説明

コンクリートあるいはモルタル用添加剤およびその使用方法

【課題】コンクリートあるいはモルタル用減水剤よりも優れた減水効果などを有する添加剤を提供する。すなわち原料のホルムアルデヒドが人体および環境への懸念がある縮合系のスルホン酸系減水剤、あるいはポリカルボン酸系減水剤のコスト高を解決し、毒性がなくコストも低いコンクリートあるいはモルタル用添加剤を開発することにある。
【解決手段】スルホン酸基等を有するカチオン交換樹脂あるいは廃カチオン交換樹脂を、酸化剤により適度な条件化で酸化分解することにより、ホルムアルデヒドが無添加であり、原料コストも有利である水溶性イオン性高分子を使用することにより、優れた効果を発揮するコンクリートあるいはモルタル用添加剤を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート、モルタル、セメント等の添加剤に関する。詳しくはカチオン交換樹脂、特に使用済みの廃カチオン交換樹脂のリサイクルし、これを原料とし酸化分解することにより水溶性高分子を得ることができ、コンクリート、モルタル、セメント等の添加剤に応用することが可能である。添加剤として例えば減水剤はコンクリート等へ添加することにより、水の添加量を減少させることができることから、低水量で流動性が維持でき、また高強度、高耐久性のコンクリートを得ることができる。
【背景技術】
【0002】
コンクリート、モルタルなどのセメント組成物は、品質を改善するためにセメント減水剤が使用されている。すなわち近年、高強度コンクリート、高流動コンクリート等の高性能コンクリート、また骨材事情が悪い地域の単位水量対策には、セメント減水剤が必須の材料となっている。このセメント減水剤は、スルホン酸系とポリカルボン酸系があり、スルホン酸系ではナフタレンスルホン酸ホルマリン系減水剤、メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物系減水剤、リグニンスルホン酸系減水剤などが使用されている。またポリカルボン酸系では特許文献1の例がある。しかしスルホン酸系減水剤は、縮合系が多く、原料のホルムアルデヒドが人体および環境への懸念がある。一方、ポリカルボン酸系のセメント減水剤は、減水性能と流動性保持能力に優れるものであるが、アクリル酸あるいはメタクリル酸とアクリルアミドやポリオキシエチレン鎖を含有する単量体などとの共重合物からなり、前記縮合系に較べればややコスト高になることはさけられない。
【0003】
一方廃棄される廃イオン交換樹脂に関して考察してみると、陽イオンを吸着させるカチオン交換樹脂は、スルホン酸基あるいはカルボキシル基を有しているが、性能が劣化したものは、焼却あるいは埋め立て処分とされ、物質再利用の観点、二酸化炭素排出の観点からは問題となっている。超臨界水中で分解しオイル分を回収する方法が提案されているが、回収したオイル分は燃料として再利用するに過ぎず、物質再利用の観点からは不十分である(例えば特許文献2参照)。現状では廃棄している使用済みイオン交換樹脂を加工して新たな用途として使用すれば、原料コスト面から見た場合、非常に有利であることは言うまでもない。
【0004】
【特許文献1】特開平5−208855号公報
【特許文献2】特開平11−049889号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は以下の点にある。原料のホルムアルデヒドが人体および環境への懸念がある縮合系のスルホン酸系減水剤、あるいはポリカルボン酸系減水剤のコスト高を解決し、毒性がなくコストも低いコンクリートあるいはモルタル用添加剤を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
スルホン酸基等を有するカチオン交換樹脂を、酸化剤により適度な条件下で酸化分解することにより水溶性イオン性高分子に変換でき、これらのイオン性高分子はコンクリートあるいはモルタル用添加剤として優れた効果を発揮する。
【0007】
請求項1の発明は、カチオン交換樹脂を酸化分解することによって得た水溶性イオン性高分子からなるコンクリートあるいはモルタル用添加剤に関する。
【0008】
