説明

コンクリート吹付機

【課題】インペラヘッドの摩耗部品の交換頻度を従来よりも低減して部品コストの削減や吹付け施工の効率向上を図り得るようにする。
【解決手段】高速回転するインペラ7によりコンクリート6を打撃投射するインペラヘッド5を備えたコンクリート吹付機に関し、インペラ7内でブレード23を固定するにあたり、該ブレード23の回転方向の背面側に正面側まで開通しないネジ穴26を穿設すると共に、ブレード23の回転方向の背面側に配置されてインペラ側板側に固定された台座14に対しネジ穴26と連続する貫通孔14aを形成し、該貫通孔14aを通し台座14の回転方向の背面側からブレード23のネジ穴26にボルト27を締め込んでブレード23を前記台座14に締結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル内面等にコンクリートをライニングするためのコンクリート吹付機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、山岳トンネル掘削時等の吹付けコンクリート施工には、コンクリートポンプにより圧送されてきたコンクリートに途中から圧縮空気を供給して吹付けるエア吹付け方式が採用されてきたが、発生する粉塵により塵肺に罹患する虞れがあるため、近年においては、高速回転するインペラによりコンクリートを打撃投射するエアレス吹付け方式が採用されるようになってきている。
【0003】
図4はエアレス吹付け方式で吹付けコンクリート施工を行い得るコンクリート吹付機の一例を示すもので、図4中1は自走式の主機を示し、該主機1の後部にコンクリートポンプ2が設けられていると共に、前記主機1の前部には多関節式のロボットアーム3が設けられている。
【0004】
そして、コンクリートポンプ2からコンクリート配管4を介しロボットアーム3の先端部のインペラヘッド5へとコンクリート6を圧送し、前記インペラヘッド5内で高速回転するインペラによりコンクリート6を打撃して投射するようになっている。
【0005】
図5及び図6に詳細を示す如く、前記インペラヘッド5は、図示しない油圧モータにより回転軸Oを中心に回転するインペラ7と、該インペラ7を覆うケーシング8と、該ケーシング8におけるコンクリート配管4の接続部と隣接した箇所に前記インペラ7の回転方向に対する接線方向に向けて形成されたコンクリート6を打撃吐出するためのノズル9とを備えて構成されている。
【0006】
前記インペラ7は、回転軸Oの軸線方向に間隔を隔てた2枚の円盤状のインペラ側板10の間に周方向に等間隔で複数(図5では4枚)のブレード11を挟み込んだ構造となっており、該ブレード11には、インペラ7の半径方向に延びる打撃部12と、該打撃部12の半径方向の内側端からインペラ7の回転方向に突き出す受け顎部13とが形成されている。
【0007】
即ち、コンクリート配管4からインペラヘッド5内に投入されたコンクリート6が、ケーシング8の中で高速回転しているインペラ7の受け顎部13に受け止められ且つ打撃部12により打撃され、その打撃により与えられた力でノズル9からトンネルの壁面等に投射されるようになっている。
【0008】
ここで、前記ブレード11の打撃部12は、耐摩耗性材料である超硬合金(硬質の金属炭化物の粉末を焼結して作られる合金で、一般的には炭化タングステンとコバルトを混合して焼結したもの。材料特性を向上させるために炭化チタンや炭化タンタルなどを加える。更に摩耗に強くするために、表面に窒化チタン、炭窒化チタン、チタンアルミナイトライド、アルミクロムナイトライドなどの硬質物質をコーティングしても良い。)により構成されており、この打撃部12は、図示しない固定手段により着脱自在に取り付けられ、摩耗が進んだ場合に前記打撃部12を交換できるようになっている。
【0009】
更に、図中14はブレード11をインペラ側板10に固定するための台座であり、該台座14に対し前記ブレード11の受け顎部13における回転方向の正面側からボルト孔15及び前記台座14の貫通孔14aを介しボルト16が嵌挿され、前記台座14の背面でナット17により締結されるようになっている。
【0010】
