説明

コミュニケーション支援メールシステム

【課題】複数人による共同作業時の情報のやり取りに用いられるコミュニケーション支援メールシステムを提供することを課題とする。
【解決手段】メールの配信、蓄積機能を有するメールサーバ1と、データを蓄積するデータサーバ2と、メールサーバ1及びデータサーバ2を制御する管理サーバ3とを備え、複数人によって任務を遂行する際のコミュニケーションに用いられるコミュニケーション支援メールシステムにおいて、管理サーバ3が、任務遂行のための指示に対応して定義されるミッションの参加メンバーであるミッションメンバーを上記ミッションとともにデータサーバ3に記録し、メールが送信又は受信されると該メールがどのミッションに関するメールかを識別し、メールサーバ1を制御して上記メールをミッションメンバー全員に送信するメール送信機能を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は複数人による共同作業時のコミュニケーションに用いられるコミュニケーション支援メールシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業等では、複数のメンバーが共同で任務を遂行することが多く、この際にメンバー間のコミュニケーション手段として用いられる有効なものの1つとして、電子メールがあげられる。電子メールは近年のインターネットの急速な普及により頻繁に利用されるようになり、これを用いれば電話と異なりコネクションレス型の非同期的な情報のやり取りが可能になるため、相手がいなくてもメッセージを送信しておいたり、相手からのメッセージを都合のよい時に閲覧したりすることができる。
【0003】
しかし、電子メールは基本的に1対1の情報のやりとりを前提としており、3人以上のメンバー間でのコミュニケーションには適していないという欠点がある。この問題を解決するために、1つの任務遂行事項を1プロジェクトとして定義し、個々のプロジェクトにメールアカウントを対応させ、該メールアカウント宛に送信されてきた電子メールを、対応するプロジェクトのメンバー全員に転送する特許文献1に示す技術が公知となっている。この技術を用いれば、電子メールにより1対多、多対1、多対多のコミュニケーションを確立することが可能になる。
【特許文献1】特開2003ー223395号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によれば、電子メールの「宛先:」の欄や「CC:」の欄の記載に関わらず、プロジェクトメンバー全員がプロジェクトメンバー間の電子メールを受信することができるが、プロジェクトメンバーに対応してメールアカウントが作成されるため、管理するプロジェクトの数が多くなるとメールアカウントの数が多くなるという問題がある。
【0005】
また、プロジェクトを立ち上げる度にプロジェクトの作成作業を行う必要があり、手間がかかる他、プロジェクトメンバー以外の者とやりとりをする場合、プロジェクトメンバーにその者を追加する作業をしないと、その者ととのやりとりをプロジェクトメンバー間で共有できない。
【0006】
さらに、メールアカウント作成のための特殊なシステムをSMTPサーバ、POPサーバ又はIMAPサーバ等のメールサーバと密接に連動させて設ける必要があるため、例えば社内にある既存のメールサーバを用いてこのシステムを構築することが困難である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明のコミュニケーション支援メールシステムは、第1にメールの配信、蓄積機能を有するメールサーバ1と、データを蓄積するデータサーバ2と、メールサーバ1及びデータサーバ2を制御する管理サーバ3とを備え、複数人によって任務を遂行する際のコミュニケーションに用いられるコミュニケーション支援メールシステムにおいて、管理サーバ3が、任務遂行のための指示に対応して定義されるミッションの参加メンバーであるミッションメンバーを上記ミッションとともにデータサーバ3に記録し、メールが送信又は受信されると該メールがどのミッションに関するメールかを識別し、メールサーバ1を制御して上記メールをミッションメンバー全員に送信するメール送信機能を備えたことを特徴としている。
【0008】
第2に、メールサーバ1を介して送信又は受信されるメールを、データサーバ2に記録する機能を、管理サーバ3が備えたことを特徴としている。
【0009】
第3に、データサーバ2に記録されたメールの属するミッションを該メール情報とともにデータサーバ2に記録する機能を、管理サーバ3が備えたことを特徴としている。
【0010】
第4に、データサーバ2に記録されたメールが送信される元になった元メール情報を該メール情報とともにデータサーバ2に記録する機能を、管理サーバ3が備えたことを特徴としている。
【0011】
第5に、メールサーバ1を介してメールが送信又は受信されると、上記メールの元になった元メールを識別し且つ元メールがどのミッションに属するかをデータサーバ2の情報を利用して識別することにより、上記メールの属するミッションを識別する機能を、管理サーバ3が備えたことを特徴としている。
【0012】
第6に、メールサーバ1を介してメールが送信又は受信されると、上記メールのヘッタ情報から上記メールの元になった元メールを識別し且つ元メールがどのミッションに属するかをデータサーバ2の情報を利用して識別することにより、上記メールの属するミッションを識別する機能を、管理サーバ3が備えたことを特徴としている。
【0013】
第7に、メールサーバ1を介してメールが送信又は受信されると、上記メールの宛先に上記メールの属するミッションのミッションメンバー以外のメンバーが含まれているか否かを識別し、ミッションメンバー以外のメンバーが含まれている場合にはその者を上記ミッションのミッションメンバーに追加する機能を、管理サーバ3が備えたことを特徴としている。
【0014】
第8に、メールサーバ1を介したメールの送信によりミッションを開始又は終了させる機能を管理サーバ3が備えたことを特徴としている。
【0015】
第9に、任務に対応して定義されるプロジェクトをデータサーバ2に記録し且つデータサーバ2に記録されたミッション情報にミッションの属するプロジェクトを記録する機能を、管理サーバ3が備えたことを特徴としている。
【0016】
第10に、メールサーバ1にメールアカウントを有するメンバーがプロジェクトを自由に作成できる機能を管理サーバ3が備えたことを特徴としている。
【0017】
第11に、メールサーバ1を介してメールが送信又は受信された場合に、上記メールの送信時間と、上記メールの元になった元メールの送信時間との差分を返信に要した返信時間としてデータサーバ2に記録する機能を、管理サーバ3が備えたことを特徴としている。
【0018】
第12に、メールサーバ1を介してメールが送信又は受信された場合に、上記メールの元になった元メールに対して上記送信又は受信メールが送信される以前に返信した返信メールがあるか否かを識別し、ある場合には上記返信メールのうちで最新の返信メールの送信時間と、上記送信又は受信メールの送信時間との差分を返信時間としてデータサーバ2に記録する機能を、管理サーバ3が備えたことを特徴としている。
