説明

コンクリート舗装工法

【課題】施工能力、安全性が確保できコンクリート舗装の品質を均一にすることができる。
【解決手段】スリップフォームペーバ24を使用するコンクリート舗装工法であって、路盤上にスペーサを介して鉄網を設置する鉄網設置工程と、鉄網12が設置された路盤上にコンクリート13を供給するコンクリート供給工程と、路盤上に供給されたコンクリート13をスリップフォームペーバ24で敷き均して、締め固め、表面を整えてコンクリート版を形成するコンクリート版形成工程と、形成されたコンクリート版を養生する養生工程と、を有し、コンクリート供給工程は鉄網設置工程の完了後に行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スリップフォームペーバを使用するコンクリートの舗装工法に関し、特に鉄網を設置した後にコンクリートを1層で敷き均して形成するコンクリート舗装工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スリップフォームペーバを使用するコンクリート舗装工法が行われている。スリップフォームペーバは、ダンプトラックなどの材料搬送車両から路盤上に供給されたコンクリートなどの材料を広げて所定の高さに敷き均し、締め固めて、舗装表面を整える機能を備えている。1台でコンクリートを敷き均して締め固め、表面を整えることができるので、効率的にコンクリート舗装を行うことができる。
スリップフォームペーバを使用するコンクリート舗装工法では、通常、コンクリートを上層と下層の2回に分けて打設している。スリップフォームペーバを使用するコンクリート舗装工法は、まず、材料搬送車両から下層分のコンクリートを路盤上に供給し、サイドフィーダなどで敷き均す。そして、下層コンクリートの上に鉄網および縁部補強鉄筋を設置して、直ちに上層分のコンクリートを供給してスリップフォームペーバで敷き均し、下層および上層コンクリートの締め固め、形成をまとめて行う。上層コンクリートの供給は、例えば舗装範囲の路盤の側方を走行するダンプトラックに収容されたコンクリートをバックホウなどで路盤の所定の位置に供給して行う。
【0003】
また、特許文献1では、主に施工幅員の両側または片側に余裕がないトンネルなどで、施工範囲の側方を材料運搬車両が走行できない場合などに採用されるメッシュ敷設式連続舗装工法が提案されている。
このメッシュ敷設式連続舗装工法では、鉄網の敷設と材料の供給および形成を連続的に行っており、舗装を行う路盤上を走行するコンクリートを収容した材料搬送車両から、材料搬送車両の後方を走行するコンクリートスタッカにコンクリートを供給する。そして、コンクリートをコンクリートスタッカのコンベアによって後方へ移送し、コンクリートスタッカの後方を走行するスリップフォームペーバの前の路盤に供給する。
コンクリートスタッカのコンベアは走行方向に長く、下方の路盤との間には空間ができる構造である。そして、このコンクリートスタッカの進路を妨げない路盤上に、事前に複数枚のメッシュ(鉄網)を重ねて仮置きしておき、コンベアでコンクリートを移送している間に、仮置きされたメッシュを一枚ずつ順次持ち上げて、コンベアの下方の路盤上に移動し並べている。
そして、路盤上のメッシュの上にコンクリートスタッカのコンベアからコンクリートを供給し、コンクリートをスリップフォームペーバで敷き均している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−257012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のスリップフォームペーバを用いた舗装工法では以下のような問題があった。
コンクリートを2回に分けて打設し、スリップフォームペーバを使用するコンクリート舗装工法では、材料搬送車両や機械類の輻輳が多く、安全管理や、材料搬送車両や機械類の管理が煩雑になるという問題があった。
また、材料搬送車両や機械類の編成が大規模になるので、例えば、空港内での施工では、航空管制に与える影響が大きく施工範囲や施工時間などの規制が多くなることがあった。そこで、施工範囲を分割して施工することも考えられるが、材料搬送車両や機械類の移動が多く、時間がかかり効率が悪い。また、クレーンを必要とする作業は、高さ制限がある空港内などでの施工には不向きであった。
また、施工されたコンクリート版は2回に分けてコンクリートが打設されているので、上層コンクリートと下層コンクリートとの施工に時間差があり、コンクリートの品質が均一にならないという恐れがあった。
