説明

コポリカーボネート製造方法

コポリカーボネートの効率的な製造を可能にする溶融重合法であって、使用する構成ジヒドロキシ芳香族化合物の1種以上が約340℃未満の沸点を有する揮発性の比較的高いものである溶融重合法を提供する。揮発性の比較的高いジヒドロキシ芳香族化合物は、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン及びレゾルシノールのようなジヒドロキシベンゼンで例示される。この種のコポリカーボネートの製造するための公知方法、例えば水酸化ナトリウム及びテトラアルキルアンモニウム塩触媒系の存在下でビスフェノールA及びレゾルシノールをジフェニルカーボネートと溶融反応させる方法では、副生物フェノールによる同伴でレゾルシノールが重合混合物から除去されるので効率の低下が起こる。第四級ホスホニウム塩を含む触媒系は、コポリカーボネート生成物に実際に組み込まれる揮発性ジヒドロキシ芳香族化合物の量について向上した性能を有することが示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2種以上のジヒドロキノン芳香族化合物と1種以上のジアリールカーボネートとの溶融重合反応によるコポリカーボネートの製造方法であって、ジヒドロキノン芳香族化合物の1種以上がかなりの揮発性を有していて通常の方法ではコポリカーボネート生成物に組み込むのが困難なコポリカーボネートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネートは、優れた耐衝撃性その他の機械的性質並びに優れた耐熱性及び透明性を有している。ポリカーボネートは、フットボール用ヘルメットから自動車部品や透明セキュリティウィンドーに至る幅広い用途で使用されている。近年、ポリカーボネートは、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD)やディジタルバーサタイルディスク(DVD))のような光媒体用途に恰好の材料であることも判明している。従来のポリカーボネートは、通常、(1)ビスフェノールA(BPA)をホスゲンと直接反応させる界面重合、又は(2)BPAをジフェニルカーボネート(DPC)のような炭酸ジエステルとエステル交換させる溶融重合法で製造される。多くの用途では、BPAポリカーボネートに固有の透明性及び靭性のような基本的特性を備えるだけでなく、ビスフェノールAポリカーボネート(BPA−PC)に比べて特定の物理的性質(例えば複屈折)が改善された材料に対するニーズが存在している。ある種の用途、例えば特定の医学及び自動車用途では、BPAポリカーボネートに比べて向上した耐薬品性が要求される。コポリカーボネートは、多くの場合、BPAポリカーボネートの基本的特性(透明性及び靭性)を有すると共に、特定の例ではBPAポリカーボネートに比べて向上した所定用途のための性能特性も有する材料である。
【0003】
かかるコポリカーボネートの一例は、ビスフェノールA由来の繰返し単位に加えて、レゾルシノール又はヒドロキノン由来の繰返し単位を含むものである。レゾルシノール由来及びヒドロキノン由来の繰返し単位をBPAポリカーボネートに組み込むと、ビスフェノールAポリカーボネートに固有の優れた機械的性質及び透明性を保持しながら、優れた溶融流れ特性、成形特性、耐溶剤性及び耐熱性が得られる。かかるコポリカーボネートは、界面重合、溶融重合又は固相重合で製造できる。本発明は、溶融重合法を用いてこれらのコポリカーボネート及び関連コポリカーボネートを製造するための改良法に関する。
【0004】
通常の溶融重合法では、ビスフェノールAポリカーボネートは、ビスフェノールAを溶融状態でジフェニルカーボネートと反応させることで製造される。一般に、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)のような第四級アンモニウム塩及び水酸化ナトリウム(NaOH)のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属水酸化物からなる触媒を用いて重合反応を触媒する。溶融重合法に際しては、反応体及び生成物を高温及び低圧に付して、副生物フェノールを反応混合物から留去する。レゾルシノール及びヒドロキノン又はレゾルシノールのような揮発性の比較的高いジヒドロキシ芳香族化合物に由来する繰返し単位を含むコポリカーボネートも同様に製造できるが、重合反応時に揮発性コモノマーの多くが失われかねない。揮発性の比較的高い1種以上のジヒドロキシ芳香族化合物に由来する繰返し単位を含むコポリカーボネートを溶融重合法で製造しようとすると、揮発性コモノマーの損失が大きな技術的問題となり、経済的不利益も生じる。本発明は、上記その他の問題を解決すると共に、揮発性コモノマーが組み込まれたコポリカーボネートを公知方法よりも高い効率で製造するための方法を提供する。
【特許文献1】米国特許第5366751号明細書
【特許文献2】米国特許第5418317号明細書
【特許文献3】米国特許第5420192号明細書
【特許文献4】米国特許第5510450号明細書
【特許文献5】米国特許第5565515号明細書
【特許文献6】米国特許第5602201号明細書
【特許文献7】米国特許第5606009号明細書
【特許文献8】米国特許第5717056号明細書
【特許文献9】米国特許第6228973号明細書
【特許文献10】米国特許第5384388号明細書
【特許文献11】欧州特許出願公開第0508774号明細書
【特許文献12】欧州特許出願公開第0508775号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、コポリカーボネートの製造方法であって、溶融重合条件下で1種以上の第一のジヒドロキシ芳香族化合物及び1種以上の第二のジヒドロキシ芳香族化合物を、以下の構造Iの1種以上のジアリールカーボネート及び1種以上の溶融重合触媒と接触させることを含んでなり、上記触媒が1種以上の金属水酸化物と以下の構造IIの1種以上の第四級ホスホニウム塩とを含み、第一のジヒドロキシ芳香族化合物が大気圧下で約340℃未満の沸点を有する、方法を提供する。
【0006】
【化1】

