説明

コレーター

【課題】新聞折込チラシ用のコレーターについて、作業者が異常給紙の発生と発生箇所を認識しやすいものとして、速やかな復旧を実現できるようにする。
【解決手段】チラシを積載する給紙トレー21a,21b,・・・を有した棚20a,20b,・・・を縦方向に複数段備えてこれらから各々給紙された複数種類のチラシを1つに丁合するものであって給紙抜けまたは/及び重送を含む異常給紙の発生を検出するための異常給紙検出手段を備えているとともに、異常給紙検出手段による出力信号を検知することで報知手段を介し異常給紙の発生及び発生した棚を作業者に報知する電子制御装置を備えた新聞折込チラシ用のコレーター1Aにおいて、その報知手段を、棚の内部側に各々配置され、その棚で異常給紙が発生した際に点滅または連続点灯することでその棚を異常給紙の発生していない他の棚とは外観上異なる状態にする報知ランプ8aとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類の用紙を一つに丁合するためのコレーターに関し、殊に、給紙抜け・重送・紙詰まりなどの異常給紙の発生を作業者に報知する機能を備えた新聞折込チラシ用のコレーターに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の給紙トレーから用紙を1枚ずつ給紙して丁合する装置としてコレーターが周知であるが、斯かるコレーターにおいては、1つの給紙トレーから同時に2枚以上給紙する重送や給紙が行われない給紙抜けなど、異常給紙の発生による丁合不良品の混入が問題となりやすい。
【0003】
このような異常給紙が発生した場合は、トラブル発生からすぐに装置を停止させるとともにトラブル箇所の修正作業を迅速に行なって、最小限の停止時間で復旧させることが求められる。これに対し、特開2004−352441号公報に記載されており図7に示すコレーター1Eのように、トラブルのあった棚の右側に付設したスイッチパネル35のボタン352,353,354,355に隣接したランプ352a,353a,354a,355a(図8(A)参照)のいずれかを点灯または点滅させることにより、この棚で異常給紙が発生したことを作業者に報知するものが知られている。
【0004】
また、斯かるランプの点灯や点滅によるアラーム表示に加え、コレーター1Eの左フレームに配置され図8(B)に示す表示パネル36でカウンター表示等を行う部分である表示部37において、予め定めたナンバー等でアラーム内容を表示することにより、作業者がトラブルに対する対応操作を行いやすいものとしている。
【0005】
ところが、新聞用チラシの折り込み作業を担当している作業者は、短時間で大量の部数をこなす必要があるため、作業に集中するあまり各棚の横にあるランプによるアラーム表示を見落としやすく、トラブルの発生を認知するのに長時間を要して丁合不良品を大量に出してしまう場合も少なくない。殊に、複数棚でアラームが同時発生したケースでは、1つのアラームを確認して作業をスタートすると再アラームとなって再び作業が中止されるため、心理的負担が大きくなりやすかった。
【0006】
このランプ表示の見落としは、作業者の不注意以外にも原因がある。例えば、アラームを表示するランプの照射角度及び輝度は様々であるが、照射角度が広いものでも斜めから見た場合には輝度が下がって見えることで表示を認識しにくくなるため、コレーター中央位置に立つ作業者がコレーター左右端部側に配置したランプを見る際にはその視認性を充分に確保できない状態となる。これに加え、縦長のコレーターにおける下端側や上端側のランプ表示は、視線が上下に傾斜することで一層視認しにくいものとなる。
【0007】
そこで、ランプの輝度を上げて作業者の視認性を高めることが考えられるが、作業者の目に向けて強力な光を照射することは、目の健康上危険を伴うために実施しにくいのが実情である。さらに、図9に示すように、各棚22a,22b,22c,・・・に挿した給紙トレー23a,23b,23cは、目的に応じて角度が可変とされているところ、深い角度で挿した給紙トレー23cでは、その横に上の段のスイッチパネルがあるように錯覚させやすいため、トラブルの発生した棚を一段間違って認識してしまう場合もある。
【0008】