【0006】
また、特許文献1によるメッシュ敷設式連続舗装工法では、路盤上へのコンクリートの供給と鉄網の敷設を連続して行うので、鉄網を設置する時間が限られており、鉄網を規定の位置や高さに設置することが容易でなく、鉄網が規定の位置や高さからずれてしまう恐れがあった。スリップフォームペーバを用いたコンクリート舗装工法では、鉄網の配置精度および効率によりコンクリート舗装の施工効率が左右されるので、スリップフォームペーバの能力を最大限に生かせないことがあった。
また、鉄網を敷設する作業者にコンクリートスタッカが接触する恐れもあり危険であった。
【0007】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、コンクリート版のコンクリートを1層で施工することができて、搬送車両や機械類の輻輳を少なくできると共に、鉄網の配置精度および施工効率を上げることができるコンクリート舗装工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係るコンクリート舗装工法は、スリップフォームペーバを使用するコンクリート舗装工法であって、路盤上にスペーサを介して鉄網を設置する鉄網設置工程と、鉄網が設置された路盤上にコンクリートを供給するコンクリート供給工程と、路盤上に供給されたコンクリートをスリップフォームペーバで敷き均して締め固め、表面を整えてコンクリート版を形成するコンクリート版形成工程と、形成されたコンクリート版を養生する養生工程と、を有し、コンクリート供給工程は鉄網設置工程の完了後に行うことを特徴とする。
本発明では、コンクリート供給工程を鉄網設置工程の完了後に行うことにより、コンクリート版を1層のコンクリートで形成することができる。そして、従来のコンクリート版を2層のコンクリートで形成するスリップフォームペーバを使用するコンクリート舗装工法に比べると搬送車両や機械類の輻輳を少なくすることができる。
【0009】
また、本発明に係るコンクリート舗装工法は、鉄網設置工程では、路盤上にポリエチレンシートを敷設した後に鉄網を設置することを特徴とする。
本発明では、路盤上にポリエチレンシートを敷設することによって、従来の路盤紙と同様に路盤とコンクリートとを分離し、コンクリート中のセメントペーストが路盤に浸み込むことを防いでいる。コンクリート中のセメントペーストが路盤に浸み込むと、コンクリート中の水分が減るためにコンクリート硬化時の乾燥収縮が促進されて、クラックが発生しやすくなる。また、コンクリートの硬化後に温度変化によりコンクリート版が膨張収縮する場合には、ポリエチレンシートと比べて摩擦係数の大きい従来の路盤紙を用いると、硬化したコンクリート版の膨張収縮を妨げてクラックの原因となることがある。
そして、ポリエチレンシートは従来の路盤紙と比べて強度および耐水性が高いので、コンクリート供給工程の前に鉄網を設置しても、ポリエチレンシートがスペーサや鉄網によって破れることがなく、また、雨にぬれて破れることがなく、路盤とコンクリートとを分離することができる。なお、本発明における路盤には、アスファルト中間層を含んでいる。
【0010】
また、本発明に係るコンクリート舗装工法は、養生工程では、形成されたコンクリート版の上に養生マットを配設し、養生マットの上に養生ネットを配設することを特徴とする。
本発明では、コンクリート版の上に養生マットを配設し、養生マットに散水することによって、養生時のコンクリート版の保水を行っている。そして、養生マットの上に養生ネットを配設することにより、風で養生マットが飛ばされることを防止できて、良好な状態でコンクリート版を養生することができる。
【0011】
また、本発明に係るコンクリート舗装工法では、鉄網設置工程では、スペーサを1m あたり1〜2個設置することが好ましい。
本発明では、スペーサを1m あたり1〜2個とすることにより、鉄網がたわまずに鉄網の変形を防ぐことができ、路盤と鉄網との距離を保持することができる。また、スペーサを1m あたり1〜2個とすることで、スペーサおよび鉄網設置の効率がよい。
【0012】
また、本発明に係るコンクリート舗装工法は、コンクリート供給工程では、コンクリートを路盤上へ供給する速度は50〜70m /hとすることが好ましい。
本発明では、コンクリートを路盤上へ供給する速度を50〜70m/hとすることにより、供給されたコンクリートの流動による鉄網の変形や移動を防ぐことができる。また、コンクリートを路盤上へ供給する速度を50〜70m /hとすることで、コンクリート供給の効率がよい。
【0013】