また、インペラ側板10は、コンクリート6と激しく衝突するインペラ側板10の外周部分を成すインペラリング18と、回転軸Oに固定されて前記外周部分を除いた本体部分を成す円盤状のインペラベース19とに分割構成されており、該インペラベース19の外周部外側面に対し前記インペラリング18の内周部内側面が重ね合わされて、その重ね方向にボルト20により着脱自在に締結され、摩耗が進んだ時にインペラリング18を新しいものと交換できるようになっている。
【0011】
ここで、前記インペラリング18のブレード11近傍の外周部内側面には、超硬合金からなる内側超硬部材21が部分的に取り付けられ、前記インペラリング18の外周部外側面には、超硬合金からなる外側超硬フィン22が全周に亘り取り付けられている。
【0012】
尚、この種のエアレス吹付け方式のコンクリート吹付機に関連する先行技術文献情報としては、例えば下記の特許文献1等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第3537047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
このようにインペラヘッド5内で高速回転するインペラ7によりコンクリート6を打撃投射するエアレス吹付け方式のコンクリート吹付機では、インペラヘッド5内で各部に摩耗が生じてしまうことが避けられず、特にコンクリート6を直接的に打撃することになるブレード11は実質的に消耗品と考えざるを得ないため、その摩耗の進行をできる限り抑制して交換頻度を下げ、その部品交換による部品コストの高騰や、交換作業により施工作業が中断されることによる吹付け施工の効率低下を極力回避する必要がある。
【0015】
しかしながら、コンクリート6への急結剤の添加方法が、エアレス吹付け方式の開発当初におけるインペラヘッド5のノズル9の出口部での噴射ノズルを用いた噴射添加から、インペラヘッド5に到る間際のコンクリート配管4への直接的な注入添加(図4中に矢印Aで示すY字管4’を介した急結剤の注入)に変わったことにより、ブレード11に生じる摩耗が当初の見込みより激しくなり、該ブレード11の交換頻度が高くなっているという実情がある。
【0016】
より具体的には、インペラヘッド5に到る間際のコンクリート配管4へ急結剤が注入添加される際に、急結剤のスラリーが多少の圧縮空気と共に注入されることになるため、これにより勢いがついたコンクリート6がブレード11の受け顎部13を越えて広範囲に衝突し、特に超硬合金で構成されていないブレード11の下部(インペラ7の半径方向におけるブレード11の内側部分)が早期に摩耗し、ここに露出しているボルト16の頭がコンクリート6の打撃により摩耗して外れ易くなるという不具合があった。
【0017】
このため、ブレード11が回転中に脱落するような事態が生じる前に、ブレード11やボルト16を高い頻度で交換しなければならず、その部品交換により部品コストが嵩むと共に、交換作業により施工作業が中断されて吹付け施工の効率が下がるという問題があった。
【0018】
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、インペラヘッドの摩耗部品の交換頻度を従来よりも低減して部品コストの削減や吹付け施工の効率向上を図り得るようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、高速回転するインペラによりコンクリートを打撃投射するインペラヘッドを備え、該インペラヘッドへコンクリート配管を介してコンクリートを圧送するようにしたコンクリート吹付機において、回転軸を中心に回転するインペラと、該インペラを覆うケーシングと、該ケーシングにおけるコンクリート配管の接続部と隣接した箇所に前記インペラの回転方向に対する接線方向に向けて形成されたコンクリートを打撃吐出するためのノズルとにより前記インペラヘッドを構成すると共に、前記回転軸の軸線方向に間隔を隔てた2枚の円盤状のインペラ側板と、該各インペラ側板の間に周方向に等間隔で挟み込まれた複数のブレードとにより前記インペラを構成し、該インペラ内で前記ブレードを固定するにあたり、該ブレードの回転方向の背面側に正面側まで開通しないネジ穴を穿設すると共に、前記ブレードの回転方向の背面側に配置されて前記インペラ側板側に固定された台座に対し前記ネジ穴と連続する貫通孔を形成し、該貫通孔を通し前記台座の回転方向の背面側から前記ブレードのネジ穴にボルトを締め込んで前記ブレードを前記台座に締結したことを特徴とするものである。
