コンクリート杭の埋設方法および装置
【課題】 種々の土壌条件に対応してコンクリート杭の埋設作業を容易に行え、施工費を安価にできる。
【解決手段】 コンクリート杭Kを設置する箇所の地盤Sの上面に、昇降自在に設けたチャック機構17の複数のチャック部材18によりコンクリート杭Kを圧入下降させうる圧入装置Tを設置し、この圧入装置Tにクレーンのワイヤー33に吊設した掘削装置30を支持する支持機構31を設け、前記チャック機構17によるコンクリート杭Kの圧入作業と前記掘削装置30の掘削作業とを選択して行うコンクリート杭の埋設方法。
【解決手段】 コンクリート杭Kを設置する箇所の地盤Sの上面に、昇降自在に設けたチャック機構17の複数のチャック部材18によりコンクリート杭Kを圧入下降させうる圧入装置Tを設置し、この圧入装置Tにクレーンのワイヤー33に吊設した掘削装置30を支持する支持機構31を設け、前記チャック機構17によるコンクリート杭Kの圧入作業と前記掘削装置30の掘削作業とを選択して行うコンクリート杭の埋設方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤にコンクリート杭を埋設するコンクリート杭の埋設方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ケーシングや鋼管杭をチャック機構により掴んで回転させながら圧入させる回転圧入工法は、公知である(特許文献1参照)。
また、従来、マストを有する大型機器を使用したプレボーリング工法による杭の埋設工法は、公知である(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−202370号公報
【特許文献2】特開2009−243186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例のうち前者のものは、上下に均一な土壌が広く分布するところでは普及するが、我が国のような礫岩等の土中障害が存在する場合、回転圧入工法では、杭が目標深度まで圧入できないことがあり、このような場合、一旦、作業を中止して大型機器を搬入してプレボーリング工法によって再作業を行うことになる。
また、回転圧入工法であっても、杭を回転させながら圧入するので、装置が大型化して、狭小な現場での作業を困難にしている。
また、回転圧入工法の場合、コンクリート杭を回転させながら圧入すると、コンクリート杭が破損する虞があり、コンクリート杭の埋設はプレボーリング工法で行われていた。
前記公知例のうち後者のプレボーリング工法は、土中障害が存在する場合でも掘削できるので、前者の公知例の課題は解決しているが、プレボーリング工法では、リーダ併用式の大型のスクリューオーガーやコンクリート杭打ち機を使用するため、施工費が上昇し、また、狭小な施工現場では大型機器の搬入ができないという課題がある。
本願は、コンクリート杭を埋設する圧入装置でありながら、掘削装置による掘削も可能とすることで、圧入作業と掘削作業とを選択して行えるようにし、種々の土壌条件に対応してコンクリート杭の埋設作業を容易に行えるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、コンクリート杭Kを設置する箇所の地盤Sの上面に、昇降自在に設けたチャック機構17の複数のチャック部材18によりコンクリート杭Kを圧入下降させうる圧入装置Tを設置し、この圧入装置Tにクレーンのワイヤー33に吊設した掘削装置30を支持する支持機構31を設け、前記チャック機構17によるコンクリート杭Kの圧入作業と前記掘削装置30の掘削作業とを選択して行うコンクリート杭の埋設方法としたものである。
請求項2の発明は、コンクリート杭Kを設置する箇所の地盤Sの上面に、昇降自在に設けたチャック機構17の複数のチャック部材18によりコンクリート杭Kを圧入下降させうる圧入装置Tを設置し、地盤Sの土中障害で前記圧入装置Tによるコンクリート杭Kの圧入ができないとき、圧入装置Tのコンクリート杭Kを掘削装置30と入れ替え、この掘削装置30を圧入装置Tの支持機構31によりを支持して地盤Sを掘削し、地盤Sの土中障害を除去した後に、圧入装置Tの掘削装置30とコンクリート杭Kとを入れ替えて、圧入装置Tによりコンクリート杭Kを圧入させるコンクリート杭の埋設方法としたものである。
請求項3の発明は、前記掘削装置30は、ケース35内の回転駆動機構36により駆動回転するオーガ37の外周にケーシング41を設けて構成し、この該掘削装置30の上部をクレーンのワイヤー33に吊設し、前記チャック機構17により構成した前記支持機構31で前記ケーシング41の外周を摩擦支持するか、または、前記圧入装置Tに設けた前記支持機構31のガイド溝43に前記掘削装置30のケーシング41の外周のレール部材42を係合支持させて、前記掘削装置30のオーガ37の回転力に対する反力を支持しながら掘削するコンクリート杭の埋設方法としたものである。
請求項4の発明は、前記支持機構31は、前記掘削装置30のケーシング41の外周のレール部材42を、圧入装置Tに設けたガイド溝43に係合させて反力を支持する構成とし、前記ガイド溝43は、圧入装置Tのチャックフレーム15の挿通孔16の上方に着脱自在に設けたガイド部材45の挿通孔46に、あるいは、前記ケーシング41のレール部材42に対応する箇所の前記チャック機構17のチャック部材18に形成したコンクリート杭の埋設方法としたものである。