また、本発明に係るコンクリート舗装工法は、コンクリート供給工程では、コンクリートをコンクリートスタッカのベルトコンベアから路盤上に供給しており、ベルトコンベアの先端部を鉄網よりも30〜50cm上方に位置させることが好ましい。
本発明では、ベルトコンベアの先端部を鉄網よりも30〜50cm上方に位置させることにより、ベルトコンベア先端部から落下するコンクリートの鉄網に対する衝撃を抑えられて鉄網の変形や移動を防ぐことができる。また、駆動するベルトコンベアの先端部が鉄網に接触しないので、鉄網の変形や移動を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、コンクリート供給工程を鉄網設置工程の完了後に行うので、コンクリート版を1層のコンクリートで施工することができ、材料搬送車両や機械類の輻輳を少なくできると共に、鉄網の配置精度および施工効率を上げることができて、施工が安全で効率よく、コンクリート舗装の品質を均一にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態によるコンクリート舗装の概要を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態によるコンクリート舗装工法の鉄網設置工程を説明する図である。
【図3】本発明の実施の形態によるコンクリート舗装工法において使用する車両および機械を説明する側面図である。
【図4】本発明の実施の形態によるコンクリート舗装工法において使用する車両および機械を説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態によるコンクリート舗装について、図1乃至図4に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施の形態によるコンクリート舗装1は、路床2の上に形成された、例えば砕石路盤やアスファルト中間層などの路盤3上にポリエチレンシート4が敷設されて、ポリエチレンシート4の上にコンクリート版5が形成された構成である。本実施の形態によるコンクリート舗装1は、例えば、空港の駐機場、滑走路および誘導路、港湾や工場などの機械ヤード、一般の道路やトンネル内の道路などに適用される。
【0017】
ポリエチレンシート4は、路盤3とコンクリート版5とを分離し、コンクリート13中のセメントペーストが路盤3に浸み込むことを防ぐ路盤紙の役割を果たすものである。コンクリート13中のセメントペーストが路盤3に浸み込むと、コンクリート13中の水分が減るためにコンクリート13の硬化時の乾燥収縮が促進されて、クラックが発生しやすくなる。また、コンクリート13の硬化後に温度変化によりコンクリート版5が膨張収縮する場合には、ポリエチレンシート4と比べて摩擦係数の大きい従来の路盤紙を用いると、硬化したコンクリート版5の膨張収縮を妨げて、コンクリート版5にひび割れが生じることがある。
ポリエチレンシート4は、後述するコンクリート版5のスペーサ11や鉄網12、目地金物14との接触により破れない強度と、雨などによって破れない耐水性とを有するものとし、その厚さは0.1mm程とするのが好ましい。なお、ポリエチレンシート4に代わって、所定の強度と防水性を有する防水シートなどを使用してもよい。
【0018】
コンクリート版5は、ポリエチレンシート4の上にスペーサ11を介して鉄網12を設置し、コンクリート13を所定の厚さに1層で敷き均して形成したものである。また、コンクリート版5内には、所定の間隔で目地金物14が設置されていて、目地金物14にはタイバーやダウエルバーを使用する。目地金物14上方のコンクリート版5の表面には、目地溝が切削されて目地材が充填されたコンクリート目地15が形成されている。
【0019】
次に上述した本実施の形態によるコンクリート舗装工法について図面を用いて説明する。
まず、路盤3に鉄網12を設置する。図2に示すように、コンクリート舗装を行う路盤3面を清掃し、外周部に所定の高さの鋼製のコンクリート型枠21を設置して鉄ピンなどで固定する。そして、路盤3上にポリエチレンシート4を敷設し、後のコンクリート供給工程で供給されるコンクリート13がポリエチレンシート4の継目から路盤3に流出しないように、継目をテープなどで適宜貼りあわせる。
【0020】
次に、ポリエチレンシート4の上にスペーサ11を配設し、その上に鉄網12を設置してスペーサ11と鉄網12とを結束する。スペーサ11は1m あたり1.5個の間隔でバランスよく設置する。また、スペーサ11と鉄網12と共に目地金物14も設置する。
【0021】
