説明

コネクタ

【課題】シールド接続構造の部品点数が少なく、組み付け作業性が良い。
【解決手段】コネクタハウジング11と、コネクタハウジング11が固定され、接続プレート部15が設けられた第1シールドシェル13とを有し、コネクタハウジング11に被被係止ロック部18が設けられた第1組付構造体10と、電線Wを被うシールド電線21と、シールド電線21を外側から挟み込んで固定するシールドリング22と、シールドリング22によってシールド電線21が固定され、ガイド部30が設けられた第2シールドシェル23とを有する第2組付構造体20とを備え、第2組付構造体20と第1組付構造体10を組み付け方向に移動すると、第1シールドシェル13の接続プレート部15と第2シールドシェル23のガイド部30が圧着され、且つ、第2組付構造体20の係止ロック部27が第1組付構造体10の被係止ロック部18に係止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド機能を備えたコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、HEV用(ハイブリッド電気自動車用)、EV用(電気自動車用)のモータ駆動配線として使用されるワイヤーハーネスは、高電圧、高電流が通電される。そのため、かかるワイヤーハーネスのコネクタは、シールド機能を備えたものとされる。
この種の従来のコネクタとしては、特許文献1(以下、第1従来例という)と特許文献2(以下、第2従来例という)にそれぞれ開示されたものがある。
【0003】
第1従来例のコネクタ100は、図6に示すように、端子110に接続された電線Wが引き出されたコネクタハウジング101と、このコネクタハウジング101の外周に固定されたシールドシェル102と、電線Wの外周を被うように配置されたシールド電線103と、シールドシェル102上に配置されたシールド電線103の端部を外側から被うように配置された一対のホルダ104a,104bと、一対のホルダ104a,104b間を締結する2組のボルト105及びナット106とを備えている。
【0004】
この第1従来例では、シールドシェル102の外周にシールド電線103の端部を配置し、この外側から一対のホルダ104a,104bを挟み込むように配置し、一対のホルダ104a,104b間をボルト105とナット106で締結することによって組み付ける。シールドシェル102の取付部102aを固定側のアース部材(図示せず)に固定することによってシールドシェル102とシールド電線103をアース接続する。
【0005】
第2従来例のコネクタ120は、図7に示すように、端子(図示せず)に接続された電線Wが引き出されたコネクタハウジング(図示せず)と、このコネクタハウジングの外周に固定されたシールドシェル本体部122と、電線Wの外周を被うように配置されたシールド電線123と、シールド電線123の端部を外周側から挟み込む電線固定部材124と、この電線固定部材124によってシールド電線123が加締め固定されたシールドシェル補助部125とを備えている。
【0006】
この第2従来例では、シールド電線123の端部をシールドシェル補助部125に電線固定部材124の挟み込みによって固定する。次に、シールドシェル本体部122とシールドシェル補助部125の双方のフランジ部122a,125aを突き合わせ、双方のフランジ部122a,125a間をボルト126とナット127で締結することによって組み付ける。シールドシェル本体部122の固定部122bを固定側のアース部材(図示せず)に固定することによってシールドシェル本体部122とシールドシェル補助部125とシールド電線123をアース接続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−235189号公報
【特許文献2】特開2006−344398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記第1従来例及び第2従来例では、シールド接続構造の部品点数が8点と12点であり、ボルト105,126とナット106,127の締結作業を共に行う必要もある。そのため、部品点数が多く、組み付け作業性が悪いという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、シールド接続構造の部品点数が少なく、しかも、組み付け作業性が良いコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、電線が引き出されたコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングが固定され、接続プレート部が設けられた第1シールドシェルとを有し、前記コネクタハウジングと前記第1シールドシェルのいずれかに被係止ロック部が設けられた第1組付構造体と、前記電線を被うシールド電線と、前記シールド電線を外側から挟み込んで固定する電線固定部材と、前記電線固定部材によって前記シールド電線が固定され、ガイド部が設けられた第2シールドシェルとを有する第2組付構造体とを備え、前記第2組付構造体と前記第1組付構造体を組み付け装着すると、前記第1シールドシェルの前記接続プレート部と前記第2シールドシェルの前記ガイド部が圧着され、且つ、前記第2組付構造体の係止ロック部が前記第1組付構造体の被係止ロック部に係止されることを特徴とする。
【0011】
