コンクリート中詰め合成セグメント
【課題】縦リブを備えた鋼殻とセグメント内に充填されたコンクリートとの一体化を確実に高めることができ、合成セグメントの終局耐力を高めたコンクリート中詰め合成セグメントを提供すること。
【解決手段】主桁2、継手板11およびスキンプレート3により構成される鉄鋼製系セグメントにおける主桁2に縦リブ4が固定され、その縦リブ4におけるスキンプレート側端部を通るトンネル半径方向の法線Xを含むトンネル軸方向に延長する面L1に対して、トンネル軸方向の断面視で、前記縦リブ4における少なくとも一つの折れ曲がり部13の中心aと、前記縦リブ4のトンネル内空側の端部とが、前記トンネル半径方向の法線Xを含むトンネル軸方向に延長する面を挟むように、その面の一方および他方に配置されている。
【解決手段】主桁2、継手板11およびスキンプレート3により構成される鉄鋼製系セグメントにおける主桁2に縦リブ4が固定され、その縦リブ4におけるスキンプレート側端部を通るトンネル半径方向の法線Xを含むトンネル軸方向に延長する面L1に対して、トンネル軸方向の断面視で、前記縦リブ4における少なくとも一つの折れ曲がり部13の中心aと、前記縦リブ4のトンネル内空側の端部とが、前記トンネル半径方向の法線Xを含むトンネル軸方向に延長する面を挟むように、その面の一方および他方に配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシールドトンネル覆工に用いられる縦リブを有する鉄鋼製系セグメントにコンクリートを中詰めして構成されるコンクリート中詰め合成セグメントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図14に示すように、鋼殻とコンクリートとの二次覆工省略型コンクリート中詰鋼製セグメント42(1A,1B,1K)内に、トンネル周方向の継手板間にトンネル半径方向の平板状縦リブ4A(直リブ4A)を設けることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
縦リブが直リブ4Aである鋼殻9内に、中詰めコンクリート6を中詰充填した従来の二次覆工省略型のコンクリート中詰鋼製セグメント42(1A,1B,1K)の場合、トンネル半径方向の変形に対する鋼殻9と中詰めコンクリート6間の荷重伝達機構を考えると、平板状縦リブ4Aは、縦リブ設置位置における主桁2のトンネル地山側の辺の法線方向(トンネル半径方向)に一致するように配置されているため、中詰めコンクリート6が二次覆工省略型のコンクリート中詰鋼製セグメント42(1A,1B,1K)の内空側に押し出されようとする際に、トンネル周方向に隣り合う板状縦リブ4Aのくさび作用(くさび効果)により、中詰めコンクリート6の抜け落ちを防止すると共に、中詰めコンクリート6と縦リブ4Aの間でトンネル半径方向の荷重を、トンネル周方向の押圧力として伝達する効果が発揮される。しかし、図15に示すように、トンネル径が大きくなる程、二次覆工省略型のコンクリート中詰鋼製セグメント42における板状縦リブ4Aの配置角度は、セグメント幅寸法精度を確保するために小さくなり、隣り合う板状縦リブ4A,4Aは平行に近い状態で配置されることになるため、前記のくさび効果は小さくなり、確実に伝達される荷重も小さくなってしまう。
【0004】
また、トンネルにおけるセグメントリングに土水圧が作用した際に発生するトンネル周方向の軸力による板状縦リブ4Aと中詰めコンクリート6との摩擦抵抗力による荷重伝達効果も発揮され得るが、板状縦リブ4Aに凹凸などを加えていない単純な板状縦リブ4Aからなる直リブの場合、前記の摩擦抵抗力を確実に発揮されない恐れがある。
【0005】
前記の恐れがあるため、従来の二次覆工省略型コンクリート中詰鋼製セグメントの構造でトンネル半径寸法を大きくした場合には、鋼殻9と中詰めコンクリート6間の荷重伝達機能が不足し、トンネル半径方向の変形に対して鋼殻と中詰めコンクリートは一体として挙動しない恐れがあるため、板状縦リブ4Aに凹凸などを加えたり、その他の手段により、鋼殻と中詰めコンクリートとの一体化を図るようにしている。
【0006】
例えば、シールドトンネル覆工に用いられる合成セグメントとして鋼殻と中詰めコンクリートを一体化させる方法は、(1)スタッドジベルなどの機械的ずれ止めを鋼殻内面に配置する方法や、(2)板状縦リブに渡って鉄筋等の棒状鋼材を配置したり(例えば、特許文献1参照)、(3)主桁を[形状にし、かつ、H形状の縦リブを使用することによって、鋼殻と中詰めコンクリート6の一体化を図る方法(例えば、特許文献2参照)も知られている。
しかし、前記の(1)から(3)の合成セグメントの場合は、複雑な加工工程を要するため、土水圧などにより発生する曲げモーメントが極めて大きい場合を除き、不経済な構造となってしまうという問題がある。
【0007】
前記の(2)あるいは前記(3)の形態についてさらに説明する。図16〜図17および図18〜図20に示す形態の合成セグメント42(1A,1B,1K)は、縦リブ4A間の中詰めコンクリート6に圧縮斜材(ロ)を形成するようにして、コンクリート中詰め合成セグメントの剛性を高めるようにした形態であり、同図中に示す(イ)〜(チ)の作用について説明する。
【0008】
図16(a)において、合成セグメント42に負曲げモーメントが作用すると、隣合う縦リブ4と棒状鋼材5の隅角部7を固定点として、中詰めコンクリート6に図示矢印(イ)の向かい合う力が作用し、中詰めコンクリート6に実線および点線の楕円線領域で示す圧縮斜材(ロ)が形成され、セグメント枠体を変形させる力に抵抗する。
【0009】
また、この圧縮斜材(ロ)の反力として、縦リブ4Aに図示矢印(ハ)の引張力が発生すると共に、スキンプレート3に図示矢印(ホ)の引張力が発生し、主桁1には、図16(b)に矢印(ニ)で示すように、隣合う平板状縦リブ4Aと棒状鋼材5の隅角部7であって、中詰めコンクリート6の圧縮斜材(ロ)の固定点でない点に向かう引張力が発生するが、この引張力に対しても、平板状縦リブ4Aと棒状鋼材5を介して主桁1と一体化された中詰めコンクリート6が抵抗する。
【0010】
図17は、平板状縦リブ4Aが所定の間隔で複数設けられると共に、前記平板状縦リブ4Aの開孔8に棒状鋼材5が挿通され定着された合成セグメント42(1A,1B,1K)において、矢印(ホ)方向の荷重を載荷した場合に、セグメントに作用するせん断力に抵抗して中詰めコンクリート6に発生する引張力と圧縮力の関係を示している。
【0011】
すなわち、図17において、内空側から矢印(ホ)方向の力をかけたとき、中詰めコンクリート6が充填された各平板状縦リブ4A間には、コンクリート圧縮斜材が形成され、これに伴うトラス機構によりせん断力に抵抗するため、大きなせん断力にも抵抗できるようになる。また、向い合う矢印が発生する楕円で示す中詰めコンクリート6中の圧縮域(ヘ)と、反対向きの矢印で示す鋼材中の引張域(ト)が形成され、圧縮域(ヘ)と引張域(ト)が合成されて、せん断に抵抗する領域(チ)と曲げに抵抗する領域(リ)が形成され、全体として中詰めコンクリート6と平板状縦リブ4Aを介してスキンプレート3および棒状鋼材5との一体化が図られる。したがって、合成セグメントにせん断力が作用し、その結果、中詰めコンクリート6に引張力が作用しても、当該棒状鋼材5が外側にはらみ出すことがなくセグメントの剛性が向上するようにした形態である。
【0012】
また、図18に示す形態では、図18(a)において、合成セグメントにせん断力が作用すると、縦リブ4Aとしての隣り合うH形状のずれ止め10のフランジ10b、10cとウェブ10aの隅角部7を固定点として中詰めコンクリート6に図示矢印(イ)の向い合う力が作用し、当該中詰めコンクリート6に斜線領域で示す圧縮斜材(ロ)が形成され、セグメント枠体を変形させる力に抵抗する。
【0013】
また、この圧縮斜材(ロ)の反力として、H形状のずれ止め10のウェブ10aに図示矢印(ハ)の引張力が発生するとともに、主桁2には図18(b)に矢印(ニ)で示すように、隣り合うH形状のずれ止め10のフランジ10b、10cとウェブ10aの隅角部7であって、中詰めコンクリート6の圧縮斜材(ロ)の固定点でない点に向かう引張力が発生し、前記の圧縮力および引張力の釣り合いによりセグメント枠体を変形させる力に抵抗するのである。
【0014】
図19および図20は、H形状のずれ止め10が所定の間隔で複数設けられた合成セグメントにおいて、矢印(ホ)方向の荷重を載荷した場合に、セグメントに作用するせん断力に抵抗して中詰めコンクリート6に発生する圧縮力と主桁に発生する引張力の関係を示している。
【0015】
すなわち、図19において、内空側から矢印(ホ)方向のかけたとき、中詰めコンクリート6が充填された各H形状のずれ止め10間には、向い合う矢印が発生する楕円で示す中詰めコンクリート6中の圧縮域(ヘ)と、反対向きの矢印で示す鋼材中の引張域(ト)が形成され、圧縮域(ヘ)と引張域(ト)が合成されて、結果的に、せん断に抵抗する領域(チ)と曲げに抵抗する領域(リ)が形成され、全体として中詰めコンクリート6とH形状のずれ止め10を介して中詰めコンクリート6と主桁2との一体化が図られて、合成セグメントにせん断力が作用し、その結果、合成セグメントに作用する曲げ力が変化しても中詰めコンクリート6に発生する圧縮力および主桁2に発生する引張力が変化して一体として作用力に抵抗するようにした形態である。
【0016】
また、前記の板状の縦リブ4Aに変えて、図9(a)(b)に示すように、トンネル半径方向(セグメントにおける法線方向)に配置される第1法線方向板20とその第1法線方向板20に直角なフランジ板21部分とからなる断面L形縦リブ4Eを、主桁間に設置するように、かつ図9(a)に示すように、フランジ板21を内空側表面に近接した位置で埋め込み配置する形態、あるいは図9(b)に示すように、前記フランジ板21をトンネル内空側に露出するように配置する形態も知られている。
図9(a)に示す形態では、フランジ板21により内空側に応力が作用した場合、断面L形縦リブ4Eのフランジ板21の内空側コンクリート6が剥離する恐れがあるという問題がある。また、図9(b)に示す形態では、断面L形縦リブ4Eのフランジ板21の内空側露出面は防食塗装の必要があり、防食施工コストがかかるという問題ある。
また、これらの形態では、法線に対して傾斜していない第1法線方向板20であるので、前記板状縦リブ4Aの従来場合と同様、隣り合う第1法線方向板20により、くさび角が形成されるため、くさび角は法線方向板20の配置ピッチに依存するようになり、そのため、(1)トンネル周方向の配置ピッチ(角度)は大きくなければならない反面、(2)第1法線方向板20の片面の機械的噛み合いが効果を発揮するようになるため、断面L形縦リブ4Eの配置ピッチ(長さ)は小さくなければならない。このような特性のある断面L形縦リブ4Eをトンネル径が大きい場合の合成セグメントに適用した場合は、前記(1)は満足できないため、前記(2)のみを満足させるために、断面L形縦リブ4Eの配置ピッチは小さくならざるを得ず、トンネル径が大きくなると、断面L形縦リブ4Eの配置数が多くなり、コストが高くなるという問題がある。
【特許文献1】特開2004−270276号公報
【特許文献2】特開2003−27894号公報
【特許文献3】特開平11−315698号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
前記のように、縦リブに期待される作用としては、前記の(a)クサビ作用と、(b)摩擦抵抗力と、(c)中詰めコンクリートとの機械的な係合一体化作用などがあるが、効率よく縦リブを配置して、前記(a)クサビ作用と、(b)摩擦抵抗力と、(c)中詰めコンクリートとの機械的な係合一体化作用の少なくとも1つ以上を確実に高めて、より縦リブと中詰めコンクリートとの一体化を高めることで、鋼材と中詰めコンクリートの合成効果を発揮させることが望まれる。
本発明は、合成セグメントを構成する縦リブを備えた鋼殻とセグメント内に充填されたコンクリートとの一体化を確実に高めることができ、鋼材と中詰めコンクリートの合成効果を発揮させたコンクリート中詰め合成セグメントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記の課題を有利に解決するために、第1発明のコンクリート中詰め合成セグメントにおいては、主桁、継手板およびスキンプレートにより構成される鉄鋼製系セグメントにおける主桁に縦リブが固定され、その縦リブにおけるスキンプレート側端部を通るトンネル半径方向の法線を含むトンネル軸方向に延長する面に対して、トンネル軸方向の断面視で、前記縦リブにおける少なくとも一つの折れ曲がり部の中心と、前記縦リブのトンネル内空側の端部とが、前記トンネル半径方向の法線を含むトンネル軸方向に延長する面を挟むように、その面の一方および他方に配置されていることを特徴とする。
また、第2発明のコンクリート中詰め合成セグメントでは、主桁、継手板およびスキンプレートにより構成される鉄鋼製系セグメントにおける主桁に断面くの字または逆くの字状縦リブが固定され、その断面くの字または逆くの字状の縦リブにおけるスキンプレート側端部を通るトンネル半径方向の法線を含むトンネル軸方向に延長する面に対して、トンネル軸方向の断面視で、前記断面くの字または逆くの字状の縦リブにおける折れ曲がり部の中心と、前記断面くの字または逆くの字状の縦リブのトンネル内空側の端部とが、前記トンネル半径方向の法線を含むトンネル軸方向に延長する面を挟むように、その面の一方および他方に配置されていることを特徴とする。