【0020】
而して、このようにした場合、ブレードの回転方向の背面側に配置されてインペラ側板側に固定された台座に対し、該台座の回転方向の背面側から貫通孔を通し前記ブレードのネジ穴にボルトを締め込んで前記ブレードの固定を図るようになっているので、コンクリートと激しく衝突することになるブレードの回転方向の正面側にボルトが露出しなくなり、該ボルトが直接的にコンクリートの打撃を受けて摩耗する事態が回避されることになる。
【0021】
この結果、前記ブレードの回転方向の正面側に摩耗が生じても、該ブレードのネジ穴に対するボルトの締結状態が良好に維持されるため、摩耗によりボルトが外れ易くなるような事態が起こらなくなり、ブレードやボルトを従来の如き高い頻度で交換しなくても済み、その部品交換により嵩んでいた部品コストが低減されると共に、交換作業により施工作業が中断される頻度が少なくなって吹付け施工の効率が向上される。
【0022】
また、本発明においては、ブレードの回転方向の正面側におけるインペラの半径方向外側の領域に、該半径方向に対し10〜15゜の傾斜角で同半径方向内側へ向かうに従い回転方向に張り出す傾斜面を成すようにメイン打撃部を形成すると共に、該メイン打撃部より前記半径方向内側の領域には、該半径方向に対し15〜30゜の傾斜角で同半径方向内側へ向かうに従い回転方向に張り出す傾斜面を成すようにサブ打撃部を形成し、該サブ打撃部及び前記メイン打撃部を超硬合金により構成することが好ましい。
【0023】
このようにすれば、これまでブレードの回転方向の正面側におけるインペラの半径方向外側の領域に形成されていた打撃部のみを超硬合金で構成していたのに対し、ブレードの回転方向の正面側におけるインペラの半径方向外側の領域をメイン打撃部とし、該メイン打撃部より前記半径方向内側の領域をサブ打撃部として、これらメイン打撃部及びサブ打撃部の両方を超硬合金により構成しているので、インペラヘッドに到る間際のコンクリート配管への急結剤の注入添加等によりコンクリートに勢いがついて、コンクリートがブレードの回転方向の正面側で広範囲に衝突したとしても、ブレードに生じる摩耗が著しく抑制されることになる。
【0024】
しかも、メイン打撃部がインペラの半径方向に対し10〜15゜の傾斜角で同半径方向内側へ向かうに従い回転方向に張り出す傾斜面を成し、サブ打撃部がインペラの半径方向に対し15〜30゜の傾斜角で同半径方向内側へ向かうに従い回転方向に張り出す傾斜面を成すようになっているので、メイン打撃部及びサブ打撃部の夫々に打撃されたコンクリートの投射方向がノズルに向かい易くなり、該ノズルから投射されずにケーシング内を周回するコンクリートが少なくなる。
【0025】
更に、本発明においては、インペラ側板を、該インペラ側板の外周部分を成すインペラリングと、回転軸に固定されて前記外周部分を除いた本体部分を成すインペラベースとに分割構成し、該インペラベースの外周部外側面に対し前記インペラリングの内周部内側面を重ね合わせ且つその重ね方向にボルトで着脱自在に締結し、該ボルトの頭を埋没させて自身の外側面と面一を成すようにボルト頭嵌入孔を周方向複数箇所に備えたボルト保護リングを前記インペラリングの内周部外側面に取り付けることが好ましい。
【0026】
このようにすれば、インペラベースの外周部外側面にインペラリングの内周部内側面を締結しているボルトの頭がボルト保護リングのボルト頭嵌入孔に埋没して前記ボルト保護リングの外側面と面一となり、前記ボルトの頭のコンクリートとの激しい接触が回避され、前記ボルトの頭の摩耗が大幅に低減されることになる。
【発明の効果】
【0027】
上記した本発明のコンクリート吹付機によれば、下記の如き種々の優れた効果を奏し得る。
【0028】
(I)本発明の請求項1に記載の発明によれば、コンクリートと激しく衝突することになるブレードの回転方向の正面側にボルトを露出させないようにして、該ボルトが直接的にコンクリートの打撃を受けて摩耗する事態を回避することができるので、前記ブレードの回転方向の正面側に摩耗が生じても、該ブレードのネジ穴に対するボルトの締結状態を良好に維持することができ、これによりインペラヘッドの摩耗部品の交換頻度を従来よりも大幅に低減して部品コストの削減や吹付け施工の効率向上を図ることができる。