前記ガイド部は、圧着部と、前記圧着部に直交し、且つ、組み付け方向に沿って延びるガイド側壁部とを有し、前記接続プレート部は、前記ガイド側壁部が挿入され、組み付け方向に沿って延びる長溝を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、シールド接続構造の部品点数は、第1シールドシェル、第2シールドシェル、電線固定部材、シールド電線の計4点である。そして、シールド電線を第2シールドシェルに電線固定部材の挟み込みによって固定して第2組付構造体を作製し、この第2組付構造体とハウジングに固定された第1組付構造体とを組み付け装着すれば良い。組み付け装着された第1組付構造体と第2組付構造体は、第1シールドシェルの接続プレート部と第2シールドシェルのガイド部間が圧着されて電気的導通状態となり、双方の間が係止ロック部と被係止ロック部によってロックされる。以上より、部品点数が少なく、しかも、組み付け作業性が良いシールド接続構造の部品点数が少なく、しかも、組み付け作業性が良い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態を示し、端子突出側から見たコネクタの斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態を示し、端子突出側の反対側から見たコネクタの斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態を示し、(a)コネクタの断面図、(b)は(a)の断面と直交する向きのコネクタの一部断面図である。
【図4】本発明の一実施形態を示し、シールド接続構造の組み付け過程で、端子突出側から見たコネクタの斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態を示し、シールド接続構造の組み付け過程で、端子突出側の反対側から見たコネクタの斜視図である。
【図6】第1従来例を示し、コネクタの分解斜視図である。
【図7】第2従来例を示し、シールド接続構造の組み付け過程におけるコネクタの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1〜図5は本発明の一実施形態を示す。図1〜図3において、コネクタ1は、HEV、EV用のワイヤーハーネスに使用されるものである。コネクタ1は、第1組付構造体10と、第2組付構造体20より構成されている。
【0016】
第1組付構造体10は、コネクタハウジング11と、このコネクタハウジング11に固定された第1シールドシェル13を備えている。コネクタハウジング11は、絶縁体の合成樹脂材より形成されている。コネクタハウジング11には、L型の2つの端子12が固定されている。各端子12の先端箇所は、コネクタハウジング11よりそれぞれ突出されている。各端子12の根本部には電線Wの端部がそれぞれ接続されている。2本の電線Wは、コネクタハウジング11より引き出されている。
【0017】
第1シールドシェル13は、導体の金属プレート材より形成されている。第1シールドシェル13は、コネクタハウジング11の端子突出面以外の三面を被うシールドシェル本体部14と、このシールドシェル本体部14より電線引出側に向かって突出する接続プレート部15とを備えている。接続プレート部15には、組み付け方向Dに沿って延びる一対の長溝16が設けられている。一対の長溝16は、接続プレート部15の上端面に開口している。接続プレート部15の上部は、一対の長溝16によって三分割されている。
【0018】
又、コネクタハウジング11の両側面とシールドシェル本体部14の内面との間には、一対のプレート挿入スペース17が設けられている。各プレート挿入スペース17には、一対の被係止ロック部18(図3(b)に示す)が突出している。各被係止ロック部18は、コネクタハウジング11に一体に形成されている。
【0019】
第2組付構造体20は、電線Wを被うシールド電線21と、このシールド電線21を第2シールドシェル23との間に挟み込む電線固定部材であるシールドリング22と、このシールドリング22によってシールド電線21の端部が固定された第2シールドシェル23とを備えている。
【0020】
シールド電線21は、導体の金属線を筒状に編み込んで形成されている。シールドリング22は、シールド電線21を第2シールドシェル23の外周面に挟み込みによって圧着する。
【0021】
第2シールドシェル23は、導体の金属プレート材より形成されている。第2シールドシェル23は、ほぼ楕円筒状の筒部24と、この筒部24の下面に一体に設けられたスライド規制プレート部25と、このスライド規制プレート部25より下方に垂直に延びる一対の挿入プレート部26とを備えている。筒部24には、ガイド部30が一体に設けられている。ガイド部30は、筒部24の一部を折り曲げ加工等することによって形成されている。ガイド部30は、筒部24の面より内側に退出した圧着部31と、この圧着部31の面方向に直交し、且つ、組み付け方向Dに沿って延びる一対のガイド側壁部32とから構成されている。圧着部31は、例えば筒部24側に若干だけ中央箇所が膨らむような形状とされ、これにより、圧着部31の直交方向に対しばね性を有する形状とされている。圧着部31の下方には、筒部24との段差寸法分の挿入用スリット33が形成されている。
【0022】
一対の挿入プレート部26の先端部には、係止ロック部27がそれぞれ設けられている。
【0023】
次に、コネクタ1の組み付け手順を説明する。先ず、第1組付構造体10と第2組付構造体20をそれぞれ作製する。具体的には、第1組付構造体10は、コネクタハウジング11の外周に第1シールドシェル13を固定することにより作製する。第2組付構造体20は、電線Wの外周を被うように配置されたシールド電線21の端部を第2シールドシェル23の外周に配置し、シールド電線21の上からシールドリング22を装着することにより作製する。
