説明

コネクタ

【課題】コネクタ後端でケーブルが強く押し曲げられたとしてもケーブルの損傷を防ぐことのできるコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ10は、筒状のコネクタ本体2、ケーブル留ゴム栓13、保護リング20を備える。ケーブル留ゴム栓13は、ケーブル6が挿通されているとともに外周面がコネクタ本体2の筒内面に密着しており、ケーブル6をコネクタ本体2に係止する。保護リング20は、ケーブル6が挿通されており、ケーブル留ゴム栓13のコネクタ後端側に配置される。保護リング20は、軸方向の中央部分がくびれた鼓状に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルの電気的結合に用いるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
ケーブルの電気的結合に用いるコネクタは、様々な箇所で用いられる。コネクタは、着脱を前提に作られているが、着脱を多数回繰り返していると疲弊し、接触不良を起こしたり、あるいは逆に短絡を起こしたりする。従ってコネクタにとってケーブルの保護は重要な要因である。
【0003】
例えば特許文献1には、筒状のコネクタ本体と電線との間に絶縁部を設け、仮に電線の被覆が剥がれたとしても、コネクタ本体と電線との短絡を防止するコネクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−4755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コネクタの後端(コネクタにおいてケーブルに連なる側)においてケーブルが極端に折れ曲がると、コネクタ本体後端の縁にケーブルが強く当たり、ケーブルが損傷する虞がある。ケーブルは、極端に折れ曲がることがないように余裕を持たせてレイアウトすることが通常であるが、例えば車両に搭載された機器のケーブルでは、車両が障害物に衝突した際、フレームが変形し、機器同士が極端に近づき、ケーブルが強く押し曲げられることがある。そのような場合、ケーブルがコネクタ本体後端の縁のエッジに強く押し当てられ、ケーブルが痛んでしまう虞がある。本明細書は、上記課題に鑑みて創作された。本明細書は、コネクタ後端でケーブルが強く押し曲げられたとしてもケーブルの損傷を防ぐことのできるコネクタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書が開示するコネクタは、筒状のコネクタ本体と、ケーブル留ゴム栓と、保護リングを備える。ケーブル留ゴム栓は、ケーブルをコネクタ本体に留めるための部材であり、ケーブルが挿通されているとともに外周面がコネクタ本体の筒内面に密着している。保護リングは、ケーブルが挿通されており、ケーブル留ゴム栓よりもコネクタ後端側に位置する。保護リングは、その軸方向の中央部分がくびれた鼓状をなしている。ケーブル留ゴム栓はコネクタ本体に固定されるが、保護リングはケーブルとともに動くことができる。保護リングは、典型的には、ゴム、あるいは、樹脂でできている。
【0007】
上記のコネクタでは、鼓状の保護リングがケーブルを保護する。具体的には、ケーブルが極端に折れ曲がった際、ケーブルがコネクタ後端エッジに直接当たることを防止する。なお、保護リングが鼓状をなしているのは、保護リング自体は湾曲し易くして、ケーブルが湾曲することを妨げないためである。
【0008】
保護リングの軸方向の長さLは、コネクタ後端の半径と同等かそれ以上であることが好ましい。そのような長さを有すれば、ケーブルが折れ曲がったとき、コネクタ後端の最外周に確実に保護リングが当接するので、ケーブルを確実に保護することができる。また、ケーブルには、保護リングがケーブル留ゴム栓から離れないように保護リングを留めるテープが付されているとよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】コネクタの模式的断面図である。
【図2】保護リングの斜視図である。
【図3】ケーブルが折れ曲がったときの様子を示す模式図である。
【図4】電気自動車のフロントコンパートメントの部分模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照して実施例のコネクタ10を説明する。コネクタ10は概説すると、ケーブル6の先端に取り付けられ、相手方のコネクタと接続し、ケーブル6を相手方のコネクタ内のケーブルと電気的に接続するための部品である。
【0011】
コネクタ本体2は、筒状の部材であり、その中をケーブル6が通っている。ケーブル6は、スペーサ12とケーブル留ゴム栓13によって、本体2に係止される。スペーサ12は樹脂製である。スペーサ12とケーブル留ゴム栓13の中心をケーブル6が通っており、外周は本体2の筒内面に密着している。ケーブル留ゴム栓13は、本体2の筒内に圧入されており、その圧縮力によって、筒内面にしっかりと固定される。圧縮力はまた、ケーブル6を強く圧迫し、これによってケーブル6が抜けないようになっている。ケーブル6の先端には金属端子14が取り付けられている。金属端子14は、その後端部14aでケーブル6を加締めて固定されている。
【0012】
本体2の外側にはシェルカバー3が嵌合している。シェルカバー3の外側には、ケーブル6の外側を覆ってケーブルとともに伸びてきているシールド8が被せられており、その外側を留めリング4が囲っている。留めリング4は、その外周を加締められ、シールド8をはさんでシェルカバー3に圧着される。留めリング4は、ケーブル6を被覆しているシールド8をコネクタ本体2の外周で固定する役割を果たす。