【0029】
(II)本発明の請求項2に記載の発明によれば、インペラヘッドに到る間際のコンクリート配管への急結剤の注入添加等によりコンクリートに勢いがついて、コンクリートがブレードの回転方向の正面側で広範囲に衝突したとしても、ブレードに生じる摩耗を超硬合金のメイン打撃部及びサブ打撃部により著しく抑制することができるので、このようにブレードの摩耗を抑制できることによってもインペラヘッドの摩耗部品の交換頻度を大幅に低減することができ、更なる部品コストの削減や吹付け施工の効率向上を図ることができる。
【0030】
(III)本発明の請求項2に記載の発明によれば、メイン打撃部及びサブ打撃部に付した傾斜角により、メイン打撃部及びサブ打撃部の夫々に打撃されたコンクリートの投射方向をノズルに向かい易くすることができ、該ノズルから投射されずにケーシング内を周回するコンクリートを大幅に低減することができるので、コンクリートの投射効率を従来より向上することができる。
【0031】
(IV)本発明の請求項3に記載の発明によれば、インペラベースの外周部外側面にインペラリングの内周部内側面を締結しているボルトの頭をボルト頭嵌入孔に埋没させてボルト保護リングの外側面と面一とすることができるので、前記ボルトの頭のコンクリートとの激しい接触による摩耗を大幅に低減することができ、このようにインペラリングを取り付けるためのボルトの頭の摩耗を抑制できることによってもインペラヘッドの摩耗部品の交換頻度を大幅に低減することができ、更なる部品コストの削減や吹付け施工の効率向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明を実施する形態の一例を示す要部の側面断面図である。
【図2】図1のブレードを採用したインペラヘッドの側面断面図である。
【図3】図2のインペラの正面断面図である。
【図4】従来のコンクリート吹付機の一例を示す概略図である。
【図5】従来のコンクリート吹付機におけるインペラヘッドの側面断面図である。
【図6】図5のインペラの正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0034】
図1〜図3は本発明を実施する形態の一例を示すもので、図5及び図6と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
【0035】
本形態例のコンクリート吹付機においては、前述した図5及び図6で説明したものと略同様に構成されているが、インペラ7内に固定されるブレード23が、以下に詳述する如き構造に一新されている。
【0036】
即ち、本形態例に用いられているブレード23は、ブレード23の回転方向の正面側におけるインペラ7の半径方向外側の領域(図1中におけるブレード23の上側部分)に、該半径方向に対し10〜15゜の傾斜角θ1で同半径方向内側へ向かうに従い回転方向に張り出す傾斜面を成すようにメイン打撃部24を形成すると共に、該メイン打撃部24より前記半径方向内側の領域(図1中におけるブレード23のメイン打撃部24より下側の部分)には、該半径方向に対し15〜30゜の傾斜角θ2で同半径方向内側へ向かうに従い回転方向に張り出す傾斜面を成すようにサブ打撃部25を形成し、該サブ打撃部25及び前記メイン打撃部24を超硬合金により構成した構造となっている。
【0037】
ここで、前記メイン打撃部24の超硬合金に構成された部分は、従来におけるブレード11の打撃部12(図5及び図6参照)よりも肉厚としてあり、また、サブ打撃部25よりも相対的に肉厚としてある。
【0038】
しかも、インペラ7内でブレード23を固定するにあたり、該ブレード23の回転方向の背面側に正面側まで開通しないネジ穴26を穿設すると共に、前記ブレード23の回転方向の背面側に配置されて前記インペラ側板10側に固定された台座14に対し前記ネジ穴26と連続する貫通孔14aを形成し、該貫通孔14aを通し前記台座14の回転方向の背面側から前記ブレード23のネジ穴26にボルト27を締め込んで前記ブレード23を前記台座14に締結するようにしている。
【0039】