また、第3発明のコンクリート中詰め合成セグメントでは、主桁、継手板およびスキンプレートにより構成される鉄鋼製系セグメントにおける主桁に断面円弧状の縦リブが固定され、その断面円弧状の縦リブにおけるスキンプレート側端部を通るトンネル半径方向の法線を含むトンネル軸方向に延長する面に対して、トンネル軸方向の断面視で、前記断面円弧状の縦リブにおける折れ曲がり部の中心と、前記断面円弧状の縦リブのトンネル内空側の端部とが、前記トンネル半径方向の法線を含むトンネル軸方向に延長する面を挟むように、その面の一方および他方に配置されていることを特徴とする。
また、第4発明のコンクリート中詰め合成セグメントでは、主桁、継手板およびスキンプレートにより構成される鉄鋼製系セグメントにおける主桁に断面Z字または逆Z字状の縦リブが固定され、その断面Z字または逆Z字状の縦リブにおけるスキンプレート側端部を通るトンネル半径方向の法線を含むトンネル軸方向に延長する面に対して、トンネル軸方向の断面視で、前記断面Z字または逆Z字状の縦リブにおける少なくとも一つの折れ曲がり部の中心と、前記断面Z字または逆Z字状の縦リブのトンネル内空側の端部とが、前記トンネル半径方向の法線を含むトンネル軸方向に延長する面を挟むように、その面の一方および他方に配置されていることを特徴とする。
また、第5発明のコンクリート中詰め合成セグメントでは、主桁、継手板およびスキンプレートにより構成される鉄鋼製系セグメントにおける主桁に断面S字または逆S字状の縦リブが固定され、その断面S字または逆S字状の縦リブにおけるスキンプレート側端部を通るトンネル半径方向の法線を含むトンネル軸方向に延長する面に対して、トンネル軸方向の断面視で、前記断面S字または逆S字状の縦リブにおける少なくとも一つの折れ曲がり部の中心と、前記断面S字または逆S字状の縦リブのトンネル内空側の端部とが、前記トンネル半径方向の法線を含むトンネル軸方向に延長する面を挟むように、その面の一方および他方に配置されていることを特徴とする。
また、第6発明では、第1発明から第5発明のコンクリート中詰め合成セグメントにおいて、一方の縦リブにおけるトンネル半径方向のスキンプレート側の縦リブ基端側と、内空側の縦リブ先端部とを結ぶ直線Lを含むトンネル軸方向の面L1と、これに隣接する他方の縦リブにおけるトンネル半径方向のスキンプレート側の縦リブ基端側と、内空側の縦リブ先端部とを結ぶ直線Lを含むトンネル軸方向の面L2とが、各縦リブ基端側のスキンプレート側端部を通るトンネル半径方向の法線に交差するように傾斜して設けられ、前記面L1とL2とは、トンネル内空側において相互に接近する方向に傾斜していることを特徴とする。
また、第7発明では、第1発明〜第6発明のいずれかのコンクリート中詰め合成セグメントにおいて、トンネル周方向に隣り合う縦リブが、トンネル周方向に等角度間隔をおいて設けられていることを特徴とする。
また、第8発明では、第1発明〜第7発明のいずれかのコンクリート中詰め合成セグメントにおいて、トンネル周方向に隣り合う少なくとも一組の縦リブが、トンネル周方向に対称に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、縦リブが法線に対して傾斜する効率のよい配置形態とされているので、そのクサビ作用または摩擦抵抗力作用あるいは中詰めコンクリートとの機械的な係合一体化作用の少なくとも1つ以上を、従来の二次覆工省略型のコンクリート中詰鋼製セグメントの場合より確実に高めて、縦リブと中詰めコンクリートとの一体化を高めた合成セグメントとすることができ、コンクリート中詰め合成セグメントとしての高い剛性および最大耐力並びに終局耐力を得ることができる。
また、各傾斜板は、法線に対して傾斜して交差するような配置形態であるので、コンクリートの充填性をよくし、確実に中詰めコンクリートを充填させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、本発明を図示の実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0021】
図1(a)、図3および図4は、本発明の第1実施形態のコンクリート中詰め合成セグメント1を示すものであって、トンネル周方向に延長すると共にトンネル軸方向に間隔をおいて並行に配置される少なくとも1組の主桁2と、トンネル軸方向に延長するように配置されていると共にトンネル周方向に間隔をおいて並行に設けられる継手板11と、これらのトンネル地山側に配置されて溶接により固定されるスキンプレート3を備え、また、主桁2間に渡ってトンネル軸方向に延長する断面くの字状または逆くの字状の縦リブ4が、後記するように特殊な配置形態で配置されて溶接により固定され、前記断面くの字状または逆くの字状の縦リブ4は、トンネル周方向に間隔をおいて並行に複数並行に配置されて、スキンプレート3にも溶接により固定されている。
【0022】
この第1実施形態では、断面くの字状または逆くの字状の縦リブ4は、その縦リブ4における第1傾斜板12は、そのスキンプレート側端部を通るトンネル半径方向の法線Xに対して傾斜するように配置され、かつ前記第1傾斜板12は、トンネル内空側に延長するように配置され、前記第1傾斜板12に接続すると共に前記第1傾斜板12の傾斜方向と反対側に折れ曲がり、トンネル内空側に接近するように折れ曲がる折れ曲がり部13を備え、その折れ曲がり部13に接続して、第1傾斜板12と反対側に傾斜すると共にトンネル内空側に延長するように配置された第2傾斜板15を備えている。
【0023】
前記の第2傾斜板15の中央部が前記法線Xに対して傾斜した状態で交差し、その第2傾斜板15の先端部は、前記法線Xを越えて前記折れ曲がり部13までの長さと同程度の長さ寸法、前記法線Xを越えて伸張し、かつ中詰めコンクリート6に埋め込まれている。
【0024】
すなわち、前記第1傾斜板および第2傾斜板15を備えた断面くの字状または逆くの字状の縦リブ4は、そのスキンプレート側端部を通るトンネル半径方向の法線Xを含むトンネル軸方向に延長する面に対して、トンネル軸方向の断面視で、前記縦リブ4における少なくとも一つの折れ曲がり部13の中心aと、前記縦リブ4のトンネル内空側の端部bとが、前記トンネル半径方向の法線Xを含むトンネル軸方向に延長する面を挟むように、その面の一方および他方に配置されている。
【0025】
前記の断面略くの字状または断面略逆くの字状の縦リブ4の折れ曲がり部中心aから内空側端部bまでの第2傾斜板15先端部までの長さは、内空側端部からコンクリート系セグメントに一般的に用いられている骨材の最大粗骨材寸法20mmの2倍以上、好ましくは3倍以上の長さを有し、且つ、折れ曲がり部13の中心aが、合成セグメント1のトンネル半径方向の図心位置Cよりも内空側にあるように設定されている(図3参照)。
【0026】
また、断面略くの字状または断面略逆くの字状の縦リブ設置位置のセグメントの法線Xと前記縦リブ4の第1傾斜板12が成す角度αおよび縦リブ設置位置のスキンプレート3の法線Xと、縦リブ4のスキンプレート側端部(板厚中心)と内空側端部b(の板厚中心)を結んだ直線L(換言すると、前記線Lを含むトンネル軸方向に延長する面L1,L2)が成す角度αは、10°程度以上に設定することが好ましい。
【0027】
また、断面略くの字状または逆くの字状縦リブの折れ曲がり中心角θは、中詰めコンクリート6の充填性確保の観点から90°以上の鈍角、好ましくは、120°〜140°であることが、コンクリートの充填性を確実にする上で好ましい。
【0028】
前記のように構成されたセグメント鋼殻9内に中詰めコンクリート6が充填されて、合成セグメント1が構成されている(なお、ボルトレスのセグメント間継手機構およびリング間継手機構は省略した)。
【0029】
前記のように合成セグメント1を構成することで、中詰めコンクリート6と縦リブ4間では、中詰めコンクリート6と縦リブ4が機械的に噛み合っていることによる「せん断伝達効果」、中詰めコンクリート6がセグメント1の内空側に押し出されようとする際の「くさび効果」、および荷重載荷時に中詰めコンクリート6に発生する軸力によって生ずるコンクリート6と縦リブ4の「摩擦効果」の3つの効果により、荷重の伝達が効果的に為される。
【0030】
即ち、図4(a)において、合成セグメント1の地山側から土水圧荷重Pが作用し、中詰めコンクリート6が鋼殻9から抜け出そうとした際に、断面略くの字状または逆くの字状の縦リブ4のスキンプレート側端部を通るセグメント1の法線Xに対して、折れ曲がり部13の中心aと縦リブ4のトンネル内空側の端部bが、前記法線Xを挟むように法線Xの両側に配置されているため、中詰めコンクリート6と縦リブ4は機械的に噛み合い、縦リブ4が中詰めコンクリート6の抜け出しに抵抗し、縦リブ4には、図示矢印(イ)の方向に反力が発生する。
【0031】
さらに、前記縦リブ4は、断面略くの字状または逆くの字状の縦リブ4のスキンプレート側端部を通る合成セグメント1の法線Xに対して、折れ曲がり部13の中心と縦リブ4のトンネル内空側の端部が、この法線Xを挟むように配置されているため、隣り合う縦リブ4間の距離はトンネル内空側に近づくほど狭くなる。従って土水圧荷重Pにより中詰めコンクリート6が抜け出そうとすると、「くさび効果」により縦リブ4には中詰めコンクリート6の抜け出しを防止する力の反力Rが、図示矢印(ロ)の方向に発生する。
【0032】
さらに、中詰めコンクリート6には、図示矢印(ハ)の向かい合う軸力Qが作用し、中詰めコンクリート6が鋼殻9から抜け出そうとした際には、中詰めコンクリート6と中詰めコンクリート6に囲まれた縦リブ4間に、鋼と中詰めコンクリート6の摩擦係数に比例した摩擦抵抗力(二)が発生することになる。
【0033】
前記の(イ)(ロ)(ニ)の3つの効果によって、この実施形態の当該合成セグメント1においては、中詰めコンクリート6と縦リブ4間では、トンネル半径方向の荷重が効率的に伝達され、中詰めコンクリート6と縦リブ4は、土水圧荷重Pに対してトンネル半径方向に一体となって挙動する。
【0034】
また、縦リブ4は、隅肉溶接により主桁2に接合されているため、中詰めコンクリート6から縦リブ4に伝達された荷重は、せん断力として主桁2に伝達される。従って当該合成セグメント1において、トンネル半径方向の荷重Pは中詰めコンクリート6と主桁2間で縦リブ4を介して効率的に伝達される。
【0035】
また、通常、土水圧が載荷される面積が中詰めコンクリート6と主桁2で大きく異なるために、中詰めコンクリート6と主桁2のトンネル周方向の変形は異なり、このずれを防止することがセグメントの合成構造化に必要となる。
【0036】
これに対し、当該合成セグメント1の縦リブ4は、断面略くの字状または逆くの字状の縦リブ4のスキンプレート側端部を通るセグメント1の法線Xに対して、折れ曲がり部13の中心aと縦リブ4のトンネル内空側の端部がこの法線Xを挟むように加工および配置することで、従来の平板状の直リブ4Aと比較して、縦リブ4のトンネル周方向の曲げ剛性を高めることが可能となり、これにより縦リブ4が主桁2と中詰めコンクリート6のトンネル周方向における高いずれ止め機能を発揮し、主桁2と中詰めコンクリート6間でトンネル周方向の荷重を確実に伝達することが可能となる。
【0037】
前記(イ)(ロ)(ニ)のトンネル半径方向成分によるトンネル半径方向の荷重伝達機構、および前記トンネル周方向の縦リブ剛性増加によるトンネル周方向荷重伝達機構により、当該合成セグメント1は土水圧荷重Pに対して一体となって抵抗することが可能となっている。
【0038】
また、前記の折れ曲がり部13の折れ曲がり中心点aが,主桁2の図心線Cよりもトンネル半径方向内空側に位置していることで、第1傾斜板12によるくさび面のコンクリートせん断破壊に対して、主桁桁高のコンクリートせん断耐力の50%以上を確保することができる。
【0039】
また、縦リブ4の第1傾斜板12の基端部の設置位置におけるセグメント1の法線Xに対する第1傾斜板12の角度αは、10°以上、15°以下の傾斜角度を有することで、いかなる径のトンネルにおいても、第1傾斜板12基端部中心dと第2傾斜板15先端部中心dとを結ぶ線分Lと、第1傾斜板12の中心線とがなす角度2αは、少なくとも20°以上、30°以下のくさび角度2αを確保するとよい。
【0040】
また、前記の第2傾斜板15の長さ寸法は、中詰めコンクリート6に混入される最大粗骨材寸法の2倍以上の長さを有することが望ましく、これにより、中詰めコンクリート6と縦リブ4の機械的なせん断伝達機能を確保することで、コンクリートの「かかり」を確保するようにできる。
【0041】
また、第1傾斜板12と第2傾斜板15とがなす法線側の角度θは、90°を越え、120°程度まであるいは140°程度までの鈍角であることが望ましい。このように前記角度θを鈍角にすることにより、第1傾斜板12と第2傾斜板15とにより形成される断面形態を、舟形に配置して、中詰めコンクリート6を打設する際のコンクリート充填性を確保している。
【0042】
前記のように構成された断面くの字状または逆くの字状の縦リブ4を中詰めコンクリート6に埋め込まれているコンクリート中詰め合成セグメント1に、図4に示すように、土水圧Pが作用した場合、コンクリート中詰め合成セグメント1には周方向圧縮軸力Qが作用し、前記第1傾斜板および第2傾斜板15には、周方向圧縮軸力Qによる縦リブ4と中詰めコンクリート6間の摩擦力(ニ)によるずれ止め力(ずれ止め効果)を有し、また、前記第1傾斜板および第2傾斜板15が傾斜していることによるずれ止め力(ずれ止め効果)R(ロ)を発揮し、さらに、断面くの字状または逆くの字状の縦リブ4と中詰めコンクリート6が機械的にかみ合っていることによるずれ止め力(ずれ止め効果)(イ)を発揮することができるようにされている。