【0007】
式中、Rは各々独立にハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C〜C20アルキル基、C〜C20シクロアルキル基又はC〜C20アリール基であり、p及びqは独立に0〜5の整数である。
【0008】
【化2】

【0009】
式中、R〜Rは独立にC〜C20脂肪族基、C〜C20脂環式基又はC〜C20芳香族基であり、Xは有機又は無機陰イオンである。
【0010】
別の態様では、本発明は本発明の方法で製造したコポリカーボネートに関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の好ましい実施形態及びその実施例に関する以下の詳しい説明を参照することで本発明の理解を深めることができよう。本明細書及び特許請求の範囲では多くの用語を用いるが、以下の意味をもつものと定義される。
【0012】
単数形で記載したものであっても、前後関係から明らかでない限り、複数の場合も含めて意味する。
【0013】
「適宜」という用語は、その用語に続いて記載された事象又は状況が起きても起きなくてもよいことを意味しており、かかる記載はその事象が起こる場合と起こらない場合を包含する。
【0014】
本明細書中で用いる「コポリカーボネート」という用語は、2種以上のジヒドロキシ芳香族化合物に由来する繰返し単位が組み込まれたポリカーボネートをいい、コポリエステルカーボネート(例えば、レゾルシノール、ビスフェノールA及びドデカン二酸に由来する繰返し単位を含むポリカーボネート)を包含する。
【0015】
本明細書中で「BPA」は、ビスフェノールA、つまり2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと定義される。
【0016】
本明細書中で用いる「ビスフェノールAのコポリカーボネート」という用語は、BPAと1種以上の他のジヒドロキシ芳香族化合物とに由来する繰返し単位を含むコポリカーボネートをいう。
【0017】
本明細書中で用いる「溶融法ポリカーボネート」という用語は、ジアリールカーボネートとジヒドロキシ芳香族化合物のエステル交換反応で製造されたポリカーボネートをいう。
【0018】
本明細書中で用いる「触媒系」は、溶融法ポリカーボネートの製造に際してジヒドロキシ芳香族化合物とジアリールカーボネートのエステル交換反応を触媒する単数又は複数の触媒をいう。
【0019】
「触媒有効量」とは、触媒が触媒性能を発揮する量をいう。
【0020】
本明細書中で用いる「フリース生成物」という用語は、ポリカーボネート生成物の加水分解時に、当該カルボキシ置換ジヒドロキシ芳香族化合物のヒドロキシ基の一方又は両方に隣接してカルボキシ基を有するカルボキシ置換ジヒドロキシ芳香族化合物を与えるポリカーボネート生成物の構造単位と定義される。例えば、フリース反応が起こる溶融反応法で製造されたビスフェノールAポリカーボネートは、ポリカーボネート生成物の完全加水分解時に2−カルボキシビスフェノールAを与える。
【0021】
「フリース生成物」及び「フリース基」という用語は、本明細書中では同義に用いられる。
【0022】
「フリース反応」及び「フリース転位」という用語は、本明細書中では同義に用いられる。
【0023】
本明細書中で用いる「ジヒドロキシ芳香族化合物」という用語は、2個のヒドロキシ基を含む芳香族化合物(例えば、ビスフェノールAのようなビスフェノール又はレゾルシノールのようなジヒドロキシベンゼン)を意味する。
【0024】
本明細書中で用いる「ヒドロキシ芳香族化合物」という用語は、反応性ヒドロキシ基を1個しか有さないフェノール類(例えば、フェノール又はp−クレゾール)を意味する。
【0025】
本明細書中で用いる「脂肪族基」という用語は、環状でない線状又は枝分れ原子配列からなる原子価1以上の基をいう。かかる配列は、窒素、硫黄及び酸素のようなヘテロ原子を含んでいてもよく、或いは炭素と水素だけからなるものでもよい。脂肪族基の例には、メチル、メチレン、エチル、エチレン、ヘキシル、ヘキサメチレンなどがある。
【0026】
本明細書中で用いる「芳香族基」という用語は、1以上の芳香族基を含む原子価1以上の基をいう。芳香族基の例には、フェニル、ピリジル、フラニル、チエニル、ナフチル、フェニレン及びビフェニルがある。この用語は、芳香族成分及び脂肪族成分の両方を含む基(例えば、ベンジル基)も包含する。
【0027】
本明細書中で用いる「脂環式基」という用語は、環状であるが芳香族でない原子配列からなる原子価1以上の基をいう。かかる配列は、窒素、硫黄及び酸素のようなヘテロ原子を含んでいてもよく、或いは炭素と水素だけからなるものでもよい。脂環式基の例には、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロフラニルなどがある。
【0028】
前述の通り、本発明は、コポリカーボネートの製造方法であって、溶融重合条件下で1種以上の第一のジヒドロキシ芳香族化合物及び1種以上の第二のジヒドロキシ芳香族化合物を、構造Iの1種以上のジアリールカーボネート及び1種以上の溶融重合触媒と接触させることを含んでなり、上記触媒が1種以上の金属水酸化物及び構造IIの1種以上の第四級ホスホニウム塩からなり、上記ホスホニウム塩が有機又は無機陰イオンである陰イオンXを含み、第一のジヒドロキシ芳香族化合物が大気圧下で約340℃未満の沸点を有する、方法を提供する。
【0029】
前述の通り、「第一のジヒドロキシ芳香族化合物」と呼ばれるジヒドロキシ芳香族化合物は約340℃未満、好ましくは約320℃未満の沸点を有し、「第二のジヒドロキシ芳香族化合物」と呼ばれるジヒドロキシ芳香族化合物より揮発性が高い。例えば、第一のジヒドロキシ芳香族化合物が約285℃の沸点を有するヒドロキノンであり、第二のジヒドロキシ芳香族化合物がヒドロキノンよりも揮発性のかなり低いビスフェノールAである場合を例にとる。本発明の重要な特徴は、本方法がヒドロキノン又はレゾルシノールのような揮発性の比較的高いジヒドロキシ芳香族化合物をビスフェノールAのような揮発性の低いジヒドロキシ芳香族化合物及びジフェニルカーボネートのようなジアリールカーボネートと効果的に共重合させると共に、揮発性の高いジヒドロキシ芳香族化合物の揮発性及び溶融重合反応時に生じるヒドロキシ芳香族化合物副生物(例えば、フェノール)による同伴の結果として失われる揮発性の高いジヒドロキシ芳香族化合物を最小限に抑えることにある。数多くのジヒドロキシ芳香族化合物の沸点は化学文献に記載されており、Sigma−Aldrich Corporation(米国)から入手できるAldrich Handbook of Fine Chemicals and Laboratory Equipment 2003−2004 Edition(その内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす)のような容易に入手できる刊行物に見出すことができる。大抵は、ほぼ大気圧以外の圧力を基準にした沸点が示されている。所定の化合物に関する大気圧下での沸点は、P.H.Rhodes、The Organic Chemist’s Desk Reference(1995)第150頁に見出されるもののような沸点ノモグラフを用いて、かなり正確に推定できる。かくして、約340℃未満の沸点を有する第一のジヒドロキシ芳香族化合物という場合には、大気圧下での既知沸点が340℃未満であるか、或いは沸点補正グラフ(ノモグラフ)又は類似手段を用いて推定した大気圧下での沸点が約340℃未満であることを意味する。沸点を推定するための類似手段には、大気圧以外の圧力下での既知沸点に基づいて大気圧下での沸点を推定するように設計されたコンピュータープログラムがある。沸点を推定するための追加の類似手段には、同族列における沸点の推定がある。例えば、ヒドロキノンは約285℃の沸点を有している。ヒドロキノン系の同族列の化合物群において次に高位のもの(メチルヒドロキノン)の沸点は、同族列における追加のメチレン基が沸点(bp)に及ぼす既知の効果に基づき、ヒドロキノン自体の沸点より約10〜20℃高いと推定される。このような効果は、フェノール(bp 182℃)、o−クレゾール(bp 191℃)及びm−クレゾール(bp 203℃)の沸点で例示される。最後に、沸点を推定するための類似手段には、沸点を求めるための最新の「非経験的(アブ・イニシオ)」計算方法がある。
【0030】
通例、第一のジヒドロキシ芳香族化合物は次の構造IIIのジヒドロキシベンゼンからなる群から選択される。
【0031】
【化3】