また、特に本形態例においては、前述の如き新規なブレード23を採用することに加え、図2及び図3に図示されている通り、インペラベース19の外周部外側面に対しインペラリング18の内周部内側面を重ね合わせ且つその重ね方向にボルト20で着脱自在に締結し、該ボルト20の頭を埋没させて自身の外側面と面一を成すようにボルト頭嵌入孔28を周方向複数箇所に備えたボルト保護リング29を前記インペラリング18の内周部外側面に取り付けた構成を採用している。
【0040】
而して、このようにした場合、ブレード23の回転方向の背面側に配置されてインペラ側板10側に固定された台座14に対し、該台座14の回転方向の背面側から貫通孔14aを通し前記ブレード23のネジ穴26にボルト27を締め込んで前記ブレード23の固定を図るようになっているので、コンクリート6と激しく衝突することになるブレード23の回転方向の正面側にボルト27が露出しなくなり、該ボルト27が直接的にコンクリート6の打撃を受けて摩耗する事態が回避されることになる。
【0041】
この結果、前記ブレード23の回転方向の正面側に摩耗が生じても、該ブレード23のネジ穴26に対するボルト27の締結状態が良好に維持されるため、摩耗によりボルト27が外れ易くなるような事態が起こらなくなり、ブレード23やボルト27を従来の如き高い頻度で交換しなくても済み、その部品交換により嵩んでいた部品コストが低減されると共に、交換作業により施工作業が中断される頻度が少なくなって吹付け施工の効率が向上される。
【0042】
また、これまでブレード23の回転方向の正面側におけるインペラ7の半径方向外側の領域に形成されていた打撃部12(図5及び図6参照)のみを超硬合金で構成していたのに対し、ブレード23の回転方向の正面側におけるインペラ7の半径方向外側の領域をメイン打撃部24とし、該メイン打撃部24より前記半径方向内側の領域をサブ打撃部25として、これらメイン打撃部24及びサブ打撃部25の両方を超硬合金により構成しているので、インペラヘッド5に到る間際のコンクリート配管4への急結剤の注入添加等によりコンクリート6に勢いがついて、コンクリート6がブレード23の回転方向の正面側で広範囲に衝突したとしても、ブレード23に生じる摩耗が著しく抑制されることになる。
【0043】
しかも、メイン打撃部24がインペラ7の半径方向に対し10〜15゜の傾斜角で同半径方向内側へ向かうに従い回転方向に張り出す傾斜面を成し、サブ打撃部25がインペラ7の半径方向に対し15〜30゜の傾斜角で同半径方向内側へ向かうに従い回転方向に張り出す傾斜面を成すようになっているので、メイン打撃部24及びサブ打撃部25の夫々に打撃されたコンクリート6の投射方向がノズル9に向かい易くなり、該ノズル9から投射されずにケーシング8内を周回するコンクリート6が少なくなる。
【0044】
従って、上記形態例によれば、コンクリート6と激しく衝突することになるブレード23の回転方向の正面側にボルト27を露出させないようにして、該ボルト27が直接的にコンクリート6の打撃を受けて摩耗する事態を回避することができるので、前記ブレード23の回転方向の正面側に摩耗が生じても、該ブレード23のネジ穴26に対するボルト27の締結状態を良好に維持することができ、これによりインペラヘッド5の摩耗部品の交換頻度を従来よりも大幅に低減して部品コストの削減や吹付け施工の効率向上を図ることができる。
【0045】
また、インペラヘッド5に到る間際のコンクリート配管4への急結剤の注入添加等によりコンクリート6に勢いがついて、コンクリート6がブレード23の回転方向の正面側で広範囲に衝突したとしても、ブレード23に生じる摩耗を超硬合金のメイン打撃部24及びサブ打撃部25により著しく抑制することができるので、このようにブレード23の摩耗を抑制できることによってもインペラヘッド5の摩耗部品の交換頻度を大幅に低減することができ、更なる部品コストの削減や吹付け施工の効率向上を図ることができる。
【0046】
更に、メイン打撃部24及びサブ打撃部25に付した傾斜角により、メイン打撃部24及びサブ打撃部25の夫々に打撃されたコンクリート6の投射方向をノズル9に向かい易くすることができ、該ノズル9から投射されずにケーシング8内を周回するコンクリート6を大幅に低減することができるので、コンクリート6の投射効率を従来より向上することができる。
【0047】