次に、路盤3にコンクリート13を供給する。図3に示すように、路盤3へのコンクリート13の供給は、コンクリート13を搬送するダンプトラック22と、ダンプトラック22からコンクリート13が供給されて、供給されたコンクリート13を路盤3へ移送するコンクリートスタッカ23を使用して行う。
ダンプトラック22は、コンクリート舗装を行う路盤3の側方を図中の矢印Aの方向に走行し、ダンプトラック22の後方をコンクリートスタッカ23が走行する。なお、本実施の形態では、ダンプトラック22およびコンクリートスタッカ23の走行方向を「前方」とし、反対側を「後方」として以下説明する。
【0022】
また、図3および図4に示すように、コンクリートスタッカ23の後方でコンクリート舗装を行う路盤3上には、後述するコンクリート13を敷き均してコンクリート版5を形成するスリップフォームペーバ24が走行し、スリップフォームペーバ24の後方には、コンクリート版5に養生剤を散布するキュアリングマシン25が走行する。スリップフォームペーバ24およびキュアリングマシン25は両端に車輪やクローラなどの走行機構を備えて、この走行機構はコンクリート型枠21の外側に位置し、コンクリート舗装を行う路盤3を跨いだ状態で走行する。
また、スリップフォームペーバ24とキュアリングマシン25との間と、キュアリングマシン25の後方には、移動可能な作業台車26が設けられていて、路盤3上の清掃などの作業を適宜行うことができる。
【0023】
コンクリートスタッカ23は、第一および第二のコンベア23a、23bを備えており、第一のコンベア23aがダンプトラック22から供給されたコンクリート13を第二のコンベア23bに移送し、第二のコンベア23bがコンクリート13をスリップフォームペーバ24前方の路盤3に移送する構成である。
第二のコンベア23bは、第一のコンベア23a側の端部23cを中心に上下左右に揺動可能な構造である。そして、第二のコンベア23bを左右に揺動させることによって、コンクリートスタッカ23は、コンクリート舗装を行う路盤3の側方を走行しながら、路盤3の所定の位置に第二のコンベア23bの先端部23dから過不足なく均等にコンクリート13を供給することができる。
【0024】
上述した構成のコンクリートスタッカ23によって、スリップフォームペーバ24前方の鉄網12が設置された路盤3上にコンクリート13を供給する。
このとき、コンクリートスタッカ23からコンクリート13を路盤3上へ供給する速度は50〜70m /hとする。
コンクリート13を供給する速度が70m /hよりも速いと、供給されるコンクリート13の流動によって鉄網12が変形したり移動したりして、コンクリート版5の品質が均一でなくなる恐れがある。また、コンクリート13を供給する速度が50m /hよりも遅いと、コンクリート13の供給に時間がかかり施工効率が悪くなる。
【0025】
また、第二のコンベア23bの先端部23dは鉄網12よりも30〜50cm上方に位置させる。第二のコンベア23bの先端部23dと鉄網12との間隔が30cmよりも小さいと、先端部23dが鉄網12に接触して鉄網12が変形したり移動したりすることがある。また、第二のコンベア23bの先端部23dと鉄網12との間隔が50cmよりも大きいと、落下するコンクリート13の衝撃によって鉄網12が変形したり移動したりすることがある。いずれの場合もコンクリート版5の品質が均一でなくなる恐れがある。
【0026】
次に、コンクリート13の敷き均し、締め固め、形成を行う。コンクリート13の敷き均し、締め固め、形成は、図3および4に示すように、スリップフォームペーバ24を用いて行う。
スリップフォームペーバ24は、路盤3上に供給されたコンクリート13を機械の走行方向に対して左右に敷き広げるスクリュースプレッダ装置と、コンクリート13を所定の高さに敷き均すスクリード装置と、コンクリート13を締め固める振動装置と、舗装表面を平坦に整える仕上げ装置と、を備えている。スリップフォームペーバ24は、1台でコンクリートの敷き均しから締め固め及び平坦仕上げまで施工可能なので効率よくコンクリート舗装を行うことができる。
振動装置の高周波バイブレータの振動数は、8000〜12000Hz程度とする。
【0027】
このようなスリップフォームペーバ24によって、コンクリートスタッカ23からスリップフォームペーバ24の前方の路盤3に移送されたコンクリート13を、1層に敷き広げて所定の高さに均し、締め固めて表面を平坦に整えて図1に示すコンクリート版5を形成する。
【0028】