【0019】
第13に、ミッションが終了される場合に、ミッションの開始から終了までの時間を計算し、各ミッションメンバーの返信時間の合計返信時間及び平均返信時間を計算し、各ミッションメンバーがミッション全体に占める作業時間の割合を合計返信時間と対応させて平均返信時間とともにタイムシェア情報としてデータサーバ2に記録する機能を、管理サーバ3が備えたことを特徴としている。
【0020】
第14に、管理サーバ3が、メンバーにユーザインターフェイス画面を提供する入出力手段22を備えたことを特徴としている。
【0021】
第15に、入出力手段22で生成されるメール作成画面の件名の欄39に選択肢を設け、選択肢のなかから件名が選択されると、その件名に対応した本文が本文の欄41に表示される機能を、管理サーバ3が備えたことを特徴としている。
【0022】
第16に、管理サーバ3が、件名の欄39の選択肢のなかから件名を選んでメールを送信すると処理要求メールとして識別され、上記処理要求メールを入出力手段22を介して閲覧すると処理要求に対応した内容の選択肢が処理の欄76に表示されるように構成されたことを特徴としている。
【0023】
第17に、処理の欄76から処理内容を選んでメールを返信すると、上記返信メールが処理メールとして識別され処理要求に対して処理が完了したことを認識する機能を、管理サーバ3が備えたことを特徴としている。
【0024】
第18に、入出力手段22で生成されるメール作成画面の操作部68,69により日時指定をして日時指定メールを送信すると、データサーバ2に記憶されている送信者のスケジュールに上記日時指定メールの用件及び予定日時を追記する機能を、管理サーバ3が備えたことを特徴としている。
【0025】
入出力手段22で生成されるメール作成画面の操作部68,69により日時指定をして日時指定メールを送信すると、データサーバ2に記憶されている送信者のスケジュールに上記日時指定メールの用件及び予定日時を追記するとともに、日時指定メールを処理要求メールとして扱い該処理要求メールに対する処理メールが送信されるまではデータサーバ2に記憶されたスケジュールを仮スケジュールとして扱い、処理メールが送信されるとデータサーバ2に記憶されたスケジュールを確定スケジュールとして扱う機能を、管理サーバ3が備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0026】
上記のように構成される本発明のコミュニケーション支援システムによれば、任務遂行のための指示毎に定義されるミッションに対応してメールアカウントを作成する必要がなく、ミッションの数が増加してもメールアカウントの数が多くなることがない。そしてメールサーバが管理サーバやデータサーバとは別途独立して設けられているため、既存のメールサーバに、管理サーバ及びデータサーバを接続し、容易にコミュニケーション支援メールシステムを構築することができる。
【0027】
また、送信又は受信メールの元になった元メールの情報によりミッションを識別するため、ミッションメンバー以外が送信したメールの元メールがミッションメンバーからの送信メールであれば、ミッションを識別することが可能であり、ミッションメンバー以外の者とのやり取りも特殊な作業を必要とせず、ミッションメンバー全員で共有することができる。
【0028】
また、メールの宛先に新たなメンバーを記載するのみでミッションメンバーの追加ができるため、別途ミッションメンバーの追加作業をシステムサーバにアクセスして行う必要がなく、利便性は向上している。
【0029】
さらに、メールの送信によりミッションを開始又は終了させることができるため、ミッションの開始作業又は終了作業をシステムサーバにアクセスして別途行う必要もない。この点においてもシステムの利便性が向上している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下図示する実施形態につき説明する。
図1は本発明のコミュニケーション支援メールシステムを適用したシステム全体の構成図である。本システムは、複数人が共同で任務を遂行する際、メンバー間のコミュニケーションに用いられるシステムであって、任務遂行のための1つの指示を1つのミッションとして定義し、ミッションを遂行するためにミッションメンバー間で行われる電子メールのやり取りを、ミッションメンバー全員で共有するためのシステムである。
【0031】
なお、以下の説明において、「メール」とは電子メールを意味し、「メンバー」とは日常的に任務遂行の共同作業をする同一会社の社員等で本システムにユーザ登録されている者を意味し、「部外者」とはそのメンバー以外の者を意味するものとする。
【0032】
本システムは、メールの配信、蓄積機能を有するメールサーバ1と、各種データを蓄積するデータサーバ2と、メールサーバ1及びデータサーバ2を制御する管理サーバ3とを備えている。
【0033】
メールサーバ1は、SMTPサーバ4と、POPサーバ7及びメールスプール8を備えたメール受信部6とから構成される。SMTPサーバ4は、メールをネットワーク上の別のSMTPサーバに配信するとともに、自身のアドレス宛に送られてくるメールをメールスプール8に保存する。メールサーバにメールアカウントを有する各ユーザは、POPサーバ7を介してメールスプール8に蓄積されたメールをユーザ使用端末に取り込むことができる。なお、POPサーバ7の他にIMAPサーバを用いてもよい。IMAPサーバ7を用いることにより、上記各ユーザはメールスプール8に蓄積されたメールを、ユーザ使用端末に取り込むことなく使用端末から直接アクセスさせ、メールを閲覧することができる。
【0034】
データサーバ2は、複数のデータテーブルを有するデータベース9と、データベース9を制御するデータベース制御手段11とにより構成される。データベース9はリレーショナブルデータベースであり、メンバーを本システムの利用ユーザとして記録するユーザ管理テーブル12と、後述するプロジェクト情報を記録するプロジェクト管理テーブル13と、ミッション情報を記録するミッション管理テーブル14と、メール情報を記録するメール管理テーブル16と、後述するタイムシェア情報を記録するタイムシェア管理テーブル17と、メンバーのスケジュール情報を記録するスケジュール管理テーブル18とを備えており、本システムにおいては、MySQLを用いている。データベース制御手段11は、データベース制御部19と、データベース制御部19とデータベース9とを接続するデータベースコネクタ21とからなる。
【0035】
管理サーバ3は、ユーザインターフェイスを提供する入出力手段22と、メールサーバを制御するメール制御手段24と、各種アルゴリズムを実行して各部を管理する管理手段と23とにより構成されている。
【0036】
メール制御手段24は、メールサーバ1の制御をするメール制御部26と、メール制御部26とメールサーバ1の受信メール部6とを接続する受信メールコネクタ部28と、メール制御部26とメールサーバ1のSTMPサーバ4とを接続する送信メールコネクタ部27と、により構成されている。メール制御部26は、管理手段23からの指令に従いSMTPサーバ4にメール送信をさせる作業や、受信メール部6からメールを受信する作業を行う。
【0037】
管理手段23は、管理部29と、管理部と接続される時刻管理部31とからなる。時刻管理部31は、後述するタイムシェア及びスケジュールに関する管理を行う。一方、管理部29はそれ以外の全ての管理を行い、メール制御手段24のメール制御部26、及びデータサーバ2のデータベース制御手段11のデータベース制御部19と接続されている。
【0038】
入出力手段22は、入出力部32と、入出力部32と接続される入出力情報制御部33とからなる。入出力部32は、本システムではWEBサーバにより構成され、ユーザにHTML画面を提供する。入出力情報制御部33は管理手段23の管理部29、及びデータサーバ2のデータベース制御手段11のデータベース制御部19と接続され、ユーザからの情報を入出力部32から取得し管理部29及びデータベース制御部19に伝達する他、管理部29及びデータベース制御部19からの情報をHTMLデータに変換し、入出力部32であるWEBサーバに伝え、メンバーの使用端末に表示する。
【0039】
上記メールサーバ1が接続されているネットワークは、インターネット等のグローバルネットワークN1であり、管理サーバ3の入出力手段22の入出力部32が接続されているネットワークは、任務遂行をする社員等のメンバーがアクセス可能なメンバーネットワークN2である。
【0040】
グローバルネットワークN1と、メンバーネットワークN2とを同一ネットアークにすることもできるが、セキュリティ面を考慮して、社内等の機密情報などが閲覧可能なメンバーネットワークN2は、グローバルネットワークN1とは隔離されているか、ファイヤウォールを介して接続されことが望ましい。
【0041】
以上、本システムの全体構成について説明したが、コミュニケーション支援メールシステムは上記の構成に限定されるものではなく、例えばデータベース管理手段11は管理サーバ3側に設けることも可能であるし、独立した形式で設けてもよい。
【0042】
ミッションは新規メールを送信することにより開始され、終了メールを送信することにより終了される。図2〜7、13〜16に示す例では、本システムを利用するメンバーとして社員A、社員B及び社員Cがいる他、これら社員の所属する会社の外注先として部外者である外注D及び回線業者Eがいる。
【0043】
メンバーは全員本システムのメールサーバ1にメールアカウントを持っている必要があり、社員A、社員B及び社員Cも本システムのメールサーバ1にメールアカウントをもっている。そして、このメールアカウント情報とともに各メンバーの情報がデータベース9のユーザ管理テーブル12に記録されている。ネットワークに関しては、グローバルネットワークN1はインターネットであり、メンバーネットワークN2は社内のプライベートネットワークである。
【0044】
図2は、メールの作成画面である。社員Aは、社員B及び社員Cに「プログラム修正の件」についての指示が記載されたメールを送信しようとしており、同図に示す例では、送信者の欄34には「社員A」、宛先の欄36には「社員B」、CCの欄37には「社員C」が記載されている。
【0045】
件名1の欄38には「プログラム修正の件」の件名が記載され、件名2の欄39には何も記載されていない。本文の欄41には指示の内容(図示しない)が記載されている。なお、件名1の欄38は送信者が自由に文字を入力できるようになっており、件名2の欄39については後述する。
【0046】
件名1の欄38に記載された件名と、件名2の欄39に記載された件名とを足し合わせたものがミッション名、送信者の欄34、宛先の欄36、CCの欄37に記載されたメンバーがミッションに参加するミッションメンバー、送信者の欄34のメンバーがミッションの管理者になる。本例ではミッション名が「プログラム修正の件」になり、ミッションメンバーが社員A、社員B及び社員Cになり、ミッション管理者が社員Aになる。
【0047】
送信ボタン42をクリックするとメールが送信され、「プログラム修正の件」ミッション43が開始され、データベース9のミッション管理テーブル14にミッション名ともにミッションメンバーが記録される。なお、このミッション43へのアクセス件はミッションメンバーである社員A、社員B及び社員Cに付与され、このミッション43を終了させる権限は管理者である社員Aのみに付与される。
【0048】
図3は、ミッションに関するメール表示画面である。同図に示す例では、上記「プログラム修正の件」のミッション43についての開始メール43aを受け取った社員Bは、この件に関する内容を記載した返事メール43bを社員Aに送信している。返事メール43bを受け取った社員Aは、了解メール43cを社員Bに送信している。了解メール43cを受け取った社員Bは外注先である外注Dに見積もりの依頼メール43dを送信している。
【0049】
依頼メール43dを受け取った外注Dは見積もり及び納期時期を記載した案内メール43eを社員Bに送信している。案内メール43eを受け取った社員Bは、内容についての注文を記載した注文メール43fを外注Dに送信している。注文メール43fを受け取った外注Dは、訂正した見積もり及び納期時期を記載した訂正メール43gを社員Bに送信している。訂正メール43gを受け取った社員Bは、内容を了解した旨の最終了解メール43hを外注Dに送信している。
【0050】
この最終了解メール43hに対して社員Aは、ミッション名「プログラム修正の件」に関するミッションを終了させる終了メール44iを送信し、該ミッションを終了させている。ミッションに関するメールは、ミッションを開始させる開始メール以外は、どの元メールに対する返信メールかが、データベース9のメール管理テーブル16に、メール情報とともに記録されている。また、メール管理テーブル16に記録する代わりに、メールのヘッタ情報に元メールの情報を付加しておいてもよい。
【0051】
例えば図3に示す例では、終了メール43iの元メールは最終了解メール43hであり、最終了解メール43hの元メールは訂正メール43gであり、訂正メール43gの元メールは注文メール43fであり、注文メール43fの元メールは案内メール43eであり、案内メール43eの元メールは依頼メール43dであり、依頼メール43dの元メールは了解メール43cであり、了解メール43cの元メールは返事メール43bであり、返事メール43bの元メールは開始メール43aである。
【0052】
ミッションの関するメールの元メールを記録するには、その前にメールの元メールを識別する必要があるが、返信メールや転送メールの場合にはメールのヘッタ情報を読み込むことで元メールを識別できる。一方、それ以外の種類のメールでは、メンバーが入出力部から出力されるHTMLのインターフェイス画面よりミッションに関するメールを送信する際、送信元メールを選択させるようにする。
【0053】
具体的にはミッションに関するメールをクリック等で選択しないと図2に示すようなメール作成画面を表示されないようにする手段が考えられる。例えば、図3に示す社員Bが社員Aの了解メール43cを受信した後、ミッションに関するメールを送信しようとした場合、社員Bが開始メール43a、返事メール43b又は了解メール43cの何れかをクリック等で選択しないとメール作成画面に開かないようにする。
【0054】
他の手段としては、ミッションに関するメールを送信する際に元メールを選択する欄を設けて未選択の場合には送信ができないようにするような手段、転送や返信メールでないとミッションに関するメールを送信できないようにする手段等が考えられ、これらの組み合わせて用いる手段もある。
【0055】
図3に示す表示画面は、左側の上にはミッションタイトル欄44、その下にはミッション開始時刻欄46及びミッション終了時刻欄47が設けられている。右側にはミッション遂行のためのミッションメンバー間のやり取り及びミッションメンバーと部外者とのやり取りに関するメール43a〜43iが表示されている。
【0056】
メールとそのメールに対する元メールの表示は、メールが元メールの下に表示され、元メールからメールに向かって矢印48が表示されている。また、メールが元メールよりも右側にずらして表示され、ある程度右側にずれ込むと左側に折り返され表示され、この折り返されたメール43e,43iに向かう上記矢印は省略されている。
【0057】
以上、各メールが順を追って階層的に表示されたいわゆるスレッド表示となっており、各メールが関連付けされて整理された表示画面を、ミッションメンバーである社員A、社員B及び社員Cの全員で見ることが可能になっており、ミッションメンバー間相互の円滑なコミュニケーションの助けになる。
【0058】
次にミッション整理について説明する。各メンバーはミッションをプロジェクトという単位で整理する。ミッションは任務遂行のための指示に対応させるが、プロジェクトは任務に対応させて作成され、データベース9のプロジェクト管理テーブル13に記録される。プロジェクトは各メンバーが任意に作成し、そのプロジェクトに関連するミッションを自身で選択してプロジェクト内に整理する。
【0059】
例えば、前述の「プログラム修正の件」ミッション43の他、メンバーの社員A及び社員Bがミッションメンバーになっている「回線手配」ミッション49がある場合、図4に示すように、社員Aは「社内開発コード001」プロジェクト51及び「営業状況0515」プロジェクト52を作成しており、上記2つのミッション43,49を「社内開発コード001」プロジェクト51内に整理している。
【0060】
一方、社員Bは「プログラム関連」プロジェクト53及び「設備関連」プロジェクト54を作成しており、「プログラム修正の件」ミッション43を「プログラム関連」のプロジェクト53内に整理し、「回線手配の件」ミッション49を「設備関連」プロジェクト54に整理している。
【0061】
このようにミッションをプロジェクトという単位で各メンバーが整理することにより、メンバー間の情報共有がさらに円滑化される。なお、各メンバーはプロジェクトの作成、削除、変更の他、プロジェクトを終了させることや、再開をさせることもできる。終了したプロジェクトは入出力部を介して表示される表示画面で一覧できるようになっている。
【0062】
図5は、社員Aの「社内開発コード001」プロジェクト51の表示画面を示す図面である。プロジェクトのプロジェクト名の欄56及びプロジェクト作成日時の欄57が上部に設けられ、その下に各ミッション43,49が区分けされて表示されている。また、まだ終了させていないプロジェクトを一覧に表示させることもできる。
【0063】
図6は、社員Aが終了させたプロジェクトの一覧表示画面を示す図面であり、プロジェクト51,52毎に、プロジェクト作成から終了までの期間を表示する期間の欄58とタイムシェア表示ボタン59とが設けられている。タイムシェアとは、ある任務遂行時間に占める各メンバーの作業時間割合を示すものであり、上記のタイムシェア表示ボタン59を押すことで、プロジェクト内にあるミッションのミッションメンバー全員で構成されるプロジェクトメンバーのタイムシェア表示される。
【0064】
図7は社員Aの「営業状況0515」プロジェクト52のタイムシェア表示画面であり、(A)はミッション毎の各プロジェクトメンバーのタイムシェア及びプロジェクト全体の各プロジェクトメンバーのタイムシェアを示した表示画面であり、(B)はプロジェクトでの各プロジェクトメンバーの返信までに要した時間の平均を示した表示画面である。
【0065】
また、表示方法は上記に限定されるものではなく、スケジュール等の組み合わせて表示させることもできるし、テキスト表示等にすることもでる。以上のようにプロジェクトメンバーの作業時間をビジュアル的に表示することで、他のプロジェクトメンバーの作業業況や、プロジェクトの進捗状況を容易に知ることができる他、社員の社内評価等にも利用できる。なお、タイムシェアの算出方法については後述する。
【0066】
次に、本システムに関する処理手順について、メール送信処理と、メール受信処理と、タイムシェア計算処理と、ミッション終了処理とに分けて以下に説明する。図8に示すように、メール送信処理は図2のメール作成画面によりメールを作成し、送信ボタン42を押すことで開始され、ステップS1に進む。ステップS1では、送信メールが既存ミッションに関するメールかどうかを識別し、既存ミッションである場合にはステップS2に進む。
【0067】
ステップS2では、送信メールの宛先の欄36及びCCの欄37に記載された送信先に、該当ミッションのミッションメンバー以外でデータベース9のユーザ管理テーブル12
に登録されているメンバーがいないかを識別し、いなければステップS3に進む。ステップS3では、送信メールをメール管理テーブル16に記録し、ステップS4に進む。ステップS4では、管理部29がメールサーバ1を介して該当ミッションのミッションメンバー全員に送信メールを送信し、処理が終了される。
【0068】
ステップS1において、既存ミッションに関するメールでないと識別されると、ステップS5に進む。ステップS5では、新規ミッションを作成するため、前述した手段でミッション名及びミッションメンバーを決定し、ミッション管理テーブル14にそのミッションのミッション名及びミッションメンバーを記録し、ステップS6に進む。ステップS6では、ステップS5で作成した新規ミッションが送信者のカレントプロジェクトに登録されるように、データベース9のプロジェクト管理テーブル13の上記カレントプロジェクト情報を更新し、ステップS3に進む。
【0069】
ステップS2において、ミッションメンバー以外でデータベース9のユーザ管理テーブル12に登録されているメンバーが送信先に指定されている場合には、ステップS7に進む。ステップS7では、ミッション管理テーブル14の該当ミッションの記録を更新し、上記メンバーをミッションメンバーに追加してステップS3に進む。なお、このステップS2→ステップS7によりミッションメンバーを追加するステップは、メールの受信処理の際に行わせてもよい。
【0070】
なおステップS1において、メンバーが送信する送信メールからは、前述したようにその送信メールの元になった元メールが識別できるようになっており、送信メールの元メールが存在しない場合、この送信メールは新規ミッションの開始メールと識別される。一方元メールが存在する場合、この送信メールは既存のミッションに関するメールであると識別され、メール管理テーブル16に記録された元メールの情報からどのミッションに関するメールかも識別できる。また、入出力部32から入出力情報制御部33を介して管理部29に渡される情報を併せて利用することにより、さらに正確な新規ミッションの識別及び該当ミッションの識別をする。
【0071】
以上のメール送信処理によって、ミッションメンバーの一人がそのミッションに関するメールを他のミッションメンバーに送信すると、その送信メールはミッションメンバー全員に自動的に送信される他、その送信メールが部外者宛である場合にも同様にミッションメンバー全員にその送信メールが送信されるため、部外者とのやり取りも含め、ミッションに関する情報をミッションメンバー間で共有できる。
【0072】
次に、メール受信処理について説明する。メール受信処理については、本システム内からのメールの受信処理と、システム外からのメールの受信処理とに分けて説明する。なお、メールの受信処理をしても、本システムのメールサーバ1のメールスプール8にはメールデータを残しておき、メンバーが通常のメーラを用いてメールサーバ1にアクセスにしてメールを受信できるようにしておく。
【0073】
図9に示すように、システム内からのメールが受信されると受信処理が開始され、ステップS8に進む。なお、メールの送信者がデータベース9のユーザ管理テーブル12に登録されたメンバーからのメールである場合には、システム内からのメールと判断される。ステップS8では、受信メールがミッションに関するメールであるか否かを識別し、ミッションに関するメールであればステップS9に進む。ステップS9では、ミッションが既存ミッションである否かを識別し、ミッションが既存ミッションであれば、処理が終了される。
【0074】
ステップS8において、ミッションに関するメールでないと識別されると、ステップS10に進む。ステップS10では、受信メールをシステム外のメールとして処理し、処理が終了される。ステップS9において、ミッションが既存ミッションでない新規ミッションと識別されると、ステップS11に進む。ステップS11では、データベース9のプロジェクト管理テーブル13の情報が更新され、新規ミッションが受信者のカレントプロジェクトに登録され、処理が終了される。
【0075】
ステップS8において、ミッションに関するメールか否かは、受信メールがデータベース9のメール管理テーブル16内に記録されているか否かで識別できる。ミッションに関するメールではあれば、その受信メールは、前述した通り送信処理の際にメール管理テーブル16に記録される。このため、受信メールがメール管理テーブル16に記録されていなければミッションに関するメールではないと識別でき、記録されていればミッションに関するメールであると識別できる。
【0076】
ステップS9においては、ミッションが既存ミッションであるか否かの識別、及び既存ミッションの場合、どのミッションに関するものかの識別が必要になるが、その識別手法は、前述したステップS1の際に用いる手法と同様である。なお、メンバーからメンバーに送信されるメールがミッションに関するメールでない場合とは、例えば、メール送信をする際に管理サーバの入出力部を介さずに通常のメーラを用いてメールを送信した場合などが考えられる。
【0077】
一方、図10に示すように、システム外からのメールが受信されると受信処理が開始され、ステップS12に進む。なお、メールの送信者がデータベース9のユーザ管理テーブル16に登録されていない部外者からのメールである場合、又は前述のシステム内からのメール受信処理のステップS10においてシステム外のメールとして処理されたメールである場合にはシステム外からのメールと判断される。ちなみに、システム外からのメール受信処理がされる場合、受信メールが新規ミッションを開始させるメールである場合はなく、ミッションに関するメールは全て既存のミッションについてのメールとなる。
【0078】
ステップS12では、受信メールの元になった元メールが存在するか否かをメールのヘッタ情報等から識別し、元メールがあればステップS13に進む。ステップS13では、元メールがミッションに関するメールであるか否かを識別し、ミッションに関するメールであればステップS14に進む。ステップS14では、受信メールが該当ミッションのミッションメンバーの全員に送信されているかを識別し、送信されていればステップS15に進む。ステップS15では、受信メールをデータベース9のメール管理テーブル16に記録し、処理が終了される。
【0079】
ステップS12において、受信メールの元メールが存在しないと識別されれば、ステップS16に進む。ステップS16では、受信メールを識別不可能な保留メールとして処理し、処理が終了される。ステップS13において、受信メールの元メールがミッションに関するメールでないと識別されれば、ステップS17に進む。ステップS17では、受信メールをミッションと関係のない通常メールとして処理し、処理が終了される。
【0080】
ステップS14において、受信メールが該当ミッションのミッションメンバーの全員に送信されていないと識別されると、ステップS18に進む。ステップS18では、まだ未送信のミッションメンバー全員に受信メールを送信し、ステップS15に進む。
【0081】
なお、ステップS16において、保留メールとして処理された受信メールは、そのメールを受信したメンバーが、ミッションに関するメールであるか否かの判断をする。ミッションに関するメールであると判断した場合には、上記メンバー自身が該当ミッションと、その受信メールの元になった元メールを特定し、管理サーバ3の入出力部32を介して、データベース9のメール管理テーブル16にそのメールの該当ミッション及び元メールを記録させる。ミッションに関するメールでないと判断した場合には、上記メンバー自身が入出力部32を介して、通常のメールとして処理する。
【0082】
以上のメール受信処理によって、新規ミッションの作成メールをメンバーが受信すれば、自動的にそのメンバーのカレントプロジェクトに登録されるため、メンバーはメールを受信するだけで、ミッションの開始を知ることができる。なお受信処理がされても、前述したようにメールスプール8のメールデータは消去されないため、通常のメーラにより、本システムのメールサーバ1にアクセスし、ミッションに関するメールを受信することができる。
【0083】
また、部外者が送信したメール、又はメンバーが管理サーバ3の入出力部32を介さず通常のメーラ等で送信したメールでも、所定の条件さえ満たされていれば該当ミッションを識別することができるため、ミッションメンバーの一人が受信した部外者からのメールでもミッションメンバー全員で共有することが可能になる。
【0084】
さらに、ミッションを識別できない場合でも、保留メールとして処理し、受信者に判断及び処理を促すため、全てのメールをメンバーの最小限の労力で、各ミッションに振り分けられ、処理される。以上の送受信処理により、ミッション遂行のために行われるミッションメンバー間での情報のやり取り、及びミッションメンバーと部外者とのやり取り等をミッションメンバー間での共有化できるため、メンバー間での円滑なコミュニケーションを行うことができる。
【0085】
次に、タイムシェア計算処理について説明する。タイムシェアとは任務遂行に際して、各メンバーが占める作業時間の割合を示すもので、メンバーがミッションに関するメールを受信してから、その受信メールに対して返信するまでの時間を、メンバーの作業時間として計算する。
【0086】
図11に示すように、タイムシェア計算処理は、ミッションに関するメールを受信した際に開始され、ステップS19に進む。ステップS19では、受信したメールの元になるメールが存在するか否かを識別し、存在すればステップS20に進む。ステップS20では、元メールに対して返信する初めてのメールか否かを識別し、初めてであればステップS21に進む。ステップS21では、受信メールの元メールの送信時間及び受信メールの送信時間を取得し、ステップS22に進む。
【0087】
ステップS22では、元メールの送信時間と受信メールの送信時間の差分から受信メールの返信までに要した時間を計算し、ステップS23に進む。ステップS23では、データベース9のメール管理テーブル16の受信メール情報に返信までに要した時間を記録し、処理を終了する。
【0088】
ステップS19において、受信メールの元メールが存在しないと識別されれば、ステップS24に進む。ステップS24では、返信までに要した時間を0に算出し、ステップS23に進む。ステップS20において、元メールに対して返信する初めてのメールでないと識別されると、ステップS25に進む。ステップS25では、元メールに対して返信したメールのうちで最新のメールの送信時刻と、受信メールの送信時刻とを取得し、ステップS26に進む。ステップS26では、上記2つメールの送信時間の差分を受信メールの返信までに要した時間とし、ステップS23に進む。
【0089】
なお、受信メールの元メールに対して返信したメールがあるか否かは、データベース9のメール管理テーブル16に記録されているメールの中から、受信メールの上記元メールを元メールとしている他のメールがあるか否かにより識別することができる。すなわち、そのような他のメールがあれば、上記元メールに対して返信したメールがあると識別され、そのような他のメールがなければ上記元メールに対して返信したメールはないと識別される。
【0090】
また、前述したようにミッションメンバーが自ら該当ミッションと、その受信メールの元になった元メールを特定し、管理サーバ3の入出力部32を介して、データベース9のメール管理テーブル16にそのメールの該当ミッション及び元メールを記録させる処理をした場合、該処理をしたメールの送信時間以降に送信された該当ミッションに関する各メールについては、再度タイムシェアの計算処理がされ、データベース9のメール管理テーブル16の情報が更新される。ちなみに、タイムシェア計算処理はミッションに関するメールを送信した際に開始させてもよい。
【0091】
次に、ミッション終了処理について説明する。ミッションを終了させる終了メールが送信されると、そのミッションに関するメールの情報等により、各ミッションメンバーのタイムシェアが計算される。図12に示すように、ミッション作成者がミッション終了メールを送信することにより、ミッション終了処理が開始され、ステップS27に進む。ステップS27では、ミッションの終了から開始までの時間を計算し、データベース9のミッション管理テーブル14に記録してステップS28に進む。
【0092】
ステップS28では、ミッションに関する全てのメール情報をデータベース9のメール管理テーブル16から取得し、ステップS29に進む。ステップS29では、上記のメール情報によりミッションメンバー毎に、返信に要した時間の合計時間及び平均時間を計算し、データベース9のタイムシェアテーブル17に記録し、ステップS30に進む。ステップS30では、ミッションメンバー全員にミッションメールを送信し、ステップS31に進む。ステップS31では、ミッション終了処理がされ、処理が終了される。これら、データベース9のメール管理テーブル16の時間情報及びタイムシェア管理テーブル17の情報を用いて図7に示すような画面が表示できるようになる。
【0093】
以上、本コミュニケーション支援メールシステムの基本的機能について説明したが、その基本的機能に付加される追加機能について以下に説明する。本システムでは、図13に示すように、送信者が自由に文字を入力できる件名1の欄37と、件名2の欄38とを足し合わせたものがそのメールの件名になり、さらにはミッション名にもなる。
【0094】
件名2の欄39をクリックすると、予め用意された項目が表示され、その項目を選択すると本文の欄41に、その件名に対応した内容が表示され、必要な事項について入力ができるようになる。図13に示す例では、経理申請39aと、施設利用39bと、見積39cと、受注39dと、発注39eと、問合せ39fとの6つの選択肢が用意されている。
【0095】
そして、日時を指定する必要がある場合には、件名2の欄39の右隣にある日時設定ボタン68を押してカレンダー69を表示させ、カレンダー69の該当日をクリックして予定日の設定する。なお、予定日を設定すると時間を設定する画面(図示しない)も表示されるので、予定日時の設定もできる。なお、上記選択肢の他、社内ミーティング、社内待ち合わせ、顧客面接予定日時了解、完了、担当変更のお願い、業務終了又はクレーム処理等の選択肢を用意してもよい。
【0096】
以上のように、件名2の機能を利用することで、件名2の欄39の選択肢を選択することにより、メールの本文を作成されるため、メール作成の手間が大幅に軽減され、ミッションに関するメールでのやり取りがさらに手軽にできるようになる。
【0097】
次に、上記の件名2の機能を利用した例について説明する。図14は件名2の利用例を示すメール作成画面であり、件名1の欄38には何も記載されておらず、件名2の欄39では経理申請39aが選択されている。件名2の選択に対応して本文の欄41には、宛先の欄36に記載した経理担当者名に敬称を追加したものが文頭に記載され、金額の欄71、日付の欄72、使用者or参加者の欄73及び但し書きの欄74が配置されており、各欄71,72,73,74には必要事項が記載されているか又は選択肢が用意されている。
【0098】
上記メールは送信者に何らかの処理を求める処理要求メールであり、社員Aが上記メールを経理担当者に送信すると、「経費申請」ミッションが開始されるとともに、上記メールを受信した経理担当者が入出力部32を介して上記処理要求メールを閲覧すると、図15に示すように、本文に処理の欄76が追加された状態で表示される。
【0099】
処理の欄76には、内容について承認する選択肢である承認76aと、処理を確定される前に所定事項を確認する選択肢である確認メールの返信76bと、承認を保留する選択肢である保留76cとの3つの選択肢が容易されており、例えば経理担当者が承認76aを選択して返信ボタン77を押すと、社員Aには経理申請について承認した旨のメールが送信される。このメールは処理メールとなる。
【0100】
この処理をさせるため、送信者が件名2で処理が求められるような項目(例えば、経理申請39aに関するもの)を選択し、メールを送信すると、前述した送信メールをメール管理テーブル16に記録するステップS3において、送信メール情報とともにその処理要求メールの処理要求内容を併せて記録する。
【0101】
そして、上記の処理要求メールを受信した受信者が入出力部32を介して上記処理メールを閲覧すると、メール管理テーブル16の上記処理内容情報に対応した選択肢が用意され、本文に処理の欄76として表示される。処理要求メールに対して処理メールを返信すると、処理メールがメール管理テーブル16に記憶されるステップS3において、処理メール情報とともにその処理内容を併せて記録する。