一方、作業者が異常給紙の発生及び発生した棚を認識した後は、装置を止めてトラブルの確認と修正操作による復旧作業を行うことになるが、その確認と操作は装置内部の給紙トレー先端側部分で行う場合が多いところ、その部分は装置奥側の暗くて狭い位置であるため作業に手間取りやすく、復旧までに長時間を要してしまう要因の1つとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−352441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような問題を解決しようとするものであり、新聞折込チラシ用のコレーターについて、作業者が異常給紙の発生と発生箇所を認識しやすいものとして、速やかな復旧を実現できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明は、チラシを積載する給紙トレーを有した棚を縦方向に複数段備えてこれらの棚から各々給紙された複数種類のチラシを1つに丁合するものであって、給紙抜けまたは/及び重送を含む異常給紙の発生を検出するための異常給紙検出手段を備えているとともに、その異常給紙検出手段による出力信号を検知することで所定の報知手段を介し異常給紙の発生及び発生した棚を作業者に報知する電子制御装置を備えた新聞折込チラシ用のコレーターにおいて、その報知手段が、棚の内部側に各々配置され、配置された棚で異常給紙が発生した際に点滅または連続点灯することでその棚を異常給紙の発生していない他の棚とは外観上異なる状態にする報知ランプである、ことを特徴とするものとした。
【0012】
このように、異常給紙が発生したことを作業者に報知する報知手段として、異常給紙のあった棚の内部で外部から認識可能に点滅または連続点灯する報知ランプを配設して、作業者が注目しやすく通常は暗い棚の内部を照明して他の棚とは外観が異なるようにしたことにより、正面以外の角度からでもアラーム表示を見逃しにくくするとともに、トラブルのあった棚を即座に特定可能なものとし、且つ、その棚の内部を照明することで復旧作業の視野になる部分が明るくなって、短時間での復旧を実現しやすいものとなる。
【0013】
また、このコレーターにおいて、その報知ランプは、異常給紙の内容または/及び重要度に応じて発光色または/及び点滅速度を異なる設定とすることが可能とされている、ことを特徴としたものとすれば、異常給紙発生の認識と同時にその内容や重要度が識別できるようになり、適切且つすみやかな対処が可能なものとなる。
【0014】
さらに、上述したコレーターにおいて、その報知ランプは、その点灯方式が切り替え可能とされており、切り替えスイッチによる手動または/及び所定の動作に連動した自動にて切り替えられる、ことを特徴としたものとすれば、報知時に外部から認識しやすい点滅状態から手間を要さずに復旧作業を行いやすい連続点灯に切り替えることができ、その所定の動作には、装置が運転停止することまたは/及び棚内への人の手の進入をセンサが検出することが含まれるものとすれば、棚内の操作が伴う状況において確実に自動で切り替わるものとなる。
【0015】
さらにまた、これら点灯方式が切り替え可能なコレーターにおいて、異常給紙を報知している1つの棚の切り替えスイッチを操作することにより、異常給紙を報知している総ての棚の報知ランプまたは操作した棚の所属している棚管理グループ内の異常給紙を報知している総ての棚の報知ランプによる点灯方式が一斉に切り替わるものとされている、ことを特徴としたものとすれば、異常給紙のあった複数の棚において同時または連続にて作業を行いやすい状態にすることができる。
【0016】
加えて、上述した点灯方式が切り替え可能なコレーターにおいて、その報知ランプは、報知を主目的としたランプとこれよりも明るく照明を主目的としたランプの2種類の組み合わせからなり、その点灯が互いに切り替え可能とされていることを特徴としたものとすれば、例えば報知時に外部から認識しやすい色で点滅または連続点灯させ、復旧作業時には前者よりも明るく作業を行いやすい色で連続点灯させること等により、給紙トラブルの発生を認識容易としながら復旧作業の行いやすい状態を確保することができる。
【0017】
また加えて、上述したコレーターにおいて、その棚には、それを給紙タイミングの調整対象とするための専用のセレクトボタンが各々付設され、このセレクトボタンを押された棚について前記調整を行うためのタイミング調整手段が1つで複数の棚を調整可能に配設されており、前記タイミング調整手段を操作することでセレクト状態の棚が前記調整を実施される、ことを特徴としたものとすれば、タイミング調整不良を原因とした異常給紙について、棚を管理するグループ毎にそれらを対象とした1つのタイミング調整手段を配設することで総ての棚にタイミング調整手段を配置しない構成としてコスト高騰を回避しながら、報知ランプで棚内部を明るく照明して作業を行う視野をタイミング調整の行いやすい状態にすることができる。
【発明の効果】