請求項2の発明は、前記カチオン交換樹脂が、廃イオン交換樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のコンクリートあるいはモルタル用添加剤に関する。
【0009】
請求項3の発明は、前記水溶性イオン性高分子のイオン当量値が、2.0〜5.0meq/gであることを特徴とする請求項1あるいは2に記載のコンクリートあるいはモルタル用添加剤に関する。
【0010】
請求項4の発明は、カチオン交換樹脂を酸化分解することによって得た水溶性イオン性高分子を生コンクリートあるいはモルタルに添加することを特徴とする水溶性イオン性高分子の使用方法に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、原料コストを非常に低く抑えることが可能であり、その結果価格競争力があるコンクリート用減水剤を製造できる。また従来再利用が殆どなされていなかった廃カチオン交換樹脂から水溶性イオン性高分子を高収率で得ることができるため、環境への影響も低減できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明において使用するカチオン交換樹脂は、使用前の新品イオン交換樹脂は使用可能であることは当然であるが、リサイクルの観点から特に廃イオン交換樹脂を使用することが好ましい。カチオン交換樹脂は、陽イオンを交換するための樹脂であり、その分子中にはアニオン性基を有している。このアニオン性基は、スルホン酸基あるいはカルボキシル基であるが、スルホン酸基であることがより好ましい。この理由としては、一般的に使用されているカチオン交換樹脂は、スルホン酸基のものが多く、カルボキシル基のものは少数であることが大きな理由であるが、カルボキシル基は弱酸性基であり、スルホン酸基は強酸性基であり安定して解離し、一定の性能を発揮できる。
【0013】
本発明で言う廃イオン交換樹脂とは、以下のようなものである。イオン交換樹脂は繰り返し再生し使用しているうち、樹脂粒子表面には有機性の汚染物質が吸着しこれは再生時にも脱離することは難しく、イオン交換能を低下させる。あるいは再生使用を繰り返していると、架橋点が切断され架橋度が低下し、粒子が膨潤し原水がカラムを通過しにくくなり処理量が低下し、実用上問題となる。更に樹脂粒子同士が衝突により破壊され、細粒化してやはり処理量が低下する。このような種々の要因で劣化したイオン交換樹脂は、実用に絶えず廃棄処分となり、廃イオン交換樹脂となる。本発明の水溶性イオン性高分子の製造方法において、原料となるイオン交換樹脂は、廃イオン交換樹脂および新品のどちらでも使用可能である。しかし環境問題の意識の高まりなどを考えると、廃イオン交換樹脂を原料として使用し、水溶性イオン性高分子として変換し新たな工業的な用途に応用することは、非常に重要なことである。本発明は特に廃カチオン交換樹脂を水溶性イオン性高分子に変換し、コンクリート用減水剤として使用することに関するものである。
【0014】
以下に本発明について詳細に説明する。廃イオン交換樹脂は、その樹脂表面に種々の汚染物質が吸着していることもあるために、酸化反応を実施する前に前処理を行わなければならない場合もある。必要ならその処置を行った後、含水状態の廃イオン交換樹脂の質量に対し0.1〜5倍量の水を添加し混合する。ここに必要に応じて触媒として鉄イオン源、銅イオン源である硫酸鉄(2価)、塩化鉄(3価)、硫酸銅(2価)などを添加溶解させる。鉄イオン、銅イオンの添加量は、廃イオン交換樹脂乾燥質量に対し0.0002〜0.02倍量、好ましくは0.0005〜0.01倍量である。前記触媒量がこれよりも少ないと分解率が低くなる。触媒量がこれよりも多いと反応の制御が難しく水溶性イオン性高分子として得られる量が著しく少なくなる。ここに35%過酸化水素水を過酸化水素として0.03〜3倍量、更に好ましくは0.06〜2倍量添加する。過酸化水素量がこれよりも少ないと分解率が低くなる。過酸化水素量がこれよりも多いと反応の制御が難しく、水溶性イオン性高分子として得られる量が著しく低下する。
【0015】