【0102】
なお、処理要求メールに対して処理メールが返信されずに、通常のメールが返信されると、該通常のメールに処理の欄76が設けられ、処理要求が承継される。この承継処理は、処理要求メールに対する処理メールが送信されるまで繰り返される。
【0103】
以上の手段により、送信メールが処理を要求する処理要求メールであることはシステムによって自動的に認識され、該処理要求メールに対応する処理内容がシステムによって選択形式で用意されてメール作成画面に表示され、これを利用して処理メールを返信すると処理の要求に対してどのような処理がされたのかをシステムによって自動的に認識できる。
【0104】
このため、図3のようにミッションに関するメール表示画面において、例えば処理要求内容及び処理内容を表示すれば、各ミッションメンバーは、メールの内容を見るまでもなく、他のミッションメンバーの作業状況を知ることできるようになり、ミッションメンバー間の情報のやり取りがさらに円滑化される。なお、処理の欄76の選択肢は上記3つの選択肢76a,76b,76cに限定されるものではなく、拒否に関する項目等を加えてもよい。さらに、処理要求の内容に応じて、処理の内容に関する選択肢を変化させてもよい。
【0105】
次に、処理要求メールを利用したスケジュール自動生成手段について説明する。メンバーのスケジュールはデータベース9のスケジュール管理テーブル18により管理され、スケジュール管理テーブル18は、予定の名称である予定名、予定に参加する参加者、予定事項が行われる予定日時、及びスケジュールの確定しているか否かを示す確定情報の、少なくとも4つのフィールドを備えている。
【0106】
確定情報は、予定が仮の状態では1になり、予定が保留の状態では2になり、予定が確定した状態では3になる。図13に示すメール作成画面に設けられた日時設定ボタン68により前述したように日時を指定できるが、この作業をしてメールを送信すると、スケジュール生成処理が実行される。以下、その詳細について説明する。
【0107】
まず、日時設定ボタン68により日時を指定し、メールを送信するとその送信メールは処理要求メールとして扱われ、ステップS3において前述の処理がなされるとともに、データベース9のスケジュール管理テーブル18に、処理要求メールの件名1及び件名2を予定名、宛先の欄34に記載したミッションメンバーを予定の参加者、日時設定ボタン18により指定した日を予定日時とし、確定情報が1にされ、仮スケジュールが生成される。
【0108】
処理要求メールを受信したミッションメンバーは、そのメールに対して処理内容を指定して返信する。その処理内容としては前述の承認76a、確認メールの返信76b及び保留76cの選択肢の他、少なくとも非承認の選択肢を用意する。承認76aの処理メールを送信されると、送信処理の上記ステップS3において、スケジュール管理テーブル18の該当スケジュールの確定情報が3に変更され、スケジュールが確定される。非承認の処理メールが送信されると、上記ステップS3において、スケジュール管理テーブル18の該当スケジュールの情報が消去される。
【0109】
保留76cの処理メールが送信されると、上記ステップS3において、スケジュール管理テーブル18の該当スケジュールの確定情報が2に変更され、スケジュールが保留される。確認メールの返信76bの処理がされると、スケジュール管理テーブル18のデータの更新はされない。なお、保留76cの処理メール、又は確認の返信メールの返信76bの処理メールに対して返信メールを送る際には、処理の蘭76が設けられ、処理要求が承継される。
【0110】
上記スケジュール自動生成手段によりスケジュールを確定する例につき説明する。図16は、前述した図5の「回線手配の件」ミッション49にスケジュール自動生成手段を用いた例を示す、ミッションに関するメール表示画面を表す図面である。社員Aが社員Bに「回線手配の件」メール49aを送信してミッションが開始されている。上記メール49aは、送信時に社員Aが日時設定ボタン68を用いて日時を指定しており、回線工事の完了予定日の確定を求める処理要求メールとなっている。
【0111】
社員Bは上記処理要求メール49aに対して処理メールを送信せずに、回線業者Eに「回線手配の見積依頼」メール49bを送信している。「回線手配の件」メール49aの処理要求メールに対して、「回線手配の見積依頼」メール49bは、処理メールではないため「回線手配の件」メール49aの処理要求が承継されている。
【0112】
回線業者Eは「回線手配の見積依頼」メール49bに対して、社員Bに「RE:回線手配の見積依頼」の返信メール49cを送信している。回線業者Eは部外者であるため、上記返信メール49cは処理メールではないため、処理要求が承継される。社員Aは上記の返信メール49cに対して予定日承認の処理メール49dを社員Bに送信し、社員Bの「回線手配の件」についてのスケジュールが確定する。その後の社員A、社員B及び回線業者Eとのメールのやり取りでは、メールのやり取りや一定期間に応じて随時予定日までの期間を示したカウントダウン78が表示される。
【0113】
以上のスケジュール自動生成手段によれば、メールのやり取りの中で自動的にメンバーのスケジュールが生成され、確定されていくため、利便性が高い。また、ミッションの期限もスケジュールと組み合わせることで管理することが可能になり、円滑な任務遂行の助けになる。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】システム全体の構成図である。
【図2】メール作成画面を表す図面である。
【図3】ミッションに関するメール表示画面を表す図面である。
【図4】ミッションをプロジェクトで整理している状態を表す図面である。
【図5】プロジェクトに関するミッション表示画面を表す図面である。
【図6】プロジェクトの一覧表示画面を表す図面である。
【図7】タイムシェア表示画面であり、(A)はミッション毎の各プロジェクトメンバーのタイムシェア及びプロジェクト全体の各プロジェクトメンバーのタイムシェアを示した表示画面であり、(B)はプロジェクトでの各プロジェクトメンバーの返信までに要した時間の平均を示した表示画面である。
【図8】メール送信処理を示すフロー図である。
【図9】メール受信処理を示すフロー図である。
【図10】メール受信処理を示すフロー図である。
【図11】タイムシェア計算処理を示すフロー図である。
【図12】ミッション終了処理を示すフロー図である。
【図13】メール作成画面を表す図面である。
【図14】処理要求メールの作成画面を表す図面である。
【図15】処理メールの作成画面を表す図面である。
【図16】ミッションに関するメール表示画面を表す図面である。
【符号の説明】
【0115】
1 メールサーバ
2 データサーバ
3 管理サーバ
22 入手力手段
38 件名1の欄(件名の欄)
39 件名2の欄(件名の欄)
41 本文の欄
68 日時設定ボタン(操作部)
69 カレンダー(操作部)
76 処理の欄