【0013】
ケーブル6は、金属細線の集合である導通部材と、その外側を覆うビニール等の被覆材で構成されている。ケーブル6は、さらにその外側がシールド8で覆われており、シールド8の外側がコルゲートチューブ7で覆われている。シールド8は、ステンレス等の金属細線を網目状に編んだものであり、ケーブル6を流れる信号を磁気ノイズ等から保護する。コルゲートチューブ7は、他の物体との摺動など、物理的な衝撃からケーブル6を保護するものであり、例えばポリプロピレンやポリアミドで作られている。
【0014】
ケーブル留ゴム栓13の後端側であってスペーサ12に隣接するように保護リング20が取り付けられている。保護ゴムリング20は、好適にはゴム製であるが、樹脂で作られていてもよい。保護リング20もその中央をケーブル6が通っている。保護リング20の斜視図を図2(A)、図2(B)に示す。保護リング20は、軸方向の中央部がくびれた鼓型をなしている。保護リング20は、一方の端の第1拡径部20aと、他方の端部の第2拡径部20cと、それらの間のくびれ部20bとに分けることができる。保護リング20の中心にはケーブルを通す孔20dが設けられている。第1拡径部20aの直径は、第2拡径部20cの直径よりも大きい。図1に示すように、小さい方の拡径部(第2拡径部20c)がケーブル留ゴム栓13に近い側に、大きい方の拡径部(第1拡径部20a)がケーブル留ゴム栓13から遠い側となるように、保護リング20は配置される。保護リング20は、ケーブル留ゴム栓13やスペーサ12とは別体であり、ケーブル6の動きに応じて動くことができる。
【0015】
保護リング20の後端側には、保護リング20がずれないようにケーブル6にテープ5が巻きつけられている。保護リング20の軸方向長さLは、コネクタ10の後端におけるコネクタ半径Rよりも僅かに大きい。長さLは、コネクタ10の後端における半径R以上であればよい。
【0016】
保護リング20の目的を説明する。保護リング20は、ケーブル6が、コネクタ10の後端のエッジ(例えば、図1に示すように、留めリング4の後端のエッジEG1や、シェルカバー3の後端のエッジEG2など)に直接当たることを防止する。例えば、図3に示すように、ケーブル6が極端に折れ曲がったときでも、保護リング20がエッジに当たり、ケーブル6を保護する(図3において符号Cが示す箇所)。保護リング20の軸方向長さLをコネクタ後端部での半径R以上とするのは、保護リング20がコネクタ後端の(最外周の)エッジに必ず当たるようにするためである。
【0017】
また、保護リング20は、直径の大きい方の端部(第1拡径部20a)が、ケーブル留ゴム栓13から遠い側に位置するように配置される。これは、径の大きい部分がコネクタ後端のエッジに当接することによって、ケーブル6がそれ以上屈曲しないようにするためである。別言すれば、コネクタ直後でケーブル6がきつく湾曲しないようにするためである。また、保護リング20の中央部がくびれているのは、所定の範囲内ではケーブルの自由な湾曲を阻害しないようにするためである。
【0018】
コネクタ10の好適な適用例を説明する。図4は、電気自動車のフロントコンパートメントにおける一部の機器のレイアウトを模式的に示した図である。図4には、2個のモータに交流電力を供給するためのインバータ52とリザーブタンク53のレイアウトが示されている。図4においてX軸が車両前方を示し、Z軸が上方を示す。インバータ52とリザーブタンク53はともにフレーム54に固定されている。インバータ52には、モータからの電力(回生時)を受けるため、及び、モータに電力を供給するためのケーブル6が接続されている。2個のモータの夫々に対応して、2本のケーブルがインバータ52に接続している。ケーブル6をインバータ52に接続するコネクタ55が、先に説明した実施例のコネクタ10と同じ構造を有している。即ち、コネクタ55は、その後端に保護リングを備えている。コネクタ55は、インバータ52の後端に位置しており、インバータ52とリザーブタンク53とに挟まれている。このようなレイアウトにおいて、車両が障害物と衝突すると、フレーム54が曲がり、インバータ52とリザーブタンク53が接近し、場合によっては両者がぶつかる。そうすると、コネクタ55の付近でケーブル6がインバータ52に強く押し付けられ、極端に折り曲がってしまう。保護リングは、そのような状況において、ケーブル6をコネクタ後端のエッジから保護することができる。
【0019】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0020】
2:コネクタ本体
3:シェルカバー
4:留めリング
5:テープ
6:ケーブル
7:コルゲートチューブ
8:シールド
10:コネクタ
12:スペーサ
13:ケーブル留ゴム栓
14:金属端子
20:保護リング
20a:第1拡径部
20b:くびれ部
20c:第2拡径部
L:保護リング長さ
R:コネクタ後端半径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のコネクタ本体と、
ケーブルが挿通されているとともに外周面がコネクタ本体の筒内面に密着しているケーブル留ゴム栓と、
ケーブルが挿通され、ケーブル留ゴム栓のコネクタ後端側に配置されている保護リングであって、軸方向の中央部分がくびれた鼓状の保護リングと、
を備えることを特徴とするコネクタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate