説明

コンクリート型枠用支持体

【課題】堰板をその組立時に型枠の支持体に支持するにあたり、安定的にその支持機能を発する支持体を提供することにある。
【解決手段】中心軸線Aに沿って延在する本体11、構造体に当接するための基部12、固定素子のための支承部14を有する貫通開口13、および堰板30のための少なくとも1つの支持面16を備える、コンクリート型枠のための支持体において、少なくとも1つの、本体11から突出する支持素子20を備え、該支持素子20は、少なくとも1つの支持面16から遠ざかる方向へと伸長し、かつ、構造体に当接するための少なくとも1つの脚部23を備え、支持面16に直交する方向における支持面16から貫通開口13までの距離Fは、支持面16に直交する方向における脚部23から貫通開口13までの距離Gよりも小さいものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中心軸線に沿って延在する本体、構造体に当接するための基部、固定素子のための支承部を有する貫通開口、および堰板のための少なくとも1つの支持面を備える類のコンクリート型枠のための支持体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の記載するコンクリート型枠のための支持体は、円筒状の外壁を有する本体を備え、この本体は、構造体に当接するための基部を有する。外壁の中間板より上方の部分には開口が設けられ、ここにワイヤによって金網を固定することができる。外壁のその基部とは反対側の端部の端面が金網の受け面として機能する。外壁は、さらに、コンクリート型枠のための支持面も形成する。さらに、中間板の中心にはスリーブを設ける。このスリーブは、固定素子のための貫通開口を備え、支持体の固定軸線を画定するものである。
【0003】
ところで、上述の支持体は、堰板を、その組立時に型枠の支持体に支持する際、支持体がその基部において容易に転傾しやすく、このため支持体の支持機能が害されやすいという点において問題を残している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0971084号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の課題は、堰板をより好適に支持する支持体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1に記載する特徴を備える本発明に係る支持体によって解決される。これによれば、少なくとも1つの、本体から突出する支持素子を備え、該支持素子は、少なくとも1つの支持面から遠ざかる方向へと伸長し、かつ、構造体に当接するための少なくとも1つの脚部を備え、支持面に直交する方向における支持面から貫通開口までの距離は、支持面に直交する方向における脚部から貫通開口までの距離よりも小さいものである。この構成により、支持体が転倒するには大きな抵抗が発生するので、支持体の支持機能は飛躍的に向上する。
【0007】
好適には、支持面と貫通開口とに画定される平面に関して鏡像対称になるように配置された少なくとも2つの支持素子を備える。この構成により、支持体の支持機能がさらに向上する。
【0008】
さらに好適には、支持素子は、平面的な三角形状を有するものとする。この構成により、安定性を喪失することなく省資源化が可能となる。支持素子は、例えば壁体として構成される。
【0009】
また、本体は、横断面形状を円形とした周面を備え、支持素子は該周面から接線方向に突出するものとしても好適である。この構成により、支持体は、堰板のための支持面に直交する一方向において幅広となり、また、支持体の全体としての横断面形状はほぼ三角形となるので、支持体の安定性がさらに向上する。
【0010】
好適には、基部の当接面と、少なくとも1つの脚部の当接面とが同一平面上に位置する。この構成により、支持体は転傾することなく構造体の平面に当接され得る。
【0011】
また、双方の支持素子は、筋交いによって互いに連結されていても好適である。この構成により、支持体の、支持面と貫通開口とに画定される平面Eに直交する方向への安定性が向上する。
【0012】
さらに好適には、鉄心材のためのブラケットを少なくとも1つ備え、該ブラケットは、支持体の周面から側方に突出するものとする。こうすることで、支持体に強化金網を支持して縛りつけることが可能となる。
【0013】
鉄心材のための、少なくとも1つのブラケットを備え、該ブラケットは、支持体の周面から側方に突出するものとすると技術的に簡単な形態となる。
【発明の効果】
【0014】
かくして、本発明によれば、堰板をその組立時に型枠の支持体に支持する際、安定的にその支持機能を発する支持体を提供することができる。
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る支持体の一実施形態における外観斜視図である。
【図2】鉄心材を取付けた状態における図1に示す支持体のII-II平面での断面図である。
【図3】本発明に係る支持体の他の実施形態に鉄心材を取付けた状態における外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1および図2に示すのは、本発明の一実施形態における、例えば型枠支持体などの支持体10である。支持体10は本体を備え、この本体は、構造体(図示せず)に当接するための基部12を有し、好適には横断面を円形とする。さらに、基部12は、少なくとも1つの当接面を有する。本体11は、固定素子(図示せず)のための貫通開口13を備え、この貫通開口13は中心軸線Aを画定するものとする。貫通開口13の周囲には、これを取り囲むように、固定素子のための支承部14が形成されている。この支承部14は、本体11から突出するスリーブ17に取付けられる。
【0018】