【0024】
次に、図4及び図5に示すように、第2組付構造体20を第1組付構造体10との組み付け方向Dに移動する。この移動によって、第2シールドシェル23の一対の挿入プレート部26が、第1組付構造体10の一対のプレート挿入スペース17にそれぞれ挿入される。この挿入過程で、第2シールドシェル23の一対のガイド側壁部32が第1シールドシェル13の一対の長溝16に挿入される。そして、筒部24がガイド部30の圧着部31のばね性によって接続プレート部15を図2のf矢印方向に押圧し、筒部24と接続プレート部15の互いに接触する面同士が摺動しながら挿入される。
【0025】
挿入完了位置まで挿入すると、一対の挿入プレート部26の係止ロック部27が第1組付構造体10の被係止ロック部18にロックされる。これで、組み付けが完了する。
【0026】
以上説明したように、コネクタ1は、コネクタハウジング11と、コネクタハウジング11が固定され、接続プレート部15が設けられた第1シールドシェル13とを有し、コネクタハウジング11に被係止ロック部18が設けられた第1組付構造体10と、電線Wを被うシールド電線21と、シールド電線21を外側から挟み込むシールドリング22と、シールドリング22によってシールド電線21が固定され、ガイド部30が設けられた第2シールドシェル23とを有する第2組付構造体20とを備え、第2組付構造体20と第1組付構造体10を組み付け方向に移動すると、第1シールドシェル13の接続プレート部15と第2シールドシェル23の筒部24(ガイド部30を含む)が圧着部31のばね性によって圧着され、且つ、第2組付構造体20の係止ロック部27が第1組付構造体10の被係止ロック部18に係止されるよう構成されている。従って、シールド接続構造の部品点数は、第1シールドシェル13、第2シールドシェル23、シールドリング22、シールド電線21の計4点である。そして、シールド電線21を第2シールドシェル23にシールドリング22の挟み込みによって固定して第2組付構造体20を作製し、この第2組付構造体20とコネクタハウジング11に固定された第1組付構造体10とを組み付けすれば良い。組み付けされた第1組付構造体10と第2組付構造体20は、第1シールドシェル13の接続プレート部15と第2シールドシェル23の筒部24(ガイド部30を含む)間が圧着されて電気的導通状態となり、双方の間が係止ロック部27と被係止ロック部18によってロックされる。以上より、部品点数が少なく、しかも、組み付け作業性が良い。
【0027】
第1シールドシェル13のシールドシェル本体部14の上端面に第2シールドシェル23のスライド規制プレート部25の下面が当接し、且つ、係止ロック部27と被係止ロック部18間がロックすることによって、第1シールドシェル13と第2シールドシェル23間が垂直方向に位置決めされる。
【0028】
ガイド部30は、圧着部31と、圧着部31に直交し、且つ、組み付け方向Dに沿って延びるガイド側壁部32を有し、接続プレート部15は、ガイド側壁部32が挿入し、組み付け方向Dに沿って延びる長溝16を有する。従って、ガイド部30の圧着部31の面方向とその直交方向に対して第1シールドシェル13と第2シールドシェル23間が水平方向に位置決めされる。以上より、この実施形態では、第1シールドシェル13と第2シールドシェル23間が垂直方向と水平方向共に位置決めされる。
【0029】
尚、この実施形態では、被係止ロック部18はコネクタハウジング11に設けられているが、第1シールドシェル13に設けても良い。
【符号の説明】
【0030】
1 コネクタ
10 第1組付構造体
11 コネクタハウジング
13 第1シールドシェル
15 接続プレート部
16 長溝
18 被係止ロック部
20 第2組付構造体
21 シールド電線
22 シールドリング(電線固定部材)
23 第2シールドシェル
27 係止ロック部
30 ガイド部
31 圧着部
32 ガイド側壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線が引き出されたコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングが固定され、接続プレート部が設けられた第1シールドシェルとを有し、前記コネクタハウジングと前記第1シールドシェルのいずれかに被係止ロック部が設けられた第1組付構造体と、
前記電線を被うシールド電線と、前記シールド電線を外側から挟み込んで固定する電線固定部材と、前記電線固定部材によって前記シールド電線が固定され、ガイド部が設けられた第2シールドシェルとを有する第2組付構造体とを備え、
前記第2組付構造体と前記第1組付構造体を組み付け方向に移動すると、前記第1シールドシェルの前記接続プレート部と前記第2シールドシェルの前記ガイド部が圧着され、且つ、前記第2組付構造体の係止ロック部が前記第1組付構造体の被係止ロック部に係止されることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
請求項1記載のコネクタであって、
前記ガイド部は、圧着部と、前記圧着部の面に対し直交し、且つ、組み付け方向に沿って延びるガイド片部とを有し、前記接続プレート部は、前記ガイド側壁部が挿入され、組み付け方向に沿って延びる長溝を有することを特徴とするコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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