【0043】
前記のように構成された断面くの字状または逆くの字状の縦リブ4のトンネル周方向に隣り合う縦リブ4同士の配置形態としては、図4(b)に示すように、断面くの字状の縦リブ4と、断面逆くの字状の縦リブ4とを、交互に配置する形態でもよく、あるいは図4(c)に示すように、断面くの字状の縦リブ4または逆くの字状の縦リブ4のいずれかを同じ方向に配置するようにしてもよい。
【0044】
いずれの形態でも、機械的なずれ止め機能を発揮できると共に、図4(b)あるいは図4(c)に一点点鎖線で示すように、隣り合う縦リブ4間では、(A)第1傾斜板12相互(図4bの中央の縦リブ4と右側の縦リブ4の場合)で、または(B)一方の第1傾斜板12と、隣り合う他方の第1傾斜板12基端部と第2傾斜板15先端部とを結ぶ線分Lを含むトンネル軸方向に延長する面L1,L2とで(図4cの場合)、あるいは(C)第1傾斜板12基端部と第2傾斜板15先端部とを結ぶ線分Lを含むトンネル軸方向に延長する面L1,L2相互(図4bの中央の縦リブ4と左側の縦リブ4との間側)で、くさびのずれ止めにより、配置方向によらず、くさび角度を形成することが可能であり、中詰めコンクリート6との一体化を高めることができる。また、折れ曲がり部を主桁2図心よりもトンネル内空側に配置しているため、中詰めコンクリート主断面せん断体力の50%以上を確保することができるようにされている(図4bの中央と右側の縦リブ間の場合)。前記の面L1およびL2がトンネル内空側に向かって漸次接近するように対称に傾斜していると、確実にくさび角を形成していることになるので、好ましい。
【0045】
図1(b)は、前記第1実施形態の変形形態を示すものであって、前記第1実施形態におけるトンネル軸方向から見た場合、断面で直線状の第1傾斜板12に代えて、断面でほぼ円弧状の第1円弧状傾斜板12aとし、また、断面で直線状の第2傾斜板15に代えて、断面でほぼ円弧状の第2円弧状傾斜板15aを有する断面円弧状の縦リブ4Bを用いた形態であり、前記の断面で円弧状の第1円弧状傾斜板12aおよび第2円弧状傾斜板15aとは、第1円弧状傾斜板12aの基端部を通る法線Xに対して、法線Xの両側に位置するように配置されている。このような形態でも、前記実施形態と同様な効果を発揮することができる。したがって、また、断面円弧状の縦リブ4Bを交互に向きを変えて対称配置としてもよく、向きを同じ方向の配列としてもよい(なお、シールドセグメントリングに組み立てるので、角度間隔をおいて配置され、図3,4では、展開した状態が示されている)。
【0046】
次に、本発明と従来の構造の相違について、前記第1実施形態と従来の平板状縦リブ4Aを例にしながら説明すると、本発明では、略断面くの字状の縦リブ4のスキンプレート側端部を通るセグメントの法線Xに対して、折れ曲がり部13の中心aと、前記縦リブ4のトンネル内空側の端部bが、前記法線Xを挟むように配置されていることで、外力等により、トンネル径に拘らず中詰めコンクリート6がセグメント1の内空側に押し出されようとする際に、(1)縦リブ4が、くさびとなり、中詰めコンクリートの抜け落ちを防止すると共に、(2)中詰めコンクリート6と縦リブ4の間で荷重を押圧力として確実に伝達する効果が得られる。
【0047】
前記(1)および(2)の二つの効果および前述した中詰めコンクリート6と縦リブ4の間に発生する摩擦抵抗力による荷重の伝達効果により、トンネル半径方向の変形に対して縦リブ4と中詰めコンクリート6は一体として挙動し、縦リブ4が鋼殻9と溶接されていることから、主桁2、スキンプレート3、継手板11とを備えた鋼殻9と中詰めコンクリート6の一体化が、従来の二次覆工省略型コンクリート中詰鋼製セグメント42の加工に、縦リブの曲げ加工および配置形態の工夫を加えるだけで、低コストで従来の二次覆工省略型コンクリート中詰鋼製セグメント42よりも、鋼殻9と中詰めコンクリート6との一体化を高めることが可能となる。
【0048】
また、縦リブ4が直リブである鋼殻9にコンクリートを中詰した従来の二次覆工省略型コンクリート中詰鋼製セグメントの場合、縦リブ4のトンネル周方向変形に対する剛性が低く、土水圧Pが載荷される面積が中詰めコンクリート部と主桁部で大きく異なるために発生する中詰めコンクリート6と主桁2のトンネル周方向変形のずれを防止することが不可能であり、トンネル半径方向の変形に対しても中詰めコンクリート6と鋼殻9の一体化が、セグメントの半径が大きくなると図れなかったが、本発明のように、略断面くの字状の縦リブ4のスキンプレート側端部を通るセグメント1の法線Xに対して、折れ曲がり部13の中心aと縦リブ4のトンネル内空側の端部が、前記法線Xを挟むように配置することで、従来の平板状リブ(直リブ)あるいは法線方向に傾斜するように配置していない形態の断面L形縦リブ4E(図9参照)と比較して、本発明では、縦リブ4のトンネル周方向の曲げ剛性を高めることが可能となり、これにより縦リブ4が主桁2と中詰めコンクリート6のトンネル周方向における高いずれ止め機能を発揮し、トンネル周方向の変形に対しても、主桁2、スキンプレート3、継手板11を備えた鋼殻9と中詰めコンクリート6の一体化を簡単な手段によって、高めることができる。
【0049】
第2傾斜板15(後記の形態では第3傾斜板16)が傾斜した状態で埋め込み配置されているため、内空側コンクリート6の剥離の可能性は極めて低く、また、前記第2傾斜板15(あるいは第3傾斜板16)の防食塗装の必要がなく経済的である。前記第2傾斜板15(あるいは第3傾斜板16)は、第1傾斜板12(または第2傾斜板15)に接続するように折り曲げ部13(第2折り曲げ部14)を介して鈍角に折り曲げているため、コンクリート6の充填性が良い。また、法線Xに対して傾斜する傾斜板12(15,16)を有しているため、(1)本発明の縦リブ4によって形成されるくさび角は、縦リブ4の配置ピッチ(角度)に依存しない特徴を有している。また、法線Xに対して傾斜している縦リブ4であるため、中詰めコンクリート6との関係では、(2)片面の機械的噛み合いが効果を発揮させているので、縦リブ4の配置ピッチ(長さ)は小さくなければならないが、トンネル径によらず前記(1)は効果を発揮するため、前記(2)の効果を期待せずともずれ止め機能は発揮されるため、縦リブ4の配置ピッチを広げることが可能になり、従来の法線方向配置の断面L形縦リブ4Eの場合と比較して、トンネル径が大きくても、縦リブ4の配置ピッチを広げることが可能で、縦リブ配置コストは高くならない。
【0050】
さらに本発明では、縦リブ4が保有する高いトンネル周方向曲げ剛性により、主桁2と縦リブ4の溶接時における主桁2の変形を抑止し、且つ、鋼殻9のねじれ剛性を増強する効果を期待することができ、高品質のセグメントを提供することができる。
【0051】
なお、図示を省略するが、断面T字状に加工した縦リブを合成セグメントに用いることも考えられるが、曲率を有するセグメントの場合、一般に、中詰めコンクリートの打設はセグメントを舟形に設置して行われるため、断面T字状縦リブのフランジと水平線が時計回りの角度を有することになり、断面T字状縦リブにおけるウェブとフランジとの内隅部へのコンクリートの充填性を確保することが困難となる。しかし、本発明を適用したセグメントは、舟形に設置しても縦リブ4における第2傾斜板15が水平線に対して反時計回りの角度を有するため、第1傾斜板12と第2傾斜板15とがなす内隅部(または第2傾斜板15と第3傾斜板16とがなす内隅部)へのコンクリートの充填性を確保することが可能となり、高品質のセグメントを提供することができる。
【0052】
さらに、本発明における縦リブ断面の材軸長さはセグメント桁高さよりも若干長くすればよく、T形の縦リブを用いる場合に比較して縦リブ1枚当りの鋼材重量および主桁への取り付けのための溶接量を低減可能なことから経済性も改善可能な技術である。
【0053】
図14に示す従来の二次覆工省略型コンクリート中詰め鋼製セグメントでは、鋼―コンクリート合成構造としての耐力を発揮し得ず、図1に示すコンクリート中詰め鋼製セグメントのように本発明による縦リブの工夫をすることで鋼―コンクリート合成構造としての耐力を発揮することが可能となることを、図13に示す。
図13は、本発明の合成セグメント1と、従来の二次覆工省略型コンクリート中詰め鋼製セグメント42とについて、トンネル半径方向の載荷荷重Pを載荷した場合の試験結果を示すものであって、本発明の合成セグメント1では、降伏耐力あるいは最大耐力および終局耐力のいずれでも、従来の二次覆工省略型コンクリート中詰め鋼製セグメントの場合よりも3割程度高くなっており、鋼−コンクリート合成セグメントとしての耐力を発揮していることが確認できる。また、断面円弧状の縦リブ4Bを有する変形形態あるいは、上記の各形態でも同様な作用を期待できるため、同様な効果が期待できる。
【0054】
図2(a)および図5〜図8は、本発明の第2実施形態を示すものであって、この形態では、断面略Z字状または断面略逆Z字状の縦リブ4Cを備えた合成セグメント1とした形態である。
【0055】
この第2実施形態の縦リブ4Cでは、断面略逆Z字状の縦リブ4Cは、その縦リブ4Cにおける第1傾斜板12は、そのスキンプレート側端部を通るトンネル半径方向の法線Xに対して急傾斜で傾斜するように配置され、かつ前記第1傾斜板12は、トンネル内空側に延長するように配置され、前記第1傾斜板12に接続すると共に前記第1傾斜板12の傾斜方向と反対側に折れ曲がり、トンネル内空側に接近するように折れ曲がる第1折れ曲がり部13を備え、その第1折れ曲がり部13に接続して、第1傾斜板12と反対側に傾斜すると共にトンネル内空側に延長するように配置された第2傾斜板15で、前記第1傾斜板12の長さ寸法よりも長い第2傾斜板15を備え、前記第2傾斜板15に接続すると共に前記第2傾斜板15の傾斜方向と反対側に折れ曲がり、トンネル内空側に接近するように折れ曲がる第2折れ曲がり部14を備え、さらに、前記第1傾斜板12と同じ方向に傾斜し、前記第1傾斜板12あるいは第2傾斜板15の長さ寸法よりも長い傾斜板とされている第3傾斜板16を備えている。
【0056】
この形態では、第2折り曲がり部14の中心は、法線Xを超えて配置され、第1傾斜板12の基端部と第2折り曲がり部14を結ぶ線分により、法線Xに対して、積極的に傾斜し、くさび角を形成するようにされている。
【0057】
この形態では、前記第1傾斜板12の長さ寸法は、中詰めコンクリートに使用される最大粗骨材寸法の2倍以上、このましくは3倍以上の長さを有するようにされて、中詰めコンクリート6と縦リブ4Cの機械的なせん断伝達機能を確保するようにしている。
また、トンネル軸方向の断面視で、第1折れ曲がり部13と第3傾斜板16先端部を結んだ直線L3(換言すると、直線L3を含むトンネル軸方向に延長する面L4)と第1傾斜板12基端部を通るセグメントの法線Xとのなす角度γは、10°以上15°程度の角度を有することにより、いかなる径のトンネルにおいても最低20°以上のくさび角度を確保することができる。
また、反対側も同様で、第1傾斜板12基端部と第2折れ曲がり部14を結んだ直線L(換言すると、トンネル軸方向の面L1,L2)と、第1傾斜板12基端部を通るセグメントの法線Xとのなす角度βは、10°以上15°程度の角度を有することにより、反対側においても、いかなる径のトンネルにおいても最低20°以上〜30°程度のくさび角度を確保することができるようにされている。
【0058】
また、前記のような形態では、図6(a)または図7に示すように、縦リブ4Cと中詰めコンクリート6が機械的に噛み合っていることにより、前記実施形態と同様に、図示矢印(イ)の方向に反力が発生することによるずれ止め効果を有し、また、周方向圧縮軸力Qによる縦リブ4Cと中詰めコンクリート6間の摩擦力(ニ)によるずれ止め効果の少なくとも2つの効果を発揮することができ、さらに、図5または図8に示す形態ではくさび角度β,γを形成していることによるくさび効果を発揮することができる。
【0059】
前記角度γあるいはβが生じないような形態、すなわち、前記の図6(a)または図7に示すような形態では、第2傾斜板15の法線Xに対する傾斜角度θ1を、第1傾斜板12の法線Xに対する傾斜角度θ1と同じ角度で同じ長さ寸法とし、第3傾斜板16の法線Xに対する傾斜角度θ1を第1傾斜板12の傾斜角度θ1と平行に同じ傾斜角度θ1とすることにより、第1傾斜板12と第2折れ曲がり部14とを結ぶ直線L(面L1,L2)あるいは第1折り曲がり部13と第3傾斜板16のトンネル内空側端部bを結ぶ直線L5(または直線L5を含むトンネル軸方向に延長する面L6)が、法線Xと平行で、図7に2点鎖線で示すように、くさび角度を備えていない形態の断面略Z字状の縦リブ4Cとすることも可能である。このような形態では、前記した周方向圧縮軸力Qによる縦リブ4Cと中詰めコンクリート6間の摩擦力(ニ)によるずれ止め効果と、第1傾斜板12と第2傾斜板15と第3傾斜板16とが、法線Xに対して傾斜していることにより、縦リブ4Cと中詰めコンクリート6が機械的に噛み合っていることにより発生する矢印(イ)方向の反力によるずれ止め効果を発揮することができる。
第1傾斜板12と第2傾斜板15と第3傾斜板16の法線Xに対する傾斜角θ1は、コンクリートの充填性を確実にする上では、好ましくは60°以下、さらに好ましくは45°以下であればよい。