さらに、支持体10は、周面15と、堰板30のための少なくとも1つの支持面16とを備え、この支持面16は、少なくとも部分的に周面15により構成されていてもよいものとする。また、支持体10の周面15の側方に突出するブラケット18は、鉄心材(図2参照)のための受け面として機能する。この、ブラケット18、もしくはブラケット18の構成する鉄心材40のための受け面は、ほぼ中心軸線Aに直交して延在しており、その平面Eまでの距離Dは、支持面16から貫通開口13までの距離Fの1.5〜2倍かつ2.5cm以下とする。さらに本体11からは、2つの張り出しとして構成された支持素子20が支持面16から離れる方向に突出する。これらの支持素子20はそれぞれ脚部23を有し、これら脚部の、構造体のための当接面は、本体11の基部12の少なくとも1つの当接面と同一の平面E上に位置するものとする。支持素子20は、三角かつ平面的な形状を有しており、それぞれ開口を備え、鉄心材40のための、例えばワイヤなどの縛結素子41をこれらの開口を通して案内可能である(特に図2を参照)。支持素子20は、支持面16と貫通開口13とに画定される平面Sに関して鏡像対象になるように本体に取付けられる。また、双方の支持素子20は筋交い22によって互いに連結され、補強しあう。同時に、ブラケット18も筋交い22により補強されている。
【0019】
図2に示すように、支持面16に当接された堰板30によって、支持体10には負荷(矢印50)が働き、この負荷50により、支持体10は矢印51方向に転倒したり傾むいたりしそうになる。しかし、貫通開口13もしくは中心軸線Aから、支持素子20の脚部までの、負荷方向50(つまり、支持面16に直交する方向)における距離Gは、貫通開口13(またはその中心軸線)もしくは中心軸線Aから支持面16までの距離Fよりも大きいため、前述のように支持体10が転倒するにはこれら脚部の存在が大きすぎる抵抗となる。このとき、距離Gは、脚部23の半径方向において外側の端部までの距離を指す。
【0020】
図3に示す支持体は、図1および図2に示す支持体と異なり、独立した1つのブラケット18の代わりに、それぞれの支持素子20上に直接構成されたブラケット18a,18bを有する。双方の支持素子20のブラケット18a,18bの下方にはそれぞれ開口21が設けられており、鉄心材40のための、例えばワイヤなどの縛結素子41を、これらの開口21を通して案内可能である。ブラケット18a,18b、もしくは、これらに構成された鉄心材40のための受け面から平面Eまでの距離Dは、支持面16から貫通開口13までの距離Fの1.5〜2倍に相応し(図3参照)、かつ、2.5cm以下である。
本実施形態において言及されない符号については、図1および図2について示される符号と対応するものとする。
【符号の説明】
【0021】
10 支持体
11 本体
12 基部
13 貫通開口
14 支承部
15 周面
16 支持面
17 スリーブ
18 ブラケット
18a ブラケット
18b ブラケット
20 支持素子
21 開口
22 筋交い
23 脚部
30 堰板
40 鉄心材
41 縛結素子
50 負荷
51 傾斜方向
A 中心軸線
D 距離
E 平面
F 距離
G 距離
S 平面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸線(A)に沿って延在する本体(11)と、構造体に当接するための基部(12)と、固定素子のための支承部(14)を有する貫通開口(13)と、堰板(30)のための少なくとも1つの支持面(16)とを備える、コンクリート型枠のための支持体において、
少なくとも1つの、前記本体(11)から突出する支持素子(20)を備え、該支持素子(20)は、前記少なくとも1つの支持面(16)から遠ざかる方向へと伸長し、かつ、構造体に当接するための少なくとも1つの脚部(23)を有し、
前記支持面(16)に直交する方向における前記支持面(16)から前記貫通開口(13)までの距離(F)は、前記支持面(16)に直交する方向における前記脚部(23)から前記貫通開口(13)までの距離(G)よりも小さいことを特徴とする、支持体。
【請求項2】
請求項1記載の支持体において、前記支持面(16)と前記貫通開口(13)とに画定される平面(S)に関して鏡像対称である少なくとも2つの前記支持素子(20)を設けたことを特徴とする支持体。
【請求項3】
請求項1または2記載の支持体において、前記支持素子(20)は、平面的な三角形状であることを特徴とする支持体。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の支持体において、前記本体(11)は、円形の横断面形状を有する周面(15)を備え、前記支持素子(20)は該周面(15)から接線方向に突出することを特徴とする支持体。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の支持体において、基部(12)の当接面と、前記少なくとも1つの脚部(23)の当接面とが、同一平面(E)上にあることを特徴とする支持体。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の支持体において、少なくとも2つの前記支持素子(20)は、筋交い(22)によって互いに連結されていることを特徴とする支持体。
【請求項7】
請求項1記載の支持体において、鉄心材(40)のための、少なくとも1つのブラケット(18;18a,18b)を備え、該ブラケット(18;18a,18b)は、前記支持体(10)の周面(15)から側方に突出することを特徴とする、支持体。
【請求項8】
請求項1記載の支持体において、前記ブラケット(18a,18b)は、前記支持素子(20)に設けられていることを特徴とする、支持体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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