説明

コンクリートブロックの製造方法

【課題】
風雨や摩耗によって所定の色彩が退色・剥離することがなく、長い寿命を保持することができ、簡単に色彩のあるコンクリートブロック片を得、熟練を要せず特殊な設備も要しない景観用装飾コンクリートブロックの製造方法を提案する。
【解決手段】
白セメントと顔料とを必要な色彩となる割合にして水を加えて混練し、目的とする形態の筒状の型枠に流し込み、型枠より外して所定の厚みに切断して得たコンクリートブロックを一つの構成片1とし、この構成片1を複数又は別の形態のコンクリートブロックを組み合わせて夫々の色彩の持つコンクリートブロックの構成片1,2,3を組み合わせて所定(抽象的・具象的)の形態に並べて固着化するようにした製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば一般家庭の芝生庭にワンポイントとして又は装飾としての花柄模様や昆虫(とんぼ、蜂、蝶)に似せた形態に組み合わせて据え付け得るコンクリートブロックの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般家庭の庭や公園、築堤等には最近景観を向上させるため、多様な模様や色彩を施す例が多くなっている。その製法は多くの従来例が知られているが、製法が簡単で廉価にかつ比較的未熟練者でも製造可能な製造方法は知られてない。
従来は、例えばコンクリートに天然又は人工の装飾材を埋め込み、装飾材の一部をコンクリートの表面から突出させた装飾材を埋め込んで製造される製造方法が知られている。
しかし、コンクリートブロック表面に顔料を塗布した物に比較して装飾材の色彩が露出するため、退色の虞れはないものの、装飾材を仮固定する素材をコンクリート打設後に取り除く等の手数を要し、工数が多くなってコストが上昇してしまう欠点がある。
【0003】
【特許文献1】特開平9−216210
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来の装飾材を用いず、顔料をコンクリート素材に含むものの、退色せずかつ製造が簡素で熟練を要せず多数の形態や色彩を伴って装飾されたコンクリートブロックの製造方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、第1に、
白セメントと顔料とを必要な色彩となる割合にして水を加えて混練し、目的とする形態の筒状の型枠に流し込み、型枠より外して所定の厚みに切断して得たコンクリートブロックを一つの構成片とし、構成片を複数又は別の形態のコンクリートブロックを組み合わせて夫々の色彩の持つコンクリートブロックの構成片を所定の形態に並べて固着化するようにした製造方法である。
【0006】
第2に、
抽象的又は具象的な形態を構成する部材を白セメントと顔料とを必要な色彩となる割合にして水を加えて混練し、目的とする形態の筒状の型枠に流し込み、型枠より外して所定の厚みに切断によって製造し、
夫々のコンクリートブロックを一つの構成片とし、構成片を複数又は別の形態のコンクリートブロックと組み合わせて夫々の色彩の持つコンクリートブロック片を抽象的又は具象的な形態に並べて固着化するようにした製造方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、コンクリートブロックの素材に白セメントと顔料を混練して製造されるため、従来のようにコンクリートブロックの表面に着色したものと異なり、風雨や摩耗によって所定の色彩が退色・剥離することがなく、長い寿命を保持することができる。
また棒状に固まったコンクリート棒を所定の厚みに切断するだけで、簡単に色彩のあるコンクリートブロック片を得ることができるので、製造に熟練を要せず特殊な設備も要しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1はコンクリートブロック片を組み合わせて幾何学・花柄模様や昆虫等の具象形態を模して庭の芝生に埋め込むことにより景観を向上させた一例を示す図である。このコンクリートブロック組み合わせの構成は、円柱状から輪切りした部材1、同心に設置した円環を輪切りした部材2、非対称楕円形を輪切りした数個の部材3とより構成され、夫々に赤・黄・白等のカラフルな色彩が施されている。
【0009】
これらの各部材1,2,3は断面形態を示しており、コンクリートで形成する場合は、所定の長さの型枠を用いて製造され、コンクリートカッター等で輪切りされることにより実現する。
【0010】
次に、コンクリートブロックの各構成部材の製法について説明する。まず図2に示すように、図2及び図3に示すように、偏楕円(卵型)の形態にした型枠10を用意する。型枠10は金属によるプレス材、鋳鉄製のもの、合成樹脂製のもの等、所定の型を形成可能であれば、その素材は問わない。型枠10は二つ割り(10a,10b)、三つ割り等形態の複雑さに応じて分割される構造を取り得る。型枠10の長さは扱いやすい長さ、例えば1〜2メートル程度のものとすることができる。金属製のものでは長くなると型枠自体が重くなって扱いにくくなるので、50センチメートル〜1メートル程度が適当である。図2例は花びらを模した形態となるように、内面11a,11bがその形態になるように形成されている。12は合わせ面を、13組立用ボルトを示す。そして型枠10の内面を清掃してボルト13とナットで組み立てておく。
【0011】
次に、白セメント、砂と顔料を所定割合に計量、例えば白セメント25%に対し砂75%の割合とし、更に白セメントの量の10%以内に顔料を加えて1〜2分程度空練りをする(重量比)。そして、コンクリートミキサーに洗い砂と顔料入り白セメントを投入して充分に(例えば3〜5分)空練りし、適量の水分を加えて更に3〜5分程度充分に練り混ぜる。
【0012】
次に、予め縦方向に設置した図2・図3の型枠10に練り上がったカラーモルタルを、まず半分程度流し込み、1回目のバイブレータによる絞め固めをする。更に半分程度流し込んでから2回目のバイブレータによる絞め固めをする。最後に上端部を金鏝で平坦に仕上げる。
【0013】
型枠10に投入したカラーモルタルが充分に固化したら、型枠10を外すことにより、図3に示すように、カラーモルタメ棒状体15が現出する。尚、外気温によって養生日数が異なるので適切な固化日数を選ぶ。