【0060】
これらの形態において、断面略Z字状または断面略逆Z字状の縦リブ4Cにおける、第1傾斜板12と第2傾斜板15と第3傾斜板16とに代えて、それぞれ、図2(b)に示すように、断面略円弧状の第1円弧状傾斜板12a、および第1折れ曲がり部13を介して接続する断面略円弧状の第2円弧状傾斜板15a、および第2折れ曲がり部14を介して接続する断面略円弧状の第3円弧状傾斜板16aとを備えた、断面略S字状または断面略逆S字状の縦リブ4Dを周方向に間隔をおいて配置して、中詰めコンクリート6に埋め込み配置するようにしてもよい。
また、その変形形態として、断面略円弧状の第1円弧状傾斜板12aと、第2円弧状傾斜板15aと、第3円弧状傾斜板16aとを、法線Xに対して傾斜した状態として順次段階的に長くし、第2折れ曲がり部14を第1円弧状傾斜板12a基端部よりも法線Xから周方向に離れた位置とし、同様に第3円弧状傾斜板16aの先端部を、第1折れ曲がり部13よりも法線Xから周方向に離れた位置とすることで、くさび角度を形成するようにしてもよい。
【0061】
また、断面略Z(またはS)字状または断面略逆Z(またはS)字状の縦リブ4C、4Dのトンネル周方向の配置形態としては、前記実施形態と同様に、図6(b)または図8(b)に示すように、トンネル周方向に交互に対称に配置するようにして、主桁2とスキンプレート3に溶接により固定してもよく、あるいは、図6(c)または図8(c)に示すように、トンネル周方向に同じ方向に配置するようにして、主桁2とスキンプレート3に溶接により固定してもよい。
なお、これらの形態では、縦リブが向かい合うように対称に配置される形態よりも、同じ方向に縦リブ4(4B〜4D)を配置する形態のほうが、周方向で隣り合う縦リブ4(4B〜4D)間において、少なくとも一方の縦リブ4(4B〜4D)に、そのせん断耐力として縦リブ高さ分を見込むことができるが、図6(b)に点線で示すように、向かい合うように配置した場合は、縦リブ高さ全体を見込むことができなくなり、例えば、縦リブ4C,4Dの高さの2/3以下しか見込めない恐れがあるが、機械的噛み合いが勝る場合には、このような形態でもよい。
【0062】
このような第1折れ曲がり部13と第2折れ曲がり部14を備えている形態では、中詰めコンクリート6との機械的な噛み合いを、第1実施形態の場合よりも高めることができる。
【0063】
本発明を実施する場合、縦リブ4の端部から中詰めコンクリート6に用いる粗骨材の最大寸法の2倍の距離の位置と縦リブ4のトンネル半径方向中央の間の位置において、1箇所を鈍角に折り曲げて折り曲げ部13を備えた縦リブ4を少なくとも1枚以上使用したシールドトンネル用合成セグメントとしてもよい。
【0064】
また、本発明を実施する場合、縦リブ4の中央を挟むトンネル半径方向の2箇所の位置において、中詰めコンクリート6に用いる粗骨材の最大寸法の2倍以上の高さを有して鈍角に折り曲げた折り曲げ部13を有するか、または円弧状に折り曲げた折り曲げ部13を備えた縦リブ4を少なくとも1枚以上使用したシールドトンネル用セグメントとしてもよい。
【0065】
また、本発明を実施する場合、中詰めコンクリート6に用いる粗骨材の最大寸法の2倍以上のトンネル半径方向の高さを有して円弧状または略円弧状に製作された縦リブ4Bを少なくとも1枚以上使用したシールドトンネル用セグメントとしてもよい。
【0066】
本発明を実施する場合、前記の第1傾斜板12または第2傾斜板15あるいは第1〜第3傾斜板16を有する縦リブ4(4B〜4D)、あるいは前記の第1円弧状傾斜板12aまたは第2円弧状傾斜板15aあるいは第1〜第3円弧状傾斜板16aを有する縦リブ4C,4Dを、少なくとも1枚あるいは2枚または3枚以上、継手板11間に配置するようにしてもよい。
【0067】
本発明を実施する場合、スキンプレート3としては、1枚を配置する形態でも、複数を配置する形態でもよい。縦リブ4(4B〜4D)の表面に凸凹を設けるようにしてもよい。
【0068】
なお、図10〜図12に代表して示すように、断面くの字状または逆くの字状の縦リブ4Fにおける折れ曲がり部13の中心aと、前記縦リブ4のトンネル内空側の端部bとが、前記トンネル半径方向の法線Xを含むトンネル軸方向に延長する面を挟むように、その面の一方および他方に配置されていないコンクリート中詰め合成セグメント1では、断面くの字状または逆くの字状の縦リブ4Fの溝が向かい合う側において、折れ曲がり部13の中心aと第2傾斜板15のトンネル内空側の端部とが、縦リブ4Fにおけるスキンプレート側端部を通るトンネル半径方向の法線を含むトンネル軸方向に延長する面を挟むようにその面の両側に配置されていないため、第1傾斜板12のスキンプレート側端部と第2傾斜板15の先端部を結ぶ線分(またはこの線分を含むトンネル軸方向の面)は、法線X方向(または法線Xを含むトンネル軸方向の面)とほぼ同じになり、法線Xに傾斜する積極的なくさび角をほとんど形成していない形態になる。
なお、本発明を実施する場合には、図10〜図12に代表して示すように、断面くの字状または逆くの字状の縦リブによるくさび角の形成に拘わらず、断面くの字状または逆くの字状の縦リブに渡って棒状鋼材5を埋め込み配置するようにして、一体化を高めるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の合成セグメントの断面形態を示すものであって、(a)は第1実施形態の合成セグメントの断面図、(b)は(a)の変形形態の合成セグメントの断面図である。
【図2】本発明の合成セグメントの断面形態を示すものであって、(a)は第2実施形態の合成セグメントの断面図、(b)は(a)の変形形態の合成セグメントの断面図である。
【図3】本発明の合成セグメントの縦リブ仕様の一形態を説明するための断面図である。
【図4】(a)は、本発明の合成セグメントにおける縦リブの作用を説明するための説明断面図、(b)は縦リブの配置形態の第1形態を示す説明用断面図、(c)は縦リブの配置形態の第2形態を示す説明断面図である。
【図5】本発明の合成セグメントにおける縦リブ仕様の他の形態を説明するための断面図である。
【図6】(a)は、本発明の合成セグメントにおける図5に示す縦リブの作用を説明するための説明用断面図、(b)は縦リブの配置形態の第3形態を示す説明用断面図、(c)は縦リブの配置形態の第4形態を示す説明断面図である。
【図7】図6に示す形態の縦リブの配置形態により、くさび作用角度を有しない形態とある場合を示す説明用断面図である。
【図8】(a)は、本発明の合成セグメントにおける他の形態の縦リブの作用を説明するための説明断面図、(b)は縦リブの配置形態の第5形態を示す断面図、(c)は縦リブの配置形態の第6形態を示す説明断面図である。
【図9】(a)は断面L形の縦リブの従来の配置形態を示す断面図、(b)は断面L形の縦リブの従来の他の配置形態を示す断面図である。
【図10】本発明の合成セグメントの他の形態を示す底面図である。
【図11】図10に示す合成セグメントの断面図である。
【図12】(a)は図10に示す合成セグメントのA−A線断面図、(b)はB−B線断面図である。
【図13】本発明の合成セグメントと従来の二次覆工省略型コンクリート中詰め鋼製セグメントの載荷試験結果を示すグラフである。
【図14】合成セグメントの半径と縦リブの配置との関係を説明するための正面図である。
【図15】図14の一部を拡大して示す断面図である。
【図16】(a)(b)は板状縦リブに鉄筋を配置する従来の合成セグメントの一部分の一形態を示す断面図である。
【図17】図16に示す構造により順次隣接する部分に荷重が伝達されることを説明するための断面図である。
【図18】(a)(b)は板状縦リブに鉄筋を配置する従来の合成セグメントの一部分の他の形態を示す図である。
【図19】図18に示す構造により順次隣接する部分に荷重が伝達されることを説明するための断面図である。
【図20】図18に示す形態の合成セグメントの全体を示す断面図である。
【符号の説明】
【0070】
1 コンクリート中詰め合成セグメント
2 主桁
3 スキンプレート
4 断面くの字状または逆くの字状の縦リブ
4A 平板状縦リブ(直リブ、板状縦リブ)
4B 断面円弧状の縦リブ
4C 断面略Z字状または断面略逆Z字状の縦リ
4D 断面略S字状または断面略逆S字状の縦リブ
4E 断面L形縦リブ
5 棒状鋼材
6 中詰めコンクリート
7 隅角部
8 開孔
9 鋼殻
10 ずれ止め
11 継手板
12 第1傾斜板
12a 第1円弧状傾斜板
13 折れ曲がり部(または第1折れ曲がり部)
14 第2折れ曲がり部
15 第2傾斜板
15a 第2円弧状傾斜板、
16 第3傾斜板
16a 第3円弧状傾斜板
20 第1法線方向板
21 フランジ板
42 従来の二次覆工省略型コンクリート中詰め鋼製セグメント,または従来の合成セグメント
L 縦リブのスキンプレート側端部と内空側端部を結んだ直線(または第1傾斜板基端部と第2折れ曲がり部を結んだ直線)
L1、L2 直線Lを含むトンネル軸方向に延長する面
L3 第1折れ曲がり部と第3傾斜板先端部を結んだ直線
L4 直線L3を含むトンネル軸方向に延長する面
L5 第1折り曲がり部と第3傾斜板のトンネル内空側端部を結ぶ直線
L6 直線L5を含むトンネル軸方向に延長する面
a 折れ曲がり部中心点
b 縦リブのトンネル内空側端部
c 主桁の図心線
d 第1傾斜板の基端部中心
【技術分野】
【0001】
本発明はシールドトンネル覆工に用いられる縦リブを有する鉄鋼製系セグメントにコンクリートを中詰めして構成されるコンクリート中詰め合成セグメントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図14に示すように、鋼殻とコンクリートとの二次覆工省略型コンクリート中詰鋼製セグメント42(1A,1B,1K)内に、トンネル周方向の継手板間にトンネル半径方向の平板状縦リブ4A(直リブ4A)を設けることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
縦リブが直リブ4Aである鋼殻9内に、中詰めコンクリート6を中詰充填した従来の二次覆工省略型のコンクリート中詰鋼製セグメント42(1A,1B,1K)の場合、トンネル半径方向の変形に対する鋼殻9と中詰めコンクリート6間の荷重伝達機構を考えると、平板状縦リブ4Aは、縦リブ設置位置における主桁2のトンネル地山側の辺の法線方向(トンネル半径方向)に一致するように配置されているため、中詰めコンクリート6が二次覆工省略型のコンクリート中詰鋼製セグメント42(1A,1B,1K)の内空側に押し出されようとする際に、トンネル周方向に隣り合う板状縦リブ4Aのくさび作用(くさび効果)により、中詰めコンクリート6の抜け落ちを防止すると共に、中詰めコンクリート6と縦リブ4Aの間でトンネル半径方向の荷重を、トンネル周方向の押圧力として伝達する効果が発揮される。しかし、図15に示すように、トンネル径が大きくなる程、二次覆工省略型のコンクリート中詰鋼製セグメント42における板状縦リブ4Aの配置角度は、セグメント幅寸法精度を確保するために小さくなり、隣り合う板状縦リブ4A,4Aは平行に近い状態で配置されることになるため、前記のくさび効果は小さくなり、確実に伝達される荷重も小さくなってしまう。
【0004】
また、トンネルにおけるセグメントリングに土水圧が作用した際に発生するトンネル周方向の軸力による板状縦リブ4Aと中詰めコンクリート6との摩擦抵抗力による荷重伝達効果も発揮され得るが、板状縦リブ4Aに凹凸などを加えていない単純な板状縦リブ4Aからなる直リブの場合、前記の摩擦抵抗力を確実に発揮されない恐れがある。
【0005】
前記の恐れがあるため、従来の二次覆工省略型コンクリート中詰鋼製セグメントの構造でトンネル半径寸法を大きくした場合には、鋼殻9と中詰めコンクリート6間の荷重伝達機能が不足し、トンネル半径方向の変形に対して鋼殻と中詰めコンクリートは一体として挙動しない恐れがあるため、板状縦リブ4Aに凹凸などを加えたり、その他の手段により、鋼殻と中詰めコンクリートとの一体化を図るようにしている。
【0006】
例えば、シールドトンネル覆工に用いられる合成セグメントとして鋼殻と中詰めコンクリートを一体化させる方法は、(1)スタッドジベルなどの機械的ずれ止めを鋼殻内面に配置する方法や、(2)板状縦リブに渡って鉄筋等の棒状鋼材を配置したり(例えば、特許文献1参照)、(3)主桁を[形状にし、かつ、H形状の縦リブを使用することによって、鋼殻と中詰めコンクリート6の一体化を図る方法(例えば、特許文献2参照)も知られている。
しかし、前記の(1)から(3)の合成セグメントの場合は、複雑な加工工程を要するため、土水圧などにより発生する曲げモーメントが極めて大きい場合を除き、不経済な構造となってしまうという問題がある。
【0007】
前記の(2)あるいは前記(3)の形態についてさらに説明する。図16〜図17および図18〜図20に示す形態の合成セグメント42(1A,1B,1K)は、縦リブ4A間の中詰めコンクリート6に圧縮斜材(ロ)を形成するようにして、コンクリート中詰め合成セグメントの剛性を高めるようにした形態であり、同図中に示す(イ)〜(チ)の作用について説明する。
【0008】
図16(a)において、合成セグメント42に負曲げモーメントが作用すると、隣合う縦リブ4と棒状鋼材5の隅角部7を固定点として、中詰めコンクリート6に図示矢印(イ)の向かい合う力が作用し、中詰めコンクリート6に実線および点線の楕円線領域で示す圧縮斜材(ロ)が形成され、セグメント枠体を変形させる力に抵抗する。
