説明

コミュニケーション制御システム、コミュニケーション制御装置、コミュニケーション制御方法及びプログラム

【課題】異なる端末で実行される複数のコミュニケーションを同期できるコミュニケーション制御システム、コミュニケーション制御装置、コミュニケーション制御方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】コミュニケーション制御サーバ11において、コミュニケーション制御部5は、制御端末9からの制御要求を受けた際、セッション管理部4へユーザと各端末の情報を問い合わせる。それらの情報を元に、その要求に関連する要求先を、複数存在するサーバ6から特定する。そして、特定されたコミュニケーション提供サーバ6の端末コントロール部8へ要求を送信し、端末コントロール部8は、クライアント端末10へ制御命令を送り、クライアント端末10は、与えられた命令の動作を実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類、複数個の端末装置を使用してリアルタイムのコミュニケーションを実現するコミュニケーション制御システム、コミュニケーション制御装置、コミュニケーション制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザが、PC(Personal Computer)、PDA(Personal Digital Assistant)や電話端末など、複数種類、複数個の端末装置を使用して所定の相手とコミュニケーション(通信)を行う場合、各端末装置で提供されているコミュニケーション手段(通信手段)は、各々の端末単位ごとに独立したセッションとして管理され、また、それぞれ別個にセッションが確立される。よって、従来、各々の端末単位ごとに同期は行われていなかった。例えば、携帯電話で音声通話を行い、PCにて資料共有を行うといった場合や、一つのPCでビデオ会議を行い、他のPCで資料共有を行うといった場合、一人のユーザが、複数の端末を用いてコミュニケーションを行うためには、端末ごとにセッションを確立するための呼出などの操作が必要であり、ユーザに負荷がかかってしまう。また、一つの端末で複数のコミュニケーション手段の処理を行う場合、使用する端末の性能が低い場合は、コミュニケーションを行う上で品質に問題が生じる可能性がある。
また、端末間で相互にセッション管理を行う場合があるが、事前に登録されている端末を制御するものであった。
【0003】
従来技術例として、統合サービスにより複数の端末間でリアルタイムに情報交換を行う場合、管理装置とクライアントのクライアント管理部で複数のアプリケーションサーバのサービスを制御することにより、クライアント側で任意にアプリケーションを選択して、統合サービスを受けることができる「アプリケーション統合システム」がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−242999号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の発明では、一つのクライアント端末の中に複数種類のアプリケーションクライアント(コミュニケーション手段)を有する構成であるので、各アプリケーションクライアント(コミュニケーション手段)がそれぞれ異なる端末上にある場合には、各アプリケーションクライアントを同期することができない。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、異なる端末で実行される複数のコミュニケーションを同期できるコミュニケーション制御システム、コミュニケーション制御装置、コミュニケーション制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために、請求項1記載の発明は、複数の端末を連携させてリアルタイムにコミュニケーションを行うためのコミュニケーション制御システムであって、ユーザが所定のコミュニケーションを行う際に使用する複数のクライアント端末と、複数のクライアント端末に対して所定のコミュニケーションをそれぞれ提供する複数のコミュニケーション提供サーバと、コミュニケーション提供サーバで提供される所定のコミュニケーションを制御するコミュニケーション制御サーバと、ユーザが所定のクライアント端末への制御要求を行う際に使用する制御端末と、を有し、複数のクライアント端末のうち一のクライアント端末と、複数のコミュニケーション提供サーバのうち所定のコミュニケーション提供サーバとの間でセッションが確立されている際に、制御端末からコミュニケーション制御サーバに対して、一のクライアント端末とは別のクライアント端末への制御要求が送信された場合、コミュニケーション制御サーバは、制御端末から受信した制御要求及び確立されたセッションに基づいて、制御要求の対象であるクライアント端末と、クライアント端末に対応するコミュニケーション提供サーバとを特定し、特定したコミュニケーション提供サーバを介して、特定したクライアント端末に対して制御要求を送信し、制御要求を受信したクライアント端末は、制御要求に基づいて所定の制御を行うことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、コミュニケーション制御サーバは、少なくとも、所定のユーザを特定するためのユーザ情報と、所定のクライアント端末を特定するための端末情報と、所定のコミュニケーションを特定するためのコミュニケーション情報と、を記憶する各種情報記憶部と、所定のセッションを示すセッション情報を記憶するセッション情報記憶部と、セッション情報の管理を行う第1のセッション管理部と、制御端末からの制御要求を処理するコミュニケーション制御部と、を有し、第1のセッション管理部は、複数のクライアント端末のうち一のクライアント端末と、複数のコミュニケーション提供サーバのうち所定のコミュニケーション提供サーバとの間でセッションが確立された場合、コミュニケーション提供サーバから確立されたセッションを示すセッション情報を受信し、受信したセッション情報と、各種情報記憶部に記憶されている、ユーザ情報、端末情報、及びコミュニケーション情報とを関連付けた状態で、セッション記憶部に格納し、コミュニケーション制御部は、制御端末から、一のクライアント端末とは別のクライアント端末への制御要求を受信した場合、第1のセッション管理部を介して、セッション情報記憶部に格納されたセッション情報を取得し、制御端末から受信した制御要求及び取得したセッション情報に基づいて、制御要求の対象であるクライアント端末と、クライアント端末に対応するコミュニケーション提供サーバとを特定し、特定したクライアント端末及び特定したコミュニケーション提供サーバの状態を確認し、各状態が処理可能な状態である場合、特定したコミュニケーション提供サーバに対して制御要求を送信することを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、コミュニケーション提供サーバは、クライアント端末のセッションを管理する第2のセッション管理部と、クライアント端末の制御を行う端末コントロール部と、を有し、第2のセッション管理部は、複数のクライアント端末のうち一のクライアント端末の間でセッションが確立された場合、コミュニケーション制御サーバに対して確立されたセッションを示すセッション情報を送信し、端末コントロール部は、コミュニケーション制御サーバから制御要求を受信した場合、制御要求の対象であるクライアント端末に対して制御要求を送信することを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の発明において、制御端末は、複数のクライアント端末のうち一のクライアント端末と同一であることを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載のコミュニケーション制御システムにおいて、コミュニケーション制御サーバとして用いられることを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、ユーザが所定のコミュニケーションを行う際に使用する複数のクライアント端末と、複数のクライアント端末に対して所定のコミュニケーションをそれぞれ提供する複数のコミュニケーション提供サーバと、コミュニケーション提供サーバで提供される所定のコミュニケーションを制御するコミュニケーション制御サーバと、ユーザが所定のクライアント端末への制御要求を行う際に使用する制御端末と、を使用して、複数のクライアント端末を連携させてリアルタイムにコミュニケーションを行うコミュニケーション制御方法であって、複数のクライアント端末のうち一のクライアント端末と、複数のコミュニケーション提供サーバのうち所定のコミュニケーション提供サーバとの間でセッションが確立されている際に、制御端末からコミュニケーション制御サーバに対して、一のクライアント端末とは別のクライアント端末への制御要求が送信された場合、コミュニケーション制御サーバは、制御端末から受信した制御要求及び確立されたセッションに基づいて、制御要求の対象であるクライアント端末と、クライアント端末に対応するコミュニケーション提供サーバとを特定するステップと、特定したコミュニケーション提供サーバを介して、特定したクライアント端末に対して制御要求を送信するステップと、を実行し、制御要求を受信したクライアント端末は、制御要求に基づいて所定の制御を行うステップを実行することを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明において、コミュニケーション制御サーバは、少なくとも、所定のユーザを特定するためのユーザ情報と、所定のクライアント端末を特定するための端末情報と、所定のコミュニケーションを特定するためのコミュニケーション情報と、を記憶するステップと、複数のクライアント端末のうち一のクライアント端末と、複数のコミュニケーション提供サーバのうち所定のコミュニケーション提供サーバとの間でセッションが確立された場合、コミュニケーション提供サーバから確立されたセッションを示すセッション情報を受信するステップと、受信したセッション情報と、ユーザ情報、端末情報、及びコミュニケーション情報とを関連付けた状態で記憶するステップと、制御端末から、一のクライアント端末とは別のクライアント端末への制御要求を受信した場合、制御端末から受信した制御要求及び記憶したセッション情報に基づいて、制御要求の対象であるクライアント端末と、クライアント端末に対応するコミュニケーション提供サーバとを特定するステップと、特定したクライアント端末及び特定したコミュニケーション提供サーバの状態を確認するステップと、各状態が処理可能な状態である場合、特定したコミュニケーション提供サーバに対して制御要求を送信するステップと、を実行することを特徴とする。
【0013】
請求項8記載の発明は、請求項6又は7記載の発明において、コミュニケーション提供サーバは、複数のクライアント端末のうち一のクライアント端末の間でセッションが確立された場合、コミュニケーション制御サーバに対して確立されたセッションを示すセッション情報を送信するステップと、コミュニケーション制御サーバから制御要求を受信した場合、制御要求の対象であるクライアント端末に対して制御要求を送信するステップと、を実行することを特徴とする。
【0014】
請求項9記載の発明は、請求項6から8のいずれか1項に記載の発明において、制御端末は、複数のクライアント端末のうち一のクライアント端末と同一であることを特徴とする。
【0015】
請求項10記載の発明は、ユーザが所定のコミュニケーションを行う際に使用する複数のクライアント端末と、複数のクライアント端末に対して所定のコミュニケーションをそれぞれ提供する複数のコミュニケーション提供サーバと、コミュニケーション提供サーバで提供される所定のコミュニケーションを制御するコミュニケーション制御サーバと、ユーザが所定のクライアント端末への制御要求を行う際に使用する制御端末と、に複数のクライアント端末を連携させてリアルタイムにコミュニケーションを行うコミュニケーション制御方法を実行させるためのプログラムであって、複数のクライアント端末のうち一のクライアント端末と、複数のコミュニケーション提供サーバのうち所定のコミュニケーション提供サーバとの間でセッションが確立されている際に、制御端末からコミュニケーション制御サーバに対して、一のクライアント端末とは別のクライアント端末への制御要求が送信された場合、
コミュニケーション制御サーバに、制御端末から受信した制御要求及び確立されたセッションに基づいて、制御要求の対象であるクライアント端末と、クライアント端末に対応するコミュニケーション提供サーバとを特定する処理と、特定したコミュニケーション提供サーバを介して、特定したクライアント端末に対して制御要求を送信する処理と、を実行させることを特徴とする。
【0016】
請求項11記載の発明は、請求項10記載の発明において、コミュニケーション制御サーバに、少なくとも、所定のユーザを特定するためのユーザ情報と、所定のクライアント端末を特定するための端末情報と、所定のコミュニケーションを特定するためのコミュニケーション情報と、を記憶する処理と、複数のクライアント端末のうち一のクライアント端末と、複数のコミュニケーション提供サーバのうち所定のコミュニケーション提供サーバとの間でセッションが確立された場合、コミュニケーション提供サーバから確立されたセッションを示すセッション情報を受信する処理と、受信したセッション情報と、ユーザ情報、端末情報、及びコミュニケーション情報とを関連付けた状態で記憶する処理と、制御端末から、一のクライアント端末とは別のクライアント端末への制御要求を受信した場合、制御端末から受信した制御要求及び記憶したセッション情報に基づいて、制御要求の対象であるクライアント端末と、クライアント端末に対応するコミュニケーション提供サーバとを特定する処理と、特定したクライアント端末及び特定したコミュニケーション提供サーバの状態を確認する処理と、各状態が処理可能な状態である場合、特定したコミュニケーション提供サーバに対して制御要求を送信する処理と、を実行させることを特徴とする。
【0017】
請求項12記載の発明は、請求項10又は11記載の発明において、コミュニケーション提供サーバに、複数のクライアント端末のうち一のクライアント端末の間でセッションが確立された場合、コミュニケーション制御サーバに対して確立されたセッションを示すセッション情報を送信する処理と、コミュニケーション制御サーバから制御要求を受信した場合、制御要求の対象であるクライアント端末に対して制御要求を送信する処理と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数種類の通信がそれぞれ異なる端末で実行される場合、それらの通信を同期することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
まず、本発明の特徴について説明する。
本発明は、従来、端末単位ごとに提供されていたコミュニケーションを、ユーザ単位で管理することにより、同時に複数の端末によるコミュニケーションや、同種あるいは異種の複数端末による多種のコミュニケーション手段を用いたコミュニケーションを実現する。
また、異種端末による同種のコミュニケーション手段を選択、もしくは同時使用を可能とすることにより、障害時に有効なコミュニケーション手段を用いることによるリスク回避が可能である。
【0021】
次に、本発明の概要について説明する。
図1において、コミュニケーション制御部5は、制御端末9からの制御要求を受けた際、セッション管理部4へユーザと各端末の情報を問い合わせる。それらの情報を元に、その要求に関連する要求先を、複数存在するサーバ6から特定する。要求先は、複数存在する場合もある。そして、特定されたコミュニケーション提供サーバ6の端末コントロール部8へ要求を送信し、端末コントロール部8は、クライアント端末10へ制御命令を送り、クライアント端末10は、与えられた命令の動作を実施する。
【実施例】
【0022】
以下、本発明の実施例の構成について図面を参照して詳細に説明する。
図1を参照すると、本発明の実施例であるコミュニケーション制御システムは、ユーザがコミュニケーションを行う際に使用する複数台のクライアント端末10と、ユーザがコミュニケーションの制御を行いたい場合に使用する制御端末9と、クライアント端末10に対して所定のコミュニケーション手段を提供する複数のコミュニケーション提供サーバ6と、コミュニケーション提供サーバ6で提供される所定のコミュニケーション手段を制御するコミュニケーション制御サーバ11と、を有して構成され、これら各装置(端末及びサーバ)は、有線又は無線にて通信を行う機能を有する。
【0023】
なお、図1において、複数のクライアント端末10は、複数種類、または同じ種類のものが複数台存在しうる。また、制御端末9は、複数のクライアント端末10のうちの一つと同一の場合もありうる。
【0024】
コミュニケーション制御サーバ11は、図1に示すように、各種情報を記憶する各種情報記憶部2と、各種情報記憶部2に保持される各種情報を管理し、各種情報を元に所定の処理を行うユーザ管理部1と、ユーザに関連する全セッション情報の管理を行うセッション管理部4と、所定のセッション情報を記憶するセッション情報記憶部3と、制御端末9からの要求を処理するコミュニケーション制御部5と、を有する。
【0025】
各種情報記憶部2は、ユーザに関する種々の内容(ユーザを特定するための内容)を含むユーザ情報、ユーザに使用される端末に関する種々の内容(端末を特定するための内容)を含む端末情報、ユーザに実行されるコミュニケーション手段に関する種々の内容(コミュニケーション手段を特定するための内容)を含むコミュニケーション手段情報、等の各種情報が記憶される。
【0026】
セッション管理部4は、現在存在するセッション情報を、セッション情報記録部3を用いて、記録、参照を行う。
【0027】
コミュニケーション提供サーバ6は、各端末の種別ごとや、提供するコミュニケーション手段ごとに複数存在しうる。このコミュニケーション提供サーバ6は、図1に示すように、クライアント端末10の各セッションを管理するセッション管理部7と、クライアント端末10の制御を行う端末コントロール部8と、を有する。
【0028】
本実施例のコミュニケーション制御システムは、以下のように動作する。
セッション管理部7は、クライアント端末10が使用されている際に、そのセッション情報を、セッション管理部4に通知する。セッション管理部4は、受け取った全てのセッション情報をセッション情報記録部3に記録を行う。その後、ユーザによって制御端末9を通して各端末もしくはコミュニケーション手段の制御を行う命令が入力された場合、その命令は、コミュニケーション制御部5に送信される。コミュニケーション制御部5では、ユーザに関連する全セッション情報を、セッション管理部4より取得し、受け取った命令に関係するサーバ6とクライアント10の状態を確認し、処理をサーバ6内の端末コントロール部8へ送信する。その命令は、端末コントロール部8により、クライアント端末10へ送信され、実際の制御処理が行われる。
【0029】
次に、図2を参照して、本実施例の動作について説明する。
まず、クライアント端末10が、所定のコミュニケーション機能を使用するために、所定のコミュニケーション提供サーバ6に対してセッション要求を行う(ステップS1)。そして、コミュニケーション提供サーバ6とクライアント端末10との間でセッションの確立が行われる(ステップS2)。
【0030】
ステップS2においてセッションの確立が行われると、コミュニケーション提供サーバ6のセッション管理部7は、クライアント端末10に関する状態などを含むセッション情報を、コミュニケーション制御サーバ11のセッション管理部4に通知する(ステップS3)。
【0031】
ここで、コミュニケーション提供サーバ6とクライアント端末10の間のセッションが、各種情報記録部2のユーザ情報を用いてセッション管理が行われる場合は、そのセッションで用いられているユーザ情報を、セッション管理部7からセッション管理部4へ通知する。
【0032】
また、上記のようにユーザ単位ではなく端末単位でセッション管理が行われる場合は、セッション管理部4が、クライアント端末10とユーザ情報の関連について、ユーザ管理部1へ問い合わせ、各種情報記憶部2に記憶されている各種情報に基づいて解決を行う。
【0033】
セッション管理部4は、受信したセッション情報を、ユーザ情報、端末情報、コミュニケーション手段情報の全ての情報を関連付けた状態で、セッション情報記録部3に格納する(ステップS4)。
【0034】
なお、セッションの確立が無くなった場合は、セッション管理部7からセッション管理部4へセッションの確立が無くなった旨の通知が行われ、セッション情報記録部3に保持される、当該セッションのセッション情報は削除される。
【0035】
次に、ユーザが、現在セッションが確立されているクライアント端末10に別のクライアント端末10’を同期させたい場合、同期の対象となるクライアント端末10’への制御命令を、制御端末9において入力すると、その制御命令は、制御端末9からコミュニケーション制御部5へ送信される(ステップS5)。
【0036】
コミュニケーション制御部5では、ユーザに関連する全セッション情報を、セッション管理部4を介してセッション情報記憶部3から取得し、取得した全セッション情報に基づいて、受け取った制御命令に関係するコミュニケーション提供サーバ6’及びクライアント端末10’と、コミュニケーション相手のクライアント端末とを特定し、コミュニケーション提供サーバ6’、クライアント端末10’、及びコミュニケーション相手のクライアント端末の各状態を確認する(ステップS6)。
【0037】
上記各状態が処理可能な状態であるならば、制御命令をコミュニケーション提供サーバ6内の端末コントロール部8へ送信する。そして、端末コントロール部8により、該当するクライアント端末10’へその制御命令が送信され(ステップS7)、クライント端末10’において、制御命令に基づいて実際の制御処理(所定のコミュニケーション手段の開始)が行われる(ステップS8)。
【0038】
次に、具体例を用いて図2の動作を説明する。
ユーザであるA氏が、B氏と電話端末にて通話を開始した際に、そのセッション情報は、セッション管理部7により、セッション管理部4へ通知される。セッション管理部4は、電話端末情報に基づいて、関連するユーザ情報と、実行可能なコミュニケーション手段情報とを、ユーザ管理部1に問い合わせ、各種情報記憶部2よりそれぞれ取得する。
【0039】
セッション管理部4が取得したセッション情報は、ユーザ単位にて管理され、セッション情報記憶部3に格納される。この例では、A氏の電話端末番号を1000とし、B氏の電話端末番号を2000とした場合、「A氏が1000の電話端末を用いて、B氏は2000の電話端末を用いて、音声通話によるコミュニケーション手段にて、コミュニケーションを行っている」というセッション情報が、セッション情報記憶部3に記憶される。なお、A氏の電話端末番号が1000であるという情報は、各種情報記憶部2にて管理されており、ユーザ管理部1を通して、その情報を取得する。
【0040】
電話端末のように固有のIDとユーザを関連付けている場合以外に、クライアント端末10からコミュニケーション提供サーバ6へユーザ認証を行い、セッションの確立を行う場合は、ユーザが使用している端末の情報は動的にセッション管理部4により、セッション情報記憶部3に記憶される。例えば、PCからログインした場合などがそれにあたる。
【0041】
次に、A氏が、B氏と電話端末により通話中に、その電話端末以外の端末であるPCを用いて資料などの文書データの共有を行う場合、A氏は、制御端末9を用いて、通話中の相手であるB氏と資料共有を開始するための制御命令を入力する。その制御命令は、制御端末9からコミュニケーション制御部5へ送信される。
【0042】
コミュニケーション制御部5では、現在のA氏とその通話相手であるB氏の全セッション情報を、セッション管理部4に問い合わせる。セッション管理部4は、セッション情報記憶部3に格納されているA氏とB氏とがログイン済みであるPC端末(クライアント端末10の一つ)の情報を取得し、コミュニケーション制御部5へ返却を行う。
【0043】
コミュニケーション制御部5は、A氏とB氏が、資料共有が可能である状態であることを確認し、対応するコミュニケーション提供サーバ6の端末コントロール部8へ、資料共有開始の制御命令を送信する。
【0044】
端末コントロール部8は、A氏のPC端末と、B氏のPC端末とへ資料共有開始の制御命令を送り、双方のPC端末において資料の共有処理が開始される。
【0045】
上記例では、ユーザが1対1(A氏とB氏)のコミュニケーションについて説明したが、例えば、1対複数(例えば、A氏と、B氏及びC氏)のコミュニケーションを行うこともできる。この場合、例えばA氏からの制御命令は、B氏及びC氏の端末に送信される。
【0046】
また、他の実施例として、複数のPC端末を用いたコミュニケーションを行うこともできる。例えば、A氏が使用するPC端末が2つある場合、一のPC端末ではビデオを表示し、もう一つのPC端末では資料共有を表示するというように、同種の異なる端末によるコミュニケーションの同期制御を行える。
【0047】
本実施例によれば、以下の効果を奏する。
第1の効果は、複数のコミュニケーション手段に関連した作業を軽減できることである。その理由は、ユーザに対応付けられた端末、もしくはユーザが現在使用している端末情報を管理し、集中的にコントロールが可能なためである。例えば、それぞれの端末によるコミュニケーションの呼出作業などを軽減できる。
【0048】
第2の効果は、コミュニケーションにおける情報の量を多くし、質を高めることができることである。その理由は、異なる端末や、複数のコミュニケーション手段を統合して、一つのコミュニケーションとして扱い実施できるためである。
【0049】
第3の効果は、コミュニケーションを行っている際に、後から動的に、他の端末を用いたコミュニケーション手段を追加できることである。その理由は、ユーザの所有する端末、ユーザがログインしたセッション情報を、ユーザ単位でサーバにて管理しているためである。
【0050】
第4の効果は、同じ種類のコミュニケーション手段を、異なる端末に動的に切り替えることができることである。その理由は、ユーザ単位で現在使用可能なコミュニケーション手段を管理しており、そのコミュニケーション手段の情報の管理、制御機能を含んでいるためである。
【0051】
第5の効果は、コミュニケーション手段の障害のリスクを軽減できることである。その理由は、同種のコミュニケーション手段において、異なる端末に動的に切り替えることができるからである。
【0052】
第6の効果は、コミュニケーションを実施する処理における負荷を分散できることである。その理由は、複数の異なる端末による統合されたコミュニケーションを提供可能であるからである。
【0053】
以上、本発明の実施例について説明したが、上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、本発明によれば、電話、Web会議、メッセージングシステムなどを制御するための装置またはプログラムと言った用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施例のコミュニケーション制御システムに係る全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例コミュニケーション制御システムに係る動作を示すシーケンスチャートである。
【符号の説明】
【0056】
1 ユーザ管理部
2 各種情報記憶部
3 セッション情報記憶部
4 セッション管理部(第1のセッション管理部)
5 コミュニケーション制御部
6 コミュニケーション提供サーバ
7 セッション管理部(第2のセッション管理部)
8 端末コントロール部
9 制御端末
10 クライアント端末
11 コミュニケーション制御サーバ(コミュニケーション制御装置の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端末を連携させてリアルタイムにコミュニケーションを行うためのコミュニケーション制御システムであって、
ユーザが所定のコミュニケーションを行う際に使用する複数のクライアント端末と、
前記複数のクライアント端末に対して所定のコミュニケーションをそれぞれ提供する複数のコミュニケーション提供サーバと、
前記コミュニケーション提供サーバで提供される所定のコミュニケーションを制御するコミュニケーション制御サーバと、
前記ユーザが所定のクライアント端末への制御要求を行う際に使用する制御端末と、を有し、
前記複数のクライアント端末のうち一のクライアント端末と、前記複数のコミュニケーション提供サーバのうち所定のコミュニケーション提供サーバとの間でセッションが確立されている際に、前記制御端末から前記コミュニケーション制御サーバに対して、前記一のクライアント端末とは別のクライアント端末への制御要求が送信された場合、
前記コミュニケーション制御サーバは、
前記制御端末から受信した制御要求及び前記確立されたセッションに基づいて、該制御要求の対象であるクライアント端末と、該クライアント端末に対応するコミュニケーション提供サーバとを特定し、
前記特定したコミュニケーション提供サーバを介して、前記特定したクライアント端末に対して前記制御要求を送信し、
前記制御要求を受信したクライアント端末は、
前記制御要求に基づいて所定の制御を行うことを特徴とするコミュニケーション制御システム。
【請求項2】
前記コミュニケーション制御サーバは、
少なくとも、所定のユーザを特定するためのユーザ情報と、所定のクライアント端末を特定するための端末情報と、所定のコミュニケーションを特定するためのコミュニケーション情報と、を記憶する各種情報記憶部と、
所定のセッションを示すセッション情報を記憶するセッション情報記憶部と、
前記セッション情報の管理を行う第1のセッション管理部と、
前記制御端末からの制御要求を処理するコミュニケーション制御部と、を有し、
前記第1のセッション管理部は、
前記複数のクライアント端末のうち一のクライアント端末と、前記複数のコミュニケーション提供サーバのうち所定のコミュニケーション提供サーバとの間でセッションが確立された場合、前記コミュニケーション提供サーバから前記確立されたセッションを示すセッション情報を受信し、
前記受信したセッション情報と、前記各種情報記憶部に記憶されている、前記ユーザ情報、前記端末情報、及び前記コミュニケーション情報とを関連付けた状態で、前記セッション記憶部に格納し、
前記コミュニケーション制御部は、
前記制御端末から、前記一のクライアント端末とは別のクライアント端末への制御要求を受信した場合、前記第1のセッション管理部を介して、前記セッション情報記憶部に格納されたセッション情報を取得し、
前記制御端末から受信した制御要求及び前記取得したセッション情報に基づいて、該制御要求の対象であるクライアント端末と、該クライアント端末に対応するコミュニケーション提供サーバとを特定し、
前記特定したクライアント端末及び前記特定したコミュニケーション提供サーバの状態を確認し、
前記各状態が処理可能な状態である場合、前記特定したコミュニケーション提供サーバに対して前記制御要求を送信することを特徴とする請求項1記載のコミュニケーション制御システム。
【請求項3】
前記コミュニケーション提供サーバは、
前記クライアント端末のセッションを管理する第2のセッション管理部と、
前記クライアント端末の制御を行う端末コントロール部と、を有し、
前記第2のセッション管理部は、
前記複数のクライアント端末のうち一のクライアント端末の間でセッションが確立された場合、前記コミュニケーション制御サーバに対して前記確立されたセッションを示すセッション情報を送信し、
前記端末コントロール部は、
前記コミュニケーション制御サーバから前記制御要求を受信した場合、該制御要求の対象であるクライアント端末に対して該制御要求を送信することを特徴とする請求項1又は2記載のコミュニケーション制御システム。
【請求項4】
前記制御端末は、前記複数のクライアント端末のうち一のクライアント端末と同一であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のコミュニケーション制御システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のコミュニケーション制御システムにおいて、コミュニケーション制御サーバとして用いられることを特徴とするコミュニケーション制御装置。
【請求項6】
ユーザが所定のコミュニケーションを行う際に使用する複数のクライアント端末と、
前記複数のクライアント端末に対して所定のコミュニケーションをそれぞれ提供する複数のコミュニケーション提供サーバと、
前記コミュニケーション提供サーバで提供される所定のコミュニケーションを制御するコミュニケーション制御サーバと、
前記ユーザが所定のクライアント端末への制御要求を行う際に使用する制御端末と、を使用して、複数のクライアント端末を連携させてリアルタイムにコミュニケーションを行うコミュニケーション制御方法であって、
前記複数のクライアント端末のうち一のクライアント端末と、前記複数のコミュニケーション提供サーバのうち所定のコミュニケーション提供サーバとの間でセッションが確立されている際に、前記制御端末から前記コミュニケーション制御サーバに対して、前記一のクライアント端末とは別のクライアント端末への制御要求が送信された場合、
前記コミュニケーション制御サーバは、
前記制御端末から受信した制御要求及び前記確立されたセッションに基づいて、該制御要求の対象であるクライアント端末と、該クライアント端末に対応するコミュニケーション提供サーバとを特定するステップと、
前記特定したコミュニケーション提供サーバを介して、前記特定したクライアント端末に対して前記制御要求を送信するステップと、を実行し、
前記制御要求を受信したクライアント端末は、
前記制御要求に基づいて所定の制御を行うステップを実行することを特徴とするコミュニケーション制御方法。
【請求項7】
前記コミュニケーション制御サーバは、
少なくとも、所定のユーザを特定するためのユーザ情報と、所定のクライアント端末を特定するための端末情報と、所定のコミュニケーションを特定するためのコミュニケーション情報と、を記憶するステップと、
前記複数のクライアント端末のうち一のクライアント端末と、前記複数のコミュニケーション提供サーバのうち所定のコミュニケーション提供サーバとの間でセッションが確立された場合、前記コミュニケーション提供サーバから前記確立されたセッションを示すセッション情報を受信するステップと、
前記受信したセッション情報と、前記ユーザ情報、前記端末情報、及び前記コミュニケーション情報とを関連付けた状態で記憶するステップと、
前記制御端末から、前記一のクライアント端末とは別のクライアント端末への制御要求を受信した場合、前記制御端末から受信した制御要求及び前記記憶したセッション情報に基づいて、該制御要求の対象であるクライアント端末と、該クライアント端末に対応するコミュニケーション提供サーバとを特定するステップと、
前記特定したクライアント端末及び前記特定したコミュニケーション提供サーバの状態を確認するステップと、
前記各状態が処理可能な状態である場合、前記特定したコミュニケーション提供サーバに対して前記制御要求を送信するステップと、
を実行することを特徴とする請求項6記載のコミュニケーション制御方法。
【請求項8】
前記コミュニケーション提供サーバは、
前記複数のクライアント端末のうち一のクライアント端末の間でセッションが確立された場合、前記コミュニケーション制御サーバに対して前記確立されたセッションを示すセッション情報を送信するステップと、
前記コミュニケーション制御サーバから前記制御要求を受信した場合、該制御要求の対象であるクライアント端末に対して該制御要求を送信するステップと、
を実行することを特徴とする請求項6又は7記載のコミュニケーション制御方法。
【請求項9】
前記制御端末は、前記複数のクライアント端末のうち一のクライアント端末と同一であることを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載のコミュニケーション制御方法。
【請求項10】
ユーザが所定のコミュニケーションを行う際に使用する複数のクライアント端末と、
前記複数のクライアント端末に対して所定のコミュニケーションをそれぞれ提供する複数のコミュニケーション提供サーバと、
前記コミュニケーション提供サーバで提供される所定のコミュニケーションを制御するコミュニケーション制御サーバと、
前記ユーザが所定のクライアント端末への制御要求を行う際に使用する制御端末と、に複数のクライアント端末を連携させてリアルタイムにコミュニケーションを行うコミュニケーション制御方法を実行させるためのプログラムであって、
前記複数のクライアント端末のうち一のクライアント端末と、前記複数のコミュニケーション提供サーバのうち所定のコミュニケーション提供サーバとの間でセッションが確立されている際に、前記制御端末から前記コミュニケーション制御サーバに対して、前記一のクライアント端末とは別のクライアント端末への制御要求が送信された場合、
前記コミュニケーション制御サーバに、
前記制御端末から受信した制御要求及び前記確立されたセッションに基づいて、該制御要求の対象であるクライアント端末と、該クライアント端末に対応するコミュニケーション提供サーバとを特定する処理と、
前記特定したコミュニケーション提供サーバを介して、前記特定したクライアント端末に対して前記制御要求を送信する処理と、を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項11】
前記コミュニケーション制御サーバに、
少なくとも、所定のユーザを特定するためのユーザ情報と、所定のクライアント端末を特定するための端末情報と、所定のコミュニケーションを特定するためのコミュニケーション情報と、を記憶する処理と、
前記複数のクライアント端末のうち一のクライアント端末と、前記複数のコミュニケーション提供サーバのうち所定のコミュニケーション提供サーバとの間でセッションが確立された場合、前記コミュニケーション提供サーバから前記確立されたセッションを示すセッション情報を受信する処理と、
前記受信したセッション情報と、前記ユーザ情報、前記端末情報、及び前記コミュニケーション情報とを関連付けた状態で記憶する処理と、
前記制御端末から、前記一のクライアント端末とは別のクライアント端末への制御要求を受信した場合、前記制御端末から受信した制御要求及び前記記憶したセッション情報に基づいて、該制御要求の対象であるクライアント端末と、該クライアント端末に対応するコミュニケーション提供サーバとを特定する処理と、
前記特定したクライアント端末及び前記特定したコミュニケーション提供サーバの状態を確認する処理と、
前記各状態が処理可能な状態である場合、前記特定したコミュニケーション提供サーバに対して前記制御要求を送信する処理と、
を実行させることを特徴とする請求項10記載のプログラム。
【請求項12】
前記コミュニケーション提供サーバに、
前記複数のクライアント端末のうち一のクライアント端末の間でセッションが確立された場合、前記コミュニケーション制御サーバに対して前記確立されたセッションを示すセッション情報を送信する処理と、
前記コミュニケーション制御サーバから前記制御要求を受信した場合、該制御要求の対象であるクライアント端末に対して該制御要求を送信する処理と、
を実行させることを特徴とする請求項10又は11記載のプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2007−249823(P2007−249823A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−75140(P2006−75140)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】