【0032】
式中、Rは各々独立にハロゲン原子又はC〜Cアルキル基であり、dは0〜4の整数である。
【0033】
構造IIIのジヒドロキシベンゼンは、レゾルシノール、4−メチルレゾルシノール、5−メチルレゾルシノール、ヒドロキノン、2−メチルヒドロキノン、2−エチルヒドロキノン、2,5−ジメチルヒドロキノン、2,6−ジメチルヒドロキノン、カテコール、3−メチルカテコール、4−メチルカテコール及びこれらの混合物で例示される。
【0034】
前述の通り、第二のジヒドロキシ芳香族化合物は第一のジヒドロキシ芳香族化合物より揮発性が低い。通例、第二のジヒドロキシ芳香族化合物は次の構造IVのビスフェノールである。
【0035】
【化4】

【0036】
式中、Rは各々独立にハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C〜C20アルキル基、C〜C20シクロアルキル基又はC〜C20アリール基であり、
n及びmは独立に0〜4の整数であり、
Wは結合、酸素原子、硫黄原子、SO基、C〜C20脂肪族基、C〜C20芳香族基、C〜C20脂環式基又は次の基である。
【0037】
【化5】

【0038】
式中、R及びRは独立に水素原子、C〜C20アルキル基、C〜C20シクロアルキル基又はC〜C20アリール基であり、或いは
とRとが一緒にC〜C20脂環式環を形成するもので、該C〜C20脂環式環は適宜1以上のC〜C20アルキル基、C〜C20アリール基、C〜C21アラルキル基、C〜C20シクロアルキル基又はこれらの組合せで置換されていてもよい。
【0039】
構造IVを有するビスフェノールは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシ−5−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−5−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−t−ブチル−5−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(5−ブロモ−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−5−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−5−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジイソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジフェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5,6−テトラクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5,6−テトラブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5,6−テトラメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(2,6−ジクロロ−3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2,6−ジブロモ−3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシ−5−イソプロピルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−5−イソプロピルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−t−ブチル−5−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−ブロモ−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−クロロ−5−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−ブロモ−5−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジイソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジフェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5,6−テトラクロロフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5,6−テトラブロモフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5,6−テトラメチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(2,6−ジクロロ−3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(2,6−ジブロモ−3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシ−5−イソプロピルフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−5−イソプロピルフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−t−ブチル−5−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−ブロモ−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(3−クロロ−5−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−ブロモ−5−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジイソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジフェニル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5,6−テトラクロロフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5,6−テトラブロモフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5,6−テトラメチルフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(2,6−ジクロロ−3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(2,6−ジブロモ−3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシ−1,1−ビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチル−1,1−ビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジオクチル−1,1−ビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルチオエーテル、1,3−ビス(2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル)ベンゼン、1,3−ビス(2−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−プロピル)ベンゼン、1,4−ビス(2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル)ベンゼン及び1,4−ビス(2−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−プロピル)ベンゼンで例示される。多くの用途では、比較的高い反応性、熱安定性及び安い原価を有する点でビスフェノールAが好ましい。
【0040】
前述の通り、構造式Iを有するジアリールカーボネートが本発明の方法に従って使用される。構造Iのジアリールカーボネートは、ジフェニルカーボネート、ビス(4−メチルフェニル)カーボネート、ビス(4−クロロフェニル)カーボネート、ビス(4−フルオロフェニル)カーボネート、ビス(2−クロロフェニル)カーボネート、ビス(2,4−ジフルオロフェニル)カーボネート、ビス(4−ニトロフェニル)カーボネート、ビス(2−ニトロフェニル)カーボネート及びビス(4−ブロモフェニル)カーボネートで例示される。多くの場合、ジフェニルカーボネートが好ましい。
【0041】
本発明の方法に従って使用する溶融重合触媒は、次の構造IIの1種以上の第四級ホスホニウム塩である。
【0042】
【化6】

【0043】
式中、R〜Rは独立にC〜C20脂肪族基、C〜C20脂環式基又はC〜C20芳香族基であり、Xは有機又は無機陰イオンである。
【0044】
好適な陰イオンXは、水酸化物イオン、ハロゲン化物イオン、カルボン酸イオン、フェノキシドイオン、スルホン酸イオン、硫酸イオン、炭酸イオン及び重炭酸イオンで例示される。多くの場合、カルボン酸イオンが好ましい。Xが炭酸イオン又は硫酸イオンのような多価陰イオンである場合、ホスホニウム塩IIの正電荷及び負電荷が適正なバランスを保つことは言うまでもない。例えば、構造IIのR〜Rが各々メチル基であり、Xが炭酸イオンである場合、Xが1/2(CO−2)を表すことはもちろんである。
【0045】
構造IIの第四級ホスホニウム塩は、テトラメチルホスホニウムヒドロキシド、テトラフェニルホスホニウムヒドロキシド、テトラフェニルホスホニウムアセテート、テトラメチルホスホニウムホルメート、テトラブチルホスホニウムヒドロキシド及びテトラブチルホスホニウムアセテートで例示される。多くの場合、テトラフェニルホスホニウムアセテート及びテトラブチルホスホニウムアセテートが好ましい。
【0046】
本発明の方法に従って使用する溶融重合触媒は、第四級ホスホニウム塩を含むのに加え、金属水酸化物も含む。通例、金属水酸化物は、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム又は水酸化カリウム)或いはアルカリ土類金属水酸化物(例えば、水酸化カルシウム)である。1種以上のアルカリ金属水酸化物の混合物も使用でき、同様に1種以上のアルカリ土類金属水酸化物の混合物も使用できる。さらに、1種以上のアルカリ金属水酸化物と1種以上のアルカリ土類金属水酸化物との混合物も溶融重合触媒系の一部として使用できる。
【0047】
本発明の一実施形態では、1種以上の第一のジヒドロキシ芳香族化合物及び1種以上の第二のジヒドロキシ芳香族化合物は、第一のジヒドロキシ芳香族化合物と第二のジヒドロキシ芳香族化合物のモル比が約0.01〜約4となる量で使用される。第一のジヒドロキシ芳香族化合物が2種以上の化合物(例えば、レゾルシノール及びヒドロキノンの混合物)からなり、第二のジヒドロキシ芳香族化合物が単一の化合物(例えば、BPA)である場合、第一のジヒドロキシ芳香族化合物と第二のジヒドロキシ芳香族化合物のモル比は、使用するレゾルシノール及びヒドロキノンのモル数の和を使用するBPAのモル数で除した値として表される。同様に、第一のジヒドロキシ芳香族化合物が単一の化合物(例えば、レゾルシノール)からなり、第二のジヒドロキシ芳香族化合物が化合物(例えば、BPA及びBPZ(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン))の混合物からなる場合、第一のジヒドロキシ芳香族化合物と第二のジヒドロキシ芳香族化合物のモル比は、使用するレゾルシノールのモル数を使用するBPA及びBPZのモル数の和で除した値として表される。前述の通り、一実施形態では、第一のジヒドロキシ芳香族化合物と第二のジヒドロキシ芳香族化合物とのモル比は約0.01〜約4の範囲内にある。別の実施形態では、第一のジヒドロキシ芳香族化合物と第二のジヒドロキシ芳香族化合物とのモル比は約0.05〜約0.7の範囲内にある。第一のジヒドロキシ芳香族化合物としてレゾルシノールを使用し、第二のジヒドロキシ芳香族化合物としてBPAを使用すると共に、レゾルシノールとBPAのモル比を約0.7としながら、本発明の方法に従って製造したコポリカーボネートは、重合反応時に損失が起こらなければ、最大で約41モル%のレゾルシノール由来繰返し単位を含み得るであろう。本発明の一側面は、高温及び低圧の条件下でかなりの量のヒドロキシ芳香族化合物副生物(通例はフェノール)を留去して反応混合物から除去することを伴う溶融重合条件下では、揮発性の高いモノマーの少なくとも一部の損失は避けられないことである。一態様では、本発明の方法は重合混合物からの揮発性の高い第一のジヒドロキシ芳香族化合物の損失を最小限に抑えると共に、第一のジヒドロキシ芳香族化合物由来の繰返し単位のコポリカーボネート生成物への組込みを最大にする。
【0048】
通例、本発明の方法は、ジアリールカーボネートIの使用量が反応混合物中に最初に存在するジアリールカーボネートIとすべてのジヒドロキシ芳香族化合物(即ち、第一及び第二のジヒドロキシ芳香族化合物)のモル比に対応すると共に、前記モル比が約0.90〜約1.20、好ましくは約1.01〜約1.10の範囲内に収まるように実施される。
【0049】
「溶融重合条件下で接触させる」という用語は、本発明の方法に従って使用するジアリールカーボネートとジヒドロキシ芳香族化合物との間で反応を行わせるために必要な条件を意味することが理解されよう。反応温度は通例約150〜約350℃の範囲内にあり、さらに好ましくは約180〜約310℃の範囲内にある。圧力は、重合反応の初期段階では大気圧、大気圧より高い圧力、又は一定範囲の圧力(例えば、約2気圧〜約15トルの圧力)であり得ると共に、後期段階では減圧(例えば、約15〜約0.1トルの範囲内の圧力)であり得る。反応時間は一般に約0.1〜約10時間の範囲内にあり、好ましくは約0.1〜約5時間の範囲内にある。
【0050】
本発明の方法を用いてコポリカーボネート合成を達成するには、有効量の触媒を使用しなければならない。触媒の使用量は、通例、重合反応で使用する第一のジヒドロキシ芳香族化合物と第二のジヒドロキシ芳香族化合物の全モル数を基準にしている。重合反応で使用する触媒(例えば、ホスホニウム塩II)とすべてのジヒドロキシ芳香族化合物の比をいう場合、「第一及び第二のジヒドロキシ芳香族化合物の合計量1モル当たり」のホスホニウム塩のモル数で表すのが便利である。これは、ホスホニウム塩のモル数を反応混合物中に存在する個々のジヒドロキシ芳香族化合物のモル数の和で除した値を意味する。
【0051】
通例、ホスホニウム塩IIの使用量は、第一及び第二のジヒドロキシ芳香族化合物の合計量1モル当たり約1×10−2〜約1×10−5モル、好ましくは約1×10−3〜約1×10−4モルの範囲内にある。
【0052】
通例、金属水酸化物触媒は、第一及び第二のジヒドロキシ芳香族化合物の合計量1モル当たり金属水酸化物約1×10−4〜約1×10−8モル、好ましくは1×10−4〜約1×10−7モルに相当する量で使用される。
【0053】
本発明の方法は、高分子量コポリカーボネートを得るために使用できる。高分子量コポリカーボネートは、15000ダルトンを超える重量平均分子量(M)を有するコポリカーボネートとして定義される。本発明の方法は、コポリカーボネートオリゴマーを得るためにも使用できる。コポリカーボネートオリゴマーは、15000ダルトン未満の重量平均分子量(M)を有するコポリカーボネートとして定義される。実施例1のコポリカーボネートは高分子量コポリカーボネートを例示する一方、実施例2のコポリカーボネートはコポリカーボネートオリゴマーを例示しており、それぞれが本発明の方法で製造される。
【0054】
一態様では、本発明の方法は、2種以上のジヒドロキシ芳香族化合物に由来する繰返し単位を含むと共に、前記ジヒドロキシ芳香族化合物の1種以上が約340℃以下の沸点を有するコポリカーボネートを提供する。本発明の方法に従って製造されるコポリカーボネートは、公知方法で製造される同じ分子量の同一組成コポリカーボネートより低いフリース含有量を有することを特徴とする。一実施形態では、本発明は、1種以上の第一のジヒドロキシ芳香族化合物及び1種以上の第二のジヒドロキシ芳香族化合物に由来する繰返し単位を含むと共に、第一のジヒドロキシ芳香族化合物が大気圧下で約340℃未満の沸点を有するコポリカーボネートであって、コポリカーボネート100万部当たりリン約3部以上に相当する量で残留ホスホニウム塩II又はそれに由来する生成物を含むコポリカーボネートを提供する。
【0055】
本発明の方法を用いて製造されるコポリカーボネートは、熱安定剤、離型剤及びUV安定剤のような通常の添加剤とブレンドし、光ディスク、光学レンズ、自動車ランプ部品などの各種成形物品に成形できる。通例、射出成形が好ましい。
【0056】
さらに、本発明の方法を用いて製造されるコポリカーボネートは、他のポリマー材料(例えば、他のポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、ポリエステル、及びABSのようなオレフィンポリマー)とブレンドすることができる。
【実施例】
【0057】
以下の実施例は、特許請求の範囲に記載した方法をいかに評価するかの詳しい説明を当業者に提供するために記載するものであり、本発明者らが発明として把握している範囲を限定するものではない。特記しない限り、部は重量部であり、温度は摂氏温度(℃)である。
【0058】
分子量は数平均分子量(M)又は重量平均分子量(M)として報告され、塩化メチレン(CHCl)中に約1mg/mLの濃度でコポリカーボネート生成物を含むポリマー溶液を用いてゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した。分子量は、ポリスチレン(PS)分子量標準を基準として求めた。
【0059】
所定のコポリカーボネート生成物の組成を決定するため、コポリカーボネートを加水分解してその構成モノマーの溶液を得た。次いで、溶液を適宜に希釈し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析することで、コポリカーボネートに存在する個々のモノマーの重量百分率を求めた。
【0060】
溶融重合
BPA及び様々な量のコモノマーを用いて反応を実施した。一般に、コモノマーの使用量はそのモル百分率で表される。本明細書中で用いるモル百分率(モル%)は、100×(コモノマーのモル数)/(モノマーの全モル数)として定義される。わずかに過剰のジフェニルカーボネート(DPC)を使用したが、これはモル数で表したDPCの量が理想的条件下ですべてのコモノマー間の完全な反応を達成するのに必要な化学量論的量よりわずかに多いことを意味している。わずかに過剰のジフェニルカーボネートが必要である理由は、特に溶融重合の初期段階の蒸発で一部のDPCが失われることにある。以下の比較例では、溶融重合触媒はテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)と水酸化ナトリウムの組合せであった。以下の実施例では、溶融重合触媒はテトラブチルホスホニウムアセテート(TBPA)と水酸化ナトリウムの組合せであった。触媒は水溶液として添加し、添加量は約100マイクロリットル(μl)であった。比較例1及び実施例1の溶融重合は、粘稠な融液を撹拌するための装備を有すると共に、周囲圧力又は減圧下で揮発性の反応副生物(例えば、フェノール)を除去することができるガラス製の標準的な実験室用溶融反応器内で実施した。反応体を仕込んだ後、反応器を窒素でパージした。窒素パージ後に触媒を添加した。重合反応の完了後、静かに窒素を流して反応器を大気圧に戻し、ポリマーを回収した。
【0061】
比較例1
酸洗浄、水洗、及び窒素ガスでの乾燥で溶融反応器を不動態化し、19.73gのBPA、2.38gのレゾルシノール、25.00gのDPC、並びにBPA及びレゾルシノールの全モル数当たり約2.5×10−4モルのTMAH及び約2.5×10−6モルのNaOHに相当する量である100μlのTMAH及びNaOH水溶液を仕込んだ。溶融重合の実施に使用した温度−圧力スケジュールは、下記の温度及び圧力で下記の時間にわたり加熱する段階からなっていた。即ち、それぞれ、(1)15分、180℃、大気圧、(2)45分、230℃、170mbar、(3)30分、270℃、20mbar、(4)30分、300℃、0.5〜1.5mbar。段階1〜4において、蒸留によってフェノール副生物を反応混合物から除去した。最終の反応段階後、コポリカーボネート生成物を回収して分析した。コポリカーボネート生成物は約55300ダルトンの重量平均分子量(M)を有し、使用した初期レゾルシノールの約70%を含んでいた。
【0062】
実施例1
使用した触媒が100μlのTBPA及びNaOH水溶液であり、前記100μlの水溶液が溶融重合で使用したBPA及びレゾルシノールの全モル数当たり約1.0×10−4モルのTBPA及び約2.5×10−6モルのNaOHに相当する量のTBPA及びNaOHを含んでいた点を除き、比較例1と同様に反応を実施した。溶融重合の実施に使用した温度−圧力スケジュールは、比較例1で使用したものと同一であった。コポリカーボネート生成物は約54800ダルトンの重量平均分子量(M)を有し、使用した初期レゾルシノールの約76%を含んでいた。
【0063】
比較例2
反応体(ジアリールカーボネート、レゾルシノール及びBPA)の溶融混合物を、2つの独立した第一溶融混合槽内で回分法で調製し、交互に再仕込みを行うことで単一の第二の溶融混合槽への溶融反応体の連続流れを得た。溶融混合物を、毎時約2019gのDPC、毎時1574gのBPA、及び毎時201gのレゾルシノールに相当する速度で、第二の溶融混合槽から第一の連続攪拌槽形反応器(CSTR)に供給した。TMAH及び水酸化ナトリウムの水溶液からなる触媒溶液を、毎時約6mLの速度で第一のCSTR内に連続的に導入した。BPA及びレゾルシノールの合計量1モルについてTMAH約2.5×10−4モルに相当する添加量のTMAHを第一のCSTR内に導入した。同様に、BPA及びレゾルシノールの合計量1モルについてNaOH約2.5×10−6モルに相当する添加量のNaOHを第一のCSTR内に導入した。第一のCSTRは約225℃の温度及び約170mbarの圧力に維持した。第一のCSTRからの流出液を第二のCSTR内に導入すると共に、第二のCSTRは約260℃の温度及び約20mbarの圧力に維持した。第一及び第二のCSTRにはそれぞれ、フェノール副生物を除去するための装備を設けた。生成物は、第二のCSTRから毎時約1.8kgの速度で流出するコポリカーボネートオリゴマーであった。生成物のコポリカーボネートオリゴマーは約5600ダルトンの重量平均分子量(M)を有し、使用した初期レゾルシノールの約72モル%を含んでいた。
【0064】
実施例2
触媒水溶液がTBPA及びNaOHからなっていた点を除き、比較例2と同様に反応を実施した。TBPA及びNaOHの量は、供給するBPA及びレゾルシノールの合計量1モル当たり約1.25×10−4モルのTBPA及び2.5×10−6モルのNaOHに相当していた。比較例2と同じく、触媒溶液は毎時約6mLで添加した。生成物は、第二のCSTRから毎時約1.8kgの速度で流出するコポリカーボネートオリゴマーであった。生成物のコポリカーボネートオリゴマーは約8100ダルトンの重量平均分子量(M)を有し、使用した初期レゾルシノールの約82モル%を含んでいた。
【0065】
実施例1及び2並びに比較例1及び2に関するデータを表1にまとめて示す。これらのデータによれば、若干のレゾルシノールは溶融重合反応時(実施例1及び比較例1)又は実施例2及び比較例2の連続オリゴマー化時に常に失われるにもかかわらず、第四級ホスホニウム塩触媒の使用でコポリカーボネート生成物(実施例1及び比較例1)又はコポリカーボネートオリゴマー(実施例2及び比較例2)への一貫して高いレベルのレゾルシノール組込みが達成されることがわかる。
【0066】
【表1】