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メールの配信、蓄積機能を有するメールサーバ(1)と、データを蓄積するデータサーバ(2)と、メールサーバ(1)及びデータサーバ(2)を制御する管理サーバ(3)とを備え、複数人によって任務を遂行する際のコミュニケーションに用いられるコミュニケーション支援メールシステムにおいて、管理サーバ(3)が、任務遂行のための指示に対応して定義されるミッションの参加メンバーであるミッションメンバーを上記ミッションとともにデータサーバ(3)に記録し、メールが送信又は受信されると該メールがどのミッションに関するメールかを識別し、メールサーバ(1)を制御して上記メールをミッションメンバー全員に送信するメール送信機能を備えたコミュニケーション支援メールシステム。
【請求項2】
メールサーバ(1)を介して送信又は受信されるメールを、データサーバ(2)に記録する機能を、管理サーバ(3)が備えた請求項1のコミュニケーション支援メールシステム。
【請求項3】
データサーバ(2)に記録されたメールの属するミッションを該メール情報とともにデータサーバ(2)に記録する機能を、管理サーバ(3)が備えた請求項2のコミュニケーション支援メールシステム。
【請求項4】
データサーバ(2)に記録されたメールが送信される元になった元メール情報を該メール情報とともにデータサーバ(2)に記録する機能を、管理サーバ(3)が備えた請求項3のコミュニケーション支援メールシステム。
【請求項5】
メールサーバ(1)を介してメールが送信又は受信されると、上記メールの元になった元メールを識別し且つ元メールがどのミッションに属するかをデータサーバ(2)の情報を利用して識別することにより、上記メールの属するミッションを識別する機能を、管理サーバ(3)が備えた請求項4のいずれかのコミュニケーション支援システム。
【請求項6】
メールサーバ(1)を介してメールが送信又は受信されると、上記メールのヘッタ情報から上記メールの元になった元メールを識別し且つ元メールがどのミッションに属するかをデータサーバ(2)の情報を利用して識別することにより、上記メールの属するミッションを識別する機能を、管理サーバ(3)が備えた請求項4又は5のコミュニケーション支援システム。
【請求項7】
メールサーバ(1)を介してメールが送信又は受信されると、上記メールの宛先に上記メールの属するミッションのミッションメンバー以外のメンバーが含まれているか否かを識別し、ミッションメンバー以外のメンバーが含まれている場合にはその者を上記ミッションのミッションメンバーに追加する機能を、管理サーバ(3)が備えた請求項1乃至6のいずれかのコミュニケーション支援システム。
【請求項8】
メールサーバ(1)を介したメールの送信によりミッションを開始又は終了させる機能を管理サーバ(3)が備えた請求項1乃至7のいずれかのコミュニケーション支援システム。
【請求項9】
任務に対応して定義されるプロジェクトをデータサーバ(2)に記録し且つデータサーバ(2)に記録されたミッション情報にミッションの属するプロジェクトを記録する機能を、管理サーバ(3)が備えた請求項1乃至8のいずれかのコミュニケーション支援システム。
【請求項10】
メールサーバ(1)にメールアカウントを有するメンバーがプロジェクトを自由に作成できる機能を管理サーバ(3)が備えた請求項9のコミュニケーション支援システム。
【請求項11】
メールサーバ(1)を介してメールが送信又は受信された場合に、上記メールの送信時間と、上記メールの元になった元メールの送信時間との差分を返信に要した返信時間としてデータサーバ(2)に記録する機能を、管理サーバ(3)が備えた請求項1乃至10のいずれかのコミュニケーション支援システム。
【請求項12】
メールサーバ(1)を介してメールが送信又は受信された場合に、上記メールの元になった元メールに対して上記送信又は受信メールが送信される以前に返信した返信メールがあるか否かを識別し、ある場合には上記返信メールのうちで最新の返信メールの送信時間と、上記送信又は受信メールの送信時間との差分を返信時間としてデータサーバ(2)に記録する機能を、管理サーバ(3)が備えた請求項11のコミュニケーション支援システム。
【請求項13】
ミッションが終了される場合に、ミッションの開始から終了までの時間を計算し、各ミッションメンバーの返信時間の合計返信時間及び平均返信時間を計算し、各ミッションメンバーがミッション全体に占める作業時間の割合を合計返信時間と対応させて平均返信時間とともにタイムシェア情報としてデータサーバ(2)に記録する機能を、管理サーバ(3)が備えた請求項11又は12のコミュニケーション支援システム。
【請求項14】
管理サーバ(3)が、メンバーにユーザインターフェイス画面を提供する入出力手段(22)を備えた請求項1乃至13のいずれかのコミュニケーション支援システム。
【請求項15】
入出力手段(22)で生成されるメール作成画面の件名の欄(39)に選択肢を設け、選択肢のなかから件名が選択されると、その件名に対応した本文が本文の欄(41)に表示される機能を、管理サーバ(3)が備えた請求項14のコミュニケーション支援システム。
【請求項16】
管理サーバ(3)が、件名の欄(39)の選択肢のなかから件名を選んでメールを送信すると処理要求メールとして識別され、上記処理要求メールを入出力手段(22)を介して閲覧すると処理要求に対応した内容の選択肢が処理の欄(76)に表示されるように構成された請求項15のコミュニケーション支援システム。
【請求項17】
処理の欄(76)から処理内容を選んでメールを返信すると、上記返信メールが処理メールとして識別され処理要求に対して処理が完了したことを認識する機能を、管理サーバ(3)が備えた請求項16のコミュニケーション支援システム。
【請求項18】
入出力手段(22)で生成されるメール作成画面の操作部(68),(69)により日時指定をして日時指定メールを送信すると、データサーバ(2)に記憶されている送信者のスケジュールに上記日時指定メールの用件及び予定日時を追記する機能を、管理サーバ(3)が備えた請求項14乃至17のいずれかのコミュニケーション支援システム。
【請求項19】
入出力手段(22)で生成されるメール作成画面の操作部(68),(69)により日時指定をして日時指定メールを送信すると、データサーバ(2)に記憶されている送信者のスケジュールに上記日時指定メールの用件及び予定日時を追記するとともに、日時指定メールを処理要求メールとして扱い該処理要求メールに対する処理メールが送信されるまではデータサーバ(2)に記憶されたスケジュールを仮スケジュールとして扱い、処理メールが送信されるとデータサーバ(2)に記憶されたスケジュールを確定スケジュールとして扱う機能を、管理サーバ(3)が備えた請求項17のコミュニケーション支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−109238(P2008−109238A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−288269(P2006−288269)
【出願日】平成18年10月24日(2006.10.24)
【出願人】(306032615)綜研マネジメント株式会社 (1)
【Fターム(参考)】