【0018】
棚内部で点滅または連続点灯して外部から他の棚と識別可能な状態にする報知ランプを配設した本発明によると、作業者が異常給紙の発生及び発生箇所を認識しやすいものとして速やかな復旧を実現できるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明における実施の形態であるコレーターの特徴部分を示す部分縦断面図である。
【図2】図1のコレーターの応用例を示す正面図である。
【図3】図1,2のコレーターの応用例を示す部分縦断面図である。
【図4】図1,2,3のコレーターの応用例のスイッチパネル部分を拡大して示す部分拡大図である。
【図5】図4のスイッチパネルを有したコレーターの正面図である。
【図6】図5のコレーターの応用例のスイッチパネル部分を拡大して示す部分拡大図である。
【図7】従来例を示す正面図である。
【図8】(A)は図7のコレーターのスイッチパネル部分を拡大して示す部分拡大図であり、(B)は図7のコレーターの表示パネル部分を拡大して示す部分拡大図である。
【図9】従来例の特徴部分を示す部分縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を説明する。尚、以下の実施の形態においては、コレーターとして通常の機能を発揮する構成部分は従来例と同様であるため、その詳細な説明は省略するものとする。
【0021】
図1(A)は、本実施の形態の特徴部分を部分縦断面図で示したものであるが、このコレーター1Aは、新聞折込用のチラシを丁合するためのものであって、給紙トレー21a,21b,21c,・・・を各々差し込んだ棚20a,20b,20c,・・・が縦方向に10段以上重ねられて前後(図中左右)2列で設けられて、20種類以上のチラシを丁合して1つに纏めることを可能としたものである。
【0022】
その各棚20a,20b,20c,・・・には、給紙抜け、重送、紙詰まりを含む異常給紙の発生を検出するための光学的センサや超音波センサ等による図示しない異常給紙検出手段が各々設けられており、これらによる出力信号を検知した図示しない電子制御装置が、所定の報知手段を介して異常給紙の発生及び発生した棚を作業者に報知するものとされ、その報知手段の内容が本発明の特徴部分となっている。
【0023】
即ち、図7に示した従来のコレーター1Eにおいて、異常給紙の発生時に作動する報知手段は各棚の横に配置したスイッチパネル35のランプ類であり、作業者がその連続点灯または点滅によるアラーム表示を見落としやすいという問題があったところ、本発明においては、その報知手段を、各棚の内部側に各々配置されその棚で異常給紙が発生した際に点滅または連続点灯することにより、外部からの目視にてその棚を異常給紙の発生していない他の棚と識別可能な異なる外観にする報知ランプ8aとした点を特徴としている。
【0024】
このように、異常給紙のあった棚において内部に配置した報知ランプ8aを電子制御装置が点滅または連続点灯させることにより、作業者が注目しやすく通常は暗い棚の内部が照明されて正面以外の角度からでも視認可能となり他の正常な棚と識別しやすい外観を呈するものとなって、作業者がアラーム表示を見落としにくくなるとともに異常給紙のあった棚を即座に認識可能となる。また、図9に示したように、給紙トレーが角度を急にして挿された棚であっても、報知されている棚を間違える心配のないものとなる。
【0025】
この場合、この報知ランプ8aとしては、所定レベル以上の光量を有して点滅または連続点灯時に少なくとも棚内で作業可能な程度に明るく照明するものを配置することにより、棚内部でトラブル状況の確認と修正作業を行いやすい状態を確保出来ることから、比較的短い時間による復旧の実現が容易なものとなる。
【0026】
また、この報知ランプ8aは、例えば給紙抜けは赤、紙詰まりは黄色、のように異常給紙の内容や重要度に応じて異なる色調で発光するものとしたり(ランプ内部に複数の異なる発光色のLEDを配置する等)、異なる速度で点滅するものとしたりすることが好ましく、このようにすることで、作業者が異常給紙の発生を確実に認識できると同時に迅速なトラブル内容の把握が可能となって、的確且つ速やかな対処を行いやすいものとなる。
【0027】
図2は、図1のコレーター1Aの応用例としてのコレーター1Bの正面図を示している。このコレーター1Bは、報知ランプ8aの点滅と連続点灯とが切り替え可能となっており、各棚の左側に、押すことで報知ランプ8aを点滅から連続点灯、または連続点灯から点滅に切り替えるための切り替えスイッチ40が各々配置されている点を特徴としている。
【0028】