請求項5の発明は、コンクリート杭Kを設置する箇所の地盤Sの上面に設置するベースフレーム1と、該ベースフレーム1に対して圧入シリンダ10により昇降するチャック機構17を有するチャックフレーム15とを備え、該チャックフレーム15側には、別途用意したワイヤー33により吊設した掘削装置30を支持する支持機構31を設け、該支持機構31は、前記掘削装置30のケーシング41の外周に設けたレール部材42が係合するガイド溝43を設けたガイド部材45または前記ケーシング41のレール部材42に対応する箇所のチャック機構17のチャック部材18に前記ガイド溝43を形成して構成したコンクリート杭の埋設装置としたものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1および請求項2の発明では、コンクリート杭Kを圧入装置Tにより圧入するので、コンクリート杭Kを破損させずに埋設することができ、作業騒音を低下させ、施工費を安価にできる。
また、仮に、土中障害があっても、コンクリート杭Kの代わりに掘削装置30を圧入装置Tに装着して掘削できるので、コンクリート杭Kの埋設作業を中断せずに続行完遂でき、作業工程を短縮でき、この点でも、施工費を安価にできる。
また、掘削装置30を圧入装置Tにより支持して掘削作業できるので、圧入装置Tによりコンクリート杭Kを降下圧入させる前に、土中の障害を予め除去でき、効率的に掘削装置30を組み合わせることができる。
しかも、掘削装置30はマストを有しないクレーンにより吊り下げた状態で作業でき、狭小な現場での施工を可能にでき、無駄な大型機器の搬入および使用を不要とするので、施工費を安価にできる。
更に、圧入装置Tはコンクリート杭Kを回転させずに圧入するので、圧入装置Tに回転機構を設ける必要がなく、この点でも、小型の圧入装置Tで作業でき、狭小な現場での施工を可能にできると共に、施工費を安価にできる。
請求項3の発明では、クレーンにより吊り下げた掘削装置30による作業を実現できる。
請求項4の発明では、掘削装置30の支持を容易に行うことができ、さらに、ガイド溝43のガイド部材45を数種類用意して選択的に使用するか、あるいは、チャック部材18の位置を変更することにより、径の相違する掘削装置30でも使用できる。
請求項5の発明では、コンクリート杭Kを回転させずに圧入できる圧入装置Tを提供でき、圧入装置Tはコンクリート杭Kを破損させずに埋設することができ、作業騒音を低下させ、施工費を安価にでき、また、圧入装置Tは掘削装置30による掘削作業も行えるので、土中障害の有無に関わらず、コンクリート杭Kの埋設作業行うことができ、全体の作業を簡素化でき、施工費を安価にできる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】圧入装置によるコンクリート杭の圧入状態図。
【図2】圧入装置と掘削装置を併用した掘削状態図。
【図3】圧入装置の平面図。
【図4】掘削装置の側面図。
【図5】圧入装置による他の実施例のコンクリート杭の圧入状態図。
【図6】圧入装置と掘削装置を併用した他の実施例の掘削状態図。
【図7】圧入装置の他の実施例の平面図。
【図8】掘削装置の他の実施例の側面図。
【図9】掘削装置の一部省略横断面図。
【図10】支持機構の一例の平面図および側面図。
【図11】圧入装置のチャック機構の閉状態の断面図。
【図12】圧入装置のチャック機構の開状態の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の方法を実施しうる装置の例を図面を参照しながら以下説明する。
1は、コンクリートにより構成したコンクリート杭Kを地盤Sに圧入する圧入装置Tのベースフレームであり、平面視、長四角形状に形成し、四隅に上下シリンダ2を設けている。上下シリンダ2は、ベースフレーム1の前後左右の傾斜を修正して、ベースフレーム1を略水平状態とする。3は上下シリンダ2のロッド4の受部材であり、地盤S上面に接地させる。
【0009】
ベースフレーム1の左右中間位置には、上下に貫通する略四角状の開口部5を形成し、開口部5の左右両側の上面にはウエイト6を載置固定する。ウエイト6は、その重量によりコンクリート杭Kを圧入する際の反力以上となるように設定する。
【0010】
前記開口部5の周囲のベースフレーム1には、圧入シリンダ10を設ける。圧入シリンダ10はベースフレーム1に固定の支柱11にシリンダ12の基部を取付け、圧入シリンダ10のロッド13にチャックフレーム15を取付ける。チャックフレーム15の中央には円形の挿通孔16を設け、挿通孔16内には挿通孔16に挿通させたコンクリート杭Kを締め付け固定(チャック)するチャック機構17を設ける。
【0011】
チャック機構17は、挿通孔16の中心に向けて出入りする複数のチャック部材18を設ける。チャック部材18の出入りさせる出入機構の構成は任意であるが、本実施例では、各チャック部材18をチャック用シリンダ19により出入りさせている。20はチャック用シリンダ19のロッド、21はチャック用シリンダ19の油圧配管部材である。
【0012】
圧入装置Tは、圧入シリンダ10のロッド13を縮小させた状態で、チャックフレーム15の挿通孔16内にコンクリート杭Kを挿入して、チャック機構17により締め付け固定し、圧入シリンダ10のロッド13を伸長させて、チャックフレーム15を下降させてコンクリート杭Kを地盤Sに圧入させる。
チャックフレーム15側には、別途用意した掘削装置30を支持する支持機構31を設ける。
【0013】
そのため、単に、クレーンのワイヤー33に吊設した掘削装置30であっても、圧入装置Tに設けた支持機構31により掘削装置30の反力を支持するので、掘削作業を行える。
【0014】
即ち、圧入装置Tによるコンクリート杭Kの圧入作業中、地盤S内に礫岩等の存在による土中障害が存在したときは、一旦、コンクリート杭Kを引き抜き、圧入装置Tの支持機構31により掘削装置30を支持して、掘削装置30の掘削作業によって土中障害を除去し、その後、再び、圧入装置Tによりコンクリート杭Kを圧入させればよい。
【0015】
掘削装置30は、掘削作業ができればよく、構成は任意であるが、一例を示すと、掘削装置30の上部に設けた上部取付部32を、クレーン(図示省略)のアーム部(図示省略)からは垂れ下がっているワイヤー33のフック34に吊設する。上部取付部32のケース35内には回転駆動機構36を設け、回転駆動機構36にはオーガ37の回転軸38の上部を取付け、オーガ37の下部には掘削ヘッド39を設ける。前記オーガ37の外周にはケーシング41を設け、ケーシング41の上部は前記上部取付部32に固定する。