反応温度は室温〜90℃、好ましくは40〜70℃である。反応時間は、イオン交換樹脂固形物の消失を目安とし、酸化剤量、触媒量にもよるが、おおよそ5〜600分程度である。また分解時例えば塩酸等を添加し、酸性条件にすると分解が促進され、より少量の過酸化水素で水溶性イオン性高分子を得ることが可能となる。カチオン交換樹脂、触媒としての金属イオンおよび過酸化水素を混合し、均一の分散液状にした後は、攪拌を停止し無攪拌の状態で反応を進めることも可能である。この方法は、高濃度にて酸化反応を実施する際に特に有効なプロセスである。従って無攪拌にて反応を行うことも考慮すると酸化反応の濃度としては、10〜50質量%であり、好ましくは15〜40質量%である。
【0016】
イオン当量値は、廃イオン交換樹脂乾燥質量1gを分解して生成した分解液中の水溶性イオン性高分子の1gに対するイオン当量値であり、コロイド滴定法により求めた値である。コロイド滴定には、流動電位検出器PCD−500(京都電子製)を組み込んだ電位差自動滴定装置AT−510(京都電子製)を使用した。滴定時、カチオン性水溶性高分子の滴定にはポリビニルスルホン酸カリウム水溶液を、アニオン性水溶性高分子の滴定にはポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド水溶液を用いた。
【0017】
本発明の廃カチオン交換樹脂の酸化剤により分解することにより返還した水溶性アニオン性高分子は通常、重量平均分子量で数千〜数十万の水溶性イオン性高分子のものが生成する。一方、ビニル単量体を重合して生成した通常の減水剤は、重量平均分子量で1万〜100万の範囲のものが使用されている。またナフタレンスルホン酸ホルマリン系減水剤、メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物系減水剤、リグニンスルホン酸系減水剤の重量平均分子量は、重縮合反応を利用して製造しているため数千〜数万程度であると推定される。従って本発明で使用している廃カチオン交換樹脂の酸化分解法による水溶性アニオン性高分子は、減水剤として使用した場合、十分その機能を発揮するものであり、実用に耐えるものである。重量平均分子量が数千未満のものは、減水効果が低下し、使用には好ましくない。また数十万より高いものを製造しようとした場合、
酸化剤の使用量などを減少させれば可能であるが、反応が遅くなりあまり実用的ではない。よって重量平均分子量の範囲は、数千〜数十万である。
【0018】
また水溶性イオン性高分子のイオン当量値は、2.0〜5.0meq/gであることが好ましい。2.0meq/gより低いと、例えば減水効果が低下し、5.0meq/gより高いと硫酸イオンの影響を受けやすくなり効果が低下することがあり、また他の添加薬剤へ影響を与えたり、あるいは影響を受けたりし好ましくない。従ってイオン当量値として好ましくは2.0〜5.0meq/gである。
【0019】
本発明の水溶性イオン性高分子からなるコンクリートあるいはモルタル用添加剤と組合わせるセメントとしては、特に限定はない。たとえば、ポルトランドセメント(普通、早強、超早強、中庸熱、耐硫酸塩及びそれぞれの低アルカリ形)、各種混合セメント(高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント)、白色ポルトランドセメント、アルミナセメント、超速硬セメント(1クリンカー速硬性セメント、2クリンカー速硬性セメント、リン酸マグネシウムセメント)、グラウト用セメント、油井セメント、低発熱セメント(低発熱型高炉セメント、フライアッシュ混合低発熱型高炉セメント、ビーライト高含有セメント)、超高強度セメント、セメント系固化材、エコセメント(都市ごみ焼却灰、下水汚泥焼却灰の一種以上を原料として製造されたセメント)等があげられ、さらに、高炉スラグ、フライアッシュ、シンダーアッシュ、クリンカーアッシュ、ハスクアッシュ、シリカヒューム、シリカ粉末、石灰石粉末等の微粉体や石膏を添加してもよい。又、骨材として、砂利、砕石、水砕スラグ、再生骨材等以外に、珪石質、粘土質、ジルコン質、ハイアルミナ質、炭化珪素質、黒鉛質、クロム質、クロマグ質、マグネシア質等の耐火骨材が使用可能である。
【0020】
本発明の水溶性イオン性高分子からなるコンクリートあるいはモルタル用添加剤のセメントに対する添加量は、0.01〜3.0%が好ましく、より好ましくは0.1〜1.0%である。添加率が0.01%未満では、十分なセメント分散効果が現れず、添加率が3.0%を超えても、その効果は事質上、頭打ちとなりコストの点から好ましくない。これをコンクリートやモルタルに対する添加量にすると0.2%程度が一般的である。