【0014】
型枠10から外れたカラーモルタル柱状体15は混入した顔料で全体に染まっている。そこで柱状になったカラーモルタル柱状体15を横にし、図4に示すように、ダイヤモンドホイル付きカッター20に設置して所定の厚さに切断する。コンクリートブロック片は土表面に埋め込む場合に土の性質によって厚さを変えることがある。
【0015】
このようにして輪切り形成されたカラーモルタルによるコンクリートブロック片は全体が顔料によって染められた形態を有する。そして以上の製法により製造されたコンクリートブロック片は数個組み合わせ、又は別の断面形態を有する型枠によって製造されたコンクリートブロック片と共に組み合わされ、図1に示すように、地面に組み込むことができる。
【0016】
まず、地面の適当箇所にコンクリートブロックの組み込み形態(花柄模様)より少し大きめの穴を掘り、底面に砂を敷き固めて平坦化し、花柄模様になるようにコンクリートブロック片1,2,3を並べ、隙間には砂や土を埋め込んで位置を固定する。必要により、地面と同程度の高さにしても良く、敷石の代わりにするときはコンクリートブロック片全体を2〜3センチメートル程度高く設置しても良い。
【0017】
地面に敷き込む際、花柄模様にする場合は、図1に示すように、同心円の部材2個と花びら部材数個とで構成されるため、夫々の部材の型枠を必要とする。また必要な色彩にするため対応する顔料を用意し、夫々上記の製法により、コンクリートブロック柱状体を成型して所定厚に切断する。
【0018】
また昆虫例えばとんぼを模した形態を実現するには、図5に示すように、眼に相当する黒い色彩の小型の丸いコンクリートブロック片31と、胴に相当する赤い色彩の丸いコンクリートブロック片32と、尾に相当する2〜3種の赤い色彩の丸いコンクリートブロック片33と、羽根に相当する白い色彩の偏楕円形のコンクリートブロック片34とを上記の製法で夫々製造する。そして地面にとんぼの形態となるように敷き詰めて固定化することにより実現する。
【0019】
以上のコンクリートブロック体は、夫々の部材となるコンクリートブロック片が地面に固着して特定の形態(花柄模様、とんぼ等)になる。
【0020】
次に製造段階で特定の形態(花柄模様等)にし、地面に埋め込む際にコンクリートブロック片の隙間に砂・土を詰め込む必要がないコンクリートブロックの製法について説明する。
【0021】
各個別の部材となるコンクリートブロック片は、上記の製法で確保しておき、次に、図6に示すように、外形を覆い得る円形のかつ個別のコンクリートブロックと同等の厚み分を確保した分割構造の円環状の型枠40を用意し、この型枠40の内側に、特定の形態(花柄模様等)にコンクリートブロック片を配置する。そして隙間には、別の色彩のモルタルを埋め込んで固着化する。固型化したコンクリートブロック体は全体として大きな円板状になるが、特定の形態・色彩(花柄模様・とんぼ等)が現出されたものとなっている。
【0022】
このようにして製造された大型の円板状コンクリートブロック体は、土のような地面に埋め込むことができるが、更に新設されたコンクリート又はアスファルト面に対し予め設置してから、コンクリート又はアスファルトで周りを一体に打設することにより、全体の敷地面に対しワンポイントマークのように表すことができる。
【0023】
次に、夫々の形態(花柄模様等)の個別の部材となるコンクリートブロック片を厚さ1センチメートル程度に輪切りして形成し、建物・道路壁面その他のコンクリート壁面に対しシアノアクリレート系の接着剤にて張り付けて所定の模様等の形態にすることができ、建物・道路の景観の向上に寄与し得る。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明方法で製造されたコンクリートブロック体は、土の庭、コンクリート・アスファルト面、建物のエントランス面に埋め込んで使用される。更に建物の外壁・道路壁面にも埋め込み又は張り付けて使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明製造方法によって形成されたコンクリートブロック体の例を示す図
【図2】本製造方法に用いる型枠の一例を示す平面図
【図3】本製造方法に用いる型枠の一例を示す斜視図
【図4】切断状況を示す概略図
【図5】本発明製造方法によって形成されたコンクリートブロック片により組み合わせた他の例を示す図
【図6】本発明製造方法によって形成されたコンクリートブロック片を一体に組み込んだ例を示す図
【符号の説明】
【0026】
1,2,3 各コンクリートブロック構成片
10 型枠
11a,11b 内面
15 カラーモルタル柱状体
31,32,33,34 各コンクリートブロック構成片
40 型枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
白セメントと顔料とを必要な色彩となる割合にして水を加えて混練し、目的とする形態の筒状の型枠に流し込み、型枠より外して所定の厚みに切断して得たコンクリートブロックを一つの構成片とし、構成片を複数又は別の形態のコンクリートブロックを組み合わせて夫々の色彩の持つコンクリートブロックの構成片を所定の形態に並べて固着化するようにしたことを特徴とするコンクリートブロックの製造方法。
【請求項2】
抽象的又は具象的な形態を構成する部材を白セメントと顔料とを必要な色彩となる割合にして水を加えて混練し、目的とする形態の筒状の型枠に流し込み、型枠より外して所定の厚みに切断によって製造し、
夫々のコンクリートブロックを一つの構成片とし、構成片を複数又は別の形態のコンクリートブロックと組み合わせて夫々の色彩の持つコンクリートブロック片を抽象的又は具象的な形態に並べて固着化するようにしたことを特徴とするコンクリートブロックの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−157690(P2011−157690A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−17821(P2010−17821)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(392031295)
【Fターム(参考)】