40は、回転駆動機構36に動力を伝達する油圧ホースである。
【0016】
前記掘削装置30を支持する支持機構31は、チャックフレーム15のチャック機構17により構成し、チャック機構17により掘削装置30のケーシング41の外周を締め付け固定し、この締め付け固定の摩擦力で掘削装置30による掘削作業の際の反力を支持する(図1〜図4、図11,図12参照)。
【0017】
また、前記ケーシング41には、ケーシング41の軸心方向と平行で放射方向に終始同一寸法で外側に突出するレール部材(キー突条)42を設け、該レール部材42はチャックフレーム15側に設けたガイド溝(キー溝)43に係合させ、掘削装置30のオーガ37の回転力に対する反力を支持する構成とし、レール部材42とガイド溝43により支持機構31を構成してもよい(図5〜図10)。
【0018】
実施例では、チャックフレーム15の挿通孔16の上方にガイド溝43を有するガイド部材45を設けている。ガイド部材45には、前記掘削装置30のケーシング41を挿通する円形の挿通孔46を形成し、挿通孔46の内周の前記ケーシング41のレール部材42に対応する箇所に前記ガイド溝43を形成して構成している(図10)。
【0019】
この場合、ガイド部材45は挿通孔46の径およびガイド溝43の幅等を相違させて数種類用意し、選択交換使用する。
【0020】
また、図11と図12は、支持機構31の他の実施例を示し、前記ケーシング41のレール部材42に対応する箇所のチャック機構17のチャック部材18に、前記ガイド溝43を形成して前記支持機構31を構成している。
【0021】
なお、図9と図10では該レール部材42とキー溝43を一対設けているが、図11,図12では前後左右に4個設けている。
【0022】
(実施例の作用)
コンクリート杭Kを埋設する地盤Sの土質を、所謂ボーリングによって調査し、作業の障害となる礫岩等がない地盤Sであれば、この地盤Sのコンクリート杭Kを埋設する所定位置の上方に圧入装置Tを設置し、圧入装置Tのチャックフレーム15の挿通孔16のチャック機構17にコンクリート杭Kを装着し、チャックフレーム15を所定深さにまで圧入シリンダ10によりチャックフレーム15を下降させ、次に、一旦、コンクリート杭Kからチャック機構17を離して、最上方位置までチャックフレーム15を上昇させ、再び、チャック機構17によりコンクリート杭Kを掴んで圧入シリンダ10により圧入し、この作業を反復して、所定深さにまでコンクリート杭Kを圧入する。
【0023】
そのため、作業の障害となる礫岩等がない地盤Sでの作業であれば、圧入装置Tによりコンクリート杭Kを圧入でき、掘削装置30による掘削工程やハンマーによるコンクリート杭Kを打ち込む打込工程等を省略でき、作業工程を著しく簡素にする。
【0024】
また、圧入装置Tによる圧入作業は、ハンマーによる打込工程等を省略するので、作業騒音を著しく軽減する。
【0025】
また、圧入装置Tのコンクリート杭Kの圧入作業は、圧入シリンダ10の伸縮のみによってコンクリート杭Kを圧入させ、コンクリート杭Kを回転させずに圧入するので、コンクリート杭Kに捻り荷重が掛からず、割れ等の破損を防止して、円滑確実にコンクリート杭Kの埋設作業を行える。
【0026】
しかして、所謂ボーリングによって調査で土中障害がないとされた地盤Sでも、場所によっては土中障害が存在することがあり、この土中障害の存在で圧入作業を続行できないときでも、本願では、圧入装置Tによって圧入していたコンクリート杭Kを一旦引き抜き、圧入装置Tに設けた支持機構31によりコンクリート杭Kに代えて掘削装置30を支持し、掘削装置30により掘削して地盤Sの土中障害を除去した後に、再び、圧入装置Tの掘削装置30とコンクリート杭Kとを入れ替えて、圧入装置Tによりコンクリート杭Kを圧入させる。
【0027】
したがって、圧入装置T単独でのコンクリート杭Kの埋設作業を行って、掘削作業を省略して作業工程を著しく簡素にすると共に、仮に、地盤S内の礫岩等による土中障害で圧入装置Tによる圧入作業ができない場合でも、支持機構31により圧入装置Tを利用して掘削装置30でコンクリート杭Kの埋設作業を行えるので、作業を中断せずに連続して遂行でき、作業効率を向上させられる。
【0028】
なお、本願によれば、圧入装置Tの支持機構31の存在によって、圧入装置T単独のコンクリート杭Kの圧入作業と、掘削装置30による掘削作業との何れの作業も選択できるので、圧入作業と掘削作業との作業順序の選択は任意であり、例えば、所謂ボーリングによって地盤Sの土質調査し、作業の障害となる礫岩等がない地盤Sであることを確認した上で、一カ所、予め掘削作業してみて、土中障害がないときは、土中障害が少ないと判定して以後は圧入作業中心にコンクリート杭Kを埋設し、圧入作業中に土中障害が発生したとき、掘削作業に戻すようにしてもよい。
【0029】
しかして、圧入装置Tに設けた支持機構31により掘削装置30を支持して行う掘削作業について説明すると、掘削装置30を支持する支持機構31を、チャックフレーム15のチャック機構17により構成しているので、チャック機構17により掘削装置30のケーシング41の外周を締め付け固定し、この締め付け固定の摩擦力で掘削装置30による掘削作業の際の反力を支持する。
【0030】
そのため、単に、クレーンのワイヤー33に吊設した掘削装置30であっても、圧入装置Tの掘削装置30により支持するので、簡単に掘削作業を行える。
なお、掘削装置30は、コンクリート杭Kの圧入作業と同様な手順により、チャック機構17で固定状態のケーシング41を、チャックフレーム15ごと下降させて、ケーシング41内でオーガ37と掘削ヘッド39を回転させて掘削する。
【0031】