【0067】
以上、本発明を特にその好ましい実施形態について詳しく説明してきたが、本発明の技術的思想及び技術的範囲内で様々な変形及び修正が可能であることは当業者ならば理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コポリカーボネートの製造方法であって、溶融重合条件下で1種以上の第一のジヒドロキシ芳香族化合物及び1種以上の第二のジヒドロキシ芳香族化合物を、以下の構造Iの1種以上のジアリールカーボネート及び1種以上の溶融重合触媒と接触させることを含んでなり、上記触媒が1種以上の金属水酸化物と以下の構造IIの1種以上の第四級ホスホニウム塩とを含み、第一のジヒドロキシ芳香族化合物が大気圧下で約340℃未満の沸点を有する、方法。
【化1】

式中、Rは各々独立にハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C〜C20アルキル基、C〜C20シクロアルキル基又はC〜C20アリール基であり、p及びqは独立に0〜5の整数である。
【化2】

式中、R〜Rは独立にC〜C20脂肪族基、C〜C20脂環式基又はC〜C20芳香族基であり、Xは有機又は無機陰イオンである。
【請求項2】
第一のジヒドロキシ芳香族化合物が次の構造IIIのジヒドロキシベンゼンからなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【化3】

式中、Rは各々独立にハロゲン原子又はC〜Cアルキル基であり、dは0〜4の整数である。
【請求項3】
前記ジヒドロキシベンゼンが、レゾルシノール、4−メチルレゾルシノール、5−メチルレゾルシノール、ヒドロキノン、2−メチルヒドロキノン、2−エチルヒドロキノン、2,5−ジメチルヒドロキノン、2,6−ジメチルヒドロキノン、カテコール、3−メチルカテコール、4−メチルカテコール及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項2記載の方法。
【請求項4】
第二のジヒドロキシ芳香族化合物が次の構造IVのビスフェノールである、請求項1記載の方法。
【化4】

式中、Rは各々独立にハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C〜C20アルキル基、C〜C20シクロアルキル基又はC〜C20アリール基であり、
n及びmは独立に0〜4の整数であり、
Wは結合、酸素原子、硫黄原子、SO基、C〜C20脂肪族基、C〜C20芳香族基、C〜C20脂環式基又は以下の基である。
【化5】

式中、R及びRは独立に水素原子、C〜C20アルキル基、C〜C20シクロアルキル基又はC〜C20アリール基であり、或いは
とRとが一緒にC〜C20脂環式環を形成するもので、該C〜C20脂環式環は適宜1以上のC〜C20アルキル基、C〜C20アリール基、C〜C21アラルキル基、C〜C20シクロアルキル基又はこれらの組合せで置換されていてもよい。
【請求項5】
前記ビスフェノールが、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシ−5−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−5−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−t−ブチル−5−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(5−ブロモ−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−5−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−5−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジイソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジフェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5,6−テトラクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5,6−テトラブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5,6−テトラメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(2,6−ジクロロ−3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2,6−ジブロモ−3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシ−5−イソプロピルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−5−イソプロピルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−t−ブチル−5−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−ブロモ−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−クロロ−5−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−ブロモ−5−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジイソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジフェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5,6−テトラクロロフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5,6−テトラブロモフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5,6−テトラメチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(2,6−ジクロロ−3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(2,6−ジブロモ−3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシ−5−イソプロピルフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−5−イソプロピルフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−t−ブチル−5−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−ブロモ−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(3−クロロ−5−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−ブロモ−5−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジイソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジフェニル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5,6−テトラクロロフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5,6−テトラブロモフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5,6−テトラメチルフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(2,6−ジクロロ−3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(2,6−ジブロモ−3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシ−1,1−ビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチル−1,1−ビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジオクチル−1,1−ビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルチオエーテル、1,3−ビス(2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル)ベンゼン、1,3−ビス(2−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−プロピル)ベンゼン、1,4−ビス(2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル)ベンゼン及び1,4−ビス(2−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−プロピル)ベンゼンからなる群から選択される、請求項4記載の方法。
【請求項6】
構造Iのジアリールカーボネートが、ジフェニルカーボネート、ビス(4−メチルフェニル)カーボネート、ビス(4−クロロフェニル)カーボネート、ビス(4−フルオロフェニル)カーボネート、ビス(2−クロロフェニル)カーボネート、ビス(2,4−ジフルオロフェニル)カーボネート、ビス(4−ニトロフェニル)カーボネート、ビス(2−ニトロフェニル)カーボネート及びビス(4−ブロモフェニル)カーボネートからなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記陰イオンが、水酸化物イオン、ハロゲン化物イオン、カルボン酸イオン、フェノキシドイオン、スルホン酸イオン、硫酸イオン、炭酸イオン及び重炭酸イオンからなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項8】
構造IIの第四級ホスホニウム塩が、テトラメチルホスホニウムヒドロキシド、テトラフェニルホスホニウムヒドロキシド、テトラフェニルホスホニウムアセテート、テトラメチルホスホニウムホルメート、テトラブチルホスホニウムヒドロキシド及びテトラブチルホスホニウムアセテートからなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記ホスホニウム塩がテトラブチルホスホニウムアセテートである、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記ホスホニウム塩がテトラフェニルホスホニウムアセテートである、請求項8記載の方法。
【請求項11】
前記金属水酸化物が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記金属水酸化物が水酸化ナトリウムである、請求項11記載の方法。
【請求項13】
第一のジヒドロキシ芳香族化合物と第二のジヒドロキシ芳香族化合物とのモル比が約0.01〜約4の範囲内にある、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記比が約0.05〜約0.7である、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記ホスホニウム塩が、第一及び第二のジヒドロキシ芳香族化合物の合計量1モル当たりホスホニウム塩約1×10−2〜約1×10−5モルに相当する量で存在する、請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記金属水酸化物が、第一及び第二のジヒドロキシ芳香族化合物の合計量1モル当たり金属水酸化物約1×10−4〜約1×10−8モルに相当する量で存在する、請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記溶融重合条件が、第一のジヒドロキシ芳香族化合物と第二のジヒドロキシ芳香族化合物と構造Iのジアリールカーボネートと溶融重合触媒との反応混合物を、約150〜約310℃の範囲内の温度及び約2気圧〜約0.1トルの圧力で加熱することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項18】
ビスフェノールAのコポリカーボネートの製造方法であって、溶融重合条件下において、以下の構造IIIの1種以上のジヒドロキシ芳香族化合物を、以下の第四級ホスホニウム塩IIと金属水酸化物とを含む溶融重合触媒の存在下でビスフェノールA及びジフェニルカーボネートと接触させることを含んでなり、ジヒドロキシ芳香族化合物IIIとビスフェノールAとのモル比が約0.01〜約4の範囲内にある、方法。
【化6】