次に、コンクリート13の養生を行う。まず、形成されたコンクリート版5の表面に、図4に示すキュアリングマシン25で養生剤を散布する。キュアリングマシン25は、コンクリート版5の表面をほうき目仕上げなどの粗面仕上げにする粗面仕上げ装置と、粗面仕上げとした表面に養生剤を散布する養生剤散布装置とを備えている。養生剤を散布することにより、養生時のクラックの発生を防止している。
このようなキュアリングマシン25でコンクリート版5の表面を粗面仕上げとして養生剤を散布した後に、コンクリート版5の保水を行う。
【0029】
まず、養生剤が散布されたコンクリート版5の表面を不織布などからなる養生マット27で覆い、その上から散水車28などで散水する。そして、例えばポリエステル素材やポリプロピレン素材などからなる養生ネット29で養生マット27を覆い、養生ネット29が外れないように固定する。
養生ネット29を設置することにより、風で養生マット27が飛び、養生時のコンクリート版5の保水が損なわれることを防止できる。なお、養生ネット29を設置した後に散水を行ってもよい。
そして、コンクリート版5の所定の期間の養生後、脱型およびコンクリート目地15の形成を行いコンクリート舗装1が完成する。
【0030】
上述したコンクリート舗装工法では、鉄網12の設置が完了した後に路盤3にコンクリート13を供給するので、コンクリート版5を1層のコンクリート13で形成することができる。そして、コンクリート版5を2層のコンクリート13で施工する従来のスリップフォームペーバを使用したコンクリート舗装工法に比べて、材料搬送車両や機械類を少なくできて、材料搬送車両や機械類の管理や移送が容易で、車両や機器類の輻輳を少なくすることができる。
【0031】
また、ポリエチレンシート4は従来の路盤紙と比べて高い強度を有しているので、コンクリートを供給する前に鉄網12を設置してもスペーサ11や鉄網12、目地金物14の接触によって破れることがない。
また、鉄網設置工程において、スペーサ11は1m あたり1.5個の間隔で設置しているので、鉄網12がたわんで変形することがなく、スペーサ11の施工効率もよい。
そして、コンクリート供給工程において、コンクリートスタッカ23を使用して、第二のコンベア23bを揺動させながらコンクリート13を路盤3に供給しているので、路盤3に均一にコンクリート13を供給でき、鉄網が変形したり移動したりすることを防ぐことができる。
【0032】
このとき、コンクリート13を路盤3上へ供給する速度を、50〜70m /hとしているので、コンクリートの流動によって鉄網12が変形したり移動したりすることがなく、コンクリート13を供給する効率もよい。
また、コンクリートスタッカ23の第二のコンベア23bの先端部23dを鉄網12の30〜50cm上方に位置させているので、コンクリート13の供給によって鉄網12が変形したり移動したりすることがなく、第二のコンベア23bの先端部23dが鉄網12に接触することがない。
【0033】
上述した本実施の形態によるコンクリート舗装工法では、鉄網12の設置が完了した後にコンクリート13を路盤3に供給し、コンクリート版5を1層のコンクリートで形成することができ、コンクリート13の供給によって鉄網12が変形したり移動したりすることがなく、路盤3に均一にコンクリート13を供給できるので、コンクリート13の品質を均一にできる効果を奏する。また、材料搬送車両や機械類の管理や移送が容易で、車両や機器類の輻輳を少なくすることができ、安全で施工効率がよく工期短縮を図ることができる。
【0034】
ここで、本発明のコンクリート舗装工法において、図3および図4に示すコンクリートスタッカ23の第二のコンベア23bの先端部23dと鉄網12との高低差の違いによるコンクリート版5の品質を確認するため、施工試験を行った。
【0035】
コンクリート舗装を行う試験体は、図1に示すコンクリート舗装と同様に構成され、幅員が6.0m、長さが24.0m、厚さが0.27mとする。
路盤3には、厚さ0.1mmのポリエチレンシート4を敷設して、幅員および長さ方向の端部には高さ270mmの鋼製のコンクリート型枠21を設置し、長さ8.0mごとに目地金物14を配置し、目地金物14にはタイバー、ダウエルバーを用いる。スペーサ11の配置は1.5個/m とし、スペーサ11と鉄網12とは結束する。
コンクリート13の配合は表1に示す。
【0036】
【表1】

【0037】
コンクリート舗装は、図3および4に示す上述した実施の形態と同様の車両および機械類を使用して行う。コンクリートスタッカ23の路盤3へのコンクリート13を供給する速度は、60m /hとする。