【0021】
上記の方法で水溶化したイオン性高分子を乾燥粉砕法、塩析法、凝集沈降法、凍結乾燥法、凝集解砕法、スプレ−ドライ、ベルトドライヤーなどにより、好ましくは乾燥粉末またはスラリーの形態でコンクリート混和剤の1種として用いてもよい。
【0022】
乾燥粉末またはスラリーなどの状態で用いる場合は、通常、1〜10,000μm、好ましくは10〜1,000μmの粒子径を形成させることが適当である。粒子径が1μm未満の場合、粉末の嵩が、大きくなり大気中に飛散しやすくなるため、取り扱いが困難となる。また、スラリー状においてもスラリー自体の粘度が高くなりすぎゲル状に近くなるため、取り扱いが困難となる。粒径が、10,000μmを超える場合は、速やかに溶解しないため、充分な粘度や分離抵抗性を得るのに長持間を要する。これにより、コンクリートの生産性が低下し、また添加量による流動性などの微調整がかなり難しくなる。
【0023】
本発明の水溶性イオン性高分子からなるコンクリートあるいはモルタル用添加剤は、使用する用途、目的に応じて、ペースト、モルタル又はコンクリートの状態で使用される。モルタル又はコンクリートの状態で使用する場合は、通常モルタル、コンクリートの製造に使用されている細・粗骨材、すなわち、川砂、山砂、海砂、砕砂等や、川砂利、山砂利、海砂利、砕石等を使用することができる。また、必要に応じて、支障のない範囲内で、空気連行剤、消泡剤、収縮低減剤、増粘剤等の従来、公知のセメント用混和剤を添加することができる。モルタル、コンクリートの製造方法についても従来の方法が適用できる。また、本発明のコンクリートあるいはモルタル用添加剤を分割添加するいわゆる後添加法、もしくはダブルミキシングを行うことも例えば減水性能をより有効に発揮するには好ましい。
【0024】
さらに、本発明に係るコンクリートあるいはモルタル用添加剤には、さらに必要に応じて、従来公知の各種セメント添加剤のうちの少なくとも1種が含有されていてもよい。かかるコンクリート用添加剤としては、例えば、空気連行剤、セメント湿潤剤、膨張剤、防水剤、遅延剤、急結剤、凝集剤、乾燥収縮低減剤、強度増進剤、硬化促進剤、充填剤、消泡剤、発泡剤、着色剤、難燃剤、防腐剤、耐水化剤、老化防止剤、安定剤、加硫促進剤、帯電防止剤等が挙げられるほか、微粉末混和材料として、高炉スラグ、ポゾラン、フライアッシュ、シリカフューム、石灰石、CaOやC3 3 CaSO4 などの鉱物を主成分とする膨張材等も用いてもよい。これらのコンクリート混和剤は、その添加の時期や形態等に関しては、特に制限されるものではなく、従来と同様にして、適宜添加すればよく、その添加量に関してもかかる添加剤の性能を有効に発現し得る範囲内であればよく、従来通りでよい。
【0025】
上述してなる本発明のコンクリート添加剤は、通常の一般的なモルタル、コンクリート以外にも、高流動コンクリート、水中不分離性コンクリート、吹き付けコンクリート、逆打ちコンクリート、地盤注入(改良)工法、コンクリート成型品、シールド工法などのセメント、モルタル、コンクリートなどに用いることができる。
【0026】
減水試験はモルタルフロー試験装置(丸菱科学機械製作所製)を用い、以下の手順で行った。
1)フローテーブルの上板中央に正しくフローコーンを置く。
2)練り混ぜたモルタルをフローコーンの半分の深さまで詰め、突き棒の先端がその層の約1/2の深さまで入るよう、全面にわたり15回突く。
3)1層目を詰めた後同じ量のモルタルをフローコーンに詰め、突き終えた後フロ ーコーンの上面まで満たすようにモルタルを補い表面をならす。
4)直ちにフローコーンを鉛直に取り去り、フローテーブルのハンドルを回転させ15秒間に15回の落下運動をテーブルの上のモルタルに与える。
モルタルが最も広がっている部分の長さと、この方向に直角な部分におけるモルタルの広がりを測定する。
【0027】
(実施例1)
脱塩水30gに硫酸第一鉄7水和物0.2gを溶解させ、ここに乾燥したカチオン交換樹脂SK104(三菱化学社製)10gを添加分散させた。60℃で、35%過酸化水素5gを添加し、1.5時間保持した。カチオン交換樹脂は完全に溶解した。得られた溶液に脱塩水を加え50gの水溶性イオン性高分子水溶液とした。ここから一部サンプリングし、コロイド滴定によりイオン当量値を求めた。得られた水溶性イオン性高分子のイオン当量値は、3.8meq/gであった(試料−1)。結果を表1に示す。