【0009】
また、この圧縮斜材(ロ)の反力として、縦リブ4Aに図示矢印(ハ)の引張力が発生すると共に、スキンプレート3に図示矢印(ホ)の引張力が発生し、主桁1には、図16(b)に矢印(ニ)で示すように、隣合う平板状縦リブ4Aと棒状鋼材5の隅角部7であって、中詰めコンクリート6の圧縮斜材(ロ)の固定点でない点に向かう引張力が発生するが、この引張力に対しても、平板状縦リブ4Aと棒状鋼材5を介して主桁1と一体化された中詰めコンクリート6が抵抗する。
【0010】
図17は、平板状縦リブ4Aが所定の間隔で複数設けられると共に、前記平板状縦リブ4Aの開孔8に棒状鋼材5が挿通され定着された合成セグメント42(1A,1B,1K)において、矢印(ホ)方向の荷重を載荷した場合に、セグメントに作用するせん断力に抵抗して中詰めコンクリート6に発生する引張力と圧縮力の関係を示している。
【0011】
すなわち、図17において、内空側から矢印(ホ)方向の力をかけたとき、中詰めコンクリート6が充填された各平板状縦リブ4A間には、コンクリート圧縮斜材が形成され、これに伴うトラス機構によりせん断力に抵抗するため、大きなせん断力にも抵抗できるようになる。また、向い合う矢印が発生する楕円で示す中詰めコンクリート6中の圧縮域(ヘ)と、反対向きの矢印で示す鋼材中の引張域(ト)が形成され、圧縮域(ヘ)と引張域(ト)が合成されて、せん断に抵抗する領域(チ)と曲げに抵抗する領域(リ)が形成され、全体として中詰めコンクリート6と平板状縦リブ4Aを介してスキンプレート3および棒状鋼材5との一体化が図られる。したがって、合成セグメントにせん断力が作用し、その結果、中詰めコンクリート6に引張力が作用しても、当該棒状鋼材5が外側にはらみ出すことがなくセグメントの剛性が向上するようにした形態である。
【0012】
また、図18に示す形態では、図18(a)において、合成セグメントにせん断力が作用すると、縦リブ4Aとしての隣り合うH形状のずれ止め10のフランジ10b、10cとウェブ10aの隅角部7を固定点として中詰めコンクリート6に図示矢印(イ)の向い合う力が作用し、当該中詰めコンクリート6に斜線領域で示す圧縮斜材(ロ)が形成され、セグメント枠体を変形させる力に抵抗する。
【0013】
また、この圧縮斜材(ロ)の反力として、H形状のずれ止め10のウェブ10aに図示矢印(ハ)の引張力が発生するとともに、主桁2には図18(b)に矢印(ニ)で示すように、隣り合うH形状のずれ止め10のフランジ10b、10cとウェブ10aの隅角部7であって、中詰めコンクリート6の圧縮斜材(ロ)の固定点でない点に向かう引張力が発生し、前記の圧縮力および引張力の釣り合いによりセグメント枠体を変形させる力に抵抗するのである。
【0014】
図19および図20は、H形状のずれ止め10が所定の間隔で複数設けられた合成セグメントにおいて、矢印(ホ)方向の荷重を載荷した場合に、セグメントに作用するせん断力に抵抗して中詰めコンクリート6に発生する圧縮力と主桁に発生する引張力の関係を示している。
【0015】
すなわち、図19において、内空側から矢印(ホ)方向のかけたとき、中詰めコンクリート6が充填された各H形状のずれ止め10間には、向い合う矢印が発生する楕円で示す中詰めコンクリート6中の圧縮域(ヘ)と、反対向きの矢印で示す鋼材中の引張域(ト)が形成され、圧縮域(ヘ)と引張域(ト)が合成されて、結果的に、せん断に抵抗する領域(チ)と曲げに抵抗する領域(リ)が形成され、全体として中詰めコンクリート6とH形状のずれ止め10を介して中詰めコンクリート6と主桁2との一体化が図られて、合成セグメントにせん断力が作用し、その結果、合成セグメントに作用する曲げ力が変化しても中詰めコンクリート6に発生する圧縮力および主桁2に発生する引張力が変化して一体として作用力に抵抗するようにした形態である。
【0016】
また、前記の板状の縦リブ4Aに変えて、図9(a)(b)に示すように、トンネル半径方向(セグメントにおける法線方向)に配置される第1法線方向板20とその第1法線方向板20に直角なフランジ板21部分とからなる断面L形縦リブ4Eを、主桁間に設置するように、かつ図9(a)に示すように、フランジ板21を内空側表面に近接した位置で埋め込み配置する形態、あるいは図9(b)に示すように、前記フランジ板21をトンネル内空側に露出するように配置する形態も知られている。
図9(a)に示す形態では、フランジ板21により内空側に応力が作用した場合、断面L形縦リブ4Eのフランジ板21の内空側コンクリート6が剥離する恐れがあるという問題がある。また、図9(b)に示す形態では、断面L形縦リブ4Eのフランジ板21の内空側露出面は防食塗装の必要があり、防食施工コストがかかるという問題ある。
また、これらの形態では、法線に対して傾斜していない第1法線方向板20であるので、前記板状縦リブ4Aの従来場合と同様、隣り合う第1法線方向板20により、くさび角が形成されるため、くさび角は法線方向板20の配置ピッチに依存するようになり、そのため、(1)トンネル周方向の配置ピッチ(角度)は大きくなければならない反面、(2)第1法線方向板20の片面の機械的噛み合いが効果を発揮するようになるため、断面L形縦リブ4Eの配置ピッチ(長さ)は小さくなければならない。このような特性のある断面L形縦リブ4Eをトンネル径が大きい場合の合成セグメントに適用した場合は、前記(1)は満足できないため、前記(2)のみを満足させるために、断面L形縦リブ4Eの配置ピッチは小さくならざるを得ず、トンネル径が大きくなると、断面L形縦リブ4Eの配置数が多くなり、コストが高くなるという問題がある。
【特許文献1】特開2004−270276号公報
【特許文献2】特開2003−27894号公報
【特許文献3】特開平11−315698号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
前記のように、縦リブに期待される作用としては、前記の(a)クサビ作用と、(b)摩擦抵抗力と、(c)中詰めコンクリートとの機械的な係合一体化作用などがあるが、効率よく縦リブを配置して、前記(a)クサビ作用と、(b)摩擦抵抗力と、(c)中詰めコンクリートとの機械的な係合一体化作用の少なくとも1つ以上を確実に高めて、より縦リブと中詰めコンクリートとの一体化を高めることで、鋼材と中詰めコンクリートの合成効果を発揮させることが望まれる。
本発明は、合成セグメントを構成する縦リブを備えた鋼殻とセグメント内に充填されたコンクリートとの一体化を確実に高めることができ、鋼材と中詰めコンクリートの合成効果を発揮させたコンクリート中詰め合成セグメントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記の課題を有利に解決するために、第1発明のコンクリート中詰め合成セグメントにおいては、主桁、継手板およびスキンプレートにより構成される鉄鋼製系セグメントにおける主桁に縦リブが固定され、その縦リブにおけるスキンプレート側端部を通るトンネル半径方向の法線を含むトンネル軸方向に延長する面に対して、トンネル軸方向の断面視で、前記縦リブにおける少なくとも一つの折れ曲がり部の中心と、前記縦リブのトンネル内空側の端部とが、前記トンネル半径方向の法線を含むトンネル軸方向に延長する面を挟むように、その面の一方および他方に配置されていることを特徴とする。
また、第2発明のコンクリート中詰め合成セグメントでは、主桁、継手板およびスキンプレートにより構成される鉄鋼製系セグメントにおける主桁に断面くの字または逆くの字状縦リブが固定され、その断面くの字または逆くの字状の縦リブにおけるスキンプレート側端部を通るトンネル半径方向の法線を含むトンネル軸方向に延長する面に対して、トンネル軸方向の断面視で、前記断面くの字または逆くの字状の縦リブにおける折れ曲がり部の中心と、前記断面くの字または逆くの字状の縦リブのトンネル内空側の端部とが、前記トンネル半径方向の法線を含むトンネル軸方向に延長する面を挟むように、その面の一方および他方に配置されていることを特徴とする。
また、第3発明のコンクリート中詰め合成セグメントでは、主桁、継手板およびスキンプレートにより構成される鉄鋼製系セグメントにおける主桁に断面円弧状の縦リブが固定され、その断面円弧状の縦リブにおけるスキンプレート側端部を通るトンネル半径方向の法線を含むトンネル軸方向に延長する面に対して、トンネル軸方向の断面視で、前記断面円弧状の縦リブにおける折れ曲がり部の中心と、前記断面円弧状の縦リブのトンネル内空側の端部とが、前記トンネル半径方向の法線を含むトンネル軸方向に延長する面を挟むように、その面の一方および他方に配置されていることを特徴とする。
また、第4発明のコンクリート中詰め合成セグメントでは、主桁、継手板およびスキンプレートにより構成される鉄鋼製系セグメントにおける主桁に断面Z字または逆Z字状の縦リブが固定され、その断面Z字または逆Z字状の縦リブにおけるスキンプレート側端部を通るトンネル半径方向の法線を含むトンネル軸方向に延長する面に対して、トンネル軸方向の断面視で、前記断面Z字または逆Z字状の縦リブにおける少なくとも一つの折れ曲がり部の中心と、前記断面Z字または逆Z字状の縦リブのトンネル内空側の端部とが、前記トンネル半径方向の法線を含むトンネル軸方向に延長する面を挟むように、その面の一方および他方に配置されていることを特徴とする。
また、第5発明のコンクリート中詰め合成セグメントでは、主桁、継手板およびスキンプレートにより構成される鉄鋼製系セグメントにおける主桁に断面S字または逆S字状の縦リブが固定され、その断面S字または逆S字状の縦リブにおけるスキンプレート側端部を通るトンネル半径方向の法線を含むトンネル軸方向に延長する面に対して、トンネル軸方向の断面視で、前記断面S字または逆S字状の縦リブにおける少なくとも一つの折れ曲がり部の中心と、前記断面S字または逆S字状の縦リブのトンネル内空側の端部とが、前記トンネル半径方向の法線を含むトンネル軸方向に延長する面を挟むように、その面の一方および他方に配置されていることを特徴とする。
また、第6発明では、第1発明から第5発明のコンクリート中詰め合成セグメントにおいて、一方の縦リブにおけるトンネル半径方向のスキンプレート側の縦リブ基端側と、内空側の縦リブ先端部とを結ぶ直線Lを含むトンネル軸方向の面L1と、これに隣接する他方の縦リブにおけるトンネル半径方向のスキンプレート側の縦リブ基端側と、内空側の縦リブ先端部とを結ぶ直線Lを含むトンネル軸方向の面L2とが、各縦リブ基端側のスキンプレート側端部を通るトンネル半径方向の法線に交差するように傾斜して設けられ、前記面L1とL2とは、トンネル内空側において相互に接近する方向に傾斜していることを特徴とする。
また、第7発明では、第1発明〜第6発明のいずれかのコンクリート中詰め合成セグメントにおいて、トンネル周方向に隣り合う縦リブが、トンネル周方向に等角度間隔をおいて設けられていることを特徴とする。
また、第8発明では、第1発明〜第7発明のいずれかのコンクリート中詰め合成セグメントにおいて、トンネル周方向に隣り合う少なくとも一組の縦リブが、トンネル周方向に対称に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、縦リブが法線に対して傾斜する効率のよい配置形態とされているので、そのクサビ作用または摩擦抵抗力作用あるいは中詰めコンクリートとの機械的な係合一体化作用の少なくとも1つ以上を、従来の二次覆工省略型のコンクリート中詰鋼製セグメントの場合より確実に高めて、縦リブと中詰めコンクリートとの一体化を高めた合成セグメントとすることができ、コンクリート中詰め合成セグメントとしての高い剛性および最大耐力並びに終局耐力を得ることができる。
また、各傾斜板は、法線に対して傾斜して交差するような配置形態であるので、コンクリートの充填性をよくし、確実に中詰めコンクリートを充填させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、本発明を図示の実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0021】
図1(a)、図3および図4は、本発明の第1実施形態のコンクリート中詰め合成セグメント1を示すものであって、トンネル周方向に延長すると共にトンネル軸方向に間隔をおいて並行に配置される少なくとも1組の主桁2と、トンネル軸方向に延長するように配置されていると共にトンネル周方向に間隔をおいて並行に設けられる継手板11と、これらのトンネル地山側に配置されて溶接により固定されるスキンプレート3を備え、また、主桁2間に渡ってトンネル軸方向に延長する断面くの字状または逆くの字状の縦リブ4が、後記するように特殊な配置形態で配置されて溶接により固定され、前記断面くの字状または逆くの字状の縦リブ4は、トンネル周方向に間隔をおいて並行に複数並行に配置されて、スキンプレート3にも溶接により固定されている。
【0022】
この第1実施形態では、断面くの字状または逆くの字状の縦リブ4は、その縦リブ4における第1傾斜板12は、そのスキンプレート側端部を通るトンネル半径方向の法線Xに対して傾斜するように配置され、かつ前記第1傾斜板12は、トンネル内空側に延長するように配置され、前記第1傾斜板12に接続すると共に前記第1傾斜板12の傾斜方向と反対側に折れ曲がり、トンネル内空側に接近するように折れ曲がる折れ曲がり部13を備え、その折れ曲がり部13に接続して、第1傾斜板12と反対側に傾斜すると共にトンネル内空側に延長するように配置された第2傾斜板15を備えている。