これにより、周囲が明るい状況でも視認しやすい点滅によるアラーム報知の状態から、作業の行いやすい連続点灯状態に手動で切り替えることができ、作業者がアラーム認知後すぐに復旧作業を行いやすい状態に手動で切り替えられるものとなる。尚、報知ランプ8aが消灯している状態でこの報知ランプ8aを操作することで、報知時の点灯方式を予め選択できるものとしても良い。
【0029】
この場合、複数の棚で異常給紙が同時多発したケースに対応するために、複数の異常給紙発生棚のうち1つの棚の切り替えスイッチ40を1回押すことにより、点滅している総ての報知ランプ8a、または前後両面機で切り替えスイッチ40を押した棚のある面側で点滅している総ての報知ランプ8a、或いはこれらよりも少ない単位としての所属している棚管理グループ内で点滅している総ての報知ランプ8aを、一斉に連続点灯に切り替える設定とすることが好ましく、これにより、異常給紙のあった複数の棚について、同時または連続にて修正作業を行えるようになる。
【0030】
また、作業が完了した棚の切り替えスイッチ40をもう1回押すことで、その棚の報知ランプ8aが消灯する設定にすれば、作業が完了した棚とこれから作業を行うべき棚が区別しやすいものとなる。さらに、この切り替えスイッチ40自体にもランプを内蔵して、異常給紙発生時の報知ランプとして棚内の報知ランプ8aとともに点灯または点滅するものとすれば、作業者によるアラーム表示の視認性を一層高めることができる。
【0031】
さらに、これらの応用として、異常給紙発生時以外の状況においても報知ランプ8aの点灯を可能なものとし、所定の複数棚で報知ランプ8aを点滅させている状態で、1つの切り替えスイッチ40を押すことにより、その棚または総ての棚の報知ランプ8aを連続点灯させるものとし、もう一回押すことでその棚を消灯させるものとしてもよい。これにより、例えば各種調整作業の際に調整が完了した棚から消灯させることにすれば、残りの調整対象の棚が分かりやすくなって便利である。
【0032】
図3は、上述したコレーター1A,1Bの応用例としてのコレーター1Cを示している。その基本的な構成と機能は前述と同様であるが、その棚内の報知ランプを、異常給紙発生時にこれを知らせることを主目的としたランプ8cと、これよりも明るく作業時の視野になる部分を照明することを主目的としたランプ8bの、2種類の組み合わせからなるものとした点を特徴としている。
【0033】
これにより、一方のランプ8cを例えば赤などの目立ちやすい色調として報知の際に点滅させることで外部から視認しやすくし、他方のランプ8bを例えば白などの色調として作業時に切り替えボタン40を押すことで作業のしやすい明るさで連続点灯させるものとすること等により、給紙トラブル発生の認識を一層確実なものとしながら、復旧作業を行いやすい棚内の明るさを確保しやすくなる。
【0034】
尚、図のように、報知を主目的としたランプ8cを、点滅または連続点灯している状態が外部から認識しやすい外側寄りに配置し、照明を主目的としたランプ8bをそれよりも奥側の作業箇所を照らしやすい位置に配置することが好ましい。また、報知を主目的としたランプ8cを前述と同様にトラブルの種類に応じて異なる色調で発光するものとして、照明を主目的としたランプ8bが連続点灯した状態でも点滅または連続点灯する設定とすることにより、トラブル原因について作業中の視野で認識できるものとなる。
【0035】
さらに、上述した実施の形態及び応用例に共通して、棚内の報知ランプで異常給紙の発生をアラーム表示するのに加え、各棚に付設したスイッチパネルのランプについても、従来通り報知ランプとして点滅または連続点灯させるようにしても良く、これを切り替えボタン40等で前記同様に切り替えまたは消灯可能な設定としても良い。尚、上述した手動による点灯方式の切り換え手段に加えて、或いはこれらの手段とは異なり、トラブル発生時に装置が運転停止することや棚内への人の手の進入をセンサが検出する等の所定の動作に連動した自動にて点灯方式が切り替わるものとしても、上述と同様に便利なものとなる。
【0036】
一方、チラシの部数が新聞配達部数に満たない場合に地域ごとにそのチラシを入れたり止めたりするケースもあるところ、以上の態様に加えて、そのチラシが設定部数に達することで装置が止まる場合にそれとその内容を報知したり、装置を止めずに給紙を止める場合でもそれとその内容を報知したりする設定としてもよく、これにより装置が止まったり給紙状態が変化したりした理由がすぐに認識できることから、作業者の心理的負担を軽減できるようになる。
【0037】