また、圧入装置Tのチャック機構17を利用して支持機構31を構成しているので、掘削装置30を用意すれば簡素な構成の圧入装置Tでコンクリート杭Kの埋設を行える。
【0032】
また、支持機構31を、掘削装置30側のレール部材42と圧入装置T側のガイド溝43により構成した場合では、掘削装置30のケーシング41にレール部材42を設け、このレール部材42を圧入装置Tに設けたガイド溝43に係合させると、レール部材42とガイド溝43により掘削装置30のオーガ37の回転力に対する反力を支持する。
【0033】
そのため、ケーシング41を摩擦力で支持できない作業反力が生じたときでも、レール部材42とガイド溝43との係合力で掘削作業の反力を支持するので、単に、クレーンのワイヤー33に吊設した掘削装置30であっても、圧入装置Tでコンクリート杭Kの埋設を行える。
【0034】
この場合、支持機構31は、チャックフレーム15の挿通孔16の上方にガイド部材45を取付け、ガイド部材45に掘削装置30のケーシング41を挿通する円形の挿通孔46と挿通孔46の内周の前記ケーシング41のレール部材42に対応する箇所に前記ガイド溝43を形成して構成しているので、圧入装置Tのケーシング41をガイド部材45の挿通孔46に上方から挿入して、ワイヤーを弛めて掘削装置30を下降させ、レール部材42を圧入装置Tに設けたガイド溝43に係合させると、レール部材42とガイド溝43により掘削装置30のオーガ37の回転力に対する反力を支持し、地盤Sを掘削する。
【0035】
この場合、ガイド部材45は挿通孔46の径およびガイド溝43の幅等を相違させて数種類用意し、選択交換使用できるので、径および長さの相違するコンクリート杭Kに対応した掘削装置30の使用を可能とし、最適状態で作業を行える。
【0036】
また、図11の支持機構31の他の実施例では、前記ケーシング41のレール部材42に対応する箇所のチャック機構17のチャック部材18に、前記ガイド溝43を形成して前記支持機構31を構成しているので、ケーシング41のレール部材42はチャック部材18のガイド溝43に係合して掘削装置30のオーガ37の回転力に対する反力を支持し、地盤Sを掘削する。
なお、前記した各実施例は、理解を容易にするために、個別または混在させて図示および説明しているが、これらの実施例は夫々種々組合せ可能であり、これらの表現によって、構成・作用等が限定されるものではなく、また、相乗効果を奏する場合も勿論存在する。
【符号の説明】
【0037】
1…ベースフレーム 、2…上下シリンダ 、3…受部材 、4…ロッド 、5…開口部 、6…ウエイト 、10…圧入シリンダ、11…支柱、12…シリンダ、13…ロッド、15…チャックフレーム、16…挿通孔、17…チャック機構、18…チャック部材、19…シリンダ、20…ロッド、21…配管、30…掘削装置、31…支持機構、32…上部取付部、33…ワイヤー、35…ケース、36…回転駆動機構、37…オーガ、38…回転軸、39…掘削ヘッド、41…ケーシング、42…レール部材、43…ガイド溝、45…ガイド部材、46…挿通孔。
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤にコンクリート杭を埋設するコンクリート杭の埋設方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ケーシングや鋼管杭をチャック機構により掴んで回転させながら圧入させる回転圧入工法は、公知である(特許文献1参照)。
また、従来、マストを有する大型機器を使用したプレボーリング工法による杭の埋設工法は、公知である(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−202370号公報
【特許文献2】特開2009−243186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例のうち前者のものは、上下に均一な土壌が広く分布するところでは普及するが、我が国のような礫岩等の土中障害が存在する場合、回転圧入工法では、杭が目標深度まで圧入できないことがあり、このような場合、一旦、作業を中止して大型機器を搬入してプレボーリング工法によって再作業を行うことになる。
また、回転圧入工法であっても、杭を回転させながら圧入するので、装置が大型化して、狭小な現場での作業を困難にしている。
また、回転圧入工法の場合、コンクリート杭を回転させながら圧入すると、コンクリート杭が破損する虞があり、コンクリート杭の埋設はプレボーリング工法で行われていた。
前記公知例のうち後者のプレボーリング工法は、土中障害が存在する場合でも掘削できるので、前者の公知例の課題は解決しているが、プレボーリング工法では、リーダ併用式の大型のスクリューオーガーやコンクリート杭打ち機を使用するため、施工費が上昇し、また、狭小な施工現場では大型機器の搬入ができないという課題がある。
本願は、コンクリート杭を埋設する圧入装置でありながら、掘削装置による掘削も可能とすることで、圧入作業と掘削作業とを選択して行えるようにし、種々の土壌条件に対応してコンクリート杭の埋設作業を容易に行えるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、コンクリート杭Kを設置する箇所の地盤Sの上面に、昇降自在に設けたチャック機構17の複数のチャック部材18によりコンクリート杭Kを圧入下降させうる圧入装置Tを設置し、この圧入装置Tにクレーンのワイヤー33に吊設した掘削装置30を支持する支持機構31を設け、前記チャック機構17によるコンクリート杭Kの圧入作業と前記掘削装置30の掘削作業とを選択して行うコンクリート杭の埋設方法としたものである。