【0023】
前記の第2傾斜板15の中央部が前記法線Xに対して傾斜した状態で交差し、その第2傾斜板15の先端部は、前記法線Xを越えて前記折れ曲がり部13までの長さと同程度の長さ寸法、前記法線Xを越えて伸張し、かつ中詰めコンクリート6に埋め込まれている。
【0024】
すなわち、前記第1傾斜板および第2傾斜板15を備えた断面くの字状または逆くの字状の縦リブ4は、そのスキンプレート側端部を通るトンネル半径方向の法線Xを含むトンネル軸方向に延長する面に対して、トンネル軸方向の断面視で、前記縦リブ4における少なくとも一つの折れ曲がり部13の中心aと、前記縦リブ4のトンネル内空側の端部bとが、前記トンネル半径方向の法線Xを含むトンネル軸方向に延長する面を挟むように、その面の一方および他方に配置されている。
【0025】
前記の断面略くの字状または断面略逆くの字状の縦リブ4の折れ曲がり部中心aから内空側端部bまでの第2傾斜板15先端部までの長さは、内空側端部からコンクリート系セグメントに一般的に用いられている骨材の最大粗骨材寸法20mmの2倍以上、好ましくは3倍以上の長さを有し、且つ、折れ曲がり部13の中心aが、合成セグメント1のトンネル半径方向の図心位置Cよりも内空側にあるように設定されている(図3参照)。
【0026】
また、断面略くの字状または断面略逆くの字状の縦リブ設置位置のセグメントの法線Xと前記縦リブ4の第1傾斜板12が成す角度αおよび縦リブ設置位置のスキンプレート3の法線Xと、縦リブ4のスキンプレート側端部(板厚中心)と内空側端部b(の板厚中心)を結んだ直線L(換言すると、前記線Lを含むトンネル軸方向に延長する面L1,L2)が成す角度αは、10°程度以上に設定することが好ましい。
【0027】
また、断面略くの字状または逆くの字状縦リブの折れ曲がり中心角θは、中詰めコンクリート6の充填性確保の観点から90°以上の鈍角、好ましくは、120°〜140°であることが、コンクリートの充填性を確実にする上で好ましい。
【0028】
前記のように構成されたセグメント鋼殻9内に中詰めコンクリート6が充填されて、合成セグメント1が構成されている(なお、ボルトレスのセグメント間継手機構およびリング間継手機構は省略した)。
【0029】
前記のように合成セグメント1を構成することで、中詰めコンクリート6と縦リブ4間では、中詰めコンクリート6と縦リブ4が機械的に噛み合っていることによる「せん断伝達効果」、中詰めコンクリート6がセグメント1の内空側に押し出されようとする際の「くさび効果」、および荷重載荷時に中詰めコンクリート6に発生する軸力によって生ずるコンクリート6と縦リブ4の「摩擦効果」の3つの効果により、荷重の伝達が効果的に為される。
【0030】
即ち、図4(a)において、合成セグメント1の地山側から土水圧荷重Pが作用し、中詰めコンクリート6が鋼殻9から抜け出そうとした際に、断面略くの字状または逆くの字状の縦リブ4のスキンプレート側端部を通るセグメント1の法線Xに対して、折れ曲がり部13の中心aと縦リブ4のトンネル内空側の端部bが、前記法線Xを挟むように法線Xの両側に配置されているため、中詰めコンクリート6と縦リブ4は機械的に噛み合い、縦リブ4が中詰めコンクリート6の抜け出しに抵抗し、縦リブ4には、図示矢印(イ)の方向に反力が発生する。
【0031】
さらに、前記縦リブ4は、断面略くの字状または逆くの字状の縦リブ4のスキンプレート側端部を通る合成セグメント1の法線Xに対して、折れ曲がり部13の中心と縦リブ4のトンネル内空側の端部が、この法線Xを挟むように配置されているため、隣り合う縦リブ4間の距離はトンネル内空側に近づくほど狭くなる。従って土水圧荷重Pにより中詰めコンクリート6が抜け出そうとすると、「くさび効果」により縦リブ4には中詰めコンクリート6の抜け出しを防止する力の反力Rが、図示矢印(ロ)の方向に発生する。
【0032】
さらに、中詰めコンクリート6には、図示矢印(ハ)の向かい合う軸力Qが作用し、中詰めコンクリート6が鋼殻9から抜け出そうとした際には、中詰めコンクリート6と中詰めコンクリート6に囲まれた縦リブ4間に、鋼と中詰めコンクリート6の摩擦係数に比例した摩擦抵抗力(二)が発生することになる。
【0033】
前記の(イ)(ロ)(ニ)の3つの効果によって、この実施形態の当該合成セグメント1においては、中詰めコンクリート6と縦リブ4間では、トンネル半径方向の荷重が効率的に伝達され、中詰めコンクリート6と縦リブ4は、土水圧荷重Pに対してトンネル半径方向に一体となって挙動する。
【0034】
また、縦リブ4は、隅肉溶接により主桁2に接合されているため、中詰めコンクリート6から縦リブ4に伝達された荷重は、せん断力として主桁2に伝達される。従って当該合成セグメント1において、トンネル半径方向の荷重Pは中詰めコンクリート6と主桁2間で縦リブ4を介して効率的に伝達される。
【0035】
また、通常、土水圧が載荷される面積が中詰めコンクリート6と主桁2で大きく異なるために、中詰めコンクリート6と主桁2のトンネル周方向の変形は異なり、このずれを防止することがセグメントの合成構造化に必要となる。
【0036】
これに対し、当該合成セグメント1の縦リブ4は、断面略くの字状または逆くの字状の縦リブ4のスキンプレート側端部を通るセグメント1の法線Xに対して、折れ曲がり部13の中心aと縦リブ4のトンネル内空側の端部がこの法線Xを挟むように加工および配置することで、従来の平板状の直リブ4Aと比較して、縦リブ4のトンネル周方向の曲げ剛性を高めることが可能となり、これにより縦リブ4が主桁2と中詰めコンクリート6のトンネル周方向における高いずれ止め機能を発揮し、主桁2と中詰めコンクリート6間でトンネル周方向の荷重を確実に伝達することが可能となる。
【0037】
前記(イ)(ロ)(ニ)のトンネル半径方向成分によるトンネル半径方向の荷重伝達機構、および前記トンネル周方向の縦リブ剛性増加によるトンネル周方向荷重伝達機構により、当該合成セグメント1は土水圧荷重Pに対して一体となって抵抗することが可能となっている。
【0038】
また、前記の折れ曲がり部13の折れ曲がり中心点aが,主桁2の図心線Cよりもトンネル半径方向内空側に位置していることで、第1傾斜板12によるくさび面のコンクリートせん断破壊に対して、主桁桁高のコンクリートせん断耐力の50%以上を確保することができる。
【0039】
また、縦リブ4の第1傾斜板12の基端部の設置位置におけるセグメント1の法線Xに対する第1傾斜板12の角度αは、10°以上、15°以下の傾斜角度を有することで、いかなる径のトンネルにおいても、第1傾斜板12基端部中心dと第2傾斜板15先端部中心dとを結ぶ線分Lと、第1傾斜板12の中心線とがなす角度2αは、少なくとも20°以上、30°以下のくさび角度2αを確保するとよい。
【0040】
また、前記の第2傾斜板15の長さ寸法は、中詰めコンクリート6に混入される最大粗骨材寸法の2倍以上の長さを有することが望ましく、これにより、中詰めコンクリート6と縦リブ4の機械的なせん断伝達機能を確保することで、コンクリートの「かかり」を確保するようにできる。
【0041】
また、第1傾斜板12と第2傾斜板15とがなす法線側の角度θは、90°を越え、120°程度まであるいは140°程度までの鈍角であることが望ましい。このように前記角度θを鈍角にすることにより、第1傾斜板12と第2傾斜板15とにより形成される断面形態を、舟形に配置して、中詰めコンクリート6を打設する際のコンクリート充填性を確保している。
【0042】
前記のように構成された断面くの字状または逆くの字状の縦リブ4を中詰めコンクリート6に埋め込まれているコンクリート中詰め合成セグメント1に、図4に示すように、土水圧Pが作用した場合、コンクリート中詰め合成セグメント1には周方向圧縮軸力Qが作用し、前記第1傾斜板および第2傾斜板15には、周方向圧縮軸力Qによる縦リブ4と中詰めコンクリート6間の摩擦力(ニ)によるずれ止め力(ずれ止め効果)を有し、また、前記第1傾斜板および第2傾斜板15が傾斜していることによるずれ止め力(ずれ止め効果)R(ロ)を発揮し、さらに、断面くの字状または逆くの字状の縦リブ4と中詰めコンクリート6が機械的にかみ合っていることによるずれ止め力(ずれ止め効果)(イ)を発揮することができるようにされている。
【0043】
前記のように構成された断面くの字状または逆くの字状の縦リブ4のトンネル周方向に隣り合う縦リブ4同士の配置形態としては、図4(b)に示すように、断面くの字状の縦リブ4と、断面逆くの字状の縦リブ4とを、交互に配置する形態でもよく、あるいは図4(c)に示すように、断面くの字状の縦リブ4または逆くの字状の縦リブ4のいずれかを同じ方向に配置するようにしてもよい。
【0044】
いずれの形態でも、機械的なずれ止め機能を発揮できると共に、図4(b)あるいは図4(c)に一点点鎖線で示すように、隣り合う縦リブ4間では、(A)第1傾斜板12相互(図4bの中央の縦リブ4と右側の縦リブ4の場合)で、または(B)一方の第1傾斜板12と、隣り合う他方の第1傾斜板12基端部と第2傾斜板15先端部とを結ぶ線分Lを含むトンネル軸方向に延長する面L1,L2とで(図4cの場合)、あるいは(C)第1傾斜板12基端部と第2傾斜板15先端部とを結ぶ線分Lを含むトンネル軸方向に延長する面L1,L2相互(図4bの中央の縦リブ4と左側の縦リブ4との間側)で、くさびのずれ止めにより、配置方向によらず、くさび角度を形成することが可能であり、中詰めコンクリート6との一体化を高めることができる。また、折れ曲がり部を主桁2図心よりもトンネル内空側に配置しているため、中詰めコンクリート主断面せん断体力の50%以上を確保することができるようにされている(図4bの中央と右側の縦リブ間の場合)。前記の面L1およびL2がトンネル内空側に向かって漸次接近するように対称に傾斜していると、確実にくさび角を形成していることになるので、好ましい。
【0045】
図1(b)は、前記第1実施形態の変形形態を示すものであって、前記第1実施形態におけるトンネル軸方向から見た場合、断面で直線状の第1傾斜板12に代えて、断面でほぼ円弧状の第1円弧状傾斜板12aとし、また、断面で直線状の第2傾斜板15に代えて、断面でほぼ円弧状の第2円弧状傾斜板15aを有する断面円弧状の縦リブ4Bを用いた形態であり、前記の断面で円弧状の第1円弧状傾斜板12aおよび第2円弧状傾斜板15aとは、第1円弧状傾斜板12aの基端部を通る法線Xに対して、法線Xの両側に位置するように配置されている。このような形態でも、前記実施形態と同様な効果を発揮することができる。したがって、また、断面円弧状の縦リブ4Bを交互に向きを変えて対称配置としてもよく、向きを同じ方向の配列としてもよい(なお、シールドセグメントリングに組み立てるので、角度間隔をおいて配置され、図3,4では、展開した状態が示されている)。
【0046】
次に、本発明と従来の構造の相違について、前記第1実施形態と従来の平板状縦リブ4Aを例にしながら説明すると、本発明では、略断面くの字状の縦リブ4のスキンプレート側端部を通るセグメントの法線Xに対して、折れ曲がり部13の中心aと、前記縦リブ4のトンネル内空側の端部bが、前記法線Xを挟むように配置されていることで、外力等により、トンネル径に拘らず中詰めコンクリート6がセグメント1の内空側に押し出されようとする際に、(1)縦リブ4が、くさびとなり、中詰めコンクリートの抜け落ちを防止すると共に、(2)中詰めコンクリート6と縦リブ4の間で荷重を押圧力として確実に伝達する効果が得られる。
【0047】
前記(1)および(2)の二つの効果および前述した中詰めコンクリート6と縦リブ4の間に発生する摩擦抵抗力による荷重の伝達効果により、トンネル半径方向の変形に対して縦リブ4と中詰めコンクリート6は一体として挙動し、縦リブ4が鋼殻9と溶接されていることから、主桁2、スキンプレート3、継手板11とを備えた鋼殻9と中詰めコンクリート6の一体化が、従来の二次覆工省略型コンクリート中詰鋼製セグメント42の加工に、縦リブの曲げ加工および配置形態の工夫を加えるだけで、低コストで従来の二次覆工省略型コンクリート中詰鋼製セグメント42よりも、鋼殻9と中詰めコンクリート6との一体化を高めることが可能となる。
【0048】
また、縦リブ4が直リブである鋼殻9にコンクリートを中詰した従来の二次覆工省略型コンクリート中詰鋼製セグメントの場合、縦リブ4のトンネル周方向変形に対する剛性が低く、土水圧Pが載荷される面積が中詰めコンクリート部と主桁部で大きく異なるために発生する中詰めコンクリート6と主桁2のトンネル周方向変形のずれを防止することが不可能であり、トンネル半径方向の変形に対しても中詰めコンクリート6と鋼殻9の一体化が、セグメントの半径が大きくなると図れなかったが、本発明のように、略断面くの字状の縦リブ4のスキンプレート側端部を通るセグメント1の法線Xに対して、折れ曲がり部13の中心aと縦リブ4のトンネル内空側の端部が、前記法線Xを挟むように配置することで、従来の平板状リブ(直リブ)あるいは法線方向に傾斜するように配置していない形態の断面L形縦リブ4E(図9参照)と比較して、本発明では、縦リブ4のトンネル周方向の曲げ剛性を高めることが可能となり、これにより縦リブ4が主桁2と中詰めコンクリート6のトンネル周方向における高いずれ止め機能を発揮し、トンネル周方向の変形に対しても、主桁2、スキンプレート3、継手板11を備えた鋼殻9と中詰めコンクリート6の一体化を簡単な手段によって、高めることができる。
【0049】