【0028】
(実施例2)
硫酸第一鉄7水和物0.2gを脱塩水28.5gに溶解し、35%塩酸1.46gを添加し、更に乾燥したカチオン交換樹脂SK1B(三菱化学社製)10gを添加分散させた。60℃で、35%過酸化水素9.0gを添加し、2時間保持した。カチオン交換樹脂は完全に溶解した。得られた溶液に脱塩水を加え50gの水溶性イオン性高分子水溶液とした。ここから一部サンプリングし、コロイド滴定によりイオン当量値を求めた。得られた水溶性イオン性高分子のイオン当量値は、4.0meq/gであった(試料−2)。結果を表1に示す。
【0029】
カチオン交換樹脂SK104を用い、同様の操作により試料−3〜試料−5を合成した。生成物の物性は表1に示す。
【0030】
(実施例3)
実施例1で得られた水溶性イオン性高分子溶液を、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを6.8にした。最終的な水溶性イオン性高分子濃度は9%とした。これを用いてモルタルの流動性試験を実施した。モルタル(商品名ホームコン、鹿島コンクリートモルタル事業部製)2000gに対して水215gを添加混合した。ここから1000gを採取し、水溶性イオン性高分子溶液15gを添加混合した。モルタルフロー試験を実施し、モルタルの広がりを、最も広がっている部分の長さとこれと直角方向の長さを測定し、その平均値を広がり値とした。広がり値は22.6cmであった。同量の水のみを添加した場合のモルタルの広がり値は11.5cmであった。この場合のモルタルに対する添加量は0.15質量%である。結果は表1に示す。
【0031】
(実施例4)
実施例2で得られた水溶性イオン性高分子溶液に水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを6.7にした。最終的な水溶性イオン性高分子濃度は9%とした。これを用いて実施例1と同様の方法でモルタルの流動性試験を実施した。モルタルの広がり値は21.1cmであった。試料の物性及び結果は、表1に示す。
【0032】
同様の操作により実施例4〜実施例6の試験を行った。結果を表1に示す。
【0033】
(比較例1)
キャリボンL−400(三洋化成製、ポリカルボン酸型、比較品−1)を用い実施例1と同様の方法でモルタルの流動性試験を実施した。モルタルの広がり値は14.0cmであった。試料の物性及び結果は、表1に示す。
【0034】
(比較例2)
マイティ150(花王製、ナフタレンスルホン酸型、比較品−2)を用い実施例1と同様の方法でモルタルの流動性試験を実施した。モルタルの広がり値は17.8cmであった。試料の物性及び結果は、表1に示す。

【0035】
(表1)

分子量;重量平均(単位は万)、イオン当量値;meq/g、添加量;モルタルに対する質量%、広がり値;cm。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カチオン交換樹脂を酸化分解することによって得た水溶性イオン性高分子からなるコンクリートあるいはモルタル用添加剤。
【請求項2】
前記カチオン交換樹脂が、廃イオン交換樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のコンクリートあるいはモルタル用添加剤。
【請求項3】
前記水溶性イオン性高分子のイオン当量値が、2.0〜5.0meq/gであることを特徴とする請求項1あるいは2に記載のコンクリートあるいはモルタル用添加剤。
【請求項4】
カチオン交換樹脂を酸化分解することによって得た水溶性イオン性高分子を生コンクリートあるいはモルタルに添加することを特徴とする水溶性イオン性高分子の使用方法。

【公開番号】特開2013−18672(P2013−18672A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151947(P2011−151947)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000142148)ハイモ株式会社 (151)
【Fターム(参考)】