請求項2の発明は、コンクリート杭Kを設置する箇所の地盤Sの上面に、昇降自在に設けたチャック機構17の複数のチャック部材18によりコンクリート杭Kを圧入下降させうる圧入装置Tを設置し、地盤Sの土中障害で前記圧入装置Tによるコンクリート杭Kの圧入ができないとき、圧入装置Tのコンクリート杭Kを掘削装置30と入れ替え、この掘削装置30を圧入装置Tの支持機構31によりを支持して地盤Sを掘削し、地盤Sの土中障害を除去した後に、圧入装置Tの掘削装置30とコンクリート杭Kとを入れ替えて、圧入装置Tによりコンクリート杭Kを圧入させるコンクリート杭の埋設方法としたものである。
請求項3の発明は、前記掘削装置30は、ケース35内の回転駆動機構36により駆動回転するオーガ37の外周にケーシング41を設けて構成し、この該掘削装置30の上部をクレーンのワイヤー33に吊設し、前記チャック機構17により構成した前記支持機構31で前記ケーシング41の外周を摩擦支持するか、または、前記圧入装置Tに設けた前記支持機構31のガイド溝43に前記掘削装置30のケーシング41の外周のレール部材42を係合支持させて、前記掘削装置30のオーガ37の回転力に対する反力を支持しながら掘削するコンクリート杭の埋設方法としたものである。
請求項4の発明は、前記支持機構31は、前記掘削装置30のケーシング41の外周のレール部材42を、圧入装置Tに設けたガイド溝43に係合させて反力を支持する構成とし、前記ガイド溝43は、圧入装置Tのチャックフレーム15の挿通孔16の上方に着脱自在に設けたガイド部材45の挿通孔46に、あるいは、前記ケーシング41のレール部材42に対応する箇所の前記チャック機構17のチャック部材18に形成したコンクリート杭の埋設方法としたものである。
請求項5の発明は、コンクリート杭Kを設置する箇所の地盤Sの上面に設置するベースフレーム1と、該ベースフレーム1に対して圧入シリンダ10により昇降するチャック機構17を有するチャックフレーム15とを備え、該チャックフレーム15側には、別途用意したワイヤー33により吊設した掘削装置30を支持する支持機構31を設け、該支持機構31は、前記掘削装置30のケーシング41の外周に設けたレール部材42が係合するガイド溝43を設けたガイド部材45または前記ケーシング41のレール部材42に対応する箇所のチャック機構17のチャック部材18に前記ガイド溝43を形成して構成したコンクリート杭の埋設装置としたものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1および請求項2の発明では、コンクリート杭Kを圧入装置Tにより圧入するので、コンクリート杭Kを破損させずに埋設することができ、作業騒音を低下させ、施工費を安価にできる。
また、仮に、土中障害があっても、コンクリート杭Kの代わりに掘削装置30を圧入装置Tに装着して掘削できるので、コンクリート杭Kの埋設作業を中断せずに続行完遂でき、作業工程を短縮でき、この点でも、施工費を安価にできる。
また、掘削装置30を圧入装置Tにより支持して掘削作業できるので、圧入装置Tによりコンクリート杭Kを降下圧入させる前に、土中の障害を予め除去でき、効率的に掘削装置30を組み合わせることができる。
しかも、掘削装置30はマストを有しないクレーンにより吊り下げた状態で作業でき、狭小な現場での施工を可能にでき、無駄な大型機器の搬入および使用を不要とするので、施工費を安価にできる。
更に、圧入装置Tはコンクリート杭Kを回転させずに圧入するので、圧入装置Tに回転機構を設ける必要がなく、この点でも、小型の圧入装置Tで作業でき、狭小な現場での施工を可能にできると共に、施工費を安価にできる。
請求項3の発明では、クレーンにより吊り下げた掘削装置30による作業を実現できる。
請求項4の発明では、掘削装置30の支持を容易に行うことができ、さらに、ガイド溝43のガイド部材45を数種類用意して選択的に使用するか、あるいは、チャック部材18の位置を変更することにより、径の相違する掘削装置30でも使用できる。
請求項5の発明では、コンクリート杭Kを回転させずに圧入できる圧入装置Tを提供でき、圧入装置Tはコンクリート杭Kを破損させずに埋設することができ、作業騒音を低下させ、施工費を安価にでき、また、圧入装置Tは掘削装置30による掘削作業も行えるので、土中障害の有無に関わらず、コンクリート杭Kの埋設作業行うことができ、全体の作業を簡素化でき、施工費を安価にできる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】圧入装置によるコンクリート杭の圧入状態図。
【図2】圧入装置と掘削装置を併用した掘削状態図。
【図3】圧入装置の平面図。
【図4】掘削装置の側面図。
【図5】圧入装置による他の実施例のコンクリート杭の圧入状態図。
【図6】圧入装置と掘削装置を併用した他の実施例の掘削状態図。
【図7】圧入装置の他の実施例の平面図。
【図8】掘削装置の他の実施例の側面図。
【図9】掘削装置の一部省略横断面図。
【図10】支持機構の一例の平面図および側面図。
【図11】圧入装置のチャック機構の閉状態の断面図。
【図12】圧入装置のチャック機構の開状態の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の方法を実施しうる装置の例を図面を参照しながら以下説明する。
1は、コンクリートにより構成したコンクリート杭Kを地盤Sに圧入する圧入装置Tのベースフレームであり、平面視、長四角形状に形成し、四隅に上下シリンダ2を設けている。上下シリンダ2は、ベースフレーム1の前後左右の傾斜を修正して、ベースフレーム1を略水平状態とする。3は上下シリンダ2のロッド4の受部材であり、地盤S上面に接地させる。
【0009】
ベースフレーム1の左右中間位置には、上下に貫通する略四角状の開口部5を形成し、開口部5の左右両側の上面にはウエイト6を載置固定する。ウエイト6は、その重量によりコンクリート杭Kを圧入する際の反力以上となるように設定する。
【0010】