第2傾斜板15(後記の形態では第3傾斜板16)が傾斜した状態で埋め込み配置されているため、内空側コンクリート6の剥離の可能性は極めて低く、また、前記第2傾斜板15(あるいは第3傾斜板16)の防食塗装の必要がなく経済的である。前記第2傾斜板15(あるいは第3傾斜板16)は、第1傾斜板12(または第2傾斜板15)に接続するように折り曲げ部13(第2折り曲げ部14)を介して鈍角に折り曲げているため、コンクリート6の充填性が良い。また、法線Xに対して傾斜する傾斜板12(15,16)を有しているため、(1)本発明の縦リブ4によって形成されるくさび角は、縦リブ4の配置ピッチ(角度)に依存しない特徴を有している。また、法線Xに対して傾斜している縦リブ4であるため、中詰めコンクリート6との関係では、(2)片面の機械的噛み合いが効果を発揮させているので、縦リブ4の配置ピッチ(長さ)は小さくなければならないが、トンネル径によらず前記(1)は効果を発揮するため、前記(2)の効果を期待せずともずれ止め機能は発揮されるため、縦リブ4の配置ピッチを広げることが可能になり、従来の法線方向配置の断面L形縦リブ4Eの場合と比較して、トンネル径が大きくても、縦リブ4の配置ピッチを広げることが可能で、縦リブ配置コストは高くならない。
【0050】
さらに本発明では、縦リブ4が保有する高いトンネル周方向曲げ剛性により、主桁2と縦リブ4の溶接時における主桁2の変形を抑止し、且つ、鋼殻9のねじれ剛性を増強する効果を期待することができ、高品質のセグメントを提供することができる。
【0051】
なお、図示を省略するが、断面T字状に加工した縦リブを合成セグメントに用いることも考えられるが、曲率を有するセグメントの場合、一般に、中詰めコンクリートの打設はセグメントを舟形に設置して行われるため、断面T字状縦リブのフランジと水平線が時計回りの角度を有することになり、断面T字状縦リブにおけるウェブとフランジとの内隅部へのコンクリートの充填性を確保することが困難となる。しかし、本発明を適用したセグメントは、舟形に設置しても縦リブ4における第2傾斜板15が水平線に対して反時計回りの角度を有するため、第1傾斜板12と第2傾斜板15とがなす内隅部(または第2傾斜板15と第3傾斜板16とがなす内隅部)へのコンクリートの充填性を確保することが可能となり、高品質のセグメントを提供することができる。
【0052】
さらに、本発明における縦リブ断面の材軸長さはセグメント桁高さよりも若干長くすればよく、T形の縦リブを用いる場合に比較して縦リブ1枚当りの鋼材重量および主桁への取り付けのための溶接量を低減可能なことから経済性も改善可能な技術である。
【0053】
図14に示す従来の二次覆工省略型コンクリート中詰め鋼製セグメントでは、鋼―コンクリート合成構造としての耐力を発揮し得ず、図1に示すコンクリート中詰め鋼製セグメントのように本発明による縦リブの工夫をすることで鋼―コンクリート合成構造としての耐力を発揮することが可能となることを、図13に示す。
図13は、本発明の合成セグメント1と、従来の二次覆工省略型コンクリート中詰め鋼製セグメント42とについて、トンネル半径方向の載荷荷重Pを載荷した場合の試験結果を示すものであって、本発明の合成セグメント1では、降伏耐力あるいは最大耐力および終局耐力のいずれでも、従来の二次覆工省略型コンクリート中詰め鋼製セグメントの場合よりも3割程度高くなっており、鋼−コンクリート合成セグメントとしての耐力を発揮していることが確認できる。また、断面円弧状の縦リブ4Bを有する変形形態あるいは、上記の各形態でも同様な作用を期待できるため、同様な効果が期待できる。
【0054】
図2(a)および図5〜図8は、本発明の第2実施形態を示すものであって、この形態では、断面略Z字状または断面略逆Z字状の縦リブ4Cを備えた合成セグメント1とした形態である。
【0055】
この第2実施形態の縦リブ4Cでは、断面略逆Z字状の縦リブ4Cは、その縦リブ4Cにおける第1傾斜板12は、そのスキンプレート側端部を通るトンネル半径方向の法線Xに対して急傾斜で傾斜するように配置され、かつ前記第1傾斜板12は、トンネル内空側に延長するように配置され、前記第1傾斜板12に接続すると共に前記第1傾斜板12の傾斜方向と反対側に折れ曲がり、トンネル内空側に接近するように折れ曲がる第1折れ曲がり部13を備え、その第1折れ曲がり部13に接続して、第1傾斜板12と反対側に傾斜すると共にトンネル内空側に延長するように配置された第2傾斜板15で、前記第1傾斜板12の長さ寸法よりも長い第2傾斜板15を備え、前記第2傾斜板15に接続すると共に前記第2傾斜板15の傾斜方向と反対側に折れ曲がり、トンネル内空側に接近するように折れ曲がる第2折れ曲がり部14を備え、さらに、前記第1傾斜板12と同じ方向に傾斜し、前記第1傾斜板12あるいは第2傾斜板15の長さ寸法よりも長い傾斜板とされている第3傾斜板16を備えている。
【0056】
この形態では、第2折り曲がり部14の中心は、法線Xを超えて配置され、第1傾斜板12の基端部と第2折り曲がり部14を結ぶ線分により、法線Xに対して、積極的に傾斜し、くさび角を形成するようにされている。
【0057】
この形態では、前記第1傾斜板12の長さ寸法は、中詰めコンクリートに使用される最大粗骨材寸法の2倍以上、このましくは3倍以上の長さを有するようにされて、中詰めコンクリート6と縦リブ4Cの機械的なせん断伝達機能を確保するようにしている。
また、トンネル軸方向の断面視で、第1折れ曲がり部13と第3傾斜板16先端部を結んだ直線L3(換言すると、直線L3を含むトンネル軸方向に延長する面L4)と第1傾斜板12基端部を通るセグメントの法線Xとのなす角度γは、10°以上15°程度の角度を有することにより、いかなる径のトンネルにおいても最低20°以上のくさび角度を確保することができる。
また、反対側も同様で、第1傾斜板12基端部と第2折れ曲がり部14を結んだ直線L(換言すると、トンネル軸方向の面L1,L2)と、第1傾斜板12基端部を通るセグメントの法線Xとのなす角度βは、10°以上15°程度の角度を有することにより、反対側においても、いかなる径のトンネルにおいても最低20°以上〜30°程度のくさび角度を確保することができるようにされている。
【0058】
また、前記のような形態では、図6(a)または図7に示すように、縦リブ4Cと中詰めコンクリート6が機械的に噛み合っていることにより、前記実施形態と同様に、図示矢印(イ)の方向に反力が発生することによるずれ止め効果を有し、また、周方向圧縮軸力Qによる縦リブ4Cと中詰めコンクリート6間の摩擦力(ニ)によるずれ止め効果の少なくとも2つの効果を発揮することができ、さらに、図5または図8に示す形態ではくさび角度β,γを形成していることによるくさび効果を発揮することができる。
【0059】
前記角度γあるいはβが生じないような形態、すなわち、前記の図6(a)または図7に示すような形態では、第2傾斜板15の法線Xに対する傾斜角度θ1を、第1傾斜板12の法線Xに対する傾斜角度θ1と同じ角度で同じ長さ寸法とし、第3傾斜板16の法線Xに対する傾斜角度θ1を第1傾斜板12の傾斜角度θ1と平行に同じ傾斜角度θ1とすることにより、第1傾斜板12と第2折れ曲がり部14とを結ぶ直線L(面L1,L2)あるいは第1折り曲がり部13と第3傾斜板16のトンネル内空側端部bを結ぶ直線L5(または直線L5を含むトンネル軸方向に延長する面L6)が、法線Xと平行で、図7に2点鎖線で示すように、くさび角度を備えていない形態の断面略Z字状の縦リブ4Cとすることも可能である。このような形態では、前記した周方向圧縮軸力Qによる縦リブ4Cと中詰めコンクリート6間の摩擦力(ニ)によるずれ止め効果と、第1傾斜板12と第2傾斜板15と第3傾斜板16とが、法線Xに対して傾斜していることにより、縦リブ4Cと中詰めコンクリート6が機械的に噛み合っていることにより発生する矢印(イ)方向の反力によるずれ止め効果を発揮することができる。
第1傾斜板12と第2傾斜板15と第3傾斜板16の法線Xに対する傾斜角θ1は、コンクリートの充填性を確実にする上では、好ましくは60°以下、さらに好ましくは45°以下であればよい。
【0060】
これらの形態において、断面略Z字状または断面略逆Z字状の縦リブ4Cにおける、第1傾斜板12と第2傾斜板15と第3傾斜板16とに代えて、それぞれ、図2(b)に示すように、断面略円弧状の第1円弧状傾斜板12a、および第1折れ曲がり部13を介して接続する断面略円弧状の第2円弧状傾斜板15a、および第2折れ曲がり部14を介して接続する断面略円弧状の第3円弧状傾斜板16aとを備えた、断面略S字状または断面略逆S字状の縦リブ4Dを周方向に間隔をおいて配置して、中詰めコンクリート6に埋め込み配置するようにしてもよい。
また、その変形形態として、断面略円弧状の第1円弧状傾斜板12aと、第2円弧状傾斜板15aと、第3円弧状傾斜板16aとを、法線Xに対して傾斜した状態として順次段階的に長くし、第2折れ曲がり部14を第1円弧状傾斜板12a基端部よりも法線Xから周方向に離れた位置とし、同様に第3円弧状傾斜板16aの先端部を、第1折れ曲がり部13よりも法線Xから周方向に離れた位置とすることで、くさび角度を形成するようにしてもよい。
【0061】
また、断面略Z(またはS)字状または断面略逆Z(またはS)字状の縦リブ4C、4Dのトンネル周方向の配置形態としては、前記実施形態と同様に、図6(b)または図8(b)に示すように、トンネル周方向に交互に対称に配置するようにして、主桁2とスキンプレート3に溶接により固定してもよく、あるいは、図6(c)または図8(c)に示すように、トンネル周方向に同じ方向に配置するようにして、主桁2とスキンプレート3に溶接により固定してもよい。
なお、これらの形態では、縦リブが向かい合うように対称に配置される形態よりも、同じ方向に縦リブ4(4B〜4D)を配置する形態のほうが、周方向で隣り合う縦リブ4(4B〜4D)間において、少なくとも一方の縦リブ4(4B〜4D)に、そのせん断耐力として縦リブ高さ分を見込むことができるが、図6(b)に点線で示すように、向かい合うように配置した場合は、縦リブ高さ全体を見込むことができなくなり、例えば、縦リブ4C,4Dの高さの2/3以下しか見込めない恐れがあるが、機械的噛み合いが勝る場合には、このような形態でもよい。
【0062】
このような第1折れ曲がり部13と第2折れ曲がり部14を備えている形態では、中詰めコンクリート6との機械的な噛み合いを、第1実施形態の場合よりも高めることができる。
【0063】
本発明を実施する場合、縦リブ4の端部から中詰めコンクリート6に用いる粗骨材の最大寸法の2倍の距離の位置と縦リブ4のトンネル半径方向中央の間の位置において、1箇所を鈍角に折り曲げて折り曲げ部13を備えた縦リブ4を少なくとも1枚以上使用したシールドトンネル用合成セグメントとしてもよい。
【0064】
また、本発明を実施する場合、縦リブ4の中央を挟むトンネル半径方向の2箇所の位置において、中詰めコンクリート6に用いる粗骨材の最大寸法の2倍以上の高さを有して鈍角に折り曲げた折り曲げ部13を有するか、または円弧状に折り曲げた折り曲げ部13を備えた縦リブ4を少なくとも1枚以上使用したシールドトンネル用セグメントとしてもよい。
【0065】
また、本発明を実施する場合、中詰めコンクリート6に用いる粗骨材の最大寸法の2倍以上のトンネル半径方向の高さを有して円弧状または略円弧状に製作された縦リブ4Bを少なくとも1枚以上使用したシールドトンネル用セグメントとしてもよい。
【0066】
本発明を実施する場合、前記の第1傾斜板12または第2傾斜板15あるいは第1〜第3傾斜板16を有する縦リブ4(4B〜4D)、あるいは前記の第1円弧状傾斜板12aまたは第2円弧状傾斜板15aあるいは第1〜第3円弧状傾斜板16aを有する縦リブ4C,4Dを、少なくとも1枚あるいは2枚または3枚以上、継手板11間に配置するようにしてもよい。
【0067】
本発明を実施する場合、スキンプレート3としては、1枚を配置する形態でも、複数を配置する形態でもよい。縦リブ4(4B〜4D)の表面に凸凹を設けるようにしてもよい。
【0068】
なお、図10〜図12に代表して示すように、断面くの字状または逆くの字状の縦リブ4Fにおける折れ曲がり部13の中心aと、前記縦リブ4のトンネル内空側の端部bとが、前記トンネル半径方向の法線Xを含むトンネル軸方向に延長する面を挟むように、その面の一方および他方に配置されていないコンクリート中詰め合成セグメント1では、断面くの字状または逆くの字状の縦リブ4Fの溝が向かい合う側において、折れ曲がり部13の中心aと第2傾斜板15のトンネル内空側の端部とが、縦リブ4Fにおけるスキンプレート側端部を通るトンネル半径方向の法線を含むトンネル軸方向に延長する面を挟むようにその面の両側に配置されていないため、第1傾斜板12のスキンプレート側端部と第2傾斜板15の先端部を結ぶ線分(またはこの線分を含むトンネル軸方向の面)は、法線X方向(または法線Xを含むトンネル軸方向の面)とほぼ同じになり、法線Xに傾斜する積極的なくさび角をほとんど形成していない形態になる。
なお、本発明を実施する場合には、図10〜図12に代表して示すように、断面くの字状または逆くの字状の縦リブによるくさび角の形成に拘わらず、断面くの字状または逆くの字状の縦リブに渡って棒状鋼材5を埋め込み配置するようにして、一体化を高めるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の合成セグメントの断面形態を示すものであって、(a)は第1実施形態の合成セグメントの断面図、(b)は(a)の変形形態の合成セグメントの断面図である。