図4は、上述した総ての実施の形態及び応用例に共通した他の応用例としてのコレーター1Dを示している。上述の異常給紙においては、各棚における給紙タイミング(用紙の送り出しタイミング)の調整不良が原因となる場合があるところ、その際に、作業者は調整対象の棚内部において、給紙トレー先端側あたりのチラシの流れを確認しながら給紙タイミングを進め(+)たり遅らせ(−)たりして調整を行うことがある。そのとき、上述のように報知ランプで棚内部を照明することで、その調整作業を実施しやすい状態にすることができる。
【0038】
この場合、図8(A)のスイッチパネル35において示したNCボタンと呼ばれるボタン353を押すことでその棚を調整対象にセレクトし、セレクトされていることを示すためにランプ(NCランプ)353aを点灯させながら他の部分に配置したタイミング調整手段を操作するものが周知となっている。或いは、棚毎にタイミング調整手段を設けて、棚毎に操作しながら給紙タイミングの調整を行うものも知られている。
【0039】
しかし、ボタン353を押して調整対象にセレクトするものの場合、そのボタン353は本来その棚から給紙されたチラシが異常給紙等によりアラームすべき状態となってもそれを報知しない状態にて運転(No check)するためのボタンであるため、運転中に押すことにより本来アラームで報知する状態にしたい棚であっても、No check状態になってしまう。
【0040】
そのため、運転を停止させなければランプ353aが点灯したセレクト状態にてタイミング調整を行えないことから、チラシの流れを実際に見ないカンに頼った調整となりやすかった。一方、棚毎にタイミング調整手段を設ける場合は、運転しながら調整できることで正確な調整は可能となるが、装置の製造コストが高騰してしまうという難点がある。
【0041】
そこで、図4に示す各棚のスイッチパネル33において、NC用のボタン333及びその表示用のランプ333aの他に、その棚を給紙タイミングの調整対象とするための専用のセレクトボタン334とそれが押されたことを表示するランプ334aを付設して、図5の全体正面図に示すように、このセレクトボタン334を押された棚について給紙タイミングの調整を行うタイミング調整手段としてのロッカースイッチ10を、1つで複数の棚を調整可能に配設、即ち棚を管理するグループ毎に1つ配設してなるコレーター1Dとすることにより、複数の調整対象棚のうちセレクトされた状態のものをロッカースイッチ10で調整できるようになる。
【0042】
これにより、給紙タイミングの調整不良を原因とする異常給紙について、タイミング調整手段を棚毎に設けずにコストの高騰を抑えながら、報知ランプの照明で棚内部を視認可能なものとして調整作業を行いやすい状態として、運転中のチラシの流れを実際に確認しながら給紙タイミングの調整を的確に行えるようになる。
【0043】
このロッカースイッチ10は、図5に示すように、その調整量をカウンター表示可能な表示パネル31に近接した位置に配置すればよく、調整量を数字で確認しながら上からプラスON―OFF―マイナスONとしてシーソー式に動くとともに、OFF以外はモーメンタリーに指を離すとOFFに戻るものとすれば良い。これにより、タイミング調整を行う棚のセレクトボタン334を押し、調整対象棚としてランプ334aにて表示・宣言した後、ロッカースイッチ10を操作することで比較的容易に給紙タイミングの調整を行えるようになる。
【0044】
尚、1つのロッカースイッチ10で調整できるのは1度に1つの棚のみとし、ある棚を選択した状態で他の棚を選択した場合には先の棚の選択が解除されて同時に複数の棚を調整できないようにするものとし、前後両面機でロッカースイッチ10及び表示パネル31が前後2つずつ配置されている場合には、前側1棚、後側1棚がそれぞれ同時に選択可能とすることが好ましい。これは、給紙タイミングの調整量が棚の状態・チラシの状態により様々に調整されて一様でないことから、ある2つの棚を選択して所定量操作しても、偶然同じ量でない限りはどちらかの棚を対象から外さない限り、各々の適正量を設定できないことによる。
【0045】
また、図6に示すスイッチパネル34のように、調整済みであることを示すランプ347aを追加して設け、例えば報知時にその棚の切り替えボタン40を押して報知ランプを点滅から連続点灯に切り替え、作業終了後に再度切り替えボタン40を押すことで報知ランプが消灯してランプ347aが連続点灯または点滅する設定とすれば、作業者がその棚の現在状態を一層認識しやすいものとなる。
【0046】