前記開口部5の周囲のベースフレーム1には、圧入シリンダ10を設ける。圧入シリンダ10はベースフレーム1に固定の支柱11にシリンダ12の基部を取付け、圧入シリンダ10のロッド13にチャックフレーム15を取付ける。チャックフレーム15の中央には円形の挿通孔16を設け、挿通孔16内には挿通孔16に挿通させたコンクリート杭Kを締め付け固定(チャック)するチャック機構17を設ける。
【0011】
チャック機構17は、挿通孔16の中心に向けて出入りする複数のチャック部材18を設ける。チャック部材18の出入りさせる出入機構の構成は任意であるが、本実施例では、各チャック部材18をチャック用シリンダ19により出入りさせている。20はチャック用シリンダ19のロッド、21はチャック用シリンダ19の油圧配管部材である。
【0012】
圧入装置Tは、圧入シリンダ10のロッド13を縮小させた状態で、チャックフレーム15の挿通孔16内にコンクリート杭Kを挿入して、チャック機構17により締め付け固定し、圧入シリンダ10のロッド13を伸長させて、チャックフレーム15を下降させてコンクリート杭Kを地盤Sに圧入させる。
チャックフレーム15側には、別途用意した掘削装置30を支持する支持機構31を設ける。
【0013】
そのため、単に、クレーンのワイヤー33に吊設した掘削装置30であっても、圧入装置Tに設けた支持機構31により掘削装置30の反力を支持するので、掘削作業を行える。
【0014】
即ち、圧入装置Tによるコンクリート杭Kの圧入作業中、地盤S内に礫岩等の存在による土中障害が存在したときは、一旦、コンクリート杭Kを引き抜き、圧入装置Tの支持機構31により掘削装置30を支持して、掘削装置30の掘削作業によって土中障害を除去し、その後、再び、圧入装置Tによりコンクリート杭Kを圧入させればよい。
【0015】
掘削装置30は、掘削作業ができればよく、構成は任意であるが、一例を示すと、掘削装置30の上部に設けた上部取付部32を、クレーン(図示省略)のアーム部(図示省略)からは垂れ下がっているワイヤー33のフック34に吊設する。上部取付部32のケース35内には回転駆動機構36を設け、回転駆動機構36にはオーガ37の回転軸38の上部を取付け、オーガ37の下部には掘削ヘッド39を設ける。前記オーガ37の外周にはケーシング41を設け、ケーシング41の上部は前記上部取付部32に固定する。
40は、回転駆動機構36に動力を伝達する油圧ホースである。
【0016】
前記掘削装置30を支持する支持機構31は、チャックフレーム15のチャック機構17により構成し、チャック機構17により掘削装置30のケーシング41の外周を締め付け固定し、この締め付け固定の摩擦力で掘削装置30による掘削作業の際の反力を支持する(図1〜図4、図11,図12参照)。
【0017】
また、前記ケーシング41には、ケーシング41の軸心方向と平行で放射方向に終始同一寸法で外側に突出するレール部材(キー突条)42を設け、該レール部材42はチャックフレーム15側に設けたガイド溝(キー溝)43に係合させ、掘削装置30のオーガ37の回転力に対する反力を支持する構成とし、レール部材42とガイド溝43により支持機構31を構成してもよい(図5〜図10)。
【0018】
実施例では、チャックフレーム15の挿通孔16の上方にガイド溝43を有するガイド部材45を設けている。ガイド部材45には、前記掘削装置30のケーシング41を挿通する円形の挿通孔46を形成し、挿通孔46の内周の前記ケーシング41のレール部材42に対応する箇所に前記ガイド溝43を形成して構成している(図10)。
【0019】
この場合、ガイド部材45は挿通孔46の径およびガイド溝43の幅等を相違させて数種類用意し、選択交換使用する。
【0020】
また、図11と図12は、支持機構31の他の実施例を示し、前記ケーシング41のレール部材42に対応する箇所のチャック機構17のチャック部材18に、前記ガイド溝43を形成して前記支持機構31を構成している。
【0021】
なお、図9と図10では該レール部材42とキー溝43を一対設けているが、図11,図12では前後左右に4個設けている。
【0022】
(実施例の作用)
コンクリート杭Kを埋設する地盤Sの土質を、所謂ボーリングによって調査し、作業の障害となる礫岩等がない地盤Sであれば、この地盤Sのコンクリート杭Kを埋設する所定位置の上方に圧入装置Tを設置し、圧入装置Tのチャックフレーム15の挿通孔16のチャック機構17にコンクリート杭Kを装着し、チャックフレーム15を所定深さにまで圧入シリンダ10によりチャックフレーム15を下降させ、次に、一旦、コンクリート杭Kからチャック機構17を離して、最上方位置までチャックフレーム15を上昇させ、再び、チャック機構17によりコンクリート杭Kを掴んで圧入シリンダ10により圧入し、この作業を反復して、所定深さにまでコンクリート杭Kを圧入する。
【0023】
そのため、作業の障害となる礫岩等がない地盤Sでの作業であれば、圧入装置Tによりコンクリート杭Kを圧入でき、掘削装置30による掘削工程やハンマーによるコンクリート杭Kを打ち込む打込工程等を省略でき、作業工程を著しく簡素にする。
【0024】
また、圧入装置Tによる圧入作業は、ハンマーによる打込工程等を省略するので、作業騒音を著しく軽減する。
【0025】
また、圧入装置Tのコンクリート杭Kの圧入作業は、圧入シリンダ10の伸縮のみによってコンクリート杭Kを圧入させ、コンクリート杭Kを回転させずに圧入するので、コンクリート杭Kに捻り荷重が掛からず、割れ等の破損を防止して、円滑確実にコンクリート杭Kの埋設作業を行える。
【0026】
しかして、所謂ボーリングによって調査で土中障害がないとされた地盤Sでも、場所によっては土中障害が存在することがあり、この土中障害の存在で圧入作業を続行できないときでも、本願では、圧入装置Tによって圧入していたコンクリート杭Kを一旦引き抜き、圧入装置Tに設けた支持機構31によりコンクリート杭Kに代えて掘削装置30を支持し、掘削装置30により掘削して地盤Sの土中障害を除去した後に、再び、圧入装置Tの掘削装置30とコンクリート杭Kとを入れ替えて、圧入装置Tによりコンクリート杭Kを圧入させる。