式中、Rは各々独立にハロゲン原子又はC〜Cアルキル基であり、dは0〜4の整数である。
【化7】

式中、R〜Rは独立にC〜C20脂肪族基、C〜C20脂環式基又はC〜C20芳香族基であり、Xは有機又は無機陰イオンである。
【請求項19】
前記ジヒドロキシ芳香族化合物IIIが、レゾルシノール、4−メチルレゾルシノール、5−メチルレゾルシノール、ヒドロキノン、2−メチルヒドロキノン、2−エチルヒドロキノン、2,5−ジメチルヒドロキノン、2,6−ジメチルヒドロキノン、カテコール、3−メチルカテコール、4−メチルカテコール及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記ホスホニウム塩が、ジヒドロキシ芳香族化合物とビスフェノールAの合計量1モル当たりホスホニウム塩約1×10−2〜約1×10−5モルに相当する量で存在する、請求項18記載の方法。
【請求項21】
前記金属水酸化物が、ジヒドロキシ芳香族化合物とビスフェノールAの合計量1モル当たり金属水酸化物約1×10−4〜約1×10−8モルに相当する量で存在する、請求項18記載の方法。
【請求項22】
前記溶融重合条件が、約150〜約310℃の範囲内の温度及び約2気圧〜約0.1トルの圧力で加熱することを含む、請求項18記載の方法。
【請求項23】
請求項1記載の方法で製造したコポリカーボネート。
【請求項24】
請求項23記載のコポリカーボネートを含んでなるポリマーブレンド。
【請求項25】
請求項23記載のコポリカーボネートを含んでなる成形物品。
【請求項26】
請求項24記載のポリマーブレンドを含んでなる成形物品。
【請求項27】
残留ホスホニウム塩III又はそれに由来する生成物を、当該コポリカーボネート100万部当たりリン約3部以上に相当する量で含む、請求項1記載のコポリカーボネート。
【請求項28】
レゾルシノールとビスフェノールAのコポリカーボネートの製造方法であって、溶融重合条件下において、テトラブチルホスホニウムアセテートとアルカリ金属水酸化物とを含む溶融重合触媒の存在下でレゾルシノールをビスフェノールA及びジフェニルカーボネートと接触させることを含んでなり、レゾルシノールとビスフェノールAとのモル比が約10〜約0.1の範囲内にあり、テトラブチルホスホニウムアセテートはがレゾルシノールとビスフェノールAの合計量1モル当たりホスホニウム塩約1×10−2〜約1×10−5モルに相当する量で存在し、アルカリ金属水酸化物がレゾルシノールとビスフェノールAの合計量1モル当たりアルカリ金属水酸化物約1×10−4〜約1×10−8モルに相当する量で存在する、方法。
【請求項29】
請求項28記載の方法で製造したコポリカーボネート。
【請求項30】
請求項28記載のコポリカーボネートを含んでなるポリマーブレンド。
【請求項31】
請求項28記載のコポリカーボネートを含んでなる成形物品。
【請求項32】
請求項30記載のポリマーブレンドを含んでなる成形物品。

【公表番号】特表2006−504845(P2006−504845A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−550090(P2004−550090)
【出願日】平成15年10月24日(2003.10.24)
【国際出願番号】PCT/US2003/033716
【国際公開番号】WO2004/041907
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】