この場合、そのランプ347aを、内部に異なる色調で発色する複数のLEDを内蔵してこれらが切り替わって連続点灯または点滅するものとし、例えば緑が先行(+)、赤が後退(−)を意味するものとして表示すること等により、プラスとマイナスの区別を作業者がすぐに分かるようにしても良い。或いは、画像表示が可能なタッチパネルを有するものにあっては、必要に応じてそのタッチパネルに各棚の現在状態を機械の略図などを用いて表示するものとすれば、総ての棚の状態を一目で確認できるようになる。
【0047】
さらに、作業者がその棚の調整量を認識できるようにするため、例えばセレクトボタン344を押すことでその棚が選択対象となっている間は、表示パネル31の表示部32にその棚ナンバーと調整量を表示させるようにしても良い。さらにまた、セレクトボタン344で調整対象とされた棚が所定時間(例えば10秒)調整されなかった場合には自動的に選択を解除する設定とすれば、その棚が選択されているのを忘れて操作することを防止することができる。
【0048】
以上、述べたように、新聞折込チラシ用のコレーターについて、本発明により、作業者が異常給紙の発生と発生箇所を認識しやすいものとなって、速やかな復旧を実現できるようになった。
【符号の説明】
【0049】
1A,1B,1C,1D コレーター、8a 報知ランプ、8b,8c ランプ、10 ロッカースイッチ、20a,20b,20c,20l,20m,20n 棚、21a,21b,21c,21l,21m,21n 給紙トレー、31 表示パネル、33,34,35 スイッチパネル、40 切り替えスイッチ、334 344 セレクトボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チラシを積載する給紙トレーを有した棚を縦方向に複数段備えて前記棚から各々給紙された複数種類のチラシを1つに丁合するものであって、給紙抜け又は/及び重送を含む異常給紙の発生を検出するための異常給紙検出手段を備えているとともに、前記異常給紙検出手段による出力信号を検知することで所定の報知手段を介し異常給紙の発生及び発生した前記棚を作業者に報知する電子制御装置を備えた新聞折込チラシ用のコレーターにおいて、前記報知手段が、前記棚の内部側に各々配置され、配置された前記棚で異常給紙が発生した際に点滅または連続点灯することで該棚を異常給紙の発生していない他の前記棚とは外観上異なる状態にする報知ランプである、ことを特徴とするコレーター。
【請求項2】
前記報知ランプは、異常給紙の内容または/及び重要度に応じて発光色または/及び点滅速度を異なる設定とすることが可能とされている、ことを特徴とする請求項1に記載したコレーター。
【請求項3】
前記報知ランプは、点灯方式が切り替え可能とされており、切り替えスイッチによる手動または/及び所定の動作に連動した自動にて切り替えられる、ことを特徴とする請求項1または2に記載したコレーター。
【請求項4】
前記所定の動作には、装置が運転停止することまたは/及び前記棚内への人の手の進入をセンサが検出することが含まれる、ことを特徴とする請求項3に記載したコレーター。
【請求項5】
異常給紙を報知している1つの前記棚の前記切り替えスイッチを操作することにより、異常給紙を報知している総ての前記棚の前記報知ランプ又は操作した前記棚の所属している棚管理グループ内の異常給紙を報知している総ての前記棚の前記報知ランプによる点灯方式が一斉に切り替わるものとされている、ことを特徴とする請求項3または4に記載したコレーター。
【請求項6】
前記報知ランプは、報知を主目的としたランプと該ランプよりも明るく照明を主目的としたランプの2種類の組み合わせからなり、その点灯が互いに切り替え可能とされている、ことを特徴とする請求項3,4または5に記載したコレーター。
【請求項7】
前記棚には、該棚を給紙タイミングの調整対象とするための専用のセレクトボタンが各々付設され、該セレクトボタンを押された前記棚について前記調整を行うためのタイミング調整手段が1つで複数の前記棚を調整可能に配設されており、前記タイミング調整手段を操作することでセレクト状態の前記棚が前記調整を実施される、ことを特徴とする請求項1,2,3,4,5または6に記載したコレーター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−158408(P2012−158408A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17605(P2011−17605)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(594041391)株式会社丸山機械製作所 (11)
【Fターム(参考)】