【0027】
したがって、圧入装置T単独でのコンクリート杭Kの埋設作業を行って、掘削作業を省略して作業工程を著しく簡素にすると共に、仮に、地盤S内の礫岩等による土中障害で圧入装置Tによる圧入作業ができない場合でも、支持機構31により圧入装置Tを利用して掘削装置30でコンクリート杭Kの埋設作業を行えるので、作業を中断せずに連続して遂行でき、作業効率を向上させられる。
【0028】
なお、本願によれば、圧入装置Tの支持機構31の存在によって、圧入装置T単独のコンクリート杭Kの圧入作業と、掘削装置30による掘削作業との何れの作業も選択できるので、圧入作業と掘削作業との作業順序の選択は任意であり、例えば、所謂ボーリングによって地盤Sの土質調査し、作業の障害となる礫岩等がない地盤Sであることを確認した上で、一カ所、予め掘削作業してみて、土中障害がないときは、土中障害が少ないと判定して以後は圧入作業中心にコンクリート杭Kを埋設し、圧入作業中に土中障害が発生したとき、掘削作業に戻すようにしてもよい。
【0029】
しかして、圧入装置Tに設けた支持機構31により掘削装置30を支持して行う掘削作業について説明すると、掘削装置30を支持する支持機構31を、チャックフレーム15のチャック機構17により構成しているので、チャック機構17により掘削装置30のケーシング41の外周を締め付け固定し、この締め付け固定の摩擦力で掘削装置30による掘削作業の際の反力を支持する。
【0030】
そのため、単に、クレーンのワイヤー33に吊設した掘削装置30であっても、圧入装置Tの掘削装置30により支持するので、簡単に掘削作業を行える。
なお、掘削装置30は、コンクリート杭Kの圧入作業と同様な手順により、チャック機構17で固定状態のケーシング41を、チャックフレーム15ごと下降させて、ケーシング41内でオーガ37と掘削ヘッド39を回転させて掘削する。
【0031】
また、圧入装置Tのチャック機構17を利用して支持機構31を構成しているので、掘削装置30を用意すれば簡素な構成の圧入装置Tでコンクリート杭Kの埋設を行える。
【0032】
また、支持機構31を、掘削装置30側のレール部材42と圧入装置T側のガイド溝43により構成した場合では、掘削装置30のケーシング41にレール部材42を設け、このレール部材42を圧入装置Tに設けたガイド溝43に係合させると、レール部材42とガイド溝43により掘削装置30のオーガ37の回転力に対する反力を支持する。
【0033】
そのため、ケーシング41を摩擦力で支持できない作業反力が生じたときでも、レール部材42とガイド溝43との係合力で掘削作業の反力を支持するので、単に、クレーンのワイヤー33に吊設した掘削装置30であっても、圧入装置Tでコンクリート杭Kの埋設を行える。
【0034】
この場合、支持機構31は、チャックフレーム15の挿通孔16の上方にガイド部材45を取付け、ガイド部材45に掘削装置30のケーシング41を挿通する円形の挿通孔46と挿通孔46の内周の前記ケーシング41のレール部材42に対応する箇所に前記ガイド溝43を形成して構成しているので、圧入装置Tのケーシング41をガイド部材45の挿通孔46に上方から挿入して、ワイヤーを弛めて掘削装置30を下降させ、レール部材42を圧入装置Tに設けたガイド溝43に係合させると、レール部材42とガイド溝43により掘削装置30のオーガ37の回転力に対する反力を支持し、地盤Sを掘削する。
【0035】
この場合、ガイド部材45は挿通孔46の径およびガイド溝43の幅等を相違させて数種類用意し、選択交換使用できるので、径および長さの相違するコンクリート杭Kに対応した掘削装置30の使用を可能とし、最適状態で作業を行える。
【0036】
また、図11の支持機構31の他の実施例では、前記ケーシング41のレール部材42に対応する箇所のチャック機構17のチャック部材18に、前記ガイド溝43を形成して前記支持機構31を構成しているので、ケーシング41のレール部材42はチャック部材18のガイド溝43に係合して掘削装置30のオーガ37の回転力に対する反力を支持し、地盤Sを掘削する。
なお、前記した各実施例は、理解を容易にするために、個別または混在させて図示および説明しているが、これらの実施例は夫々種々組合せ可能であり、これらの表現によって、構成・作用等が限定されるものではなく、また、相乗効果を奏する場合も勿論存在する。
【符号の説明】
【0037】
1…ベースフレーム 、2…上下シリンダ 、3…受部材 、4…ロッド 、5…開口部 、6…ウエイト 、10…圧入シリンダ、11…支柱、12…シリンダ、13…ロッド、15…チャックフレーム、16…挿通孔、17…チャック機構、18…チャック部材、19…シリンダ、20…ロッド、21…配管、30…掘削装置、31…支持機構、32…上部取付部、33…ワイヤー、35…ケース、36…回転駆動機構、37…オーガ、38…回転軸、39…掘削ヘッド、41…ケーシング、42…レール部材、43…ガイド溝、45…ガイド部材、46…挿通孔。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート杭Kを設置する箇所の地盤Sの上面に、昇降自在に設けたチャック機構17の複数のチャック部材18によりコンクリート杭Kを圧入下降させうる圧入装置Tを設置し、この圧入装置Tにクレーンのワイヤー33に吊設した掘削装置30を支持する支持機構31を設け、前記チャック機構17によるコンクリート杭Kの圧入作業と前記掘削装置30の掘削作業とを選択して行うコンクリート杭の埋設方法。
【請求項2】