そして、第二のコンベア23bの先端部23dと鉄網12との高低差を10cm、30cm、50cm、70cmと変えてそれぞれ施工する。第二のコンベア23bの先端部23dと鉄網12との高低差を10cm、30cm、50cm、70cmと変えてそれぞれ施工されたコンクリート版をコンクリート版5a、5b、5c、5dとする。
コンクリート13の養生剤の散布量は原液で0.06kg/m とし、養生には養生マット26および養生ネット27を使用する。
そして、コンクリート版5a、5b、5c、5dから抜き取った供試体の曲げ強度試験を行い、その結果と鉄網12の変位や、変形の有無、そのほか確認できた施工状況を表2に示す。
【0038】
【表2】

【0039】
表2からわかるように、コンクリート版5a〜5dのコンクリートの曲げ強度は、いずれの場合も設計強度(5.0MPa)を満足した。
コンクリート版5aでは、施工時に第二のベルトコンベア23bの先端部23dが鉄網12に接触してしまい、鉄網12が移動してしまった。また、コンクリート版5dでは、第二のベルトコンベア23bの先端部23dから落下したコンクリート13によって鉄網12が変形し、位置も移動してしまった。
以上のことから、第二のベルトコンベア23bの先端部23dと鉄網12との高低差は30cmから50cmとすることが好ましいことがわかる。
【0040】
以上、本発明によるコンクリート舗装の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述した実施の形態では、コンクリート13の搬送をダンプトラック22で行い、路盤3への供給をコンクリートスタッカ23で行っているが、ダンプトラック22に代わってアジテータトラックなどの搬送車両を使用してもよく、コンクリートスタッカ23に代わってサイドフィーダなどを使用してもよい。
また、上記の実施の形態では、コンクリート型枠21を設置してコンクリート版5を形成しているが、コンクリート型枠を使用しないでコンクリート版5を形成してもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 コンクリート舗装
3 路盤
4 ポリエチレンシート
5 コンクリート版
11 スペーサ
12 鉄網
13 コンクリート
23 コンクリートスタッカ
23b 第二のコンベア(ベルトコンベア)
23d 先端部
24 スリップフォームペーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スリップフォームペーバを使用するコンクリート舗装工法であって、
路盤上にスペーサを介して鉄網を設置する鉄網設置工程と、
前記鉄網が設置された路盤上にコンクリートを供給するコンクリート供給工程と、
前記路盤上に供給されたコンクリートを前記スリップフォームペーバで敷き均して締め固め、表面を整えてコンクリート版を形成するコンクリート版形成工程と、
前記形成されたコンクリート版を養生する養生工程と、を有し、前記コンクリート供給工程は前記鉄網設置工程の完了後に行うことを特徴とするコンクリート舗装工法。
【請求項2】
前記鉄網設置工程では、前記路盤上にポリエチレンシートを敷設した後に鉄網を設置することを特徴とする請求項1に記載のコンクリート舗装工法。
【請求項3】
前記養生工程では、前記形成されたコンクリート版の上に養生マットを配設し、前記養生マットの上に養生ネットを配設することを特徴とする請求項1又は2に記載のコンクリート舗装工法。
【請求項4】
前記鉄網設置工程では、前記スペーサを1m あたり1〜2個設置することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のコンクリート舗装工法。
【請求項5】
前記コンクリート供給工程では、前記コンクリートを前記路盤上へ供給する速度は50〜70m /hとすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のコンクリート舗装工法。
【請求項6】
前記コンクリート供給工程では、前記コンクリートをコンクリートスタッカのベルトコンベアから前記路盤上に供給しており、前記ベルトコンベアの先端部を前記鉄網よりも30〜50cm上方に位置させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のコンクリート舗装工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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