収容部
8a 第2仕切り部
9 第3収容部
9a 第3仕切り部
10 第4収容部
10a 第4仕切り部
11 第1端子部材
11a 穴
12 第1結線部
13 第2端子部材
13a 穴
14 第2結線部
15 第3端子部材
15a 穴
16 第3結線部
17 第4端子部材
17a 穴
18 第4結線部
20a フック部(係合部)
20b フック部(係合部)
21a 段部
21b 段部
22a フック部(係合部)
22b フック部(係合部)
23a 段部
23b 段部
24a 第1支持部
24b 第2支持部
25a 第1支持部
25b 第2支持部
29 ケーブルカバー
30 第1ケーブル
31 第2ケーブル
32 第3ケーブル
33 第4ケーブル
34 第1半田付け部
35 第2半田付け部
36 第3半田付け部
37 第4半田付け部
38 カバー
39a 樹脂
39b 樹脂
40 相手側コネクタ
41 開口部
42 保持部
43 第1外部端子部材
44 第2外部端子部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性のハウジングと、このハウジングに保持される複数の端子部材と、これらの端子部材に接続される芯線をそれぞれ有する複数のケーブルとを備え、上記端子部材は、相手側コネクタと電気的に接触する接触部と、この接触部に連設され上記ケーブルの芯線に半田付けされる結線部とを有するコネクタであって、
上記ハウジングは、内底部及びこの内底部の対向側に形成される開放部を有し上記ケーブルの上記芯線が収容される複数の収容部と、隣接する上記収容部間を仕切る仕切り部とを有し、
上記端子部材の上記結線部を、上記収容部の上記内底部に保持された上記ケーブルの上記芯線を挟んで上記内底部とは反対側に配置したことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタにおいて、
上記端子部材の上記結線部によって上記ケーブルの上記芯線を上記収容部の上記内底部に押圧するように、上記収容部に対する上記結線部の配設位置を設定したことを特徴とするコネクタ。
【請求項3】
請求項1に記載のコネクタにおいて、
上記端子部材の上記結線部と上記収容部の組み合わせを複数組並設し、かつ、上下に配設し、上に並設された隣り合う組を仕切る上記仕切り部に対向する位置に、下に並設された上記組のそれぞれを配置したことを特徴とするコネクタ。
【請求項4】
請求項3に記載のコネクタにおいて、
上記複数組のうちの上の組の収容部と下の組の収容部とを、上記端子部材の延設方向において前後にずらして配置したことを特徴とするコネクタ。
【請求項5】
請求項1に記載のコネクタにおいて、
上記ケーブルの上記芯線が半田付けされない上記端子部材の上記結線部が配置される上記収容部を、樹脂によって埋設したことを特徴とするコネクタ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のコネクタにおいて、
上記ハウジングは、上記端子部材を保持する第1ハウジング部と、この第1ハウジング部に装着され、上記収容部及び上記仕切り部を有する第2ハウジング部とから成ることを特徴とするコネクタ。
【請求項7】
請求項6に記載のコネクタにおいて、
上記第2ハウジング部は、上記第1ハウジング部に係合する係合部を有することを特徴とするコネクタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2010−257903(P2010−257903A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−109786(P2009−109786)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】