コンクリート杭Kを設置する箇所の地盤Sの上面に、昇降自在に設けたチャック機構17の複数のチャック部材18によりコンクリート杭Kを圧入下降させうる圧入装置Tを設置し、地盤Sの土中障害で前記圧入装置Tによるコンクリート杭Kの圧入ができないとき、圧入装置Tのコンクリート杭Kを掘削装置30と入れ替え、この掘削装置30を圧入装置Tの支持機構31によりを支持して地盤Sを掘削し、地盤Sの土中障害を除去した後に、圧入装置Tの掘削装置30とコンクリート杭Kとを入れ替えて、圧入装置Tによりコンクリート杭Kを圧入させるコンクリート杭の埋設方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記掘削装置30は、ケース35内の回転駆動機構36により駆動回転するオーガ37の外周にケーシング41を設けて構成し、この該掘削装置30の上部をクレーンのワイヤー33に吊設し、前記チャック機構17により構成した前記支持機構31で前記ケーシング41の外周を摩擦支持するか、または、前記圧入装置Tに設けた前記支持機構31のガイド溝43に前記掘削装置30のケーシング41の外周のレール部材42を係合支持させて、前記掘削装置30のオーガ37の回転力に対する反力を支持しながら掘削するコンクリート杭の埋設方法。
【請求項4】
請求項3において、前記支持機構31は、前記掘削装置30のケーシング41の外周のレール部材42を、圧入装置Tに設けたガイド溝43に係合させて反力を支持する構成とし、前記ガイド溝43は、圧入装置Tのチャックフレーム15の挿通孔16の上方に着脱自在に設けたガイド部材45の挿通孔46に、あるいは、前記ケーシング41のレール部材42に対応する箇所の前記チャック機構17のチャック部材18に形成したコンクリート杭の埋設方法。
【請求項5】
コンクリート杭Kを設置する箇所の地盤Sの上面に設置するベースフレーム1と、該ベースフレーム1に対して圧入シリンダ10により昇降するチャック機構17を有するチャックフレーム15とを備え、該チャックフレーム15側には、別途用意したワイヤー33により吊設した掘削装置30を支持する支持機構31を設け、該支持機構31は、前記掘削装置30のケーシング41の外周に設けたレール部材42が係合するガイド溝43を設けたガイド部材45または前記ケーシング41のレール部材42に対応する箇所のチャック機構17のチャック部材18に前記ガイド溝43を形成して構成したコンクリート杭の埋設装置。
【請求項1】
コンクリート杭Kを設置する箇所の地盤Sの上面に、昇降自在に設けたチャック機構17の複数のチャック部材18によりコンクリート杭Kを圧入下降させうる圧入装置Tを設置し、この圧入装置Tにクレーンのワイヤー33に吊設した掘削装置30を支持する支持機構31を設け、前記チャック機構17によるコンクリート杭Kの圧入作業と前記掘削装置30の掘削作業とを選択して行うコンクリート杭の埋設方法。
【請求項2】
コンクリート杭Kを設置する箇所の地盤Sの上面に、昇降自在に設けたチャック機構17の複数のチャック部材18によりコンクリート杭Kを圧入下降させうる圧入装置Tを設置し、地盤Sの土中障害で前記圧入装置Tによるコンクリート杭Kの圧入ができないとき、圧入装置Tのコンクリート杭Kを掘削装置30と入れ替え、この掘削装置30を圧入装置Tの支持機構31によりを支持して地盤Sを掘削し、地盤Sの土中障害を除去した後に、圧入装置Tの掘削装置30とコンクリート杭Kとを入れ替えて、圧入装置Tによりコンクリート杭Kを圧入させるコンクリート杭の埋設方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記掘削装置30は、ケース35内の回転駆動機構36により駆動回転するオーガ37の外周にケーシング41を設けて構成し、この該掘削装置30の上部をクレーンのワイヤー33に吊設し、前記チャック機構17により構成した前記支持機構31で前記ケーシング41の外周を摩擦支持するか、または、前記圧入装置Tに設けた前記支持機構31のガイド溝43に前記掘削装置30のケーシング41の外周のレール部材42を係合支持させて、前記掘削装置30のオーガ37の回転力に対する反力を支持しながら掘削するコンクリート杭の埋設方法。
【請求項4】
請求項3において、前記支持機構31は、前記掘削装置30のケーシング41の外周のレール部材42を、圧入装置Tに設けたガイド溝43に係合させて反力を支持する構成とし、前記ガイド溝43は、圧入装置Tのチャックフレーム15の挿通孔16の上方に着脱自在に設けたガイド部材45の挿通孔46に、あるいは、前記ケーシング41のレール部材42に対応する箇所の前記チャック機構17のチャック部材18に形成したコンクリート杭の埋設方法。
【請求項5】
コンクリート杭Kを設置する箇所の地盤Sの上面に設置するベースフレーム1と、該ベースフレーム1に対して圧入シリンダ10により昇降するチャック機構17を有するチャックフレーム15とを備え、該チャックフレーム15側には、別途用意したワイヤー33により吊設した掘削装置30を支持する支持機構31を設け、該支持機構31は、前記掘削装置30のケーシング41の外周に設けたレール部材42が係合するガイド溝43を設けたガイド部材45または前記ケーシング41のレール部材42に対応する箇所のチャック機構17のチャック部材18に前記ガイド溝43を形成して構成したコンクリート杭の埋設装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−219574(P2012−219574A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89065(P2011−89065)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(000177416)三和機材株式会社 (144)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(000177416)三和機材株式会社 (144)
【Fターム(参考)】
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