また、特に本形態例の場合には、インペラベース19の外周部外側面にインペラリング18の内周部内側面を締結しているボルト20の頭がボルト頭嵌入孔28に埋没してボルト保護リング29の外側面と面一となるようにしてあるので、前記ボルト20の頭のコンクリートとの激しい接触による摩耗を大幅に低減することができ、このようにインペラリング18を取り付けるためのボルト20の頭の摩耗を抑制できることによってもインペラヘッド5の摩耗部品の交換頻度を大幅に低減することができ、更なる部品コストの削減や吹付け施工の効率向上を図ることができる。
【0048】
尚、本発明のコンクリート吹付機は、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0049】
4 コンクリート配管
5 インペラヘッド
6 コンクリート
7 インペラ
8 ケーシング
9 ノズル
10 インペラ側板
14 台座
14a 貫通孔
18 インペラリング
19 インペラベース
20 ボルト
23 ブレード
24 メイン打撃部
25 サブ打撃部
26 ネジ穴
27 ボルト
28 ボルト頭嵌入孔
29 ボルト保護リング
O 回転軸
θ1 メイン打撃部の傾斜角
θ2 サブ打撃部の傾斜角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高速回転するインペラによりコンクリートを打撃投射するインペラヘッドを備え、該インペラヘッドへコンクリート配管を介してコンクリートを圧送するようにしたコンクリート吹付機において、
回転軸を中心に回転するインペラと、該インペラを覆うケーシングと、該ケーシングにおけるコンクリート配管の接続部と隣接した箇所に前記インペラの回転方向に対する接線方向に向けて形成されたコンクリートを打撃吐出するためのノズルとにより前記インペラヘッドを構成すると共に、
前記回転軸の軸線方向に間隔を隔てた2枚の円盤状のインペラ側板と、該各インペラ側板の間に周方向に等間隔で挟み込まれた複数のブレードとにより前記インペラを構成し、
該インペラ内で前記ブレードを固定するにあたり、該ブレードの回転方向の背面側に正面側まで開通しないネジ穴を穿設すると共に、前記ブレードの回転方向の背面側に配置されて前記インペラ側板側に固定された台座に対し前記ネジ穴と連続する貫通孔を形成し、該貫通孔を通し前記台座の回転方向の背面側から前記ブレードのネジ穴にボルトを締め込んで前記ブレードを前記台座に締結したことを特徴とするコンクリート吹付機。
【請求項2】
ブレードの回転方向の正面側におけるインペラの半径方向外側の領域に、該半径方向に対し10〜15゜の傾斜角で同半径方向内側へ向かうに従い回転方向に張り出す傾斜面を成すようにメイン打撃部を形成すると共に、該メイン打撃部より前記半径方向内側の領域には、該半径方向に対し15〜30゜の傾斜角で同半径方向内側へ向かうに従い回転方向に張り出す傾斜面を成すようにサブ打撃部を形成し、該サブ打撃部及び前記メイン打撃部を超硬合金により構成したことを特徴とする請求項1に記載のコンクリート吹付機。
【請求項3】
インペラ側板を、該インペラ側板の外周部分を成すインペラリングと、回転軸に固定されて前記外周部分を除いた本体部分を成すインペラベースとに分割構成し、該インペラベースの外周部外側面に対し前記インペラリングの内周部内側面を重ね合わせ且つその重ね方向にボルトで着脱自在に締結し、該ボルトの頭を埋没させて自身の外側面と面一を成すようにボルト頭嵌入孔を周方向複数箇所に備えたボルト保護リングを前記インペラリングの内周部外側面に取り付けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のコンクリート吹付機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−21268(P2012−21268A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−157725(P2010−157725)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【特許番号】特許第4859992号(P4859992)
【特許公報発行日】平成24年1月25日(2012.1.25)
【出願人】(592068130)リブコンエンジニアリング株式会社 (11)
【Fターム(参考)】