【図2】本発明の合成セグメントの断面形態を示すものであって、(a)は第2実施形態の合成セグメントの断面図、(b)は(a)の変形形態の合成セグメントの断面図である。
【図3】本発明の合成セグメントの縦リブ仕様の一形態を説明するための断面図である。
【図4】(a)は、本発明の合成セグメントにおける縦リブの作用を説明するための説明断面図、(b)は縦リブの配置形態の第1形態を示す説明用断面図、(c)は縦リブの配置形態の第2形態を示す説明断面図である。
【図5】本発明の合成セグメントにおける縦リブ仕様の他の形態を説明するための断面図である。
【図6】(a)は、本発明の合成セグメントにおける図5に示す縦リブの作用を説明するための説明用断面図、(b)は縦リブの配置形態の第3形態を示す説明用断面図、(c)は縦リブの配置形態の第4形態を示す説明断面図である。
【図7】図6に示す形態の縦リブの配置形態により、くさび作用角度を有しない形態とある場合を示す説明用断面図である。
【図8】(a)は、本発明の合成セグメントにおける他の形態の縦リブの作用を説明するための説明断面図、(b)は縦リブの配置形態の第5形態を示す断面図、(c)は縦リブの配置形態の第6形態を示す説明断面図である。
【図9】(a)は断面L形の縦リブの従来の配置形態を示す断面図、(b)は断面L形の縦リブの従来の他の配置形態を示す断面図である。
【図10】本発明の合成セグメントの他の形態を示す底面図である。
【図11】図10に示す合成セグメントの断面図である。
【図12】(a)は図10に示す合成セグメントのA−A線断面図、(b)はB−B線断面図である。
【図13】本発明の合成セグメントと従来の二次覆工省略型コンクリート中詰め鋼製セグメントの載荷試験結果を示すグラフである。
【図14】合成セグメントの半径と縦リブの配置との関係を説明するための正面図である。
【図15】図14の一部を拡大して示す断面図である。
【図16】(a)(b)は板状縦リブに鉄筋を配置する従来の合成セグメントの一部分の一形態を示す断面図である。
【図17】図16に示す構造により順次隣接する部分に荷重が伝達されることを説明するための断面図である。
【図18】(a)(b)は板状縦リブに鉄筋を配置する従来の合成セグメントの一部分の他の形態を示す図である。
【図19】図18に示す構造により順次隣接する部分に荷重が伝達されることを説明するための断面図である。
【図20】図18に示す形態の合成セグメントの全体を示す断面図である。
【符号の説明】
【0070】
1 コンクリート中詰め合成セグメント
2 主桁
3 スキンプレート
4 断面くの字状または逆くの字状の縦リブ
4A 平板状縦リブ(直リブ、板状縦リブ)
4B 断面円弧状の縦リブ
4C 断面略Z字状または断面略逆Z字状の縦リ
4D 断面略S字状または断面略逆S字状の縦リブ
4E 断面L形縦リブ
5 棒状鋼材
6 中詰めコンクリート
7 隅角部
8 開孔
9 鋼殻
10 ずれ止め
11 継手板
12 第1傾斜板
12a 第1円弧状傾斜板
13 折れ曲がり部(または第1折れ曲がり部)
14 第2折れ曲がり部
15 第2傾斜板
15a 第2円弧状傾斜板、
16 第3傾斜板
16a 第3円弧状傾斜板
20 第1法線方向板
21 フランジ板
42 従来の二次覆工省略型コンクリート中詰め鋼製セグメント,または従来の合成セグメント
L 縦リブのスキンプレート側端部と内空側端部を結んだ直線(または第1傾斜板基端部と第2折れ曲がり部を結んだ直線)
L1、L2 直線Lを含むトンネル軸方向に延長する面
L3 第1折れ曲がり部と第3傾斜板先端部を結んだ直線
L4 直線L3を含むトンネル軸方向に延長する面
L5 第1折り曲がり部と第3傾斜板のトンネル内空側端部を結ぶ直線
L6 直線L5を含むトンネル軸方向に延長する面
a 折れ曲がり部中心点
b 縦リブのトンネル内空側端部
c 主桁の図心線
d 第1傾斜板の基端部中心
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主桁、継手板およびスキンプレートにより構成される鉄鋼製系セグメントにおける主桁に縦リブが固定され、その縦リブにおけるスキンプレート側端部を通るトンネル半径方向の法線を含むトンネル軸方向に延長する面に対して、トンネル軸方向の断面視で、前記縦リブにおける少なくとも一つの折れ曲がり部の中心と、前記縦リブのトンネル内空側の端部とが、前記トンネル半径方向の法線を含むトンネル軸方向に延長する面を挟むように、その面の一方および他方に配置されていることを特徴とするコンクリート中詰め合成セグメント。
【請求項2】
主桁、継手板およびスキンプレートにより構成される鉄鋼製系セグメントにおける主桁に断面くの字または逆くの字状縦リブが固定され、その断面くの字または逆くの字状の縦リブにおけるスキンプレート側端部を通るトンネル半径方向の法線を含むトンネル軸方向に延長する面に対して、トンネル軸方向の断面視で、前記断面くの字または逆くの字状の縦リブにおける折れ曲がり部の中心と、前記断面くの字または逆くの字状の縦リブのトンネル内空側の端部とが、前記トンネル半径方向の法線を含むトンネル軸方向に延長する面を挟むように、その面の一方および他方に配置されていることを特徴とするコンクリート中詰め合成セグメント。
【請求項3】
主桁、継手板およびスキンプレートにより構成される鉄鋼製系セグメントにおける主桁に断面円弧状の縦リブが固定され、その断面円弧状の縦リブにおけるスキンプレート側端部を通るトンネル半径方向の法線を含むトンネル軸方向に延長する面に対して、トンネル軸方向の断面視で、前記断面円弧状の縦リブにおける折れ曲がり部の中心と、前記断面円弧状の縦リブのトンネル内空側の端部とが、前記トンネル半径方向の法線を含むトンネル軸方向に延長する面を挟むように、その面の一方および他方に配置されていることを特徴とするコンクリート中詰め合成セグメント。
【請求項4】
主桁、継手板およびスキンプレートにより構成される鉄鋼製系セグメントにおける主桁に断面Z字または逆Z字状の縦リブが固定され、その断面Z字または逆Z字状の縦リブにおけるスキンプレート側端部を通るトンネル半径方向の法線を含むトンネル軸方向に延長する面に対して、トンネル軸方向の断面視で、前記断面Z字または逆Z字状の縦リブにおける少なくとも一つの折れ曲がり部の中心と、前記断面Z字または逆Z字状の縦リブのトンネル内空側の端部とが、前記トンネル半径方向の法線を含むトンネル軸方向に延長する面を挟むように、その面の一方および他方に配置されていることを特徴とするコンクリート中詰め合成セグメント。
【請求項5】
主桁、継手板およびスキンプレートにより構成される鉄鋼製系セグメントにおける主桁に断面S字または逆S字状の縦リブが固定され、その断面S字または逆S字状の縦リブにおけるスキンプレート側端部を通るトンネル半径方向の法線を含むトンネル軸方向に延長する面に対して、トンネル軸方向の断面視で、前記断面S字または逆S字状の縦リブにおける少なくとも一つの折れ曲がり部の中心と、前記断面S字または逆S字状の縦リブのトンネル内空側の端部とが、前記トンネル半径方向の法線を含むトンネル軸方向に延長する面を挟むように、その面の一方および他方に配置されていることを特徴とするコンクリート中詰め合成セグメント。
【請求項6】
一方の縦リブにおけるトンネル半径方向のスキンプレート側の縦リブ基端側と、内空側の縦リブ先端部とを結ぶ直線Lを含むトンネル軸方向の面L1と、これに隣接する他方の縦リブにおけるトンネル半径方向のスキンプレート側の縦リブ基端側と、内空側の縦リブ先端部とを結ぶ直線Lを含むトンネル軸方向の面L2とが、各縦リブ基端側のスキンプレート側端部を通るトンネル半径方向の法線に交差するように傾斜して設けられ、前記面L1とL2とは、トンネル内空側において相互に接近する方向に傾斜していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のコンクリート中詰め合成セグメント。
【請求項7】
トンネル周方向に隣り合う縦リブが、トンネル周方向に等角度間隔をおいて設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のコンクリート中詰め合成セグメント。
【請求項8】
トンネル周方向に隣り合う少なくとも一組の縦リブが、トンネル周方向に対称に配置されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のコンクリート中詰め合成セグメント。
【請求項1】
主桁、継手板およびスキンプレートにより構成される鉄鋼製系セグメントにおける主桁に縦リブが固定され、その縦リブにおけるスキンプレート側端部を通るトンネル半径方向の法線を含むトンネル軸方向に延長する面に対して、トンネル軸方向の断面視で、前記縦リブにおける少なくとも一つの折れ曲がり部の中心と、前記縦リブのトンネル内空側の端部とが、前記トンネル半径方向の法線を含むトンネル軸方向に延長する面を挟むように、その面の一方および他方に配置されていることを特徴とするコンクリート中詰め合成セグメント。
【請求項2】
主桁、継手板およびスキンプレートにより構成される鉄鋼製系セグメントにおける主桁に断面くの字または逆くの字状縦リブが固定され、その断面くの字または逆くの字状の縦リブにおけるスキンプレート側端部を通るトンネル半径方向の法線を含むトンネル軸方向に延長する面に対して、トンネル軸方向の断面視で、前記断面くの字または逆くの字状の縦リブにおける折れ曲がり部の中心と、前記断面くの字または逆くの字状の縦リブのトンネル内空側の端部とが、前記トンネル半径方向の法線を含むトンネル軸方向に延長する面を挟むように、その面の一方および他方に配置されていることを特徴とするコンクリート中詰め合成セグメント。
【請求項3】
主桁、継手板およびスキンプレートにより構成される鉄鋼製系セグメントにおける主桁に断面円弧状の縦リブが固定され、その断面円弧状の縦リブにおけるスキンプレート側端部を通るトンネル半径方向の法線を含むトンネル軸方向に延長する面に対して、トンネル軸方向の断面視で、前記断面円弧状の縦リブにおける折れ曲がり部の中心と、前記断面円弧状の縦リブのトンネル内空側の端部とが、前記トンネル半径方向の法線を含むトンネル軸方向に延長する面を挟むように、その面の一方および他方に配置されていることを特徴とするコンクリート中詰め合成セグメント。
【請求項4】
主桁、継手板およびスキンプレートにより構成される鉄鋼製系セグメントにおける主桁に断面Z字または逆Z字状の縦リブが固定され、その断面Z字または逆Z字状の縦リブにおけるスキンプレート側端部を通るトンネル半径方向の法線を含むトンネル軸方向に延長する面に対して、トンネル軸方向の断面視で、前記断面Z字または逆Z字状の縦リブにおける少なくとも一つの折れ曲がり部の中心と、前記断面Z字または逆Z字状の縦リブのトンネル内空側の端部とが、前記トンネル半径方向の法線を含むトンネル軸方向に延長する面を挟むように、その面の一方および他方に配置されていることを特徴とするコンクリート中詰め合成セグメント。
【請求項5】
主桁、継手板およびスキンプレートにより構成される鉄鋼製系セグメントにおける主桁に断面S字または逆S字状の縦リブが固定され、その断面S字または逆S字状の縦リブにおけるスキンプレート側端部を通るトンネル半径方向の法線を含むトンネル軸方向に延長する面に対して、トンネル軸方向の断面視で、前記断面S字または逆S字状の縦リブにおける少なくとも一つの折れ曲がり部の中心と、前記断面S字または逆S字状の縦リブのトンネル内空側の端部とが、前記トンネル半径方向の法線を含むトンネル軸方向に延長する面を挟むように、その面の一方および他方に配置されていることを特徴とするコンクリート中詰め合成セグメント。
【請求項6】
一方の縦リブにおけるトンネル半径方向のスキンプレート側の縦リブ基端側と、内空側の縦リブ先端部とを結ぶ直線Lを含むトンネル軸方向の面L1と、これに隣接する他方の縦リブにおけるトンネル半径方向のスキンプレート側の縦リブ基端側と、内空側の縦リブ先端部とを結ぶ直線Lを含むトンネル軸方向の面L2とが、各縦リブ基端側のスキンプレート側端部を通るトンネル半径方向の法線に交差するように傾斜して設けられ、前記面L1とL2とは、トンネル内空側において相互に接近する方向に傾斜していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のコンクリート中詰め合成セグメント。
【請求項7】
トンネル周方向に隣り合う縦リブが、トンネル周方向に等角度間隔をおいて設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のコンクリート中詰め合成セグメント。
【請求項8】
トンネル周方向に隣り合う少なくとも一組の縦リブが、トンネル周方向に対称に配置されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のコンクリート中詰め合成セグメント。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2008−297817(P2008−297817A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−145621(P2007−145621)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】
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